CRV-1/HB
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General Coverage Shortwave Receiver (1960) |
完全手作りのこの受信機は、ナショナル ― HROシリーズ受信機で有名な米国ナショナル社ではなくて松下電器 ―
の通信型受信機用パーツを用い、
それらのデータシートに掲載されていた使用例を具現化した、本格的通信型短波受信機です。
高一中二の9球シングル・スーパーヘテロダインで、
短波3バンド構成のコイル・パックと周波数直線バリコンの組み合わせにより
3.5MHz から 30MHz をカバーします。 中波放送バンドはカバーされません。 この受信機に使用されているナショナル・ラジオ・パーツには以下のようなものがあります。 |
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なるほど、松下は通信型受信機に必要なキー・コンポーネントをすべて取り揃えていたわけですね。
であれば、完成機がないというのも不思議な話。
ウェブを探したら、この時代に松下ナショナルは
CRV-1
なる高一中二受信機を発売していたようです。
私はCRV-1について何も知りませんでしたが、JF1CBL 関OMが当時の雑誌記事のコピーを送って下さいました。 CRV-1はキットで、完成品はありませんでした。 価格は真空管なしのキットで18000円。記事に掲載されている回路図を見るに、 今回譲り受けた受信機とほとんど変わらない構成です。 であれば、このホームブルー受信機はCRV-1の原型機といえます。 そこで名前のないこの受信機を CRV-1/HB と呼ぶことにしました。   |
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キット版CRV-1の回路図を図に示します。
CRV-1/HBはナショナル・ラジオ・パーツのデータシートに忠実に製作されています。
キット版CRV-1はデータシートの回路と基本的には同じですが、Sメータ駆動方法が変更されており、
また各部の素子定数に細かな相違が見られます。おそらくデータシートのほうが年代的には古いと思われます。
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Schematic Diagram |
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本機のシャーシ レイアウトは、データシートに掲載されている製作例そのままです。
大きく異なるのは、データシートではダイヤルに指針付きのもの
(トリオTX-1送信機キットでも同じ物が使われていますね)
が使用されているのに対して、本機では大型のバーニア・ダイヤルであること。 本機のフロントパネルは高さ実に30cmもあり、我がラボ最大の受信機 Hammarlund HQ-170 よりも高くなっています。 が、 パネル裏面を見ればわかるように、メータのレイアウトを変えればかなり低くできて、9R-59と同等にできるはず。 |
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2つのバリコンに印字されている番号−11602と08603−は、製造年月日のように思えます。だとすれば、それぞれ1960年2月11日と3月08日。
またSメータの目盛り盤にも1960の数字が見えます。 この受信機が組み立てられたのは1960年という推測になります。 CRV-1はすべてMT管による9球式で、局部発振と周波数混合を独立した真空管で行い、BFOも独立した真空管が担当しています。 したがって、本機はトリオ9R-59 (輸出モデル Lafayette HA-230 ) をよきライバルにする、といっていいでしょう。 さらに、この時代の日本のアマチュア受信機の主流はシングルコンバージョンの高一中二であった、といえます。 一方その頃のアメリカでは、QST誌を見るに受信機の主流はすでにクリスタルフィルターとプロダクト検波付きのダブルコンバージョンでした。 回路を簡略化し、高周波増幅を持たない初心者向けの製作記事であっても、 ダブルスーパーにプロダクト検波を持っています。もちろん市販機にシングルスーパーがなかったわけではありませんが、 入門機や低価格機にかぎられており、 もはやシングルスーパーに単なるBFOを付けただけでは実戦には耐えられない時代になっていたのです。 反面、自作機で運用するアマチュアが急速に減っていっていることを嘆く投稿記事も見られます。 |
データシートでの部品配置
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電源まわりを重点に、目視で回路接続をチェック。
ヒューズはなくなっており、ヒューズ・ホルダのブレードは曲がってしまっていました。
ブレードを曲げ直して、ヒューズを差し込み、いよいよ電源を入れてみます。 最初は本当に何も起きませんでした。 こりゃ電源トランスか・・・とテスタでチェックするに、正常な様子。 もう一度試すと、今度は全球ヒータが点灯しました。単なるプラグの接触不良だったようで一安心。 ランプホルダをいじってみたら、パイロット・ランプも点灯しました。 煙こそ出ませんでしたが、かすかに古い油の匂いが漂います。 なぜか電源スイッチのターミナル付近に油汚れがあり、これが匂いの原因のようです。 が、ほとんどの配線に使われているエンパイア・チューブの匂いかも知れませんし、ひょっとしたらキャパシタがいくつかやられかけているのかも。 しばらくは、通電中には目を離さないようにしましょう。 電源トランスからのメカニカル・ハムは全く聞こえず、優秀なトランスのようです。 出力トランスは今のところ手に入っていません。 他のラジオから一時借用、というのが一番手っ取り早いのですが、どれも完動状態かレストア待ちなので剥ぎ取ることができません。 しばらくは最終の低周波出力段なしで外部アンプをつないでテストすればいいでしょう。 まずB電源電圧を測定。 出力トランス接続用のシャーシ背面ターミナルの青色端子には、300VDCが出ています。 って、簡単に指で触れられるターミナルに300Vも出ているラジオというのは実に恐怖です。 ちなみにこのターミナルはアンテナターミナルとほとんど同じものが使われていて(アンテナターミナルは3端子ですが)、 自作機ゆえ機能名の表示などありませんので、うっかりするとアース端子だと勘違いしそう。 そこに300Vも出ているのですから、このラジオはウイドゥ・メーカーと呼んでもいいかもしれません。 スタンバイ・スイッチの先、高周波増幅管と周波数混合管のプレート電源部には150VDC。正常な値です。 オシロスコープをオーディオ・ボリュームの両端につないで波形を観測しながら、シグナル・ジェネレータで信号を入れてみます。 Q5'erターミナルはQ5'erを使わないときは3つのターミナルのうち2つをショートさせておく設計になっているのですが、 本機ではターミナルはあるものの内部ですでにショート接続されていました。 検波信号は音量調整ポテンショメータを通り、Sメータを通過してシャーシグラウンドに落ちる回路になっています。 断線しているSメータでは検波回路が閉じないので、ジャンパーコードでポテンショメータのコールド側をシャーシに落としてみました。 ・・・そうか、だからSメータのターミナルがショートされていたんだ! で、いろいろ試した結果・・・受信機は全く反応しません。 チューニングをとるとかすかに波形が。でも、これはラジオの電源を切っても同じでがっかり。 どこかの接触抵抗か何かで鉱石ラジオとして反応しているだけのようです。 やっぱり死んでいる・・・。 AVC-MVC-BFOスイッチを回してみたら、うわおぅ!!! ポジションを切り替えるたびにスイッチからパチッという大きな音とともに火花が飛び散ります。 げげげ。 メーク・ビフォア・ブレーク型のスイッチが使われているからか何かなのでしょうか? |
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ヘッドホン端子、すなわち初段低周波増幅出力の信号を引き出してPC用のアンプ内蔵スピーカにつなぎます。
初段低周波増幅管6AV6のグリッドに音声信号を入れると、きちんと増幅しています。
ハムは問題ないレベルで、電源平滑用のナショナル・ラジオ・パーツ電解キャパシタは今後しばらくは使えそうです。
普段使っているスピーカと違うので音質の善し悪しは不明。まあ悪くはなさそうです。
次にシグナルジェネレータで検波段に変調をかけた455kHzを入れると、スピーカから音が出ます。
第2中間周波増幅管6BD6のグリッドに入力すればこれもOK。
第1中間周波増幅管6BD6では・・・これまたOK、十分に増幅していると見え、弱い信号でも十分に聞こえます。
でもアンテナ端子から入れた信号はちっとも聞こえてきません。 それでは局部発振回路は発振しているのだろうかと、配線を追いかけてみると・・・ うわわっっ!!6BE6と6BA6を挿し間違えてる!!! 実は入手時、高周波増幅管6BA6と局部周波数発振管6BE6がデータシートに対して入れ違っていることに気がついていて、 データシートどおりに挿し直しておいたのでした。 ですが、他の部分はデータシートに忠実に製作されているこの受信機、 なぜかこの2本の位置を入れ替えて組み立てられていたのでした。 実物の配線を注意深くチェックしなかった私の初歩的ミスです・・・。 6BA6と6BE6はヒータのピンアサインは同じなので、真空管のヒータは無事でした。 まあ真空管がダメになってしまっても、スペアはじゅうぶんに手元にあるから問題はありません。 が、もしコイルパックが焼き切れてしまったら・・・? で、コイルパックの各コイルを導通チェックしてみると、幸いにもいずれも断線はしていませんでした。 一安心して真空管を挿し直し、いろいろつついているうちにバンドCで局部発振の動作が確認でき、 シグナル・ジェネレータのRF信号が復調できました。 実アンテナにつなぎ直したら、CRV-1/HBは15.240MHzのVOAを受信し始めました。 |
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真空管を挿し直してもすぐには受信できなかったのは、
コイル・パックのロータリー・スイッチに接触不良があったのと、
メイン・バリコンのどこかに接触不良があったからのようです。
いじっているうちに、A/B/Cの各バンドとも受信動作しはじめました。
次第に、受信機のコンディションがわかってきました。
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検波段と初段低周波増幅段は正常に動作していると思われるので、再度中間周波段のチェックを行いました。
初段低周波増幅管の出力(ヘッドホン出力端子)とAGC電圧を
オシロスコープ
で同時にモニターしながら、
目黒MSG-2161標準信号発生器
を使って455kHzを各段に注入してみます。変調は400Hz 30%。 最初は検波段直前の松下2IF-N1-B中間周波トランス。 第2中間周波増幅管6BD6のグリッドに信号を注入し、まずシャーシ下側のネジを回すと、それだけで出力は倍以上に。 上側の調整ネジを回すと、オーディオ出力はとたんに数倍アップしました。 次は2つの中間周波数増幅段の間の中間周波トランス、松下2IF-N1-A2。 第1中間周波増幅管6BD6のグリッドに信号を注入します。 下側のネジではそれほど変化はありませんでしたが、上側のネジを回せばこれまたたちまち出力が大きくなります。 さあ、ずいぶん楽しくなってきました。 最後は周波数変換段の直後の松下2IF-N1-A1。 今度は局部発振管6BE6を抜いておき、混合管6BE6の第3グリッドに信号を注入します。 下側ネジの調整でわずかに出力アップ。 上側ネジを調整しようとしたら・・・・うおおうっっっっ! 感電した! 手持ちのプラスチック調整棒の先端はずいぶん丸まってしまっていたので、 上側ネジの調整には普通の精密ドライバーを使っていたのですが、 なぜかこの初段の中間周波トランスだけは上側ネジに電圧が出ています。 ともあれ調整をとってみると、期待通りこれまた出力アップ。 推測するに、本機のビルダー氏は、実際の放送を受信しながら受信音が最大になるように中間周波トランスを調整したのでしょう。 たまたまその時の中間周波信号のピークが455kHzからすこしはずれたところにあって、 しかも下側ネジは手付かずのままであったのだろうと思われます。 上側ネジによる同調と下側ネジによる同調とがずれたままになっており、これが感度不足の原因だったわけです。 調整前と調整後の受信感度は雲泥の差。 シグナル・ジェネレータの出力レベル表示からするに、全周波数帯において20dB前後の感度向上が確認できました。 選択度も確実にシャープになりました。 1999-09-21 中間周波トランス調整 感度大幅アップ |
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回路図からすると、周波数混合管の第3グリッドには高周波増幅後の信号が加えられています。
真空管ソケットのそのピンは、コイル・パックからのG3とタグのついた黄色いワイヤーがつながっているところですからすぐにわかります。
で、ここに455kHzのシグナル・ジェネレータ出力をつなぎました。
が、待てよ・・・そのソケットにささっているのは・・・6BE6じゃなくて・・・6BA6だ!!! あわててもう一度配線を追いかけてみます。 この管にはカソード抵抗が入っていないから、局発・・・。 この管は2ピンと7ピンがつながっているから、RF・・・。そしてこれは確かにミキサー。 真空管を挿し込む位置をまたもや間違えているようです。 コイル・パックのデータシートに記載されている実体配線図を見てみました。 すると、CRV-1/HBの実機はデータシートの実体配線図どおりに製作されていることがわかりました。 データシートの実体配線図では、コイル・パックから真空管への配線がもっとも短くなるよう考慮されています。 結局、入手時に真空管が挿し込まれていた順番が間違っていただけではなく、 データシートの製作見本の写真(このページの最初のほうに示しているもの)の説明も間違っていたのです。
あれまぁ。 よく確認しないまま電源を入れ、気づかずにしばらくテストしていた自分自身にあきれてしまいました。 今まで実に、ペンタグリッド管6BE6に高周波増幅、 リモートカットオフ・ペントード6BA6に周波数混合を行わせた状態でテストしていたのです。 それにしても、案外動作するもんだなあ。 1999-09-26 真空管挿し間違え修正 |
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ようやく正しい真空管が挿し込まれたCRV-1/HBは、当たり前ですがずいぶん調子良く鳴るようになりました。
いままで強い局でもAGC電圧は-1V程度までしか上がらなかったのに、いまでは-5Vを越えることもしばしば。
周波数によっては最初に比べ実に60dBも感度が上がっているところもあり、
わずか数メートルのビニール線アンテナにプリアンプなしでも実用になります。
当初はIFゲインコントロールをフルゲインからわずかでも下げると全く聞こえなくなっていましたが、
今ではすこしゲインを下げても大丈夫。 感度については、各バンドのダイヤル位置によるばらつきが認められます。 コイル・パックの各調整ネジにはおそらく製造時に付けられたネジロックがついたまま。 多分最初のビルダー氏は、トラッキング調整は行わなかったものと思われます。 調整で性能アップの可能性あり。 シグナル・ジェネレータを使うと、明確なイメージ混信があることがわかります。 が、所詮は中間周波数455kHzのシングルスーパーですからこの程度はOKとしましょう。 スプリアスやコンバータノイズも少なく、 昼間の17.780MHzのワールド・ハーヴェスト・ラジオも夜間の15.240MHzのVOAニュース・ナウもたいへん良い音で楽しめます。 |
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中間周波増幅に6BD6を用いるというのは、
メーカー製品や自作記事ともにこの時代の日本製の受信機に多く見られます。
が、アメリカ製のラジオでほとんど6BA6が使われます。
ちょっと調べてみても6BD6を使っているのはナショナル(松下ではなくて本家ナショナル)の低価格モデルにある程度ですし、
CRV-1のライバル機といえる
9R-59
も、6BA6を使っています。 電波技術誌の記事において難波田 了OMは、 CRV-1/9R-59/CS-7の比較評価にあたってCRV-1だけ真空管なしで届いたので、
と書かれております。 6BA6と6BD6のピンアサインは同一ながら6BA6のgmは約4400あり、6BD6の約2000に対して大きく利得を稼げます。 反面、中間周波トランスの造りや配線が悪いと発振しやすいといわれています。 が、1962年に難波田 了OMがテストしたとき、 CRV-1は6BA6の上位球である5749を6BD6の代わりに使って問題が発生していなかったようです。 実は手元に5749Wも5750も新品が何本かあるのですが、貧乏性の私は試しに中古の6BA6に差し替えてみることにします。 交換後、念のために中間周波トランスの調整を確認してみました。が、再調整は必要ありませんでした。 で、結果は・・・発振などの異常動作は見受けられず、ゲインは明らかにアップ。 特に第一中間周波増幅管を置き換えたときにメリットが明確です。 6BD6ではAGC電圧-1.5V程度であった信号のとき、6BA6では-2.0V以上をマークします。 副作用が見られないのですから、6BD6に戻す理由もないでしょう。しばらくこのまま6BA6を使うことにします。 CRV-1/HBの中間周波増幅段では、第1段・第2段ともにカソード抵抗として300Ωが入っています。 この値を小さくすれば、もうすこしゲインが稼げるかも。 6BA6にしたら、選択度がすこし悪くなったような気がします。そんなことってあるのかな? 感度が上がったためにそう感ずるのでしょうか? あとで正確に調べてみましょうか。 JA4AXC/1 中西OMが電波科学誌1961年7月号のコピーを送ってくださいました。 CRV-1の製作記事であるそれを読んでいて、不思議になりました。 どうやら、中間周波増幅管に6BA6が使用されているようなのです。 記事中の回路図は6BD6となっているのですが、 ブロックダイアグラム、実体配線図、内部写真のキャプションでは6BA6になっているのです。 はて・・・・ランチェンがあったのでしょうか? 記事では、組み立て後に2つトラブルがあった、とあります。 ひとつは低周波段の異常発振で、 出力管6AR5のプレート回路配線が初段低周波増幅管6AV6のグリッド・カップリングキャパシタのすぐ脇を通っていたのが原因。 もうひとつはAGCの異常動作で、Sメータ回路の配線が局発管6BE6のすぐ脇を通っていたのが原因。 いずれも配線を離すことによって解消できたとあります。 わがCRV-1/HBではそれらのトラブルは起きていませんが、参考になります。 またその記事ではキットの価格は14350円と書かれています。当初18000円だったものが値下げされたのでしょうか。 |
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経時的な周波数ドリフトは少ないのですが、ときたまいきなり1kHz程度ずれることがあります。
しばらくほおっておくと元の周波数に戻ってきたりします。
電源電圧変動の影響かもしれないし、局部発振管のソケットの接触不良などでもこういったことは良く起こります。
ので、プラスチックの調整棒で局発管6BE6のソケット周辺をつつきまわしてみると、
プレートとシャーシグラウンドの間に入れられた
ニッポンケミコン製の0.01μFオイルキャパシタ
を触るたびに受信周波数がホップします。 キャパシタのリード線の半田付けそのものには問題なさそうだし、 真空管ソケットのターミナルをつついても変化なし。でもキャパシタ本体を軽くたたくとホップが起きます。 キャパシタそのものがなにかしら機械的に不安定になっているようです。 疑わしいキャパシタを取り除き、おなじ0.01μFのセラミックキャパシタに交換しました。 オリジナルのキャパシタは近くのシャーシ上に落とされていましたが、 今度は実体配線図も参考にして真空管ソケットのセンターピンに落としました。 調整棒で周辺素子を叩いたりつつきまわしたりしても受信周波数は変化せず、周波数ホップはなくなりました。 |
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AGCの動作を見ていると、最大感度までの回復にちょっと時間がかかりすぎます。
強力な局を受信していてアンテナを外すなどしてみると、AGC電圧は-1.0V程度まではすぐに下がるのですが、
そこから無信号状態の-0.3V程度まで回復するのに10秒程度かかったりします。
極端に深いフェーディングのときやチューニング中など、もう少しすばやく回復してくれればいいのですが。 AGCのフィルタ・キャパシタは0.05μFのペーパーキャパシタで、これをセラミックに交換してみました。 わずかに応答が速くなった気もしますが、その程度。 近くの0.01μFのペーパーキャパシタも間違って取り外してしまったので、これもついでにセラミックに交換。 これは全く影響なし。 中間周波増幅管を6BA6にした副作用が確認されました。 AGC電圧が-8Vを越えるほど大変強く入感してくる局では、 第2中間周波増幅管がオーバーロードになってしまって音が極端に劣化したり、ひどい場合は完全に無音になるのです。 6BD6に戻してみたらオーバーロードまでには至りません。 まあIFゲインを少し下げれば済むことなので6BA6のままで行きましょう。 (後日訂正:どうやら6BA6のせいではなかったようです。) |
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バチバチ火花が飛び散るとあって、BFOのテストはじっくりできませんでした。
火事になってもいやだし、モードスイッチの配線を変更してみます。
フロントパネルのスタンバイスイッチは今のところ必要ありませんから
(いつの日か必要になる時がはたしてくるのだろうか?)、スタンバイ回路は直結にして、
このスイッチでBFOのON-OFFをさせることにします。 ちょこちょこっと配線を変更してみると、当たり前ですがBFOを連続使用しても火花は出なくなりました。 火花の原因は、要するに半田付けポイントからリード線のヒゲが出たままになっていて、 すぐ近くのターミナルとの間でスパークしていたもののようです。 配線に使われているビニール被覆電線もエンパイアチューブも、経時変化でカチカチになってしまっています。 CWあるいはSSBを受信するときはAGCを止め、オーディオゲインは十分に上げておき、 音量調整はIFゲインコントロールを使って行います。 復調音がBFOをかけていないときのようにモゴモゴいってしまうのは入力信号が強すぎてBFO信号が負けてしまっているためなので、 IFゲインをさらに下げます。 現状のBFOを使ってみるとやはり、使えることは使えるがとても不満、というのが率直な感想です。 理由はまず周波数安定度の不足、そしてBFO出力が低い(と思われる)ことです。 周波数変動のため、CWを受信するとキーイングのたびにピヨピヨしてしまいますし、 また信号強度や電源電圧の変動によっても周波数が動いてしまい、 バンドスプレッドおよびBFOピッチコントロールから手が放せません。 BFO発振回路自体が安定していないためもありますが、 局発周波数が信号強度に影響されて変動している影響のほうがむしろ大きいように感じられます。 また機械的振動でも復調音は影響を受けます。 CWやSSB受信中は貧乏ゆすりは厳禁ですし、 となりのデスクの上のキーボードをたたくたびに復調音が揺れてしまいます。 難波田 了OMの電波技術誌の記事にもやはり、 安定度は9R-59よりは良いがCWやSSBには不足、BFOは弱すぎ・・・との旨のことを書いておられますから、 このCRV-1/HBが特に調子が悪いといったものでもなさそうです。 CRV-1/HBのBFOはチューンド・プレート発振回路です。 発振管6AV6のグリッドから取り出された発振出力はシャーシをほぼ横断する形でシールド線で引き回され、 15pFのキャパシタを介して検波ダイオード6AV6のプレートに注入されます。 トリオ9R-59ではQマルチ兼用BFOということもあって、第一中間周波数増幅段の上流から注入されているのと対照的。 Radio Designer's Handbook によると、検波ダイオードに注入するのは一番安定なように思えるが必ずしもそうとは限らない、とあります。 この方法で最も重要なのは十分な発振出力を確保すること。 検波ダイオード部では中間周波信号の強度が最も高いので、これを必ず上回るだけのBFOパワーが必要なわけです。 CRV-1/HBでBFOパワーが不足気味に感じるのも、こういったことによるものかもしれません。 第2中間周波増幅段をゲイン固定、つまりAGC制御せず、 この段の入力にBFO信号を極めて疎に結合させる方法をRadio Designer's Handbookは推奨しています。なるほど。 いずれにせよ本格的にSSBを受信するならば電圧安定管の使用 (もしくは第1局発を水晶発振にしたダブルスーパー;いわゆるコリンズ方式) とプロダクト検波の採用は不可欠だ、ということなのでしょう。 アメリカではすでに普及していたこれらの方式の恩恵を日本の普通のアマチュアが受けるのは、 もう少し先のことだったようです。 しかし、10年後の状況の変化を、誰が想像できたでしょうか・・・。 というわけで、1960年に戻ってひきつづき楽しみましょう。 すでに書いたようにピッチコントロールは効きすぎで、 ほんのわずか動かしただけでピッチは大きく変化してしまいとても微調できる代物ではありません。 CRV-1/HBのデータシートではBFOピッチコントロールのミゼット バリコンは10pFのものを使用とあり、 実体配線図ではロータ2枚、ステータ1枚のミゼットバリコンが描かれています。 が、実際に使用されているのはロータ6枚、ステータ5枚のバリコン。 このために、ピッチコントロールが効きすぎているのでしょう。 ロータの羽根を引っこ抜いてもいいのでしょうが、ジャンク箱の中にハマーランド社製のちょうど良さそうなバリコンがありました (ハイパワー用のセラミック ベース品なのでオーバースペックではありますが) ので、これに取り替えてみることにしました。 ただ単にバリコンを交換しただけでは、うまく455kHzを発振させることができませんでした。 バリコン容量が小さすぎてBFOコイルでの調整がとりきれないためです。 バリコンに並列に10pFのセラミックキャパシタを入れたところうまく調整でき、 ピッチコントロールの効き具合もちょっと不足気味ながら許容できる程度。 シャフトの動きもスムースで、SSB復調の微調整が大変楽になりました。 ただし、受信キャリアにBFO周波数が引き込まれがちな傾向はやはり残っています。 特に強力な信号に対するゼロビート近辺ではそれが顕著。 オーディオ ゲインを十分に上げておき、IFゲインを下げて使用すればこれは回避できます。 |
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BFOのテストをしているうちに、ときおり不安定なノイズが出るようになってしまいました。
接触不良が起きているようなバサバサしたノイズで、しばらく続いたり、ふっと止まったりします。
ノイズが出ているときは、アンテナを外しても、どのバンドでも、またバリコンの位置がどのようであっても出ます。
オーディオゲインを絞ると音は小さくなりますが、絞り切っても音は消えません。
さらに、ノイズが止んでいる場合であっても、オーディオ・ゲインで音を絞りきれないケースがあります。
いったん発生すると、とても放送を楽しむことはできません。 BFOをOFFにするとバサバサノイズは出にくくなりますが、これはBFOそのものがノイズを出しているのではなくて、 どうやら検波段の入力が大きいと起こりやすいようです。 BFOを止めてVOAを聴いているとき、IFゲインを絞るとバサバサノイズが出にくくなったりします。 おそらく検波段のどこかが不安定になっているのでしょう。 検波段とオーディオゲインコントロール周辺を調整棒でつついてみると・・・ ポテンショメータのコモン側ターミナル配線の接触不良でした。 ここは本来Sメータにいく線がつながるべきターミナルですが、Sメータ断線のため、 このターミナルを直接シャーシに落とすよう変更しておいたのです。 が、どうもイモ半田だったようです。 ラグ板など各パーツのターミナルは表面の酸化が進んでいて、半田のノリがどれも今一つです。 ヤスリがけをしておいてから半田付けするべきなのですがつい億劫で・・・。 オーディオ信号の配線にはシールド線が使われていますが、 シースの表面はどこもうす汚れています。 ので、ついでにボリュームコントロール周辺の配線を引き直しました。 不安定なノイズは消えました。 |
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第一中間周波増幅段の入力回路にも問題の0.01μFオイルチューブラキャパシタが使用されています。
これは中間周波トランス2次側巻線の片側をグラウンドに落とすためのIFバイパスとして機能します。
2次側巻線の反対側は中間周波増幅管のグリッドにつながります。
このキャパシタに印加される電圧は直流的には中間周波増幅管のグリッド電圧と同じですから、
耐圧はせいぜい10Vちょっとあれば済むはずです。
が、今日買ってきたばかりの250V耐圧のマイラキャパシタに交換してみました。 で、違いは一目瞭然。 いままで10秒以上かかっていたAGCのフルゲインへの回復が、1秒以内で完了します。 強力な局を受信していてアンテナを外すとただちに受信機はフルゲインになり、音量はかすかながらもはっきり聞こえつづけています。 ノイズが少ない15MHz帯でチューニングするとき、強い局の間の弱い局を探すのが大変楽になりました。 21MHz帯のノイズフロアに近い微弱な局も、ボリュームコントロールを調整し直すこともなくきれいに聞こえます。 こうでなくっちゃね。 1999-10-16 IFバイパスキャパシタ交換 AGC動作正常化 |
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次のキャパシタ交換は、第2中間周波増幅管のプレート回路に入っている、やはり0.01μFのオイルチューブラ。
もしこのキャパシタの容量が減れば、プレート回路のAC抵抗が増大してゲインに影響が出るだろうし、
リークがあればプレート電圧が低下したり、発熱の可能性も考えられます。
で、交換してみると、これは変化が見られません。
プレート電圧は交換前と変わらず198V。
設計値は200Vですから問題なし。 感度にも明らかな変化はなし。 デジタルマルチメータでこれらのキャパシタの直流抵抗値を測定してみたら、 交換しても変化がなかったものは抵抗値無限大を示しますが、あとの3つはそれぞれ5MΩ、130kΩそして80kΩ。 かなりのリークです。 この受信機にはこの0.01μF オイルチューブラはあと一つ使われています。 が、それはレコーディングジャックの直流阻止用。 今のところ使っていないし、 それにレコーディングジャックは初段低周波段の出力から取り出すように変更しようかと考えているので、 放っておくことにしました。 他にも0.01μFのキャパシタは何個も使われているのですが、 それらはプリンストン・ブランドのワックスコーティングされたペーパーキャパシタ。 ヒマとパーツの在庫があるなら、取り替えておいたほうが良い類のものです。 初段低周波増幅管のプレートと出力電力増幅管のコントロールグリッドをつなぐのも0.01μFのペーパー。 いまだに出力トランスが手に入っていないので、 このキャパシタを通った信号をオシロスコープで見ながらアンプ内蔵PC用スピーカで聴いているのです。 オリジナルのキャパシタではごくわずかながらリークが確認されていました。 もしこのキャパシタがショート故障したりすれば、初段低周波増幅管のプレート電圧が次段のグリッドにモロにかかって、 今は抜いてあるものの、6AR5はオシャカになるでしょう。 し、アンプ内蔵スピーカも吹き飛んでしまうでしょう。 さっさと交換してしまうに限ります。 新品マイラ キャパシタに交換したらもちろんOK、DC電圧は全く観測されません。 高音が心なしか良く出るようになった気がします。 1999-10-19 低周波カップリングキャパシタ交換 |
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周波数ドリフトの程度を測ってみました。
今回は実際の受信周波数の変化ではなくて、局部発振周波数を周波数カウンタで読んでその変化を調べてみます。
結果は
こちら
。
最大変化幅で3kHz。
コリンズタイプに比べたら劣るのは致し方ないし、SSBやCWにはつらいものがありますが、回路構成からすれば上出来だと思います。
ほぼ同じ条件で
Lafayette HA-230
(9R-59) を測ってみたら、最初の30分のドリフトが勝負にならないほど大きいことがわかりました。
HA-230はヒータ予熱という大技を持っていますが、それを使わないのならCRV-1/HBの圧勝といえます。
ただし実際の受信周波数のドリフトは混合管や高周波増幅段などの影響を受けますから局発周波数の変動だけでは総合的な判断はできませんが・・・。 本機のBFOの代わりにシグナル・ジェネレータの出力を注入してSSBやCWを受信してみると、 多少はよくなるものの依然として受信音のピッチは明確に変動します。 当時多くの局が行ったように、局部発振管6BE6のB電圧の安定化を試したくなります。 機械振動による受信ピッチ変動の主要因は、 シャーシ下のバリコンやコイルパックそれにBFO出力の配線が揺れてしまうことにあります。 |
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CRV-1/HBおよびCRV-1は、フロントパネルにヘッドホンジャック、
シャーシ背面にレコーディングジャックを持っています。
どちらのジャックも標準モノラルジャックが使用されます。
ヘッドホンジャックは差し込むとスピーカ側回路が切れるタイプです。
標準モノラルジャックはそれこそ万国共通だと思っていたのですが、
CRV-1/HBに使用されているジャックはどうも内径がわずかに小さいようで、手持ちのどのプラグも差し込めません。
これでは不便なので、交換することにしました。ついでなので、以下のように改造しました。
電波技術誌の難波田 了OMの評価記事には、
とありますが、今ではハイインピーダンス型を買い求めるのは困難になってしまいました。 同氏はまた、
と書かれております。なるほど! |
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たとえいいかげんな表示であったとしても、Sメータは短波受信機に欠かせないアイテム。
フェーディングに応じて振れるSメータにこそショートウェーブのロマンがある、とは気取りすぎ? 入手時すでに断線してしまっていたSメータをどうしたものかと、ここ数ヶ月考えっぱなしでした。 手持ちの丸型電流計を取り付けようとすると、 すでに空いてしまっている角型パネル取り付け用の穴が残ってしまいちょっとみっともないなあ。 フロントパネルを小さくしてLEDバーグラフメータとLCDデジタル周波数カウンタをつけるのもいいかな、 いやいやそれでは現在のダイヤルのレイアウトとマッチしないから、 いっそのこと全部分解してシャーシから新規に作り直すのもいいかも、 それならバーニア ダイヤルではなくてエディストーンみたいなかっこいいダイヤルが欲しいなあ、 きちんとケースにも入れたいし、放電安定管とプロダクト検波も欲しいし、SSBでもSメータ使いたいし・・・ あれあれ、これでは修理じゃなくて完全新作になってしまいます。 で、切れた1960年製100μA角型電流計と手持ちの1955年製1mA丸型電流計を眺めていたら、 あれれ、この2つはどうも中身のサイズが一緒みたいだぞ。 ケースをあけて中身を取り出してみると・・・メーカーは違うのに、 中身は取り付け穴といい目盛り盤のネジ穴位置といい寸分たがわず。これはラッキー! さっそく移植作業にとりかかります。神経を張りつめて作業し、 無事にメーター機構を入れ替えることができました。 組替え途中でメータハウジングとカバーを薄いシンプルグリーン溶液と小型超音波洗浄機で洗浄して研磨剤で磨いたのできれいにもなったし、 なによりオリジナルのフロントパネルを改造せずにすみます。 メータの目盛り盤はオリジナルのものですが、中身はいまやDC1mA計。 もはや100μA計ではないのでCRV-1/HBオリジナルの検波電流計としての利用はできません。 そこで、予定通りCRV-1の方式、すなわち高周波増幅管のカソード電圧変化を読むタイプにします。 CRV-1のメータは1mA計が利用されるので、願ったりかなったりです。 高周波増幅管6BA6のカソード抵抗値やスクリーン抵抗値はCRV-1とCRV-1/HBで異なっているので、 CRV-1の回路を参考にしながら手持ちの部品を組み合わせて適切に動作する抵抗値を見出しました。 メータはダンパーの効きが弱く、AGCの動き以上にオーバーシュートしてしまいます。 これでは使いづらいので、安直にメータ両端に大きな電解キャパシタを入れて針の暴れを抑えることにしました。 ゼロ点調整のポテンショメータはフロントパネルのヘッドホンジャック用の穴を利用して取り付けることにし、 メータ逆振れ防止用にシリコンダイオードを入れることにします。 ジャンパーコードで仮配線したSメータはうまい具合に動作します。 6BA6からゼロ点調整のポテンショ、 そしてSメータまでの配線はそれなりに長い引き回しになってしまいました。 通常はほとんど問題がありませんが、注意深くチェックすると軽く発振ぎみな周波数スポットがあります。 取り回しを再検討する必要あり。 2000-04-22 Sメータ交換修理 |
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高周波増幅段はIFゲインコントロールの影響を直接的には受けませんので、
IFゲインをフルから落としていくと、ゼロ点は動かないままSメータの読みはスムースに低下していきます。
コリンズ51S-1
や
ハリクラフターズSX-96
ではゲインコントロールを落としていくとSメータのゼロ点がそれに応じて上がってきますが、
感覚的にはCRV-1/HBのほうが違和感がありません。
BFOを作動させるとメータは大きく振れっぱなしになりますし、AGCを切れば当然メータはゼロに固定になります。
SSBやCWの受信中にメータが使えないのは寂しいので、そのうちオーディオ デリバードのAGC回路でも工夫してみましょうか。 今回のSメータ回路にはメータのゲイン調整はありません。 が、コリンズ51S-1のRFメータが60dB振る信号のときにCRV-1/HBは0-100μAの目盛のうちだいたい60を指します。 半島からの強力な信号でも振り切ることはありませんし、実用的なアクセサリーとしてちょうどいいものであると思います。 必要以上に大きいCRV-1/HBのフロントパネルは、この80mm角型Sメータを取りつけてはじめて全体的なバランスがとれます。 電波に応じて動くようになったメータを見ていると、本当に受信機が生き返ったと感じられます。 |
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本機の心臓部ともいえるナショナル 短波専用コイルパック 3BR-330は、
コイル コアやトリマ キャパシタの調整部全ての赤色エナメル固定が完全なままでした。
おそらく組み立て後に一度も調整が行われていないものと思われます。
各バンドともダイヤル位置による感度のばらつきが認められるので、再調整によって性能向上できるのではないかと思われました。
入手時に付属していたコイルパックのデータシートに調整手順も書いてあります。 で、いよいよエナメルを割って再調整に挑みました。 その結果・・・およそ3.5MHzから7MHzをカバーするバンドAについては全域で感度向上が確認されたのですが、 バンドBとバンドCについてはうまくダイヤル全域で感度を向上させることができません。 各バンドでの調整はバリコン位置5%と95%の2ポイントを基準にするのですが、 局発の可変範囲をデータシートの通りに合わせようとするとコア位置やトリマ位置をずいぶん動かす必要があります。 どうも後日じっくりと取り組む必要があるようです。 |
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日曜の午後に14MHz帯SSBのWのコンテスト局やJA局のラグチューを聴いていて、やはり安定度不足を感じました。
1分間のうちに何度かの周期で、同調周波数が100Hzのオーダーで上下してしまいます。
どうも電源電圧変動が主要因であるように思われたので、放電安定管の組み込みを決心しました。 シャーシに新たな穴を開けるのはためらわれたので、 オーディオ出力段の6AR5を除去してそこに0B2 108V安定管を組み込み、局発管6BE6のB電源とすることにしました。 現在は変更したレコーディング ジャックからの音声出力をアンプ内蔵スピーカやコンピュータのサウンドカードに入れて聴いていますし、 音声出力トランスを組み込む改造よりは安定度向上のほうがメリットが大きそうに思われたからです。 回路変更にあたって半田こてを触れる必要のあった部分は、 ついでにカチカチに硬くなったエンパイヤチューブの配線を新品のワイヤーで配線しなおしました。 またシャーシ背面の300Vウイドゥメーカーターミナルの配線も除去しました。 最初にテストしてみると、組み込んだ0B2WA 高信頼放電安定管は管の内部がオレンジ色に輝き、 確かに安定はしているもののその電圧は128Vです。 あれぇ、放電安定管は薄紫色に光るものと思っていたのになあ。回路を再チェックしたものの、予定の108Vは得られません。 もしやと思って別の0B2に交換してみたら、今度は薄紫色の光と108Vが得られました。 どうやら手持ちの0B2WAは不良品のようです。 スワップミートの素性の知れない中古球なので、まあハズレを引いたと思ってあきらめましょう。 |
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BFO管のB電源も放電安定管から取るように変更しました。
変更前に比べたら周波数安定度はかなり改善され、電信がピヨピヨ言うこともなくクリスプな受信音になりました。
しかし受信周波数は依然として短い周期でドリフトし、手放し受信には至りません。
貧乏ゆすり厳禁なのも相変わらず。
次の改善は局発段配線のメカ的安定性向上かなあ、と13MHz帯のRTTYを聞きながらいじっていたら、
メインバリコンの局発用セクション、特にステータ支持絶縁部が極端に温度に敏感であることがわかりました。 まあ原理的に当然といえば当然なのですが、 紙を吹き矢風に丸めたものを使って局発セクションのステータに息を軽くふうっと一吹きすると、 RTTYの復調周波数が実に4kHz以上も一瞬にして動き、その後数分間にわたってゆっくりと戻ります。 これでは周囲のそよ風でドリフトしてしまっても不思議ではありません。さあ困った。 バリコンをケースで囲うか、受信機全体をケースに入れるか? 温度補償キャパシタでは熱時定数の違いから、努力してもさほどうまくマッチングが取れないだろうし。 この時代の受信機はこういうものだ、と諦めるのが一番楽な解決策なのかも。 |
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作業中、錆びついた銀色刷毛塗りシャーシを見ていると何とかしたくなってきます。
かといって全部バラして塗装と組み立てを最初からやり直すほどの元気は今はありません。
ので、フロントパネルだけを再塗装することにしました。 スプレー式剥離剤を使って汚れた銀色のペイントを落とすと、最初組み立てた際に寸法取りを間違ったのでしょう、 いったん開けられた小穴が半田で盛られて塞がれている部分がありました。 スチールウールで磨いてからスプレーを吹きました。 CRV-1のフロントカラーのイメージをもたせて選んだ色はアイボリー。 リニューアルしたフロントパネルを組みつけると、正面から見ている限り完成したての自作受信機という感じです。 さて、局部発振段は電圧安定化されたはずなのに、受信が安定しません。 どうもどこかの接触不良が出ているようで、同調が取れなくなったり、 周波数がホップしたり、急に感度が低下したりするようになりました。 一番怪しいのはメイン バリコンのロータのベアリングの接触、あるいはバリコンフレームのぐらつき。 で、バリコンブラケットのゴムブッシュを代用品のケーブル グロメットに取り替えます。 すると、感度はいっそう悪くなってしまいました。 あれこれ調べると、何の事はない、理由はバリコンのRFセクション端子の半田付けが外れたためでした。 直視できない場所であり、症状としては高周波増幅段が増幅していないように見えるので、 特定するのにかなり時間がかかりました。 バリコン下面の半田付けを行うために、バリコンをシャーシから完全に外しました。 ついでに超音波洗浄機とシンプルグリーンで洗い、バリコン配線を引きなおします。 これで感度はずいぶん回復したものの、やはりどこかしか不調。 コイル・パックの再調整を数日間にわたって行い実用的な性能にはなりましたが、以前の感度が取り戻せていない感じです。 受信機全体のゲインがいまひとつ稼げていないかのようです。 2000-04-22 フロントパネル塗装 感度が出ていない |
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高崎のサープラス ショップで買い込んだパーツを使って、レトロフィットを続けます。
オリジナルの電源ケーブルは薄いパステルブルーで、当時の流行のものだったのでしょう。
風化はさほどひどくありませんが、シャーシの穴にグロメットを取り付けるついでに新品に交換してしまいましょう。
とはいっても買ってきたACコードを良く見るとSONY 1972とあります。
あれれ、28年前の新品だ。まあオリジナルよりも12年も新しいからいいか。 カバーが失われていたヒューズホルダはサトーパーツの新品に。 電源トランス1次側の0.005μFのワックスペーパーキャパシタはパンクすれば火災の危険もあるので新品の高耐圧フィルムに交換。 アンテナターミナルもほとんど同一の新品、スピーカ用のターミナルは豪華金メッキのRCAステレオピンジャック 280円也にしました。 オーディオ出力用として、標準ステレオ ジャックと併用することにします。 もともと使われていたラグ板は薄くて曲がりやすくカシメも粗雑な製品なので、 大き目の抵抗を取り付ける必要のあるものは新品のしっかりしたものに交換しました。 オリジナルのネジはすべてマイナス溝ネジで、頭がどれもひどく赤錆びていたので、 目につきやすいものやいったん緩めたものはステンレス製の新品に交換しておきました。 トグルスイッチのON-OFFタグも新品に。 |
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このページは自分自身の作業記録として便利なのですが・・・
読み返してみるとモード・スイッチは4ポジションのものが使われていると以前に書いています。
のに、このロータリースイッチはどうみても3ポジションです。
去年の9月だよなあ、よっぽど仕事に疲れていたのかストレスだったのかノイローゼだったのか、
ともかくスイッチ交換の必要はなさそうなのでBFOとAGCの配線を引きなおしてオリジナルの状態に戻しました。
もう火花は飛びません。
元のスタンバイ・スイッチの配線は復旧せず。今後オーディオAGCの実験でもするときに便利に使えるでしょう。 勢いづいて高周波増幅管6BA6のカソード抵抗を100Ωに変更、 中間周波増幅管については150Ωに変更。わずかに感度アップしたようですが、以前の元気は取り戻せていません。 0.01μFの松下製フィルムキャパシタも10個ほど買ったので、 残りのペーパーキャパシタを全部交換してしまうことにしました。 電圧の高くないところならSprague社の小型アキシャルの手持ち品のほうが便利なので、 最大印加電圧を実測確認しながらひとつひとつ作業を進めていくと・・・あれっ? |
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周波数変換管6BE6の第2・第4グリッドの電圧は回路図では80Vとあるのに、ほとんどゼロです。
バイパスキャパシタのショート?
でも使われている0.01μFペーパーは正常な様子。
調べると、20kΩ/1Wのスクリーン抵抗が内部断線故障していました。
受信はできているのですから周波数変換動作はしていますが、これではコンバータ・ゲインが稼げないはずです。
古い配線を引きなおしつつ正常な20kΩに交換したら、受信機はとたんに元気を取り戻しました!
スプリアス的な発振音も消え、半島からの信号にSメータは振り切れんばかり。
MFJアンテナチューナ・プリアンプのスイッチでアンテナを切り離し、プリアンプを止め、
アッテネータを入れた状態でさえVOAが聞こえています。ダイヤルは一面の人工ノイズ。
これが本来の性能なんだ! おおむね増幅段1段程度のゲイン不足であるように思えていたので、 高周波増幅段と中間周波増幅段については何度かチェックをしていました。 が、受信できているからという理由で周波数変換段はプレート電圧だけしかチェックしていなかったのです。 冷静に考えれば、周波数変換段は単に周波数を変換するだけではなくて、コンバータ・ゲインをもつアンプなのです。 6BE6の各端子の電圧を測っていればすぐに気づいたはずだったのですが。 入手後しばらくの間は正常だった抵抗が劣化して断線したか、あるいは知らないうちに作業ミスで過大電流を流してしまったのでしょう。 そういえば・・・調子が悪くなる1週間くらい前に、ちょうどこの抵抗がついていた付近から一度だけパチッと火花が飛んだことがありました。 断線した抵抗を見ると、表面にごく小さなキズのようなものがあってペイントが剥れています。 もしかしたらここからスパークが起こって、その後内部酸化が進行していったのかもしれません。 2000-04-22 ミキサスクリーン抵抗オープン故障 部品交換 感度回復 |
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感度が復活したと喜んでいたら、周波数安定度が以前のように悪くなってしまいました。
AMでは気にならないものの、CWとSSBの受信周波数が短い周期でふらつき、受信音も濁っています。
オーディオ出力をWaveSpectraで観測してみると復調音のちょうど±100Hzにもサブピークが見られます。 放電安定管から電源供給を受けているBFOの発振周波数安定度を再確認してみました。 発振出力は周波数カウンタでチェックするかぎりじゅうぶん安定しています。 数分間にわたっての変動はせいぜい数Hzで、これが原因とは思えません。 にもかかわらず復調周波数は電源電圧変動の影響を依然として受けているようです。 ミキサーのスクリーン抵抗が断線していたときはこんなにふらつきませんでしたから、 ミキサーも電源を安定化する必要があるようです。 ミキサーのプレートおよびスクリーン電圧を0B2から取るように仮配線してみると確かに改善されます。 が、完全ではなく、高周波増幅管も安定化する必要があるようです。局発周波数の安定ばかりではなく、 極間容量の変動による周波数ずれを抑える必要があるのでしょう。 ここまでやるなら、108V管ではなくて0A2 150V放電安定管を使用すべきでしょう。 Radio Handbookに掲載されている高級自作受信機の場合、 0A2で得た150Vを音声出力を含む受信機のすべてのB電源として利用しています。 CRV-1/HBでは、高周波増幅・局部発振・周波数混合・BFOの4球を150Vに安定化し、 中間周波増幅と検波・低周波増幅は従来どおりとしましょう。 局発管は0B2の時に比べて直列抵抗を入れて約100Vに下げなければならない分安定度は低下してしまうでしょうが、 それでもノーマルよりはずっと良いはずです。 電源まわりの大変更を再度実施し、0B2を0A2に差し替え、電源を投入します。 結果は上々、スタートアップ後の温度上昇に伴うなだらかなドリフトや機械振動による変動は当然残っていますが、 短い周期での周波数のふらつきはほぼなくなりました。 放電安定管を使用しても電源周波数のリップルは結構残っており、 この電圧変動が受信周波数を50Hzで揺さぶっていたようです。 放電安定管の出力直後と局発のプレートに中古のSprague製15μFキャパシタを入れたところ、 受信音の濁りは気にならない程度に改善されました。 これでアマチュアバンドのワッチも楽しめます。 1960年のJA標準構成といえる受信機は、 当時多くの先輩方が取り組んだと聞く改善を盛り込んでここに復活しました。 2000-04-25 RF/MIX/OSC/BFOのB電源を150V安定化電源に変更 |
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小学生の頃、初歩のラジオの巻末のキットの広告を毎晩食い入るように見ていました。
受信機キットの最高峰は高一中二通信型受信機。
0-V-2キットを購入して完成させたとき、いつか高一中二に挑戦するぞと考えたものです。
結局計画は実現しませんでしたが、CRV-1/HBの修理はそれとたぶん同じ、あるいはそれ以上の楽しみを与えてくれました。
7ヶ月以上にわたってのんびりと修理をつづけている間に、
100pFのマイカとブロック電解をのぞくすべてのキャパシタといくつかの抵抗を交換し、半分以上の配線を引きなおしました。
ここまでやることがわかっていたのなら完全に分解してシャーシの再塗装からやり直してもよかったな、
とちょっと後悔しています。 きれいになったフロントパネルのバーニア・ダイヤルを回すと、 40年前の手作り機とはとても思えないほどの感度と音質で海外放送が飛び込んできます。 ウォームアップ後の安定度も良好で、 大型Sメータの動きを眺めながらゆっくりと英語ニュースやエキゾチックな音楽を楽しむことができます。 アパートベランダのビニール線アンテナでは人工ノイズがひどくてDXingとは行かないところが残念です。 マイクロプロセッサやスイッチング電源、インバータなど影も形もなかったはずの1960年の短波を聴いてみたいと思いますが・・・ ひょっとしたら家の前を走るスバル360やラビットやオート3輪からのイグニションノイズに腹を立て続ける日々だったのかな? 最後に、CRV-1に関する資料をご提供くださったJF1CBL 関OM、JA4AXC/1 中西OM、 貴重なアドバイスをくださったJA1VBN 花澤OM、 そして本機CRV-1/HBをご提供くださった富岡市 青木OMにお礼を申し上げます。 |
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中間周波数オフセット機能付きの周波数カウンタがずいぶん安く出回るようになりました。
受信中の周波数がデジタル表示で直読できるという無線家の夢だった機能
が、
いまやレストランでの食事1回ぶんほどの値段で手に入るようになりました。
一つ買って、そうだ、CRV-1/HBに取り付けてあげよう。 2021-12-29 6桁赤色LED周波数カウンタモジュール発注 1780円 届いたカウンタは見た目とても好感の持てる造りで、動作が楽しみ。 でも実際にはほかの機材の修理をすすめて、取り付け作業には着手せず。 |
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CRV-1/HBは、2008年05月に第1研究所から中央研究所に移転するときに引っ越し業者さんによってぷちぷちにくるまれたままの状態でした。
2000年に修理して以来電源を入れた記憶はありません。
23年ぶり、です。 実はこのぷちぷち包装を開けたのは、別の理由からでした。 次の修理待ちアイテムとして SBE SB-36 の修理のつづきをしようと思ったのですが、 本体と電源ユニットをつなぐ電源ケーブルが見当たらないのです。 探していないところも残り少なくなり、引っ越しの時に業者さんがCRV-1/HB本体と一緒にぷちぷち梱包したのかもしれない、 と思って開けたというわけ。 まあやっぱり、というか、SB-36のケーブルは入っていませんでした。 SB-36の修理は先送り。 じゃあ、これに周波数カウンタを取り付ける作業をしよう。 それにこの受信機、 定電圧放電管を組み込むためにオーディオ出力管を取り外したから、 スピーカは鳴らせなくなったままでした。 LM386か何かを組み込んで、 スピーカを鳴らせるようにしてあげようね。 で、フロントパネルについた養生テープをはがしたら、 ありゃりゃ、リペイントした塗装が一部剥がれてしまいました。 むう、どのみちフロントパネルには加工を入れるつもりだからいいんだけどさ。 2023-05-12 作業開始 |
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スイッチやポテンショ類のガリはありつつもCRV-1/HBは感度よく短波を受信しはじめました。
2000年に修理完了したときは絶好調と思ったのですが、
他の機械でいろいろ経験を積んだ後ではこの受信機にはまだ改良の余地があることにも気がつきました。 感度・選択度は良好ですが、 AMの復調音質には改善の余地が残っているように感じられます。 し、BFOをONにしてCWを聞くと短周期の周波数不安定は明らか。 2000年当時はこんなものだと思っていたのですが、 HA-225の安定性改善に成功 した後では、あきらかに不足に感じます。 2回目の復活、第2リーインカーネイションは、 デジタル周波数表示を得るだけでなくて、 ひとまわり高い受信性能を目指したいものです。 2023-05-12 初期受信テスト |
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局発の発振周波数に影響を与えずにカウンタつなげられるかなとちょっと心配でしたが、
このカウンタモジュール、入力がとても高感度。
入力ケーブルの先をワイヤで直結してループ状にし、
局発発振管ソケット周辺に軽く巻き付けただけでカウント動作を始めました。 取扱説明書は付属していなかったので中間周波数オフセットの設定がわかりませんんでしたが、 ボード上についている2つのタクトスイッチを操作するうちに判明。 うまく設定できました。 いい感じですねえ。 確実な接続方法を見つけることと、フロントパネルへの取り付け方法を考えること。 それに、このカウンタを動作させるDC12V電源をどう工面するかを考えなくてはいけませんね。 2023-05-13 周波数カウンタ動作開始 |
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BFOはちゃんと発振しているし、
調整位置センターできれいに中間周波数センターになっています。
しかしごく短い周期での周波数変動があるようす。 前回2000年に交換装着したハマーランド製チューニングキャパシタは、 ロータもステータもターミナルピンも見事に黒化していました。 銀が含まれた表面仕上げなのでしょうか。 アルコールで拭くぐらいでは全く変化がありません。 効きも動きもスムースなので気にしなければいいだけなんですけどね。 |
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オシロスコープ
のCH.1にBFO出力を、
CH.2にシグナルジェネレータでつくった455kHzを入れてX-Y表示させてみると、
シグナルジェネレータ側の周波数をどう微調してもきれいに止まった円を描くことはできません。
BFOの信号はAM検波段に来ている信号によってプルインされているようです。
AM検波段に信号が来ていない状態ならきれいな円が描けるので、
BFOの裸の特性としてはきれいな正弦波が出せているようです。 CRV-1/HBのBFOは双2極・3極複合管6AV6の3極管部を用いたプレート同調発振回路です。 6AV6は家庭用5球スーパーヘテロダインラジオの定番として使われている真空管。 普通ならシンプルな3極管を使えばいいものを、なぜ6AV6を使っているのでしょう。 おそらくは松下電器が完全自作の製作例を用意するときに、 小さな町のどんな電器店でも必ず売っている標準5球スーパーの真空管を選定したのだと思います。 オリジナルの回路ではAM検波段信号によるプルインがあってそれを低減したいというのであれば、 6AV6の代わりに双3極管を使って、 プレート発振のあとにカソードフォロワを入れればいいでしょう。 6AV6の3極管部に特性が近い双3極管となると、12AX7が適当に思えます。 12AX7のヒータはセンターコネクションがあって6V点火が可能です。 12AX7はふたつの3極管セクションの間にシールドが入っていませんが、 BFO発振とカソードフォロワであればシールドは必要ないように思われます。 2023-05-15 BFO発振安定性テスト |
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現状AM受信では問題はあまりありませんが、
局発の発振周波数の短期間ふらつきはかなり大きいです。
FT8の復調は全くできません。
1999年に修理したときは結構いいセンでいったと思ったんですが。
Lafayette HA-225
/
Lafayette HE-80 / Trio JR-60
と同じように、局発バッファを入れてみたらどうでしょうか。
そうするのであれば、
6BE6のところに6AQ8双3極管を使えば大改造とはならずに行けそうです。 CRV-1/HBでは局発と混合はそれぞれ6BE6が使われています。 その必要がないのに局発管に6BE6を使っているというのは、 これもまた小さな町の電器店でも必ず売っている球を選んだ、 のかもしれません。 コイルパックが6BE6の自励変換を前提に設計されていたから、 なのかもしれませんれど。 |
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周波数変動は発振管の不良が原因かもと思い、
6BE6を別の比較的新しい球に交換してみましたが、
周波数変動の傾向に変化はありません。 周波数カウンタ取り出しは、混合管6BE6の第1グリッドから100pFを介して取り出すことにしました。 カウンタは安定して動作しています。 ここでひとつ発見。 1999年の整備時に、バンドBとバンドCはハイサイドインジェクションになっていましたが、 バンドAはローサイドインジェクションに調整されていました。 当時意図してそのように合わせたつもりはありません。 そのとき気がつかなかったんだなあ。 調整するうち、結果としてコイルパックの調整を大きく狂わせてしまいました。 まあいいや、そのうちじっくり取り組もう。 2023-05-17 局発周波数不安定 調査開始 |
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この受信機の入手当時に使われていたニチコンのオイルキャパシタはどれもリーク故障を示していて交換したのですが、
一つだけ残っていました。
BFOのプレートバイパスです。
これを交換したら、局発周波数が「安定することがある」ようになりました。
これは故障しても大きな影響はないだろうと当時は考えていたし、
いまこのキャパシタをテストしてもDC120V印加でもリーク電流はほとんどなく、
このキャパシタのせいではないと思うんですけれど。 2023-05-19 BFOプレートバイパスキャパシタ交換 局発周波数安定性が改善した気がする |
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IF GAINを落としていくと、途中でSSB復調音質が悪化することがわかりました。
フルゲイン時、また大きくゲインを落としたところではきれいに復調できています。
これはAGCを切った時も発生するので、AGCのフィードバック異常によるものではありません。 2023-05-20 IF GAINを落としていくとSSB復調品質が低下するところがある |
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バンドCで局発がひどいオシレータプルインを示していることに気がつきました。
右の動画で、受信機のダイヤルには手を触れていません。
強い入力信号を与えると、その周波数に引っ張られて局部発振器の周波数が10kHz近くも変化しています。
以前からこうだったのでしょうか、それとも カウンタ周波数取り出しが影響しているのかもしれません。 2023-05-29 バンドCで強いプルインが発生している |
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0A2放電安定管出力電圧がノコギリ状に変動していることに気がつきました。
発生条件を調べてみると、
AGC OFF時 / IF GAINを絞った時 / RF入力信号レベルが低いときにはっきりと発生します。
これはAGC制御が深くないときに発生する、
あるいは受信機がフルゲインで動作しているときに発生する、ということもできます。 受信機がフルゲインで動作しているときは高周波増幅管と中間周波増幅間のプレート電流が最大になります。 このため電圧安定化回路のシリーズドロップ抵抗に流れる電流が大きく、 だから電圧降下が大きく、放電安定管のアノード電圧が落ちます。 この結果定電圧放電管が安定に動作するための最低放電電流が確保できなくなり、 電圧安定効果が失われるのでしょう。 0A2の管内グロー放電の様子を見ると、心なしかちらついているように見えます。 最低放電電流が確保できなくなってグロー放電が弱まるとB電源ライン電圧は上昇し、 再び放電が始まります。 これを繰り返しているというわけです。 バンドCにすると局発管のプレート電流が (なぜか) 倍以上流れるためにこの傾向はとても顕著になり、 常時 異常動作が起きるようになるというわけです。 そしてこの異常動作が発生すると、局発管へのプレート供給電圧が変化するために、 発振周波数が変化するというわけです。 入力信号強度で局発周波数が変化するという現象の説明がつきました。 さあ、そうなると対策は: 1) シリーズドロップ抵抗を現行の3kΩから2kΩに変更する 2) 高周波増幅管のB電源は安定化150V系から取るのをやめる のいずれか、あるいは両方同時に実施、ということでしょう。 これはつまり、23年前の2000年04月25日に自分が行った改造が配慮不足・実証不足だったということです。 強い信号を受信しているとき、あるいはバックグラウンドノイズレベルが高いときは問題が顕在化しないから、 ノイズの多い第1研究所の当時では気がつかなかったのかもしれません。 2023-05-30 0A2放電安定管出力電圧がノコギリ状に変動していることを発見 |
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150V定電圧安定化回路シリーズドロップ抵抗3kΩを1.8kΩセメント抵抗に交換し、
B電源のノコギリ波形異常は消えました。   気が付いたところで局発管ソケットのプレート端子のイモはんだを修正し、 また配線取り回しを修正して不要フィードバック結合を低減する努力を払いました。 結果として受信周波数ははっきりと改善しましたが、 しかしバンドCのオシレータプルインはひきつづき明確です。 2023-05-31 0A2放電安定管出力電圧のノコギリ状問題は解決 / 周波数安定性向上 |
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AGC ONのときに入力信号あり/なしで局発周波数が4kHzも変化してしまう・・・ AGC OFFでは安定しているのに・・・
これはどういった理由なのでしょう? 真空管のグリッドエミッションあるいはほかの何かの故障・劣化の可能性を考えて、 もういちど局発管6BE6を別の球に交換しても状況変わらず。 混合管6BE6を差し替えたり、高周波増幅管6BA6を差し替えたりしても変化なし。 原因の可能性に思い当たらず、手詰まり状態です。 Hammerlund HQ-170 をいじっているとき、 第3周波数変換段に周波数不安定があって、この段へのAGC印加をやめたら周波数が安定したことを思い出しました。 CRV-1/HBのミキサ6BE6はAGC制御は受けていませんが、 高周波増幅管6BA6のコントロールグリッドへは1MΩの抵抗を介してAGC電圧が印加されており、 AGC制御を受けています。 そこでこの1MΩをAGCラインから切り離してグラウンドに落としてみました。 すると・・・AGC電圧の変化による周波数変動が止まりました!! 強信号入力時とノイズのみ時での局発周波数変動は、 皆無ではありませんが、100Hz程度に収まっています。 2023-06-04 高周波増幅段にAGCをかけるのをやめると周波数は安定する |
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高周波増幅段を常時フルゲイン化するのは (どういう機序なのかは不明なままですが)
局発周波数変動を抑えるのに効果があるとして、
中間周波段だけのAGC制御ではゲインを抑えきれず強力な信号で中間周波増幅第2段の飽和の可能性もあります。
この方法で別の問題が出ないか、しばらく使ってみましょう。
ここのところ毎晩強力に受信できているラジオタイランドを聞く限り大丈夫そうですが、
ちょっと復調音が歪っぽくなった気もします。
モジュレーションライズが起きているのかもしれません。
いっぽうで高周波増幅段のゲインを高くしておけば、
ミキサへの入力レベルが高まるので、
コンバータノイズ抑制の効果が期待できます。   高周波増幅段を固定ゲインにしてもわずかに局発周波数は変化します。 近傍に強信号が入ってAGCが下がると局発周波数は100Hzほど高まります。 でもこれは発振回路のプルインとは異なる原因であるように見えます。 仮配線をいくつか整理し、ひきつづき調査を進めます。 混合管6BE6のスクリーングリッドドロップは、 本機入手時オリジナルの20kΩが使われています。 これはデータシートの製作例回路と同じです。 2000年修理時はこの20kΩの元は安定化150Vから取っていましたが、 現時点ではB+から取っています。 高周波増幅管6BA6のスクリーングリッド電圧の与え方で局発周波数変動の程度は変わるように見えます。 スクリーングリッド電圧低い方が局発周波数の変動はほんのすこし大きくなります。 2023-06-05 6BA6スクリーングリッド電圧をいじる |
 
混合管6BE6周りをいじっていて、
CRV-1/HBと
Lafayerre HA-225
では
6BE6の第3グリッドの使い方に違いがあることに気づきました。
CRV-1/HBでは6BE6の第3グリッドはミキサのRF入力であり、
コイルパックのRFセクション同調回路から直結になっています。
いっぽう
Lafayette HA-225 (トリオJR-60)
ではRF入力は同じ6BE6第3グリッドですが、
250pFを介して入力されており、
第3グリッドは1MΩでグリッドリークされています。
はてこの違いは何だろう、どちらにどのようなメリットがあるのだろう。   長井一夫OMが書かれた「クリコン付オールバンド受信機 TRIO JR-60」を読みますと、
過入力時の真空管保護用として第3グリッドに1Mと250pFが入れてあり、
1Mのコールド・エンド側をAVC に接続すれば6BE6 にもAVC がかかりますが (略)
とあります。 過大入力からの保護か・・・はて、そうなのかな。   ともかく現状での事実として、 Lafayette HJA-225の6BE6ミキサ回路はいい感じで安定動作していて、 ナショナルCRV-1の回路は今一つ。 なので、第3グリッド接続をトリオ流に改造してみました。 けれど残念、 何の変化も感じられません。 2023-06-08 6BE6ミキサ 第3グリッド接続をトリオ方式に変更 変化なし |
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高周波増幅管にAGCを掛けると局発周波数が変動する、
というのも不思議ですが、
アンテナをつなぐと局発周波数が20kHzも変動する、というのも不思議です。
なにか理屈があるはずなのですが、
まだまだ経験の浅い私には何かに騙されているかのような気がします。
6BE6を3極管接続して使われているCRV-1の局部周波数発振器は、ハートレー発振回路です。
ハートレー発振回路は安定度が良くない、という主張も読みますが、
これはハートレーは発振グリッドのストレー容量に敏感だから、
とかなのでしょうか。 「アンテナつなぐと局発周波数が20kHzも動く」状況は、 高周波増幅管6BA6を抜いても状況変わらず、 混合管6BE6を抜いても状況変わらず、 AGC OFFでも状況変わらず。 アンテナコネクタを差し込んだり抜いたりして周波数が動くとき、 安定化150Vの電源電圧は変化していません。 にもかかわらず、そこから取っている局発管のプレート電圧は1Vほど変わります。 なので局発管の発振の状態が変わっているのは確実と思うのですが。 「高周波増幅管にAGCを掛けると局発周波数が変動する」のと根はいっしょな気もします。 この現象は混合管でのプルインではないことは確認しました。 だから、カソードフォロワを追加しても効果はないだろうと思ってます。 2023-06-07 アンテナ負荷による周波数変動の原因調査 |
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RI2の改造内容ではDC12V生成用電源トランスをどこに取り付けるかが未確定で、
でもBFOの近くに取り付けようと思っています。
いったん電源トランスを取り付けたらBFOに手を入れずらくなるので、
まずはBFOの改造から着手しましょう。
発振周波数がIF信号の影響を受けて変動してしまうのを低減するために、
カソードフォロワによるバッファを追加します。 6AV6の3極管接続をやめて双3極管に変更するわけですが、 真空管は12AX7を使います。 12AX7には2つの3極管ユニットの間にシールドプレートが入っていませんが、 455kHzで動作するBFO発振管ならシールドプレートはなくても大丈夫でしょう。 12AX7のヒータ電圧は12ボルトですが、ヒータにセンタータップがあって、 6.3Vで点火することができます。 まずは現状配線の写真を何枚か撮影しておいて、6AV6を撤去。 2023-06-25 BFO 6AV6回路撤去 |
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第3研究所勤務・中央研究所落雷誘導被害対応・RF-877修理作業・福井の峠越えツアーを挟んでCRV-1/HB作業の手が空いてしまいましたが、
2週間の間をおいて新型BFOの実装に着手。
ステップドリルを使って、MT7ピンソケット用のシャシー穴をMT9ピンソケット用に穴径拡大し、
9ピンソケットは新古品在庫を使用。
いままでと同様、BFO発振管のプレート電源とカソードフォロワのプレート電源は安定化したDC150Vから取ります。 まずは12AX7Aの片側を使って、いままでと同様の3極管結線でBFOを配線。 回路はすぐに安定して発振しはじめました。 発振管の出力はきれいな正弦波で、 発振周波数は6AV6使用時よりも良好・安定しています。 松下電器BFO-1発振コイルはわずかな再調整だけで455kHzセンターに調整できました。 球の違いなのか、配線しなおしでイモはんだが解消したからなのかは不明。 1分間の周波数変動は±0.3Hz程度。 ただしIF信号へのプルインは従来同様に起きています。 2023-07-13 12AX7A片側 BFO実装 |
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ついで12AX7Aのもうひとつの3極管を使ってカソードフォロワを実装。
一発で動作し始めました。 カソードフォロワを通した後では波形はやや正弦波から外れています。 カソードフォロワなんて波形そのままを増幅度1で出力するだけだと思っていたのですが、 正確な増幅をさせたければいろいろ考えるべきことがあるのでしょうね。 今回はひとまずこのままでいきます。 BFOとしての性能改善への効果は明らか。 プルインはなくなり、 IF信号の信号レベルや中心周波数によらずにBFO周波数は安定しています。 ただし水晶発振器ではありませんから、発振周波数は0.1Hzのオーダーでふらついてしまいますが。 2023-07-14 12AX7 カソードフォロワ追加 2023-07-14 新型BFO実装完了 |
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ふと気づきました。何かおかしい。復調音が歪んでいるし、
信号が強いときにはっきりわかる。
でもIF GAINを下げると音の歪はなくなり、普通に聞くことができます。
なんだかAGCが効いていないような感じです。 調べてみると、強い信号を聞いているときもAGC電圧が-1Vとちょっとしか下がっていません。 ボリュームコントロールポテンショのホット側電圧、 つまりAM検波出力をオシロで見てみると、-3Vあたりで頭打ちになっています。 受信信号が強力でAM検波出力電圧が下がるとこの頭打ちのために顕著な歪が発生し、 さらに信号が強まると-3Vとちょっとで連続的に飽和状態になるために音量が下がり、 最終的には無音になってしまいます。 2023-07-05 AM復調音質異常に気がつく |
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似た症状は
Lafayette HE-80
のときにありました。
最終の中間周波トランスの調整が大きくずれていたため、
AM検波出力が弱く、AGC電圧がたいして発生できないために全段の感度を落とすことができず、
中間周波段で信号が飽和していました。 でもこのCRV-1/HBの場合は中間周波数トランスは再調整済みですからその可能性は低く、 実際中間周波第2増幅管6BA6のプレート電圧を観察しても、飽和が起きているようには見えません。 プレート電圧は±150Vもスイングしています。 なんかすごいな。 原因を切りわけるためにBFO注入結線を切り離し、 AGC回路も切り離しました。 けれど状況は変わらず。 ノイズリミッタが意図せず動作しちゃっているのかな? でもノイズリミッタスイッチはOFFのままだし、 ノイズリミッタスイッチがONまま固着してしまったということもありませんでした。 AM検波回路の50kΩ抵抗は今でも50kΩを示していて故障していないし。 6AV6のソケット周りで汚れなどでリークが起きている? いやいや、そんなこともありませんでした。 |
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残るはこれくらいしかないぞ・・・
再調整済みだからその可能性はなかろうと思っていた最終中間周波数トランスの調整ネジを回してみると、
あらら!
AM検波出力がぐいっと大きくなりました。
トランスの上側ネジ・下側ネジを調整すると、
実に出力が数倍に。
ポテンショメータホット側電圧は-15V以下までも下がります。
なんだ、やっぱりここだったんじゃん! AGC回路・BFO回路の配線を復帰。 調子よく動作しています。 これは中間周波トランスをしっかり再調整しないとね。 局発管を抜き、混合管の第3グリッドに0.001uFキャパシタを介してシグナルジェネレータで455kHzを注入。 最終の中間周波トランスの上側・下側を再度調整。 AGC電圧を見る限りさらに数倍感度アップ。 2番目のIFTも調整後はわずかに感度アップ。 1番目のIFTはほぼ正しく調整されていました。 結局何だったんだろうね。 今回作業している途中でどういうわけか最終IFTの調整点が狂ったのか、 それとも1999年の修理の時から不完全さがあったのにいままで気がつかずにいただけだったのか。 ともかくも今は快調。 超強力な信号を模して10mVp-pのRF信号を入れても破綻することなくきれいに復調できていますし、 小信号時の感度も良好。 異常発振等の兆候もありません。 問題は解決できたとして良いでしょう。 なおRF=10mVp-pのときAGC電圧は-11Vほどで、 このとき2nd IFの6BA6のプレート電圧は45Vp-pほどスイングしています。 問題が発生していた時は±150V つまり300Vp-pもスイングしていましたから、 それは明らかな異常 -オーバードライブ状態- だったのですね。 2023-07-17 強信号復調不良問題 解決 / 中間周波トランス再調整 |
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0A2定電圧放電管は電源回路近くに取り付けるべきですが、
はたしてどのように取り付けるべきか。
いろいろ考えて、金属板でサブシャシーを作ることにしました。
相変わらずこの手の工作がヘタクソなワタクシですが、
MT7ソケット2つとスペーサを取り付けて、どうにかできたぞ。 2023-07-19 整流管 + 放電管サブシャーシ製作 |
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現状の配線と素子定数をノートに書き留め、写真を何枚も取ったのちに、電源回路を全撤去。
新品ラグ板を3つ使い、基本的に今まで使ってきた部品を使って新規配線することにします。 |
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0A2定電圧放電管追加のためのサブシャーシ、
いい感じの高校生の手作り感で取りつきました。 |
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電源回路再配線完了。
ほぼトラブルなく、今まで通りの動作で動き始めました。 電源回路はいままでの乱雑な暫定仮配策に比べればすっきりしましたが、 電源トランスの周囲に小型のDC12V用電源トランスを取り付けるにはやはりちょっと無理があります。 DC12Vトランスは周波数カウンタと同じサブシャシーに取り付けるようかなあ。 もともと6AR5出力管がついていて、改造して0A2を取り付けていた真空管ソケットはこれで空き地になりました。 これで、ここに6BN6 ゲーテッドビーム管を取り付けることができます。 2023-07-21 電源回路全撤去 + 再組み立て |
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CRV-1/HBのオリジナル回路ではSメータはAM検波回路の検波電流を読む方式でしたが、
2000年04月の修理時にはオリジナルの100μA電流計がコイル断線故障していたため、
手持ちの1mA電流計を使うべくSメータ回路をナショナルのキット版CRV-1と同等の回路に改造しました。
高周波増幅管6BA6にはAGCがかけられているので、
AGC電圧に応じて6BA6のプレート電流が変化し、
これに比例してカソード電圧が変化しますから、
これをメータで読もう、という回路です。
しかしいま高周波増幅管にAGCをかけるのをやめてしまったので、
この方式ではSメータは動作しません。 AGC制御を受ける中間周波増幅管で同じような構成にしてやればいいのですが、 その場合はIF GAINコントロールでゲインを落とすとSメータのゼロ点が上がってくる動きになります。 この動きは私としては不自然に感じられてしまい、好みではありません。 AM検波段とは別にSメータ専用の検波回路を用意して、 メータアンプを入れて振らせるようかなあ。 まずは中間周波第2増幅出力から信号を取り出す方法の予備実験を行いました。 2023-07-22 2nd IFから信号を取り出す方法の予備実験 |
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デジタル周波数カウンタを取り付けてやろう、
が今回のCRV-1/HB Reincarnation 2作業の開始動機だったわけですしそれは変わっていないのですが、
周波数カウンタ用DC12V電源回路やSメータ回路追加なども考慮し、
どんな感じにマウントするかの検討。 シャシー内は原則として1960年代の技術での改造にとどめ、 周波数カウンタなどソリッドステート回路はフロントパネル裏にサブシャシーを設けてそこに配置することにしましょう。 本機をサービスポジションにしているときはフロントパネルの表示器はどれも良く見えませんから、 サービス時はサブシャシーをまるっと取り外してサービスポジション用に暫定配置換えできるメインテナンス性も持たせることにします。 2023-07-23 ディスプレイサブシャシー取付コンセプト検討 |
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途中で思い当たったのですが、いつ買ったのかも全く覚えていない、
だけどいつか何かに組み込んでやろうと思っていた谷岡電子のLEDバーグラフVUメータ、
これを周波数カウンタウインドゥに一緒に組み込んでやろう。
このVUメータは1チャネルしかないからステレオ機器には使えないし、
RI2には賑やかしが欲しいもんね。 レイアウトを考えると、 LEDアレイをいったん取り外して、 90度曲げて取り付けなおす作業が望まれます。 できるかな。 2023-07-24 谷岡電子JVU-0156組み込み検討 |
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SメータはやはりAGC電圧を取り出してオペアンプで1mA電流計を駆動することにしました。
オペアンプの非反転増幅回路を使えば、入力インピーダンスが高いからAGCラインへの負担も小さくて済むでしょう。
でもねえ、AGC電圧は負だから、メータアンプも負電源で動作させるようだねえ。
ラボに結構な数在庫している12V小型電源トランスを使うつもりでしたが、
これだとプラス用とマイナス用とで電源トランスを2個乗せるようかなあ。 しばらく考えていて、うん、単相の12V電源トランスひとつだけでも正負12ボルトの電源装置作れるよね。 ブレッドボードで試作して、行けそうだ。 ただしマイナス12ボルト用の3端子レギュレータの在庫がありません。 あれ、2つ3つくらいは在庫があったと思ったんだけれどね。 それではゲンバの知恵・・・ 3端子レギュレータのコモン端子にツェナダイオードを入れて電圧をかさ上げする方法をとろう。 精密な安定度はいらないから、ツェナダイオードの代わりにLEDを使えばいいや。 在庫の黄色LEDふたつを使って、マイナス11.7V程度の安定化電源ができました。 今後何か思い立ってさらに追加するかもしれないことを考えて、 ちょっと大きめのユニバーサル基板を用意し、 プラスマイナス12ボルトの安定化電源回路を実装しました。 この電源装置でデジタル周波数カウンタを動作させます。 サブシャシーの加工ができるまでの暫定、 かつSメータ回路試作に便利なようにミニブレッドボードつき実験用バラックを用意しました。 2023-07-25 ディスプレイサブシャシー電源回路実装 バラック仮配策 |
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ブレッドボードにTL081 シングルオペアンプICを差し込んで、
非反転増幅回路を結線。
非反転増幅回路は入力インピーダンスが高いので、
AGC電圧を入力にするのに好適。 しかしAGC電圧は無信号時に-0.2V程度、強信号時に-は10V以下にも落ちます。 オペアンプ回路の電源電圧は-11.5V程度なので、 非常に強力な信号が入ってきたときはオペアンプ出力が飽和してしまいます。 アンプの電圧ゲインは1倍どころかずっと小さくても良いのですが、 非反転増幅回路のゲインはどんなに下げても1倍。 でも入力電圧を抵抗で分圧したのではせっかくの高インピーダンスアンプの価値が下がるなあ。 とにかく配線して、 オペアンプの出力に サンワU-70Dアナログテスタ をつないで、動作の様子を見ます。 テスタのメータはダンピングが良く効いていて素早くは振れませんので、 Sメータとして使うにはいささかのんびりしすぎ。 でもこの回路をAGCラインにつないだことによるAGC動作への影響はないので、 いい感じです。 2023-07-26 Sメータアンプ試作 |
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CRV-1/HBのフロントパネルからSメータ - 目盛盤は100μA計ですが中身は1mA電流計 - を取り外し、
新作メーターアンプにつなぎます。
在庫のトリマポテンショと直列抵抗をいろいろ試し、
オフセットゼロとフルスケール調整がうまくいくように選定。
トリマは故障廃棄したビデオデッキから取り外した中古品だったりします。
夢と時空の部屋は一度は役割を終えたモノを新しく輪廻させることに意義を見出しますからね、
中古品があるなら活用します。
もっとも最近は抵抗やキャパシタ類は新品を使いますけれど。 2023-07-27 CRV-1/HB Sメータを振らせてみる |
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使っているSメータはダンピングがやや弱くて、
強力な局に合わせようとするときは針がすこしオーバーシュートしてしまいます。
この対策も兼ねて、AGCにファーストアタック特性を持たせることを試します。
AGC抵抗は2MΩですが、これに並列に小信号シリコンダイオードを入れて、
強力な信号が入った時のAGCの立ち上がり (電圧は下がるので立下りですかね) が素早くできるようにしてみました。 結果、Sメータ指針のオーバーシュートは問題にならないほどに軽減されたのですが、 AMの復調音質がわずかに劣化してしまうことがわかりました。 アナウンサーのトークの各シラブル先頭のコンソナントがトゲトゲしくなる感じ。 ここのところ毎晩ラジオタイランドを聴いているので、 わずかな違いが判ります。 ラジオタイランドのアナウンサーの小島秀美さんの声が心地よく聞けないので、 ファーストアタック作戦は中止。 2023-07-28 AGCのファーストアタックを試す |
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オペアンプ電源電圧幅よりも入力電圧変化幅が大きくて強信号時にオペアンプ動作が飽和してしまう件ですが、
これは逆に、ちょうどいい具合で強信号時のSメータ振り切れ防止リミッタとして働くことがわかりました。
全バンド内でとぴ抜けて強力な中国や北朝鮮の2〜3局がSメータを100%フルスケールまで振り、
ほかの強力な局は70%〜85%程度の振りになります。
電源投入時にも妙な針の振れはなくて、動作はとてもいい感じ。
これでOKとして、ユニバーサル基板の片隅にメータアンプを実装しました。 メータのオーバーシュート対策として、 メータ両端に220μFの電解キャパシタを入れました。 これで針は落ち着いて動くようになりました。 2023-07-29 Sメータアンプを基板に実装 |
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はんだ吸い取りウイッグを使って谷岡電子JVU-0156 VUメータからLEDアレイを取り外すことができました。
90度曲げて取り付けなおし、
CRV-1/HB実機で動作テスト。
うーん、LED表示の動きと聴感が一致しないなあ。 シグナルジェネレータ外部AM変調機能を使って流しているテスト音源は BaguettesEnsemble さんの Toho Jazz Connection Vol.10 からトラック #3 Princess holiday。 このVUメータキットに使われているのはRohm BA682A。 データシートでは応答速度設定キャパシタは10μFですが、 JVU-0156実機には4.7μFが取り付けられています。 これが小さすぎてLEDの応答が速すぎ、 聴感と会わなくなっているのでしょう。 これを22uFに交換したところ、やや遅いかなという速度になりました。 BA682Aは-20dB〜+8dBを表示する仕様なのですがこれだと表示レンジが狭すぎる感じがしますね。 小さい音で全消灯してしまいます。 しかしこのICでは表示レンジを調整する機能はありません。 2023-07-29 オーディオレベルメータ取付テスト |
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デジタル周波数カウンタとLEDバーグラフVUメータの取り付け方法検討を進めます。
アルミ板をサブシャシーとして使い部品を取り付けて、
L字ブラケットでフロントパネル裏側に取り付けよう。 松下のキット版CRV-1はアイボリーのキャビネットにグレーグリーンのつまみでした。 この色使いは1950年代終盤から1960年代前半に流行したカラーリングスキームですね。 CRV-1/HB RI1ではその意味もあってフロントパネルを明るいアイボリーに塗ったわけですが、 今度はグレー系のカラーにしよう。 すこしブルーが入った、 SBE SB-34 みたいなカラーがいいかな。 2023-07-29 ディスプレイサブユニット取付構造検討 |
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CADくらい使ったらどうだ。
けど定規とえんぴつ消しゴムで図面を描くの、楽しいね。
ティル
の新しいトップケース取り付けに必要な小部品を買うために近くのホームセンターに行ったついでに
L字アングルを買ってきました。
けどもうちょっと小ぶりのものでもいいかな。 2023-07-30 ディスプレイサブユニットPCB取付寸法検討 |
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非線形境界検波器を組み込む前に、6BN6を取り付けようと思っている箇所の周辺を整理しておきましょう。
本機のノイズリミッタはとてもシンプルなタイプで、
もともとほとんど効果がなかったし、
自動車のスパークプラグノイズ妨害がほとんどなくなった今では無用な回路です。
なのでこの回路を撤去することにしました。
ノイズリミッタ配線のためにAM検波の出力信号は配線経路が長かったので、
ノイズリミッタ撤去とともに最適化。 あわせ、初段低周波増幅プレート抵抗は250kΩと50kΩの直列が使われていたところを、 330kΩ金皮抵抗1本に変更しました。 2023-08-01 ノイズリミッタ撤去 AM検波出力配線まわり一部引き直し |
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2023-08-03 IF取り出し方法検討 ダイオードプレートから引き出す |
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第2輪廻のハイライトはプロダクト検波組み込み。
CRV-1/HBは
CRV-1
や
Lafayette HA-230 (トリオ 9R-59)
と同じで、
CWを受信するためにはBFOをONにし、
中間周波数キャリアをAM検波ダイオードに注入して行います。
この方式は
1939年設計の
Hallicrafters S-20R
と同じで、
回路技術的には1920年代終盤のものだし、
1935年ころのボーイズラジオとも変わりません。
戦争の影響もあり、
1960年に日本の青年が手にすることができるのは25年遅れのテクノロジーだった、
ということです。 この方式は性能的には不足ながらCWもSSBも受信できます。 しかしAM検波段にキャリアを注入するため無信号時でもAGC電圧が発生してしまい受信機の感度が落ちますから、 AGCを切る必要があります。 また強力な信号の場合はキャリア注入量が不足となって正しく復調できないので、 CW/SSB受信時にはAFゲイン (ボリューム) を大きく上げておき、 RFゲインまたはIFゲインを適切に絞って受信します。 つまり信号の強度に応じてせわしなくIF GAINを調整しなくてはなりません。 またAGCを切るということは、Sメータも使えなくなるということになります。 この時代 日本のノービスが手にできる受信機はそういうものだったわけですが、 CRV-1/HBの第2輪廻では当時の青年の夢を実現してみようと思います。 つまり、 のを目標とします。 |
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これは要するにプロダクト検波回路を追加しよう、ということです。
CRV-1/HBは本来音声出力管6AR5が取りつくべき部分が今は空いています。
第1輪廻ではそこに0A2定電圧放電管を取り付けていましたが、
今回はそこを空けるためにサブシャシーを追加し、0A2を整流管の隣に移動してあります。 真空管を1本追加してプロダクト検波回路とするには、 ペンタグリッド管6BE6を使ったもの、あるいは双3極管を使ったコリンズ方式のプロダクト検波がありますが、 今回ここはかなりスペシャルな回路 - 非線形境界検波器 - を使います。 この呼称は私が名付けたもので (お気づきでしたよね?)、 もうすこし一般的に呼ぶなら「ゲーテッドビーム管によるプロダクト検波回路」 ということになるでしょう。 この回路の詳細はこちらをご覧ください。 汎用試作プラットフォームの上のユニバーサル基板で、 ゲーテッドビーム管6BN6はプロダクト検波器として十分な性能を発揮しています。 今回の作業は、CBA-1000の試作回路をCRV-1/HBに移植する作業、 ということになります。 |
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CBA-1000試作ユーバーサル基板の回路と素子定数を再確認しながら配線図を用意し、
組み込み作業を開始しました。
ステップドリルを使ってMT7ピン真空管用の取付穴をMT9ピン用に拡大し、
ひとつラグ板を追加する形で配線作業。 2023-08-05 非線形境界検波器組み込み開始 |
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あれほど苦労した(そして未だ完治していない)
Lafayette HA-225 (トリオJR-60)
のBFOの顕著なIF飛び込み現象ですが、
現状のCRV-1/HBではほとんど起きていません。
実際にラジオタイランドを受信して試すと、
ごくわずかにBFOのビートが混じっていることがわかるけれど、
センター(455kHz)にセットしておけば気がつかないレベルです。 この差はどこから来ているのでしょう? CRV-1/HBではBFO発振管は中間周波段から遠く離して配置しているのが効いているのでしょうか? HA-225ではBFO発振管は6AQ8で初段低周波増幅と同一エンベロープに入っているのが悪さをしているのでしょうか? 2023-08-06 CRV-1/HBではBFO信号の飛び込みはさほど強くない |
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仮配索ながらも非線形境界検波器が動作開始したのでFAXを受信してみました。
画質はひどいなあ・・・ まだ性能は全然出てません。 非線形境界検波器のテストを続けている間もAMはきちんと受信できるようにしておきたいので、 今夜は非線形境界検波器を動作させたままでAM受信に影響を与えないかの確認。 100kΩ固定+500kΩVRでのIF取り出しでAC負荷が増えるために音質はわずか劣化。 AGC電圧には影響なし。 でもAM受信時にBFOの混入はわずかにあります。 やはりAM受信時にはBFOの発振を止める必要がありますね。 それにしても今夜のラジオタイランドは強かった! 非線形境界検波器、 6BN6ゲーテッドビーム管の加速電極電圧が期待よりも高いです。 これは加速器電流がほとんど流れていないことを意味しています。 ではそれは何故なんだろう? うーん・・・ 2023-08-07 非線形境界検波器でFAX初受信 |
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プロダクト検波回路はまだまともに働いていない状態ですが、
毎晩のラジオタイランドを聞くたびにはんだ付けしなおすのは面倒なので、
AM検波回路出力とプロダクト検波回路出力を手軽に切り替えられるように、
トグルスイッチをひとつ使って、暫定のモードセレクタスイッチとしましょう。 CRV-1/HBのAF GAINポテンショメータは500kΩ品で、これは2極管検波回路の負荷抵抗も兼ねています。 SSB/CWを受信するときに2極管検波回路からAF GAINポテンショメータを切り離すと、 AGC電圧を発生することもできなくなります。 そこでAM検波回路には470kΩの固定抵抗を追加してこれを2極管検波回路の負荷抵抗として、 AM受信時の音声信号はそこから直流阻止キャパシタを介して取り出し、 モードセレクタスイッチを介してAF GAINポテンショメータのホット側につなぐことにします。 SSB受信時は6BN6プロダクト検波回路のプレートからキャパシタを介して音声信号を取り出し、 モードセレクタスイッチを介してAF GAINポテンショメータにつなぎます。 2023-08-08 AM/SSB音声切り替えスイッチ仮配策 ひきつづき作業。 暫定的に、オリジナルのMODEスイッチはBFO B電圧ON-OFFのみにして、AGCは常時有効に変更しました。 Sメータアンプ用AGC電圧取り出しはみのむしクリップを使っていたところツイステッドワイヤで接続し直し。 ただしこれは受信機内で発振気味になってしまいました。 ラジオはむずかしいねえ。 2023-08-09 ひきつづき作業 |
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性能はまだまともに出ていませんがとりあえず非線形境界検波器の実装ができたので、
気分を変えてサブシャシーの製作の続きをします。
シャシー寸法と、
デジタル周波数カウンタ・谷岡電子LEDバーグラフVUメータ・電源+Sメータアンプ基板の搭載寸法を検討します。 2023-08-10 ディスプレイサブシャシー寸法設計 |
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おおむね狙った通りにできました。
私は子供のころからこういう工作がほんと苦手なのですが、
還暦すぎての手習い、楽しいですね。
すこしずつは上手になってきているかな。 電源+Sメータアンプボードには後で何かに使えるように動作状態表示用LEDを4つ取り付けました。 いまのところ電源ONで4つとも全灯するようにしてあります。 もともとついていたパイロットランプが場所的に使えなくなるので、その代わりです。 ではなにも4つも光らせなくっても・・・とも思いますが、まあ、賑やかしですよ。 本機は基本的に1960年のモデルですからね、 ちょっと豪華に見せるための意味のない賑やかしというのがあってもいいでしょ? 正式に取り付けるときはSメータは以前からの取付穴を使いますが、 もうしばらくサービスポジションで整備改良作業をつづけますので、 Sメータとサブシャシーをアングルブラケットで仮固定しました。 LEDディスプレイの前にはダイソーで売っていた透明グレーのアクリル板を置いてコントラストを増します。 このアクリル板は、フロントパネル開口部の切り口の仕上げの悪さを隠す意味もあります。 もう少し濃いグレーでもいいかなあ。 2023-08-12 ディスプレイサブシャシー組み立て |
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SメータはAGC電圧を表示しますが、メータアンプの電源がDC-12Vなので、
AGC電圧が-12V近くにまで落ちると飽和してしまいます。
でもこれがうまい具合にメータ振り切れ防止リミッタとして働いてくれています。   今夜も台湾からの信号はとても強力。 メータの針はぴったり100で頭打ちになります。 いい感じ。 2023-08-12 Sメータの挙動 |
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ディスプレイサブシャシーをサービスポジションにしたシャシーの上に仮置きしました。
この作業の途中で、
信号経路に2つの直流阻止キャパシタが入っているなどの冗長な結線だったモードセレクタスイッチの配線を整理しました。 モードセレクタスイッチを正式に組み込むときは、場所的に近い元ノイズリミッタスイッチを使うのが良いです。 が、ノイズリミッタスイッチは単投スイッチなので切り替え用途には使えません。 似たような外見の双投スイッチに交換する必要があります。 BFOは常時ONにしておけば良いなと思ったのですが、 AM受信時にBFOがONのままだと、 HE-80/HA-225ほどではないにしてもBFO信号がわずかに飛び込んでしまい、 ビート音として聞こえてしまいます。 モードセレクタスイッチに2回路スイッチを使って、 AMポジションのときはBFOのB電源を切るようにしておけばよいでしょう。 2023-08-14 モードセレクタスイッチ配線変更 仮配策 |
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非線形境界検波器、なかなかうまくセッティングできません。苦戦中。
がんばってトラブルシュート。
モード切り替え仮スイッチを使い、
すくなくともAM検波回路には明確な障害は与えずにいることを確認しながら作業をすすめます。 この回路のキモの部分、リミッタグリッドバイアスがうまく作れていないようです。 シグナルジェネレータでオフセット1VのDSB波を作って入れてやると、 CRV-1/HB内蔵BFOで音質よく復調できています。 6NB6をカットオフ領域で動作させるといい感じでAM検波できているので、 6AV6の2極管部はAGC電圧生成用として残し、AMも6BN6で聞くという作戦もあるかな。 2023-08-14 |
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異常の状態が分かってきました。
アノード電流がとてもゆっくり(30分くらいかけて)増えたり減ったりしています。
それに応じてリミッタグリッドバイアスの最適点が変わり、調子よくなったり完全に無音になったりします。
こんなだから、いちどバイアスを調整してもすぐに狂ってしまうわけですね。 半日悩んで、理由が判明しました。 なんのことはない、ヒータ電力不足。 ハムを減らすために6BN6のヒータ電圧はダイオードで半波整流したあと大きな電解キャパシタで平滑していたのですが、 これがアダとなりヒータ電圧が下がりすぎていたのです。 普通にAC点火するよう変更して、アノード電流は安定しました。 6BN6はヒータをDC点火すればハムが大きく減るのは体験済なので、 専用のヒータ電源を用意したいかなあ。 2023-08-15 6BN6動作不良はヒータ電力不足が原因だった ぬかるみから脱出できたので、6BN6の各電極電圧をチェック。 これで6BN6は安定してプロダクト検波動作し始めました。 しかし、シグナルジェネレータのDSB信号では音質は良いのですが、 実機のIF信号では復調品質はいまひとつ。 FT8の復調はできていますが、FAXの復調がうまくいきません。 まだ正確な復調はできていないようです。 |
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非線形境界検波器のチューニング
(もしかしたらバグ修正かも)
はそのうちじっくりやることにして、
いよいよ局部発振回路の改良作業に着手します。
6BE6をやめて6AQ8にし、3極管で発振+3極管でカソードフォロワの構成にする改造。
要はLafayette HA-225と同等にしてやろう、ということです。 この改造を行ってもアンテナ負荷による局発周波数変動や高周波増幅管へのAGC印加電圧による局発周波数変動には効果がないだろうことは分かっているのですが、 せめて限定的であっても自力でFT8を受信できるようにはなってほしいですから。 |
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Lafayette HA-225 / Trio JR-60と同等の回路が、松下電器のコイルパックでうまく動作すればいいのですが。
やっぱりうまくいかないや・・・となる可能性もあるなあ。
覚悟を決めて、6BE6による局部周波数発振回路を撤去しました。
ステップドリルを使って真空管ソケットの穴を7ピン用のサイズから9ピン用のサイズに穴径を拡大。
新古品在庫のMT9ピンソケットを取りつけます。 ところで今年のお盆休み、業務都合で休みの期間内も仕事が入ってしまいました。 必死に緊急対応しているのは海外拠点のチームメンバーで、 私はできあがった仕事をチェックし承認するだけなので実質は数時間もあれば対応できるのですが、 業務の進捗をモニタして用意が整ったら遅滞なくレビューを行い文書手続きを取る必要があり、 そうすると結局数日間は待機のために拘束されてしまいます。 強い台風も来ていることだし、雨が降っていなくても外は危険なほどの熱さだし、今年の夏休みはキャンセルにしよう。 業務の状況をモニタしながら、CRV-1/HBをいじります。くそう。 2023-08-16 局発回路撤去 |
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回路定数はLafayette HA-225 / Trio JR-60と基本的に同じです。
できるだけコンパクトに配線したいから、
あらかじめ配線を検討しました。 |
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あたらしいバッファつき局部発振回路は一発で動作しはじめました。
よかった。
真空管が違うので同じバリコン位置でもすこし発振周波数は変わってしまいました。
コイルパックの再調整が必要ですが、
いままで聞こえていた信号はしっかり聞こえています。 |
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6AQ8 双三極管を使った局部周波数発振器とカソードフォロワバッファ、
出力振幅は2Vp-p程度です。
効果は確かにあって、いままでの局発ではいちどもデコードできなかったFT8がデコードできるようになりました。   ただし局発周波数は15秒間に10Hz〜20Hz変動することも多く、その場合はFT8はデコードできません。 スペクトログラムの3000Hzあたりに見えている点線は、 シグナルジェネレータによる7.077MHzのバースト信号。 本来は縦に一直線に表示されるべきものですが、ふらふらしているのがわかります。 BFOの周波数ドリフトでも同じようにふらつきますが、 BFOはかなり安定しているので、このふらふらはほとんど局発周波数の不安定さによるものです。   残念、現状で安定度はほぼ同一構成の Lafayette HA-225改 に及んでいません。 AMはもちろんSSB・CWなら十分な安定度ですが、 FT8を受信するためには水晶制御の外部VFOが必要です。 2023-08-16 新局発回路 動作開始 |
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局部発振器を組み替えたことによりコイルパックのトラッキングがずれてしまいましたから、
再調整を行いました。
が・・・今回の調整も手こずりました。
コイルパックの説明書に書かれた手順通りに行ったのでは、いい結果が出ません。 本機のコイルパックの調整が難しいのは、RFセクションを調整すると局発周波数が変動してしまうためです。 局発周波数の変動を追いかける形でシグナルジェネレータ周波数も変えてやらないと、上手にピークが取れないわけです。 周波数カウンタのおかげで、この状況に気づくことができました。 さらに今回、バンドCとバンドAで、調整を追い込むと発振してしまうトラブルが出ました。 なぜ今回このトラブルが出たのでしょう? コツをつかんでRFセクションのチューニングがより追い込めるようになったからかもしれないし、 AGCを切り離して高周波増幅段が常時フルゲインで動作しているからかもしれません。 後者はありえそうに思えます。 なので、高周波増幅管のカソード抵抗を100Ωから330Ωに変更して、すこしゲインを落としました。 結果、バンドCでの発振は抑えられ、高感度にチューニングできました。 バンドAでは依然発振があってピークチューニングはできず、すこし感度は犠牲になるのでしょうけれど、 安定寄りにチューニングしました。 まあこんなもんでいいでしょう。 9.385MHzのラジオタイランドのSメータの振れは以前の程度に戻りました。 テレタイプ混信 / ノイズ重畳なく強力に受信できています。 あわせ以下の変更を実施。 2023-08-17 コイルパック再調整 |
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AM復調音質は、通信型受信機としては気にならないものですが、
やや歪が気になります。
シグナルジェネレータで400Hz正弦波でAM変調したRF信号を作り受信させ2極管検波回路出力の音声信号波形を見てみると、
AM変調深度65%で歪が出始めています。
あまり良くないですね。 6AV6の2極管部によるAM検波回路に入っていた負荷抵抗50kΩ を220kΩに交換したら、 無歪のA変調深度は75%に上がりました。 もう一声良くしたいところですが、このへんにしておこう。 ちなみにオリジナルのAF GAINポテンショメータの代わりとして使っている470kΩを1MΩに換えてみたら、 AM復調品質は明らかに悪化してしまいました。 ここはひきつづき470kΩでいきます。 前回AGCのアタックダイオード追加を試したときは行き過ぎの感があって取りやめましたが、 アタックダイオードに直列に抵抗を入れれば効きを弱くできますね。 今回それに思いつき、AGCアタックダイオードを220kΩを直列に入れたうえで再び有効にしてみました。 程よくAGCのアタックが早まり、音質への影響はほぼなし。 これで行きます。 AM/SSB切り替えスイッチ追加は暫定配線で、 DC阻止キャパシタがひとつ余分でした。 撤去し、配線を整理。 さらに高域ヒス低減キャパシタとして0.033uFを追加。 これらの結果AM復調品質は明らかに改善しました。 2023-08-21 AM復調品質改善作業実施 |
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非線形境界検波器のリミッタグリッドIF入力にトリマを入れて、
レベルを調整できるようにしてみました。
レベルを下げると復調品質は良くなりますが、ハムの影響が大きくなってしまいます。
ハムはとりあえず妥協するとしても、
SSB電話も電信もきれいに聞けるのにFT8復調もFAX復調もうまくいかないのは何が悪いんでしょう?
おそらくなにか、正確な復調ができていないというとなのだろうと思います。
CBA-1000で動作させていた時よりも明らかに性能が悪いので、
どこかに改善のネタがあるはず。 2023-08-22 リミッタグリッドIF入力にトリマ追加 |
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本機CRV-1/HB 第2輪廻のサクセスクライテリアはAGCとSメータが使える状態で安定してFT8がデコードできることですが
(いつのまにそうなった?)、
現状では非線形境界検波器の具合が良くありません。
いっぽうで仮にプロダクト検波がうまく行ったとしても、
現状の局発では安定度が足らず、
どのみちFT8の安定受信は無理でしょう。
ここは妥協して、FT8受信用に外部VFO入力ジャックを用意することにします。 オリジナルCRV-1/HBでAVC-MVC-BFOのモード切替として使われていたロータリースイッチを、 内部VFO/外部VFOの切り替えに使うことにしました。 AGC OFFのためのスイッチは廃止して常時AGCを有効にし、 AM/SSB切り替えは別のトグルスイッチで行うことにします。 さらに、配線長を考慮して、ロータリースイッチの取り付け位置をIF GAINのポテンショータと入れ替えます。 2023-08-25 外部VFO接続機能追加作業開始 |
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接続して軽くテストしてみると、
うまく動作しません。
周波数カウンタが信号レベル不足でカウントしてくれなかったり、とか。
これは局発信号を混合管に入れる際のキャパシタのつなぎ方の問題で、
理由がわかって配線しなおして狙い通りに動作開始。 外部VFO動作にしたときも現状では内蔵局発は発振し続けていて、 その飛び込みが明確です。 やはり外部VFO動作時には内蔵局発を止める工夫が必要だなあ。 2023-08-26 外部VFO接続機能追加作業完了 先日行った高域減衰シャントキャパシタは効きすぎると感じられたのでいったん切り離して元に戻しました。 2023-08-26 高域シャントキャパシタ取り外し |
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AM-SSB切り替えのモードスイッチに2回路スイッチを使いBFOのB電源のON-OFFをしようと思っていましたが、
そのための配線をシャシー内を横断してコイルパックのすぐわきを引き回すのはあんまり気持ち良くないなあ。 ふとみると、もともとスタンバイスイッチとして使われていたスイッチがフロントパネル右側に遊んで残っています。 これを使えばいいや、配線が短くて済む。 AMとSSBを切り替えるには検波回路切り替えスイッチとBFOスイッチのふたつを操作することになりちょっと不便ですが、 使っていてやはりシングルレバー操作が欲しくなったらまた変更すればいいや。 2023-08-26 BFOスイッチ接続 |
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外部VFOで動作させて局発不安定の要因を除けるようになったので、
非線形境界検波器の復調不良問題にふたたび取り組みます。
スピーカで聞く限りSSBもCWも復調できていて、だけれどどこか歪っぽいというか濁っているというか、
どこか正常ではないようすです。 40メーターバンドのFT8を受信して、 WSJT-XのスペクトログラムとFT8デコードの具合を見てみます。 なにかヒントが見えないものか。 音声帯域で1000Hz以下のFT8信号の復調がうまくできないというのは気づいていますが、 どういう理由なのでしょう。 しばらくスペクトログラフを眺めながらいろいろ試しているうちに気がつきました。 複数のFT8波の間で、相互変調が起きている! たとえば1800Hzと2000HzのFT8信号があったとき、 その差である200Hzのところに、実際は存在しない信号が見えてしまう。 右のスクリーンショットでは、受信している途中でBFOつまみをちょっと回してBFO周波数を変化させています (画面に見えている2分45秒の時間内に2回この操作を行っています)。 BFO周波数を変えればFT8の復調周波数はすべて一律に上下するはずですが、 300〜370Hzあたりに見えている信号は周波数が変わっていません。 これは、その周波数は帯域内の強力な2つの信号の差の周波数が表れていることを意味しています。 2023-09-27 プロダクト検波の復調品質不良は相互変調歪によるものであることを確認 |
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さあてこれはどういう理由で発生しているのだろう。
ひとつ考えられるのはIF信号の取り出し方法。
AM検波の6AV6 2極管接続部、最終の中間周波トランス2次側から取り出しているから、
6BN6のリミッタグリッドには中途半端にAM検波した信号が入ってきているのかもしれません。 6BN6のリミッタグリッドにオシロを当ててみると、 プラスマイナスきれいに対称形の波形が見えます。 元の信号は3Vp-pで、それを抵抗とトリマで分圧した0.8Vp-pがリミッタグリッドにかかっています。 これはCBA-1000ベッド上で動作させていた時と変わらず、 予定通りです。 配線を追いかけると、あれれ、 IF信号を取り出しているのは最終IFTの2次側ではなくて、 中間周波第2増幅管6BA6のプレートからハイインピーダンスの抵抗で取り出していました。 作業をメモし忘れていたんですね。 おそまつでした。 AM検波ダイオードと同一箇所からIFを取り出していることが影響しているかも、 という推測は否定されました。 今夜は40メーターのFT8がにぎやか。 スペクトログラムを見ると、 相互変調歪みがあたこちに発生していることがわかります。 右のスクリーンショットの時は意図的にBFO周波数を下げて復調周波数が高くなるように設定しており、 ベース周波数にシグナルジェネレータのパイロット信号を入れています (2秒ごとのバーストなので破線に見える)。 破線の左側はすべて相互変調歪で生まれたゴースト。 また相互変調歪は和の周波数でも出ますから、 ベース周波数から3000Hz以上高いところに和の周波数によるゴーストが見えています。 もうめちゃめちゃだね。 これが、「いっぱい受信できているけれどそのうち半分程度以下しかデコードできない」 理由ですね。 |
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ではクワドラチャグリッドへのBFO信号入力はどのくらいだろう。
オシロで見てみると、信号レベルは0.95Vp-pです。
ん? これは不十分なんじゃないかな?
振れ幅0.95Vは、クワドラチャグリッドで管内の電子流をしっかりON-OFFするには不足なはず。 BFO回路は今回12AX7Aを使って改造してあり、カソードフォロワのBFO出力は5Vp-pあります。 5Vp-pでは強すぎるので抵抗で分圧してあるのですが、 下げ過ぎていた様子。 分圧抵抗を切り離してカソードフォロワ直 (ただしカップリングキャパシタを介して) でクワドラチャグリッドにつないでみると、 プロダクト検波の音声出力はがぜん大きくなり、 だけれどもかなり歪っぽくなります。 ここで CBA-1000上でテストしていた時の自分の作業ノート を読むと、 クワドラチャグリッドのBFO信号は正弦波で3Vp-p程度が良い、 と書かれています。 6BN6クワドラチャグリッドでの振幅がおよそ3Vp-pとなるようにカソードフォロワ出力の分圧抵抗を変えてみました。 電源ONして見えだしたスペクトログラムには、 やはりゴーストがたくさん見えます。 残念・・・ と思いきや、すうっとゴーストが消えました。 ええっ? |
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そういえばそうだった、これはCBA-1000上でテストしていた時もそうだったのですが、
6BN6は電源を入れてヒータが熱されて動作が開始した後も、
動作が安定するまでには1分以上かかるのです。
このスペクトログラムを見ると、プレートに復調信号が出始めてから1分15秒経過した時点でゴーストが減り始めていますね。
1分30秒でゴーストは見えなくなります。 これは本機の6BN6のヒータ駆動電圧が不足しているためか、 それとも6BN6というタマの特性なのか。 ともかく、安定動作までには電源投入してから1分30秒かかる、 ということですね。 それでもわずかにはゴーストが見えています。 やはりリミッタグリッドへのIF入力が強いと発生する様子。 なので、IF入力レベルトリマをいじって、 リミッタグリッドの信号振幅が大きくて0.4Vp-p程度になるように絞りました。 ハムに対しては相対的に不利になるし、 強力なローカル局が出てくれば破綻するでしょうけれど、 通常の運用では満足できるものになりました。 ふう、これで本機第2輪廻の目標のひとつにしていた非線形境界検波器の実装は完成としていいでしょう。 やったね! 2023-09-28 非線形境界検波器の復調不良はクワドラチャグリッドのBFO振幅不足 2023-10-02 JMH受信テスト |
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しばらくうつうつ期に入ってしまったので作業が進みませんでしたが、
元気がちびっと戻ってきたので、
ベトナムの声やら近隣諸国の英語放送を聴きながらCRV-1/HBの回路図描きを進めます。
オリジナルの回路図ができあがったので、
Reincarnation 2の改造点を反映します。 と、こういう作業をしていると細かい部分であまり良くないところ・うまくないところに気づいてきますね。 まずはミキサのスクリーングリッド電圧が低かったので、上げてみました。 2023-10-21 ミキサのスクリーングリッド電圧を上げる BFO出力をクワドラチャグリッドに加える配線が不適切だったので接続方法変更し再配策。 非線形境界検波器のB電源に電源平滑キャパシタを追加。 6BN6のカソード抵抗が小さすぎてリミッタグリッドバイアスが0.7Vしかなく、 境界領域のセンターが狙えていませんでした。 カソード抵抗を387Ωに変更し、リミッタグリッドバイアスを1.09Vに調整しました。 ゲインが増し、ハムの影響が減りました。 2023-10-22 さらに非線形境界検波器のチューニング。 6BN6のプレート抵抗を470kΩに変更、カソード抵抗を380Ωに変更してリミッタグリッドバイアスを1.10Vとし、 リミッタグリッド入力レベルを再調整。 コンディションが良く7.795MHzのJMH2がきれいに写りました。 2023-10-23 非線形境界検波器リミッタグリッドバイアス調整 15MHzあたりより上での感度が今一つ伸びていない気がしていましたが、 これは6BE6ミキサへの局発入力レベルが不足していたためでした。 局発バッファのエミッタフォロワにバイパスキャパシタを一つ追加。 局発レベルが約2倍に増して、受信は元気になりました。 本機に使用している松下電器コイルパック3BR-330は、 バンドCでの局発レベル低下を防ぐためのフィードバックリンクコイルが設けられていません。 ハイバンドでの局発レベル低下は致し方ないものがあります。 2023-10-24 局発バッファにバイパスキャパシタ追加、局発レベルアップして感度向上 |
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いままでモード切替はAM検波・プロダクト検波の切り替えスイッチとBFOのON-OFFスイッチを別にしていましたが、
スイッチを移設してワンアクション化しました。 BFOのB電源をシャシー内長手方向に引き回すことになるのでワイヤからの輻射が中間周波増幅段や検波段に飛び込んでしまわないかなと思いましたが、 ほとんど影響はないようです。 AM受信時もBFO発振管のヒータは点火していますが、B電源は切れています。 モードスイッチをSSB/CWに切り替えた直後はBFOの周波数ドリフトがあるかもと思いましたが、 これもほとんど気にならず。 2023-10-26 モードスイッチをワンアクション化 |
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CRV-1/HBは昼間はBGM機として使っていますが、
なんだか局発周波数に不安定なところがあることに気がつきました。
電源を入れて14.990MHzにあわせるとしばらくの間は大きく周波数が変化し、
その後は室温に応じた変化が出ます。
これは納得のいくことなのですが、
ときおりわずか1分間程度の間に1kHz以上もすうっと周波数が上下することがあります。
これはいったいなんなんだろう。
試してみると、 ことがわかり、これはIF GAINポテンショメータの取り付けが関係していそう。 IF GAINポテンショメータのコールド側配線は局発管のグラウンドと同じポイントに落としていたのですが、 IF GAINポテンショメータには中間周波増幅の第1・第2段の6BA6のカソード電流が流れています。 この電流が悪影響を及ぼしているのかもしれません。 そこでIF GAINポテンショメータを取り付けなおすとともに、コールド側配線は中間周波増幅段まで配線で戻して、 6BA6の近くでグラウンドに落とすことにしました。 これにより、IF GAINつまみを操作しても局発周波数は安定したままとなりました。 あわせて、コイルパックOSCセクションのG1リード線を硬いエナメル単線に変更。 リード線のごくわずかな揺れによる周波数変動は低減できました。 コイルパックロータリースイッチのOSCセクションのウェハや接点も洗浄して接点グリスを塗布。 汚れによるリークもあったのでしょう、わずかですが安定性が向上しました。 しかし、突然に周波数が1kHzかそこら上下する現象は引き続き起きています。 この現象 - ドリフト発作 - はなぜ起きているのでしょう。 2023-10-30 温度変化のほかに突発的な周波数ドリフトが起きていることに気が付く もう一度テスト。 よってオシレータプルインでもなく、AGC電圧の影響でもありません。 またドリフト発作発生と発振管スクリーングリッド電圧には直接の因果関係はなさそうです。 ここまで混合管6BE6の第3グリッド (RF信号インジェクショングリッド) の配線は Lafayette HE-80 / トリオJR-60 と同じ方式を取っていましたが、 これをCRV-1/HB本来の結線に戻しました。 しかしドリフト発作は相変わらず起きます。 発振管のB電源は0A2によって安定化したDC150Vラインからさらにドロッピングと電解キャパシタで平滑していましたが、 この電解キャパシタの不安定なリークを疑ってキャパシタを一時的に外したりドロッピングを一時的に省いてみたりしましたが、 ドリフト発作には影響なし。 ドロッピングと平滑キャパシタはシロと判断し復旧。 2023-10-31 いくつかの可能性をトライ 突発的ドリフトはなくならず |
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そろそろ原因推測のネタが尽きてきた中、真空管のヒータ電圧を測定してみたら、
なんと、ヒータ電圧とドリフト発作には関係がありそうなことがわかりました。
突発的な周波数ドリフトが起きる時、わずかですがヒータ電圧も変化しています。
これか? ヒータを定電圧電源装置で駆動して、ヒータ電圧と局発周波数の関係を見ることにしました。 夢と時空の部屋で普段使っている電源装置 Kenwood PWR18-2TP は出力電流が最大2Aしか取れず、 CRV-1/HBの全球のヒータを点火できません。 そこで 高砂製作所 NL035-10 を使い実験。 |
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結果、真空管のヒータ電圧と局発周波数が見事な相関関係を示していることがわかりました。 ヒータ電圧0.1Vの変化は局発周波数を数kHz変化させてしまいます。 ヒータ電源は電源トランスを介して作っていますからその電圧はAC100V電源の電圧変化の影響をモロに受けます。 電源電圧がわずか1%変化しただけで1kHz以上も変動してしまうことになります。 突発的なドリフト発作は、電源電圧の変化によるものに違いない! 2023-11-01 ドリフト発作は電源電圧変動に応じたヒータ電圧変化が原因と断定 |
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でもさすがにすべての真空管のヒータ電圧を安定化する必要はないでしょう。
局発管と混合管だけを安定化すればいいはず。
PWR18-2TPで6AQ8と6BE6のヒータだけを安定化したDC6.5Vで点火してみたところ、
ドリフト発作は出ていません。 でもついでなら高周波増幅管ヒータも安定化しておいた方がいいかな? 試してみると、なんと周波数変化幅がかえって大きくなってしまいました。 そんなのヘンだな。 どうやらこれは、高周波増幅管6BA6のソケットのわずかな接触不良が原因のようです。 真空管のピンを磨き、わずかに曲げて接点グリスを塗布。 状態は安定しました。 さらに、発振管6AQ8のソケットでも同様な現象が起きていました。 6AQ8ヒータを安定化定電圧で点火しているのにドリフト発作発生。 このとき真空管側ではヒータ電圧が±20mVほど変動していました。 6BA6と同様にピンの研磨・曲げ修正・接点グリス塗布。 ヒータ電圧は安定し、ドリフト発作は消えました。 学び。局発管のソケットの接触不良は、想像以上に周波数安定度に影響する。 ドリフト発作がなくなり、短周期での不安定さがなくなった局発でFT8受信を試すと、 いい感じでデコードできています。 ただし室温変化によるドリフトは相変わらずあるので、 FT8受信にはやはり水晶発振ベースの外部VFOが必要です。 まあ今日の結論としては、ヒータ電源電圧を安定化するのは局発管6AQ8だけで大丈夫みたいですね。 2023-11-02 高周波増幅管と局発菅のソケット接触不良も原因のひとつだった |
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さて、どういう方法で6AQ8のヒータ電圧を安定化しようか。
3端子レギュレータで安定化するのがいちばん確実でしょうけれど、
CRV-1/HB電源トランスの6.3Vヒータトランス巻線から電源を取ったのでは整流ダイオードとレギュレータの電圧降下のためにDC6.5Vはとれそうにありません。
倍電圧整流するというのもどうかと。
それでは別の専用ヒータトランスを組み込もうかとも思いましたが、
AC9Vが取れる小型のトランスは手持ちにありません。 いろいろ考えて、6AQ8ヒータ電源は外部のACアダプタを使うことにしました。 手持ちにあったDC9VのACアダプタ - 電源トランス+整流ダイオード+平滑キャパシタだけの非安定タイプ - を使い、3端子レギュレータをCRV-1/HB本体内に組み込みましょう。 安定化回路はCV/CC動作が可能な 秋月電子 K-0074 鉛バッテリチャージャキット をバラして部品を流用し、 手持ちのダーリントンパワートランジスタと組み合わせてユニバーサル基板にコンパクトに組み替えてみたのですが、 いまひとつうまく動作させられませんでした。 2023-11-03 局発菅ヒータ電圧安定化の方法を検討開始 2023-11-04 LM324方式 部品集め開始 2023-11-05 LM324方式 うまくいかず |
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コリンズ51S-1
のVFO周波数不安定は真空管を交換したら消えたなあ、と思い出して、別の6AQ8を試してみました。
すると・・・ 球によって違いがあるものですね。
試してみた別の6AQ8 2本は、いままでずっと使ってきた球 (#01と番号をつけました) にくらべ、
発振周波数におけるヒータ電圧の影響は半分程度です。
電源投入からの変化も、室温依存の変化量も半分ほど。
なので、変化の少ない球 ( #02と番号をつけました ) に交換しました。 #02は松下製の6AQ8ですが、#01はNEC製。 松下製のほうが温度変化やヒータ電圧変化に対して安定なタマだ、ということなのでしょうか。 どういう理由で、真空管のどの部分の違い・どの特性の違いが周波数ドリフトの変化量に影響するのでしょうか。 2023-11-07 6AQ8個体によって周波数ドリフトの大きさが違うことを確認   |
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ヒータ電圧安定用としてLM317を使うことにしました。
外付けの抵抗で出力電圧を任意に設定できるタイプの3端子レギュレータです。
部品箱にずいぶん前から、データシートといっしょの小さなポリバッグに入っていました。
秋月電子で買った気がするけれど、いつ頃買ったのだろう。
ひょっとすると渡米前、1994年より以前かもしれない。
30年も在庫してたのかな。 小さなユニバーサル基板にLM317を取りつけて、テスト開始。 LM317のデータシートに基づいて電圧設定抵抗値を決めましたが、 実際の電圧とはやや食い違いあり。 ヒータ電圧がDC6.5Vになるように抵抗値を調整しました。 2023-11-09 LM317による安定化回路ボード実装 |
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ACアダプタとヒータ電圧安定化回路は調子よく動作していますが、
必ずこのACアダプタを使わなければならないというのもちょっと、ですね。
それに、CRV-1/HBの電源を切ったのにACアダプタをつないだままにしてしまい、
6AQ8だけ一晩中点火したままにしてしまったことがありました。
でもこれは
トリオ 9R-59 / Lafayette HA-230
のヒータ常時通電の大技と同じだな。 なので、フロントパネルに局発ヒータ電源の INTERNAL / OFF/ EXTERNAL切り替えスイッチを設けることにしました。 OFFポジションがあるのは、単にスイッチが3ポジションのものだから、という理由ですけれどね。 ACアダプタをリアエプロンにつなぐためのDCジャックを工作しました。 2023-11-10 ヒータ電源切り替えスイッチ配線 |
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ヒータ電圧安定化機構、実装完了。
シャシー底面のクリアランスがギリギリになってしまいましたけれど。
そういえば、底面パネルはどうしましょうかねえ。
いつまでも底板なしというのもどんなもんかな、と思います。 外部ACアダプタを使い安定したDC6.5Vで局発管を点火すれば、短時間での1〜2kHz程度の周波数変動は起きません。 ウォームアップ後はダイヤルをいじる必要はなく、 1日 BGMを聞いていられます。快適。 2023-11-11 ヒータ電源安定化回路組み込み完了 |
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CRV-1/HBに使用しているメータと同形状のメータを2個入手しました。
いままでメータ目盛盤をSメータ目盛に作り直したいと思っていましたが、
作業中の破損が怖くて着手できていませんでした。
今回スペアが手に入ったので、すこし安心して作業に取り掛かれます。 CRV-1/HBオリジナルのメータは東洋計測器製作所、今日入手したのは東京電気精器(株)と東洋計器(株)製。 標準規格に従って各社が作っていたということなのでしょうか? それともパクリデザイン? 東京電気精器(株)の100mA計がデザイン・内部構造ともにオリジナルの東洋計測器製作所品に近いのですが、 東京電気精器(株)はメータボディ部外径がΦ65.5で、東洋計測器製作所はΦ64.5。 パネル追加工しないと取りつきません。 2023-10-29 RFメータ 類似品入手 |
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出力レベルが正確に設定できる目黒測器MSG-2161シグナルジェネレータを使い、
CRV-1/HBのRF入力とSメータの振れの関係を測定しました。
メータゲインはSメータアンプの飽和点が100%となるように調整していますので、
このあと回路を変更したり再調整したりして受信機の感度が変わってしまうと、
メータゲインを再調整したときにメータ振り切れが発生してしまう可能性があります。
本当はメータアンプのゲインとメータそのもののゲイン (分圧抵抗) をそれぞれ調整できるようにしておくべきでした。 2023-11-12 RFメータ 目盛盤検討開始 |
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このメータアンプだと目盛は信号強度にほぼリニアな振れ方をしますので、
Sメータではなくて入力信号強度をdbμで示す、RFメータとすることにしました。
コリンズ51S-1みたいなものですよ、とか言っておけばそれっぽい理由になるかな。 メータ目盛は、CRV-1/HB入手時についていた100μA電流計の目盛盤をそのまま使い、 裏面にインクジェットプリンタで印刷した白色粘着フィルムを貼り付けることにしました。 LibreOffice Impressで盤面をデザインし、縮小印刷。 貼り付け時にエアが入ってしまいましたが、まあまあ気にならない仕上がり。 2023-11-17 目盛盤完成 |
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RFメータが完成。
信号入力60dBμのときにメータの振れが60%の位置にくるようになっています。
Sメータの場合は40dBμでS9とするのが一般的で、そこから6dBさがるたびにSが1減っていくとされていますけれど、
このメータアンプは対数増幅ではないので、S9以下の目盛りはとても詰まってしまいますね。
それに、入力が20dBμになってはじめてSメータが振れ始めるような設定になっています。
現状での受信機の実力として、AMモードで音声/楽曲をしっかり判別するためには20dBμが必要。
なので、まあちょうどいい感じだ、ということにしておきましょう。
AMで変調がある/ないを判別することができる最小信号強度は-4dBμ。
このクラスの受信機で期待できる感度が出ているといえます。
SSB/CWならばMSG-2161の最小出力-9dBμでも十分に判別可能。 この時代のSメータはどの機械も計測器として使えるようなメータ精度ではなかったわけだし、 こんなものでもいいでしょう、と思いますけれど、 いつかまた元気が出たらメータアンプを対数増幅型に改造したいかも。 2023-11-17 RFメータ 目盛盤完成 |
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第2輪廻で実施したかった電気的な作業がほぼ完了したので、
いよいよディスプレイユニットをフロントパネルに組み付ける作業を始めます。
まずはフロントパネルの穴あけと取り付けブラケットの準備のため、
組立図を描きました。
まあこの程度の簡単な図面ですからね・・・
新しく買った0.7mmのシャープペンシルと方眼ノート、
大学時代に使っていた円テンプレート、
高校時代に使っていたレイメイのプラスチック定規。 2023-11-25 フロントパネル組付寸法検討 |
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機械加工全般ヘタクソマンなので、フロントパネルにきれいな角穴をあけられるか心配。
ドリルで枠線の内側にずらっと穴をあけ、
カッティングディスクを取り付けたリューターで穴をつないで、
砥石をつけたドリルとリューターと中目のヤスリで切断面を直線に近づけていき、
仕上げヤスリとサンドペーパーで仕上げていきます。
どうみても素人のできあがりですが、でもすこしずつ作業が上手くなっていくのが感じられて、うれしいね。 2023-11-29 パネル穴あけ加工 |
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エスカッションは、ダイソーのグレー半透明アクリル板素材。
パネルカラーを現行のアイボリーのままにする場合は、
半透明グレーのアクリル板はパネルが透けて見えてしまいますので、
間に黒くて丈夫な紙でも挟みましょうか。
いい材料がないかなと探したら、ちょうど先週日経BP社から届いた販促カタログの郵送封筒がぴったりの材質でした。
カッターで切り出して、こりゃちょうどいいや。 アクリル板を取り付けるのは 閑古鳥さん のジャンク市で買った新品のローレットつまみネジ。 パネル裏側でディスプレイユニットシャシー取り付けプラケットと共締めにします。 RFメータともども仮組み。 イメージ通り、けっこういい感じにできました。 2023-12-03 フロントパネル仮組み |
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フロントパネルは別の色に再塗装したうえで透明フィルムでレタリングを入れようと思っていますが、
でもまあ、ひとまず組み立ててみようか。
ホームセンターで買った引き出しの取っ手を飾りとして取り付けると、
なにかぐっといい感じになってきました。
手作り感たっぷりで、なんかもうこのままでもいいかな、などと思ったり。 ローレットつまみねじのうち下側2本と、 パネルハンドル取り付けネジ4本はねじの首下を短くする必要がありました。 カッティングディスクを付けたリューターで簡単に切断できました。 うん、リューター買っておいてよかった。 2023-12-03 フロントパネル組立完了 局発発振管ヒータの安定化DC点火回路を組み込んだのだから、 どうせだから6BN6ゲーテッドビーム管のヒータもDC点火にしよう。 SSB受信時のハム低減効果があるはず。 と、おおっと、ゲーテッドビーム管のリミッタグリッドへのIF入力がイモはんだだ!! たまに調子が悪くなるのはこれが原因だったかな? 2023-12-03 6BN6ヒータをDC点火できるように配線変更 |
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冬休みになりましたのでフロントパネルの仕上げ作業をはじめます。
フロントパネルの取り外しは結構手間がかかります。 フロントパネルがなくなったところで、 懸案だったバンドスプレッドバリコンのラバーブッシュマウントを交換。 実際にはラバーブッシュを使ったので、本来期待されるコンプライアンスは得られていませんけれど。 作業中に、バンドスプレッドバリコンのOSCセクションのステータ配線がポロリと外れてしまいました。 ここもイモはんだだったようです。 端子の表面をやすり掛けしてからはんだ付けしましたが、 このイモはんだは局発周波数の不安定さを招いていたかな? 2023-12-29 フロントパネル仕上げ作業開始 |
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まずはペイント剥がし。
ひょっとしてこの剥離剤は、2000年にこのラジオのオリジナルの銀色ペイントを剥がしたときに使ったものの残りかも。 結局のところ、前回と同じアイボリーに塗りました。 でもスプレーノズルの具合が良くなかったのとちょっと風が強めだったこともあり、 仕上げはイマイチ、とくに裏面はみっともない仕上がりになってしまいました。 |
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パネルのレタリングは、
エコーフォンEC-1A
の時と同じく、透明フィルムにインクジェットプリンタで印刷して貼り付ける方法にしました。
近くで見ると透明フィルムを使っているのがはっきりわかって手作り感がありますが、
まあ手作り機ですからね。 パネル組み立てはこれまた手間のかかる作業。 それでもまあ、完成! という感じになりました。 バンドスプレッドダイヤルの動きもしっかりして、いい感じです。 2023-12-30 フロントパネル仕上げ作業 完了 |
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多数の局が強力に入館する7MHzのFT8を復調しているとやはり非線形境界検波器の変調ひずみが気になるので、
リミッタグリッド入力レベルをさらに落としました。
AM受信時に比べると音声出力レベルは一回り低下したので、
SSB/CW受信時にはボリュームつまみを上げてやる必要が出てしまいました。 さらに、リミッタグリッド入力レベル調整トリマポテンショから6BN6間での配線をシールド線に変更。 気休めかもしれませんけれどね。 ともかくプロダクト検波段での混変調は明らかに軽減しました。 リミッタグリッド入力レベルを下げたことによってハムが目立つようになりましたが、 いまは外部電源アダプタをつなげば6BN6のヒータもDC点火できるようになっており、 ヒータ起因のハムは一回り減ったので、差し引き変わらずといった感じです。 2023-12-30 非線形境界検波器リミッタグリッド入力レベル再調整 |
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CRV-1/HBには、たいていの通信型受信機にはついているモノがありません。
それは、そう、足。 CRV-1/HBのスチールオープンシャシーは、デスクにしろラックにしろ、置くと設置面を傷つけてしまいます。 し、スチールラックに置くとなると、おそらくコイルパックの調整に影響を与えてしまいます。 やっぱり足は着けてあげようね。 それならボトムカバーも、と思うのですが、まずは足だけ。 きのうホームセンターで買ってきた1個68円のL字金具と、 いつ買ったのか記憶にないプラスチック製の新品の足を奢ります。 この足はCRV-1/HBに取り付けるつもりで買ったのか、 それともキャビネットなしの 51S-1 に取り付けるつもりで買ったのか。 しっかり取り付けることができました。 回路図には現れない部品ですが、 底面からのエアフロ―を確保するとか、金属設置面の影響を減らすとか、 ダイヤル操作時にもシャシーがゆがまないよう力を分散させるとか、 設置面からの振動を吸収するとか、 考えてみると足には結構大切な役割がありますね。 現状CRV-1/HBはゲーテッドビーム管6BN6がものすごくマイクロフォニックなので、 ラバーダンパー付きの足の方がよかったのかもしれません。 |
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以前から時折、LEDバーグラフVUメータの調子がおかしくなることがありました。
フル表示のままになってしまったり、
だけれど入力ゲイン調整のトリマを触ると表示がゼロになったり。 トリマの接触不良でもないし、はんだ付けの接触不良でもないし、なんだろう。 と、ふと気づきました。これか。 谷岡電子JVU-0156 LEDバーグラフVUメータキットの入力カップリングは10uF 16WVの電解キャパシタが使われていますが、 オーディオ信号入力側がキャパシタの+極につながっています。 いっぽうAM検波音声出力はAGC電圧が重畳しているので、常時マイナス電圧。 つまり電解キャパシタの極性が逆なのです。 在庫部品の10uF 25WVのバイポーラ電解キャパシタに交換したところ、 良好な動作になりました。 でもトリマの調整でヘンテコなことが起きることがあるので、 まだなにか隠れているのかもしれませんけれど。 2024-01-14 LEDバーグラフVUメータ 入力カップリングキャパシタ交換 |
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バンドAの高い側ですごいことが起きていることに気がつきました。
なにが不思議かって言うと、外部VFOは止めて局発管のヒータを切っても、
周波数カウンタに数字が出るのです。 まあ要するに、何のことはない、高周波段が同調周波数で異常発振しちゃってるわけですね。 その発振信号が6BE6の第3グリッドに加わり、 6BE6管内のスペースチャージを介して第1グリッドに誘起されるのです。 周波数カウンタはその周波数から455kHz低い周波数を表示します。 だから対策は高周波増幅段の自己発振を抑えること。 実は今までバンドAは発振しちゃうからあえてRF段のトラッキング崩して対策していたのでした。 高周波増幅段にはAGCを掛けないようにしたために常時フルゲインで動作していることも発振を助長しています。 2024-01-18 バンドA異常発振に気づく |
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以前からやろうと思っていた処置を行います。
コイルパックANTセクションからリアエプロンのアンテナ端子までの配線にシールド線を使用、
コネクタ位置を変更してアンテナ端子からコイルパックANTセクションのロータリースイッチまで最小距離で配線。
しかしこれは異常発振には影響/効果がありませんでした。 つぎに、コイルパックRFセクションからミキサ6BE6の第3グリッドまでの配線取り回しを変更してみると、 発振は止まりました。 この部分、さらになにかシールドの工夫をするとよさそうです。 2024-02-19 異常発振治癒 |
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まああれですね、なぜかいろいろうまくいかない日というのもありますね。
夜になってCRV-1/HBをラックに移設してみたのですが、
その際にどこか壊したらしく、オーディオレベルメータが動作せず、
オーディオ出力にビューンという耳障りな音が混じり、
かつオーディオ出力が弱いです。 こういう調子の悪い日は無理しないほうがよさそうですね。 2024-02-05 ラックに設置 AF出力不調 |
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ラックからCRV-1/HBを下ろして調査開始。
ほどなく故障個所がわかりました。
谷岡電子LEDバーグラフオーディオレベルメータの故障。
Rohmm BA682Aチップを痛めたらしく、
このチップがライン出力にノイズを加えていたほか、
ショート気味になっているとも見えてオーディオレベルを下げてしまっています。
しばらくレベルメータなしで使うしかありませんね。 破損の原因はおそらくGND電位不一致で、 オーディオライン出力ジャックから逆電圧が印加されてしまったためのようです。 このBA682Aチップはディスコン後も人気があって、 ヤフオクでは2個4000円超で取引された例もあるみたいです。 さすがにそんなバカげた値段は払いたくないよ。 代替製品を探すかなあ。 この谷岡電子のレベルメータキット、 いつ買ったのかほんとうに全然記憶にありません。 渡米前の1990年代前半だったのかも。 1999年以降ならステレオで使うために2つセットで買っただろうと思います。 ひょっとして いすゞファーゴ のタコメータでも作ろうとか思ってたのかな? 2024-02-09 谷岡電子JVU-0156 LEDバーグラフVUメータユニット故障 |
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いや、まだ望みはあります。
BA682Aのブロックダイヤグラムを見てみましょう。
ピン3がレクチファイヤアンプ入力つまりオーディオ信号入力ですが、
4ピンにはディスチャージ時定数外部設定用にレクチファイヤアンプ出力が出ています。
そしてこの4ピンが、それ以降のコンパレータアレイの入力になっています。 |
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ピン4に外部から電圧を加えたところ、
電圧に応じてLEDバーグラフが点灯しました。
ピン4電圧0〜2Vでレベルメータが0%〜100%になります。 やはり初段のレクチファイヤアンプを逆電圧印加で損傷させてしまったのですね。 うう、悔しい。 これは別のものに交換するよりも、 壊してしまったレクチファイヤアンプを外部にこしらえてこの谷岡電子を続投させてあげたいところです。 2024-02-09 VUメータ故障原因確定 |
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LEDバーグラフレベルメータを取り外してラックに戻したら、
今度はバンドスプレッドチューニングが効かず、周波数安定性も悪化してしまいました。
かまってちゃんになっちゃったよ、このラジオ。 2024-02-10 バンドスプレッド効かず またまたワークテーブルに戻して調査。 原因はバンドスプレッドバリコン OSCセクションの接続はんだの合金層劣化でした。 配線はしっかり取りついていますが、電気的接続がとても不安定になっています。 ANTセクションは最近配線しなおしたのですが、 OSCセクションとRFセクションの配線は1960年当時のままでした。 2024-02-11 バンドスプレッド効かずの原因ははんだ不良 |
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旧いワイヤとはんだを除去し、
バリコンの接続タブ表面をやすり掛けし、
新しいフラックスと新しいはんだで表面処理して新しいワイヤではんだ付けして修理完了。 本機の当初製作時の配線は、コイルパックのように最初からビニール線が取り付けられていたものを除けば、 基本的に単線にエンパイヤチューブをかぶせたものでした。 その後の修理改造のことを考えてか、オリジナルの配線作業はどこもやや長めでからげが行われていません。 このため作業はやりやすかったのですが、 はんだ結晶の劣化によるトラブルは多いですね。 このバリコンのタブの場合は当初からはんだの乗りは悪かったようです。 機械的にはしっかり取りついているのですが、電気的接触の不安定さが出ているわけで、 はんだごてを当てただけで直る故障というのもぜんぜん不思議ではありません。 2024-02-11 バンドスプレッド修理完了 |
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