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RCA Victor 56X

Superheterodyne Radio Receiver
(1946)



リビングのラジオ

    NoobowSystemsクパチーノ研究所のリビングルームでヨメちゃん手作りクリスマスツリーに並んでいるのがRCA Victor Model 56X。 大戦直後のプラスチック ラジオの典型例といえます。 基本設計は木製ケースの大戦前のモデルと変わらず、 この時代に一般的であったメタル管とGT管構成のトランスレス6球スーパーヘテロダインです。 周波数変換はペンタグリッドコンバータではなく、局部発振が12J5GT、混合が12SG7で行われるセパレート構成。 電源スイッチ兼用ボリュームコントロールつまみ、チューニングつまみ、 それにもう一つのつまみは2段階のトーンコントロール。

    落ち着いた色とデザインで、それゆえリビングルームにも置けます。 キャビネットやダイヤル盤には幸いにクラックなどはありませんが、 表面はよく見ると曇りかけています。 キャビネット内側は非常にきれいなマーブル模様のままですので、 適切な研磨剤で磨けばきれいになると思われます。

    入手時は不動。 切れていた真空管を交換したところ、音量は小さいながらも鳴るようになりました。 回路図を書き起こしながらさらに調べてみると、初段低周波増幅管のプレート電圧が異常に低いことが判明。 原因は低周波バイパス用のマイカキャパシタがショート故障していたためでした。 交換すると、音量は実に豊かになりました。 ボリュームのガリがひどかったため後日これも新品に交換。 電源平滑の電解キャパシタは入手時すでに補修されていました。

    トーンコントロールをソフトにセットすれば音は外観にふさわしく落ち着いたものになりますし、 ノーマルポジションならば高音もきれいです。 ただし、時折動作が発振気味になり感度が低下しますし、全体的な感度も今一つ。 周波数変換および中間周波増幅段の再チェックが必要なようです。 AGC回路のキャパシタ劣化によるフィードバック異常がもっとも怪しまれるところです。

1999-01-16 リビングのラジオ







(ここで28年間のブランク)


28年ぶりの目覚め

    ・・・というわけで本当に幸せだったシリコンバレーでの暮らしに別れを告げ、 船便ダンボールに詰められた56Xは富岡の第一研究所には収容できず、 借りた保管室に入れられたまま。 中央研究所ができて箱からは出してもらえたものの、 玄関のラックの中で飾り物状態でずっと過ごしてきました。

    CRV-1/HB の第2輪廻整備が一段落して連続受信テスト開始、 その間の作業は・・・これにしよう。 玄関のラックから56Xを持ってきてワークベンチに載せます。 このラジオを実際に使っていたのはクパチーノ研究所時代で、 サンノゼに引っ越してからはほとんど電源を入れていなかったからなあ。 電源を入れるのはほぼ28年ぶりかもしれない。

    キャビネットはホコリで薄汚れ、 樹脂表面の荒れも進行してしまっていました。 ごめんね。

2023-12-13 整備開始





    バックパネルの形状はなんとなくキャビネットと釣り合いが取れないのでひょっとしたら別モデルからの移植なのではないかと思いますし、 でも当初からこういうものだったのかもしれませんね。

    1950年代の日本製真空管ラジオはほとんどのモデルで「長」「短」といった端子がリアエプロンにあって、 ワイヤーアンテナをつなぐ必要がありました。 長いワイヤーが用意できるときは「長」に、短いワイヤーしか用意できないときは「短」につなぎました。 放送局にとても近いところならともかく、たいていは外部アンテナが必要だったのです。

    しかしアメリカのラジオではバックパネルにループコイルが用意してあって、 これがアンテナの役割を果たし、 たいていは外部アンテナを設置せずに使えたのです。 ループコイルアンテナだけでは感度が不足するときは外部アンテナやアースを適宜追加しました。 写真に見えている赤いジョンソンターミナルは、 外部アンテナ接続用ターミナルで、私が追加したものです。

    RCA Victor 56Xの場合はこのループコイルはアンテナ同調コイルそのものになっています。 バックパネルを取り外してしまうと全く受信できません。





    キャビネット底面には一部欠損していますが型番表示ステッカーが残っています。 Model 56Xは生産ランが複数あったようで、シリアルナンバーの "B" を見るとこれはセカンド・ランなのでしょうか。






シャシーを取り出す

    本機はループコイルつきバックパネルがシャシーにとりついているほか、 ダイヤルメカニズムもスピーカもシャシー側についていて、キャビネットとは接合していません。 そんなわけなので、整備の際はシャシーとリアパネルが取りついたままの状態でシャシーを引き出すことができます。 フロントパネルの3つのつまみを抜き、 キャビネットとシャシーを固定しているネジ2本を緩めるだけでラジオの中身がごそっと出てきます。 整備性はとても良好。

    このラジオはAC/DCセット、日本でいうトランスレス機ですが、 AC電源プラグの片側が直接につながる内部回路のコモンはシャシーからは分離されていて、 シャシーを指で触っても感電しない工夫がなされています。

    ダイヤル盤の右端にパイロットランプがあって電源を入れると光ります。 ランプソケットには接触不良があって、 今回最初は光りませんでした。 ソケット接点清掃で回復。





    1995年当時にも軽い清掃はしたので比較的きれい。 でもシャシー上面は酸化が目立ちますね。 バリコンも発錆直前といった感じ。 軽く清掃しました。 使われている真空管名が油性ペンでいくつか書きこまれていますがこれは以前のオーナーによるもの。

    ギャングバリコンはアンテナ同調と局発とでずいぶん形状が違います。 使われているIFTはトップにトリマ調整穴があるC調整型。





整備プラン

    RCA Victor 56Xは真空管6本を使ったシングルスーパーヘテロダインのAMラジオ放送受信機です。 電源トランスを持たないAC/DCセット (日本でいうトランスレス型) です。 回路構成的には標準的なAC/DC 5球スーパーヘテロダインラジオのそれですが、 周波数変換にはペンタグリッドコンバータ管は使われておらず、 中増幅度3極管12J5GTで局部周波数を発振し、リモートカットオフ5極管12SG7で混合して、 受信信号を455kHzの中間周波数に落とします。

    中間周波段以降はごく標準的な回路。 中間周波信号はリモートカットオフ5極管12SK7で増幅され、 2極・3極複合管12SQ7でAM検波・AGC電圧生成・初段低周波増幅されたあと、 ビーム5極管35L6GTで音声出力増幅されて10cm級のパーマネント・ダイナミックスピーカを駆動します。

    この時代のアメリカではラジオはリビングルームに置かれる大型コンソールタイプではなく、 各部屋に設置できるコンパクトでシンプルな、大量生産による低価格のテーブルトップ型が普及していて、 装備は至ってシンプルです。 ヘッドフォン端子もないし、マジックアイによるチューニングインジケータも廃れていました。 そんな中本機56XにはNORMAL - LOW切り替えのトーンコントロールスイッチがあって、 ちょっとばかりいい装備のモデル、といったところでしょうか。 トーンコントロールは出力管プレートを適切な容量のキャパシタでグラウンドに落として高域を減衰させる、 シャントキャパシタ型です。

    シャシー内には局部発振回路用の局発コイルがありますが、 コイルはそれだけ。 アンテナ同調回路のコイルは、リアパネルのループコイルがその役目を果たしています。

    配線にはカラービニール線が使われています。 さほどに劣化した様子はありません。 右の写真で下半分を上下に走っている青いビニール線はAGCライン。 本機では混合管12SG7と中間周波増幅管12SK7にAGCがかけられています。

    ヒータ結線やB電源系結線は黄色い撚り線ワイヤ。 すべて同じ材料のワイヤに見えますが、 局発コイルのグラウンド結線だけは撚り線ではなくて硬い単心ワイヤが使われています。 このワイヤは局発コイル接続の中でも長いほうなので、 シャシーの中で揺れて受信周波数が不安定になるのを防ぐ目的でここだけ別材料のワイヤが使われているものと推測します。

    本機はトランスレス機ですが、ACラインのどちらか一方がつながる信号グラウンドと、シャシーグラウンドとは分離されています。 そのため動作中にシャシーを触っても感電しません。 両者は0.1uFのキャパシタと220kΩの抵抗で接続されており、 信号グラウンド側は最もハムに敏感な初段低周波増幅管12SQ7のソケット部で接続されています。

    またこのグラウンド設計のために、バリコンのフレームはシャシーにも信号グラウンドにも直流的には接続されておらず、 バリコンフレームはシャシーからラバーグロメットで絶縁されて支持固定されています。

    本機は1995年の入手時に電源平滑ブロックキャパシタがすでに交換されていました。 1995年の修理時に、ショート故障していた12SQ7のプレートバイパスマイカキャパシタを交換、 また低周波段のキャパシタ2個を交換しています。 1995~1996年の使用時に動作が不安定になっていましたし、 今回のサービスではほかのワックスペーパーキャパシタをすべて無条件に交換することにします。






改修作業

    ワックスペーパーキャパシタの交換作業。 まずは1995年~1996年に使っていたころの自分の観察 「AGC回路のキャパシタ劣化によるフィードバック異常がもっとも怪しまれるところです。」 を受けて、AGCフィルタキャパシタ C2 0.035uFを新品0.033uFフィルムに交換しましたが、 とくに変化はみられませんでした。 残念、ここではなかったみたいです。 それとも長期保管中に回復したかな? ともかくほかのも交換してしまいましょう。

    初期テストの中で、ボリュームつまみを素早くフルに向けて回すと、 一瞬音が小さくなったのちに大きくなる現象が出ていました。 低周波段キャパシタのどれかがリークしていたりするのかな? と思いましたが、どうやらそうではなかったようです。

    音量調整ポテンショメータのワイパーは直流阻止キャパシタを介して低周波増幅初段増幅管12SQ7のグリッドにつながっています。 12SQ7のグリッドは4.7MΩという高いグリッドリーク抵抗で信号グラウンドに落ちています。 音量調整ポテンショメータにはAM検波出力の音声信号とともにAM信号のキャリア振幅に応じたマイナスの直流電圧もかかっています。 強力な信号を受信しているときにボリュームつまみを急に上げると、 ポテンショメータワイパの電圧も急に下がるわけですが、 つながっている直流阻止キャパシタの真空管グリッド側はとても高インピーダンスであるがために直流阻止キャパシタはすぐには充電されず、 グリッド側の電圧はぐっと下がってしまいます。 このために12SQ7の3極管はカットオフ状態となってしまい、 音が消えるわけですね。

    ほんのわずかな時間の後に直流阻止キャパシタが充電され、 グリッド電圧は本来の値に戻り、再び音が出るようになる、という理屈のようです。

    ですから対策はグリッドリーク抵抗をもうすこし低い値に変えればいいのですが・・・ よく見ると直流阻止キャパシタは1995年の自分の修理で、 設計値0.02uFであるところに0.068uFを使っていました。 たぶん手持ちに0.02uFがなかったためだったのでしょうけれど、 容量が大きくて上述の充電に要する時間が3倍に伸びてしまい、 一瞬の音の途切れ問題を引き起こしていたようです。 直流阻止キャパシタを0.022uFに交換すると、 音の途切れ問題は気づかない程度になりました。

    グリッドリークが1.5MΩ程度であったならば0.068uFでも問題は出なかったのでしょうけれど、 まあ、こういうことがあるのですね。 勉強になりました。

2023-12-14 リキャップ作業完了





    別の問題は、ヘテロダインホイッスルが結構気になることです。 これはどうしてでしょうね。 すべてのキャパシタは交換しましたから、 ソリッド抵抗器の抵抗値経時変化が影響しているのかな。 調べると抵抗値はどれも10~20%程度の変化を示していますが、 それが原因ではないようです。





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謎の15MΩ

    56Xの局部周波数発振器の回路、なんとも不思議な回路です。 いまだに仕組みがよく分かっていません。 ちょっと腰を落ち着けて考えてみる必要がありそう。

    不思議な部分はいくつかあるのですが、 AGCラインと発振管12J5GTのグリッドが15MΩという高い抵抗で接続されているのはその一つ。 15MΩとはラジオで使われているは初めて見た気がします。 で、この15MΩをデジボルで測ってみると、3MΩとちょっとしかありません。 これはずいぶん抵抗値が変化してしまっているなと思い4.7MΩを3本使って新品交換したのですが、 取り付けた新しい14.1MΩの両端はやはり3MΩとちょっとしかありません。 回路図を読むと、R5 AGC抵抗3.3MΩ - ボリューム調整ポテンショメータ500kΩ - 局発管グリッド抵抗22kΩの経路が並列に入っていて、 その直列抵抗値を測ることになっていたのでした。 15MΩはたいして劣化していなかった・・・。

    ほんとこの15MΩはなんなんだろう。 AGCラインと、局発管グリッドを15MΩで繋ぐ意味は何? 無信号になった時にAGCライン平滑キャパシタを放電させてゼロに戻すため? それとも信号強度に応じてわずかばかり局発周波数に影響を与えてプルインをキャンセルしようとしてる? まさかねえ。







ヘテロダインホイッスル

    どうもこのラジオはヘテロダインホイッスルが気になります。 局部発振管12J5GTの発振波形を見てみると、 局発周波数同調回路が入っているグリッドの波形は正弦波できれいですが、 カソードはご覧の通りで、高調波が出てしまっています。

    発振管の電圧はさほどに奇妙なところはありません。 これが正常な波形なのかな。




    56Xの周波数変換回路は3極管で発振し5極管で混合を行っているわけですが、 この回路、私はまだ正確に動作を理解できていません。

    コリンズ51S-1 75S-1 では 5極管のカソードへ局部発振周波数を注入しているのですが、 それらではカソードにトランスが入っていて、 発振回路でそのトランスをドライブしています。

    しかし56Xでは、ひとつのコイルを発振管のカソードに入ったコイルとして、 また5極管のカソードに入ったコイルとして供用しています。 つまり発振管のカソード波形は混合管への局発入力そのもの。 発振管のカソード波形は上述のように高周波成分が含まれていおり、 実際混合管のカソード波形もこれと同一です。 これだけ高調波が含まれていれば、 いろいろと好ましくない現象が起きそうですが。

    発振管グリッドはきれいな正弦波だけれど高インピーダンスなので混合管のカソードをドライブできない。 だから発振管カソードで混合管カソードをドライブしよう。 カソードドライバトランスはコストの関係で用意できないから発振コイルを供用にしよう。 はたして56Xはそんな感じの設計意図だったのか。 あるいは、どこかにトラブルがあって、本来の発振管カソードはもっときれいな正弦波なのだろうか?

    発振管グリッドの抵抗を小さくして発振出力をすこし下げてみましたが、 波形的には変化がありません。 ソリッド抵抗の抵抗値の経年変化は相応にあるものの、 波形に顕著な歪を引き起こすようなものもなく。 やはり設計時からこういうものだったとしか思えないなあ。






シグナルジェネレータの影響なのかもしれない

    ヘテロダインホイッスルはシグナルジェネレータをつないでいることが影響しているのかも知れないと思い始めました。 シグナルジェネレータをつながずにループコイルでNHK東京第1・第2を聞くと、 ヘテロダインホイッスルは皆無ではないもののさほどにひどくはありません。

    外部アンテナをつなぐ時もループコイルは切り離せませんから、 シグナルジェネレータをつないでもバックグラウンドノイズは入ってしまい、 ノイズが気にならないようにするにはシグナルジェネレータの出力をかなり高める必要があります。 入力RFレベルが高いとヘテロダインホイッスルが目立つようになるのかもしれませんね。

    そうであれば・・・ 修理はここでいったん休止にして、 キャビネットに組み込んでみよう。

    ダイヤル盤背景はアルミ薄板にえんじ色のペイント仕上げですが、 えんじ色はずいぶん陽に褪せてしまっています。 ダイヤルポインタと目盛りの数字の影がくっきり。 玄関にいた15年間の間の褪色です。 似た色のスプレーでも吹いてやればいいのですが、 ダイヤル周りをいちど全分解する必要がありそうで、 めんどうなので次回整備のネタにとっておきます。






ビビリ音の正体

    シャシーでテストしていて、スピーカの音にビビリ音がはっきり混じっていることには気がついていました。 最初は回路の電気的問題かと思いましたがそうではなく、 どこかに取り付けの緩みかかっている部品があるか、 部品同士が接触しているのか、 それともコーン紙が破れかけて一部補修したところが音を出しているのか。 正弦波でAM変調を掛けたテスト信号で試すと、180~200Hzあたりの音を出すときにビビリ音が出ます。 この音の出所を触診していくと・・・これだ、 音声出力管35L6GTの内部電極が振動で音を出してしまっている。

    56Xのスピーカはヨーク部分がシャシーにリジッドに直接固定されています。 スピーカの振動が近くにある35L6GTに伝わってしまっているわけですね。

    これはちょっと信じられません。 不快な音が聞こえるばかりではなく、 こんな状態では真空管の寿命もとても短くなってしまうでしょう。 いかに終戦後のピースタイム生産開始直後の製品だといえ、 RCA Victorともあろう大メーカーがこんな設計ミスを見逃して量産投入するだなんてことがあるのだろうか?

    ガラスチューブ部にドーナツ状のおもりを仮止めして振動を抑制すると、 ビビり音は出なくなりました。 この作戦で行くか、それとも真空管ソケットをラバーマウントして作り直すか?


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キャビネットを磨く

    カバーもかけずに長期保管したベークライトキャビネットは、 表面の劣化がいっそう進んでいて全く艶のない状態になってしまっていました。 コンパウンドを付けた布で磨くと、布は瞬く間に茶色に。 表面の劣化した樹脂を削り取っているわけですね。 1時間以上ですかね、2時間以上かもしれない・・・細目と極細目のコンパウンドを使って、 それなりにきれいになりました。 フェノール樹脂のマーブル模様が美しい・・・には至っていませんが、こんなところで。

    ダイヤルガラスはキャビネットに裏面でねじ止め。 取り外して、デカールが剥がれないように慎重に清掃。

    すくなくとも入手したときよりはきれいになりました。 よし、シャシーを組付けてみよう。






    キャビネットに組み込むと、スピーカの音はぐっと良くなります。 それに、懸念していた35L6GTの電極振動音も全く聞こえません。 キャビネットの中にあるから聞こえないというより、 シャシーをキャビネットに組み込むとシャシーの振動が抑制されてビビリ音が発生しなくなるものと思えます。 これなら対策不要で量産投入OK、という判断がRCA社で行われたのでしょうか。 そうだとすると、やるなあ、さすが量産品のものづくりが分かっている! という感想を持つべきなのか。 ともかく、ビビリ音対策は不要です。

    ダイヤル盤はやはりそのうちに再塗装してあげたいですね。 ポインタはかなり正確です。 10kHzの精度で読めるんじゃないかな。

2023-12-17 キャビネット清掃 組付け






ホイッスル対策

    キャビネットに組み込んでしばらくNHKラジオとSG注入によるジャズアレンジを楽しみましたが、 NHKラジオを聞いていてもやはりゼロビートとなるわずかなホイッスル音は気になります。

    そこでシャシーを再度引き出し、中間周波トランスの調整をわずかに意図的に狂わせてみます。 ひとつのトランスにふたつ付いているトリマを、ひとつは同調周波数が高くなるように、 もうひとつは低くなるようにずらします。 同調のピークを落とし、通過帯域をすこし広げる作戦。

    これはうまくいきました。 感度と分離は低下してしまいますが、ホイッスル音はほとんど気にならなくなりました。 AMラジオの音もうるさくない程度に高域が少し伸びるようになり、 ダイヤル合わせも楽になりました。 ラジオ放送を楽しもうというならばこのチューニングのほうが良いですね。

    となると、ホイッスルの原因は局発信号に高調波が含まれているからということではなくて、 中間周波段が軽い自己発振状態になっていたから、とかなのでしょうか。

    その後数日間連続動作させて、不安定動作は全く見られなかったので、 これでRCA Victor 56Xの修理は完了ということにします。 日本のAMラジオ放送が完全になくなる前に完調復活できてよかったね。

2023-12-23 作業完了






> 次の作業・・・ CBA-1000 マジックアイ試験ジグ製作


ひとつ時代のおわりを告げたラジオ

    家族そろって日本ラジオ博物館に見学に行きました。 ちょうど短波ラジオの特設展示が行われていて、 ママもポゴも 「なんかこれうちにあるよね、これでBBC聞いたなあ。 あ、これもある。 これも、これも」 なんて言いながら、貴重なラジオ受信機コレクションを見て回りました。

    そんな中にRCAビクター56Xもあって、 ん、だけれどちょっと細かいデザインが違うな。 展示の解説を読むと、 それはRCA Victor 12Xで戦中モデル、 そしてそれと同型機で、昭和天皇が防空壕でご自身の玉音放送をお聞きになったとのこと。

    これはその日最大のショックで、 しばらく言葉を失ってしまいました。 国民は粗末な国策型の並4でそれを聞き、 ご本人も低価格普及型ラジオ、 しかしそれは敵国製の、優美なデザインのプラスチックボディをもつスーパーヘテロダイン・・・ 陛下のお気持ちを慮ることさえできませんでした。

2024-05-26 日本ラジオ博物館訪問







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