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The Till: SUZUKI V-Strom 1000 ABS DL1000A (VU51A)

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完全な想定外

    毎週末の第3研究所往還生活はすでに7年目。 このまましばらく続きそうです。 いっぽう6年6ヶ月の間の毎週末の夜間長距離高速通勤をきちんとこなし、 ときにオンロード車の範疇を超えた過酷な峠越えツアーを走り抜けてくれた ティーディ は走行12万km、 顕著なオイル消費と燃費の明らかな増大、 パワーの低下とレスポンスの悪化が目立つようになってきました。 車齢20歳、各部の消耗と劣化が進む中で純正部品の供給も終わり始め、 引退させても全く不思議のない状況となっています。

    目下最大の懸念点はエキパイとマフラーの接続部の完全破断で、 補修用の材料費と修理工数を考えるともはやマフラーエキパイの新品あるいは中古品交換しか解はなさそうです。 それで排気漏れ問題を解決したらつぎはただちにチェーンとスプロケット周りの新品交換が必要。 でもそうしたとして、あと1年延命できるかどうか。

    その一方で、ティーディは私のニーズにあまりに適しているので、 同等あるいは凌駕する能力を期待させてくれる後継車種はなかなかみつかりません。

    長いことずっと、いつかはスーパーテネレ、と思い続けてきました。 しかし実際には50歳台も半ばに差し掛かり、自分の体力も日増しに落ちていく中、 装備260kg台のスーパーテネレは山奥で倒したり落輪したりスタックしたりすれば自力リカバリ不可能に陥ってしまうでしょう。 週末に仲良くグループツーリングみたいなぬるい楽しみ方ならいざ知らず、 私の使い方には、非常に残念ですが、もはや諦めざるを得ません。 辛い決断。 指の間から零れてしまった夢。

    すでに数年来予想されてきた700ccパラレルツインのヤマハのアドベンチャースポーツは今年7月のデビューの噂が有力でしたが、 社内のEuro4対応の優先度付けのためか出てくる気配はなし。 T7が出るまでなんとかティーディで繋ぎたいと思ってきましたが、 どうやらそれは無理な様子。 ですし、T7はコンセプトを見る限りオフロード性能に振りすぎていて、 私に本来必要な長距離通勤車の適性に関しては劣ってしまうだろうことも明らか。 900トレーサーは、通勤には適していても、ステップを見ればダートに入ってはならない車なのは明らかだし、 低いマフラーが地面に引っかかって進めないという情けないことになってしまうでしょう。 ティーディ後継にはなり得ません。

    装備230kg台で、山岳不整路走破能力とペイロード積載能力を具備した、全天候夜間長距離高速通勤車。

    山岳ツアー専用車としてなら2016年型アフリカツインがほぼすべての要件を満たしていますが、 スタイルとアウトフィットのラリーレイドテイストが強すぎて、なにかそぐわない。 でももしこのままなにかズバリのモデルが出ないままティーディが毎週の通勤ユースに耐えられなくなったら、 そのときはアフリカツインだな、と考えていました。

    完全に破断してしまったティーディのエキゾーストパイプの修理に使うグラスウールとステンレス締結バンドを買うために、 ヨメとポゴと一緒に第2研究所に向かう途中でオートバイ用品店に寄りました。 同じ建物の中に隣接して、このお店の隣には新車・中古車を売るバイク屋さんがあります。 ママに似合ういい125cc車でもないかね、と、いつも通りに展示車を3人でなんだかんだ言いながら見て回ります。

    するとママが、

「あれっおとうさん、これなんかどう? 山も行けるし、通勤もラクラク」

    V-Strom? 2014年式? こんなのあったんだ。ダークレッドの塗色が落ち着いてて上品な感じだな。

「リヤボックスもついてて背もたれになるしリヤシートもいい感じだよ」とポゴ。

「それにおとうさん、これクラッシュガードとナックルガードに思いっきり転倒痕が入ってて、だからお値段格安。 どうせあなたはこんなキズ気にしないんでしょう?」とママ。

    そこに店員さんが、

「お客さん、転倒歴をお気になさらないのでしたらこれホントお買い得ですよ。 フル装備ですけど、今月末に出る新型の半額です。 さっきもこれをしばらくご覧になっていたお客様がいらして、一日考えてまた明日来るっておっしゃってました」

「でも…あの、ええと、これ車重どのくらいです?」

「調べてみますね・・・あ、229キロです、ケースついているのでそれよりちょっと重いはずですが」

「それって、乾燥じゃなくて、装備で?」

「はい、装備で。車両重量で229キロです。車検証にもそのように」

「じゃあティーディよりも軽いってことか…。」

    ・・・ 却下する合理的な理由がない。

「そうよ、こんな出物なかなかないかもよ。 毎週毎週修理なんかしてないで、あなたもうコレ買っちゃいなさい」

「そうだよおとうさん、買っちゃえ買っちゃえ、今日は父の日だしさ」

「ですね… コレ、ください。」

    もう長いこと悩んでいたティーディ次期車は、たまたま立ち寄った店先でたった15分で、それまで考えてもみなかったマシンに決定。

    完全に想定外の人生!!

   

Suzuki DL1000A

    それにしてもずっとティーディ後継を探していたのにSuzuki V-Stromを失念していたのははたしてどういうわけか。 最初の第3研究所往還機選定は2010年11月で、そのとき機能的要件を高いレベルで満たす車両としてV-Stromも選択肢のひとつでした。 そのときのV-Stromはまだ第1世代で、Ducati Multistrada 1000DS と同様に、 アルペンツアーを主眼にしつつ高い実用性能をもつスタンダードモーターサイクルとして新しいカテゴリーを開拓しヒットしたYamaha TDM850のコンセプトを追ったマシンでした。 が、Multistrada 1000DSと同じくV-Stromはフロントフェアリング・ラジエータシュラウドと燃料タンクを一体の造形物に仕立てたデザインで、 初期の習作ともいえる仕上がり。 視覚上の重心がステアリングヘッドまわりに集中してしまい、 実車の性能には問題がなくとも、私個人的には「絶対にありえない、目を背けたくなる醜さ」でした。 このトンデモ感があまりに強く、「シュトローム」と読まずに「ストローム」と読ませることへの強烈な嫌悪感とともに、 以降私の中ではV-Stromは門前払い、意識すらしたくない、禁忌すべき存在となっていたようです。

    まあこのあたりは後期TDM850のボディワークでも同様の違和感はあって、やはり「ちょっとこれは遠慮願いたい」という感覚でした。 それでもティーディを選んだのは偏にカラーリングの功績。 黒いサイドカウルのためにボディワークが目立たず、 ボディとフロントホイールの視覚的独立性が担保されていて、 フロントフェアリングから燃料タンクへのフローがコンパクトでスムースに見えることが何よりも決定的だったのです。 ティーディは南ア仕様でしたが、このカラーリングでなければTDM850 4TX型は選ばなかったでしょう。

    TDM850を猛追する追手のひとり Ducati Multistradaは、 とんでもなく奇妙なスタイリングを持ち、 私の中ではV-Stromと同様に、「全く縁がなく関わる必要がないオブジェクト」のタグをつけられていましたが、 2010年に全く新しい"アドベンチャーツアラー"として生まれ変わり、 市街地からエンデューロ走行まで対応するとても魅力的なモデル、Multistrada 1200になりました。
    勤務先で毎日見ていたMultistrada 1200でしたが、 ティーディ後継として選択肢に上がってこなかったのは、 まずはそのデスモドロミックのやかましいメカノイズ。 静けさを求めて山に行きたい気持ちをスターターモータを回した瞬間に削いでしまうのではと思えました。 さらには、レーストラックと高速道路しか走ったことがなかったDucatiはヤマの暮らしを理解してはいないだろうという懐疑心。 事実車両を見てみると、美しいボディワークの重要な要素となっている燃料タンクはエラが張っていて、 転倒はおろか立ちゴケでさえ必ずヘコんでしまうだろうこと、 こんな高級なバイクを凹んだタンクのまま使うのは恥ずかしいから燃料タンクを交換するだろうこと、 そのタンクはきっとすごい値段がするだろうこと、 そんなミスは1回では済まずに数回は必要になるだろうこと、 するとそれは避けるべきだから、転倒覚悟の荒れたガレ道には入れないだろうこと、 であれば結局そういう道には最初から入っていく能力がないマシンでしかないのだ、ということ。

    だからMultiにするくらいなら、KTM 1190 Adventureにするべきだ。 オフロードを知り尽くしているKTMなら転倒痕がガリガリに入っていたって勲章として輝く。 それに、幾多のベテランライダーが絶賛する最新のスタビリティコントロールシステムが市街地からオフターマックまで確実な走行を支援してくれるだろう。 それでは、と値段を見ると… ごめんなさい、とブラウザを閉じてしまいます。

    ティーディ後継の長距離高速通勤車が具備するべき極めて重要なファクターに、導入コスト・稼働コストの低さに加えて、 短いターンアラウンドタイムがあります。 金曜日の深夜にフロントブレーキが完全に効かなくなっても、日曜日の夕方にはマスターシリンダーの完全オーバーホールが済んで出発待機状態になれる。 研究所に近いショップに整備を依頼でき、補修部品がすぐに手に入ることが重要な要素です。 これはKTMにはなかなか期待できないことでしょう。

    BMWならいっぱい売れているから少しはいいかもしれませんが、 うう、バイエルンはヤマハXTを叩きのめした悪の帝国なんですよ、私にとって、いまだに。


    というわけでV-Stromは私の中で関与禁止のタグが付いたままになっていたんでしょうね。 すでに人気カテゴリーとなっていたアドベンチャーツアラーとして2014年にフルモデルチェンジを受けたDL1000A VU51A型のことは、 中古車屋で実車展示を見るまでまったく意識の上に浮かんできませんでした。

    契約して家に帰ってすぐに、どこかで見たはずなんだけどと写真フォルダを探してみると、 2014年5月にパシフィコ横浜で開かれた人と車のテクノロジー展で撮影した写真のなかに、 V-Strom 1000 ABSのカットモデルが写ったものがありました。 日本国内の発売開始が2014年06月04日でしたから、その2週間前、発売直前の写真ということになります。 人と車のテクノロジー展はエンドコンシューマ向けの販売促進会ではなくて、どちらかというとエンジニアと業界関係者向けの技術とビジネス展示が主眼ですから、 オフロードライダーの心をくすぐるとかいったショウ要素もなく、インパクトもなく、 ただ、あれ、前に見たのに比べればすっきりしたデザインになったんだ、といった印象でした。 サイドスタンドを立ててステアリングを左に切った状態で右サイドから写真を撮るとたいていのオートバイは間延びして精悍さを失って見えてしまいますので、 それも一因だったかもしれません。

    ともかくも、2012年の時代に販売数を急激に伸ばしていたアドベンチャーツアラーのカテゴリーに参入するために、 既存のV-Strom DL1000をベースに全面変更を受けたV-Strom 1000 ABS DL1000A VU51A型は、 悪く言えばオリジナリティに欠ける二番煎じのコピー、良く言えば既存モデルをじっくり研究して最適化できる立ち位置。 私には私の好みがありますからほかのライダーの書いたインプレッション記事のようなものはほぼ信じませんし読みませんが、 調べれば調べるほど、VU51Aは私が探していたマシンにすごく近いところにいる確信が強まってきます。

    「高額な買い物には1週間の契約保留期間を設けること」のルールがあるわがラボなのに、展示車を見たその場で家族全員合意で即決、 という買い物でしたが、間違った判断どころかすごい掘り出し物の大当たり、であるように思えてきました。 なにしろ展示車を見たときはABSは装備されていないと思いこんでいたくらいですから!




ブーツ新調

    2017-06-25 ライディングブーツ新調
Simpson SPB-201 18144円
DAMM Flapper Syndyブーツ 16200円


Tillwhen

    「納車日なんですけど、週末にしか取りに来れないから、2週間後の土曜日にタクシーか何かでお店に来て乗って帰ります」とお店には伝えておいたのですが、 後日「決算の関係で6月中に納車完了の扱いにしたいのでご自宅までお届けします、配送料いただきませんので」との電話。 そりゃ歓迎。中央研究所でヨメが実車を受け取りました。

「スズキ車初めてかもしれないからってクラッチスタートのこと教えてくれたよ。 フォークシールは消耗品だから保証の対象外ってのと、あとはステムも交換してくれたってさ」

    クラッチスタートはともかく、ははあ、確かに前のオーナーはフォークインナーチューブの清掃を怠っていたんだな、 フォークカバーに隠れて外からでは見にくいけど、最下部が汚れてサビっぽくなってる。 そのうち磨かないといけなさそう。

    この車の商談のとき、お店の人は最初 「前のオーナーさんはバイク初めてで、右にも左にも立ちゴケしちゃったらしいんです、 クラッチレバー先端が折れちゃってるのもそのときに」 なんて言っていたけど、左側のピリオンステップホルダとメインスタンドのキズをみれば立ちゴケなんかじゃあないことはすぐにわかりました。 店員さんはこっちがキズは気にしないけど決してサンデー観光地ライダーではないことが分かると、より正確に現状を説明してくれて、 「実はステアリングステムのステアリングストッパ部が変形しちゃってて、ほら、左右でステアリング切れ角がちょっとだけ違うんです」 と言っていたっけね。

    ヨメは「ステムまで変えてくれて親切なお店でよかったね、 しっかし初めてでこんなでっかいマシン乗ろうなんて前のオーナーさんすごいね、 80あたりから始めればいいのに」と。

2017-06-29 納車 8566km

    ティーディ次期車はきっといわゆるアドベンチャーツアラー車。 山で出くわすでっかい奴だから、デーラ・ボウ、ということで車名は「デーラ」にしようと長いこと思っていました。 し、全く想定していなかったものの、"DL1000A"の型番はどことなく「デーラ」につながります。

    ところがこの名前、いざ提案してみるとポゴから却下を食らってしまいました。 じゃあなんかいい名前ある? と訊くと、「カモちゃんでしょうやっぱり」。 たしかにきれいなくちばしが特徴的だけどさ、カモちゃんはあまりにも可愛らしすぎ。 そんじゃアカガモちゃんかなあ、とか、なかなかいい名前を出してくれません。 嘴が美しいからエトピリカはどうかなあと思いつつ、これまた決定せず。

    いっぽう納車された現車を見ると、やはり鮮やかな嘴のイメージは強く、怪鳥という言葉がただちに浮かびます。 2014年にコンセプトのビッグチェンジを受けたV-Strom VU51Aの外装デザインにはDR-Bigのイメージが取り入れられているとのことで、 なるほど怪鳥のイメージが引き継がれているわけですね。 するとすぐに「怪鳥いつまで号」の語が発現し、すぐさま"Till when?"の言葉が浮かびました。 この思考機序は某クラスタに属する方にしかわからないでしょうけれども、 ポゴとヨメはなるほどねと即受け入れ、これで決定。 愛称は「ティル」です。 タンクと嘴をダークグリーンに塗り替え、白いカッティングシートでワンポイントをつくればさらに怪鳥いつまで号になりそうだな、 などと思いつつ。

    ティーディを継ぐ、山岳不整路走破能力を具備する全天候夜間長距離高速通勤機、Tillwhen。 フルサクセス・クライテリアは、稼働6年、走行10万km (総走行10万8700km)、総エクスペディション270回とします。 峠越えミッション運用成績は必須要件からは外しておきますが、新規300峠行けたらいいなあ。 車両そのもののトラブルや耐久性、あるいは不慮の事故の可能性といった要素はもちろん、 この先ますます衰えていくはずの自分の健康と体力と気力がどこまで維持できるのか、 単身赴任生活がいつまで続くのか、あるいは早期退職勧告を受けて失業してしまったりするのではないかという不安ももちろん抱えて、 怪鳥いつまで号、発進です。 "Till When?" とつぶやきながら、いつまで走ってくれるかな?

2017-07-01 命名

    まずは給油したのちに近場で慣熟走行。 コースはごく軽い慣らしとして、南後箇から三本杉峠を越えて南牧道の駅までの往復。 ダートには入らず、普通に流す程度。 立派なリッターバイクだけれど、アクセル開け始めはかなりジェントルで、大人しく走るのも上手な様子。 必要ない時には静かないい子でいられる、というのは長距離ツアラーにとって大切な素養。

    ティルの任意保険は有効にしたけれどまだETC OBEがついていないので、第3研究所往還はティーディで。

2017-07-02 慣熟走行

#01 三本杉峠 [再]






燃料タンクとくちばしをダークグリーンに塗り替えて白いワンポイントを追加すればもっと「怪鳥いつまで号」になりそうなんだけど…

初通勤

    さあ初の通勤。 ティーディよりも高い位置にあり、より垂直に近い角度に設定できるウインドスクリーンの防風性能はとても良好。 巡航時にヘルメットのシールドを降ろす必要がありません。 パワーはもちろん十分だし、その出方もジェントルでスムース。 トップギアからの追い越し加速も楽。 90km/h以上では強い振動が出ていたティーディに比べ、エンジンの振動はずっと弱く、これは長距離巡航に嬉しいポイント。 リアサスペンションの初期ストロークはソフトで、路面からの突き上げはなく、これもうれしい点。 直進安定はビシッとしたものではないので、疲れが出てくるとやや蛇行してしまうかもしれません。 いっぽうこれは進路変更がたやすいという美点でもあります。 一番気になっていた腰への負担は、やはりティーディに比べてしまうとすこし大きめ。 シートとお尻の相性もティーディほどではなく、1日1000kmを走るとそれなりに疲れが出てきそう。 長距離走行時はパッド入りインナーを使うなどの工夫が必要かもしれません。

    いつもの高速巡航速度では瞬間燃費計はリッター19kmを示しています。 最後の1年、ティーディではこの条件でリッター15km〜14kmでしたので、無鉛プレミアム指定のために燃料単価が高くなっている分は相殺できるし、 ストライドも長くなりそうで、これはうれしいなあ。

    ETC OBEがなくて深夜割引も利かないので、帰投走行は東松山で降り、遠回りのヤマ経由にします。 給油せずとも走り切れる距離のはずですが、やはり不慣れなマシン。 不安なので秩父まで行って給油し、そこから土坂トンネル経由にしよう。 巣掛峠は、巣掛トンネルが開通する以前におそらく ハスラー50 などで走っていると思うのですが、確証がなく、今回初到達ということでログに記入します。 ティルでの初到達記録第1号。

    リフレクタ方式の縦置き2眼ヘッドライトはティーディに比べてずっと明るく、かつワイドな配光なので、 深夜の山道でもさほどには困りません。 が、タイトターンの先はやはりほとんど照らしてくれないので、 コーナリングランプ追加は必要です。 ティーディから外して使うか、あるいは新しいものを買うか?

    夜の峠でひと休みするとき、IG ONでヘッドライトが強制点灯してしまう、つまりヘッドライトON-OFFスイッチがないという現代の二輪車の仕様はとても不満です。 エンジン停止でヘッドライトONままを続けるのはとても不安なので、エンジンをかけたままにするか、 あるいはIG OFFして真っ暗な峠でひとり怯えるか。 ここは改善あるいは対策が望まれます。

    塩沢峠の登りの一部区間には、斜度20度に近いかなり急な上り坂がありますが、 さすがにトルクフルで、斜度を感じさせずにグイグイ登ります。 し、低回転大トルク時のジャダー感も少なく、快適。 タイトターンではティーディよりも自然にリーンアウトが決まります。 というより、全体としてオフロード車の走らせ方が合う車体です。 低速大転舵中も走行ラインを変えるのが楽で、格闘する感覚はなく、大型のボディを意識せずに済みます。 ただしマスの集中感はやはり弱く、フロントからテールエンドまで質量分布していて慣性モーメントが大きいという感じ。 オフロード車のそれではなく、 バンクを使って瞬間的にスパッと向きを変えるといったことはもちろんできそうにありませんが、 長距離ツアー主体の私の使い方にとってみれば、けっこういいバランスだな。

    今夜の路面は完全にドライ。 杉の落ち葉はまだところどころありましたが、 山岳路区間ではABSやトラクションコントロールが介入することはありませんでした。

    全体を通して大きな問題点はなし。 いい感じです。

   
2017-07-07 Expedition 1 帰投走行

#01 千束峠 [再]
#02 巣掛トンネル [再]
#03 巣掛峠 [おそらく初]
#04 土坂峠 [再]
#05 塩沢峠 [再]
#06 ホーロク峠 [再]
#07 小峠 [再]





ETC OBEに一日を

    ETC OBEはティーディのを移せばいいやと思いましたが、しばらく探したものの、OBEの登録書類が見つかりません。 それがなくては車両入替の再セットアップをしてもらえませんからね。 仕方ない、新品を買おう。 年に数回ツーリングに出るだけだったらシート下かどこかにスッキリ収容できるアンテナ分離型がかっこいいのでしょうけれど、 こっちは毎週末ほぼ必ず高速道路を使います。 使い慣れてその存在が気にならなくなれば、一体型の方がずっと便利。 で、用品店に行ってみると、残念、一体型の在庫がありません。 さらに尋ねてみると、系列の別のお店に一台だけ在庫があるのだけれど、そっちのショップではサービスピットがすでに予約でいっぱい。 そこで、品物を確保してもらってそのお店に行きOEBを購入し、 その足で戻ってきて午後3時からこの店のピットでセットアップしてもらう、ということに。

    OBEが置いてある店までは高速を使えば30分ほどで着きますが、 ETCなしでは休日割引も効かないし、なにしろ急ぐものでもないので、普段使わない郊外ルートをつないでミニツーリングと行きます。

    OBEを入手した後は少しの区間観光渋滞している国道を通る必要がありましたが、 いやあ、今日は暑い! 渋滞停車中のティルの外気温計は42℃を示しています。 国道を離れ、交通量の少ないルートに入って気温計が36℃にまで落ち、だめだどこかで冷たいものを。 存在は以前から知っていたものの初めて入った茶店はいい雰囲気で、 注文した手打ち大盛りざるそばが出てくるまでの間に水と麦茶とビンコーラを2本立て続けに飲み、 食後にいちごみるくかき氷を食べてようやく人心地がつきました。

    新品OBEで高速に乗り帰着したときはすでに17時をまわって、結局一日がかりになっちゃったけど、 ようやくOBEが付いて通勤車としての、そして来週に向けての準備が整った!

2017-07-15 ETC OBE取り付け

MITSUBA MSC-BE21 20520円
レインスーツ 12744円
TANAX ETCステー 5075円
ETC OBE取り付け工賃 5000円
ETC セットアップ 2700円



超長距離通勤

    昨年は有給休暇を数日分流してしまったのが悔しくて、調整がつくなら計画休暇を、と考えてました。 幸いにも緊急案件が発生しなかったので、それでは1週間ほど。 ロングツアーに出るなら排気管の新品交換を含めてチェーンやスプロケットやらブレーキディスクやらいろいろとレトロフィットしないといけないなあと考えていましたが、 期せずして今回は新車同様のティル。 ETC OBEはついたし、NV-U37の電源は汎用USBシガーチャージャを使ってインパネのアクセサリーソケットからとります。 作業はUSB Aプラグ-DCプラグのケーブルを一つこしらえただけ。

    スズキ純正両サイドのパニアケースとトップケースをもつティルはそれだけでロングツアラーの雰囲気ですが、 このハードケースというやつは案外にモノが入りません。 ケースの内法よりちょっとでも長いものは入りませんし、 内法は実は大して大きくありません。 サイドケースは横開きなので何でもかんでも気軽に放り込めるというものでもありませんし、 右サイドケースはマフラーの干渉を避けるため内側が大きくえぐられていて、見た目ほどには容量がないし。

    今回のツアーではトップケースは外し、昨年購入したRough&Roadのツアーバッグを使います。 内容量80リットル、必要に応じてさらに気室を拡大できるし、ポケットも大きくて実用的。 防水性能は劣りますが、 プラスチックケースであっても完全ウォータープルーフでもないので、 結局個々の荷物をプラスチックバッグに入れる必要があるのは大差がありません。 し、こっちのほうがずっと雰囲気あるよね。

    さて行先ですが、今回はまったく予定のない気ままツアーを決め込みます。 ということで岩手。 今回はスズキ車だから、30年前のRH250での岩手峠越えツアーの続編、みたいに。 違うのは、今回はすべて宿をとるということと、 当時の数倍の数の峠がデジタル地図にリストされていてすべて電子誘導に依存しているということと、 1日1時間の業務連絡時間帯を設けざるを得ないということ。

    しかしこれらのことも確定はしていないままに出発の前日の夜。 1週間アパートでジャズとワイン漬けでもいいし、短期集中でピアノ教室に通ってもいいし、各駅停車の列車の旅に出てもいいし、 ネバダ・シティの安モーテルに泊まって連日古びれたカジノで夢を見ながら負け続けてもいい。 これぞ本当の自由だ! 無限のようにさえ感じられる可能性の中から選んだのは・・・岩手の観光ホテル。 未来の世界線はぐっと収束しました。

    一気に岩手入りしようと思って常磐道を北上し続けていたのですが、 途中NV-U37のマップに未到達の峠が現れたのを見て、そうだ、今日はこのあたりを先に廻っておいてから一関入りしよう。 午後から天気が悪くなるという話だしね。 ということで新地インターで降り、阿武隈高地北部の、見事に一直線に連なった峠群をめぐることにしました。

    まずは大沢峠へ。 この峠は近年新たに開削された道ですが、供用停止された旧道車道の峠部分も残っています。 ここに限らずこの10年ほど、こういった車道峠の世代交代が進んだところもよく見かけるようになりました。 徒歩道、牛馬車道、軽トラ級の未舗装自動車道、1.5車線の舗装自動車道、そして今は片側1車線の自動車道。 自動車交通時代に生きつづけている峠であっても、自動車用道路だけで第3世代に入った峠が多くなってきた、ということですね。



    鈴宇峠は新しい自動車道が開かれていて、経路上の最大標高地点は旧道と新道とではすこし異なっています。 旧道峠だったはずの地点で停車し写真を撮って、よし到達と走り出してカーブを曲がった先の新道の峠にくると、 峠上の行政区標識にはっきり「鈴宇峠」と書かれています。 新道開削によって峠の位置はすこし動いたけれど、峠としてのアイデンティティはきちんと引き継がれている例、でしょう。 写真を撮ろうとティルを路肩に止めてサイドスタンドで立たせ、マシンから降りようとしたら、 するするっと車体が前進してサイドスタンドが外れてしまい、うわわっと支えようとしたものの、ゆっくりとガッシャン! うわーいきなり立ちゴケだ!!

    峠で一休みをする場合はふつうエンジンを止めるのですが、今回はたまにクルマが通る道ですからハザードを出します。 しかしハザードを出すためにIG-ONのままだとヘッドライトもつきっぱなしで、短時間だから大丈夫だとはいえエンジン停止のままだとちょっと不安、 そこでエンジンをかけたままサイドスタンドを出す… このためにはニュートラルを出さないといけません。 そう、平坦に見えた路面が実はそれなりの下り坂で、ニュートラルを出していたために車体が前に進み、サイドスタンドが外れてしまったのでした。 うーちくしょう。 絶対何か対策してやるぞ。



    高瀬峠は、最初ミスルートしてしまい、小粒径の玉砂利の急坂に入ってしまいました。 こんな砂利の急坂登りでは強介入にセットしたままのトラクションコントロールがほとんど効きっぱなしになってしまいます。 困るほどのことはありませんけど、これは効きすぎだなあ。 ミスルートに気がついていったん戻り、弱介入にセットしなおして正しいルートに。 こちらも砂利の急坂ですが、後輪を軽くホイールスピンさせながらの登坂が自然に行えます。 ラフロード走行時はトラクションコントロールは"1"にセットしておくべきなようです。

    馬船峠はジムニー級ですがかなり荒れており、わだち部は道路中央部に対して5cmから所によっては10cm程度にも掘れていますし、 雨水による溝掘れも少なくありません。 しかし交通量は極少と見えて、路面は一面に草で覆われています。 このとき大型で高い位置にセットされているウインドスクリーンと、大型タコメータと多機能デジタルディスプレイをもつインパネの問題点が明るみに。 いまから前輪が越えようとするすぐ近くの路面が、インパネに邪魔されて見えないのです!!
    インパネ越しに見えている路面はほとんどウインドスクリーン越しに見ることになりますが、 スクリーン下端部は歪んでいるため、路面も歪んで見えてしまいます。 それではと頭を左右に振ってインパネを避けてみようとすると、 右目と左目のどちらか片側だけがスクリーン越しになってしまうので、片目だけ歪んだ像のために立体感が狂わされ、 わだちの深さや掘れ具合、あるいはキャンバーの形状を見誤ってしまいます。
    オフロードライダーはわだちの溝など路面の3D形状を把握して走行ラインを決め、あるいは前後輪の振られ具合を予測して進むわけですが、 路面の3次元形状を見誤ってしまうために、予期せず車体が振られてしまうことになります。 マシンのせいなんかにはしたくないけれど、これはキビしいなあ。

    そう思いながら急坂の登りをどうにか進んでいるうちに、またまた大きくバランスを崩し、足をついて堪えたもののやっぱりダメでゆっくりドサッと。 草に隠れて見えなかったハンドボール大の石を乗り越えるような走行ラインになってしまっていました。 くそー、初立ちゴケだけじゃなくて初転倒もはやばやと記録か。

    ティーディならフロントウインカーが破損していたのでしょうけど、さいわいティルではダメージなし。 サイドボックス取り付けが内側に入り込んでしまいましたが、手で引っ張り出してバキッという音とともに元の位置に戻りました。



    箕輪峠は峠上が採石場になっていて峠部の山体が大きく削られています。 見晴らしはいいけれど、古い峠部は文字通り消滅していました。 これも峠の運命の一つだねと思いつつあたりを見回して風景を眺めていたら、 あれ、これは?

    それはポールに簡便にとりつれられた、紙の塞神さまでした。 峠がもつ意義のひとつ - 地域間インターフェイスのゲートウェイとしての認識 - それゆえ、悪いモノが自コミュニティに入ってこないようにと願う塞神信仰。 すっかり削られ、もはや誰も立ち止まらず通過点にしか過ぎない箕輪峠ですが、 峠の信仰は今でも受け継がれていることが知れました。




    初日は予定より早く宿の近くまで来れましたが、 午後2時、かなりひどく荒れている七曲峠の頂上では、遠くで雷の音も聞こえ始めました。 まだ十分には慣れていないニューマシンでの初ロングツアー、 加えて立ちゴケ・微速転倒・ヤブ漕ぎ走行の連続ですでにかなり疲労しています。 ので、峠から宿に電話をかけ、午後3時に早チェックインしたい旨を告げました。 雨が降る前にお宿に入って休もう。

    すでに消耗しきった体力、荒れた峠の下りで転倒しないよう注意しながら降り、舗装一般道に出て少し進んだら、 雨が降り始めました。 せいぜいあと10分で宿だから、と、レインスーツの用意も億劫になってメッシュジャケットのまま進んだのですが、 道路の先は・・・まるで異界に飲まれたかのように真っ暗です。

    そこへ突っ込んだとたん、まるで洗車機の中の様相。 ほとんど瞬間的にライディングパンツの中もブーツの中も浸水。 台風にせよ夕立にせよヘビーレイン走行は慣れていますが、それでもこんなにも視界を奪われる豪雨はあまり経験がないぞ! マシンはがっちり安定して走ってくれますが、車速を30km/h台にまで落とします。 加えて至近距離に立て続けに落雷。 かなり危険な状況。 本来ならばマシンを止め、マシンから離れて土砂降りの中横たわるべきだったのだと思います。 が、まもなく道路の両脇に建物が続きはじめ、やがて市街中央部に入りました。 幹線道路はすでに脛の高さにまで冠水していました。 クロスウォーターは大好き! なにしろ暑い一日を走ってきたので、全身ずぶぬれが気持ちいい!

    以前に泊まったことのある宿なので入り口は軒付き駐車場になっていることを知っていました。 宿に着いてすぐにそこにティルを滑り込ませると、 そこにはあまりの突然の豪雨にびっくりして出てきて外の様子を見る従業員さんやら、 駐車場まで行きたいけど傘も役に立たないので出るに出られない法事終わりのお客さんやら。 そこに大型バイクで入ったもんだから、 「あれあれこんな雨の中バイクで大変でしたね!」 「ライダーですから覚悟はできてますけどね、こんな強い夕立はほんと久しぶりですよ」 「いやーでもこんなのは普通じゃねえなあ!」 とすぐにみんなの輪に入れて。

    そう、この感覚。私の旅の一週間が始まったことをあらためて感じます。

2017-07-22 Day 1

発時 9503km
着時 10091km
走行 588km

2017-07-22 #01 大沢峠 [初]
2017-07-22 #02 旗巻峠 [初]
2017-07-22 #03 鈴宇峠(車道) [初] 立ちゴケ
2017-07-22 #04 福田峠 [初]
2017-07-22 #05 小斎峠 [初]
2017-07-22 #06 高瀬峠 バラスダート急坂 [初]
2017-07-22 #07 馬船峠 激ヤブで微速転倒 手前でDL1000A進行断念 徒歩 [初]
2017-07-22 #08 明通峠 [初]
2017-07-22 #09 割山峠 [初]
2017-07-22 #10 箕輪峠 [初]
2017-07-22 #11 化粧坂 [初]
2017-07-22 #12 七曲峠 荒廃路 [初]



    Day 2。 昨日午後2時半からの猛烈な雨は夕立みたいな感じで4時頃には止んだものの、 実は東北の日本海側、とくに秋田県で大雨低気圧が活発に活動していて、かなりの被害も出ています。 その影響で岩手も北に行けば行くほど天候は悪い、とのこと。 今回はなにしろ予定なしの気まま旅が目的であり、強い雨の中ひたすら未知の峠を求めて走る責務を自分に課してはいません。 で、宿に尋ねると、たまたま明日も一部屋空いていて連泊が可能とのこと。 そのようにお願いして、一日強い雨の日曜日は文字通りの休息日として、宿でまったり過ごすことにしました。

    雨はさほどには強くないものの、上流からの水かさが増しているために猊鼻渓川下りは途中折り返しコース。 普段なら川底が見える砂鉄川も濁っています。 それでも霧に霞んだ猊鼻渓に響く船頭さんの舟歌は神秘的。 なんかここ、ハマっちゃった気がする。 きっとまたいつか来るだろうな。

    旅先で一日のんびりデーを入れてみたかった、というのはややタテマエな部分もあります。 実際のところ、出発前の金曜日は仕事がなかなか片付かず帰宅は遅くなり、でも夜中に目が覚めてしまって睡眠を3時間しか取っておらず、 その後高速長距離巡行、連続峠越え、立ちゴケ・微速転倒を含むヤブ走行、最後に強烈なストーム。 もう昔のように若くはなく、あえなくダウン、がより正確な表現かもしれません。

    ショートブーツとライディングパンツの組み合わせは脛のプロテクションがほとんどなく、 おそらくヤブ走行のときにバランスを崩しそうになるたびに地面を左足で蹴って、そのたびにステップで左脛を打っていたのでしょう、 脛はあざだらけ。 いったん横になると起き上がれないほどに腰も痛んでいて。 日がな一日ジャズを聴いて、温泉につかってぐだーっと。

2017-07-23 Day 2 走行0km



    Day 3 はまだ雨が残っています。 新調したレインスーツ装備にして出発、大船渡に向かって峠をつないで東進していきます。 最初に向かった鳶が森峠は、峠の手前の経路長1600mの地点で道幅いっぱいに切り出した材木が整然と高く積まれた状態で通行できず。 一関の地蔵峠は名の通り峠にお地蔵様がいらっしゃって、しかも立派なお社に入って、丁寧に祀られています。 歴史と信仰が今に生きる峠。 いまや誰に手向けられずただ通り過ぎる車を眺めるだけのお地蔵さまがほとんどの中、 ここのお地蔵様はお幸せでしょう。



    一関と気仙沼の境、黒森山の北麓を超える経路上にある2つの峠、佐戸巻峠と中谷峠は、本日のハイライト。 路面は2日間振り続いている雨でぬかるんでいて、雑草繁茂もかなりのもの。 基本的には軽トラ級なのでトレール車なら全く走行には問題がないはずなのですが (いま写真で見ると全くどういうこともない道です)、 今回はかなりの恐怖を感じ、ハラハラしながら進んでいきます。

    ティーディよりもひとまわり大柄なボディ、というのももちろん影響していますが、恐怖の理由は大きく二つ。

    ひとつめは、 山側の路肩に掘られている排水溝が雑草で覆い隠され全く見えず、寄ると落ちてしまうかも、 あるいはバランスを崩して足を着こうとしたらそこには地面がないかもしれない、という恐怖。 谷側も雑草で路肩が見えないため、一部路肩が崩れていても気がつかず、転落してしまうかもしれないということ。 スピードを落とし、一本橋教習を思い出しながら慎重に進みます。

    ふたつめの理由は、すでに今回ツアー初日に痛感したのですが、 ティルはフロントの見切りがとても悪いのです。

    フロントフェアリングを兼ねるヘッドライトボディと一体となったインストゥルメントパネルに装備された、 多機能ディスプレイ。 通常走行時は見やすいし、垂直に近く取り付けられたタコメータはどこかヴィンセント・ブラックシャドウを想起させるものがあってとてもかっこいいのですが、 ラフロード走行時はこれが視界を妨げてしまい、 いまから前輪が通ろうとする直前の路面が全く見えないのです。 さらに、ぎりぎり見えている直近の路面はウインドスクリーンの下端を通して見るために、像が歪んで見えてしまうのです。

    わだちが深く掘れていたり、雨水による浸食溝が道路を斜めに横切っている場所を走行するとき、 ライダーは路面の3次元形状を認識し、前輪を通すのに最適な走行ラインをリアルタイムに求めて運転操作を続けています。 ティルでは直前が見えないため、見える範囲での3次元形状を脳内でバッファリングして、 2〜3秒後にそこを前輪が乗り上げる様子をイメージしながら進むことになります。 しかし予想と違うタイミングで前輪が振られてしまうことが連発し、ペースを落とさざるを得ませんでした。
    しぱらくして、これはティルのハンドル周りのボディ形状のために、前輪が実際よりもずっと前にあるように錯覚してしまっていたためだとわかりました。 いいか、惑わされるな、タイヤはもっと手前にある。 自分にそう言い聞かせると、すこしうまく走れるようになりました。

    とはいえ、ただでさえ雑草繁茂がひどくて路面の形状が見えず、近くに来ないと大きな石が隠れていることに気づけないような場合にこれは大きなハンデ! ティーディではウインドシールドの下端部は大きく切り込まれていて、前輪が通る路面への視界を確保していました。 ああ、あれはこのための配慮だったんだ、不整路走行ではこういう部分の形状デザインで走りやすさがこうも変わってくるのか、と痛感。 フロントの見切りの悪さはV-Strom1000の欠点の一つ、と言い切ってしまおう。 まあV-Stromはもともとガレ場に入ることは主眼にはおかれていないわけですし、 この先もっと経験を積んで、慣れてしまうしかないでしょう。





    ・・・などと考えつつ3度目の転倒の恐怖と闘いながら雨にぬかるむ中谷峠を降り、舗装路にでてほっとしたら、 まだ山の中なのに最初の集落になんとおそば屋さんが!

    む、ここは岩手、こりゃあタヌキの仕業に違いない。 であれば、騙されてみようじゃあないか。 お母さんに迎えられて入った店内にはほかに客もなく、雨と汗でずぶ濡れのライダーはおいしい大盛りのお蕎麦と天ぷらで大ハッピー。



        飯森峠にも、立派やお社をつくってもらったお地蔵様がいらっしゃいました。 中の写真をと思いお社の中に身を入れると…突然ネコが! どうやらこのお社に住むネコのようで、食べ物を持ち込んでいる人もいる様子。 その件に関する警告の張り紙も社の内部にあったりして、なかなか複雑。 ネコの食事を狙ってタヌキとかキツネとかも来るようで… 実際ここで雨の中一服していたら、 遠巻きにこちらの様子をうかがっているタヌさんと目が合いました。

    今夜は大船渡温泉。 ずぶ濡れになったウェアを脱ぎ、ひと風呂浴びてから小一時間ほどリモートオフィスして、 さあ何か食べに行こう。

2017-07-24 Day 3

発時 10091km
着時 10237km
走行 146km

2017-07-24 #01 鳶が森峠 断念 [初]
2017-07-24 #02 市道峠 [初]
2017-07-24 #03 地蔵峠 [初]
2017-07-24 #04 笹ノ田峠 [初]
2017-07-24 #05 柳峠 [初]
2017-07-24 #06 佐戸巻峠 [初]
2017-07-24 #07 中谷峠 [初]
2017-07-24 #08 府中越 [初]
2017-07-24 #09 飯森峠 [初]



    Day 4。 大船渡を立ち三陸ICで降り、国道と高速道路インターチェンジ建設でテラフォーミングされてしまった現在の地形のどこが小峠だったのだろうかと非常駐車帯で写真を撮り、 古峠 (生江峠) へ。 「歴史の道浜街道 生江峠」と入れられた標柱は半分草に埋もれてしまい、その歴史の道も草に埋もれ、無粋な「通行止め」のウマ。 生江峠は現国道45号と、先ほど通ってきた三陸自動車道にとって代わられたわけですが、 国道も三陸自動車道も、まあ味気ない道。時代の流れ。

    ややガスがかかった曇り空ですが、大窪山牧場の脇を登っていく赤坂峠への道はすてきな森の道。 スマホのカメラでは心に感じた美しさはとても出ないとは知りつつ、写真を一枚。 赤坂峠は五葉山への登山道入り口でもあり、舗装車道が越える峠ですが、このわき道から登ってこられてラッキーでした。

    リアス式海岸の昔の街道交通はさぞかし大変だったのでしょう。 釜石の海沿いにはそういった古い峠が多くあり、新しい車道が開かれ、さらにトンネルが抜かれ、すっかり自然に還ったところがあります。 いつかたっぷり時間ができたら尋ねてみたいとも思いますが、おそらくは昔の人が新しいルートを開拓しようとした際の努力と同じような作業になるのかもしれません。 桜峠平田線の黒崎峠は立派な片側一車線の車道でしたが、さらにショートカットする峠が開かれ、黒崎峠の区間はバリケード閉鎖。 おそらくこのまま放置されるのでしょう。 ショートカットした峠に「新黒崎峠」とでも名付けてあげたいところです。

    箱根峠を越え (旧箱根峠には寄りませんでした)、仙人峠道路で遠野住田ICまで行ってからUターンする形で秋丸峠へ。 途中日出神社に参拝し、バラスダートの秋丸峠道を登っていきます。道は途中で分岐しますが、秋丸峠への道は狭くて雑草繁茂。 ティルでも入っては行けたと思いますが、いさぎよく諦めてハイキング。わずか500mですからね。 実際にはティルでも問題ないコンディションでしたけれども。

    古くからの仙人峠はきつい山道ですが、1959年に開通した仙人トンネルはいまでも「仙人峠」と呼ばれており、道路標識にもそう書かれています。 トンネルの位置と旧峠の位置は相当に違うのですが、概念としての「仙人峠」が新しいトンネルに継承されたケースですね。 必ずしも「トンネルは峠ではない」とは言えないわけで、やはり峠が峠であるためには「人々にそれが峠だと認識されている」ことが必要。 峠がその命を失うのはだれも通らなくなった時ではなく、人々に完全に忘れられたときなのです。 だから古い峠を書き記し残し伝えることによって、峠は永遠に生き続けられるものなのだろう、と。

    新平田峠の次に笛吹峠に向かいましたが、重要な地方交通路として今に生きるこの峠は災害道路崩落のために通行止め。






    今日のホテルは夕食なしなので、住田の街中でなにか食べていこう。 小さな町だけどラーメン屋さんくらいはきっとあるよね。 で、おや、 なにやらすごくおしゃれなお店 がある。 モーターサイクルツーリストがライディングジャケットで入っていいものなのかしら。

    ここはこの町この地域の自慢の生産品を使った、一流シェフの手による食事をいただけるとの由。 ラーメン屋さんに比べればお値段かなり張るけれど、 今日は昼メシ抜きで走ったから、その分くらいは。 オードブル「あがらっせ」と四元豚ありすポークのグリル。 ノンアルコールビールを飲みながら手短に業務連絡を済ませ、 出てきた料理は、ええっなにこの量? お店のおしゃれ感からは想像できなかったボリュームで、おなかいっぱい! さらにコーヒーもいただいて。 とても優雅な夕食でした。

2017-07-25 Day 4

発時 10237km
着時 10466km
走行 229km

2017-07-25 #01 小峠 [初]
2017-07-25 #02 古峠 (生江峠) [初]
2017-07-25 #03 赤坂峠 [初]
2017-07-25 #04 桜峠 [初]
2017-07-25 #05 黒崎峠 [初]
2017-07-25 #06 恋ノ峠 [再]
2017-07-25 #07 大骨峠 [初]
2017-07-25 #08 鍋倉峠 [初]
2017-07-25 #09 箱根峠 [初]
2017-07-25 #10 仙人峠(仙人トンネル) [初]
2017-07-25 #11 秋丸峠 [初]
2017-07-25 #12 新平田峠 [初]
2017-07-25 #13 赤羽根峠 [初]
2017-07-25 #14 六郎峠 [初]
2017-07-25 #15 白石峠(白石トンネル) [初]



    Day 5。 今回は出発前の週末をETC取り付けなどで費やしてしまい、床屋さんに行けませんでした。 まあ林道ツアーなんだからボサボサ頭でもいいやと思っていたのですが、 思いのほかうっとおしく、前々からやってみたかったこと…旅先で床屋さんに行く、 を決行することにしました。 ホテルを出てすぐの街道沿いに一軒あったのですがその日はお休み。 ので、世田米の街中の床屋さんに。 ほかにお客さんが一人。 お母さんと娘さんはボサボサの珍客を快く迎えていただき、楽しくお話をさせていただきます。

「峠を越えて回っているんです、昨日は赤羽根峠でクマを目前に見ましてね」
「まあこの辺じゃあふつうですよ。赤羽根峠はトンネルができたからみんな通らなくなっちゃったしね。」

    さらに話の流れで柳田國男について触れると、 「ああ、それならこの先の川沿いに柳田國男さんの記念碑がありますよ、この町にもいらしたらしくて」とお母さん。 すると娘さんはすぐに「それにつけても世田米は感じの好い町であった、ってね」。 すっかりサッパリした帰り際、お母さんは 「来店記念です、これどうぞ、峠のてっぺんで召し上がってくださいな」 と、冷えたキュウリ2本をラップに包んだお味噌付きでくださいました。 うーん、なんかアタマもココロもスッキリしたぞ。

    お母さんのおっしゃっていた柳田國男の碑はすぐに見つかりました。 なるほど、名士にこう言ってもらえたらそりゃあ町の人は喜びますよね。 でもその言葉は決してお世辞ではないね、いまでもまさにその通りだよ、 と独り言を言いながら、世田米から朴峠への登り口、林道朴峠線に入ります。

    朴峠林道はバラストダート。 雨続きでしたが昨日今日で路面はほぼドライ、走りやすいコンディションになりました。 朴峠に着いてここでキュウリを、と思いましたが、 マシンを止めるや否や多くのアブがティルのまわりに群がり始めます。 アブはマシンが発する赤外線に寄ってくるのでしょうか、私のまわりにはあまり来ず、 しかしのんびりキュウリを食べる気にはならず、 小休止後につぎの大畑峠へ。

    大畑峠の道はNV-U37にはベクトルデータはありませんが、ラスター地形図と照らし合わせて峠道の入り口をあらかじめ見当つけて電子誘導、 そこからはラスター地形図に切り替えて峠までスムースに誘導。 この切り替えが簡単にできるのはとにかくNV-U37のメリットで、 現在のスマートフォン用電子地図あるいはナビゲーションアプリでは無理。 NV-U37を買い替えることができずにいる最大の理由です。 スマホでできるのはせいぜい観光ツーリングの案内だよ。

    大畑峠は軽トラ級で、路面は悪くはないものの雑草繁茂があり、慎重確実に進んで到着。 残念、ここもアブがブンブン。 お母さん、キュウリはヤマを降りてからいただくね。 峠を降り、舗装路になって最初の民家があるあたりで道端にティルを止め、キュウリをカリポリとおいしくいただきます。

   
2017-07-26 Day 5

発時 10466km
着時 10664km
走行 198km

2017-07-26 #01 朴峠 [初]
2017-07-26 #02 大畑峠 [初]
2017-07-26 #03 蕨峠 [初]
2017-07-26 #04 廻立峠 [初]
2017-07-26 #05 新平田峠 [再]
2017-07-26 #06 辷田峠 [初]
2017-07-26 #07 鶉子峠 [初]
2017-07-26 #08 界木峠 [初]
2017-07-26 #09 忍峠 [初]
2017-07-26 #10 神遣峠 [初]
2017-07-26 #11 馬越峠 [再]
2017-07-26 #12 有宇内峠 [再]
2017-07-26 #13 失水峠 (車道近傍点) [再]
2017-07-26 #14 古田峠 [初]













    今日の昼食兼業務連絡はどこにしよう… 遠野の市街地に近づいてきたのでカフェを探したのですがいい店がなく、伝承園。 もう遅い時間でほかに食事の客はおらず、 ソフトクリームを食べにきたお子さん連れのお父さんが帰った後はヘッドセットを外しPC内蔵のスピーカとマイクで小さな音で国際テレコン。 「今日は基本、君が全部リードしてやってみて。ややこしいのが出てきたらアシストするから」と、 いわば実習中の状態にある海外の若手にモデレートを振りました。 一年前は右も左もわからず状態でしたが、いまはうまくリードしています。 しめしめ、ゆっくりひっつみ食べられる。

    しかしあの国の若いのは、真面目で、素直で、疑問をちゃんと尋ねるし、伸びるのも早いヤツが多いね。 育て甲斐がある。こういう状況だから、もう最近は日本人の若手はあんまりほしいと思わなくなってしまいました。



    Day 6. 遠野宮守の磔峠は今日のハイライトでした。 ものすごい伝説が残る峠ですが、雑草繁茂もものすごくて。 路面は悪くないのでさらに無理すれば進めたのでしょうけど、なにしろ全く路面は見えません。 写真は峠の手前180m地点 (西の達曽部側) で、ここで進行断念。 磔峠の峠上には道祖神さまの石碑がありました。 歴史は草葉の陰に。

    今回ツアーの初日から大型アドベンチャー車の限界を痛感して無理はすまいと思っているのですが、 最初大丈夫なようで徐々にコンディションが劣化していると、引き戻す決心がなかなかにつかず、気がついたらこんな状況で…。 えと、なんでしたっけ、茹でガエル理論でしたっけ、あんな感じ。

    オフロード車ならこの程度の繁茂はわけなく突っ切れるでしょうけどね…悔しいなあ。 「あらゆる道を、冒険に変える」というCMキャッチフレーズを思いついてしまいました。 4WDクロカン車とかアドベンチャーツアラーの広告にありそうですが (本当にあるかも?) 、 あるとしたらそういう意味ですからね。 私としては、「あらゆる冒険を平凡に変える」のが真にすごいマシンなのだ、と思います。 いや、でも、どっちの方が楽しいのかな。



    花巻市の古田峠・滑峠・拝峠は歴史上関連している峠。 古田峠は片側一車線の車道でしたが古田トンネル開削に伴い供用停止、ロープとバリケードで閉鎖されています。 古田トンネル入り口にはトンネル開削記念のモニュメントがありますが「古田峠は、古くから交通の難所であった」と記されているだけ。 それでも記念碑に残されるだけ喜ぶべきこと。 ただしステンレス製のモダンなモニュメントの記載文字はさほどたたずに朽ちてしまうでしょうね (昨日徒歩で到達)。

    滑峠はとくに標識はなくてごくふつうの交通量のない林道の頂上。 これに対して拝峠には古いコンクリート製の鳥居が残っています。 古くからの山岳信仰の対象であり、地域交通にとても重要だった峠道。 峠には詳しい解説板が設けられています。うれしいね。





    私は基本的には道の駅を使いませんが、目的の峠の手前450mの経路上にあって混雑もしておらず、しかもおなかがすいているとあっては… 午後2時半に遅い昼食。 おそばをいただきながら、ラップトップを開いて業務連絡タイム。 急な仕事も発生しておらずオフィスは平常運転。 アイスコーヒーとパフェをいただいて落ち着いたところで、すぐ裏の星山峠へ。



    小田越は30年以上ぶり3回目。 今は休日は一般車規制になっているんですね。 平日ツアーであることを感謝して、交通量の少ない長い峠道を上っていきます。 が、いけね、燃料入れてない。 通ってきたルートにはずいぶん長いことガソリンスタンドはなかったし、30kmとかの範囲内にもなさそう。 こりゃあ当初予定通り小田越で遠野に降りるしかない。 残り距離は、ティーディでは絶対にたどり着けない距離です。 が、ティルのトリップメータ、航続可能距離計、平均燃費計、燃料殘量計、NV-U37の目的地までの距離をあわせて見るに、おそらく20km以上のマージンを持って到着できるでしょう。 パワーは抑え、スピードゆっくり目で小田越への長いワインディングロードを登っていきます。

    30年も経てば道路も構造物も植生も変わっていますからね、来たことのある気もするし、初めてなような気もするし。 静寂に包まれた、開放的で、どこか厳粛な、雄大な景色を望む長く高い峠。 この感覚は小田越のものですね。

    下りはパワーを極力使わず、ときおりクラッチを切ったまま下っていきます。 いやもうそんなことしなくても燃料切れの心配は完全になくなったのでけどね。 遠野の街中に降りましたが、給油は明日に回して今日の宿へ。

    燃費の良さはティーディに比べて大きなアドバンテージ。 郊外一般道走行の条件でティーディではリッター17km、フルタンクで340km。 ティルではリッター20.5km、フルタンクで410km走れます。 実際には十分なマージンを見越しますが、それでも燃料消費率にして15%、航続距離にして70kmの違いは大きい。 とてもありがたいことだし、今回は本当に助かりました。

    街中の旅館は、文字通り歴史のある建物で、実際には戦後間もなくの建築らしいのですが、 案内された部屋はまるで明治の文豪にでもなったかのようです。 私はものすごく暑がりなのでちょっと不安になりましたが、エアコンも快調で、快適。 夕食は広間で、お膳でいただくスタイル。 うわあ、こんなのホントに久しぶりだ。 食事もおいしく、この旅館にしてよかったな。


2017-07-27 Day 6

発時 10664km
着時 10885km
走行 221km

2017-07-27 #01 中山峠 [初]
2017-07-27 #02 雷神峠 [初]
2017-07-27 #03 谷内峠 [初]
2017-07-27 #04 磔峠 [初]
2017-07-27 #05 滑峠 [初]
2017-07-27 #06 拝峠 [初]
2017-07-27 #07 花見石峠 [初]
2017-07-27 #08 古田トンネル [再]
2017-07-27 #09 雀坂 [初]
2017-07-27 #10 八卦坂 [初]
2017-07-27 #11 星山峠 [初]
2017-07-27 #12 山屋峠 [初]
2017-07-27 #13 長野峠(車道) [再]
2017-07-27 #14 折壁峠 [初]
2017-07-27 #15 小田越 [再]





    Day 7。 楽しかったお宿のすぐ近くのお菓子屋さんに寄り、今回のツアーのみやげに明がらすを買いました。 いくら大型ツアーバッグと両サイドバッグがあるといっても、お土産品を積み込むスペースは限られます。 まつだ松林堂 [外部リンク] のお姉さんはスペースを食う箱詰めではなく、中身をバラし、濡れても大丈夫なようにとビニール袋にきれいに詰めなおしてくれました。 こりゃあありがたい。サイドバッグにすっきり積めました。
    「これからどちらへ?」と尋ねるお姉さんに、 「峠をまわってるんですけど、会社の休みを無理してきちゃってるんで、まずは10時からネットワークでつないで会議に出なきゃなんです、 どこか電波の具合がよくて椅子があってあんまりほかの人がいなくてべらべらしゃべっても迷惑にならないところがないかなあって」 「そうですか、遠野はまだケータイの電波良くないですからね、どこがいいかなあ」

    実際には、あらかじめ目星をつけていたところ… 鍋倉城跡公園がズバリでした。 トイレがあるし、ベンチとテーブルがあるし、ほかには誰もいないし、 なにより遠野市街が…移動体通信網基地局アンテナも含めて…よく見渡せます。 途中小雨がちょっとだけ降りましたが支障にならず、 「そんじゃあそんなわけで次は夕方6時に。それまでは多分電波ダメだから」と。

    テレコンを済ませて、給油。 タンクは残り1.5リットル、あと30kmという状況でした。 おおむね予想した通り + さらにちょっとマージンがあった、という感じです。



       

    まったく予期せずに山の中ですごくおいしいおそば屋さんに出くわす、などという幸運はそうそうありません。 そろそろお昼をと思ってもその時間はたいていお店どころか人家すらないような山の中にいますし、 里に下りてもそもそもお店がぜんぜんなかったり。 3回に2回は昼メシ抜きで走っている、という感じ。 昼食をとらずに走りまくって気づかぬうちに糖分不足・水分不足・電解質バランス不良に陥ったことが判断ミスの原因のひとつだったという真因分析結果 もありますので、できるだけ避けようは思っているのですが。

    で、山里の小さな雑貨屋さんでベンチに腰掛け菓子パンと冷たい缶コーヒー、というのも 案外に好き です。 バイパスができて地元住民だけの交通量しかない静かな通りのよろず屋さん、 しかも周囲には地元の人によって維持管理されているミニお花畑だったりプランターだったりがあって、 それ自体がくつろげる場所、というのは実はけっこう貴重だったりして。 見つけたときはハッピーな気分に。



    峠をつないでルートを進め、越路峠から阿原峠への道に入ると、自分でも表情がこわばって来ているのが分かりました。 雑草繁茂のひどい細い未舗装路を慎重に進んで阿原峠まではたどり着けたのですが、 その先はどんどん細くなって、雑草もさらにひどく茂っています。

    基本的にダブルトラックなので、転落を恐れて山側の右トラックに乗って進みますが、 ティルの車体右半分は洗車機の中で回転ブラシを受けているような状態。 ティルご自慢のくちばしが、草を車体右側に分ける役割をしてくれています。 雨は降っていないのに、下半身は水滴をたっぷり含んだ草での連続ブラッシングを受け、 ものの5分でブーツの中は強い雨の中を走ったかのようにぐちょぐちょ。

    軽トラ級の道の路面は実際には悪くないのですが、 なにしろ雑草繁茂がひどく、路面の状態も路肩の様子もまるで分かりません。 もし雨水で路肩が落ちていたら気づかずに前輪を落としてしまうでしょう。 もはや転倒覚悟で進むしかありません。 しかしおなじ転倒覚悟といっても、ボディアクションや路面蹴りで立て直すことができ、 転倒したとしてもダメージも少なくて引き起こしも容易なオフロードバイクの場合とはちがいます。 道幅も狭ければ足元も悪く、引き起こしすらできないかもしれない重量級の大型ツアラー。 恐怖の度合いが桁違いです。 この道幅と雑草ではUターンはできたとしてもかなり難儀、どうにか通り抜けられることを強く願い、 突然の転倒の恐怖と闘いながら、低速で進んでいきます。

    実はこの区間、どういうわけかNV-U37のGPS NMEAログが残っていませんでした。 いちばん道が狭く進みにくかったのは阿原山の南側〜西側稜線の急斜面をトラバースする区間だったはずで、 ローギア半クラッチでの進行でした。 そのあと道幅は少しずつ広がり、やがて阿原山牧場の外縁に出ました。

    もうこれで大丈夫だ! と安心すると、視界は突如広大に開け、宮沢賢治の歌碑と記念碑と東屋が設けられている阿原山高原に出ました。 な、なんてこと! 観光ガイドとかは全く事前調査していない今回のツアー、 突然の神様の思い付きであるかのような天空の世界のプレゼント。 昔それを知らず、全く予期せずに荒川高原の広大な世界に出たときと同じ感覚。

    暑くも寒くもなく、風もなく、物音ひとつしない無人の世界。周囲一様の白い光。 見渡す限りの無感覚。 私が寝ていて見る夢にこういった風景がときおり出てくるのですが、まさにそれ。 ひょっとしたら今私は夢を見ているのか、それとももう生きてすらいないのかもしれない、 そんな思いにさえとらわれるほどの、夢の世界。 この感覚が、私にとってのイワテなのだ。



    私にとって前回・今回の岩手ツアーは、1986年の スズキRH250 での岩手ツアーの足跡をちょっとだけ辿るという意義もあります。 電子航法もなく、正確な道路地図さえなく、宿に泊まらず、食事もまともに取らず、休むことさえためらってただひたすらに走り続けたツアー。 どこをどう通ったのかの正確な記録もなく、多くはない写真とおぼろげな記憶を頼りに、若く無謀だった自分の姿を見てみたいという気持ち。

    深夜の峠にテントを張って雨の一晩を明かした時の写真があって、だけどそれがどこなのかわからず。 記憶を頼りにGoogle Streetviewをさまよって数時間、おそらくここだったはずと同定したのが田原峠。

    阿原高原の夢の余韻に浸りながらヤマを下って今回実際に田原峠に着いてみると、 木々は大きく育ち、テントを張ったスペースは背の高い草に覆われ、様相は一変していました。 が、背の高さほどもある草をかき分けると、そこにははたして、テントの写真に見えている道路開通記念碑がありました。 やはりここだったのだ! 夢の無感覚の天空のつぎは、過去へのタイムスリップ。 1986年08月14日の田原峠到達を最終確認、そして今回再到達の記録。



    田原峠から大東町沖田へ降り、大東町渋民に行く道は、間違いなくRH250で通っています。 当時の写真で「峠」というバス停の前で撮ったRH250の写真があり、そこがどこなのかは30年近くわからなかったのですが、 GoogleのサーチとStreetViewのおかげで沖田渋民線のバス停だということが2年前に判明しました。

    で、今回そこにも立ち寄りました。 すると・・・ そこには単に「峠」という名のバス停が今もあっただけではなく、地元の人たちによって建てられたとてもすてきなパノラマ解説板 --- スチールでできたフレームを通して生の景色を切り取って眺める -- があり、さらに解説板には「中屋敷峠」という固有名が書かれています!! うわあ、はるばる現地に赴いてはじめて判明した事実!

    きっとこの峠のように、古くから地元の人に呼びならわされてきた数多くの峠の固有名は、公式地図に掲載されず、地誌にも掲載されず、 たとえ活字化されたとしても地域住民対象の地区報のみ、インターネット上になぞ公開されておらず。 よってほかの誰の興味も引かず、研究者たちの調査にも引っかかってこずに、知られないままになっているような峠がたくさんあるのでしょうね。

    私の峠データベースには約2700の峠がリストされています。 これに登録してあるのはおおむね名古屋から東だけですので、 日本全国で固有名が地図や文献で確認することのできる峠のざっくり半分が登録されていると考えて、 日本にはおよそ5000の峠があるということになります。 一方でその昔、柳田國男は著書の中で日本の峠の数はおよそ1万5000は下るまいと書かれておいでです。 その数を拠り所にするならば、いまや1万もの峠が、伝承されないままになっているということです。 徒歩交通の最後の時代に少年期だった人々はもはやご存命であっても高齢、 自らインターネットに回想録などお書きになるわけもなく、 この先10年程度の間に1万もの峠があらゆる記録から、つまり歴史から、消え去っていこうとしています。 ああ。





    さあこれで終わり、もう日も暮れかかっているし、普通に国道の峠をひとつ越えて宿に行こう。 国道に出て、安全運転している車列についてちんたらと走っていると、NV-U37のディスプレイに未到達車道峠のシンボルが出てきました。 これは? ああ、鳶ヶ森峠か。 切り出した材木で道が塞がってたんだったっけ。 で、いま走っているのは、その反対側か。 てことは・・・ 分岐入り口がここにある!! ブレーキをかけ車列から離れ、Uターンして、その分岐に入りました。 逆からなら行けるかも!?

    道は交通量のほとんどない軽トラ級になりました。 すでに日は沈んで薄暮状態。普通なら入って行く条件ではありません。 完全に日が沈んでも走れる道路状態でかつUターンが確実に可能な範囲で進み、 荒れ具合がさらにひどくなりはじめたところでティルを止め、ポケットライトを取り出して速足で峠に向かいます。 徒歩で10分、無理しなくてよかった、細い倒木が何か所もあり、昼間ならともかく夜でティルじゃあ危険すぎる。

    ここは国道343号の旧道で、昔はよく利用されていたものの、鳶が森トンネルが開通して利用が激減し廃道化した・・・わけです。 猊鼻渓のお宿の従業員さんは 「はてねえ、もう誰も通らないからなあ、行けるかなあ」 とおっしゃってましたね。 答えは、「通り抜けはできないけれど、猿沢側からなら峠まで行ける」でした。 最後の最後に答えが出せてよかった。

    すっかり真っ暗になった峠で動物の気配におびえながら写真を撮り、ティルに戻って、慎重に荒れた林道を下り、再び国道に出ます。 前には通勤帰りのくたびれた軽自動車がのろのろと、後ろは眩しいヘッドライトで車間をみっちり詰めてくるバカなアルファードに挟まれて辛抱強く耐え、 奥州市-一関市界の峠 (「寺峠」と仮称) で最後の休憩。 車が過ぎ去ればしばらくは漆黒の闇に包まれる国道の峠に、おおっ、蛍が飛んでいる!


2017-07-28 Day 7

発時 10885km
着時 11118km
走行 233km

2017-07-28 #01 土室峠 [初]
2017-07-28 #02 小友峠 [初]
2017-07-28 #03 土越峠 [初]
2017-07-28 #04 糠森峠 [初]
2017-07-28 #05 氷口峠 到達できず
2017-07-28 #06 樺峠 [初]
2017-07-28 #07 下峠 [初]
2017-07-28 #08 鹿喰峠 近傍 [初]
2017-07-28 #09 五輪峠 [再]
2017-07-28 #10 荷沢峠 [初]
2017-07-28 #11 姥石峠 [再]
2017-07-28 #12 種石トンネル [初]
2017-07-28 #13 越路峠 [再]
2017-07-28 #14 阿原峠 [初]
2017-07-28 #15 田原峠 [再]
2017-07-28 #16 中屋敷峠 [再]
2017-07-28 #17 鳶が森峠 [初]
2017-07-28 #18 寺峠 [初]





    Day 8. 朝からフルレイン、でも今日は高速道路でまっすぐ帰るだけ。 岩手ツアーなのにとくに岩手らしいものを食べていなかったので、 ホテルの目の前にある冷麺屋さんの開店を待って。 でも10時になってもお店は開かず、 残念だけど諦めよう。 雨の高速道路を巡航し、 国見SAで国見峠の写真を撮って - スポットでどこが国見峠なのかわかっていませんけれど - 昼食いただいて、デザートに峠のクリームあんみつをいただいて、 岩手ツアー2017は終了。

2017-07-29 Day 8

発時 11118km
着時 11570km
走行 452km

2017-07-29 #01 国見峠 [再] 東北自動車道国見SA


    8日間のツアーでしたが、まる1日の休暇を入れたりテレコンしたりのんびり過ごしたので全行程は2000kmどまり。 まあこんなものでしょう。 合計81峠、うち69峠が新規到達。結構な成果だったとしておきましょう。 丸森峠に立ち寄りそびれたのは、NV-U37へのマーク転送漏れ。 前日の夜にNoobow7300AのSuper Mapple Digitalと見比べてルート検討すべきなのですが、めんどくさくなっちゃうときもあってね。 丸森峠と笛吹峠はふたたび遠野を訪れるためのもっともらしい理由として取っておきます。

全行程
発時 9503km
着時 11570km
走行 2067km

    今回の装備系のトラブルはSimpsonブーツ。 2015年8月から使っていて、今回はよく持った方だと思います。 出発前の段階でかかとは減って穴が開き、防水能力は失っていました。 同じモデルの新品は買ってあるのですが、このブーツは今回のツアーで完全に履きつぶそうと思っていました。 それは事実なのですが…まさか初日にかかとがぱっくり開いちゃうだなんてね。

    この理由は、ツアーバッグを装着した状態では右足をシート上から抜くようにしてマシンから降りるのですが、 疲れてきたり足場が悪かったりすると足が高く上がらずにシートでかかと部のソールをはがす方向に引っかかってしまうためなのです。 まあほとんど支障なく使えて、最終日の国見SAでなお一層剥がれてペタペタ言うようになっちゃって。 でも全行程を耐えて、予告通り履きつぶせたので結果どうにかオッケー!






タンデムで林道を

    ポゴがティルでどこか行きたいというので、涼しくなって天気もいいし、近場にお出かけ。 ごく普通に内久保経由で小峠を登り、赤久縄で新鮮な焼き魚で昼食。

    食事ののち、もう少し回っていきたいというポゴのリクエスト。 さてどうしよう、名無村経由で上日野に降りるか、塩沢峠から万場に降りるか、投石峠あるいは仏南沢峠から妹ヶ谷経由で回るか。 なんにしても一般車やグループツーリングのバイクの後ろについてノロノロ走るのは避けたいなあ。 そうだ、久しぶりに御荷鉾スーパー林道の赤久縄山区間経由にしよう。 ならば、課題として取ってあった杖植峠の旧峠に行けるぞ。 「ダートに入るけど、いいか?」 と聞くと、「いいよ」と即答。では。

    ホーロク峠 の手前のY字分岐を鋭角右ターンすると、道はすぐにフラットなバラスト砂利になりました。 実はこの区間に来るのは、本当に久しぶりです。 XT400・RH250の1980年代はもちろん、1999年以降はスターワゴンで深夜にしょっちゅう走っていたのですが、 いまだにこの区間のGPSトラックがないところを見ると、最後に走ったのはいのぶ〜を買った直後、ザラメ雪で撤退したときで、 それ以降は皆無だったようです。 その気になればいますぐにでも行けるところだから、と思い続けてはや何年、だったわけですね。

    みかぼ自然公園管理事務所のトイレにポゴを寄らせて、再スタート。 赤久縄山北面の道は荒れておらず快適。 タンデムですから無理はしませんが、パセンジャーの存在はほとんど意識する必要がなく、 さすがこれはビッグアドベンチャーツアラーならでは。

    NV-U37が杖植峠到着を示した場所からは、南に作業道が伸びて、赤久縄と日向山を結ぶ稜線を超えています。 ここはティルで入るにはためらう状況だったのでマシンを止め、 私はNV-U37で、ポゴはスピーカ内蔵のウォークマンFでそれぞれ好きな音楽を鳴らし山道を歩き始めます。

    しかしその道は古来の杖植峠を示す場所からはむしろ遠ざかってしまいました。 ちょっと違うみたいだな、戻ろう。 師匠は「車道近傍点からほんのちょっと歩いて登ったところにある」と言っていたから、その言葉からして、 またむかし徒歩道があったとすればどこを通っていただろうかと推測し、む、たぶんあのあたりのはずだ。 「ポゴ、ちょっとそこで待ってろ、多分すぐそこだから行ってくる」。

    作業道から山に入り、伸びたやぶ草をかき分けると、あ、あった。 それはお地蔵様でも馬頭観音でも古い道標でもなく、木に打ち付けられた古いブリキのプレート。 これだ… いつか必ず見にいくぞと思ったのはいつのことだったのか… ようやく来れた。 「おとうさん、どう? 何かあった?」 「あったあった、古い標識。 これが見たかったんだ」 「写真撮って、見せてね」 「おう、今から撮るよ」

    元禄国絵図にも描き表されている深い山の中のこの古い峠は、当時はおそらく6方向からの道が交わる、重要なウェイポイントでした。 日野と万場が領地争いをしたときに標識として杖が立てられ、それが名の由来と言われています。 自ら歩き、名著「群馬の峠」を著した岩佐徹道さんは、合計150の群馬の峠のなかで、 最後の峠としてこの杖植峠を選びました。 いま峠に残っているのは、1971年に岩佐さんがこの峠に到達したときの記念として取り付けたもの。 当時はほかのワンダーフォーゲルチームの到達標識とともに杭に取り付けてあったようですが、 いまでは岩佐さんの標識だけが峠の大木に取り付けられて残っています。

    考えるとこの岩佐さんの標識は、1971年に取り付けられたものだから、もう46年も前のものです。 御荷鉾スーパー林道の杖植峠区間は、1980年には未開通でした。 今なら林道からほんの1〜2分で峠の標識に会えるわけだけど、1971年、岩佐さんは古来の峠路を歩いていたわけです。 「群馬の峠」の最終章に、岩佐さんは4時間かけて杖植峠に着いたとあります。 1980年代に全線開通した御荷鉾スーパー林道は峰つなぎの道なので、 杖植峠いまやぜんぜん峠なんかじゃありません。 地形的に特徴がある地点でもないので、 休日には何台ものオフロードバイクが通るけれども、だれ一人止まらず、ただ通過するだけ。 標識もないんだから、まあしかたありません。 でもせめて、由来を付記した小さな標識でも立ててあげたいところです。 林道ライダーにさえ立ち寄ってもらえない忘れられた峠は寂しいばかり。

    杖植峠から日向山の北斜面を西進する区間は、雨水による溝掘れがかなりひどくなって、 普通車では走れないほどに荒れており、一部道幅も細くなっています。 が、もちろんオフロードバイクなら全く問題なし。 ポゴを後ろに乗せていることもあってティルではさすがにトレール車のように気軽に進むわけにはいかず、 深い雨溝を避ける走行ラインを慎重に左右にとって進みます。 が、タンデム状態であるにもかかわらず操縦性は良好なままで、 ここは大型アルペンツアラーの美点です。

    今回は八倉峠の手前から青倉に降りるルートを。 「ふーう、やっぱりダートは疲れるよおとうさん、舗装になってよかったね」 「でもここは交通量がなくて路面が一面にコケ蒸してるところがあるだろ? ダートなんかよかずっと滑りやすくて危険だからゆっくり行くぞ」

    どこかカフェで冷たいものでも飲みたいねと話をしながら一般道を進みますが、このあたりは道沿いにそんな気の利いたお店なんかないのは二人とも承知。 さりとて下仁田の街中に入って茶々に寄るのも面倒になり、 惰性で三本杉峠を超え、もういいや、帰ろう。 でもやはり冷たいものが飲みたくなって、額部のいつものコンビニで一息。 ああ、パナップグレープがおいしい。


2017-09-02 赤久縄・みかぼスーパー林道 親子ミニツアー

#1 小峠 [再]
#2 杖植峠 [再] [旧峠地点に初到達]
#3 三本杉峠 [再]












タイヤ交換

    DL1000A純正装着のブリジストン・バトルウィングはアドベンチャーツアラー向けのラグパターン主体のもので、 これなら非舗装路でも具合がいいかなと期待しましたが、 残念、これといった違いは感じられませんでした。 バラスト砂利やソフトサーフェスでは全く歯が立たず。 まあ考えてみれば、なんとなくそれっぽく見えるというだけの話であり、 ほぼ完全にブロックが摩耗しきったオフロードタイヤと同じようなものなわけですから、 期待する方が間違ってます。 すでに8000km以上走っているタイヤなのですからオフロード性能は相当低下しているのでしょうが、 だからといって8000kmでタイヤ交換していたのでは私の使い方では半年しか持たず、サイフへの負担は大。

    いっぽう舗装路ではというと、特に何の好印象もなく、しかし小雨に濡れたマンホールのフタでは確実に滑ります。 ありゃあ、ティーディではそんなこと全然なかったのに。 これはエンジンパワーがあるためなのか、はたまたオフロード走行に少し振った車体ジオメトリのせいなのか。 一瞬リアが滑った場合は、イニシャルストロークが大きいリアサスをもつティルはティーディに比べて再グリップ後の揺り返しがちょっとばかり大きいです。 ま、練習もかねてマンホールドリフトを積極的に楽しんだりしてるんだけどね。

    さて、ティルを中古で買ってからもうすぐ走行5000kmになります。 オドメータは1万3100km。 リアタイヤはまだあと2ヶ月は行けそうですが、 フロントは2週間後あたりにはウェアインジケータに達してしまうはず。 未舗装路でのアドバンテージはほとんどなく、小雨程度の街中でツルツル滑っちゃうタイヤ。 ぼちぼち台風シーズンだし、とっとと交換してしまうのがいいでしょう。

    ティルは全天候長距離通勤機ですから、本来任務の適性を大きくスポイルするオフロードタイヤは入れられませんし、 ちょっとそれっぽいだけで実質何のメリットもないなら純正タイヤのようなパターンをもつタイヤも不要です。 荒れた林道の低速走行で滑ってバッタン、はもちろんイヤですが、低速ゆえにケガの可能性は低く、 だれも見ていない山奥では人目を気にする必要もありません。 が、大雨の市街地交差点や山間部ワインディングとかで転倒するのは避けたいですし、高速道路での転倒は絶対に避けなければなりません。 やはり最優先すべきはレイン性能。 それにアルペンロードでの運動性能と適度なライフを考えると、ミシュラン・パイロットロード4トレイルを超えるタイヤはなさそう。

    ティーディの時はパイロットロード4シリーズはフロントに合うサイズがなくてリアにパイロットロード4トレイル、 フロントにパイロットロード3を使っていました。 ティルのリアはティーディと全く同じサイズ。 フロントは19インチで、ずばり純正サイズのパイロットロード4トレイルが用意されています。 注文して、翌週にピット入庫し、交換してもらいました。 今回はオートバイ用品店・車両販売店共通のショップに依頼。 多くの数の車両の整備をこなすのでしょうから不具合情報とかは多く持っているのかもしれませんが、 私がどのようなオートバイの使い方をしてどのような好みを持っているかをしっかりわかってくれているかかりつけ医師の安心感はありません。 まあ、実績あり間違いなしチョイスの純正サイズの単なるタイヤ交換だから、心配はいらないか。 担当してくれたメカニックさんのきちんとした対応に好感をおぼえて、安心して走り出すことにします。 さて、マンホールでの滑り具合はどうかな。

    エア圧はフロント2.5、リヤ2.9。

2017-09-09 タイヤ交換 (フロント1回目 リア1回目) 13153km

F: Michelin Pilot Road 4 Trail 110/80R19MC 21100 + 2860
R: Michelin Pilot Road 4 Trail 150/70R17MC 25700 + 3400
計 48,920円




    翌週末の中央研究所向け帰投走行は山岳路経由で。 荒れ気味の未舗装区間には一部ジムニー級も含まれていましたが、 ぬかるんでいない限り確実に進んでくれます。 オフロード車のようにかっ飛ぶわけにはいきませんが、 純正タイヤに比べ決して劣らず、むしろ使い込んで慣れている分、ずっと安心。 慌てず落ち着いて進む限り、問題なし。

    第3研究所向け走行は台風が日本列島縦断、さっそくにパイロットロード4の真価発揮かと思いましたが、 幸いにフルレインは5分間が3回程度、残りはほぼ降っておらず、テストにはならず。 しかしさらに次の週の中央研究所向け帰投走行は全行程フルレイン。 台風の中のヘビーレインというほどではありませんが、高速道路の透水性舗装区間でもけっこうなスプレークラウドを撒き散らしながらの走行です。 が、ティルはビシッと安定して直進します。 む、これってティーディよりもイケるかも。 フロントにも最新のパイロットロード4トレイルが入っていることと、フロントが19インチになっていることの恩恵でしょう。 もちろん過信は禁物、しかし安心感は純正タイヤの比ではなく、やっぱりこれだね。

    ところでフルレイン高速走行では、意外なことに、 ウォーターシールドパンツの上に使い込んだレインパンツを穿いた状態で、太ももの背側表面からの浸水が気になりました。 なんだか今までにない浸水パターンです。 これはリヤタイヤからのスプレー巻き上げのようです。 ティーディはリアホイールに密着する形の、スイングアーム側固定タイプのリアフェンダーを持っていました。 やはりこのタイプのフェンダーはレインツアーには有効な様子。 調べると、社外品で2014年Vストローム1000用のリアフェンダーが販売されています。 欲しいなあ、でもちょっと値段するなあ。






久しぶりに赤城へ

    役所に用事があって平日に休みをもらいました。 要件そのものは短時間で済むのですが、平日に本人でないと扱ってくれず遠隔地サービスもない、というのはそろそろなんとかしていただきたいですね。 というかいまどきあり得ませんね、民間のサービスでは。

    さーてせっかくの平日休み、天気もいいし、近場しか行けないけど、そうだ赤城に行こう。 クルマでドライブを楽しむ人も近年では減ってきて以前ほどではないにせよ、 ルートの選択肢が少ない山頂までは休日はノロノロ運転に付き合ってパレード走行しかできませんからね。

    しかし当初予定していた大胡赤城線は赤城温泉の先から道路完全崩落のため通行止め。 ざんねん、富士望峠・牛石峠それに車道からちょっと入ったところにある軽井沢峠には行くことができません。 この道はたぶん高校生の頃に走っていると思うのですが、確証なく、よって富士望峠・牛石峠も未達ステータスのままなのです。 群馬県人って言ってもね、私は西上州がテリトリーなので、赤城山は県外に出かけた感覚なんですよ。

    仕方なく観光メインルートの前橋赤城線へ。 登り始めちょっとしたら2台前の先行車がわき道に入り、前走するスーパーセブンがペースを上げます。 さすがに軽量スポーツカーの走りはシャープだ! こっちも本気にならないとついて行けないスピードですいすいコーナーを抜けていきます。 こりゃ楽しいや、今日はタイヤのショルダーが削れるな、と思う間もなく、 残念なことにノロノロ走る車列に追いついてしまいました。 おそらくお年寄りが運転するeKは安全な場所で後続車に道を譲ってくれましたが、 つづくハリアーは大して変わらないノロノロ。 最後まで道を譲ってはくれず、結局は休日と大差のない7〜8台でのパレード走行。 スーパーセブンさんはつまらなさそうだったなあ。

    新坂峠・鳥居峠で写真を撮って到達確認ステータスにしたのち、 赤城神社を参拝。 観光客もさほどにはおらず、のんびり静かに参拝できました。 さらに五輪峠で写真を撮って、都合 今日は3峠到達確認。 外輪山の峠ハイクはいつかまたの機会に。 帰りは、前回はいつ通ったのか全く記憶がない北面道、そして西麓広域を経由して高速に上がり、帰路へ。 すごく久しぶりの、観光地ツーリングルートでした。 平日ならこれもいいよね。

2017-09-29 役所のついでに赤城山観光ツーリング

2017-09-29 #1 新坂峠 [初] [おそらく再]
2017-09-29 #2 鳥居峠 [初] [おそらく再]
2017-09-29 #3 八丁峠 [初] [おそらく再]
2017-09-29 #4 五輪峠 [初] [おそらく再]




オイル交換

    オイル交換は5000km毎と思っていましたがお店に行く機会を逃し (面倒になってしまい、の意)、 納車整備後6200km走行。 本日、行きつけのショップでようやっとオイル交換。

    今週はECM交換のサービスキャンペーンのハガキが届いていましたが、 そのショップではダイアグツールがないからできません、とのことで。 扱い台数が少ない街中の小さなショップではもはや最近のオートバイの整備はやってもらえないのです。 まあ仕方がないけども。 ティル買ったお店に頼むか。

    ティルに乗り始めてすぐ、朝の通勤出発時にプスンとエンスト、その後も何回か、そして昨晩も1回エンスト。 電子制御燃料噴射なのにエンストするんだ、やっぱり大排気量ツインではアイドルからのアクセル開の制御は難しいのかな、 とか思っていました。 発生するのはたいてい走り出して間もない時ですし。 それにネットに上がっているインプレッション記事でも、エンストがなければバランスの取れたいいマシンなんだけどとかいうのがありましたので、 ティル個体の不具合ではなさそうです。 こういうもんなんだ。 ただ、一時停止時とか交差点中央で右折待ちなどのときにプスンとエンストされてしまうと立ちゴケの危険性が高いですから、 いつも用心していないといけません。

    でも届いたハガキによれば、今回のサービスキャンペーンの対象事象はいままで経験していたエンストの症状にほぼ合致します。 む、ソフトウェア障害だったのか。 クラッチスイッチの検出が遅れて、エンジン回転急上昇、しかし車輪速は上がらないからトラクションコントロールが点火抑制してしまう、 とかかなあ。

    エンストとは違う案件で、朝エンジンを始動したときに赤色のFI警告灯が点灯ままになることがあります。 すでに4〜5回は起きたかな。 確証はありませんがメインキーをONにしてすぐにセルを回すと起きやすいような気がします。 初期診断中に電源電圧が変動して外部負荷の故障診断を誤る、とかだとすれば、 これまたすごくありがちな現象。 こういう不具合を未然に防ぐには、システムとしてのオートバイ全体とその使われ方を熟知しておく必要があるんだよね。 大手の自動車会社でも最近では自分ではクルマ持ってませんとかペーパードライバーですとかいう若手エンジニアさんが増えてきているようで、 ベテランさんは若手育成に困っているらしくて。

    ともかく、今回のサービスキャンペーンのユースケースでエンストするとしたらそのときはクラッチを切っているわけですら、 いきなり後輪をガツンと止められて立ちゴケ、の可能性は低そう。 ECM交換を急ぐべき事象ではありませんけど、ラボの近くのショップではやってもらえないとすると、 なんだかんだで1日使う必要があるかな。 ところで対応はECMをアセンブリ交換。 CAN経由でリフラッシュとかするのかと思ったけど。

2017-10-09 チェーン清掃給脂
2017-10-14 オイル交換 4800円 14801km フロントフォークインナーチューブ下端部清掃




かなり贅沢

    10月後半に腰痛が再発。 いわゆるギックリ腰の症状ではなく、脇腹の筋肉…腸腰筋…が起床時に痙攣し、激しい痛みを数分間こらえ、 痛みが治まって起き上がろうとしても再び痙攣しそうになり無理、ほとんど動けない状態に…といった様子。 WhatsAppでマネージャ連に一日休暇をとる旨を伝え、第3研究所で静養しました。 椅子に座っている限りは大丈夫なのですが、横になって休んでいるうちに寝てしまい、起きるときに再び激しく痙攣。 うわあ、これはきつい。

    週末に中央研究所に戻るのは無理かと思ったのですが、 土曜日の夕方には歩くのは無理でもいったんまたがってしまえばオートバイの運転はできそう。 第3研究所から中央県所までは、最小で左足を5回着くだけで行けます。 首都高の渋滞が解消するのを待って出発。 実際には護国寺の先で工事渋滞、なんべんも左足を着くことになってしまいましたが、 痙攣は出ずに到着できました。 ふう。

    左腸腰筋の痙攣は、目覚める瞬間に無意識につよく伸びをしていて、その動きがきっかけとなって起きていることが分かりました。 ので、目覚める瞬間に自然に伸びをしようとしている体に「ちょっと待ったああっ!」とやったら痙攣の発生は回避することができました。 日曜日は大痙攣は起こさずに済み、静かに静養。

    月曜日も休暇を取り、病院へ。 X線写真を撮って驚いたことに、腰椎が見事にS字に湾曲しています。 もう数年来、腰と腰の筋肉が左右アンバランスになっていることには気がついていましたが、 これほどととは。 左腸腰筋の大痙攣も、結局は神経の圧迫によって起きていたもののようです。

    この腰痛騒ぎで、10月にとろうと思っていた2日分の休暇は病欠に使う羽目になってしまいました。 し、紅葉のベストシーズンの山岳ツアーを楽しむこともできず、今年の秋は終わり。

    11月も半ばになってどうにか腰が以前と同程度まで回復したので、11月ぶんの有給休暇はすこしお楽しみに使おう。 でも新潟・長野方面は先週降雪したので、もう標高の高い峠越えは無理。 しかも前日夜は遅くまで仕事が立て込んで、前夜発もできないし、 土曜日は朝から要件あり。 いっぽう、めざちゃんは今週月曜日からお寿司が食べたいと言っていて、だけれど毎晩遅くまで仕事が続いてお寿司を買って帰れなかったので、 じゃあどこか海沿いに行ってお魚を食べよう、ということに。 うつの初期症状からの早期回復のためにお魚を食べに行ったあのとき と同じように、東京湾フェリーで千葉に行こう。

    普段はなかなか立ち寄れないラフ&ロード店舗でグリップヒータを買いました。 先週からぐっと冷え込んだので、ティルにはティーディから受け継いだラフ&ロードのハンドルカバーを装着しました。 これがあれば気温が5℃以上から全く平気、0℃までは耐えられます。 でももうすぐディープ・ウインター。 休暇を取らない限り行けないラフ&ロード店舗に立ち寄り、グリップヒータを買いました。 日曜日にでも取り付けよう。

    買い物の後、東京湾フェリーターミナルのある久里浜に向かいます。 首都高K号線に乗る前に給油し、 今回は全線100km/h未満の走行にしてティルの燃費の伸びも見てみるという研究も入れましょう。

    あらかじめ時刻表を見ることもなくフェリーターミナルに着いたら、 前回とは違って今回は出航まで1時間30分待ち。 ターミナルで軽食を採ってのんびり待ちます。 ほかに2台1組のライダーさんがいただけで車両数も少なく、もう寒い時期なこともあって最上階デッキはガラガラ。 白い波頭が出ている東京湾を横断するフェリーはそれなりに揺れて、 それでも空はすっきりと晴れ渡り、 浦賀水道を行きかう船舶と、羽田に降りようとする航空機の脚出しを眺めながら、短い船旅を楽しみます。 空いている平日の東京湾フェリー、いいよなあ。 なんか今日はこれを楽しみに来たようなものだねぇ。

    フェリーからロールオフしたときはすでに夕暮れの光。 すぐさま本日のネタ、鳥居岬に。 山岳地の地形で「岬」とは珍しいですね。 ここは「峠」には含んでいないリストや文献が大半な一方で、峠と同一にカウントしているものもあり、 私の峠データベースの中でも。 なので、まあ一応立ち寄って写真でも撮って、到達ということに。
    ここはマザー牧場の経路上にあります。 マザー牧場は小学校だかのときの遠足で来ているはずなので、ひょっとしたらバスの乗客としては到達済みなのかもしれませんけどね。 でも関越自動車道もなかったあの頃、群馬から鹿野山までバスはずいぶんな時間がかかったはずですけれども、 ちっとも記憶がありません。 いずれにせよこれで、鳥居岬を含めて5つの千葉の峠は到達済み。 私のデータベース上で、都道府県で初の、100%到達達成です。 もっとも木の根峠は富津館山線の車道峠に行っただけで旧道・本来の木の根峠には行っていません。 ここは千葉に行く理由を残すため、とか、わけのわからない理由で。

    さて困った。 本日はこの先、どこも行くところを考えていません。 めざちゃんの、おいしいおさかなが食べたいというリクエストのみ。 まあ、あまり南下はせず、とりあえず太平洋岸の道を走れば、 おいしい海鮮をいただけるお店があるでしょう。 久しぶりにNV-U37を単純な電子マップとして使い、気の向くままにうろうろしながら太平洋を目指します。 すっかり日が暮れて、長生村で海岸線沿いの道に出て、 ここからいいお店はないかなと見ながら北上。 最終的に九十九里の九十九里倉庫で、お刺身定食+はまぐり汁+追加でホタテ刺し。 たらふく楽しく食べて、ミッションアコンプリッシュド。

    さてあとは帰るだけなのですが、あわてるわけでなし、 ティルの一般路燃費を見るために高速には上がらず、 成田を抜けて稲敷から圏央道へ。 一車線の圏央道で70km/hで走るトラックの後ろについていると、ティルの瞬間燃費計は30km/Lを示し、 平均燃費計は24.0km/L越え。 航続距離は480kmにも達する見込みです。いいね。

    このまま北関東道経由で帰るつもりだったのですが、 退屈を紛らすための 「群馬に帰る45の方法」 のネタにしようと思い、 東北道の利根川橋で群馬入りした後館林で降り、 一般道で富岡へ。 到着時は給油後のトリップメータが400km越え。 行動13時間、総走行420kmの遠回り帰宅通勤ツアー終了。 プラス、オドメータは1万7000kmを超え、車両購入時のほぼ倍、 私がめでたくこのV-Strom 1000 ABSのドミナントライダーになりました。

    あ、ごめん、今回はお土産はナシね。

2017-11-24 おさかなたべたいです帰宅通勤ツアー

















魂が書き替えられた

    昨年10月の腰痛再発後、12月最終週にまたまた重症化。 足の、とくに左足の神経がやられてしまいました。 年末・正月休みはとにかく横になって、文字通りの寝正月。 ティルの運転操作には支障がないのが救いで、中央研究所-第3研究所の往還と毎日の通勤はどうにかこなすことができました。 が、1月末の海外出張はごめんなさいしてしまいました。 目的地の空港につけば毎日専属運転手つきのハイヤーで移動できますが、 巨大なハブ空港でのトランジットに耐えられるとは思えなかったので。

2017-12-23 チェーン清掃給脂 18181km

    2月になって30分は歩けるようになり、また杖を使う必要もなくなるほどに治ってきましたが、 しかしティルの整備作業は怖くて行えず。 買ってあるグリップヒータも取り付けることができず、そうこうするうちに梅が咲く春となってしまいました。

2018-02-24 エンジンオイル交換 20184km

    今週はようやくエンジンECU交換のサービスキャンペーン作業に入庫。 約1時間の作業ののちに上がったティルのエンジンを始動すると、 違いはいきなり明らか。 始動直後のアイドルが高く、スロットルグリップのわずかな開操作には応答しません。 ええっ?

    走り出すと、まるで魂が書き換えられてしまったかのようです。 アイドルからの軽く短いアクセル開に鋭く反応していた心地よいツキの良さがすっかり消え、 強力だったエンジンブレーキも平凡に。 赤信号停止直前のクラッチ断でスロットルを全閉すると、 1秒ほど1700rpm前後を保持してから1200rpm前後に落ちます。

    こういうセッティングになっちゃってるバイクってよくあったよね、パイロットエアが多めになっているとか、 あるいはスロージェットがきちんと吹いてないのでアイドル回転を上げざるを得ずスロットルが閉じ切っていない、みたいな。 たいていの場合は古くてろくに整備もされていないようなバイクで、クタビレ感満載の。 ひょっとしてエンスト対応策というのは、無負荷スロットル閉になったときにすぐにアイドル回転までには落とさず、 意図的に短時間アイドル回転を上げることによってエンストを防止する、ということなのでしょうか?

    ともかくいまでは、機敏さ・鋭さ・レスポンスの良さ・爽快感・ダイレクト感さらにはハイパフォーマンスを取り扱う責務感とか悦びとか、 そういったものがすっかりなくなってしまいました。

    郊外一般道から山間部の中速ワインディングに入ってペースを上げ、さらに中低速ターンがつづく舗装林道に入ってみます。 S字切り返しでのスロットルOFF-ONや、ターン進入のシフトダウン操作は滑らかになり、気遣いの必要性が大きく減りました。 と同時に、パワフルなマシンを豪快に振り回して乗りこなす愉しみも大きく色褪せてしまいました。 まったく、SUキャブの初心者向けエンジンになってしまった感があります。

    シャープな印象が全くなくなってしまった半面、しかし、千回以上のコーナリングが必要な、 一日に30峠を越えるようなツアーでの疲労はかなり低減されるはずです。 であればこれは長距離山岳ツアラーとして歓迎されるべきキャラクターかもしれません。 その変化の良い側面を味わいたくば長距離山岳ツアーに出ろ、ということでしょうか。 うむう、腰のリハビリに真剣に取り組む必要性が増したぞ。

2018-03-10 エンジンECU交換サービスキャンペーン 20770km





    今回は走行インターバル2600kmでチェーン清掃給脂。 前回チェーンクリーナーで脱脂し過ぎて、 先日の雨の後アウタープレート一面に赤サビが出てしまいました。 CRC5-56をスプレーし、真鍮ワイヤーブラシでこすこす磨き、 チェーンクリーナで清掃した後チェーングリスをスプレー。 ピカピカなチェーンなんてショーモデル専用車だけ。 脱脂したらプレート側面にもちゃんとグリス塗らないとね。

2018-03-11 チェーン清掃給脂 20796km




    お昼は家族で富岡の昭和50年代の動態保存な喫茶店に行って昼食。 帰ってきてからティルをシフトペダルのガタが大きいなあ、と見ていて、 ペダルシャフトボルトが緩んでいることに気づきました。 スパナで締め付ければいいだけですが、 ついでですからシャフトをいちど取り外し、グリスアップして再組付けましょう。

    ところが、シフトペダルがペダルシャフトから抜けません。 なんでだろうと見てみると、 前オーナーが転倒したときにペダルシャフトが接地して削られ、先端に削れバリが出ていたのです。 このバリにペダル穴が引っかかって出てこないというわけ。 ペダルシャフト先端のバリ部にファイルをかけて削り、ペダルを取り外しました。

シフトペダルをよく見てみると、シャフト部のほかにペダル先端、 リンケージロッドピローボールジョイント取り付け部の3か所に擦過痕が入っています。 ふうん、これが立ちゴケなんですかね中古バイク屋の営業さん? まあそれはいいとしても、長らくオフ車乗りだった私はシフトペダルは可倒式であってほしいなあと思ったりします。

シフトペダル先端の全周をファイルで削って整形し、リチウムグリスを塗り、 再組付して完了。 ペダルシャフトのペダル抜け防止にはスナップリングが使われています。 今回の作業で痛めてしまったので、純正部品でひとつ注文しておきましょう。

2018-03-11 シフトペダルシャフト緩み修理 20796km







群馬に帰る45の方法

    ティーディとティルの世代交代のころ - 2017年6月のころから、7年目に入った毎週毎週の週末通勤が退屈になってきたので、 とある極私的研究を始めました。 名付けて「群馬に帰る45の方法」。

    第3研究所から中央研究所に帰るにはどこかで群馬県に入るわけですが、 じゃあオートバイ通勤で利用可能な群馬県の県境をすべて使ってみよう、というゲームです。 峠越えハント的になってしまっている今の私は、ともすると一度尋ねた・エリアには再び行く動機が希薄、となってしまいがち。 でも身近な群馬の峠は、それでは寂しいでしょうと。

    すべての群馬県境を制覇するといっても、 栃木県足利市・佐野市・栃木市および埼玉県加須市との境は地続きになっていますからそこを含めると収拾がつきません。 そこで、桐生市の白葉峠より南から利根川境までは除外することにします。 また、移動手段は単一のモーターサイクルに限定します。 もし別のオートバイを事前にデポしておくワザを認めると、可能な経路がさらに増えてしまいますから。 さらにもちろん、徒歩を認めたらそれこそ峰越国境のバリエーションルートのどこでもOKになって収拾がつきません。

    地図を参照しオートバイで通行可能な県境をリストアップしてみると、45箇所あります。 これなら2年かそこらは楽しめるゲームになりそうだ。

ということで、以下のルールを策定しました。

  • ゴール: 第3研究所を出発して中央研究所に到着するルートが通過する群馬県境のユニークなものすべてを利用する。
  • いちど群馬県に入ったら、その後群馬県から出てはいけない。
  • 白葉峠より南から利根川境までは対象外とする。
  • 出発から到着まで同一1台のモーターサイクルを利用する。
  • 実際の第3研究所→中央研究所の通勤で使用すること。
  • 途中の宿泊を認める。

  •     これは楽しい! すでに300回をカウントした週末の帰宅通勤が、一気にワクワクアドベンチャーになります。 人に理解してもらい難い楽しみですけれどもね。

        さて、というわけで今回は国道17号の三国トンネルで群馬に入るルートを使います。 第3研究所は、中央研究所に行くルートをNAV-U37で計算させるとまず一番近い東名高速のインターに向かえという指示が出るような場所にありますので、 三国トンネル経由で群馬に帰るというのは酔狂度最高クラスのルートの一つ。 これはさすがにもったいないので、上越市で前泊して上越の峠越えをしながら三国トンネルを目指すことにしました。 って、これじゃさらに酔狂ですよね。 楽しいよ。

    2018-05-26 上越前泊峠越えツアー









    WSSワイヤーハーネスクランプ

        ティルの軽洗車とチェーンメンテしてて・・・あれえ、フロントWSSのワイヤーハーネスクランプの取付ボルトが脱落してる。 汚れ具合からして昨日のオフロード走行中に外れたものではなさそう。いつからだろう。

        手持ちステンレスM3ボルトで固定して修理完了。
    2018-05-27 フロント車輪速センサワイヤーハーネスクランプボルト脱落 修理





    パーフェクトな峠

        金曜日は疲れてしまい、土曜の朝に帰宅することにしました。 せっかくなので05時出発で、有間峠を経由することにします。 この峠を越える広河原逆川林道は埼玉県内では珍しい長距離ルートで、しかも峠は景色が良いとあって人気のコース。 しかしいままで1回もここに来たことがなかったのです。 たまに行ってみようかなと思うと災害崩落で長期通行止めだったり。 また、名栗湖周遊道路は夜間通行止めが入っているので、深夜帰宅ルートにも使えず。

        それにしてもこの峠、その名前になんとなくなじみの薄さを感じていましたが、Wikipediaによると「有間峠」の名前を与えられたのは2006年とのこと。 それじゃ不思議はないですね。 いまでは新しい峰越林道が開通してもその峠に名前が与えられることはまれ。 峠はそれが峠だと人々に意識され、名前というアイデンティティを与えられて命が宿る・・・と思っているので、 眺めがよく素敵な峠であっても無名のままなのは不憫です。 有間峠、名前が与えられてよかった。

        広河原逆川線を降りて裏山に降りた後は、大切にとっておいた埼玉の未到達峠があつまる小鹿野へ。

        この中で、一本杉峠は峠越えログブックのなかで1985年01月20日にXT400で到達と書かれているのですが、 はたして本当にそうだったのか確信がいまひとつ。 こういう小さい道はXT400時代に使っていた昭文社10万分の1道路地図では正確には表現できていないはずで、 一本杉峠から西北西に1.7kmの位置にある巣掛峠を通ったときに誤って一本杉峠通過、としてしまったのかもしれません。

        さて現代の電子地図、昭文社スーパーマップルデジタルでは、一本杉峠のある尾根の稜線に車道が通っています。 が、このクラスの道になるとスーパーマップルデジタルのデータは信憑性が低いです。 以前に事実上の道迷い遭難をしてしまった場所でも、実際には徒歩道・登山道さえ全くないところに狭車道が描かれていましたし。 NV-U37をラスター地形図モードに切り替えてうろうろし、稜線道への入り口を見つけることができました。

        峠のすぐ下にぽつんと「秋葉神社」との額がついて鳥居があり、そこで道はT字路になっていて、峠まで軽トラ級の道がついています。 途中Uターンはできないし停止することも危険な急坂の細い道を、えいやっと掛け声をかけて登ってみると、はたして峠につきました。 展開も可能な広さがあり、やれやれ安心。

        (このセクション未完)








    ちょっと早い気がする

        第3研究所を朝早く出て、有間峠を越え、秩父吉田方面の峠巡りをしながら中央研究所に戻りました。 帰着後にマシンを見ると、あれ、リヤタイヤがクギを踏んでます。 クギ踏みはやはり交通量のすくない道路や未舗装ダート路のほうが確率高いのかな。

        チューブレスタイヤはクギを踏んでも即座にパンクで走行不能にならないのは本当にありがたいことです。 チューブレスタイヤ修理キットを使って修理。 でも早目に交換してしまった方がいいなあ。 第3研究所向け走行はエア圧低下に用心しながらの走行。

    2018-06-09 リアタイヤクギ踏み パンク修理 25786km

       
    2018-06-10 ナックルガード新品交換 ハンドルバーバランサスクリュ―曲げ修正

        月曜日の朝出社しようとして、あれっ、ヘッドライトが点かない。 ハイビームは点きますから、これはバルブ切れかな。 ちょっと早いよね、ティーディに使っていたボッシュ プラスホワイトは6年半10万km経っても切れていなかったのに。 もっともティーディはバルブ印加電圧がわずかに低くてすこし暗いけどずっと寿命が延びていた・・・というのはありそうでしたけど。

        どのみちタイヤ交換を第3研究所近くのお店で依頼しようと思っていましたので、明るいうちに仕事を切り上げ、バイク屋さんに。 行ったのは初めての街中のバイク屋さんですが好感の持てる紳士的な対応。 バルブは在庫があり交換してもらえました。 タイヤは今と同じミシュラン パイロットロード4Trailをと思ったのですが、 ロード5トレイルなる新モデルが出ているとのことでそれに。

    2018-06-11 ヘッドライトロービームバルブ切れ修理 部品・工賃込み 3900円

        週末金曜日夕方に入庫しタイヤ交換。 中央研究所向け走行はライトレインでしたが、 あれ? いくら新品とはいってもマンホールで滑るぞ。

    2018-06-15 タイヤ交換 (フロント交換2回目/タイヤ3本目 リア交換2回目/タイヤ3本目) 前後ミシュラン ロード5トレイル 25858km 59670円

    2018-06-17 フロントブレーキレバー新品交換 3980円













    これも通勤

        今回目指すのは長野県上高井郡高山村から上信スカイラインで老ノ倉峠を越え、 そのすぐ先で上信国境稜線を越えて吾妻郡嬬恋村に入るルート。

    2018-08-04 毛無峠







    台風を避けて

        先週の土日は酷い台風でした。 第3研究所行きの時間帯が関東地方の暴風雨のピーク、さすがに月曜日お休みをいただこうかと思いましたが、 予測より数時間台風の進みが遅く、富岡は小雨だしたいして風も強くありません。 最近は台風の進路予測だけでなく、各地の風向もすごく精密に予測されるようになっています。 関越道上りのほぼ全線で向かい風となるタイミングを見計らって出発。 強い向かい風で、100km/h巡行でも瞬間燃費計は130km/h巡行時とほぼ同じ燃料消費を示しています。 もし追い風ならリッター30km平均で走れたかもね。 時折のガストで進路は乱されますが、しっかりニーグリップしていれば十分に落ち着いて対応可能。 雨はひどくなく、快適に第3研究所到着。 するとまもなく雨がひどくなり、そして第3研究所開設以来初の猛烈な風。 幸い被害はありませんでしたけど、覚悟するレベルでした。

        さて、金曜日に計画休暇をいただいて、金・土の2日でひさしぶりに長距離通勤に出ようとしたのですが、 また台風が近づいているようで。 降水確率をみると、新潟・山形がほぼ雨なしの予報。 金曜の早朝に第3研究所を出て、首都高・常磐道経由で山形を目指します。 東北に行くなら東北道よりも常磐道のほうが楽しいのでいつものルートどりだったのですが、 いけね、台風が来ているんだから今回は内陸寄りルートをとるべきだった。 それに気がついたのは、思いのほか強い雨の首都高三郷線走行中。 上下ウォーターシールド装備ですがシャツの袖の前腕部はそこそこ浸水してしまったので、 守谷SAでレイン装備にします。 実際には守谷を出てさほど経たずに雨は上がり、福島県内は全線ドライ。 湯ノ岳PAでレインジャケットを脱いで、磐越道・東北道を進み、白石ICで降りてツアー開始。

        今回もやはり峠めぐりツアーですが、のんびりゆったり気まま的な感覚で。 NV-U37に登録してある峠マークを頼りに、誘導開始。 今回1番の四方峠は旧峠の歴史を語る案内板あり、道はデリカ級のダートですが整備が入っていて、 峠には新しく立派な石の標柱。さらに湯殿の石碑、馬頭観音さま、それに金毘羅さまも。 これは出だしからいい峠に会えた。

        国道48号作並街道の関山トンネルは関山峠の近代化の位置づけ、よって峠とカウント。 可能な限り国道は避けるのが私のスタイルですが、ここは代替ルートなしなのでのんびりと。 トンネルを通過して山形関山街道に入り、こちら側から関山峠旧道に入ります。 先週の台風の影響でしょう、荒れ気味の砂礫質の未舗装路は水分を多量に含んで足元を掬います。 ミシュラン ロード5トレイル装備のティルの限界に近く、慎重に進み、お、旧トンネルに到着。

        国道48号関山トンネルの旧道にあたる関山隧道は明治15年開通。 関山街道旧道は水を多量に含んだ砂礫質で荒れており、ミシュラン ロード5トレイル装備のV-Strom 1000ABSの走行限界に近く、 足元をしょっちゅうすくわれながら進みました。 死者23名重傷者8名を出す火薬爆発事故に遭いながら開削された関山隧道は仙台-山形間に荷馬車を通すことを可能にし、 山形の開発に大きく寄与しました。

        関山峠を下り、今回のツアーの目標に向かいます。 その名もジャガラモガラ。 1年ほど前でしょうか、この地方の峠と山岳路を俯瞰するために地理院地図をスクロールさせていて見つけたものです。 いったいどんなところなんだろう。 お、案内標識が出た。 直近の駐車場にティルを停め、徒歩道に入っていきます。 10分ほど歩いて、ジャガラモガラに到着。

        (このセクション未完)

    DAY 1 2018-10-05

    #01 四方峠 [初]
    #02 すずらん峠 (蔵王) [初]
    #03 芋峠 [初]
    #04 関山トンネル [初]
    #05 関山峠 [初]

    DAY 2 2018-10-06

    #01 イロハ峠 [初]
    #02 地蔵峠 [初]
    #03 山毛欅峠 (山形) [初]
    #04 三本杉峠 (山形) [初]
    #05 茎ノ峰峠 [初]
    #06 愛染峠 [初]
    #07 宇津峠 (小国) 新宇津トンネル [初]
    #08 桜峠 (小国) [初]





    年末年始はお休み

        ふと見たらフロントブレーキパッドの残りがかなり薄くなっています。 エンジンオイル交換の時に部品発注、 翌週に交換作業を依頼。 フロントブレーキパッドは3万km持つ・・・ですよね。 ティーディの運用後期、純正補用品の供給が終了して社外品を使うようになりましたが、 タイヤの寿命よりもブレーキパッドの寿命のほうが短いというのは長距離通勤車にはふさわしくない状況でしたからね。

    2018-09-08 エンジンオイル エンジンオイルフィルタエレメント交換 30643km
    2018-09-16 フロントブレーキパッド交換 30919km パッドセット @5700 x 2、 送料1000、工賃3000円 計16632円
    2018-10-08 ドライブチェーン給脂 32668km

        昨年買っておきながら酷い腰痛のために取り付けられなかったグリップヒータを取り付け。 右グリップラバーの内側は単純な円筒内面ではなく、スロットルグリップスリーブ外周に設けられた凹凸にはまる形状になっていて、 ラバーの空回りを防ぐ工夫がされています。また内側ツバ部もスリーブのツバにはまりんで、グリップラバーのすっほ抜けを防いでいます。 よく造られているなあ、いい工夫。

        しかしそのためにグリップヒータを取り付けるのは一苦労。 ヤスリでスロットルスリーブ端部ツバの外径を削ったり、 グリップヒータも全長をわずかにカット。 ちょいと苦労しましたが無事に取りつき、 ステンレスワイヤでワイヤリング。 ちょっと力を入れ過ぎてスリーブのストッパ部を痛めてしまったかな? アクセル閉のときの遊びが少し大きくなってしまいましたけど。

        グリップヒータ電源取り出しは、いろいろ考えましたが、結局インパネのユーティリティソケットから分岐。 ユーティリティソケットはヒューズボックスの中で専用の3Aヒューズを介しています。 取り付けたグリップヒータの電流は実測していませんが、最大55Wと書かれていますので、5A近く流れそうです。 3Aヒューズでは明らかに不足ですから、同形状の10Aヒューズに交換しておきました。 ユーティリティソケットの配索線は太くありませんので、定常的に8〜9Aを流されたら電圧降下は大きいだろうし、 配線の過熱の心配もあります。 お勧めはしません。 が、6Aを越えるのは本当にどこかがショートしたときだけ。 しばらくこれで様子を見てみます。

    2018-10-21 グリップヒータ取り付け

    2018-12-16 エンジンオイル交換 35401km
    2019-01-06 ドライブチェーン清掃・給脂・張り調整・時計合わせ 35984km






    ウインカーが出ないよ

        水曜夜、今日の仕事終わり。勤務先から帰宅しようと通りに左折で出て加速しながらウインカーを戻そうとして、あれっ? ウインカー出し忘れてた。カッコ悪いな、初心者ヘタクソライダーに見られちゃうよ。

        次の信号で右折。 赤信号だな。きちんと30m手前でウインカーを右に出そうとして、 あれっ! やっぱりウインカー出ないじゃん!

        信号待ち中にウインカースイッチを左右にカチャカチャやったりキャンセルアクションしたりして、 あ、ウインカー出るようになった。 なんだったんだろう。

        翌日木曜日も発生。 どうやらターンシグナルスイッチの接触不良みたいです。 適切なタイミングでウインカーを正しく使うのは安全運転の基本・・・ おまわりさんに捕まらないとかカッコつけるとかじゃなくて、事故に遭わないための不可欠な要素。 ウインカーが出ない状態で第3研究所から中央研究所への通勤コースを走るのは危険すぎます。

        なので、簡便な工具しかないけれど、第3研究所駐車場の常夜灯の下で懐中電灯を併用して修理作業を開始します。 左ハンドルバースイッチボックスを取り外し、ターンシグナルスイッチ部分を分解してみました。 すでに4万km近く経っていますのでホコリ汚れはあるだろう、 接点をコンタクトZで研磨すれば治るだろうとの予想です。

        ターンシグナルスイッチ機構と接点部を見ると、 ちょっと予想とは違っていました。 内部はグリスでべたつきまくっています。 潤滑と防水目的のグリスが流れ出して汚れを巻き込んでしまい接点の導通を阻害しているのだろうか。

        スイッチレバーやターミナル部分それにスイッチボックス内部を電子回路用洗浄スプレーを使って洗浄し、 柔らかいタオルで汚れを拭き取り、ターミナル接点部分を磨き、再組付しながら接点復活剤をスプレーします。

        スイッチボックスを組み上げてハンドルバーに取り付けてレバーを操作してみると、 いままでにない軽い操作感でウインカーはかくあるべく点灯しました。 プッシュキャンセルアクションも正常。 左右に何回もテストして、一度も動作不良は出ません。 よし、直ったぞ。

        とりいそぎの夜間軒下修理は完了。 グリスを拭き取りすぎたことによってなにか支障が出るかな? ちょっと心配は残りますね。

    2019-02-06 ウインカー出ず発生
    2019-02-07 ターンシグナルスイッチ分解清掃 37265km








    3万キロサマリー

        オドメータがもうすぐ38566kmを越えます。 8566km走行の中古でティルを買ってから1年9ヶ月、3万kmを共に過ごしたことになります。 ティーディの修理のための資材を買うために立ち寄ったバイク屋さんでたまたま見つけ、 ママに「毎週毎週修理なんかしてないでコレ買っちゃいなさい」と言われて私のマシンになったティルですが、 全天候夜間長距離高速通勤機としての任務適性はティーディのそれ以上。 ウインドプロテクション性能はずっといいし、 すごく低い位置まで下側が伸びているフロントフェンダで雨天走行も快適、 1000cc90度Vツインは振動も少なく、低速のジャダーも少なく、 燃費が良くて同じ20リットルタンクでも70km余分に走れるし。

        メカ的にもほぼトラブルフリーで、毎週末の通勤をしっかり走ってくれています。 サービスらしいサービスは、

  • エンスト癖のリコール - ソフトウェア対策-ECU交換
  • フロントブレーキパッドキット交換
  • フロント車速センサハーネスガイドブラケットボルト脱落-新品ボルト組付
  • シフトペダルシャフト取り付け緩み - ペダルシャフト清掃修正組みなおし [前オーナーの転倒による]
  • フロントブレーキレバー折損新品交換 [転倒のため]
  • ナックルガード新品交換 [前オーナー/現オーナー転倒のため]
  • ロービームヘッドライトバルブ切れ交換
  • ウインカースイッチ動作不良-分解清掃
  • ロービーム光軸下げ調整
  • スロットルケーブル遊び再調整

  • くらいのものだし、装備追加改修はいまのところ

  • グリップヒータ取り付け

  • だけです。

        タイヤは新車装着品を含めて3本目がもうじきウェアインジケータ。 2本目はリアのクギ踏みで残り2分山で交換でした。 チェーンはガシャガシャ音が気になってきましたので、 4万kmで前後スプロケットとリヤブレーキパッド含め新品交換予定にします。

        2017年後半からは週末は家族とともに過ごす時間を増やそうと思ったこともあり、 ツアーに出た回数はわずか。 2017年07月の岩手8日間ツアー、 2018年05月の新潟前泊1日、 2018年10月の山形2日間くらいなもので、 あとはせいぜいエクステンデッド通勤のみ。 ティルで新規到達した峠の数は134峠にとどまっています。 今年はもうちょっと遠出したいね。

        転倒は2017年07月の鈴宇峠での立ちゴケ (ニュートラルを出してサイドスタンドで停車しようとしたら思いのほか下り坂でサイドスタンドが外れた)、 同日に雑草繁茂のひどい馬船峠 (宮城山元町) で草に隠れていたハンドボール大の石ころに乗り上げてバランスを崩し低速転倒、 2018年06月に小鹿野の団子坂峠のヌタヌタの下りで右足をブレーキペダルから離してしまい車速を抑えられず微速転倒、 2018年10月に山形朝日町の茎の峯峠で急坂登りタイトターン直後のレイントレンチにはまり込み極微速転倒。 計4回の転倒を記録しました。 鈴宇峠での立ちゴケを除けば3回とも250cc級のマシンでなら何の問題もない場所で車重を支えきれずに倒してしまったわけで、 荒れたジムニー級の急坂ではやはり軸距1555mm・装備229kgのVストローム1000は大きすぎ、重すぎ。 幸いに今のところ、携帯してあるロープホイストとラチェットウインチのお世話にはならずに済んでいますけれども、 年ごとに進む体力の衰えをひしひしと感じる今日この頃。 腰はなかなか良くなりませんが、それでも体力づくりしていかないとなあ。

    2019-03-10 ドライブチェーン清掃・給脂・張り調整・ロービーム光軸下げ・スロットルケーブルあそび調整 38551km
    2019-03-22 前後タイヤ交換 ミシュラン ロード5 39001km 組み替え工賃 税込 55,720円














    春の山へ

       
    DAY 1

    #01 腹摺峠 [初] 徒歩道
    #02 長坂峠 (長坂トンネル) [初]
    #03 杉峠 [初] 神社がある峠
    #04 中代峠 [初]
    #05 ほうろく峠 [初] 現地で初認識 フラットダート稜線林道が通過する
    #06 炭焼田峠 (炭焼田トンネル) [初] 通過

    2019-03-28 湯谷温泉宿泊

    DAY 2

    #01 八昇峠 [初]
    #02 越境峠 (座頭転/江京峠) [初]
    #03 ちんだ峠 [初]
    #04 炭焼田峠 (旧道) [初]
    #05 おおだ峠 [初]
    #06 宇津峠 (浜松) [初]
    #07 大地野峠 (旧峠)[初]
    #08 大地野峠 (大地野トンネル) [初]
    #09 地八峠 [初] 徒歩道 峠上に3体の石仏
    #10 和山間峠 [初]
    #11 島中峠 [初]
    #12 桜峠 (田の田和) (新城) [初]

    2019-03-29 新城 一色 宿泊

    DAY 3

    #01 松山峠 [初] 道標・馬頭観音碑・秋葉山金毘羅権現石碑あり
    #02 裏谷峠 [初]
    #03 伊勢神峠 (伊勢賀美隧道) [初]
    #04 伊勢神峠 (伊勢神トンネル) [初]
    #05 ほりきり峠 [初] 千人塚 石仏あり
    #06 長井坂峠 [初]
    #07 水別峠 [初]
    #08 栗の木峠 [初]
    #09 大桑峠 [初]
    #10 木ノ実峠 (旧トンネル) [初] 旧トンネルはロープ閉鎖
    #11 木ノ実峠 (新木の実トンネル) [初]










       
    2019-04-01 チェーン給脂40276km
    2019-04-07 ドライブチェーン・スプロケット前後新品交換 リヤブレーキパッド新品交換 エンジンオイル交換 40696km
    オイル 3.1L 4650円
    オイルフィルタ 1100円
    ドライブスプロケット 4400円
    ドリブンスプロケット 5600円
    高砂RKチェーン GV525XXW-116 24710円
    リヤブレーキパッドセット 6300円
    エアクリーナフィルタ 3200円
    工賃・税込み 69293円







    お地蔵さんめぐり

       
    DAY 1 2019-05-16

    #01 小夜の中山 [初]
    #02 田原坂 [再]
    #03 和田峠 [再]
    #04 御前石峠 [初]
    #05 四辻峠 [再]
    #06 杜宇ノ巣峠 [初] ロープ閉鎖 徒歩で到達
    #07 日折峠 [初]
    #08 仏ヶ峰峠 [初] 新東名高速道路開削により完全に破壊された
    #09 梅谷越 (善南寺越) [初] 地蔵尊あり
    #10 牛洞坂 [初]
    #11 花立峠 野村坂 [初] 石碑
    #12 岩坂 [初] 地蔵尊あり
    #13 岩坂トンネル [初]
    #14 仁坂坂峠 [初]
    #15 金坂峠 [初]
    #16 鹿穴峠 [初] 地蔵尊あり
    #17 杉坂峠 [初]
    #18 平井坂峠 (平井坂トンネル) [初]
    #19 尾並坂峠 [初] 地蔵尊あり
    #20 坂の峠 [初] 地蔵尊あり

    関 宿泊

    DAY 2 2019-05-17

    #01 檜峠 桧峠 (美濃-関) [初]
    #02 見坂峠 [初]
    #03 タラガトンネル [初]
    #04 タラガ谷越 [初]
    #05 馬越峠 [初]
    #06 笹方峠 [初]
    #07 夕谷峠 [初]
    #08 堀越峠 [初]
    #09 鹿倉峠 [初]
    #10 小川峠 [初]
    #11 東俣峠 [初]
    #12 伊妙峠 [初]

    明宝 宿泊

    DAY 3 2019-05-18

    #01 大洞峠 (郡上) [初]
    #02 東俣峠 [再]
    #03 一谷坂 (一谷坂トンネル) [初]
    #04 横平峠 [初]
    #05 油坂峠 (穴馬越) [初]
    #06 檜峠 (桧峠/国坂峠) (郡上)[初]
    #07 新軽岡峠 [初]
    #08 松ノ木峠 [初]
    #09 山中峠 [初]
    #10 坂本トンネル [初]
    #11 西ウレ峠 [初]
    #12 松原峠 (小糸坂) [初(再)]
    #13 櫟峠 (長坂) [初(再)]
    #14 平湯トンネル [再]
    #15 安房トンネル [再]
    #16 塩尻峠 [再]
    #17 笠取峠 [再]
    #18 ふるさと林道物見線の峠 [初] 群馬に帰る45の方法 #43

    龍馬峠 断念 入口ロープ閉鎖 私有地内
    坂本峠 (大原峠) 断念 両方向ゲート閉鎖
    有巣峠 断念 民家の庭先敷地内を通ってゆくため躊躇





    クラッチスイッチ修理

        しばらく前から、始動時にスタータリレー入らず症状が出ています。 なんかいのぶ〜の持病と同じだね。伝染ったかな。

        でもこれは確実にクラッチスイッチの接触不良であることが分かっています。 発生したらクラッチレバーを数回握りなおしてから試せば確実に始動できます。 し、もしたとえば山の中で接触不良が持続するようになったら、 クラッチスイッチ根元でハーネスを切断し、ショートさせればOK。 しかしV-Strom1000ABSでは走行中もエンジン制御ECUがクラッチスイッチをモニタしていて、 たとえば停止直前のクラッチ断時にアイドル回転数を短時間高めに維持することによってエンストを防止しています。 クラッチスイッチがクラッチ断を検出できないということは、信号待ち時にアイドルがやや高いままということになるのでしょうか。 あるいはトラクションコントロールがクラッチ断時のエンジン回転数上昇を駆動輪空転と認識してしまったりするのかな? いずれにせよ、直しておいた方がいいでしょう。

        クラッチスイッチを取り外してみると、 スイッチのプラスチックハウジングには内部接点が覗ける小穴が開いています。 スイッチは密封式ではなくて接点は外気や水分に晒されているわけですね。 小穴から接点洗浄剤をスプレーし、黒ずんでいた接点を軽く研磨しました。 スイッチの動作は正常になりました。 費用ゼロで修理完了。

    2019-06-02 クラッチスイッチ接点不良修理 約44320km





    車検

        早くも2年経ったのね・・・年齢を重ねるにつれ、時間の進みがとても速く感じられます。 いつもお世話になっているショップのオーナーさんが体調を崩してしまい、 しばらく重整備はお休みということで、車検は第3研究所近くのショップに依頼しました。 継続車検ならば県外ナンバーでも問題なくやっていただけるのですね。

        ありがたいことに入庫中は代車も出してもらえました。 スズキ Let's 4。 うわー50ccの2輪スクーターなんて何十年ぶりだろうか。 東京在住時代にXT400の代車として出してもらったヤマハ アクティブのデジタルメーター仕様でグンマまで往復したことはあったけど、 それ以来だったりするのかな? 50ccの4ストロークエンジンはとにかく大人しいし、 シャシーはまるで安定感がなくてサスペンションは住宅地の道路がダート路みたいに感じられるし、 困りはしないけれども、よくこんなの乗ってられるなあという感じで、 通勤に使ったのみ。

        車検そのものは全く問題なし。 タイヤは前後5500km使用で7分山、チェーンもスプロケもまだ4000km。 故障個所もなく不調もなく、オイル交換のみ。 ついでなのでスパークプラグも新品交換してもらいました。 焼け具合は正常、電極摩耗は少しあるけれど問題となるレベルではなく。

        4日間Let's 4に乗った後のティルはバカでかくてクソ重い! これがビッグアドベンチャーってやつなのか! みたいな。

    2019-06-03 車検入庫
    2019-06-07 車検出庫 オイル交換 (フィルタ交換せず) スパークプラグ交換 44467km 54820円






    予防保全

        金曜の夜、仕事を終え帰ろうとティルのイグニションキースイッチをONにしたものの、 あれえ? ヘッドライトが点灯しません。 ポジションランプは点灯しているのにね。 バルブ切れか。 前回換えてからまだ1年、2万kmってところだぞ。 寿命にしては速すぎないかい?

        で、イグニションキースイッチをOFF-ONしたら、普通に自然にライトが点きました。 あれれ、何なんだろう。 バルブが切れかかっているのかな。 だとすると、今夜の長距離帰宅通勤はちと不安だな。 もう部品屋さんは閉まっている時間だし、 明日の昼間に帰ろう。

        翌土曜日にPIAAのバルブを買い、帰宅ルートに。 ヘッドライトは正常に点灯しています。 帰着は夜になってしまいましたが、問題はなし。

        本当にバルブフィラメント自体が切れかかっていたりするのかどうかもう少し様子をみてみたいとも思うのですが、 夜間走行中に突然のバルブ切れは危険ですし、 暗い中でインパネを取り外してバルブ交換作業を試みるのも厄介なので、 新しいバルブに交換してしまいます。

        ティルは霧の濃い夜のヤマも走りますから、色温度がとても高いヘッドライトは使えませんが、 色温度を低めに抑えているLEDランプなら使っていもいいなあとは思っています。 でもこの灯体裏側のランプ取り付け部の構造を見ると、ランプ寸法の制限がきついですね。 簡単にポン付けはできなさそうです。

        いままでのバルブはケースに入れてシートカウル内部の小物入れに入れておきました。 スペアを用意するなら新品を買っておくべきではないかとも思いますけれど、 5000円近い結構なお値段がしたバルブなので、この先7万kmくらいは持ってもらいたいところです。 ティーディに使っていたボッシュ プラス ホワイトは2個で3000円、 二輪車用バルブではないのに10万km切れなかったんですからね。

        交換したバルブは、うん明るくなったね、とは思うもののすぐに慣れてしまい、 これは明るいや! というほどでもなし。 色温度はちょうどいいでしょう。

    2019-07-12 始動時ロービーム点灯せず
    2019-07-13 PIAA スーパープラズマGT-X H7 12V 55W 購入 5184円
    2019-07-15 ロービームバルブ予防保全交換 45942km








    道南ツアー

    DAY 1 2019-07-27

        どうにか1週間の休みが取れたので、夏ツアーは北海道に行きます。 今回は道南の未到達峠めぐり。 行きのフェリーを予約しただけで、宿は全く予約していません。 まあなんとかなるでしょう。 道南メインだといわゆる北海道らしさはさほどないでしょうね。 帰りは北東北を巡りながらのんびり下ってくることにしましょう。

        さあのんびりするぞーと第3研究所をスタートしたのですが、 ちょっと出遅れて、かつ川越の先で事故渋滞。 ならばと川越で降りて鶴ヶ島で再び上がろうと思ったのに、あろうことか反対方向へ! いったん圏央道に入って圏央鶴ヶ島でUターン、復帰しました。 なんてこと! 都合45分以上ロスった! それもあわせ、よく考えなおすとフェリー埠頭到着は二輪車乗船開始時刻をすぎちゃうぞ? ペースアップして関越道を北上します。

        しかし今度はこのペースアップが効いて燃費が大きく上がっていて、 気がついたらつぎの越後川口SAまで燃料が持たない! 仕方なく六日市で降りて最寄りのガソリンスタンドを探すもすぐに見つからずウロウロ。 給油でも20分近くロスしてしまいました。

        SONY NAV-U37の美点は、到着予想時刻の精度がとても高いこと。 そしてそれは、乗船開始予定時刻を30分も過ぎています。 再び高速本線に上がり、普段毎週の高速通勤では決して使わない速度域での巡航を開始。 よい天気でティルの外気温計は37℃を示しておりとても暑いのに、出発からすでに4時間以上、何も飲んでいません。 熱中症のリスクが大きくのしかかってきます。 途中で大きな荷物を積んだセロー --- たぶん90km/hくらいで走っている --- を抜きましたが、 もしかして同じ船に乗ろうとしているのかな? フェリーは出航の時間までにターミナルにつけばいいってもんではないんだよ?

        U-37の到着時刻は少しずつ早まって、結果 なんとか乗船開始時刻の10分遅れでターミナルに到着しました。 すぐさま手続きをしましたが、それでも二輪車の先行乗船組には間に合わず、 四輪車の後の最終乗船組に回されました。 ふう、でもまあ、乗せてもらえるならいいや。 ターミナルで買った500mLペットボトルの飲み物を2本立て続けに飲み、 3本目を飲みながら炎天下の乗船待機駐車場で乗船を待ちます。 その間、私の後には遅刻組が一台一台と増えていきました。 ああ、ドベじゃなかったのね。

        最終乗船組が艦内に乗り込み緊縛の準備をしていたら、すこし間を開けてセローが一台。 あ、途中で抜かしたあの・・・あれで、間に合っちゃうんだ。 それを分かっていてあのペースで走っていたのなら、彼は本物の通に違いないぞ。

        今回はシャワー付きステート室を奮発しておいて本当に良かった! 船室に入ると一気に熱中症的な症状が出て、ばたんきゅー。 エアコンを強く効かせ、追加で買ったペットボトルも飲み尽くし、 電気ポットで沸かしたぬるま湯をがぶがぶ飲んで・・・ 3時間ほどののちにようやく体調が元に戻りました。 なにがのんびりゆったり、だよ。 すごいスタート。









    DAY 2 2019-07-28

        フェリーターミナルを出発してまずは小樽峠へ意気揚々と向かいます。 が、ウマで閉鎖。 失礼しますね、も可能な状況でしたけど、いい子にして引き返します。残念。

        2回目の朝里峠を越えて定山渓を通過し、真簾峠と鞍馬越へ。 しかし真簾峠への道は両方向入口ともゲート閉鎖されていました。 鞍馬越は真簾峠からしかアクセスできないのでこれも同時に到達不能。 くう。

        支笏奥潭を抜けて美笛峠に向かったのですが、奥潭-美笛間は災害通行止めだったのですね。 道路脇からオコタンペ湖を見下ろし、支笏湖をぐるりと回るルートをとります。 さすが有名な観光地、ツーリングライダーさんたちが大勢。 前車追従でゆっくり進む道そのものは大して楽しいとは思えませんけれどね。

        美笛峠を越えて伊達に入り、広島峠・ホロホロ峠・門前峠。 このあたりでようやく北海道らしい -- 観光ライダーの失礼な感想ですけども -- 景色になってきました。 久保内で食事をいただいたあとは再び他車交通に交じってリエゾン。 洞爺湖畔を抜け、礼文華トンネルと静内トンネル。 旧道で静内峠に行けました。

        北海道初日のお宿は黒松内の旅館。 1982年、SP370のときだったかXT400のときだったかここを通過し、 とくに何がというわけでもないのですが、なぜかここで一泊したいなとそのころから思い続けていて、 それが実現。 あの頃はもうすこし賑やかだったのかなあ、街中の寂れ具合がメランコリック。 いいお宿でゆっくりできました。


    #01 小樽峠 [断念] バリケード閉鎖
    #02 朝里峠 [再]
    #03 真簾峠 [断念] ゲート閉鎖
    #04 鞍馬越 [断念] 真簾峠ゲート閉鎖のため到達できず
    #05 美笛峠 (滝笛トンネル) [初(再]
    #06 広島峠 [初]
    #07 ホロホロ峠 [初]
    #08 門前峠 [初]
    #09 礼文華峠 [再]
    #10 静狩峠 [初]

    黒松内 宿泊









    DAY 3 2019-07-29

        八雲と熊石をつなぐから雲石峠・・・「八熊峠とも言うんですよ」ってあとでレストランのお母さんがおっしゃってましたね。 雲石峠は登りの途中から濃いガスになり、頂上は視界なし。 今日はどこへ行っても標高を上げるとガスってます。

        再び八雲に降りて、道央道経由で鹿部までリエゾン。 鹿部はホテルにもレストランがありますが5000円からということでそれゃ遠慮します。 近くに食事がとれるところがないかと街中を回ったのですが見事に一軒もなし。 15km走って大沼に行き、ねこカフェで楽しくお食事。

    #01 月越峠 [初]
    #02 花石峠 (花石トンネル) [初]
    #03 美利河峠 [初]
    #04 日進峠 (峰見峠) [初]
    #05 雲石峠 [初]
    #06 城岱峠 [初]

    鹿部 宿泊













    DAY 4 2019-07-30

        亀田半島を横断する川汲峠は新川汲トンネルで通過。 旧世代の川汲トンネルは供用停止され閉鎖、楽しみにしていた川汲峠への旧道はゲートで閉鎖されています。 仕方ないね。 ここからは松前半島までリエゾン。 函館を突っ切る区間は楽しさゼロの市街地走行。 途中から函館江刺道に乗り、現状終点の茂辺地で降りて、海沿いの国道を進みます。 他者に追従してただ移動するだけ。 退屈ですがほかにルートもないので仕方なく。

        クレープをいただいて再び走り始めます。 福島峠旧道は荒廃していますが徒歩でも経路450m、 今回は見送りました。 でもさあ、「今回は」って、次来れるのはいつのこと? もしかしたらもう二度と来れないんじゃない? 30分で行ってこれるんだよ? いまからUターンすれば行けるんだよ? 短距離で行ける廃道峠をスキップするたびにいつも襲われる激しい葛藤と闘いながら、 吉岡峠に向かいます。

        北海道の最南端、松前半島の白神岬。 今は国道228号が岬を巡って快適なシーサイドドライブを楽しむことができますが、 海沿いの断崖に車道がまだ開かれていなかった頃に使われたのがこの吉岡峠、だったのでしょう。 資料に依れば白神岬を回る車道の開削工事が竣工したのは昭和43年とあります。 その昔オート三輪が喘ぎあえぎこの道を登っていたのかもしれません。

        北海道の地図は時としてスケール感覚が狂わせられてしまいます。 渡島半島最南端をほんのわずかショートカットしているだけに見えますが、 峠路の経路長は6.2km。 整備された舗装路ならばあっという間ですが、廃道に近いコンディションだとすればかなりのチャレンジになるでしょう。

        西側の白神漁港側からスズキノ沢に沿って登っていく道に入ると、 さほど経たずに雑草繁茂が酷くなりました。 交通量はかなり少ないものと見えます。 道幅は軽トラ級以上あり路面は悪くありませんが、 道は左右から伸びる雑草に塞がれている部分も多く、草をかき分けながら慎重に登っていきます。

        ひやひやの走行を続けて、峠に出ました。 峠部は開けていて除草作業も入っていますが、 高度を上げるにしたがって出てきたガスとあいまって展望は効かず、 単なる山の中のT字路にしか過ぎませんでした。
        東の吉野側の下りは除草は入っていますが路面は荒れていて、 慎重に降りていきます。 大型のティルには走りごたえのあるダート路でした。 国道に降りて、よし、完抜! 自販機でひとり乾杯しました。

        今日の午後はシーサイドクルーズ。 松前から上ノ国までの区間は国道ですが交通量は少なくシーニックで、これはうれしいね。 上ノ国で食事をとり、稲穂峠で松前半島を横断して木古内に戻り、今日のおたのしみは完了。 新函館北斗駅前のホテルまで移動。

    #01 川汲峠 (新川汲トンネル) [初]
    #02 川汲峠 (川汲トンネル) [初]
    #03 福島峠 (福島トンネル) [初]
    #04 吉岡峠 [初]
    #05 稲穂峠 (上ノ国-木古内) (新吉堀隧道) [初]
    #06 仁山峠 [初]

    北斗 宿泊











    DAY 5 2019-07-31
        中山峠を越えて厚沢部に入り、厚雲峠へ。 山蕗トンネルで厚雲峠到達としましたが、厚雲峠旧道に向かう入口は厚沢部側からは見つからず、引き返し。 八雲町側からは入れたのかもしれませんが、完抜不能だとすると路面が残っていても雑草に覆われてしまっているでしょう。 ビッグアドベンチャーでのソロでは不安すぎ。 今回は見送ります。 って、それじゃなんでこんなマシン乗っているのかな、Vストローム250あたりのほうが良いんじゃないのかな、と悩みます。
    いったん厚沢部を出て江差町に入り、乙部町に抜ける船越へ。 ここは地形的には低い峰越の峠ですが、 切通されていることもあって峠の感覚はほとんどありません。 Super Mapple Digitalには「船越」の文字の位置とフォントが峠のそれと同じなので (大字・小字名ではなくてスポットの地名を表すタイプなので)、これは峠と認めましょう。 さあここから本日午前中のプライマリターゲットである姫待峠に向かいます。
    #01 中山峠 (渡島) [再]
    #02 厚雲峠 (山蕗トンネル) [初]
    #03 船越 [初]
    #04 姫待峠 [初]
    #05 梅漬峠 [断念] 崩落のため長期間ゲート閉鎖
    #06 折戸坂 [再]
    #07 木野部峠 [再]

    青森 宿泊











    DAY 6 2019-08-01
       
    #01 大釈迦峠 [初]
    #02 分水峯 [初]
    #03 中山峠 (津軽) (やまなみトンネル) [初] 旧道はゲート閉鎖
    #04 小国峠 [初]
    #05 中山峠 (青森) [初]
    #06 一ツ森峠 [初]
    #07 天狗峠 [初]
    #08 津軽峠 [初]
    #09 長慶峠 [断念] ゲート閉鎖
    #10 釣瓶落峠 [初]

    能代 宿泊



    DAY 7 2019-08-02

        昨晩雨の釣瓶落峠を下っていたときにフロントブレーキの効きムラが出るようになってしまいました。 レバー入力とブレーキの効きのリニアリティが大きく悪化しています。 強く握ればしっかり制動力が出るのでその点は大丈夫なのですが、 信号停止時でスムースでないし、なにより滑りやすい路面でのコーナー進入時にデリケートなブレーキ操作ができないのは困ります。 車両ラインオフ後5年だけど、そうそうに油圧系のオーバーホールが必要なのかな。

        で、おまじないと思ってフロントブレーキレバーピボットにチェーンルブを吹いたら・・・直りました。 なあんだ、簡単な原因でよかった。 でもねえ、ピボット潤滑が悪くてレバーの動きが渋いとか重いとかは何べんも経験があるけどさ、 こんなのは初めてだね。

    #01 中山峠 (男鹿) [初]
    #02 茶臼峠 [初]
    #03 妻恋峠 [初]
    #04 折渡峠 [初]
    #05 三崎峠 [初]
    #06 旭峠 [初]
    #07 長坂峠 [初]

    新庄 宿泊





    DAY 8 2019-08-03

        期せずして山形内陸部に戻ってしまったので、 山形盆地の未到達峠をつなぎながら小国街道ルートで新潟に出ることにします。 新庄のホテルを出てまずは福舟峠に向かったのですが、 残念、ゲート閉鎖でした。

        小国から関川に出るルートは実質国道113号一本なのでトラックも地元の安全運転ドライバーさんたちも通るので、 渋滞はないにしてもすぐに居眠りしてしまいそうな流れです。 なので前回2018年10月のツアーにつづき、 伊佐領の区間では桜峠・子持トンネル経由にしました。 前回は桜峠は夜だったのでそこから入る大平峠には向かわなかったのですが、今回初到達。


    #01 福舟峠 [断念] ゲート閉鎖
    #02 猿羽根峠 [初]
    #03 松橋峠 [断念] ゲート閉鎖
    #04 背炙峠 (背あぶり峠) [初]
    #05 官宿越え [初]
    #06 狐越 [初]
    #07 椿峠 [初]
    #08 小滝越 [初]
    #09 小滝峠 [初]
    #10 宇津峠 (小国) 旧宇津トンネル [初]
    #11 大平峠 (小国) [初]
    #12 桜峠 (小国) [再]
    #13 子持トンネル [再]



       
    2019-08-02 フロントブレーキレバーピボット渋り チェーンルブ給脂




    暑い

        中央研究所-第3研究所往還の生活をはじめて数か月後、「すり抜けは原則禁止」の自主ルールをたてました。 都内幹線道路区間を走っていて事故を起こすとすれば、おそらく対向右折か、すり抜け中でしょう。 対向右折は対向車の動静をしっかり見極めることでかなり軽減できます。 さらに都内幹線道は、対向右折を起こさないように直進左折のみ矢印青で右折には専用の矢印青を出すようになってきています。 これはものすごく効果的なはず。

        いっぽう、すり抜け走行はほとんど確率論の世界に暮らしているようなもの。 通勤は夜間ですし、ろくな後方確認もせずにウインカーも出さずいきなり進路を変える車はたくさんいます。 それがたまたま自分の直前10mに現れるかどうかは、純粋に確率の問題。 よっぽど緊急な時以外は、すり抜けは行わないようにしています。

        で、今夜も出発前に流れが順調であることを確認してから中央研究所向けに出発したのですが、 夜間道路工事が始まったためでしょう、 幹線道路で数分間の完全停止が何回も続く渋滞。 とても暑かった昼間の気温が下がらないまま、風がほとんどなく、 周りのクルマと自分のマシンのラジエターファンからの排熱をモロに浴び、 ティルの外気温計は45℃を越えてなおも上がっていきます。 デジタル表示が "50" を示し、こりゃ凄いなと写真を撮ろうとスマホを取り出したら、 表示はなんと "HI" になってしまいました。

        カッカしちゃいかん。心頭滅却すれば渋滞もまた涼し。 じっと動かず、無になってクルマが流れ出すのを待ち、そして車線規制合流の渋滞ポイントを抜けました。 車速が40km/hを越え、外気温計はみるみる38℃に下がり、 そしてその38℃の風がこれほどに冷たくて心地よいとは!! 新たな発見をした夜でした。

    2019-08-09 外気温計が初の "HI" 表示





    過ぎ去った秋

       
    2019-10-05 吉井 ジャムカフェ
    2019-10-05 オイル交換 51357km

    2019-11-09 内山 佐久 御代田 カフェツアー

    2019-11-24 チェーン清掃給脂 ETC OBEカード接点エレクトロニッククリーナー洗浄 53583km






    初のDNS

        2019年も終わり。 まる9年、毎週末の中央研究所-第3研究所往還を続けたことになります。 当初使っていた南海部品のウインタージャケットは想像以上に長持ちし、8年使用。 昨シーズンでファスナーが痛んでしまったので、 今シーズンはいのぶ〜用に合うカラーのものとして発注した南海ウインタージャケットを使ってきましたが、 これも9年経っているもの。 痛みはさほど進んでいませんが、 ウインタージャケットを新調しました。

    ラフ&ロード ウインタージャケット
    ラフ&ロード アンダーパンツ
    ウインターグローブ

        ウインターグローブはショップ展示品の中でいちばんサイズが大きくてカブラの長いものを選んだのですが、 実際に使ってみると案外にきつめで、カブラも短くてきつく、 装着に一苦労。 いままで使っていたものが案外に快適だったんだなあ。 もうワンサイズ大きめのものとなると、注文品になってしまいそう。

        新しい装備ということもあって20分以上かけて支度を整え、 さあお正月休みだとティルのスタータスイッチを押しましたが、 あれえ、スタータリレーの音がするだけで、スタータモータが回りません。 サイドスタンドスイッチ? エンジンストップスイッチ? それともクラッチスイッチ? いや、どれでもありません。 なにしろスタータリレーはカチンカチンと反応しているのですから。 5分ほどあれやこれや試して、でも一向にスタータモータは回る気配を見せません。 これはダメだ。 積んだ荷物を下ろし、せっかく着込んだディープウインター装備を脱ぎました。

        今夜は週末夜間長距離高速通勤をつづけて9年、はじめてのDNS - Do Not Start - です。 まあ、出先で、それこそ真冬の夜の山の中で始動不能に陥ることを考えたら背筋が凍ります。 明日は休みだし・・・故障が避け難いものだったのなら、ティル、よくやった。君は最善の状況で故障してくれた。

    2019-12-25 スタータモータ回らず故障 長距離通勤出発不能

        翌日、トラブルシューティング開始。 まずはスタータリレーのモータ側ターミナルに電圧が出ているかどうか。 スタータリレーはカチンと作動していますし、小信号リレーではありませんのでリレー内部接点が導通せずというのは考えにくいです(*)。 案の定、カチンとリレーがONしたときだけモータ側ターミナルに電圧が出ています。

    *: カチンと動作しても接点不良でスタータ電流が流れない、というスタータリレーの故障モードはそれなりに発生するそうです。


        しかしその電圧は、バッテリのプラス電圧とまったく同じ。 ここに電圧が出ればそれはスタータモータに加わり、大電流が流れて電圧は大きく低下するはず。 でも電圧低下はみられません。 ということは、スタータリレーターミナルからスタータモータまでの配線、 スタータモータ本体、そしてスタータモータグラウンドリターンケーブルのどこかで断線しているということです。 2014年型スズキVストローム1000ABSのリコールのひとつが、スタータモータグラウンドケーブルのトラブル。 このトラブルが起きれば、まさにスタータ回らずにつながります。 しかしこのリコール対策は、ティルを中古で買った際に実施済みを確認してもらっています。

        油圧クラッチアクチュエータを取り外し、スプロケットカバーを取り外してスタータモータグラウンドケーブルの取り付けを確認します。 あれえ? リコール対策の内容はケーブルを交換し、ケーブル取り付け位置を変更するものです。 ケーブルには熱保護チューブが取りついているので対策品のようですが、 ケーブル取り付け位置は対策前のままのように見えます。 でも取り付け位置を変更するにはケーブルの長さが足りないし、いま取りついている位置でよいのかも。 念のためケーブルをクランクケースから取り外してテスタで導通を測ってみましたが、 断線しているなどということはありません。 ケーブルを指先でこねるとときおり抵抗値が高くなることがあるので、ひょっとしたら内部導体が振動で痛み始めているのかもしれません。 仮にそうであったとしても、スタータモータがまったく反応しないほどの高抵抗ではありません。

        グラウンドケーブルを固定するボルトは抜いてみたところ写真のように軸もネジ山もかなり発錆が進んでいます。 ティルは最近買ったばかりの新車同様・・・みたいに考えていましたが、 ラインオフ後5年以上経って走行距離も5万5000km。 もう立派な中古なのです。

        スタータモータグラウンドケーブルはその先端の卵型ラグとクランクケースの接合面で導通しますから、 ボルト軸の汚れやサビはほとんど影響がないはずです。 グラウンドケーブルには問題がない、といったん結論しましょう。

        さてそうすると、問題はスタータモータ上流ケーブル。 この取り回しを見るにはサイドカバーを、つまりリヤキャリア全体を取り外さなくてはなりません。 ろくな工具もない中、第3研究所ではそこまでの作業はできません。 それに、これはスタータモータ本体の故障である可能性が高いような気がします。 すくなくともそれは、スタータモータケーブルの内部導体断線故障よりはずっとあり得るでしょう。 そうなればお手上げです。 第3研究所でお世話になっているショップはその日お休み。 今夜も第3研究所にステイして、明日ショップに引き揚げてもらおう。

    2019-12-26 スタータモータ本体故障もしくはスタータモータケーブル断線の疑い

        翌日、ショップに電話。 ショップには引き上げ用の車両は無いので自走するか、レッカーを依頼して持ち込んでほしいとのこと。 この間ファルコンをレッカーで運んでもらったばかりで、またレッカー依頼か。

        症状を説明すると、メカニックさんは 「もしスタータモータ本体の故障なら、モータ本体をハンマーでカンカン叩くと回るかも」 とのこと。 第3研究所にはハンマーはないのでラチェットレンチのエクステンドバーとレンチ本体でカンカンと数回叩いて試してみると、 おお! 一発でスタータモータが反応しクランキングをはじめました。 しかし残念、昨日いろいろ試していた内にバッテリが上がってしまい、すぐにモータは止まってしまいました。

        菊水工業のスイッチング安定化電源装置を使ってバッテリを充電します。 30分ほど充電ののち試すと、またリレーがカチカチ言うだけ。 でもスタータモータをコンコン叩くと、モータは回りました。 が、バッテリは相変わらずに弱すぎて、初爆を得られるほどには回転が上がりません。

        コンコン叩くと回ることがある、というのはいかにも素人臭い話ですが、理由はあります。 エンジンが初爆してスタータクラッチが切れてスタータモータが止まるとき、モータ個体のわずかな仕上がりばらつきにより、 たいていは同じ回転角でアーマチュアが止まります。 このため、毎回の始動時にはブラシとコンミュテータのほぼ同じ場所で始動時電力を受けることになり、そこだけが摩耗が進み、 いずれは接触不良となる・・・ハンマーでコンコン叩くとアーマチュアがわずかに回り、 ブラシとコンミュテータの接触が得られてモータが回転する、という理屈。 今回の場合はコンコン叩いたらすぐにモータが回った、が数回連続して発生したので、スタータモータ本体説はほぼ確実な様子です。

        その後さらにバッテリ充電を続けましたが、端子電圧に14.4Vを与えても充電電流は1Aを割り込むようになってしまいました。 明らかに吸い込み能力を失っています。 バッテリはおそらく新車搭載品ですから、6年経過。 ダメになってしまっても不思議ではありません。

        歩き+バスでオートバイ用バッテリを売っているお店に行って・・・は2時間コース。 それにバスってバッテリ持ち込んじゃいけないんじゃなかったっけ。 それじゃあタクシーかな・・・ でもそれも・・・

        というわけで結局、JAFで提携モーターサイクルレッカー業者さんを呼んで、ショップに入庫。

    2019-12-27 スタータモータ本体故障にほぼ確定 レッカー依頼 ショップ故障修理依頼持ち込み











    貴重な休暇をまる2日潰した原因

        年が明けてティルのスタータ修理が完了しました。 取り外したモータは、ショップのメカニックさん曰く、 「シャフトが軽く回りますね。ブラシがこするから普通はちょっと重くて荒い感覚なんですけどね。 きっとブラシが当たってませんよこれ。」

    2020-01-10 スタータモータ交換修理出庫

  • ミシュラン ロード5トレイル フロント 110/80R19 59V 24400円
  • ミシュラン ロード5トレイル リヤ 150/70R 17 69V 29320円
  • バッテリ交換 古川 FTX14-BS 16000円
  • スタータモータASSY 31100-06G01 21200円
  • フロントブレーキパッドセット 5700円x2 = 11400円
  • オイル交換 2.7L 4590円
  • 工賃含め総額 125,570円



  •     新品スタータモータ、新品バッテリ、新品タイヤ、 新品フロントブレーキパッドそれにエンジンオイルもフレッシュになったティルで快調快適に中央研究所に戻り、 翌日、ダメになったモータをいじり始めます。

        手始めに直流抵抗値をテスタで測ってみると、 シャフト回転角度に応じて抵抗値は10Ω〜500Ωを示します。 これじゃあモータを回せるほどの電流が流れるわけはないね。 安定化電源装置をつないでモータを回してみると、 モータ電流が5A程ではモータは回り始めません。 10A前後でどうにか回り始める具合。 バッテリをつないで回してみると、モータは弱々しく回り始めましたが、 次第に元気がなくなって、まったく動かなくなってしまいました。 バッテリを外して直流抵抗を測ってみると、10kΩにもなっています。 うわ、完全に導通を失っている。





        モータ本体を分解してみると、 ブラシの状態は予想以上にひどいものでした。 ブラシホルダにはプラス用2つとマイナス用2つの合計4個のブラシが取り付けられています。 サビと、カーボン粉の汚れもさることながら、 ブラシはどれも全く動きません。 これ以上は出てこれないほど、限界を越えて摩耗したんですね。 ブラシの当たり面を見ると、4つのブラシの中の1つはもう最近はまったく擦られた形跡がありません。 このスタータモータでは2つのコイルが回転力を生み出しているわけですが、 しばらく前からコイルの1つは機能していなかったみたいです。




        サービスマニュアルの記述によれば、ブラシ長さが6.5mmまで短くなったらブラシホルダごと交換しろ、とあります。 ブラシの長さを測ってみたら・・・あれえ? 6.5mmってうそでしょ、まだ10mm以上あるよ?

        実物をよく見ると、ブラシはクロックスプリングの力で内側に、 つまりコンミュテータ側に押し出されて接触する仕組みになっています。 しかしどうやら、その動きがなく、4つともすっかり固着している様子です。 このサビの具合では、まあ不思議ではないなあ。



        クリーニングと潤滑スプレーをブラシ装着部に噴射して指でぐいぐい動かしていたら、そのうちブラシは動き出し、 スプリングの力で内側に出るようになりました。 作業を繰り返し、4つのブラシそれぞれが動くようになりました。

        ブラシホルダ全体を軽く洗浄し、ブラシホルダハウジングの内部もエタノールで洗浄してモータを組み立て、 ターミナル - ハウジング間の直流抵抗値を測ってみると、0.1Ω以下。 そうですよね、そうでなきゃ100A近い大電流は流れませんもんね。



        バッテリをつないでみると、モータはウイーンと回り始めました。 おお、直った!!

        中央研究所の設備・機材と時間があれば、これはモータ本体交換しなくても修理できたのかもしれません。

    2020-01-11 スタータモータ動作不良原因確定 - ブラシホルダ固着 - 清掃潤滑により復調



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        さて、スタータモータ故障の原因が分かって、モータは新品が取りついたわけですが、 この新品モータもこの先5万kmあるいは4年程度で同じようにブラシ固着に陥ってしまうのかもしれません。 ブラシ固着はサビによるものでしたから、 ということはモータハウジングの防水が不完全だということなのでしょうか。 新品モータが取りついてまだ一度も雨天走行はしていない今のうちに、 ブラシホルダハウジングとマグネットスリーブの合わせ面部に、 車両前方だけですが、アルミテープを貼りつけてみました。 効果のほどは定かではありませんが。



        トラブルシュートしていた時は最初はリコール歴のあるスタータモータグラウンドケーブルを疑ったわけですが、 その調査の時にクラッチレリーズシリンダとスプロケットカバーを取り外しました。 それで気がついたのが・・・ドライブスプロケット周りのおびただしいグリス汚れ。 チェーンから飛散したグリスが細かな土埃を巻き込んでスラッジとなり大量に堆積していました。 トラブルシュート中に大方のスラッジは除去したのですが、 本日再度クラッチレリーズシリンダとスプロケットカバーを外し、 スラッジ掻き出し+パーツクリーナとシンプルグリーン原液で清掃。 1時間以上もかかってしまった割にはさほどに綺麗にはならず、 それでもまあ、完全放置よりはずっと精神的にスッキリしました。

        前オーナーの転倒歴以外はほとんど新車のコンディションでやってきたティルで、 長距離ツアーは数えるほどしか出かけませんでしたが、 2年半毎週の全天候夜間長距離高速通勤で車両総走行距離は5万5000km。 当然これはもはや新車のコンディションであるはずがなく、 消耗部品だけ交換していればいい期間は過ぎ去ってしまっています。 時間の空きを見つけ、予防保全としての各部の清掃点検を行っていくべきでしょう。 計画退役までこの先3年4ヶ月、6万7000km。 まだまだ頑張ってもらいますよ。




    せっかく来たんだからね

        昨年2019年秋の大雨台風以来初の、1泊ツアーに出ました。 3月ではヤマはまだ閉ざされているところも多いですから、ほぼ自然に暖かな静岡へ。 まずは新東名新静岡経由で宇津の谷峠の道の駅まで一気に移動。 しぞーかおでんをいただいて、いままで通ったことのなかった宇津ノ谷峠のうち昭和後期のトンネルへ。

        2番目は牧之原市の地蔵峠。 低い峠で、今は地蔵トンネルで抜けます。 名前からするに昔は峠にお地蔵様がいらっしゃったでしょうが、 明治の5万図で峠であった場所はすっかり破壊されて工業用地になってしまっていました。 古道探しは最初から考えず。

        島田市の蓬莱橋は古くからある木造橋です。 先日その存在を知り、面白そうなところだからちょっと立ち寄ってみようかと。 でもちょっと見るだけが、せっかくだから渡ってみようとなり、渡った先には茶店があってせっかくだから静岡茶とおしるこで一息、 渡り戻ったところでせっかくだから売店で富士山コーラを、 売店のおじさんは観光案内人でもあってせっかくだからここの遊歩道見ていらっしゃい、 そしてせっかくだから敬満神社も観ていらっしゃい、と。

        なんだかずいぶん時間をかけてゆっくり見て回りました。 峠ツアーに出るといきおい次から次へ忙しく峠をつないで走ることになりがちで、 あとで後悔したりすることもあります。 今回のツアーはここ蓬莱橋も目的地の一つ、楽しいひとときを過ごせました。 せっかくだもんね。

    2020-03-12 蓬莱橋ツアー

    #01 宇津ノ谷峠 (昭和初期のトンネル) [初]
    #02 地蔵峠 (静岡 牧之原) [初]
    #03 檜峠 (桧峠) 藤枝-島田 [初]
    #04 地蔵峠 旧道 (静岡 島田) [初]
    #05 地蔵峠 車道 [再]
    #06 平松峠 (市尾峠) [初]
    #07 周智峠 (周知トンネル) [初]
    #08 周智峠 [初]
    #09 峯小屋峠 [初]
    #10 峯小屋峠 (峯小屋トンネル) [初]







    まだ換えてなかったの?

        もうね、重い腰が上がらなかったんですよ。 エアクリーナのエレメント交換。 ハスラー50 ならプラスドライバー1本でサイドカバーとエアクリーナーボックスリッドを外すだけでエレメントが取り外せましたが、 今のバイクはね、ほんとにね。

        燃料タンクから燃料を抜き、 シートを外し、 サイドカウリングカバーを外し、 フューエルタンクセンターカバーを外し、 フューエルタンクサイドカバーを外し、 フレームカバースクリュを外し、 フューエルタンクを外し、 エアクリーナカバーを外し、 エアクリーナエレメン文字数。





        エレメントはけっこう汚れていましたが、枯れ葉や虫などの異物吸い込みはほとんどありませんでした。 この程度なら交換した後にエンジンフィールが変わるほどのものでもありません。 でも精神的にはね、すっきりしましたね。

    2020-05-01 エアクリーナエレメント交換 58,880km






    福島ツアー

        夜のうちに首都圏を脱出して矢吹で一泊し、福島の未到達峠めぐりツアー。 甲子峠も甲子トンネルも以前越えたことがあったのかどうか記憶も記録もなくて未到達扱い。 残念ながら甲子峠下郷側は工事で通行止め、 来週には開通するとかなんとか。 しゃあないね、また来る理由ができた。

    2020-10-16 福島ツアー

    #01 烏峠 (福島) [初]
    #02 境の明神峠 (白河) [初]
    #03 甲子峠 (甲子トンネル) [初]
    #04 赤土峠 [初]
    #05 小野沢峠 (積入山トンネル) [初]
    #06 舟鼻峠 (舟鼻トンネル) [初] (舟鼻峠旧道はゲート閉鎖)
    #07 原入峠 [初]
    #08 喰丸峠 (喰丸トンネル) [初]
    #09 博士峠 [初]
    #10 新鳥居峠 (南会津) [初]
    #11 駒止峠 (駒止トンネル) [初]
    #12 戸板峠 [初]
    #13 中山峠 (中山トンネル) (南会津) [初]





    今年の暖色系通勤

        金曜日お休みをいただいて、10時過ぎにのんびりと第3研究所を出発、 中央道に乗り、未到達だった下日川・上日川峠と坂脇峠へ向かいます。 まずはおもいっきり気分をオフに切り替えてくれるお店で腹ごしらえ。 休みだ! って気分になりますね。 商業ビルの中の混んでるコメダ珈琲ではこれは絶対に無理。





        最初に向かった下日川峠は、残念、ゲート閉鎖でした。 「開通時期は未定」だそうで。
    秋の大菩薩を楽しむ登山客で賑わう上日川峠ではゆっくりできず、 峠をすこし下ったあたりで紅葉と展望を楽しみます。 シャインマスカットとりんごをお土産に買って、雁坂トンネル経由で中央研究所へ。

    2020-10-30 上日川峠ツアー

    #01 上日川峠 [初]
    #02 坂脇峠 [初]
    #03 雁坂トンネル [再]





    GOTOトラベル

        スケジュールも空いていて天気も良く体調も決して悪くはないのにいまひとつツアーに出かける気になれない・・・ まったく今年は変な年です。 事態が短期間で回復するふうでもなく、しばらくこの様子で推移していくのかな。 道路を行きかうクルマの量を見ると本来の意図を越えてヒステリックになった自粛ムードは収まったように見えますけどね。

        なんとか気力が出た11月末、1泊でどこか廻りましょう。峠めぐりツアーは今年はこれが最終かもしれませんね。 暖かそうなところで伊豆と駿河の取りこぼしツアーをプランしました。 朝6時20分に第3研究所を出発、朝の渋滞が始まろうとしているところを抜けて、西に向かいます。

        最初は善波峠。通勤ラッシュで渋滞している国道246号新善波トンネル、その旧道の善波トンネル。 善波峠はその上にある古い峠です。 低い峠であり、西の名古木からアプローチすると、いわゆる峠みちは峠の手前わずか150mほどでしかありません。 舗装が途切れて古い峠みちのそれになった最終アプローチは急な坂で落ち葉に覆われています。 もともとここは最後はティルを停めて徒歩で登ろうと思っていたのですが、 峠までティルで行けました。

        つい10分前までのほとんど動かない渋滞が全く信じられない、古く、ruggedな切通し地形の、静かな峠。 深い切通しになっている峠は三叉で、頭を落とされ、代わりの石を乗せられたお地蔵様がいらっしゃいました。 峠の東の善波側は、ジムニーならばどうにか、といった様子です。 この峠の真下を貫通する善波隧道は昭和3年開通とのこと。 明治になり、大正になってもなお、人々はこの峠を徒歩で越えていたんですね。

        市街地リエゾンから一瞬にして深山幽谷に変わるこの感覚は久しぶりだし、ここのそれはものすごく印象的です。 しょっぱなから素晴らしい峠に出会えた。

        伊豆の取りこぼしの大洞峠、 これはよくある小さな間道だろうと思っていたのですが、 いやいやとても立派な、美しい切通しの旧道でした。 そこに至る道沿いの佇まいは、いまやすっかり寂れてはいるものの、 単なる脇道のそれではない風格の名残が感じられます。 これまた佳い旧い峠に出会えた。

        あとで地図をよくよく見直して理解できました。 いまのルートに車道が開かれる前、 この大洞峠が西伊豆のメインストリートだったのです。

    --> Day 1 2020-11-27

    #01 善波峠 [初]
    #02 都夫良野峠 [初]
    #03 足柄峠 [初]
    #04 乙女峠 [再]
    #05 碓氷峠 (箱根) [初]
    #06 乙女峠 [再]
    #07 三津坂 [初]
    #08 真城峠 [初]
    #09 大洞峠 (伊豆) [初]
    #10 田子坂 (安良里トンネル) [初]









        2日目は伊豆の高原道路。 走って楽しい素敵な道ですが、今回の目的は宇久須峠ただひとつ。 詳細描きませんけれどこれは素晴らしいところです。 ハーレーやセパハン車じゃあこの素晴らしい展望は楽しめないでしょうね。

        伊豆から大きくリエゾンして、南部町内船の藤切場と佐野峠へ。 計画していたルート最後の佐野峠、 なんの期待も持っていないかったのですが、 これは驚いた! 暗く狭く急な上りツイストを詰めていき、峠についた瞬間突然現れるんですよ、 そう、日本人なら誰しも感嘆すると思うのですが、 あの美しく雄大な姿がバーン!!といきなり現れる。 誰もいない峠の駐車場でひとり、 すげえ! すげえ! と声を張り上げていました。

        暗くなり始めた頃、身延まんじゅうをいただいて、一気に中央研究所まで帰投。 これができるのは静かなるマイルイーターの異名を持つVストローム1000ABSの魅力ですね。

    Day 2 2020-11-28

    #01 仁科峠 [再]
    #02 風早峠 (伊豆) [再]
    #03 宇久須峠 [初]
    #04 土肥峠 [再]
    #05 南無妙峠 [再]
    #06 吉奈峠 [再]
    #07 船原峠 (土肥峠) [再]
    #08 桜峠 (富士宮) [再]
    #09 八木沢峠 [再]
    #10 藤切場 [初]
    #11 佐野峠 [初]








    オイル交換

       
    2020-12-05 オイル交換 64,517km




    山を楽しむ

       
    2020-12-10 時坂峠





    タイヤ交換

        毎週末の中央研究所―第3研究所往還の暮らしでは、 ティーディもティルもタイヤ寿命はおよそ9か月でした。 このペースだとティルはいまから9か月前、2020年9月にタイヤ交換の予定でした。 が、コロナ禍で中央研究所での在宅勤務が主体になって通勤回数が4分の1に減ったため、まだちょっとグルーブは残っています。 でももうすぐ車検なので、ミシュラン ロード5新品交換の予約を入れました。 ところがショップからの連絡では、 ミシュラン ロード5はフロントサイズが廃番らしいです。 う、困ったな。

        まあでも号の高速走行の必要性が減っているから、 最近よく見かけるオフロードタイヤ風のものを試してみてもいいかな。 Vストローム1000ABS純正装着のブリジストン・バトルウイングはオフロード性能はロードタイヤと大差なく、 ウェット性能は不満がありました。 最近のモデルはウェット性能確保についても謳われていますから、 試してみようかね。 でも残念、一番の候補に挙がったダンロップ トレイルマックス ミックスツアーは販社在庫なし。 それでは次点、ブリジストン バトラックスアドベンチャーA41でいいかなあ。

        さらに翌日ショップから連絡があり、ミックスツアーを確保できたとのこと。 ということで住友ゴム工業のTRAILMAX MIXTOURに決定。

        これとてパターンがそれっぽいというだけでダート性能は期待しちゃダメ、 でもヘビーレイン性能を犠牲にした分くらいは見返りがあってほしいね。

    2021-06-09 タイヤ交換 66,843km
    MIXTOUR 110/80R19 D 30,965円
    MIXTOUR 150/70R17 D 25,586円
    工賃・税込み 56,550円





    車検

        車検に出すにあたって洗車清掃と軽整備を行っておきます。 あれ? サイドスタンドスイッチがカタついているよ。 取り付けボルトはきつく締まっているのですが。

        前回のオイル交換は2020-12-05で それから6ヶ月経過しましたが、 たった2000kmしか走っていません。 コロナ禍で第3研究所往還が月1解のペースに減り、 ほんとに4分の1になりました。 今週車検に出す予定ですがオイル交換は見送ることにします。

        今回入れたMIXTOURは80000kmちょっとまで持つでしょうから、 チェーンとスプロケの交換は次回タイヤ交換時に予定して、 今回の車検では交換せず。

    2021-06-11 車検前軽整備


        で、いつものショップに車検を依頼したら、 いろいろ事情があっていまは大型車の車検は受けつけていないとのこと。 ありゃあ、こりゃ困った。




        結局タイヤを交換してもらった第3研究所近くのショップに車検を依頼しました。 そうとわかってたらタイヤ交換といっしょにやってもらったんですけれどねえ。

        整備着手してみるとフロントブレーキのダストシールが1か所痛みかけているということで、 左右ともシール交換サービスを実施してもらうことにしました。 製造後まる7年経ったわけなのでキャリパーオーバーホールしてもらっておかしくないですもんね。 ついでなのでパッドも新品交換を依頼。

        事前軽整備で気がついたサイドスタンドスイッチの取り付けガタ、 ショップのメカニックさんはきっちり指摘してきました。 この取り付けボルトは車両生産時にたっぷりネジロック塗っているので、 緩めようとすると恐らくボルトをねじ切ってしまう、ということも教わりました。 このお店、信頼できるショップです。

    2021-06-15 車検






    フロントブレーキパッド交換

        車検のときに依頼したフロントブレーキパッド新品交換、部品がすぐに入らず、 後日に・・・となったのですが、 その後しばらく第3研究所に行く必要がなく、3ヶ月経ってようやく作業依頼。 ショップに行ってこんにちはとあいさつしたとき、 生の人間と会話したのは68時間ぶりだということに気づきました。 いつまでつづくんかねコロナ禍。

        交換したブレーキパッドは最初から普通にいい感じで食いついてくれています。 慣らしは不要。

    2021-09-03 フロントブレーキパッド交換 68000km



    ツアー

       
    2021-10-10 ツアー




    ぐぬぬ

        軽整備をしていて、リアタイヤにクギが刺さっているのを見つけました。 ぐぬぬぬ、まだ2000kmしか走ってないんだぜ。 エアリークはしていないようなので、 様子を見ながらこのまま使い続けます。

        住友ゴム工業のMIXTOUR、いわゆるアドベンチャー車に似合うパターンだし、 そのネーミングもなかなか素敵です。 コロナ禍で豪雨の高速道路を走る必要も減ったからレイン性能を落としてもいいだろうと思ってこれにしたのですが・・・ 正直、納得はできていません。

        乾燥舗装路の走行性能は問題なし、高速道路巡航ではやや硬め。 しかしウェット性能は、困るということはありませんが、ミシュラン ロード5トレイルに比べるとはっきりと劣ります。 明らかな違いは燃費で、ロード5トレイル比で2割近く燃費が上がっています。 ツアー時はおサイフの負担よりも航続距離が短くなることのほうがインパクト大。 少なくとも50km、下手すると70kmも手前でガソリンスタンドを探すことに。 なんとなくオフロードっぽいパターンは、実力としてはロードタイヤとさして変わらず。 となると、私の使い方ではロード5トレイルのほうが向いています。 今は廃番になったらしいですがパイロットロード4トレイルが一番だったなあ。

    2021-11-12 リアタイヤ異物確認 68984km






    ターンシグナルスイッチ修理2回目

        ウインカースイッチ動作不良が再発しました。 再度スイッチ内部を分解清掃して回復しましたが、 次回はスイッチボックスごと新品交換した方がいいのかもしれません。

    2022-02-12 ターンシグナルスイッチ動作不良再発
    2022-02-19 ターンシグナルスイッチ修理 2回目 69750km






    フロントフォークオイルシール交換

        第3研究所から戻ってきたらフロントフォーク左オイルシールのオイル漏れが起きていました。 走行7万kmですから、まあ不思議はないですね。 アンダーカウルにも付着するほどに走行中にオイルが飛散していたようですが、 ブレーキディスクロータには付着なし。

        いつもお世話になっているショップでは専用工具がないからとオイルシール交換は断られてしまいました。 やむなく第3研究所近くのショップに作業を依頼。 あわせてオイル交換を依頼。 フォーク内部はそれなりにサビも出ていたとのことで、その処理も併せてオーバーホールしてもらいました。

        仕上がったティルは、街乗り・高速巡航している限りは顕著な変化はありませんでした。 右側フォークはしっかりとダンピングが効いていたということでしょう。 それでも高速巡航時はリアが柔らかすぎと感じられ、走りながらリアプリロードをすこし増しました。 これはフロントが硬さを取り戻したので相対的にリアが柔らかく感じられた、ということなのでしょうね。

    2022-02-12 左フロントフォークオイルシールオイル漏れ発生
    2022-04-05 フロントフォークオイルシール交換 / エンジンオイル交換 55300円 70160km






    老体オーバーユース

        仙北市 秋扇湖畔の小野沢橋から山に入り正神峠を目指したのですが路面不良、 これは無理せず南側から向かった方がよさそうだと判断してUターンしようとして、ぼてっと。 傾斜はそれなりにあるとはいえこの程度のところで倒してしまうんだからもう自信を無くしてしまいます。

    2022-07-24 林道向き変え時に立ちゴケ・・・





        山形県内某所。 それまでの片側一車線舗装快走路が突然草木まみれになってしまいました。 その地点から先は四輪車交通が今年に入って皆無なのは明らかなのですが、路面は舗装のままで続いています。 行けるところまで行ってみよう。

        たしかに路上に1m以上の大きな落石がごろごろしていて四輪車は無理ですが、二輪車なら。 時速20km程度の低速で進んでいきますが、 突然バーン!! と大きな音が。 走行姿勢には全く影響なかったのですがすぐに停止・・・ そしてすぐ原因がわかりました。 草むらに隠れていた岩の大きさを見誤り、 右のサイドパニアを岩に引っ掛けてしまったのでした。 パニアは外れて吹き飛んでいました。

        これはもうこの先は行くなというメッセージ。 転回して、すこし草が少ない場所まで移動、 歩いて吹き飛んだパニアと、 飛び散った破片を集めることができました。

        パニアケース本体は無事。 ですが前側の固定用フックとスライド構造部が壊れてしまい、 車体にはどうにか取り付けられて落ちないのですが、 持ち上げただけで外れてしまいます。

        ケース上面にペットボトルを置いて、荷物で抑え込むようにして対策。 ペットボトルが動かないように、 またもしケースが外れても車体からは落ちないようにビニールテープでぐるぐる。 どうにか再出発は可能。 またもやビニールテープとLeathermannでサバイバルしてしまいました。

    2022-07-27 岩にヒットして右パニア脱落





    ホーンスイッチ修理

        先日ウインカースイッチを修理したときに失敗してホーンスイッチが働かなくなってしまいました。 滅多に使わないものですが、何回かは鳴らしたいときに鳴らならなかったこともありましたね。 スイッチボックスを分解・再組立てして復活。

    2022-08-07 ホーンスイッチ修理





    右サイドパニア固定

        山形県内某所で吹き飛ばしてしまった右サイドパニアの固定機構、 ありあわせの材料で固定具を作りました。 ちょうどいいサイズのアルミのブラケット ― 買ってから一度も満足に動作しなかったソニーりDVDビデオレコーダ (実際にはシャープのOEM品) を分解廃棄するときに出てきた内部部品 ― と、カラになった100円ライターのプラスチックボディ。 それに、接着剤と、ガムテープと、セルフタップスクリュー。

        ワンタッチで脱着できる利便性は失われてしまいましたが、まあ困らないね。

    2022-08-27 右サイドパニア固定具製作





    タイヤ交換

        ふと気がつきました。 リヤブレーキパッドのインシュレータが、 パッドとシムの間から外れて後方に飛び出してます。 ありゃりゃ。




        なのでショップに依頼して、 リアブレーキパッドキット交換と、あわせてタイヤ交換。 今回は発売されたばかりのミシュラン ロード6。 私の使い方では、ラフロードっぽいデザインのタイやはやっぱり必要ないことがよくわかりました。

        なお去年の11月から刺さりっぱなしだった異物、タイヤの内側までは貫通していませんでした。 抜いてしまった方がやっぱりよかったですね。

    2022-09-28 タイヤ交換 ミシュラン ロード6 前後





    万世大路へ

        万世大路には一度は行きたいと思い続けていましたが廃道になって久しく。 でも最近再整備が進み、車両通行も可能になりつつあると聞いて向かいます。 県境栗子隧道までは無理でも、大平峠に到達できれば御の字です。

        道はじゅうぶんな幅を持って整備されていました。 二ツ小屋トンネルの解説展示で万世大路の歴史を学び、 崩落しかかっているトンネル天蓋から覗く青空を眺め、 再スタート。





        昔は集落があったという大平峠は、峠としてはとくに特徴のないヒラ。 さらに奥まで進み、通称一本橋と呼ばれるところまで来て、 そこで前進はあきらめ。 その先はいっそう細く荒れており、ティルでは無謀です。 休憩したのち、Uターン。

        美しい新緑の林道を楽しみながら下っていきます。 濃くなりつつある新緑に生えるV-ストローム1000、かっこいいでしょ?





        実は写真の奥に写っている何でもないカーブでぼしゃっとコケてしまったのでした。 さすがにこういう路面ではブロックタイヤが欲しいです・・・

        右への転倒。 パニアケースは落ちませんでしたが、 去年あり合わせ材料でつくったパニア固定具は大きく破損。

        で今回は・・・ これでいいや。 落ちていた木の枝を差し込み、 小さなタオルを突っ込み、 ラバーバンドでぐるぐると。 これでオッケー。 アドベンチャーバイクなんだからこのくらい普通ですよね?

    2023-05-27 右に低速転倒 右パニアケース固定具破損





    車検

        車検整備は左右サイドパニアを外した状態で入庫。 今回は80,000km到達なのでドライブチェーンと前後スプロケット、 リアスプロケットダンパーラバー交換。 新しいチェーンはほんと滑らかでうれしいね!

    2023-06-16 車検出庫





    右サイドパニア固定修理 2回目

        万世大路での転倒では、ケース側で右サイドパニアを吊り下げるフック部2箇所のうち前側が破損しました。 しかし破損したのは二重構造になっている外皮で、ほとんどの強度を有する内側構造は問題がありません。 そこで耐衝撃性をもつエポキシ充填接着剤を使用し、修理しました。 はみ出した接着剤は乳白色でちょっとみっともないですが、 だいじょうぶ、そんなところ誰も見やしないよ。

        大きく変形した固定具はアルミブラケットを曲げなおし、 今度は100円ライターの代わりに木の板を使って修復。

    2024-07-23 右サイドパニア固定修理 2回目



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    トップケース交換

        トップケースの開閉レバーを操作したな内部でバキッという音がして・・・開かなくなってしまいました。 まあ価値のあるものは何も入ってないからいいけどさ。 でも開けられないのではお話になりませんね。 キーロックレバー操作部は破壊しない限り内部構造にはリーチできません。 まあ当たり前か。 ロック部を破壊して中身を取り出し、 スズキ純正のこのトップケースはガレージの物入れとして再利用。

        用品ショップにちょうどいいサイズのものが手ごろな価格で売られていましたのでそれに交換することにします。 売れ線の商品だろうから見かけることも多くオリジナリティには欠けるでしょうけど、 ティルはヨメの高速道路か、誰も通らないような道しか行かないからね。

        汎用取り付けベースはよく考えられているように思えましたが、 実際にはV-ストローム1000ABS純正のキャリアベースの形状とネジ位置が合わず、 取り付けはかなり苦戦しました。

        新しいケースはサイズは大きくてよいのですが、 閉める操作がスムースではありません。 毎回リッドに力をかけて変形させる必要があって、 成型精度は今一つなようす。

    2023-07-29 Givi B42ND 20800円
    2023-07-30 トップケース取り付け





    バッテリ交換

        ポゴがヘルメットを買うのに付き合って用品ショップに行ったので、 ついでにティルのバッテリを買いました。 始動性能に問題はなかったのですが、 IG ON時のインパネの電圧表示が11.8Vを示すようになったし、 前回の交換から4年が経過しているので。

        交換作業に何らの問題もなし・・・ あれえ? 車載工具を留めているラバーバンドが切れてらあ。

    2024-03-23 バッテリRTX14-N 20900円





    FI警告灯点灯

        中央研究所への帰投走行中の環八杉並でFI警告灯が点灯しました。 でも走行性能にはなんの変化も感じられません。 どこかに止まって点検することも考えましたが。 いったんエンジンを止めたら再始動できないかもしれません。 それは困るので、エンジンを止めることなくそのまま走行を続け、中央研究所に到着。 キルスイッチでエンジンを止めたらFI警告灯は消え、 IG OFF-ON後に再始動しても点灯はしません。

    2024-07-17 FI警告灯点灯 約87,250km


        第3研究所行きの走行ではFI警告灯は点灯しませんでした。 一過性のものだったのかなあ。

    2024-07-25 第3研究所行き: FI警告灯点灯せず


        ショップでECUから過去故障を読みだしてもらいました。 DTCは吸気圧センサ異常・・・でもHi故障でもLo故障でもないらしいです。 ひょっとするとECU内部の故障? でもまてよ、今時のセンサはデジタルかもしれないから一過性の通信エラー? 2バンクとも吸気圧取り替えると2万円コース、ちょっと新品にして試してみるって金額じゃないなあ。 故障記録を消去してもらって、しばらく様子見することにしました。

    2024-07-26 過去故障読み出し: 吸気圧センサ異常


        中央研究所行き走行、3速6000回転の大加速でFI警告灯点灯。 巡航中にキルスイッチでエンジン停止し再始動したら消灯しました。 スロットル開度大で単発発生するのかもしれません。

    2024-07-27 中央研究所行き: FI警告灯点灯




        燃料タンクを取り外して、吸気圧センサを見てみました。 2個の吸気圧センサはエアクリーナーボックス左側から生えているステーにラバーマウントさそれています。 ブルーのシースのケーブルがつながっているのがフロントバンク吸気圧センサ、 ブラックのシースがリヤバンク吸気圧センサ。

        バキュームホースは、フロントシリンダのスロットルボディ取り付け部がおそらく熱で柔らかくなっているようですが、 指で触れる限り亀裂が入っているようには感じられません。 リアシリンダはスロットルボディ取り付け部に指が届かず不明。

        ダイアグ結果と症状から、

  • センサ配線不良ではない [もしそうならアクセル操作によらず発生するだろうから]
  • ECUのセンサ電源ではない [センサ電源は他のセンサと共用なのでIPSだけ異常ということは考えにくいから]
  • センサ入力回路ではない [もしそうならアクセル操作によらず発生するだろうから]
  • バキュームホース開放/閉塞ではない [ホースは正常に見える]

  • と思えます。 圧力低下時にセンサ出力が想定以上に暴れるのではないでしょうか。

        VU51AのエンジンECUは、 IAPセンサフェイルのときは吸気圧を760mmHg固定として制御します。 走行継続可能、再始動可能。 なのでこの理由で再びFI警告灯が点灯しても、 ツアーや長距離通勤をアボートする必要はなさそうです。

    2014-08-01 吸気圧センサ目視点検





    吸気圧センサ単体テストを行う

        吸気圧センサを取り外して、 サービスマニュアルに記載のある手順で単体テストを行ってみました。

        センサはアナログ電圧出力タイプで、 ECUからDC5Vが供給され、 圧力に応じてアナログ出力電圧が変化します。 サービスマニュアルでは、安定化電源装置を持っていないショップのために、 乾電池を3本使って、 本来は5.0Vのセンサ電源電圧であるべきところを約4.5Vでテストできる方法が示されています。

        センサ電源、センサ出力そしてコモン端子と合わせてコネクタは3ピン。 コネクタピンに直刺しできるヘッダーピンつきワイヤを3本用意して、 安定化電源装置 でつくったDC5.0Vを供給し、 出力電圧を アナログテスタ で測定します。

        圧力を変えられるよう、注射器も用意しました。





        ところが・・・ 結果がヘン。 フロントシリンダ用とリアシリンダ用のセンサのどちらも、 出力電圧はDC約1.6V。 しかも圧力に全く反応しません。 想定外の結果です。 ピンの順番が違っているのではないかとなんべんも図を見て確認しましたが、 どこもおかしくありません。

        うーむ、奇妙だな。 最初からセンサ出力がおかしいのならエンジンを始動してすぐにエラーが出るはずだし、 圧力に反応していないのだからアクセル操作に応じてエラーが出るということも無いでしょうに。 センサが全く負圧に反応しないのならアクセル開度大で故障確定したのはどういうことなのでしょう?

        それに、2個のセンサが同時に壊れるとは思えません。 すくなくとも2個のセンサで挙動は違うはずだと推測していましたから。

        実車でのエラー発生状況とセンサ単体テストの結果はアンマッチであり、 結果に納得がいきません。 いっぽうでサービスマニュアルのセンサ単体テスト手順で異常値を示しているので、 まずは交換用の吸気圧センサを2個、ショップに注文しましょう。

    2014-08-01 吸気圧センサ単体テスト 結果に納得できない


        第3研究所行き走行、大加速は行わず、FI警告灯は点灯せず。 大加速しないと発生しない、 のはありえそうです。

    2027-09-02 第3研究所行き: FI警告灯点灯せず


        ショップで入手した新品吸気圧センサを持って中央研究所行き帰投走行。 途中FI警告灯点灯3回。 1回は4速中加速、2回目は普通の一般道走行中、3回目は新座料金所進入の減速開始時。 走行中にエンジン再始動する手順も慣れてきました。

    2024-09-03 中央研究所行き: FI警告灯3回点灯





    新しいセンサを試す

        夢と時空の部屋のサービスベンチで、 サービスマニュアルに掲載の単品テスト手順に従い、 新品吸気圧センサのテストを開始。

    ところが。

        もともと使っていたセンサとほとんど同じ挙動 ― DC約1.6Vの固定出力、圧力に反応せず ― なのです。

        そんなばかな。 いや、あるいは、やはり。 先日実施したものの結果に納得がいかなかったテスト結果、 やはり何かがおかしかったに違いありません。 サービスマニュアルの回路図を含むほかのページを行ったりきたり、 また実車ワイヤーハーネスのワイヤー線色を確認して、 確信しました。

    スズキのサービスマニュアル、間違っとるやん。

        吸気圧センサ単品テスト手順の図解、 センサに接続するピンの、コモンピンとセンサ出力ピンが入れ替わっているのです。 これじゃあこの図の通りにテストしても正しい結果なんて得られるわけはありません。

        すっきりしました。 正しいつなぎ方に直したら、センサ出力は期待されるレベル。 圧力ポートの圧力を引いてみると、 センサ出力電圧はそれに反応して下がります。

        さらに、このセンサの出力は供給電圧に依存するタイプであることがわかりました。 マニュアルには標準大気圧での出力が3.1〜3.6Vとありますが、 実物では供給電圧3.9V時に出力3.1V、供給4.5Vで出力3.6Vになります。 安定化電源装置を持っていないショップで乾電池3本でテストするための判定数値なわけですね。 供給5.0Vでは出力3.9Vほどになります。

        誤配線してしまったために新品センサを焼いてしまったとしたらそれこそ怒り狂ってしまいそうですが、 新品センサのうち誤配線してしまったものと、 まだ一度も通電していなかったものとの間で特性に差はありませんでした。 センサへのダメージはなかったものと思います。

    2024-09-04 サービスマニュアルの誤記に気がつく ― 吸気圧センサそのものはおそらく壊れてはいない





        ティル実車の燃料タンクを再度取り外し (取り外さなくても作業はできるのですが)、 もともとついていた吸気圧センサを正しい接続方法でテストしてみると、 いままでのセンサは2個とも、新品に比べ出力電圧がすこし高いです。 供給電圧DC4.5Vの出力電圧は、従来品が 3.66Vなのに対し新品は 3.55V。 けれどもその差は標高にして100m程度の差でしかないし、 いままでのセンサは2個とも圧力低下をしっかり検出しているように見えます。 つまり、センサは壊れてはいなかったのです。

        それでも一縷の望みをもって新品センサを取り付け、車両を組みなおし。 見立ては、「FI警告灯はやはり点灯するだろう」。 エンジンを始動し、ニュートラルのままスロットルを瞬時に全開にして9000rpmまで一気に回したら、 ぱっとFI警告灯が点灯しました。 やっぱりね・・・orz

        吸気圧センサそのものが原因ではないことがこれで明らかになりました。 大きな進歩です。 スズキのサービスマニュアルに騙されて買わなくても良かったセンサに2万円払ったのは痛手ですが、 返品を願うのはやめておきます。 系列販売店にはサービスマニュアルのエラッタが配られるのかもしれませんが、 プライベーターではそういったサービスは得られませんし。 なにより、サービスマニュアルの誤記を見抜けなかったのは自分の悔しい敗北。

        さて、そうなると原因は一体どこに? 運転条件急変時に一時的に発生するのみなので、 車両静止時にはワイヤーハーネスを点検しても何も見つからないでしょう。 あり得るのはバキュームホースのリークや、 スロットルボディの圧力取り出しポートの詰まり。 前側気筒のホースは、目視触感では亀裂等は見つけられなかったのですが、 インジェクタボディ側で細く弱っていましたからここかもしれません。

        スロットルボディとエアクリーナとのジョイントクランプのネジはすごく奥まったところにあり、 緩められる工具がないので、 今日のところはここまで。

    2024-09-07 センサを新品に交換 FI警告灯は点灯する





    バキュームホースを疑う

        やはり次に疑うべきはバキュームホース。 触診では明らかな開放は無かったものの、 ピンホールでも空いたのかもしれません。 ショップにホース新品手配をお願いしました。

        第3研究所行き走行で、FI警告灯は合計6回点灯しました。 そのたびに走りながらエンジンを停止し再始動するのですが・・・ いずれもスロットル閉操作の時に発生しています。 4回目以降は軽負荷からの減速だけで発生、悪化傾向にあります。 いっぽう、第3研究所行きのときは発生しないなどということはないし、 今夜は気温20℃ほどだったので、夏の酷暑の高温のためというのもなさそうです。

    2024-09-24 第3研究所行き: FI警告灯6回点灯


        ショップに立ち寄って新品バキュームホースを受け取るついでに、 再度DTCを読みだしてもらいました。右図。 P0105-H #1 IPS High Voltage と P1750-H #2 IPS High Voltage故障は、 先日センサ交換する際にセンサをつながずIG ONしたらどうなるかを試したときに記録された故障でしょう。 その場合はエンジンの始動を待たずにIG ONした直後にFI警告灯が点灯します。 吸気圧センサをつながないというのは吸気圧センサ出力ピンとECUをつなぐワイヤが開放断線したのと同じことですから、 その場合は High Voltage故障が確定するわけですね。 おそらくECU内部でセンサ電圧入力ポートは軽くプルアップされているのでしょう。 アナログセンサ信号線がハイインピーダンスで開放されたらA/D読み値は近くのノイズを拾って不安定な偽の値を得てしまうでしょうから、 当然の配慮ですね。

        これは言い換えれば、このECUは吸気圧センサ信号線についてオープン故障と天絡故障を区別する機能は持っていないということでもあります。 二輪車のECUの診断機能なんて2010年代中盤でもそんなものか・・・ オープンなのか天絡・地絡なのかは、 サービスマニュアルに記載された診断手順でサーキットテスタを使って診断します。

        なので、着目すべきは "H" のつかないP0105故障。 かつP1750のほうは出ていませんから、 問題はやはりフロントシリンダ側吸気圧センサ測定結果が想定外、というタイプの故障でしょう。

        中央研究所行き帰投走行の途中、 いままでドライバビリティに変化はないと思っていましたが、 今夜は車両停止から1800rpmくらいで緩発進するときに息付き・失火が発生しています。 いよいよ実車運転性能に悪影響がでるほどに症状が進んできた、 ということでしょうか。 その後、やはりスロットル急閉でFI警告灯が点灯しました。

    2024-09-27 中央研究所行き: FI警告灯点灯





    バキュームホースを交換する

        バキュームホース交換作業を開始します。 さすがに燃料タンク取り外しまでは手慣れたな・・・

        前回は断念したエアクリーナとスロットルボディ結合クランプのネジ、 手持ちツールの組み合わせで難なく緩められました。





        ここから先、スロットルボディ取り外しは未経験領域。 サービスマニュアルを読んで慎重に作業を進めます。

        フューエルデリバリパイプ2本取り外し、 ケーブルクランプ1箇所切断、 電子制御スロットルアクチュエータコネクタ取り外し、 スロットルポジションセンサコネクタ取り外し、 インテークマニホールドクランプを緩めてスロットルボディを持ち上げ、 フューエルインジェクタコネクタ2本を取り外し、 スロットルケーブル2本を取り外し。

        そういえば2014年式V-ストローム1000ABSのリコールの一つであったワイヤーハーネスが燃料タンクに擦れて断線する不具合の対策 ― ワイヤーハーネスに保護ブーツを穿かせて取り回しを修正 ― は、ちゃんと対策が入っていますね。




        ふう。スロットルボディが取り外せました。 スロットルボディから吸気圧センサバキュームホースを抜こうとしたとき、 原因が見つかりました。 柔らかくなっていたスロットルボディ取り付け側の部分、穴が開いてらあ。

        今回の予測通りの観測なので安堵。 リアシリンダ用のバキュームホースには擦れ防止のジャケットが付いていますが、 スロットルボディ取り付け部は同様に劣化が見られました。 熱によってホース材質が劣化したのでしょう。

        けっこう汚れていたスロットルボディ外部を清掃。 アイドルスピードコントロールバルブ通路も洗浄液で洗浄します。 茶色いのがドバドバ出てきましたね。 エンジンオイル飛沫が回り込んだりするのかな。 スロットルリンケージも清掃注油。動きは明らかにスムースになりました。

        いままで手を入れたことのなかったスロットルボディ下のエンジンインテークマニホールド周辺と シリンダヘッドカバーも濡れウエスで清掃。 各種コネクタやワイヤーハーネスも湿ったウエスで汚れ落とし。

        スロットルボディに新品バキュームホースを取り付け、 スロットルボディを、エアクリーナを、燃料タンクを、そして外装を組み戻し。 エンジンを始動し、9000rpmまでのスロットル全開・急閉を2〜3回試しても、 FI警告灯は点灯しません。 アイドリングも安定。





        テスト走行に出かけます。 そういえばティル、2014年に入ってから一度もツアーに出かけたことがなく、 すべて中央研究所―第3研究所間の通勤往還走行のみでした。 勘を取り戻すため丁寧に小さな峠道を通ってライダーとマシンのウォームアップ、 その後極微速発進、4速50km/h前車追従のローパワー走行、 滑りやすい濡れた細いつづら折りの慎重な低速域アクセル操作、 4速・5速2000rpmからの低速全開加速、 常用域3500rpm前後での全開・全閉を繰り返すドライ山岳路でのスポーツ走行 そしてストレートでのミリタリーパワーまで、 ひととおりの走行パターンを試して計50km走行。 FI警告灯は点灯しません。

    直った!!

        ワークベンチに戻ってホースをつぶさに見ると、 ゴムが硬化して割れたものではなくて、 熱によって材質が劣化して亀裂が入ったようですね。 実際この部分以外のホースはゴム質を維持していました。

        例によって、原因が分かってしまえば何ということのない修理でした。 けれど今回も、この故障を通じていろいろとこのマシンについて学ぶことができました。 さーて、定年後再雇用の期限が切れるまで、 ひきつづきよろしくね、ティル。

    2024-09-28 FI警告灯点灯問題 完治 88,265km





    いつまで?


    Memo

    Battery
      FTX14-BS
      10h rated capacity 12Ah

    Tires
      Front: 110/80R 19 M/C 59V
      Rear: 150/70R 17 M/C 69V




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