2008年02月、
Softbank Toshiba X01T
のUSBポート消費電流を測ろうとして、
U-70Dの直流電流測定値が不正確であることに気がつきました。
買って30年も経っていれば無理からぬことですが、上記のような理由もあり、とてもポイと捨ててしまうわけには行きません。
もちろん今ではアナログテスタなぞ高級モデルであってもためらわずに買える経済力を手にしましたが、そういう問題でもないのです。
ここはぜひ自力で修理して見せなくては。 中学生のときにもU-70Dは1回壊してしまい、説明書にあるとおりの補修抵抗をサンワに注文し、 自分で修理したことがあります。 でもさすがに30年前の製品ではサービスパーツは供給してくれないだろうなあ。 所詮はアマチュアなので、我がラボの計測器はどれも国際標準からのトレーサビリティを持っていません。 校正しようにもどれを基準にして良いものやら定かではありません。 ラボの在庫部品にバンドギャップ方式のボルテージリファレンスIC、リニアテクノロジLT1029があります。 このICは製造時に基準出力電圧が±0.2%にプリトリムされていますので、これを基準にする方法もあるでしょう。 アマチュアの測定には十分な精度です。あとで小さな基板を使って手軽な基準電圧ユニットをつくっておこう。 |
菊水のPAB32-2A型安定化電源装置についているデジタル出力電圧計の読み値と、
秋月のデジタルマルチメータP-10型の読み値は誤差1%以内でよい一致を示しました。
そこで、P-10の精度は満足できるものと仮定して、今回はこれを基準に使ってみます。 まずは電圧の読みを見てみましょう。 秋月のデジタルテスタとU-70Dを並列につなぎ、安定化電源装置の電圧を変化させて読み値を比較してみると、 DCV 50/10/2.5/0.5Vの各レンジでいずれも-4%の誤差がありました。 真値10.0VのときU-70Dは9.6Vを示し、真値2.5Vのとき2.4Vを示します。 U-70Dの取り扱い説明書をみると、DCVレンジでの許容差は「最大目盛値の±3%以内」とあります。 私のU-70Dの現状の精度は規格外ということになりますが、新品でもそもそも±3%程度でしかないわけですね。 DCV250/1000Vレンジでは試していませんが、50/10/2.5/0.5Vのどのレンジでも誤差は同じように-4%ですから、 これを是正するためには、DCV0.5Vレンジの倍率抵抗であるR13 (8Ω)、 あるいはメータ直列調整抵抗(個体選別調整)R16のいずれかを合わせこめばいいことになります。 DCVレンジ以外でも-4%の誤差があるなら個体選別調整抵抗R16をいじるべきだし、 DCVレンジだけが-4%を示すのならR13 8Ωを微調整すべきだと思います。 次は電流の読み。 U-70Dと秋月P-10、さらに抵抗器1本を直列につないで電流を流し、読みを比較してみます。 結果は右表。 やはりU-70DのDC500mAレンジは大幅に狂っています。 DC50mAの+9%というのも修正するべき狂いです。 一方、DC2.5mAレンジの-4%というのはDCVレンジと同じで、メータ個体調整抵抗で合わせこむべきでしょう。 秋月P-10はフロントパネルには最大200mAと書かれています。 実際にはもっと測れるようですが、壊してしまいそう。 上記測定の後にP-10と横河電機2011型精密級電流計の比較も行いましたが、P-10と2011の読み値は±0.5%の良い一致をみました。 |
Meter readings between the suspicious U-70D and maybe correct Akizuki P-10, indicating huge error in U-70D's higher DC currect range. Meantime the error at the DC2.5mA range suggests that this 4% is caused by the meter adjustment which must be performed individually to a particular unit. |
ポゴのリクエストで東京タワー見物に出かけたついでに秋葉原に立ち寄り、ラジデパで酸化皮膜抵抗を買いました。
R22を1Ω 1% 2W品に交換。取り外したR22をP-10で測定してみたら、2.3Ωと表示されました。ほぼ正解。また、R16に33kΩを並列に入れました。
P-10との比較結果は以下。 |
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電流指示はほぼ正常となりましたが、押し並べてメータ指示が低めという傾向は改善されていません。 ・・・そりゃそうだ、R16だけがメータの感度を支配しているわけじゃないんだよな。 R16の抵抗値を4%動かせばよい、という前述の計算はまるきりナンセンスでした。 それなら現物合わせと行きましょう。 R16に並列に50kΩのポテンショメータを入れ、電圧の読み値が正確になるような抵抗値を探します。 当然DCVの各レンジでわずかに最適値が異なりますので、最もよく使うDC10Vレンジを合わせこむことにします。 10.0Vを与えて、DC10Vレンジで正確にフルスケールを指示させるには、 ・・・と書いて、最適値を見出し、再度比較計測を行ってその記録を書き留めて一休みした後に、 Softbank Toshiba X01T がクラッシュ。 約1時間の実験結果メモは保存されないまま失われてしまいました。 ええ、そうですとも。 こんな低品質のソフトウェア製品に貴重なプライベートタイムを使った実験の結果を書き込んでいたワタシがバカでした。 一気にやる気がうせて作業中断。 |
The actual resistance of the original R22 measured 2.3 ohm, which should be 1 ohm. After replacing the R22, the DC500mA reading became much more accurate, while the approx. -4% low meter reading still omnipresently existed. |
つぎにR16に並列に6.8kΩを入れてみました。 |
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こんどは概ね良好な結果になりました。 専用ジャックを使う0.1V/50μAレンジの誤差は大きいままです。 R21を合わせ込めば改善されるはずですが、 20kΩ/Vのアナログテスタではどのみちかなりの低インピーダンス回路でないと正確な計測値は得られません。 このへんを精度よく測定したいならデジタルマルチメータにお願いすべきでしょう。 |
Adding a 6.8kΩ resister in parallel with R16 made the overall accuracy satisfactory. DC0.1V range still shows large error. Even if further adjustment is made, however, accurate reading can be obtained only when the target circuit impedance is very low. If accuracy is needed in such case, a digital multimeter will be called anyway. |
U-70Dには極性反転スライドスイッチがあり、
マイナスの電圧を測ったりダイオードの極性をチェックするときなどに赤・黒のプローブを入れ替えずに
スイッチ一つでメータの振れを反転することができます。
回路図を見ればわかるとおり、このスイッチはテスタ内部のメータのプラス・マイナスを入れ替え、
同時に電池のプラス・マイナスを入れ替えます。 ソニー スタジオ1980のサービス作業中にU-70Dの指示がおかしいことに気づきました。 どうやら極性反転スイッチを反転側にしたときに接触が悪くなっているようです。 接点洗浄スプレーをスライドスイッチ内に噴射して、数十回カチカチやって、回復。 この接点洗浄スプレーは樹脂部に着くと滑りを悪くしてしまう性質があるようで、 スイッチの操作タッチが重たくなってしまったのはちょっと残念。 2020-10-11 極性反転スイッチ接触不良手入れ |
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