Yaesu Musen FRG-7
Shortwave Communications Receiver
(1976) |
|
友人が買った
ICF-5800
の性能の高さをまざまざと見せつけられ、
それでもあきらめずに
RF-877
を使い続け、
毎朝暗いうちに起きて牛乳配達に励んでとうとう手にした
RF-2200
。
10/2kHz直読可能・選択度切り替え機能は強力な武器でした。 その時はすでに引っ越して遠くに行ってしまった友人、ヤツは ICF-5900 に買い替えるかなと思っていたら、彼が選んだのは 八重洲FRG-7。 同社のFT-101ラインのデザインスキームを受け継ぐ通信型受信機です。 本気だな、と思うと同時に、 R-300でもSSR-1でもなくてFRG-7を選んだ友人はやはり「分かってる」んだなと感じられ、 そんな友人を持ったことをこっそり誇りに思っていたりもしました。 私はというとやはり実際に電波を飛ばしてみたいという想いが強く、 夜明け前の配達を続けて中学1年で電話級を取得し IC-502 で開局へ。 Y字分岐のすぐ先にあったFRG-7への道は通らなかったのです。 |
|
2019年07月20日、所用で某県某市へ。
市内で数時間待機する必要があり、どこかのカフェにでも入って本でも読んでいようか。
あ、でもさっき通ってきたところにリサイクルショップがあったね。 思いのほかいろいろ強く興味を引く品物が置いてあったそのショップ、 しかし買うのは何か一つだけと奇妙な自制心が働いて、 それならやっぱりこれだ、 ここで見送ったら絶対後悔する。 ジャンク扱いだけれど外観極上、値段は納得のいくもの。 毎日広告の写真を眺めていた日々から43年。 ラボにやってきたFRG-7はまるで新参者の印象はなく、 むしろおかえりなさいという感じ。 それにしてもこいつはハンサムだなあ! 電源を入れるとダイヤル盤のランプが暖かく燈りました。 実機は過去一度も触ったこともなかったのですが、 FRG-7はワドレーループ方式、 MHzダイヤルを回してワドレーループがロックするとLOCKランプが消える。 中学1年生の記憶は思い出す必要などなく残っていました。 そしてMHzダイヤルを回すと・・・ 赤色LEDはどうやっても点灯したまま。 ボリュームをフルに上げるとかすかに無信号ノイズが聞こえ、 MODEスイッチをLSBに切り替えるとSSB受信時に独特のサーッという音になります。 おそらく第2中間周波・第3中間周波・BFO・検波・低周波増幅の各段はおそらく動作しています。 しかしLOCKランプは消えない。 ということは、FRG-7自慢のワドレーループが死んでいる。 外観極上の、ワドレーループが死んだFRG-7。 これ以上に素晴らしいコンディションは考え付きません。 別の道に入ってしまった中学1年のY字路分岐。 このFRG-7との旅は、入ることのなかったY字分岐に入り、 いままで見ることのなかったワドレーループの世界を楽しむ旅になるはずです。 これは楽しみだ! でもまあ、あわてることもないでしょう。 順番からいったら、修理しかかりで放置している 八重洲FR-50 をひととおり仕上げる方が先ですね。 FRG-7はホコリがつかぬようソフトクロスを掛け、 ラックのサービス待ち機の仲間入り。 2019-07-20 FRG-7購入 ワドレーループ動作せず故障を確認 修理待ちキューに追加 |
|
コロナ禍2年目、夢と時空の部屋の整理を続ける中、床置き放置品を優先にと思い
SONY DoDeCa Horn CD CFD-500
の電源が入らない故障を修理しようとしたものの、調査中に動作しはじめ、
原因追及できず。
内部清掃してケースを閉じたら、症状再発。
一気にやる気がなくなりました。
アイワTPR-840
ほどではないにしろ、
ラジカセはほんと修理しにくいねえ。
次は整備しやすそうな構造のもの、かつチャレンジしがいのあるものをいじりたいなあ。 2021年8月、 100MHzを観測可能なデジタルストレージオシロスコープ は完全稼働状態になったし、9月には 0.01Hzを測定できるユニバーサルカウンタ の修理にも成功して、いつでも使える状態になりました。 この二つは、それとはっきり意識して修理したわけではありませんでしたが、 考えてみるとFRG-7修理の前準備として作業したようなものです。 準備はできた。 いよいよ43年前のY字分岐に立とう。 FRG-7、修理開始。 電源を入れると、フロントパネルのダイヤル照明ランプが点灯しますが、 MHzダイヤルつまみを回しても赤色LEDのLOCKランプは消えません。 自慢のワドレー・ループが動作していないのは明らかです。 ボリュームつまみをフルに上げても、わずかなヒスノイズが聞こえるだけ。 これは2019年の入手時と同じ。 すぐにケースを開け、 回転ワークテーブルに載せました。 |
|
|||
外装はとてもきれいで使用感もわずかですが、中もとてもきれいです。
目視で気づくような異常もありません。
トランジスタ機だからということもありますが、
内部コンポーネントの配置は整然としていて、
ワイヤーハーネスは少なく、
整備性はとても良さそうです。 |
|
|||
FRG-7のオーディオアンプはAN214ひとつによるICパワーアンプ。
AMダイオード検波、あるいはリングダイオードによるプロダクト検波の出力が、
3段切り替えのパッシブトーンコントロールを通過した後にICパワーアンプに加えられます。 受信機のバックグラウンドヒスノイズは聞こえるのでオーディオ段は正常と思われますが、 まずは何はともあれの最初のステップ。 ボリュームコントロールのホット側にラインレベルのオーディオ信号を注入して、 オーディオ段の様子をみます。 うん、ハムもノイズもなく顕著なひずみもなく、 正常と思える音量でフロントパネルの楕円型スピーカから音が出てきました。 オーディオ段に問題はないようです。 フロントパネル楕円スピーカの音質は当然ながら口径なりの音しか出ませんので、 リアパネルの外部スピーカジャックにワーフェデール ダイヤモンド225をつないでみました。 ライン入力を直接入れているわけですが、 低域・高域は適度に減衰されていて、AMラジオ以上FMラジオ以下の音です。 用途目的を考えれば変なところはありませんね。 むしろ適切なチューニングです。 フロントパネルのRECORDINGジャックはボリュームコントロールポテンショのホット側から抵抗1本を介して取り出しているだけなので、 オーディオ段をテストするにはここからオーディオ信号を入れればいいねと思ったのですが、 試してみるとひどくひずんだ音になってしまいます。 はてこれはどうしてだろう。 |
|
|||
FRG-7のオーディオアンプでジャズアレンジを聴きながら各部を観察。
内部にホコリは溜まっていますが、
破損や焼損は見られず、サビや腐食もほとんどなく、
保存状態は良好です。
オーナーはタバコは吸わず、毛足の長い絨毯が敷かれた部屋で暮らしていたようですね。
経済的にゆとりがある家庭の中学生だったのでしょうか。
妬ましいなあ。 2021-09-25 FRG-7修理開始 オーディオ段の正常動作を確認 |
|
私はFRG-7の実機を触ったのはジャンク品扱いのこれを買った2019年が初めてでしたし、
ワドレーループの原理は本で概要を読んだくらいのもので、なにやらドリフトをキャンセルする回路らしい、
くらいの理解でしかありません。
どうしてワドレーループが周波数ドリフトをキャンセルできるのかを具体的には説明できないし、
なんだかとても複雑な機構なのだ、くらいの認識です。
幸いにオペレーションマニュアルと回路図が入手できましたから、
それを読んでワドレーループをゆっくり勉強していきます。 回路図を読むと、あれ? 予想していたことと違う。 フロントのLOCKランプは、 「回路内の周波数の関係が、ドリフトをキャンセルするためのフィードバックループの制御可能範囲内に入った」 のような意味なのだろうと長く・・・中学1年のころから・・・ 思っていました。 しかし回路図では、 LOCKランプは単純に第2局部発振周波数のレベルがある程度以上になると消えるように作られています。 LOCKランプが消えないということは、 52.5MHz 第2局部発振周波数信号が生成できていないということです。 第1局部発振周波数はOSC UNITと名付けられたVFOのトランジスタ1石で発振されていて、 第1周波数変換段に送られています。 いっぽうその周波数はなんだかややこしくて複雑な回路にも送られていて、 HG UNITと呼ばれる発振器からの信号とミックスされ、 その出力が第2局部発振周波数として出力される仕組みになっています。 どうやらこのややこしい部分がワドレーループの中核部に違いない。 そして、このややこしい部分が第2局部発振周波数を作れずにいるわけだ。 この「ややこしい部分」をじっくり読み進めました。 HG UNITという名称はハーモニック・ジェネレータの意味らしく、 1MHzとそのn次高調波 (ただし3MHz〜32MHzだけ出すようなフィルタ入り) を出力しています。 いっぽうOSC UNITは単なる1石VFO。 この二つの信号が、プリミキサに入ります。 プリミキサの実体はSN76514バランストミキサです。 なるほど、であれば、 OSC UNITの出力周波数をfLO1と書くことにすると、 バランストミキサの出力には fLO1±3MHz / fLO1±2MHz / fLO1±3MHz ・・・ fLO1±32MHz 、 の周波数成分が含まれることになります。 バランストミキサの出力は、3段構成の増幅回路に入ります。 この増幅回路は入力・2つの段間・出力のそれぞれに2つの疎結合IFTがあり、 合計で8つのコイルが使われています。 ここがセレクティブ・アンプリファイヤで、 様々な周波数成分が含まれているバランストミキサから52.5±0.1MHzの成分だけを取り出して増幅し、 第2局部発振周波数として出力します。 つまり第2局部発振周波数が出力されるということは、 第1局発周波数が52.5±0.1MHz±nMHz (nは3〜32の整数) になっている、ということです。 そしてフロントパネルのLOCKランプが消えたということは、 第2局発周波数が生成できているということと同時に、 第1局発の周波数がそういう周波数の範囲に入っている、 ということを意味します。 さあ、そうなると、LOCKランプが消えないということは、 のどれかだ、ということになります。 なので、これらのひとつひとつが正しく動作しているのかどうかを確認していくようでしょう。 LOCKランプ制御回路が故障していてランプを消せずにいるのであれば、 ランプは点灯したままでも何かしらを受信できるはず。 受信機は全く無感ですから、LOCKランプ制御回路はとりあえずシロだと考えます。 ところでアレだな、 ワドレー"ループ"っていう割には、 回路のどこにもフィードバック制御ループなんてないんじゃん。 2021-09-25 ワドレーループの動作を学ぶ |
|
ハーモニックジェネレータユニットの出力信号を見てみます。
ここが発振していなければ第2局発信号は生成できませんから。 テクトロニクス2230デジタルストレージオシロスコープ をつないでみると、 リンギング状の振動を伴った1MHzのパルスが見えました。 む、ここは肩がなだらかになった矩形波のようなものだろうと推測したのですが。 ここの正常な波形がどのようなものかを記した資料を持っていないので、 この波形で良いのかどうかの判断がつきません。 いっぽう周期は正確に1μ秒なので、 1MHz基準周波数水晶発振子と水晶発振回路 - FRG-7マニュアルではシンセサイザ・オシレータと呼ばれています - は動作しているようです。 パルス状部の振幅は60mVp-p。 1:10プローブが負荷になってしまい低く見えているのかもしれませんが、 これは低すぎやしないのかなあ。 ハーモニックジェネレータ出力はそのままSN76514バランストミキサICの5ピン、 ローカルオシレータ入力ピンに入ります。 76514の普通の使い方ならここの振幅は300mVとかのはずなので、60mVp-pは低すぎるような気がするのですが。 2021-09-25 ハーモニックジェネレータ出力波形を観察 |
|
第2局発信号強度が弱いのは間違いがありません。
第2局発52.5MHzが十分な振幅を得られない原因として考えられるのは、基本的には 1) 第1局部周波数発振器 (MHzダイヤルで周波数可変) の出力が弱い 2) ハーモニックジェネレータ (HGユニット) の出力が弱い 3) プリミキサ (SN76514 ダブルバランストモジュレータ) が劣化している 4) セレクティブアンプのゲインが不足している のどれかであるはずです。 すでにOSC UNITの第1局発は発振していることをオシロスコープで確認してはいましたが、 ここをきちんと見てみます。 |
|
|||
MHzダイヤルの位置で第1局発出力レベルがどう変わるかを見てみました。
結果は右表。
MHzダイヤルが20MHz以上にあるときは第1局発は実用的な出力を出していますが、
16MHzあたりから、周波数が低くなるほど発振出力は下がっていきます。
12MHzではほとんど発振停止状態になり、受信機は機能を停止してしまいます。 最初電源を入れて試したときはこの受信機は「何も聞こえない」ものと判断してしまいましたが、 正確には「15MHz以下で感度を失う」のです。 20MHz以上には強力な短波放送局はいませんから、 受信できるかどうかを試したときには25MHzとか28MHzとかにはダイヤルを合わせてもみなかったのです。 いやでもまてよ、この手の症状、記憶があるなあ・・・ いまから24年前、 SBE SB-34バイラテラルトランシーバ がこの症状 - VFO発振停止 - を示していました。 2021-09-26 OSC UNITが低いMHzポジションで発振停止に陥ることを確認 |
|
OSC UNITに使われていたトランジスタは顕著な性能劣化を示していました。
ひょっとするとセレクティブアンプのトランジスタも同様な劣化を示しているのかもしれません。
ひととおりは動作していると思われるセレクティブアンプですが、
よく見てみることにしました。 RF UNIT基板には半田面にいくつか部品が手付けされていることは開けたときから気がついていましたが、 これらの追加部品はセレクティブアンプ回路に集中しており、 オペレーションマニュアル掲載の回路図には記載されていません。 これらはどういった経緯によるものなのでしょうか? 八重洲によるランニングチェンジかもしれないし、 八重洲のサービスブレテンに従った改造なのかもしれないし、 SIG機関紙に掲載された改造事例を取り入れたものかもしれないし、 この個体の前ユーザによる研究改造なのかもしれません。 当時を知らない私には判断がつきません。 ちょっと調べた範囲ではこの部分の改造がユーザコミュニティ内で常套のものとして行われていたようには見えません。 まずひとつ、 T110の本来空きピンをGNDに落としている56kを切り離してみました。 するとTP110の52.5kHz出力は1/3に落ちて受信機感度は下がってしまいました。 いったん元に戻し、もうすし観察を続けることにします。 2021-09-28 抵抗切り離しトライ |
|
セレクティブフィルタ - セレクティブアンプの怒涛の8連トランスを調整してみました。
オペレーションマニュアルには通過帯域を100kHzとるように調整手順が指定されています。
この通過帯域は、運用中のOSC UNITの発振周波数つまり第1局発周波数の変動量よりは広く取っておく必要があります。
もし同調がシャープすぎて通過帯域が狭いと、
第1局発がその範囲を超えてドリフトしてしまったときに感度が急激に下がってしまうこととなってしまいます。 ともあれまずは8つすべてのトランスを52.500MHzにピークを取ってみました。 結果、23.5MHz受信時の第2局発52.500MHz出力は300mVp-p以上出るようになりました。 通過帯域が狭すぎるようなことはなく、実用上問題ないと思われます。 これにあわせてLOCKランプレベルを再調整しました。 2021-09-28 セレクティブフィルタ調整 |
|
T110のトランス巻線のNCピンを56kΩでGNDに落とす改造、
抵抗を切り離したら第2局発出力が弱くなった・・・のは、切り離したらトランスの同調が狂うからゲインが落ちるわけですね。
抵抗を再度切り離してT110トランスを調整してみると、抵抗がついていた時よりも第2局発が高まります。 なので今夜は、T110 / T112 / T114のNCピンをGNDに落としているいずれも56kΩの抵抗を3本とも浮かし、 8個のトランスの再調整を行いました。 結果、MHzダイヤルの位置にもよりますが、 25%〜50%もの出力アップになりました。 MHzダイヤルが5MHzのときに振幅は最大になり、 このときTP110における第2局発出力は580mVp-pになりました。 おおむねマニュアルに書かれている通りの振幅レベルが得られたことになります。 よし、しばらくこれでいこう。 あわせてLOCK LEDランプ消灯レベルの再調整、MHzダイヤルのキャリブレーション、 2.500MHz第2中間周波数トランスのピーク出し。 受信機は安定して動作しており、 いまや RF-2200 が逆立ちしてもかなわない性能が出ています。 しかしこのトランスピンのGND落とし改造は何のためだったのでしょう。 第2局発信号が弱くなってしまうというデメリットを甘受してでも得られたものは何だったのでしょうか・・・ しばらく使っていけばそのうち見えてくるものでしょうか。 2021-09-29 セレクティブアンプ T110 / T112 / T114 のNCピンのGND落とし抵抗を切り離し 再調整 |
|
BFOのスタートアップ周波数ドリフトを測定してみました。
岩通SC-7202ユニバーサルカウンタ
は、ゲート時間を10秒にセットすればミリヘルツの単位まで測定できます。
修理できてよかったなあ。 今回はLSBモード、設計狙い値457kHzのドリフトを測定しました。 結果は右グラフ。 電源ON直後はするする周波数が動きますが、 およそ10分で変化傾向は安定。 以降はゆっくりと変化していきます。 室温は29.1℃( AppleII Plus の本体内部に設置した温度計の表示) で60分間測定しましたが、 このあと目標温度26℃でエアコンを作動させたら、 BFOの周波数はものの10分間で350Hzほど下がりました。 可能な限り安定した受信がしたければ、 運用開始の2時間ほど前からエアコンもFRG-7も電源ONして温度をなじませておくのがよさそうですね。 2021-10-02 BFO周波数ドリフトを測定 |
|
短波を調子よく受信できるようになってすぐ、この受信機が同じ時代のポータブル短波ラジオや、
それ以前の真空管式通信型受信機とはっきり違う点に気がついていました。
切れが良い!! 放送局にダイヤルを合わせる時、 まるでFMラジオであるかのようにセンターのどんぴしゃポイントはとても緩くて広く、 わずかにダイヤルを左右に回してもさほどには音量が変わりません。 が、そらに回すと、いきなりストンとその局が聞こえなくなります。 10kHz隣の近接局はほとんど気にならないほどにカットできます。 この点だけでも、ポータブルトランジスタラジオには戻る気になりません。 この美点を可視化すべく、 シグナルジェネレータを使って選択度特性を測ってみました。 RF UNITボードのAGC電圧をデジタルマルチメータで測定し、 15.000MHz 40dBu (S=9) の信号を受信し、そのときのAGC電圧 5.98V をメモしておきます。 ついでシグナルジェネレータの出力周波数を少し動かし、 シグナルジェネレータの出力をどのくらい上げればセンター同調時と同じAGC電圧になるかを記録しました。 結果は右グラフ。 フラットなトップと鋭いスカート特性を持っているのが明らかです。 同じグラフに RF-2200 の測定値も書き込んでみましたが、 全く勝負になりませんね。 通過帯域幅は、国際短波放送を聞くのに最適な帯域幅といえます。 いっぽうこれは理想的なSSB受信には広すぎますから、 当時は多くの人がフィルタの改造を試みたわけですね。 ナローフィルタをオプションで用意するくらいしても良かったのかもしれません。 大口径外部スピーカを使えばFRG-7は明瞭かつ聞きやすくて疲れず国際放送を楽しめますが、 この帯域幅のために受信音はラジオというよりは通信型受信機然とした音になります。 まあ通信型受信機なので当然ではありますが。 昼間の中波AM放送のように近接混信がなくて強力な信号であれば、 RF-2200のワイドポジションのほうがニュースも音楽もずっと良い音で楽しめます。 2021-10-12 選択度特性を測定 |
|
LOCKインジケータレベル調整トリマの位置が入手時からかなりずれているのは、
2.5MHz 第2局発レベルが製造時よりもずいぶん低いことを示しています。
OSC UNITの第1局発トランジスタ2SC1923を2SC3068に交換して動作し始めたFRG-7ですが、
このトランジスタが当初設計にいまひとつフィットしておらずに局発出力が不足しているのがおそらく理由のひとつでしょう。
劣化していた2SC1923と同じトランジスタがセレクティブアンプにも3本使われていますので、
同様に劣化し始めているのかもしれません。
これらをより性能の良い高周波トランジスタに交換して、
と思ったのですが、
現状調子よく動作しているので、ここでいったん作業完了とすることにしました。
シンプルグリーンとお湯で洗ってすっきりしたケースに組み戻し、完成。 感度・選択度・音質・安定性・イメージ抑止・近接波抑圧の性能は十分出ており、 短波放送はもとよりアマチュア無線の受信もかなりのところまでやってのけます。 CW受信には選択度が不足、でもこれは設計意図通りの性能ですから、無理な改造をしようとは思いません。 この数日、FRG-7は当時は想像もつかなかった通信モード FT8 で、 わずか数分間の間にシベリア・中国・韓国・香港・インドネシア・シンガポール・モンタナ・ロサンゼルスを受信しています。 感度はとても良いものの、現状の不満点は、コンバータノイズが大きいこと。 40dBuつまりS9の十分に強い信号でも、受信音には明らかなヒスノイズが入ります。 短波放送の番組をゆっくり楽しみたくて完全にクワイエットな受信とするためには、 信号レベルは60dBuを要します。 コンバータノイズが大きいのはトリプルスーパーヘテロダインの本質的な欠点ではありますが、 トランジスタを交換してワドレーループ局発信号レベルを高めたらコンバータノイズは減るだろうか? これはそのうちに試してみたいところ。 雑誌の広告を眺めるだけで中学1年生がついに手にできなかったFRG-7。 当時は3万4800円のRF-2200を買うのが精いっぱいだったもんね。 さらに2万5000円も高いFRG-7にはとても手が届かなかった。 RF-2200は悪くない選択だったけれど、 今なら中学1年の自分にアドバイスするかもしれない。 あと数ヶ月がんばって、FRG-7にしろ。 本物は、違うぞ。 2021-10-19 作業完了 |
|
2022年暮れから2023年初頭は、
夢と時空の部屋の暖房として
51S-1
を連続動作させて暖房代わりにしていました。
冬の間エアコンを暖房運転させる必要はなくて快適でしたが、
春になって温かくなってきたので51S-1は止め、
トランジスタ機に入れ替えましょう。
そう思ってICOM IC-706MKIIGMでFT8を受信していたのですが、
この小型無線機、受信しかしていなくてもときおり冷却ファンが回り、
昼間のホームオフィス中は案外に騒々しくて不快です。
KOSMOS 70 Yarhre Radionmann
いじりの手をいったん止め、
FRG-7に入れ替えよう。 FRG-7入手時の故障の原因は第1局発のトランジスタ2SC1923の劣化で、 2021年9月の修理ではよい高周波トランジスタの在庫がなくてありあわせの2SC3068を使いました。 このトランジスタはおそらく用途にあまり適しておらず発振出力は弱く、 そのため第2局発信号レベルも不十分でした。 代わりになりそうなトランジスタは昨年2021年9月に買ってありましたから、 交換作業を始めましょう。 2023-04-15 第1局発トランジスタ交換作業開始 |
|
|||
使うのは2SC2669-Y。
交換してみると、よしよし、第1局発の出力は約2倍になりました。
この結果、セレクティブアンプ出力の第2局発出力もかなりアップ。
LOCKインジケー消灯レベルを調整してみると、第2局発の出力は工場出荷時よりも強力になったことが確認できました。 トランジスタ交換に伴い第1局発ダイヤル、つまりフロントパネルのMHzダイヤルも再び大きく狂いましたので、 再調整。 簡単かつスムースにMHzダイヤルを合わせ込めました。 |
|
|||
夢と時空の部屋のオーディオパワーアンプは
CBA-1000
が動作しはじめてからずっとそれを使っているので、
日幸電子STA-301
をラックから降ろし、代わりにFRG-7を組み入れます。
配線の引き回しも整理して、
コリンズ51S-1と八重洲FRG-7を簡単に聴き比べできるようにセットアップしました。
さあFRG-7、サイクル25でにぎやかになってきたハイバンドのFT8に一晩中聞き耳を立てておくれ。 2023-04-15 作業完了 FRG-7をラックに組み込み |
|