八重洲FR-50はアマチュア無線バンド専用の短波受信機。
高周波増幅1段、第2中間周波増幅2段のダブルスーパーヘテロダイン構成です。
基本的に同社製FL-50送信機とペアにしてトランシープ構成にして使います。 この個体はフロントパネルにZERO SETつまみがないところをみるとFR-50の初期のプロダクションだったものと思われます。 ダブルスーパーヘテロダインの第1中間周波数は5.1739MHz、第2中間周波数は455kHz。 第1局部発振はトランジスタによるコルピッツ発振VFOで、 第2局部発振はトランジスタ水晶発振。 発振回路の電源は電圧からツェナーダイオードで安定化されて生成されています。 VFOは3.5MHz帯と7MHz帯受信時には受信周波数よりも5.1739MHz高い周波数を、 14/21/28MHz帯受信時には受信周波数よりも5.1739MHz低い周波数を発振します。 7MHz帯受信時のVFO発振周波数は約12MHz、 21MHz帯受信時は約16MHzですので、 いくら発熱の少ないトランジスタ回路で電源も安定化してあり、 さらに温度補償キャパシタを併用してあるといっても、 安定な発振周波数を得るのはそもそも困難。 実際FR-50は電源投入直後からコンスタントに周波数ドリフトが始まります。 室温の低い冬の午後に21MHzを聴くと1時間以上ウォームアップしても周波数ドリフトは収まらず、 ダイヤルに常に手をかけて微調しながらの受信になります。 第1局発を水晶にして第2局発をVFOにすればVFOは低い周波数を発振すれば済むので良好な安定度が得られます。 いろいろ理由があったのでしょうが、FR-50はどうしてこんな構成にしたのかな。 複数の水晶を並べるのがコスト的に許されなかったからなのか、 それとも特許の関係? なんにせよ、1958年の コリンズ75S-1 登場から8年も経った1966年、当時のJA機はまだこんな程度だったんだなと感じさせられます。 |
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FR-50はベンチの上でサービスポジションのまま、ほぼ1年経過してしまいました。
いつもながらのスローペース。
最後に作業していたとき、人のオペレーションにいちゃもんつけている局がいて、
たぶんひどく酔っ払った年寄りなのだろうけれどもそれはそれは汚い罵り言葉、
というよりもほとんど恫喝で、街中の路上でやったらきっと通りかがりの人が見かねて警察を呼んだであろうひどさでした。
まあこの手のやからは昔からどの世界にもいるけれども、
その夜は聞いているこっちが本当にひどい気持ちにさせられてしまい、その後しばらく7MHzを聴こうという気にならず、
気がついたらずいぶん経ってしまったのでした。
もちろんFR-50には全く責任はないのですけどね。
こっちももうりっぱな年寄り、でもあんなみっともない、人に迷惑をかけるジジイにはなりたくないな。 FR-50は、やはりメータを使えるようにし、さらに簡単なものでいいからAGC動作を補助する追加回路でもこしらえて第一段階終了としたいな。 オペアンプを使ったAGC電圧バッファアンプを小さな基板に実装し、筐体内のどこかに組み込むという感じ。 ファースト・アタック、スローディケイのAGC回路ができたら、ついでにSメータをLEDバーグラフで自作するっていうのも楽しいかも。 |
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現状 (ファーストアタックのためのシリコンダイオードと時定数増大のための0.47μFキャパシタを追加した状態) では、
北京放送のような超強力な局の場合でAGC電圧はマイナス10Vを越えることがあります。
ので、この回路の電源はマイナス15Vの単電源にできたらいいでしょう。
電源トランスの12VACヒータ巻線からうまく-15Vが作れないかな。 FR-50とその改良機FR-50Bとでは回路の変更点がいくつもありますが、 違いの一つは真空管のヒータ点火方式。 FR-50は電源トランスのヒータ電源はAC12Vで、6V管のヒータは直並列接続されて12Vで点火されています。 これに対してFR-50Bではヒータ電源は6VAC。 1本だけ使われている12V管 12AT7のヒータにはセンタータップがあるので、これを使って6V点火されています。 FR-50の方式だと6V管のどれか1本のヒータが切れたり抜かれたりしたときにバランスが崩れて他の管のヒータ電圧が大きく影響を受けてしまいす。 FR-50Bの方式のほうが安心感がありますね。 なぜ当初FR-50では直並列点火方式を取ったのだろう。 電源トランスにはFR-50との品番が明記されていて専用設計品だと思われるので、 手持ちの電源トランスに合わせるためというのは理由ではなさそうですし。 よく晴れた1月の昼下がり、 独立系ソーラーパワーシステム の100Ahバッテリはフルチャージになっています。 ので、余剰のパネル電力でデスクライトとともにFR-50を動作させ、 太陽エネルギーで灯っている真空管のヒータを眺めながらカーボンフリーで7MHzののんびりラグチューをワッチします。 トランジスタ式VFOの電源はB電源からツェナーダイオードで生成されていて、ウォームアップは必要ですが、AC電源電圧の変動には強い様子。 MPPTチャージコントローラやACパワーインバータからのノイズもあまり気にならず。 午後1時、パネルは78Wを発電中。 真空管を8本使っているFR-50の消費電力はオペレーションマニュアルには50VAと書かれています。 FR-50はB電源整流にシリコンダイオード、VFOとHFOにはトランジスタを使っていますので、90Wを必要とする コリンズ75S-1 に比べればエコです。 |
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サンスイ AU-7700
修理用のバイポーラ電解キャパシタを買うために電子部品店でネットショッピングしていて、
FR-50のSメータにぴったりの50μA電流計が見つかりました。
ので、2個注文。
届いたメータはパッケージにメーカー名がなくて怪しさはありますが、ぱっと見いい感じです。 朝の地区清掃集会を終えて一日フリーの日曜日、今日は久しぶりにFR-50をいじろう。 仮止めでつけてあったオリジナルメータを外し、買った中華製メータと並べてみます。 外形と取り付け寸法はぴったんこ。 透明フロントカバーを取り外し、さっそく目盛盤の入れ替え作業。 目盛盤の取り付けも全く同一かと思いましたが、 ねじ径はわずかに違うし、2つのねじ穴の間隔もほんのわずか違います。 接着剤での取り付けも考えましたが、 再び取り外したくなった時に曲げて使い物にならなくしてしまいそうだったので、 それならばとFR-50オリジナルメータの目盛盤に追加工しました。 うん、いい感じ。 ところがこの電流計、実際に試してみると、針が真ん中くらいまでしか触れません。 あれえ? 再度フロントカバーを外してムーブメント部を見ると、中の輪線ワイヤ引き出しのタブと、 機械的ゼロ点調整用タブの2箇所が曲がっていて、コイル枠や指針とぶつかっていました。 目盛盤交換の際にここを痛めたとは思えないので、おそらくメータ製造時からの不良品なのでしょう。 やっぱり中華品質だな。 まあそんなこともあろうかと2個買っておいたんですよ。 もう一つのメータはスムースに動きます。 また文字盤交換作業か、面倒だな。 でもまてよ、どのみちこの不良品メータを捨ててしまうのなら、と、 曲がっているタブを慎重に曲げ戻してみました。 結果はばっちり! 正しく動くようになりました。 もっとも、メータの機械的ゼロは目盛り盤のゼロは指しません。 フロントカバーの調整ねじでも調整しきれず。 写真を拡大するとはっきりわかりますが、 指針の取り付けがまっすぐできていないし、ゼロ調整タブの取り付け角度も狂っている様子。 外形はまったく同じですが内部構造はずいぶん簡略化されているこのメータ、 製造品質は粗悪品のクラスに属していますね。 FR-50のSメータ回路にはゼロ点調整ポテンショがシャシー上にあります。 この調整を行いながら、しばらくぶりの動作であちこち接触不良や動作不安定を示していたFR-50は、 1時間ほど使っているうちに安定しだして、 1メートルちょっとのビニール線アンテナでも夕方の賑やかな7MHzをしっかり受信しており、 信号強度に応じてSメータの針を振らしています。 やっぱり短波受信機にはSメータがないとね! 2020-09-27 Sメータ交換 8年前、AGCキャパシタはノーマルの0.01uFに並列に0.47uFを入れて応答をスローにしましたが、 これはさすがに重すぎ。 0.01uF+0.1uFに変更して、ほどよい応答速度になりました。 ファーストアタック用に追加したシリコンダイオードも程よく効いています。 2020-09-27 AGCキャパシタ 0.01uF + 0.1uF に変更 |
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Sメータの振れは良すぎます。
今回使ったアンメータは50uA品ですが、オリジナルがいくつなのかはマニュアルに記載がないため分かりません。
感度が良すぎるなら幸いなこと。
直列に抵抗を入れればいいだけですから。 メータ文字盤の指示はあくまでも参考までにとどめ、 7MHzの北京放送がS9+60dB程度を示すような抵抗値をトライしてみると、 15kΩが最適でした。 AVCをOFFからONに切り替えた一瞬にSメータが振り切れてしまう問題は残っていますが、 AGCキャパシタを0.01uF+0.1uFに下げた以降は振り切れているのは1秒程度であり、 今回メータゲインを下げたことにより針の振り切れ音はすこし弱くなりました。 実際にAVCスイッチをOFFにするのはSSB/CWをシリアスに受信するときで、その場合はRF GAINを落としているはずです。 RF GAINが少し (90%位置より以下) でも下がっている場合は、AVC ONに切り替えてもメータは振り切れません。 この振り切れ問題は運用でカバーすればいいでしょう。 電源投入時の振り切れ問題は、これも直列抵抗を入れたことで振り切れ具合は弱くなりました。 が、依然として残っています。 電源投入時にまずはB OFFポジションにして真空管のヒータのみ点火させ、 15秒ほど待ってからB電源ON (AMもしくはSSB-CWポジションに切り替える) すれば、Sメータの振り切れ問題は発生しません。 2020-09-29 Sメータゲイン調整 |
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少なくとも40メーターバンドでの受信感度は良好、
メカニカルフィルタも劣化はさほどないと思えて分離も期待できるもの。
AGCの動きも実用レベル、
話し始めのひずみも気にならなくなりました。
5分間に一度ほどダイヤルに手を添える必要はありますが、
この時代の機械ということを考えると安定度もなんとか許容できるもの。
ですが、音質は良いとはいえません。
復調回路に改善の余地はあるとは思いますが、
その前に低周波段が正常であることは確認しておきましょう。 外部から音声入力をボリューム調整ポテンショのホット側に注入して試してみると、 どうにも出力が低いように思えます。 ボリュームコントロールが30%程度以上になると、とくに低域のひずみが目立ってきます。 50%以上では歪まくりの音になるし、音質は顕著に劣化します。 やはり低周波段は完調ではないと見えます。 6AW8Aの3極管部で初段低周波増幅、 5極管部で音声出力を行うシンプルなもの。 ここには合計3個の電解キャパシタが使われていますので、 これらは無条件に新品に交換してしまいましょう。 ところが・・・音質も音量もそれとわかる変化はありませんでした。 どうも電解キャパシタはひどい劣化はなかったようです。 3極管部も5極管部も、各電極電圧はサービスマニュアルの記載値とほぼ変わりません。 真空管のエミッションは低下していないようだし、 カソード抵抗などの抵抗値変化もほとんどないものと見えます。 5極管グリッドの波形を見てみると、ここではボリュームを上げても歪は観察できません。 歪は出力管で起きていることは明らかです。 すると電源ラインの平滑キャパシタかな? しかしブロック電解キャパシタに並列に新品のキャパシタを・・・ 33uF 250V品を2個並列にして仮配線してみても、 出力管プレート電圧のリップルが減りこそすれ、 音質は全く変化がありません。 2020-09-28 低周波段電解キャパシタ交換 となると残るは出力トランスくらいのものですが、 トランスの劣化で音質不良というのもあまり考えられないように思えます。 そもそも6AW8のA級シングルでは無歪出力は数100mWに過ぎないようで、 1W出力ではかなりの歪みになるもののようです。 FR-50のオペレーションマニュアルにはオーディオ出力は1.5Wと書かれていますが、 これは歪みまくりの最大出力なのかもしれません。 つまり、現状がFR-50の実力値なのかもしれません。 6AW8の5極管部はテレビの映像増幅用として開発されたものであり、 受信機の音声出力として使われている例はそれなりにはあるものの、 音声出力を意図した真空管ではありません。 後継モデルFR-50Bのサービスマニュアルを見てみると、 低周波管6AW8は6BM8に置き換えられ、 かつ出力トランス2次側から初段3極管のカソードにNFBが掛けられています。 6BM8の5極管部は出力用5極管として意図されており、 音声出力に適した管です。 オーディオ出力の貧弱さは、初期型FR-50の弱点として認識されていた、ということなのでしょう。 6AW8Aをやめて6BM8に置き換え、FR-50B同等に改造することも考えましたが、 なにもそこまでしなくても・・・オーディオ出力が弱いのも初期型FR-50の特徴だとすれば、 静かな部屋でアマチュアバンドを聴くのが本来用途であるこの受信機では このままにしておくのがいいのもしれませんね。 2020-09-30 低周波段の改善作業は中止 |
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電源投入時ならびにAVCをOFFからONに切り替えた瞬間にメータが振り切れる。
メータ切れの危険性があるだろうか?
振り切れを防ぐには追加回路が必要だろうか?
SSB/AMともに復調音質は良くない。
改良はできるだろうか?
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