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Sansui AU-7700

Stereo Amplifier
(1975)

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    7+ months have passed since the 3rd lab was established, the ultimate poorman's audio amplifier and dirt cheap speakers provided music good enough to recover from the job strain, however it may be a time to consider upgrade.

    Seaching a pair of speakers suitable to my need at a used equipment shop, there was none but a nice looking 70's Sansui pre-main amplifier. Even if it is broken, full discrete transistor amp could be fixed with fun, so I took it.

Sansui AU-7700



スピーカを買いに行ってアンプを買う

    第3研究所開設以来7ヵ月、 サニーベールのコストコで買った格安KHX小型スピーカならびに故障廃却譲り受け品の古いシャープ製ミニコンポのスピーカ、 それに 究極の貧乏アンプ だけで生活してきました。 大きな音を出せない格安アパートですからそれでも楽しめましたが、音楽を聴くぐらいしか楽しみのないアパート暮らし、 さすがにもう少しグレードアップしたくなりました。 まずはまともなスピーカ、もう少しパワーのあるアンプ、それとトーンコントロールまたはグラフィックイコライザ。

    パワーアンプとトーンコントロールは手軽に安いキットで作って貧乏アンプのシャーシに組み込んでグレードアップしよう。 スピーカはどうしようかな。 もし手が届くスピーカがあるなら奮発するのもありかも、と、高級オーディオショップに行ってみました。 ほかにお客さんがいなかったこともあり、話し掛けてきてくれた店長さんに自分のニーズと、 笑われるのを覚悟で超ドンシャリが好みであることを話すと、 小型のブックシェルフを何本か試聴させてくれました。 へえ、今のスピーカは小さくてもこんなに豊かな低音が出るんだ。 低音を出すにはとにかく大口径のウーファが必須という古い知識しか持ち合わせていなかったものだから驚き。

    たしかにどれもいい音でしたが、でもやはり私の好みではありません。 店長さんに「低音も高音も定位も自然で申し分ないのですが、やっぱり私には女性ボーカルがきつくてリラックスできません。 1kHz前後に狭いノッチフィルタをかけて抑えてやりたい感じなんです。」 すると店長さんは、「それならこれはどうですか?」と、違うモデルを聴かせてくれました。「おお、そうそう、こういう感じ。」 「でしょう? お客さんの好みが掴めてきました。これはスコーカが特殊で、中音がある意味風変わりなんです。そうだ、これはどうです?」

    次に聴かせてくれたのは、JBLの中古の大型機。確かに私好みの音でした。 すごい、ちょっと感想を言っただけで好みにあったスピーカをチョイスしてくれるんだ。まるでソムリエさんだ。 さすがに大口径のウーファ、低域の豊かさ・自然さは小型スピーカとは明らかに違います。 でも8kHzあたりから上の高域の落ち込みが急すぎて音に輝きも艶もない感じだったし、サイズは大きすぎるし、 なにより中古でお値打ち価格ではあるとはいえ明らかに予算オーバー。 残念、またもこのお店では買えなかった。このまま生き永らえることができたら、退職金でこのお店でスピーカを買おう。

    とりあえず中古のスピーカでお茶を濁しておこうかと中古ショップに行ってみましたが、これだというものがありませんでした。 そのかわりに見つけたのがSansui AU-7700。 「音 出ました」と書かれているジャンク品扱いのえらく古いプリメインアンプですが、外装はとてもきれいです。 私の音楽の趣味は1970年代中心ですが、音も1970年代の味を未だに求めているのかも。 であれば1975年製の国産最高級クラスというのは好みにあっているかも知れません。 仮に壊れていたとしてもフルディスクリートのアンプなら修理で楽しめそう。 お楽しみで買ってしまおう。

2011-08-12 Sansui AU-7700 10500円





アンプを買った帰りにスピーカを買う

    帰宅途中にもう一軒の中古ショップによってみたら、おお、こっちには自分のニーズにフィットするスピーカが何台もあるぞ。 ジャンク扱い品とはいってもSansui AU-7700は当時の最高峰アンプ。 現状のガラクタスピーカではさすがにかわいそうです。 ソムリエのいるオーディオショップと違って試聴はできないリユースショップ、 自分の好みに本当にあっているかどうか不明なまま、ファクトリーリファブ品のJBL 4305H WXを買ってしまいました。

    中央研究所に戻って試すと、AU-7700はボリュームコントロールにごくわずかなガリがあるほかは正常動作。 JBL 4305H WXもこれはハズレだというようなこともなく、概ねいい感じ。 実際に第3研究所に設置してみないと正確なことはわからないですしね。

    ところでふだんオーディオ雑誌なんて読まないのでこの分野の動向にはまるきり疎いのですが、 このJBL 4305Hとやらはアメリカには上市されていないようです。 というより、4312に代表されるコントロールモニタースピーカシリーズは本国アメリカではとうの昔に姿を消していて、 どうやら当時のJBLへの憧れと想いを引きずり続けているファンを狙った日本市場専用品になっているようです。 製造は中国。日本市場向けにコンパクト機を用意してくれるのはうれしいけれど、 その音造りにJBLの正統がどこまで残されているかはかなり疑問。 もはやJBLは単にファッションブランドになり下がったとさえ言えてしまいそうです。 かのハーマンカードンでさえ中国製のとんでもなく酷い機器にそのブランドを冠して売ってしまい、 昔からのファンを思いっきり裏切っていましたし、この傾向はJBLに限ったことではないのでしょうが、さみしいね。

    それにしても、1日のうちにスピーカとアンプを買っちゃうなんてなんて贅沢な。 それもいままで使ってきた機材の何百倍もの金額です。さあ、払った額に見合うだけ楽しめるかな。

2011-08-12 JBL 4305H WX 68250円


第3研究所にセットアップ

    さて、第3研究所のラックにセットアップしよう。 LM386よ、7ヶ月の間ありがとう。しばらく休んでてくれ。 でもこの機械はレベルメータとしてひきつづき動作してもらうため、AU-7700のTAPE REC OUTにつないでおきます。 最初はJBL 4305Hは床置きにしましたが、さすがに高音の聞こえが良くありません。 ラックの中段に置きたいですが、棚の高さの関係でうまくありません。 スピーカを横置きにすれば入りますが、 横長のホーンツイータをもつ4305Hは高音の放射角が限定されてしまいますので、 本来は横置き設置すべきではありません。 が、背に腹は、ということで横置きを試してみました。 真っ直ぐ前を向けると高音に難が出ますが、やや内側に向けてみたところ普段のリスニングポジションでは問題がないことがわかり、 とりあえずはこれで確定。

    山水AU-7700でお気に入りのアルバムを何枚か聴きつつ、トーン調整をしてみます。 さすがにいままでのように低音を力ずくでブーストしなくても十分な低音が出ます。 やっぱりいいなあ。




Closeup Photos of TAPLE PLAY Switch is here


    ところがまだなにかヘン。 どうにも音に輝きがなく、広がりもなく、高級アンプと価格クラス以上との評価を得ているスピーカの組み合わせの音には思えません。 これは・・・なんとモノラル再生になってしまっているようです。

    いろいろ調べてみると、AU-7700のフロントパネル右下に配置されているMODEスイッチがおかしくなっているようです。 このレバースイッチは中央のNORMALポジションで通常のステレオ再生、上に倒したREVERSEポジションで左右反転、 下側がMONOポジションでモノラル再生。 ところが、中央のNORMALポジションでもモノラルになってしまうのです。 スイッチをカチャカチャ繰り返してみましたが直りません。 軽微な接触不良というようではありません。ありゃりゃ。 幸いREVERSEポジションでは左右は正しく分離しています。 ので、左右のスピーカ結線を入れ替え、レベルメータの左右接続も入れ替えました。これでOK。





    さらに、左チャネルから不定期にパリパリッというノイズが出ます。 接触不良というより、回路素子の劣化故障のような感じ。 プリアウト端子を確認してみたところこのノイズは出ていないようだし、 ボリュームコントロールを絞っていても多少上げてもだいたい同程度のノイズの強さなので、 AU-7700の左チャネルパワーアンプに問題があるようです。 気になって音楽を楽しめないし、なによりこのまま大きなポップノイズとなってしまいせっかくの新品スピーカを飛ばしたくもありません。 やっぱりこのアンプは故障品だった・・・このままじゃ使えないな。

    落ち込みつつ機材ラックを眺めたら、「ボクをもう一度試してみてよ!」とLM386アンプが言っているように思えました。 AU-7700は当時のプリメインアンプの標準機能である、PRE-OUTとMAIN-INジャックを装備しています。 そこで、LM386アンプをPRE-OUTにつなぎ、4305Hを鳴らしてみます。 すると・・・おお、なかなかいい音じゃないか!! この音はホントに1個70円で買えるICから出てるの?!

    もちろん大きな音は出ませんが、入力側で無理やりのバスブーストをしなくてもいい分今までよりも音量を上げられ、 アパート暮らしの夜の静かな音楽鑑賞には十分。 いろいろ試してみて、再生機ではフラット、AU-7700のトーンコントロールもDEFEAT、 LOUDNESSスイッチを"HIGH & LOW BOOST"にした状態で私好みの絶妙のバランスになりました。 こりゃイケる!! AU-7700は、現代のアンプでは見捨てられた、1970年代ならではのラウドネス機能を有するプリアンプとして、 70年代な私のニーズにずばりフィットしたのです。

    さて、この奇妙な構成のシステムでしばらく楽しもう。 次のアクションはAU-7700のサービスマニュアルを手に入れることだな。 そして不良の素子が現在では入手困難な型番のトランジスタでないことを祈ろう。

2011-08-23 第3研究所にセットアップ





ノイズまたまた発生!

    第3研究所で使い始めた直後に出た左チャネルのノイズは、PRE-OUTには出ていなかったのでメインアンプのトラブルだろうと思っていました。 事実、PRE-OUTにつないだLM386アンプでは3晩つづけてゴキゲンでしたので。 が、本日電源を入れた直後に左チャネル (左右を入れ替えているので実際には右のスピーカ) からバリバリノイズ発生! ありゃりゃ、メインアンプの問題じゃなかったのか!

    ノイズは最初に確認されたようなときおりの発生ではなくて、連続して出ています。 とはいえノイズは一定ではなくて、ちょうど接触不良の音が連続して出ている感じ。 やはりこれはデバイスの故障だろうなあ。 すぐさまAU-7700の各コントロールを操作し、どのような反応を示すかチェックしました。結果は右。

    このあとAU-7700の電源を切り、再度入れなおしたら、あれま、ノイズは全く出ていません。 どういうことだ、なにかの拍子にどこかが異常発振状態になったりするとかなのかな?

    ブロックダイアグラムを眺めて、このノイズがどこから発生しているのか推測してみます。 SELECTOR、TAPE PLAY、MODE、MUTING、LOUDNESSの各コントロールを操作してもノイズの音質・音量は変わらず、 またVOLUMEとBALANCEつまみにも影響されませんでした。 音声信号は上記列挙した順番でアンプの中を通ってくるのです。 次に通過するのはトーンコントロール回路。TONE & FILTERスイッチでトーンコントロール回路を有効にし、 BASS / MIDRANGE / TREBLEのつまみを操作するとノイズの音質がはっきりと変化します。 よって、トーンコントロール回路に問題があることがわかりました。

2011-08-26 左チャネルノイズ発生再発

CONTROL RESULT
SELECTOR No Effect
TAPE PLAY No Effect
MODE No Effect
MUTING No Effect
LOUDNESS No Effect
VOLUME No Effect
BALANCE No Effect
TONE CONTROL (BASS/MID/TREBLE) Effective
FILTERS (LOW/HIGH) Effective

This amplifier sometimes showed unstable and intermittent noise on the left channel, for a brief time of period. One day the noise immediately appeared after the powerup, and the noise won't go a way. So I quickly tweaked the front panel controls to see how each control would affect the noise. The noise disappeared when a power cycle (turn-off and turn on the power again) was given.
From this result, and by referring to the block dragram and the schematic diagram, the buffer amplifer with NFB, which consists of 4 transistors, was suspected as the cause of the trouble.

    AU-7700のカタログを見ると、トーンコントロール回路は6つのトランジスタからなり、 その初段には差動増幅回路が使用されていると書かれています。 より正確に調べるため、回路図からトーンコントロールとその前段部分を抜き出し、 余分な部分を省いて理解しやすいように描き直してみました。右参照。

    本機のトーンコントロールは通常のBASS/TREBLEに加えてMIDRANGEも持っており、 またBASSとTREBLEはターンオーバー周波数を3段階に切り替えられるという贅沢な回路。 しかしカタログが言う6石のトーンコントロール回路というのは若干不正確な表現で、 正確にはこの部分はトランジスタ4石からなるNFBつきプリアンプと、 2石からなる正味のトーンコントロールで構成されています。 音質調整が必要ないときはTONE & FILTERスイッチによりトーンコントロールをバイパスできるようになっています。 このときNFBつきプリアンプは使われますが、トランジスタ2石のトーンコントロール回路は使われません。

    今回のノイズは、TONE & FILTERスイッチをDEFEAT、つまりトーンコントロールをバイパスしても発生していました。 このことから、ノイズは右の抜粋回路図中のBUFFER&NFB段で発生していることがわかります。 こうなれば、素子劣化の可能性があるのは4つのトランジスタと、2個の電解キャパシタだけです。 フロントパネルの操作だけで行える簡単な診断ですが、 それでも故障の可能性のある素子はずいぶんと絞られてきました。

    使用されているトランジスタは片チャネルに2SC1313が3つと2SA726ですが、 交換するとしたら左右同様に処置すべきだし、代替品にしてしまう手もありそうです。 AU-7700はシャシー内のスペースも広そうなので(まだ開けていないのです)、 ユニバーサル基板を使って同じ回路をこしらえ、オリジナルの回路と入れ替えてしまう手もありかも。 この部分はまさにプリアンプの初段でありアンプ全体の音にかなり効いてきそうだし、 手軽に、かついろいろと遊べそうな部分でもあります。 ここだけ真空管にしてしまう? おお。



自然治癒

    うっかりしていた・・・11日間の海外出張の間、AU-7700とLM386N-3アンプの電源を入れっぱなしでした。 火が出なくてよかった、今後もっと気をつけよう。 それとも留守中バリバリノイズが出ていたかな。 ボリュームコントロールはあまり上げていませんでしたから近所迷惑になることはなかったはずですが。 で、そのノイズですが、上述した8月26日を最後にそれ以降一回も確認されていません。 どうやら自然治癒したようです。

    室温が下がっていることも要因にあるかもしれませんが、 おそらくデバイスの擬似故障が直ったと見るべき。 となれば、トランジスタの劣化回復よりも、 既述のNFBつき差動プリアンプに使われている2個のカップリングキャパシタの再化成が起きたのではないかという推測になります。 いずれにせよ自分の目的にずばりフィットしたAU-7700はゴキゲンに鳴っています。 さあ今夜は何を聴こう。

ちょっとだけノイズ

    予想以上に冷え込んだのも一因なのか、職場で悪寒が止まらず、午後半休を取って第3研究所に帰り、エアコンをパワフルモードで動作させ、 午後ずっといっぱい着込んで本を読んでいました。 その間AU-7700とLM386N-3アンプそれにJBL 4305Hは小さめの音でBrian Culbertsonを10時間奏でてましたが、 途中で30分ほど、また左チャネルからパリバリとノイズ。 あちゃ、再発か・・・でもそのうち消えてしまいました。 でもプリアンプの素子交換は実施するべきだな。

    それにしてもAU-7700のラウドネススイッチはこんなときにぴったりの音になってくれて、大満足。 オーディオファイルの方々には笑われてしまうでしょうけれど、大好きな音です。

2012-11-19 左チャネルノイズ再発


マジック・レシピ

    1年半近く、ずっと気に入りっぱなしのAU-7700のラウドネススイッチ。 この回路はどうなっているのだろう。 しくみを分かりやすくするため、回路図から抜き出したラウドネス部分と、 OUT / LOW BOOST / HIGH & LOW BOOST のそれぞれでの結線を描いてみました。 あれまあ、これは簡単な回路だ! キャパシタ2個と、抵抗1個、たったそれだけかよ!! これで大満足するとは、LM386Nアンプで満足している以上に安上がりだ!!!

    低域増強は、音声信号の中域・高域部分をキャパシタC2と抵抗R1でシャントし落とすことにより、相対的に低域をブーストしています。 ただしそれだけだと、フラット時と低域増強時とで音量レベルが変わってしまうので、 フラット時にもシャントの抵抗R1は残ったままとしています(周波数によらずR1でシャントする形)。
    高域増強は、キャパシタC1により高音域はボリュームコントロールを素通りさせて強くしています。 AU-7700には高域増強のみのポジションはありません。 回路を見れば、高域増強のみを実現するためには回路にさらに一工夫必要なことがわかります。 小音量再生時に高域だけ増強したいというニーズはほぼありませんし、どうしてもそうしたければ後段のトーンコントロールを使えばいいのですから、 ラウドネススイッチに高域のみ増強ポジションがないのは自然なことと思います。

    高級オーディオショップでのマスターとの会話の中で気がついた自分の音の好み、 つまりたぶん平均的な人に比べて自分の耳には600〜1000Hzあたりに聴覚ゲインのピークがあって、 そのあたりをかなり減衰しないとバランスよく感じられないという特性がある以上、 自分にとって最適な補正装置を探すのが私にとっての良い音の探求だということになります。 AU-7700のラウドネス回路はあまりにも拍子抜けの中身ですが、これが私好みの音を作り出してくれているとしたら、まさにマジック・レシピ。 これをベースにもうすこしいろいろ試してみようか。

2013-01-02 ラウドネス回路研究




リレー動作不安定

    一ヶ月ほど前に久しぶりにAU-7700のヘッドフォンジャックを使ってヘッドフォンで大音量で音楽を聴こうとしましたが、 あれ、音が出ません。 で、それと同じ原因なのかどうか、本日AU-7700の電源を入れたら、スピーカ保護リレーが不定期にカチンカチンと動作します。

    相変わらずAU-7700はコントロールアンプとして使っていてパワーアンプはLM386Nを使っているので、スピーカで聞くには支障がありません。 中古品をAS-ISで買って第3研究所で使いだしてはや丸4年経過。 そろそろ別の不良が出てもおかしくはないところです。 AU-7700を修理するとしたら、その間のコントロールアンプはどうしよう。

2015-08-17 スピーカリレー動作不安定
2015-08-18 スピーカリレー動作不安定は発生せず (入らないままでいる?)



モードスイッチを調べる

    2018年10月、 ヤマハA-501 が完調になったので第3研究所機器ラックのセンターポジションに設置し、 常用運用開始。 同時に LM386N-3貧乏アンプ も第一線を引退。 2011年01月から動作していたわけですから7年10か月。 こんなに長い間楽しめたのだからLM386N-3はすごい。

    さて、AU-7700はラックから降ろして作業スペースに移動。 ジャンク扱いで買ってプリアンプとして使い続けてはや7年2か月、ようやく修理開始です。 いかにも高級機の風格があるダイキャスト製サイドパネルを取り外し。ケースを開けて軽清掃しながら、 まずはヘンな動作をするモードスイッチの調査から。

    モードスイッチはいかにも高級そうなしっかりしたプレス製ハウジングをもつスライドスイッチです。 最初の一手は定番、接点復活剤スプレーをスイッチ内部に吹いてカチカチしばらく繰り返し、 液剤が蒸発するのを待って電源ON。 しかし症状は全く変化しません。 REVERSEポジションでは左右がきれいに分離しますしMONOポジションではモノラルになりますが、 NOORMALポジションではやはりモノラルのまま。 どういうことなんだろう。

    スイッチボードには同様のスイッチが3つ並んでいますが、 モードスイッチだけは型番が違います。 まさか製造時に部品を間違えた? ありえない話ではないかもしれませんが、 出荷検査でテストされているだろうし、 当然最初にこの高級アンプを買ったユーザさんは気づいたはず。 REVERSEポジションにして入力の左右を入れ替えれば使えることに気づいて修理や交換に出すのが億劫で使い続けた・・・ のもありえなくもないですが、いやいや考えすぎでしょう。

    調査の必要もあってスイッチボード上でモードスイッチとその次のミュートスイッチをつなぐパターンをカットして、 モードスイッチはバイパスしてみます。 当然左右は正常に聞こえます。 あたりまえですね。

    この状態で音楽を聴きながら、スイッチの具合をのんびりと調査。 スライドスイッチは3ポジション4セクション品ですが、使われているのは3セクションだけ。 ネットで見つけたサービスマニュアルと実機を見比べながら調べていくと、あれっ? モノラルポジションで左右をショートするためのセクションの配線が回路図と実機とで違う。 まあここは極性なんかないし、問題にはなりません。 おおかた、回路図を渡されてアートワークにとりかかったPCB設計者がパターンの引き回しの便からピンを入れ替えて、 設計担当に回路図変更を依頼しそびれたか、依頼された設計担当がそれを忘れてしまったか。 そんなところでしょうか。

2018-12-17 モードスイッチ調査 暫定バイパス工事







モードスイッチを直す

    モードスイッチをバイパスしておき、先に出力保護回路の動作異常やBUFFER&NFB段のバリバリノイズの原因でも調べようかと思ったのですが、 不調は全く発生せず、AU-7700は調子よく鳴っています。 ので、やはり先にモードスイッチを修理することにしました。

    4セクションあるスライドスイッチのうち、モノラルポジションで左右チャネルをショートするためとしてセクションCが使われています。 このセクションがノーマルポジションでも導通してしまうことが原因だろうと思いました。 実際にノーマルポジションでセクションCの2ピンと3ピンにテスタを当ててみると、導通しています。

    だとすると、セクションCを使うのをやめて、最初から使われていないセクションDを使うようにすればいいんだ。 そう思い立ってセクションDのスイッチの状態をテスタで調べると、これはきちんと働いています。 しめしめ、これは直せるぞ。基板のパターンにカッターナイフを入れ、配線を改造しました。 これでばっちりだ。

    しかし残念、症状は全く変わりません。 がっくり項垂れ、再びモードスイッチをバイパスして音楽を聴きながらしばらく休憩して気力が回復するのを待ち、調査から再スタート。 パターンカットによりセクションCが (セクションDも) 切り離された状態で、加えてモノラルショートするときに左右を直結にはしないための抵抗2本も足を浮かせ、 スイッチの状態をテスタで追います。

    問題はセクションAにありました。スイッチレバーがノーマルポジションにあるとき、なぜか1ピンと2ピンがショートしています。 モノラルポジションでは正常、リバースポジションでも正常。 異常が発生するのはノーマルポジションの時だけ。 セクションAの1ピンと2ピンがショートすれば、左右がショートされたのと同じこと。 モノラルになってしまうわけです。

    さあそうであれば、セクションAを使わずにセクションDを使うように改造すればいいわけです。 しかしこれは面倒だな、スイッチ周りのパターンの多くをカットしてビニール線かなんかで配線するようだ。 でもまてよ、こうすれば・・・

    セクションAの1ピンと2ピンの基板ホールを吸い取りポンプではんだを吸って、 飲み物の細いストローを切ったものでインシュレータを作ってピンと基板のパターンが接触しないように差し込み、 2本のジャンプワイヤでセクションDの1ピンと2ピンに飛ばします。 ノーマルポジションとモノラルポジションではセクションDを使い、リバースポジションではセクションAを使う作戦です。

    他のパターンカットした部分をワイヤジャンプさせ、足を浮かせた抵抗を元に戻します。 余計なパターンカットをいくつもしてしまったのでみっともなくなってしまいましたが、ともかく配線完了。 今度は・・・よおし、直った!!

    このスイッチは単なる切り替えスイッチですから今までに比べ音が良くなったりするわけではありませんし、 こんなスイッチはそもそもほぼ意味のない機能なわけです。 けど、このアンプを買って7年半、いままで一度もまともに動作しなかったモードスイッチが正しく働くようになったわけで、 やっぱりうれしいね。 音が変わるわけなんかないのに、でもいままでよりもいい音で鳴ってくれているように思えるんですよね。

2019-01-15 モードスイッチ修理開始 故障個所判明
2019-01-16 モードスイッチ修理完了








パワーアンプノイズ再発!

    奥三河ツアーを含む5日間留守にした後に第3研究所に戻ってみると、部屋の奥からなにやらカサッと音がしました。 ひょっとして泥棒でもいる? でも金目のモノなんか何もないゴミ屋敷、ドロボーでも潜んでいるのならそりゃあTwitterでバズりそうなネタになるな。 ちょっと用心しつつ部屋に入ってみると、 いけね、AU-7700の電源が入りっぱなしだった。 で、ときおりカサッと音を立てるのはそれ・・・ AU-7700がドライブしているJBLスピーカだったのです。 あれれ、ノイズ再発か。 電源スイッチ切り忘れていたとしてもボリューム絞っておけばよかったなと思ってとりあえずボリュームを絞りましたが、 それでもときおりパリパリっとノイズが出ます。 む、これはパワーアンプのノイズが再発したのだろうか?

    実際それは、2011年8月・・・ いまから7年半前に中古でこのアンプを買った時に出ていた症状の再発でした。 その問題のために当初はAU-7700はプリアンプとして使い、パワーアンプは7年10ヶ月もの間 LM386ミニアンプ を使ってました。 しかし2018年12月にAU-7700の整備を始めてみると、 パワーアンプは正常に鳴っていて、以来3ヶ月とちょっとの間はAU-7700のパワーアンプでスピーカを鳴らしていました。 トーンコントロール回路のノイズ問題は潜在的に残っているものの、パワーアンプの問題は自然治癒したと思っていたのです。

今回は、ノイズは不定期に思い出したようにパリパリッと出るのですが、けっこう大きな音で出る場合もあります。 とてもアンプとして使えたものではありません。 購入して7年以上経って、いよいよ本命のトラブルの修理を開始。

2019-04-02 左パワーアンプノイズ発生 調査開始


パワーアンプノイズ修理開始

    AU-7700のパワーアンプは、 典型的なライトブラウン色の紙エポキシプリント基板の上にパワートランジスタとヒートシンクを含むすべての部品が搭載されたパワーアンプユニットとして実現されています。 まずはパワーアンプユニットは外さず、テストクリップとオシロスコープで障害箇所の切り分けを行うことにします。

    最初に見るべきは、パワーアンプユニットへのオーディオ入力信号。 ここにはノイズは全く乗っていません。 問題がパワーアンプの左チャネルにあるのは確実です。

    AU-7700パワーアンプはシングルエンドプッシュプル回路です。 ノイズを引き起こしているのがプラス電源で動作するプッシュ側なのか、 それともマイナス電源で動作するプル側なのかを切り分ける必要がありそうです。

    そこで、ヒートシンクに取り付けられて端子が見えているドライバトランジスタのベースとエミッタの波形を見てみました。 ありがちなことですが、オシロをつないで波形を観ようとするとノイズは出なくなってしまって、 音楽を聴きながらノイズが出るのを待ちます。 プル側ドライバのエミッタ電圧はなんだか不安定で、無音時もわずかにふらついています。 しかしそれ以外のことははっきりわかりませんでした。 ノイズが出ているときも、ドライバトランジスタのベースにもエミッタにも顕著なノイズ波形は見られませんでした。

    だとすると、故障の原因はファイナルパワートランジスタにあるのかもしれません。 その場合、パワートランジスタのベース-コレクタ間絶縁破壊モードではないでしょう。 スピーカ端子を直接観測してみると、 ノイズは必ずプラス側に出ていることが分かりました。 ノイズはその大きさも不安定ですが、少なくとも+300mVはあります。 かつ、スピーカ端子電圧はノイズが出ていないときもふらふらと変動しており、 プラスに20mVほど振れます。 プッシュ側パワートランジスタの不安定なC-E間ショート故障か、 それともプル側トランジスタの不安定なC-E間オープン故障か。

    AU-7700のファイナルパワーアンプには、プッシュ側が2SC1619Aが2個パラ、プル側は2SA808Aが2個パラで使われています。 さて、この4つのトランジスタのうちどれが悪いのかをどのように調べたらいいだろう。

    アマチュア的テクニックを使いましょう。 ファイナルトランジスタはパラで使われているわけですが、 プッシュ側・プル側それぞれ1つずつトランジスタを取り外して試してみます。 ノイズが出なくなったら、取り外したトランジスタのどちらかが故障品ということ。

    プッシュ側もプル側も、2つのトランジスタのうちひとつにはフィードバック回路が入っています。 ので、取り外すのはフィードバック回路が入っていないほう。 プッシュ側はTR23、プル側はTR27です。

    いよいよパワーアンプユニットをシャシーから取り外します。 回路接続は切り離さず実機動作でき、かつはんだ付け作業ができる状態にパワーアンプユニットの姿勢をセットすることができました。 さあ、TR23とTR27を取り外して電源を入れると・・・ あれ、ノイズは出ている。 しかも、いままでになく大きなノイズだ。

    それではと、プッシュ側トランジスタTR21とTR23を入れ替え、 いままでTR23として使われていたトランジスタで動かしてみます。 結果、まだノイズ。 となると、TR25がイカれているということになる。 追い詰めたぞ。

    はたしてTR25とTR27を入れ替えてみると、なんとノイズは消えない! これはつまり、ノイズの原因はパワートランジスタではないということだ!

    しかもオシロ接続を間違え、パワーアンプ電源のオンボードヒューズを吹き飛ばしてしまいました。 ううう・・・今夜はこれまで。

    パワーアンプ電源のオンボードヒューズは20mmサイズのガラス管ヒューズで、7A品。 近所のホームセンターには7A品がなく、5A品を買ってきました。 大パワーは出しませんから実用上問題はないでしょう。 それでも45年も前から使われていたパーツのリプレイスがいまだに近所で手に入るわけですから、 規格品・標準品というのは大切なことですね。

    さて昨日の作業の道迷いは、 「ドライバトランジスタのベースにはノイズの混入が見られない」という観察が間違っていたためだろうと思われます。 そこで再スタート地点として、プッシュ側・プル側それぞれのドライバトランジスタのベース電圧をもう一度確認してみます。

    回路図をよく読むと、ドライバトランジスタは2段になっていて、1段目はエミッタフォロワになっています。 昨日見ていたのは2段目のトランジスタのベース、つまり1段目トランジスタのエミッタでした。 今度はプリント基板の半田面が見えるようになっていますから、 1段目ドライバトランジスタのベースからリード線を引き出して、 プッシュ側・プル側を同時にオシロで、かつDCカップリングで観察します。 すると、なあんだ、やはりここにはノイズがはっきり乗っています。 しかも・・・ノイズが発生すると、プッシュ側もプル側も全く同じ挙動 -- ノイズ発生時は電圧が上がる -- を示しています。

    これは、問題はプッシュ側・プル側に共通のどこかにある、ということです。 つまり、初段差動アンプ、プリドライバ、バイアストランジスタのどこか。 使われている小信号トランジスタあるいはダイオード類の故障という可能性はもちろんありますが、 それよりも電解キャパシタの不安定なリーク故障の可能性のほうがずっと高いと思われます。 回路図を眺めて、さあどれだ。 ツェナーダイオードで安定化されている初段作動アンプ電源の平滑キャパシタ、 プリドライバのエミッタ電源の平滑キャパシタ、 バイアストランジスタ電源の平滑キャパシタ。

    初段差動アンプ電源電圧を見ると、10Vでぴったり安定しています。 ノイズ発生時も変動なし。 よってC05 100μF 50Vは正常と判断します。





    つぎに、プッシュプルをAB級増幅させるためのバイアス発生用トランジスタの電源に入っている平滑キャパシタ、C07 47μF 50V。 このキャパシタに不安定なリークが発生すれば、プッシュ側ドライバのベース電圧とプル側ドライバのベース電圧が全く同じ傾向で変動するでしょう。 これは実際に交換して試すことにします。 手元にあった100μF 50V品に取り替えて試すと・・・ む、30分待っても2時間待ってもノイズが出ないぞ。 これか。

    最終的な結論を出すためには取り外したキャパシタ単体がリーク異常を示す観察結果が欲しいところですが、 故障機序は説明できますし、なによりノイズが出ないことというのが目標なわけですから、 これで技術真因は確定、ということにします。

    ノイズは出なくなりましたが、ヘッドフォンで試聴してみると左右の低域の響きに明らかな差が見られます。 このキャパシタの容量の大小は音質に影響するようです。

    翌日、左チャネルのC07と右チャネルのC08の2つを、設計値である47μF 50Vの新品に交換しました。 調査のために取り外してあったパワートランジスタを組み戻し (ただし手間を端折ってTR21とTR23、TR25とTR27は入れ替わっています)。 ノイズはひきつづき発生しておらず、ドライバトランジスタのベース電圧の不安定な変動はなくなりました。 無音時にはベース電圧はぴったり安定しています。 直ったとしてよいでしょう。 パワーアンプユニットをシャシーにつけ戻して、パワーアンプ修理は完了。 心なしか1975年製アンプはいままでになく良い音で鳴っています。

2019-04-05 パワーアンプ左チャネルノイズ修理完了 - バイアス回路電源平滑用電解キャパシタ C07 47uF 50V リーク故障 C07/C08 新品交換




保護回路

    3年前の2015年8月には出力保護リレーがガチガチON-OFFを繰り返す不具合がありました。 それ以降は発生していないので、これは劣化した電解キャパシタが再化成で復活したのだろうと考えていました。 でもこれはいつ再発するともしれないので、保護回路のしくみを調べておくとともに、 交換用の電解キャパシタを一式手元に用意しておくことにしましょう。 全部一気に交換してしまうのが旧式機器のメンテでは普通ですけれど、 私は故障の原因究明と修理をミステリを読む感覚で楽しんでいますので、 明らかな障害が発生しない限りはオリジナルのままで行きます。 サービスマニュアルの回路図から写経の感覚で自分で書き起こしてみた保護回路の回路図は右。

    電解キャパシタの交換キットを用意しておきましたが、動作は安定しており問題はありません。 そうこうするうちにパワーアンプ左チャネルのノイズ故障が発生し、この修理が完了しました (前述)。 このとき初めてパワーアンプの回路をよくよく調べ、保護回路の理解も深まりました。 まだどこか誤解しているところはあるかもしれませんが、今までに調べた保護回路の動作を書き出しておきます。 パワーアンプの修理ができたことで保護回路の異常なトリップも起こらなくなったはずですが、 もしまた発生したら、これらの情報がきっと役立つはず。

    Sansui AU-7700のカタログを読んでみると、4種類の保護機能が備わっているとあります。
    1) 速断ヒューズによるオーバーロード検出
    2) DC電圧異常検出
    3) トランジスタ式ASO検出回路
    4) 自己復旧式温度異常検出回路
これらをひとつひとつ見てみます。




1) 速断ヒューズ
        パワーアンプユニットの基板を見ると、中央部に5Aヒューズが4本取り付けられるようになっていることがわかります。 が、私の個体では最初からヒューズは装着されていません。はて?

        基板のパターンを追うと、これらはパワーアンプのファイナルパワートランジスタの電源に入れられています。 プラス側電源とマイナス側電源、それが左右それぞれで、計4つのヒューズ。 出力上げ過ぎ、あるいは何らかの故障によってトランジスタの電力消費が過大となったときにこれらのヒューズが飛んで保護する、 という趣旨のようです。 私の個体ではヒューズは装着されていない代わりに、基板半田面に直接ビニール線でパワートランジスタ電源が接続されています。

        溶断式ヒューズは応答速度も限りがあるし、溶断限界のばらつきも小さくありません。 アイデアは正しくても、実機で動作させるとしばしばヒューズがブローしてしまったのでしょう。 他の方のAU-7700修理ウェブページを見ると、パワーアンプ基板にそもそもヒューズソケット金具が取り付けられていなかったりします。 生産の初期に、このアイデアはボツになってしまったのでしょう。

        これら4本の速断ヒューズとは別に、本来のパワーアンプ電源ヒューズがパワーアンプ基板上にあります。 プラス側・マイナス側のそれぞれに7Aの20mm管ヒューズが使われており、 パワーアンプ系故障で過電流が発生した場合はこれらのヒューズが溶断して発火発煙から保護するようになっています。

        装置全体のヒューズは背面パネルにあり、簡単に交換できるようになっています。 電源トランス1次側の重篤なショート故障の時は背面ヒューズが飛ぶわけですが、 おそらくそれよりも頻度が高いはずのパワーアンプ系過大電流のときはケースを開けなければなりません。





2) DC電圧異常検出
        保護リレー回路の主たる役割です。 保護リレーとその駆動回路は、パワーアンプ基板の片隅に設けられています。 パワーアンプのスピーカ出力は、保護リレーを介してスピーカ端子に接続されています。 電源を入れると保護回路のキャパシタC23 470μFの充電がはじまり、 数秒後にこのキャパシタの電圧が一定レベルに達するとトランジスタTR29がONしてリレーがONになり、 スピーカがパワーアンプに接続されます。 これによって、電源投入時に一時的に発生する大ポップからスピーカを保護します。 キャパシタC23は電源投入後にリレーをONする時間を遅らせるディレイタイマの役割をしています。

        動作中、左右のスピーカ出力電圧は抵抗を介してトランジスタTR33とトランジスタTR31に入っています。 この信号はキャパシタC25の働きでプラスマイナスが平均され、通常は0V近くにあります。 しかし何らかの原因でパワーアンプ出力に過大なDCオフセット電圧が連続的に発生すると、 それがプラス電圧であればトランジスタTR33が、マイナス電圧であればトランジスタTR31がONになります。 どちらかのトランジスタがONになれば、リレートリップ制御ラインの電圧 (= キャパシタC23の電圧) が強制的に0Vに下げられ、 リレー駆動トランジスタTR29がOFFしてリレーがOFFになり、 スピーカをパワーアンプから切り離します。

        私の個体では2015年8月にリレーがガチガチON-OFFを繰り返すトラブルがありました。 保護回路のトランジスタ故障、あるいはキャパシタC23やC25の劣化故障が発生すればこの症状が起きます。 なので交換用の新品キャパシタを用意しておいたのですが、 どうやらその原因はパワーアンプ故障によりスピーカ端子に異常なDC電圧が本当に出ていたためだと思われます。 保護回路は本来の狙い通りにスピーカを保護してくれていたのでしょう。 そのときはAU-7700はプリアンプ部だけ使っていてスピーカはつないでいませんでしたけれども。

        ディレイタイムキャパシタC23には1N60ゲルマニウムダイオードD23が入っており、C23の充電電圧上限を3V程度に制限しています。 電源スイッチをOFFにしたときはこのダイオードの働きによってディレイタイムキャパシタは急速にディスチャージされ、 電源OFF後ただちに電源が再投入されたときもリレーONの遅延が効くように配慮されています。

        保護回路の電源はパワーアンプのプラス側電源から取られていますので、 ヒューズがブローしているなどのプラス電源の故障の場合はリレーがONになりませんし、 フロントパネルのパイロットランプは点灯しません。 マイナス側電源だけ故障したときはパイロットランプは点灯し保護回路にも電源が行きますが、 パワーアンプ出力DC電圧異常が発生してリレーはONせず、スピーカを保護してくれるはずです。







3) トランジスタ式ASO検出回路
        パワーアンプのファイナルとドライバステージに追加された保護回路です。 本機のパワーアンプファイナルはパワートランジスタ2つがパラレルに接続されていますが、 2つのうちひとつはそのエミッタセメント抵抗 0.47Ωの電圧が、監視用トランジスタのベースに入っています。 エミッタ抵抗の電圧はすなわちパワートランジスタのエミッタ電流であり、コレクタ電流とほぼ同じ。 コレクタ電流が瞬間的にでも過大になると、監視用トランジスタがONしてドライバのベース電圧を下げ、 パワートランジスタの動作点が安全動作領域を逸脱してしまうことを防いでいます。

        エミッタ電流が監視されているのは、パラレルに接続されたパワートランジスタのひとつだけです。 監視されていないほうのトランジスタ単体にショート故障が発生した場合はこの保護回路は狙い通りには動作しないでしょう。 「故障しないように保護する」のが目的で、「故障した場合に被害が拡大するのを防ぐ」のは目的でないと言えます。

4) 自己復旧式温度異常検出回路
        パワーアンプのファイナルパワートランジスタがオーバーヒートしたときに保護リレーをトリップさせ、 スピーカ出力を遮断する機構です。 保護回路のキャパシタC23充電回路にはサーミスタTS01が入っています。 このサーミスタにはTS3-85Aが使われており、パワーアンプのファイナルパワートランジスタのヒートシンク部に取り付けられています。

        このサーミスタは室温時は高抵抗を示しますが、温度が85℃を越えるあたりから急速に抵抗値が低下する特性を持っています。 サーミスタの温度が高まって抵抗値が下がると、保護回路のキャパシタC23が放電され、 トリップ制御ラインの電圧が下がってリレー駆動トランジスタがOFFする、という仕組みです。

        写真でお分かりのように、サーミスタは右チャネルパワートランジスタ近くに取り付けられています。 もし左チャネルにだけオーバーヒートが発生した場合は、 この保護機構はおそらく狙い通りには働かないでしょう。







また左からノイズが!

    朝AU-7700の電源を入れたら、保護リレーの気持ちの良いカチンという音とともに左スピーカからガサガサノイズが出始めました。 あれっ? すぐさまボリュームつまみを絞ると、それでも同じ大きさで不安定にノイズは出ています。 ええっ、3週間前の修理はうまくいっていなかったのかなあ? とりあえず電源OFF。

    帰宅してからAU-7700の電源を入れると、たしかに左スピーカからはノイズが出ていますし、それもみるみるひどくなってきて、 そしてリレーがカチンと音を立て・・・無音に。 同じ左チャネルですが、ガサガサ言うノイズの音の感じは3週間前のときとは異なっていますし、 3週間のときは保護リレートリップは起きていませんでした。 左パワーアンプには、別の故障も潜んでいたのでしょう。 2015年08月に発生し、その後しばしば発生していたリレーの頻繁なトリップは、 おそらくこっちの故障によるものなのでしょう。 であれば、第2ステージのスタート、ということになります。

2019-04-25 左チャネルパワーアンプ ノイズ発生 / 保護リレートリップ異常発生

    3週間前の故障と同じく、電解キャパシタのリークによるものなのでしょう。 まずはバイアストランジスタTR07のコレクタ-エミッタ間に入っているC13、1uF。 変化はありません。 ええっ、これを一番に疑ったのになあ。

    次に、ちょっとこれとは考えにくいと思いつつ、 初段作動アンプとプリドライバ段のプラス側電源ラインに入った平滑キャパシタ C05 100uF 50V。 変化はありません。 同様に、 初段作動アンプとプリドライバ段のマイナス側電源ラインに入った平滑キャパシタ C11 100uF 50V。 これも変化はありません。

    他の電解キャパシタは今回の症状を起こすとは思いにくいのですが、念のために交換していきます。 C09 47uFは差動アンプへのネガティブフィードバックの周波数特性を決めるもの。 これが故障したら音質に影響が出るでしょうが、保護リレーのトリップを起こすとは思えません。 このキャパシタには実機ではニチコンの6.3Vバイポーラ品が使われていました。 第3研究所には47uFのバイポーラ品の手持ちはなかったので、10uFバイポーラに暫定的に交換。 変化なし、これは予見通り。

    これではない気がするなあと思いつつ、入力カップリングのC01、1uF 50V。 いやでももしこれがショート故障してプリアンプからの直流電圧が初段差動アンプに流れ込めば、 パワーアンプの全段がフルスイングしちゃうよね。 これだこれだ。 でも新品に交換しても状況は変わりません! うわあ、電解キャパシタの故障じゃないってことだぞ!





トランジスタか?

    休憩しながら考え、やはりトランジスタ故障か。 プリドライバトランジスタTR05、2SC1124の故障がまず疑われます。 そこで、このトランジスタを、右チャネル用のプリドライバTR06と入れ替えました。 しかしやはり問題は左チャネルに残ったまま。 プリドライバトランジスタは正常、ということです。 てことは・・・ ここで元気が尽きて、今夜はおしまい。

2019-04-26 電解キャパシタ全交換、プリドライバ左右入れ替え、症状変わらず

    改元のゴールデンウイークのはじまり。 でも今日土曜日は昨夜から天気が悪かったし、 中央研究所ではポゴが熱を出してダウンしているというので、 帰宅を遅らせて一日AU-7700修理に挑みます。 平成のうちに直るかなあ。

    現時点での症状をもう一度確認しましょう。 パワーアンプ左チャネルのプリドライバトランジスタTR05 2SC1124のコレクタ電圧が、 平常時-1.8Vであるべきところが-4Vにまで不安定に下がっています。 それを受けてパワーアンプ出力は無信号時でも-10Vまで下がってしまっています。 このために保護回路のリレーが動作して、スピーカをパワーアンプから切り離しています。




    バイアストランジスタTR07 2SC711のオープン故障でしょうか? そうなら、プリドライバのコレクタ電圧をプラス側に引き上げることができず、大きくマイナス側に下がってしまうことはありそうです。 2SC711は小信号のNPNトランジスタ。 ヒートシンクに密着して取り付けられているこのトランジスタを外し、 代替品として2SC1740を取り付けてみます。 TR07の取り付けはアクロバティックで、作業の際にプリント基板のパターンを剥がしてしまったのは痛い。 基板にダメージを与えてしまったものの、結果は変わらず。 プリドライバのコレクタの不安定ノイズは消えていません。




    プリドライバの後につづくドライバ段のトランジスタ、特にプル側ドライバの故障でしょうか? ベース-コレクタ間内部ショート故障が発生して、プリドライバ出力を引っ張り下げているのかもしれません。

    そこでR101の片足を浮かせ、プル側ドライバトランジスタを切り離してみました。 結果、やはりプリドライバのコレクタ電圧には不安定なノイズが見えます。

    ついで、プッシュ側1段目ドライバトランジスタ、TR09 2SC959を抜いてみました。 これでプリドライバから後のドライバおよびファイナルパワーアンプは切り離されたわけですが、 オシロスコープの管面からはプリドライバのコレクタに相変わらず不安定なスパイク状ノイズがあることが見て取れます。 プリドライバトランジスタそのものは正常だと判断されるので、原因はプリドライバよりも前の、 初段差動アンプにあるということになります。

    プリドライバ段とドライバ段を切り離したことで、パワーアンプ出力電圧はほぼゼロになり、 そのため出力保護リレーは正常にONするようになりました。 右チャネルだけで音楽を聴きながら、調査を続けます。






    いままでプリドライバのベース電圧には顕著なノイズは見られなかったのですが、 考えてみればバイポーラトランジスタはベース電流で動作するデバイスなので、 ベース電圧をみてもはっきり分からないのかもしれません。 そこで初段差動アンプの信号入力側トランジスタTR01 2SA726のコレクタに入っている抵抗R17 820Ωにデジタルテスタをあて、 抵抗両端の電位差を測ってみます。 この電位差が次段プリドライバのベース-エミッタ間電圧になります。 すると読み値は0.73V。 え、これってシリコントランジスタのベース電圧にしては高すぎない?

    このコレクタ抵抗は右チャネルではR18。 この両端の電位差は、0.53V。 こんなもんのはずだよね。 左右で明らかにコレクタ抵抗両端の電位差が・・・ つまり差動アンプ入力側トランジスタのコレクタ電流が左右で違う! これは!



    初段差動アンプのトランジスタ TR01 2SA726ががぜん怪しくなってきました。 第3研究所には電子部品のストックはありませんが、PNP小信号トランジスタならEL500に2SA933が付属しています。 これに交換してみます。 差動増幅回路を構成するトランジスタは特性の揃ったものを使う必要がありますから、 TR03も同時に2SA933に交換します。 おお! ノイズが出ていない!

    切り離していたドライバ段を元に戻し、VR01でプリドライバのコレクタ電圧が-1.8Vになるように調整したら、 左チャネルはノイズなく復活! やっぱりステレオはいいなあ!!

    第2ステージのシナリオは・・・ 差動アンプトランジスタのひとつがC-E間ONまま故障した。 コレクタ電流が過大となり、コレクタ抵抗両端電圧も過大となった。 それをベースに受けているプリドライバトランジスタは大きくON動作して、 プッシュプルベース電圧をプル側に大きく振り、 パワーアンプ出力にDCが出て保護回路がスピーカを緊急遮断した。 ということでしょう。 機序説明ができました。

    NFBキャパシタは47uF 6.3V バイポーラのオリジナル品に戻し、 バイアストランジスタもオリジナル品に戻しました。 他の電解キャパシタは新品交換のまま。

    初段差動アンプのトランジスタはどう音質に影響するのだろう。 ヘッドフォンを使ってしっかり聞いてみると、 わずかに右チャネルのほうが低音がパワフルです。

    これは、入力カップリングキャパシタを交換した左チャネルのほうが高域がきれいに伸びているということなのかもしれません。 でもそれならなにか変。 交換した方が容量が大きいので低域が良く出る、というのなら理屈にかなうのですが。 ともかく、右チャネルの入力カップリングキャパシタC02も新品の1uF 50V バイポーラ品に交換しました。 その結果、左右の音質差はほぼ感じられなくなりました。 耳の肥えた人なら聞き分けられるのかなあ? でも私には指摘できるような音質差はもはやありません。 唯一の手持ち品種のトランジスタを使った左チャネルですが、 もうこのままでいいんじゃないか。

2019-04-27 左チャネルパワーアンプ復活 - 初段差動増幅回路トランジスタ故障 - トランジスタ交換





    翌日も第3研究所でのんびり、好きなカフェアレンジを聴きながら過ごします。 改元ゴールデンウィークの帰省ラッシュで高速道路は全方面渋滞で、 渋滞にはまってつまらない思いはしたくありませんね。 で、修理が一段落したところで復習のためにパワーアンプの回路図を写経してみます。 一流メーカーでも回路図はテンプレートを使った手書きの時代。 途中でのレイアウト修正はなかなかできませんので、回路図はいきおいごちゃごちゃしがち。 それを配線の一本一本を追いかけ、自分が分かりやすいように書き起こしてみると、 回路動作の仕組みや狙いが見えてきます。 本当は基板に半田こてをあてる前にこれを行うべきなんでしょうけどね。

    回路図を描き写しつつ、あれ、初段差動アンプのプラス側電源に入っているツェナーダイオードって・・・ プラス側電源電圧を約10Vに安定化しているわけですが、 しかしマイナス側電源はトランスの交流を整流した後に平滑しているだけで、電圧は成り行き。 ちょっと片手落ちな気がします。 でもまてよ、これは別の意味があるのかも。

    差動アンプに使われているトランジスタ 2SA726 は、データシートによるとコレクタ-エミッタ間降伏電圧は-50Vとなっています。 そうか、もしプラス側もマイナス側もパワーアンプ電源をそのまま使うと、 コレクタ-エミッタ間には80Vもかかってしまうことになる。 プラス側電源電圧を10Vに制限することによって、マイナス側の40Vとあわせて、 コレクタ-エミッタにかかる電圧の上限を50Vに抑えているんだ。

    で、いま使っている2SA933は、コレクタ-エミッタ降伏電圧は-40V。 これはオーバースペックで使っていることになります。 実力で持ちこたえているのでしょうが、 このトランジスタを修理の最終解にするのは上手くありません。 このまま持ちこたえてくれたとしても、過電圧は素子に少しずつダメージを与え、 切れたりショート故障しなくても、hFEが徐々に下がってゆくということはありそうです。

2019-04-28 パワーアンプ回路図作成 / コレクタ-エミッタ降伏電圧検討






代わりのトランジスタを探す

    中央研究所で差動アンプに使えそうなトランジスタの在庫部品を探したら、3品種ありました。

TYPE USAGE VCEO hFE COB NF OUTLINE
2SA733 (P) PNP General Purpose -50V 200 to 400 (P) 6pF 20dB TO-92 (E-C-B)
2SA953 (K) Driver for high voltage audio amplifier -60V 200 to 400 (K) 13pF ---- TO-92 (E-C-B)
2SA1048 (GR) Audio amplifier - Good hFE liniarity, Low noise -50V 200 to 400 (GR) 4pF 1dB ---- (E-C-B)

    どれもコレクタ-エミッタ降伏電圧は50Vあります。 この3品種から選ぶのであれば、 コレクタ接合容量が小さく、ローノイズで、 コレクタ電流の変化に対してhFEの変化が比較的少ない2SA1048(GR)を選ぶのが妥当でしょう。

    2SA1048は新品の在庫が5個あります。 2SA1048は2SC2458とコンプリで、2SC2458も新品が5個あります。 おそらくトランジスタパワーアンプをスクラッチビルドしようとして買っておいたもののようですが、 その日は来るのか。

2019-04-30 パワーアンプ初段差動アンプ用トランジスタ選定



    連休のあと第3研究所に戻ってAU-7700パワーアンプ初段差動アンプトランジスタのコレクタ-エミッタ間電圧を実測してみると、 ほぼぴったり40Vでした。 2SA933の最大定格ぎりぎりで使っていることになります。 寿命は短くなるでしょうが、音質に不満がないので、このままどこまで行けるのか試すのも面白いかな。 ということで、交換用の2SA1048(GR)は5個 AU-7700補修用としてストックしておいて、このままでいきます。 まあ要するに面倒くさいだけですが。

2019-05-10 パワーアンプ初段差動アンプトランジスタ コレクタ-エミッタ間電圧測定




右パワーアンプノイズ修理

    2SA933は快調に鳴っていますが、今度は右チャネルからバリバリノイズ。 ボリューム絞ってもノイズ音量変わらずなのでパワーアンプなのはほぼ確実。 おそらくまだ交換していない初段差動アンプの2SA726でしょうね。

    修理着手しようかなと思ってるうちにノイズは消えてしまい、 面倒でそのまま使い続けてたり。 6月・7月ころに室温が高まり、かつ長期非通電の後に発生しやすい傾向があるのかな。 トランジスタパッケージ内部に湿気が入り込んで絶縁不良が起きている、 通電すると水分がガス化して抜け自己修復する・・・とかはあるのかもしれません。

2019-07-01 右チャネルバリバリノイズ発生
2019-07-03 右チャネルバリバリノイズ 使用中止するほどの音量に
2019-08-xx 夏休み前後はノイズ発生なし
2019-09-02 右チャネルバリバリノイズ発生
2019-09-xx 以降 ノイズ発生なし

    2020年03月27日、勤務先に新型コロナ感染予防対策として原則出社禁止・在宅勤務の指示が出ました。 これは長期戦になると睨み、第3研究所を一時閉鎖して中央研究所に引き上げました。 5月下旬に第3研究所を再稼働させましたが、その間当然AU-7700は停止。

2020-03-27 COVID-19のため第3研究所2ヶ月間閉鎖 その間通電せず

    2020年4月以降のCOVID-19による自粛要請で、休日や夜間には中央研究所と第3研究所の資材整理と清掃を進めてきました。 2拠点運用を開始して10年目、どちらのワークスペースもゴミ溜め同然になっていましたので、 良い機会ととらえてちまちま掃除を進めています。 そんな中、2020年06月17日、AU-7700がまたまたバリバリ言い出しました。 1年前に発生していた故障の再発でしょう。 とりあえずアンプはヤマハA-501に切り替え。

2020-06-17 右チャネルバリバリノイズ 使用中止 アンプはヤマハA-501に切り替え

    2020年07月31日、一日休暇をとり第3研究所の掃除と整頓。 サービスベンチ周辺の整理と再セットアップができましたので、 気持ちよくAU-7700のトランジスタ交換作業を始めます。 作業開始に1年以上かかったことになるのか。

2020-07-31 パワーアンプ右チャネル初段差動アンプトランジスタ交換作業開始




    最後にノイズを出して使用停止してから1ヶ月半、AU-7700の電源を入れてみると、 いきなり右チャネルから不安定な接触不良状のバリバリノイズが出ました。 ボリュームコントロールの位置によらずノイズ音量は同じ。 よし、症状確認。 でもそのノイズは2分ほどで止んでしまいました。 自然治癒する傾向も同じです。 AU-7700でスムースジャズを聴きながら、作業を進めます。

    初段差動アンプのトランジスタを交換したらDCバイアスの再調整が必要になるし、 そもそも正常動作しているか確認するために、 差動アンプの後段であるプリドライバトランジスタのコレクタ電圧波形を観測しないと。 まずは実機と パワーアンプ部の回路図 を見比べ、 オシロとデジボルをつなぐのに最適なフックポイントを探しました。 ここは右チャネルバイアストランジスタ TR08 (2SC711) のエミッタと 右チャネルプリドライバトランジスタ TR06 (2SC1124) のコレクタとの接続点です (右図の左半分-半田面の写真は鏡像反転してあります)。

    トランジスタ交換前にここを見てみると、無信号時DC-1.89Vでした。




    お次はトランジスタのプリント基板上の取り付けパターンを確認しました。右図。

    すでに考えてあった通り、 コレクタ-エミッタ耐圧の限界ぎりぎりで動作させることになるというリスクを認識したうえで、 今回は2SA933に交換します。 本日電源を入れ、最初の2分間出ていたバリバリノイズが消えたあとすでに4時間調子よく鳴っているのですが・・・ やっぱり交換するよ。

    2SA726と2SA933はピン配列が違います。 といってもパッケージのマーキング面を反対向きに取り付ければいいだけですから難しいことはありませんが、 なんべんも確認しながら交換。




    電源を入れたAU-7700は、 すくなくともスピーカで聴く限りは、 さきほどまでと何ら変わらずにジャズアレンジを奏で始めました。 プリドライバのコレクタ電圧はマイナス1.85V。 バイアス再調整は不要てす。

    さあて、忘れたころにバリバリ言い出す故障でしたから、 この修理で問題が解決したかは、すくなくとも1年は使ってみないと結論できないでしょうね。

2020-07-31 パワーアンプ右チャネル初段差動アンプトランジスタ ペア交換 2SA726 -> 2SA933






最初に起きた故障

    週末を中央研究所で過ごし月曜の夜に第3研究所に戻って、 さあ右チャネルのノイズは再発しないよねと思いながらAU-7700の電源を入れてみたら、 いきなり左チャネルから大きなバリバリノイズ!! なんてこと! ほんとに君は楽しみを与え続けてくれる。

    もうこれはかねてからの不安が現実に・・・ 左チャネルパワーアンプ初段の交換した2SA933が高電圧にとうとう耐え切れなくなったのに間違いありません。

2020-08-03 左チャネルノイズ発生 使用停止

    火曜日の夜、2SA933を2SA1048GRに交換しました。 電源を入れてみると・・・あざ笑うかのようなバリバリノイズ!!

    2SA933は壊れてはいなかったんだ。 それでは・・・リアパネルのPRE-MAINスイッチをSEPARATEにしてAU-7700内部のプリアンプとメインアンプを切り離してみると、 ノイズは消えます。 なんと、プリアンプの故障だったのです。 スイッチをひとつ動かすだけでできる障害切り分け。 そんな簡単な手順も行わずに、 思い込みだけでトランジスタ交換作業をしてしまった自分を強く反省。

2020-08-04 パワーアンプ左チャネル初段差動アンプトランジスタを2SA933から2SA1048GRに交換 ノイズは消えず


    考えてみればこのAU-7700は、2011年08月に購入した直後、プリアンプ左チャネルの初段 BUFFER & NFB段にノイズが発生していたのです。 その後このノイズは自然治癒していましたが、およそ9年経ってようやくその故障が再発したのです。

    このページの最初のほうの故障個所推測 を読み返しました。 NoobowSystemsのページはほぼすべて自分のための作業記録なわけですが、 書いておいてよかった・・・細かなことはもうほとんど忘れてしまっていました。 故障個所はプリアンプ初段のBUFFER & NFB段のトランジスタ4個のどれかか、2個の電解キャパシタのどちらかだ、 という推測でしたね。

    プリアンプの修理をここまで先延ばしにしていたのは、 プリアンプ基板に半田こてを入れるためにはフロントパネルを完全分解しないといけないシャーシ構造だったためです。 が、もう躊躇していられません。 購入後初めて、フロントパネルを分解。 もちろんついてですから、 タバコのヤニ色がついて黄ばんだつまみ類はシンプルグリーン薄め液につけて清掃。 フロントパネルも中世洗剤とシンプルグリーンで清掃。

    プリント基板2枚からなるトーンコントロール基板のアンプ側ボードが取り外せました。 フロントパネルが外れるとシャシーは機械的強度を失ってしまいますが、 それでもどうにかアンプ全体の動作状態を維持したままサービス作業はできそうです。






    さあて、壊れているのは電解キャパシタかトランジスタか。 ジャンク扱いの中古で購入した直後は発生していて自然治癒、 9年間も出ていなかったことを見るとトランジスタよりも電解キャパシタの劣化のほうが可能性は高いでしょう。 2019年01月に用意していたリキャップキットもありますし、電解キャパシタ置き換えを試みます。 まずは入力カップリングキャパシタ、0.47uFです。 音質にも影響しますから左右とも交換します。 取り替えて電源を入れると・・・おお、ノイズは出ていない。

2020-08-05 BUFFER & NFB段 入力カップリングキャパシタ新品交換 ノイズ発生せず


    これでひとまず完了でもよいのですが、 やはりプリアンプボードの電解キャパシタは全部新品に交換してしまいましょう。 BUFFER & NFB段の出力カップリングキャパシタ 10uFバイポーラを交換すると、 おお、低音の響きが明らかに豊かになった。 やはり容量が低下していたのかな。

    気をよくして、 トーンコントロール段のキャパシタにも手を付けます。 トーンアンプトランジスタのエミッタバイパス、C15とC16。 10uF電解キャパシタです。 交換したら、音像の定位がビシッと決まるようになりました。 うれしくなって、トーンコントロールの出力カップリング、C17とC18。 これも10uF。 これは明らかな変化はありませんが、 プラシーボ効果は確かにあります。

    これでトーンアンプの入力カップリングも交換すればこのボードはリキャップ完了ですが、 残念ながら昨年1月、2.2uF電解の在庫は中央研究所にはなかったのです。 4.7uFとかに換えても十分使えるでしょうけれど、 ここはオリジナル設計値のままにしておきたいところ。 あわててキャパシタをネットで発注しました。 はやく頼んでおけばよかったのにね。 交換は夏休み明けになるでしょう。 ともあれ、現状でも十分な音質で半分分解されたままのAU-7700はいい音で鳴ってくれています。 いまはテスト用に古いシャープのミニコンのスピーカで鳴らしていますが、 JBL 4305HとYAMAHA A-501の組み合わせよりもいい音なんじゃないかと思うほど。

    夜10時を回り、第3研究所ではスピーカ再生の自粛タイム。 パイオニアSE-550 をつなぎお気に入りのアルバムを何枚も聴きます。 いい感じだなあ。 無音時/ボリュームを絞り切った時にヘッドフォンで聞こえる残留ヒスノイズは、 さすがに現代のデジタルオーディオのような完全無音ではないですが、 実用上気にならず。 YAMAHA A-501 はかなりヒスが目立ちますが、 これならヘッドフォンでもたっぷり楽しめます。

    パワーアンプ初段は左チャネルが交換したばかりの2SA1048GR、右チャネルも交換したばかりの2SA933で違うトランジスタを使っているわけですが、 ヘッドフォンで聴いても左右の音質差は感じません。 まったく鈍感な耳でよかった・・・さもなくば40年前の古い小さなトランジスタに何千円も払ってしまう方々の仲間入りをしてしまうでしょう。 2SA933はコレクタ-エミッタ電圧40Vに耐えて調子よく鳴り、1年は持ってくれているわけですが、プリアンプ修理が済んだら2SA1048GRに換えましょう。

2020-08-06 BUFFER & NFB段 出力カップリング / トーンアンプエミッタバイパス / トーンアンプ出力カップリングキャパシタ新品交換









今度は右からですかそうですか

    夏休みが明けて第3研究所活動再開。 朝9時から小さな音量でBGMをかけていたら、12時ちょっと前に突然右チャネルから近所迷惑間違いなしのバリバリノイズ! もうね、分かっているんだよ、かまってほしいんだよね。 それとも評価もされないしょうもない仕事をさせられてクサっている私の気分がうつったのかな。

    背面のPRE-MAINスイッチをSEPARATEDにしたら、バリバリ音はとても小さくなりました。 無音にならない、スイッチ自体か回路のどこか経由でプリアンプとメインアンプがつながる経路があるのでしょう。 バリバリノイズはプリアンプから出ているのに間違いがありません。 PRE-MAINスイッチをCONNECTEDに戻し、 フロントパネルのTONE & FILTERスイッチをDEFEATおよびFILTER ONLYポジションするとバリバリ音は全く出なくなります。 プリアンプのうち、初段のBUFFER&NFB段ではなく、後段のトーンコントロールアンプで発生しているのは間違いがありません。

    これは在宅勤務のメリット、お昼休み時間にすぐさま作業に --- 真っ先に疑われるトーンアンプ入力カップリングの2.2uF電解キャパシタ交換に取り掛かります。 今回AU-7700の作業用に、各種容量取り揃えの電解キャパシタキットを買っておいたのでした。 さあどうだ・・・しかし残念、ノイズは変わりません。 これでBUFFER&NFB + トーンアンプのボード上の電解キャパシタはすべて新品に交換されたことになります。 今回のバリバリノイズは、トーンアンプの2つのトランジスタのどちらかから出ているに違いありません。 午後はTONE & FILTERスイッチをDEFEATにして使いました。

    今日一日いったいどんな価値を生み出せたのか自分でも答えられないまま・・・ 本日の業務終わり。 気を取り直して、まずは2SA726を2SA933 (いままでパワーアンプ左チャネルの初段に使っていたもの) に交換しました。 交換直後、ノイズはずいぶん小さくなったものの、出続けています。 む、2SA726ではなかったのか。 ノイズが小さくなったのは、半田こての熱で故障しかかりの2SC1313が一時的に復活傾向になったのかもしれませんね。

    2SA726は2SA933に交換しましたから、2SC1313は2SA1740Sに換えることにします。 2SA1740Sは2SA933とコンプリ。 ま、要するにEL500に使われていて第3研究所にある数少ない電子部品在庫だから、というだけの理由です。

    交換して電源ON。 30分、1時間、2時間、音楽を聴き続けていますが、 一度もバリバリノイズは出ていません。 2SC1313の不良が原因だったとしてよさそうです。 いっぽう、先月 --- 2020年07月に発生した右チャネルバリバリノイズは、パワーアンプ初段の2SA726を2SA933に交換して直ったと思ったのですが、 実はそれは原因ではなかったのかもしれません。 真の原因はトーンアンプの2SC1313だった、のかもしれません。

    2020-08-24 右チャネルトーンコントロールアンプバリバリ音発生

  • C11 / C12 2.2uF電解キャパシタ 新品交換
  • TR12 2SA726 を 2SA933 に交換
  • TR10 2SC1313 を 2SA1740S に交換

  • 2SC1313交換後ノイズは発生せず

        トーンアンプは左チャネルがオリジナルの2SC1313 + 2SA726、右チャネルが交換した2SC1740S + 2SA933で鳴っているわけですが、 ヘッドフォンを使っても私には音の違いは感じ取れません。 これで修理完了にしても良いのですが、左チャネルのトランジスタもそのうち劣化してしまうでしょうから、2SC1740S + 2SA933に交換しました。 これでトーンコントロール回路で劣化の可能性のある素子はすべて交換したことになります。

    2020-08-24 左チャネルトーンコントロールアンプ トランジスタ 予防保全交換

  • TR11 2SA726 を 2SA933 に交換
  • TR09 2SC1313 を 2SA1740S に交換

  •     トーンコントロールボード上では、BUFFER & NFB段はトランジスタはすべてオリジナルのままで鳴っています。 使われているのはおなじ2SA726と2SC1313。 左右合計で8個のトランジスタ。 同じような動作条件ですから、8個のうちどれかが壊れるのも時間の問題なのだろうと思います。 いま取り替えちゃうのと、なぜか最近いい値段で取引されている2SA726 / 2SC1313の音を最後まで楽しみ続けるのと、 どちらがいいんだろう。






    パワーアンプ予防保全

       
    2020-08-26 パワーアンプ初段差動アンプNFBキャパシタ左右 C09 C10 47uFBPを新品交換



        2SA933と2SA1048GRはピン配列は同じ。そのままの向きで交換すればOK。

    2020-08-27 パワーアンプ右チャネル初段差動アンプトランジスタを2SA933から2SA1048GRに交換




    修理完了・・・には早かった

        BUFFER & BFB段はトランジスタはすべてオリジナルのまま。 さらに、アクセサリサーキットボード上には2SC1313Rによるトーンアンプ出力バッファアンプがあります。 でもまあいいや、この辺りはそのうち素子不良になるまで使い続けよう。 内部清掃を続けながらフロントサブパネルを組み立て、フロントパネルやトップカバー・アンダーカバーを清掃し、 全体を組み上げました。 修理完了。

        ところが・・・ その後の稼働時間は50時間にも満たないと思う真夜中に、 突然AU7700は爆音でバリバリノイズを出し始めました! あわてて電源OFF。 簡単には修理完了にはさせてくれないんですね。

        今度のバリバリノイズは左チャネルから。 PRE-MAINスイッチをSEPARATEにするとバリバリノイズは大幅に減りますからプリアンプの問題。 TONE-FILTERスイッチがDEFEATポジションでもTONE-FILTERポジションでもノイズの具合は変わらないので、 トーンコントロールとその出力バッファは無実。 なので問題は左チャネルのBUFFER&NFB段。 電解キャパシタはすでにすべて新品交換してありますから、トランジスタ故障なのはほぼ間違いないでしょう。 BUFFER&NFB段を構成している4本のトランジスタをすべて交換することにします。 問題が出ている左チャネルだけでなく、右チャネルも。 そして、予防保全として、2SC1313を使っているトーンアンプ出力バッファトランジスタも、 さらにはトーンアンプ出力バッファの電解キャパシタも交換してしまいましょう。 第3研究所のあちこちを探して、2SA933 2本と2SC1740S 8本の在庫がみつかりました。 電解キャパシタもあります。 先日組み上げたばかりの匡体を分解して、作業開始。

        トランジスタを交換しても明らかな音質の違いは出ていません。 ノイズも発生なし。 今週はなぜか疲れていて、作業は結局一日かがりとなってしまいましたが、 AU-7700は復活。


    2020-09-09 左チャネルバリバリノイズ発生
    2020-09-11 BUFFER & NFB回路 トランジスタ全数交換
    2020-09-11 トーンアンプ出力バッファ トランジスタ全数交換





    修理完了

        これでいままでに2SA726 / 2SC1313は、AU-7700のアンプ回路に使われている18本のうちすくなくとも4本が故障したことになります。 これらはいずれも動作が不安定となる故障モードした。

        AU-7700にはまだ2SA726と2SC1313が1本ずつ、プリアンプ回路の±25V電源を生成する安定化回路にも使われています。 これらは今回はそのままとしましたが、不安定動作モードで壊れれば同様にプリアンプの大きなノイズ発生になるでしょう。 つぎにプリアンプのバリバリノイズが発生したら、まずはプリアンプ電源ラインの電源電圧をオシロで観測すること。 不安定になっていたら交換。 さあて、あとどのくらい持ってくれるでしょうか。

    2020-09-11 修理完了






    安定稼働中

        追記しておきましょうね。 コロナ禍の影響は続いていて中央研究所からのリモートワークが主体の生活が続いていて第3研究所の稼働率は4分の1ほどに低下してしまいましたが、 しかし2020年9月以降まる2年間、 一切ノイズが出ることなく、AU-7700は調子よく鳴ってくれています。 修理は大成功、です。

    2022-09-29 2年間ノートラブル!






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    SERVICE SUMMARY

    SERVICE DATE SYMPTOMS ROOT CAUSES REMEDIES NOTES
    2019-01-16 Becomes monaural when the MODE switch is at NORMAL position MODE swich failure - internal short Modified PCB pattern so that originally unused switch section is used instead of the failed section
    2019-04-05 Loud crackling noise on Left Channel Device failure - Electrolythic capacitor in the Power Amplifier Bias Transistor circuit: C07 Replaced electrolythic capacitors with new component, both channels - C07 & C08
    2019-04-27 Moderate crackling noise on Left Channel, Protection Relay trips Device failure - Transistor used in the Power Amplifier Input Differectial Amplifier stage: TR01 & TR03 Replaced transistors: Installed 2SA933 instead of original 2SA726 for TR01 & TR03 2020-08-06 Left channel TR01 & TR03 further replaced with 2SA1048GR
    2019-04-27 (no apparent trouble - precautionary measure) Input coupling capacitor in the Power Amplifier: C01 & C02 Replaced capacitors: Installed 1uF 50V bipolar capacitor instead of original 1uF 50V High end response improved
    2020-07-31 Loud crackling noise on Right Channel Device failure - Transistor used in the Power Amplifier Input Differectial Amplifier stage: TR02 & TR04 Replaced transistors TR02 & TR04: Installed 2SA933 instead of original 2SA726
    NOTE: Potential wrong diagnosis - Faulty transistor 2SC1313 in Tone amplifier TR10 could have been the cause, refer 2020-08-24
    2020-08-27 Right challel TR02 & TR04 further replaced with 2SA1048GR
    2020-08-05 Loud crackling noise on Left Channel Device failure - Preamplifier BUFFER & NFB Stage input coupling capacitor: C01 Replaced electrolythic capacitors with new component - C01 & C02
    2020-08-06 (no apparent trouble - precautionary measure) Output coupling capacitor in the Preamplifier BUFFER & NFB stage: C09 & C10 Replaced capacitors with new components Low end response largely improved
    2020-08-06 (no apparent trouble - precautionary measure) Emitter bypass capacitor in the Preamplifier TONE stage: C15 & C16 Replaced capacitors with new components Stereo localization improved
    2020-08-06 (no apparent trouble - precautionary measure) Output coupling in the Preamplifier TONE stage: C17 & C18 Replaced capacitors with new components No perceivable change
    2020-08-24 Loud crackling noise on Right Channel Device failure - Tone amplifier transistor 2SC1313 TR10 Replaced TR10 2SC1313 with 2SC1740S; also replaced TR12 2SA726 with 2SA933. Also replaced tone amp input coupling C11 & C12 with new component Also Relaced TR09 and TR11.
    2020-09-09 Extreme loud crackling noise on Left Channel Device failure - one of four transistors used in the BUFFER & NFB circuit Replaced three 2SC1313R with 2SC1740S, one 2SA726 with 2SA933. Also replaced transistoes used in the right channel.
    2020-09-11 (no apparent trouble - precautionary measure) Buffer amplifer following the tone control amplifier, Left and Right Replaced 2SC1313R with 2SC1740S, Replaced 1uF and 2.2uF Elecrolythic capacitors with new components. No perceivable change


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    2011-08-12 AU-7700 acquired.
    2011-08-24 Page Created.
    2011-08-26 Published.
    2011-08-29 Trouble is drilled down to the buffer & NFB amplifer consists of 4 transistors. 2011-08-20 Updated.
    2011-10-11 Updated. The noise has not been observed since Aug. 29. It could have been healed itself.
    2012-11-19 Updated. Noise reappeared for 30 minutes, then disappeared.
    2013-01-02 Updated. Studied the Loudness circuit.
    2015-08-18 Updated. Speaker relay operation unstable.
    2019-01-16 Updated. Mode switch fixed. [Noobow9200B @ L3]
    2019-01-21 Updated. [Noobow9200B @ L3]
    2019-04-07 Updated. [Noobow9100E @ L1]
    2019-04-30 Updated. [Noobow9100E @ L1]
    2019-05-13 Updated. [Noobow9200B @ L3]
    2020-08-01 Updated. Input differential amplifier transistor in the right channel power amplifier replaced. [Noobow9100E @ L1]
    2020-08-07 Updated. Input coupling capacitor in the left channel BUFFER & NFB stage caused thundering noise. [Noobow9200B @ L3]
    2020-08-24 Updated. [Noobow9200B @ L3]
    2020-09-13 Updated. [Noobow9300 @ L1]
    2020-11-16 Updated. [Noobow9200B @ L3]
    2021-04-12 Updated. [Noobow9100F @ L1]
    2021-04-20 Updated. [Noobow9300 @ L1]
    2022-09-29 Updated. [Noobow9200B @ L3]