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YAMAHA A-501
Integrated Audio Amplifier


   



広義の北海道みやげ

    2018年の北海道ツアー最終日は茨城県境に近い埼玉県のホテル泊。 そのまま中央研究所に帰らずわざわざそんなところに泊まったのは・・・ポゴが大学のオープンハウスに参加するため。 どこでもいいので一か所オープンハウスに参加しなさい、というのが夏休みの課題のひとつで、 だけれどスケジュールが合わず。 それならいっそ北海道のどこかの大学でオープンハウスがないかと思ったのですがさすがにお盆期間の開催は少なく、 結果、北海道ツアー最終日に開催される埼玉県内の私大のひとつのオープンハウスに行くことにしました。 このためD:5にはポゴの高校の制服も積んであったのです。

    大学入り口でポゴを下ろし、さてオープンハウス終わるまで何していようか。 ホテルでしっかり朝食はいただいたし、近場で特に見物するものもなさそうだし。 そういえばここに来る途中でリユースショップが一軒あったね。 そこに行こう。

    案外に楽しい品物が多く積まれていたこのお店、いろいろ見て結局買ったのがこのYAMAHA A-501 "Natural Sound Stereo Amplifier"。 中学高校時代にFM雑誌の広告でみて、なんともカクカクした、でも上品なデザイン。 こんなので音楽聴けたらいいだろうなあと思いつつ、とても当時のお小遣いが許すものではなく、 無理やりに忘れることにしたのでした。 そんな機材がとうとう自分のものに。 値札2000円。 フロントパネルは欠品なくきれいだし、ケースも大きなキズや変形はありません。 全く動作しなかったら、中身を自作回路に入れ替えて楽しめます。

    というわけで、このハンサムなヤマハのアンプは、北海道ツアーみやげ、なわけです。

2018-08-19 YAMAHA A-501 購入 ジャンク扱い 2000円





接触不良の症状

    このアンプはうまく動いたら 究極の貧乏アンプ の置き換えにしようと考えていたので、柔らかい衣類でくるんで大きいバッグに詰め込み、 ティル に乗せて第3研究所へ。 さっそく試してみると、おお、ちゃんと鳴るじゃないか。

    もちろんパーフェクトなことなどなく、お楽しみ成分もちゃんとある様子。 ボリュームとバランスそしてマイクミキシングのポテンショメータにはしっかりガリがありましたが、 これはくるくる回して接点復活剤も併用して、解消。 しかし電源投入直後に左チャネルの出力が出なかったり、接触不良状の断続を呈します。 直ってしばらく快調なこともあるし、と思うと再発したり。 不思議なのは、音が出なくなったときにボリュームコントロールを上げると復活し、しばらく調子よし、みたいな。 ボリュームコントロールのポテンショメータを保持しているサブ基板のパターンクラックかもしれません。 事実ポテンショメータの取り付けナットは緩んでいてガタが出ていましたので、ガタが出たまま操作を続けて過大なストレスを受け続けたというのはあり得るかも。

    使い続けるにつれ不調の発生回数は減ったのですが、やはり時折不調に。 問題が発生しているときにあちこちつついてどの辺が悪いのかを探してみると・・・ どうやら出力保護リレーが怪しくなってきました。 リレーボディをつまんで揺すると、問題が顕著に発生します。 はんだクラックかな?

    リレー自体の発熱なんて微々たるものですから繰り返し熱応力によるプリントパターン剥離破壊やはんだクラックの可能性は低そうですが、 保護リレーの周囲にはやや大きめの抵抗もあります。ひょっとしたらこの抵抗からの発熱が効いていたりするのかな? アンダーパネルを取り外して片面実装のプリント基板のリレー部半田面を見てみましたが、 異常は見つかりません。 おまじない的にはんだ付けをし直してもみましたが、変化なし。

    プリント基板に対して強固に固定されたリレーをこじると基板上の別なところの接触不良に影響しているのかもしれませんが、 リレー本体を指でつまんでこじったときが一番顕著だし、なによりリレー本体をボールペン等で軽くたたく等の軽い衝撃で症状が出たり消えたりしますから、 リレー内部の、だとすれば十中八九、接点の酸化による接触不良でしょう。 リユースショップに持ち込まれるまでに10年20年と長期間放置されていたのだとすれば不思議なことでもありません。

    さあそうなると、まずはリレーのコイルに外部電源をつないでカチカチ繰り返し、接点の自己清浄を狙うのが一番簡単。 おそらくリレーを基板から外さなくてもできるでしょうが、 取り外せれば接点を直接磨くなどの対応もできます。 しかし第3研究所にははんだ吸い取りポンプはなくて、はんだこてだけではうまく取り外せませんでした。 週末に中央研究所から持ってこよう。

    その間、リレーをカチカチさせるためのDC12Vの断続電源を用意します。 いろいろな方法が考えられますが、今回は一番簡単に、 Maxitronix 500-in-One EL500 のマイコンを使って。 せっかくなので8ビットLED表示も付けました。 まあカチカチ回数を正確に管理しようとも思いませんけど。

2018-10-24 リレー接点動作用ON-OFF装置をEL500で製作


YAMAHA A-501 Output Protection Relay

YAMAHA A-501 Output Protection Relay - Solder side


EL500 ON-OFF signal generator



リレー修理

    メンテを済ませたグットはんだ吸い取り器を使って、リレーはあっさりと基板から取り外すことができました。 リレーの外装プラスチックケースは爪どめで、細いマイナスドライバで開けることができました。 リレーは2回路、NO (Normally Open) 端子だけがピンが出ていて、NC (Normally Close) ピンは無し。 各回路は2つの舌片と2つの接点があり、A-501の基板では2つの接点を並列に接続しています。 仮に1つの接点に接触不良が出てももうひとつの接点で正常動作を維持できるわけですが、 ということは、片側回路の2つの接点が両方接触不良になっているということです。

    さて、リレー接点はむき出しにできましたので、しめしめ、これなら清掃も簡単だ。 とはいえ具合のいいエメリー紙なんて第3研究所にあったかな。 まあ接点研磨は次の手にとっておき、 当初予定通り接点復活剤とON-OFF反復で接点には自己洗浄してもらおうと思います。 EL500にプログラムを書き込み、2SC1740トランジスタ1個と逆起除けLED1個のリレー駆動回路を配線し、 Samlex RPS1206 から13.6Vを引っ張ってリレー駆動します。 ただカチカチするよりも、接点に電流を流せばメーク・ブレーク時のアークで酸化被膜を焼ききれるので効果が出るかもしれません。 立ちゴケ時の修理用として第3研究所に常備してあった ティーディ の中古フロントウインカーランプを負荷として、接点に約2Aの電流を流せるようにしました。

    接点にホームセンターハウスブランドの接点復活剤をスプレーし、 1000回ほどカチカチし、つぎの端子へ。 合計で1時間ちょっとカチカチしたのちにリレーの外装カバーを組みなおし、アンプに取り付けてはんだ付け。 アンプの電源を入れると、カチリとリレーがONになった後正常に音が出ます。 まあ当然のことですが…リレーをこじっても軽くたたいても接触不良は出ないし、 その後7時間以上連続で、安定して鳴っています。 ボリュームコントロールにもバランスコントロールにもガリはなくて調整は滑らかに効きます。 よし、直ったな。

    修理後のA-501は心なしか音が良くなった気がします。 特に低音が豊かで滑らかになった感じ。 いままで一見正常に聞こえるときでも、実は接点の酸化被膜によって導通抵抗の非線形性があったのかもしれません。 ありうること。 金メッキコネクタに変えたら音が良くなったとかケーブルを変えたら音が良くなったとかは私はふだん信じていませんが、 あまりにも接触が悪くなれば私でもわかる程度に音質が劣化する・・・のかな。 それともいつもの、自分で直した機械は嬉しそうに働いてくれるように感ずる楽しいプラセボ効果かな。

2018-10-29 リレー接点接触回復処置 アンプ動作正常化 第3研究所メイン機として運用開始


A-501 Relay Interior


A-501 Relay Rehabilitation - Click to watch video



イベント参加

    休日のイベント運営で、会場BGM用のパワーアンプが一台必要になりました。 大人数が集まるイベント会場なので、ラジカセではパワーが足りません。 なので、A-501を持ち込むことにしました。 大パワーでの連続稼働テストは行っていないので不安ではありますが、 大パワーといっても出力は20Wも出れば十分なはず。 それにどうせ誰も聴いていないようなBGM用です、トラブルが起きてもほとんど支障はないでしょう。

    安物ブックシェルフスピーカを養生テープで会場のやや高いところに設置し、10mほどの平行ビニル電線で接続。 ICレコーダでMP3をリピート再生して、ボリューム40%程度で再生。 A-501は一日ノントラブルで鳴ってくれました。 あのBGMなかなか雰囲気良かったよ、と2名ほどの方から言われました。 よかったね褒められたよ、501。

2018-11-25 イベント音響設備として動作






不調が起きているっぽい

    2018年10月にリレー修理が終わって快調になった後A-501を第3研究所のメイン機として使っていましたが、 2020年09月に サンスイAU-7700 の修理が終わったときにメイン機の座をAU-7700に戻し、 A-501はスタンバイ機に。

    その後、コロナ禍の影響で第3研究所の活動規模を縮小することとし、 A-501は中央研究所の夢と時空の部屋に移りました。 2021年04月に 日幸電子STA-301 の修理を開始するにあたり、 A-501はテスト用のパワーアンプとして使用。 ところがこのとき、A-501に何らかの不調か起きていることに気がつきました。 ボリュームを上げてプレイすると、 ベースやドラムの大振幅再生時にパワーが頭打ちになり、 フロントパネルのランプの明るさが低下するのです。 まだ定格出力には達していないはずの音量なのに。 電解キャパシタのリークかなにかが起きているのでしょう。 A-501は修理待ちリスト入り。

2021-04 大出力時に低域頭打ち ランプ照度低下の症状を確認





トーンコントロールが発振する

    中央研究所についに薄型カラーテレビ (!) が入り、 それ用のオーディオアンプとして ブラザーBA-101 を回したので、 メインワークベンチのオーディオアンプが必要となりました。 その辺のなんでも適当に使えばいいのですが、 YAMAHA A-501を使うことにしました。 ハリクラフターズS-20Rスカイチャンピオン の修理作業が終わったので、 A-501に着手。 昨年に気がついていたトラブルを調べ、可能なら修理しましょう。

    やはり使わないでおくとポテンショメータはガリが出ますね・・・ まずは接点復活剤を吹いて、快復。

    A-501のトラブルはトーンコントロールらあるようです。 BASSもTREBLEも、つまみを+3以上に回してブーストすると、 明らかな発振状態になってしまいます。 うむ? なんでこんなことになるんだろうね?

    ボリュームを目いっぱい絞っておいてもこの症状は出ますが、 A-501はボリュームのあとにトーンコントロールが置かれている回路ブロック構成なので、 トーンコントロール回路で発振が起きているのなら当然のこと。 発振状態は左右のチャネルに同時に起き、程度に左右差は見られません。 なので、左右チャネルに共通な部分の故障だろうし、 発振状態になるのはおそらく電源の平滑が不足して見た目のインピーダンスが上がったためでしょう。





完全なる敗北

    A-501のトーンアンプには、新日本無線NJM4559Dデュアルオペアンプが使われています。 ひとつのICパッケージに右チャネルと左チャネルのアンプが入っているのですから、 このICの電源周りでしょうかね。 そう思い、平滑用のフィルタ電解キャパシタを新品交換しましたが、症状は変わりません。

    それならば次はきっとこれだ、でも変わらず。 それじゃ右か左かどちらかが異常発振して、電源電圧が大きく振られて反対側チャネルにも同じ症状が出るとか? トーンアンプの電解キャパシタを全部取り替えても、やはり変わらず。 電源回路の大型平滑キャパシタ6800uFを代替品に置き換えても変化なし。 うーん、じゃメインアンプとのカップリングキャパシタがリークしているのかな? でも変わらず。 電解キャパシタ劣化ではないのだろうか?

    スピーカ結線にどういうわけか容量性インピーダンスが出てしまっていてパワーアンプのダーリントンが発振しちゃっているとか? いやそれはないはず、なぜならばトーンコントロール中立でボリューム上げても発振しないからね。 このアンプにも当然のことながらゾーベルフィルタはちゃんと入っているし。 そう思いながらスピーカ配線に目をやり、うむ?

    原因はスピーカ配線でした。

    実験用アンプ(この場合はA-501)と比較用のアンプを簡単に切り替えられるように簡便なスピーカ切り替えスイッチを用意してあったのですが、 2台のアンプのスピーカ端子のマイナス側がつながったままになってしまっていました。 A-501とスピーカをつないでテストしているとき、 別のアンプのスピーカ出力のマイナスはそれなりの出力で振れていて、 それがA-501のスピーカ出力マイナス側、つまりシャシー電圧を揺さぶっていたのです。 トーンコントロールを使うと、低音や高音が強まると同時に、低域/高域での入力-出力間の位相遅れが変化します。 この具合によって、発振条件が成立してしまうのでしょう。

    理屈はどうでもいいや、とにかく別のアンプのスピーカ出力がつながっちゃってたらダメに決まってるだろ。 切り離せば、なんてことはなくA-501は全域トーンコントロールが効くようになりました。 うひゃー、今回はことごとく失敗した。 原因特定手順の大きな失敗。 まず正しいセットアップを行うこと。 基本を軽視する者はかならず対価を払うことになる。

    2021年04月に出ていた異常も、おそらく同じ理由だったはず。 やれやれ。

2022-01-06 トラブルの原因判明





    かなりの数の電解キャパシタを交換したので、 その勢いで、簡単に手が届く場所の電解キャパシタをすべて交換することにしました。 電源平滑の50V 6800uFは在庫がないのでオリジナルのまま。 マイクミキシングアンプのキャパシタはシャシーを分解して基板を取り出さないと交換は難しいので見送り。 カラオケするつもりはないので支障はありません。 そもそもいままでどのひとつのキャパシタも、明らかな故障は起こしておらず、きちんと動作していましたから。 製造年は5年くらいしか違わないはずなのに、 電解キャパシタもトランジスタもあちこちダメになってバリバリノイズを出しまくっていたサンスイAU-7700とは大きな違いです。 ヤマハにはいい部品が使われていたんだね。

    トラブルシューティングに大失敗して、 壊れてもいない電解キャパシタを片っ端から交換してしまったわけですが、 その見返りは音に出ました。 当初なにかややクセのようなものを感じていたA-501の音ですが、 いまやとてもすっきりクリアで、低音も高音も自然なままパワフルでのびやか。 音像の定位もはっきりしています。 さらには、A-501は当初ヘッドフォンで聞くと無音時のヒスノイズがはっきり出ていたはずです。 でもいまでは完全に無音とは言えないまでも、残留ヒスノイズはほとんど聞こえません。 経年劣化したキャパシタがヒスノイズを出すようになるものなのかどうか、 それとも使ったヘッドフォンの能率の違いなのか。 ともかくいまは残留ヒスノイズは気になりません。 もしこれがキャパシタ交換による改善であるならば、 手間と時間は十分にペイするものでした。

2022-01-07 電解キャパシタの大半を新品交換






再配備

    内部のホコリを落として清掃し、 アイドル電流調整用測定端子電圧がを9mVとなるようにパワーアンプのアイドリング電流を調整し、 作業完了。 中央研究所メインワークステーションにA-501を設置しました。

    うん、いい音で調子よく鳴ってくれますね。 それまでのブラザーBA-101とはやはり違う。 特に低域が自然に豊かに響きます。 まあそりゃそうか・・・ ジャンボLM386だもんな、BA-101は。 そんなのと比べないでほしいな、 と言っているようにも見えますね、このヤマハ。

2022-01-09 中央研究所メインワークステーションに配備運用開始






> 途中で行った作業・・・ 目黒測器MSG-2161テスト
> 次の修理・・・ Sherwood S-2100 FM Stereo Tuner


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2018-10-29 Protection relay rehabilitation performed. Page created.
2022-01-09 Updated. [Noobow9300A @ L1]
2022-01-10 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2022-01-12 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2022-03-19 Updated. [Noobow7300A @ Niigata]