Brother "Joysound" BA-101
Stereo Amplifier
(1977) |
|
ブラザーJoysoundアンプのテストを始めます。
電源を投入して動作させてみると、各コントロール類のひどいガリあるいは接触不良はあるものの、
音は出て、基本的には動作しています。
残念、これでは部品取り機にはできないよ。
いまどき話題にも上らないブランドの大衆機ではあるものの、
定石通りのデザインと機能を持つこのアンプ、
まずは完全復調を目指しての修理を楽しみましょう。
さらにその先、状況に応じて自分用の改造を行って実用機・テストベッド機として楽しもうと思います。 考えてみれば小学5〜6年生のときに読んでいたラジオの製作誌に、 この手のハイブリッドICを使ったステレオプリメインアンプの製作記事がありました。 その頃はポケットトランジスタラジオキットやトランジスタ4石のアメパトサイレンをユニバーサル基板に作れるようなった程度でしたので、 記事を読みながらこんなのはまだまだ無理、でもいつか作ってみたいなと思っていました。 ので、それじゃあ、小学6年生の頃の夢をいまお手軽に叶えるのも悪くない。 2012年にとうとうパワーアンプが壊れた アイワTPR-840 の後を継いで、 6年半の間メインアンプとして使い続けてきた ELEKIT EL-559 をいったん退役させ、ブラザーBA-101をベンチの上に横倒しで置き、 実用機として音楽を聴きながらサービスを開始します。 もっとも毎週通勤の単身赴任生活の今では弄れるのは土曜の夜しかありませんけど。 2019-02-03 中央研究所プリメインアンプとして運用開始 / 整備作業開始 |
|
BA-101はフロントパネルにメータを持ちますが、これはパワーメータ。
パワーアンプの出力レベルを測ります。
部屋で静かに音楽を聴くとき、その出力は1ワットも要りません。
ので、多くの場合でメータはごくわずかしか振れません。
これではつまらないので、
このメータはライン入力のレベルを測るVUメータに改造してしまおうかと思います。
以前にこしらえたオーディオレベルメータ基板
を組み込んでしまおうかな。 ま、まずはオリジナルのメータ回路がどうなっているのか、調べることにしました。 結果は右図。 シンプルなパッシブパワーメータ回路です。 メータ回路はパワーアンプをもつメイン基板に設けられており、 SANYO STK078パワーアンプICのスピーカ出力から1kΩの抵抗と電解キャパシタで信号が取り出されています。 このカップリングキャパシタは、10μFの電解キャパシタを2つ反対向きに直列接続して無極性キャパシタとしています。 信号はおそらく1N60クラスのゲルマニウムダイオードで整流され、10μFの電解キャパシタで平滑されたあとメータを振らせます。 指針振り切れ防止のためにツェナーダイオードが設けられており、メータへの電圧に上限値を設けています。 けど、このツェナー、いままでに一度でも動作したことがあったのかな? メータには直列にトリマが入っていて、メータゲインの調整ができるようになっています。 このトリマをいじれば静かな室内のような低出力時でも大きく針が振れるようにすることはできますが、 ツェナーダイオードによるメータ上限リミッタは効かなくなってしまいますから、実用的ではありません。 なおフロントパネルのメータは、電源ONの間は緑色の豆ランプで照明されます。 が、メータベゼルがちょっと緑がかる程度の明るさでしかなく、 メータ文字盤の明るさはほぼ変わりません。 緑色はきれいですがとても寂しい光り方です。 2019-02-17 パワーメータ回路を調査 |
|
ハムは実用上ゼロだしそのほかの問題も全くなかったので、電源回路は調べていませんでした。
今後なんらかの回路を追加する際の電源の手配検討のために、オリジナルの電源回路を見ておきましょう。 ほぼ同時期の高級アンプ、 たとえば サンスイAU-7700 に比べると、はるかにローコスト構成になっているのは明らかです。 電源トランスに外装化粧カバーはなく、平滑ケミコンもこじんまりしたもの。 それでも現状私が部屋で聴くのに全く問題はありませんから、 最適設計されているともいえますね。 バカでかくてずっしり重いトランスと大型ケミコンをもつ大容量低インピーダンスの電源回路こそ高級機の証、 というのは電気性能を考えれば道理は通りますが、 部屋で本でも読みながら静かに音楽を聴くのなら出力はチャネルあたり1ワット程度なわけで、 100ワットを余裕でドライブできる電源ユニットが本当に必要かどうかというと。 トランジスタ4石をもつトーンコントールボードには DC26.5Vが給電されています。 パワーアンプボードの隅、右チャネルパワーアンプの近くにトランジスタがひとつ - TR105 2SC945 - がありますが、左チャネルパワーアンプの近くにはありません。 こいつは何のためについているのでしょう? 周辺のパターンを追って回路図を描き進め、このトランジスタの役割がわかりました。 電源投入時にSTK078パワーアンプIC内部のドライバ段だけ電源立ち上がりを遅らせてソフトにONし、 ポップノイズを抑制しているのです。 この2SC945トランジスタがオープン故障すればアンプ音出ず故障、 ショート故障すれば電源ON時のポップノイズ大になります。 C159電解コンデンサの容量抜けは電源ON時のポップノイズ大、 過度なリークはドライバ電源電圧低下による音質不良・ノイズ発生・動作不安定、ショートに近くなればアンプ音出ずを招くでしょう。 実機ではそのような症状はなく、したがってこの部分の手入れは現状では不要です。 2019-03-16 電源回路調査 |
|
|||
回路図描き起こし作業、今日はパワーアンプ部。
小学5年の頃に読んでた「ラジオの製作」か「初歩のラジオ」誌のどちらかに、
この三洋の厚膜ハイブリッドパワーアンプICを使ったプリメインアンプの製作記事がありました。
当時の自分には詳細は理解できなかったけど、いまなら全部わかります。
あの頃憧れたプロジェクトにいまようやく取り組んでいる気がします。 本機のパワーアンプ部の回路は基本的にはパワーアンプIC STK078 のデータシートに従っていますが、 NFB時定数を決定するキャパシタC144が、 データシート指定の47uFに対して実機では2.2uFになっています。 これが昭和のおっさん大好きのもりもり低音を出しているのでしょうか? 2019-03-22 パワーアンプ部 回路図描き起こし つづき |
|
全く予期できなかった在宅勤務指令。
私の勤務先はもう5年以上も前からRAS/VPN接続を提供していて、
移動体通信網に接続さえできれば山奥だろうがフェリーの船上だろうが業務はできる環境でした。
とはいえチームメンバーが全員在宅とは・・・ それでも会議はすべてSkype、 近い仲間とはグループチャットを使い、隣に話しかける感覚で即時連絡ができ、 しかも今回の騒ぎの直前にRAS/VPNアクセスポイント増強していたという幸いもあって、 3月27日に第3研究所を一時閉鎖して、平日拠点を中央研究所に移しました。 家の外にいるのを見つかると逮捕されてしまうというインドにいる仲間よりはずっと楽な状況ですが、 それにしても天気の良い春の休日にも外出を避けるように言われるとはこれはキツい。 ので、懸案だったBA-101のサブウーファ出力用バッファアンプの試作に取り掛かります。 電源はお手軽に3端子レギュレータで作るとして、どこから取りだそう。 BA-101の電源トランス2次側巻線にはパワーアンプ系巻線、 プリアンプ系巻線そしてメータ照明用巻線の3つがあります。 常套にプリアンプ系電源回路から取り出すべきですね。 のでプリアンプ系電源の回路図を見てみます。 トーンアンプ用のDC26Vから拝借したらどうなるでしょう。 トーンアンプは2石バクサンドール型で、左右で計4個の2SC945が使われています。 回路図から、トーンアンプの消費電流の設計値は7mAであることがわかります。 ここから追加エミッタフォロワ2つの電源を取り出したら、 トーンアンプ電源電圧は無視できないほど変わってくるのが明らかです。 賢くないでしょう。 整流ダイオード直後から取り出して1段デカップリングした後にシリーズレギュレータで落とす、のがよさそうです。 いっぽう、プリアンプ系巻線はあまり電流容量がないのかもしれません。 細かい心配するのが面倒なら、パワーアンプ電源からもらってもいいでしょうね。 まずはパワーアンプ電源から取り出す方法で進めます。 バッファアンプの電源電圧は9Vとし、3端子レギュレータは在庫部品の中から78M09Fを使います。 データシートを見ると78M09Fの最大入力電圧は35Vです。 BA-101 のパワーアンプ電源は±27Vの両電源ですからこれのプラス電源からもらえば、 3端子レギュレータの入力電圧はスペック内です。 が、電源投入時のポップノイズ低減措置は入れておきたいので、 入力側には抵抗と電解キャパシタで平滑回路を入れておきます。 2020-04-11 アクセサリボード電源回路検討 在宅勤務が続いているのに外出ができないストレスなのかどうか、 勤務終わり後の夜もあまり作業を進める気にならず、 ちまちまと部屋を片付けながら。 ブレッドボードは見つからないし、部品箱の整理を始めちゃったり。 BA-101のパワーアンプ電源から取り出した電圧で3端子レギュレータを動かすのでさえ3日間。 2020-04-14 ブレッドボードで電源回路テスト開始 |
|
|||
こんな簡単な回路なのにブレッドボード上での配線ミスが複数個所。
しゃーないね。
しかしそれにしても、パワーアンプ電源からの取り出しではなかなか安定した電圧を取り出せません。
無音時でさえ10mV程度不安定にふらつくし、
室内で聴く音量で音楽をかけるとベースやドラムに合わせて大きく変動します。
右のムービーでは
HP1200A
のV/DIVは1div=20mV設定。
±100mV以上も変動しています。 なおテストに使っているのは DDBY さんのアルバム "夜カフェ2" から "それぞれのライフ"、原曲は "幻視の夜 〜 Ghostly Eyes"。 2020-04-19 電源電圧が大きくふらつく これを安定化させるには3端子レギュレータの前に470Ω+470uFの平滑回路を2段、 レギュレータの後にも220Ω+470uFをいれてようやく安定しました。 プリアンプ電源をパワーアンプと同じ電源から取るのはこうも大変なんですね。 電源トランスにそれぞれ独立した巻線を用意して別系統にしている理由があらためて理解できました。 ので、増設回路用の電源はやはりプリアンプ系から取り出すことにしました。 最大50mAくらいなら大丈夫でしょうね。 プリ系巻線から取り出す方法なら入力側平滑は470Ω+470uFの2段で、レギュレータ後の平滑は不要。 問題なく安定した電源になっています(当然よね・・・)。 プリアンプ電源のダイオード整流直後はDC56Vもあります。 最初の平滑キャパシタ印加は無負荷時50Vで、 電解キャパシタの耐電圧上限で使うことになります。 あまり好ましくないね。 2020-04-19 プリアンプ系電源からの取り出しに変更 |
|
|||