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Brother "Joysound" BA-101

Stereo Amplifier
(1977)

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自作機の外装部品用として

    ママの健康診断のために高崎に送り、 検査が終わるまでの待ち時間に、近くのリユースショップに行きました。 これだという掘り出しはありませんでしたが、 部品取り機にちょうど良さそうなアンプがありましたのでひとつ買いました。 お値段1000円。 またヘンなものを・・・って、きみを病院まで送り迎えするタクシー代としたら1000円なら安いだろ?

    今回のこのアンプも自作機のためのシャーシやケース、フロントパネル類の部品取り用を狙って買いました。 電源トランス焼損とか内部主要コンポーネントに修復不可能な故障があることを期待しています。 変な話ですけど。

    電源通電に先立ち内部目視点検のためにシンプルな構造のケースを開けると、 おやまあ、これはスカスカだ。 シャーシの約半分は空っぽ。 年代相応にホコリで汚れていますがサビ等はありません。 長年にわたって押し入れ保管だったのでしょう。

    これはいい感じ。中身を捨てないにしても、 いろいろヘンテコな、あるいは実験用のボード類を組み込むスペースがたくさんあるわけで、 テストベッドとして具合がいいな。

2019-01-10 Brother Joysound BA-101 購入 1000円



    カラオケ機器のシェアをDAMと争うJoysoundは実はブラザー工業の製品だということはそれなりに知られていますが、 1970年代にブラザーが民生用オーディオ機器を出していたとは知りませんでした。 しかもそのブランドがJoysoundだったとは。 Joysoundはすでに40年続いているんですね。

    フロントパネルには端正なパワーメータがついています。 メータパネルはシルバーのヘアライン仕上げで、当時のラジカセに比べれば高級感が出ていますね。 メータ目盛りはフルスケールで50W。 まあこの辺はどうせ見栄を張っているんだろうなあ、と。



    フロントパネル右下にはちょっと控えめな大きさのタイプフェイスで"4CH SPEAKER MATRIX"と入っています。 しかし時は1977年、4チャンネルブームはとうに去ったはずです。 し、フロントパネルには4チャネル再生機能を匂わせるようなものはなにもありません。 はて、これは何? この製品ならではの、なにかスペシャルな機能があるのでしょうか?


    リアパネルを見ても、入力RCAジャックはライン信号もプレーヤ入力も普通に左右2チャネルのステレオ。 4チャンネル機能を思わせる何物もありません。 ただ、スピーカコネクタはたしかにフロントスピーカとリアスピーカをつなげられるようになっています。



    リヤパネル内側、スピーカ端子の裏側を見てみると・・・ なんだこれはっ!! こんなチープなギミックは初めて見た!

    とっくに時代遅れとなった4チャネルをそれでも匂わせるとは・・・ オーディオに詳しくない、予算少ないけどステレオ欲しい的な一般家庭ユーザ向けに、 なんだか高機能っぽさを匂わせるのならこれで十分だったのでしょう。



    パワーアンプは当時広く使われた、サンヨーの厚膜ハイブリッドIC、STK078が使われています。 このハイブリッドパワーアンプICの登場により、 機器が小さく軽くシンプルになったばかりではなく、 データシート通りに素子をつないで放熱板に取り付ければ誰でも簡単に高音質のオーディオパワーアンプが造れるわけで、 低価格市場を狙った新規メーカーの参入が容易になった、という流れももたらした、といえるのでしょう。

    STK078はデータシートによれば最大出力は24W以上となっています。 パワーメータの50Wフルスケールは伊達ですが、それでもメータの9割は振るパワーを持っています。 もちろん普通の家庭のリビングルームで聴くには十分すぎるパワーです。



残念、動作してるよ

    ブラザーJoysoundアンプのテストを始めます。 電源を投入して動作させてみると、各コントロール類のひどいガリあるいは接触不良はあるものの、 音は出て、基本的には動作しています。 残念、これでは部品取り機にはできないよ。 いまどき話題にも上らないブランドの大衆機ではあるものの、 定石通りのデザインと機能を持つこのアンプ、 まずは完全復調を目指しての修理を楽しみましょう。 さらにその先、状況に応じて自分用の改造を行って実用機・テストベッド機として楽しもうと思います。

    考えてみれば小学5〜6年生のときに読んでいたラジオの製作誌に、 この手のハイブリッドICを使ったステレオプリメインアンプの製作記事がありました。 その頃はポケットトランジスタラジオキットやトランジスタ4石のアメパトサイレンをユニバーサル基板に作れるようなった程度でしたので、 記事を読みながらこんなのはまだまだ無理、でもいつか作ってみたいなと思っていました。 ので、それじゃあ、小学6年生の頃の夢をいまお手軽に叶えるのも悪くない。

    2012年にとうとうパワーアンプが壊れた アイワTPR-840 の後を継いで、 6年半の間メインアンプとして使い続けてきた ELEKIT EL-559 をいったん退役させ、ブラザーBA-101をベンチの上に横倒しで置き、 実用機として音楽を聴きながらサービスを開始します。 もっとも毎週通勤の単身赴任生活の今では弄れるのは土曜の夜しかありませんけど。

2019-02-03 中央研究所プリメインアンプとして運用開始 / 整備作業開始




トラブルに気がつく

    ポテンショメータとスライドスイッチ類の接点復活剤処理だけで完調になったと思われたBA-101ですが、 トラブルに気がつきました。 左チャネルだけ、トーンコントロールのBASSが効きません。 つまみを回しても左チャネルだけまったく音質が変わらず。 あたかもBASSコントロールのポテンショメータがつながっていないかのようです。 これは楽しくなってきた!

    本機のトーンコントロール回路は、 ボリューム/バランス/バス/トレブルの4つのポテンショメータが実装された1枚のプリント基板に構成されています。 フロントパネルを取り外し、4つのポテンショメータの軸ナットを取り外し、 トーンコントロール基板を取り外して、 部品面・半田面の写真を撮り、回路図を起こし始めました。 いやあ懐かしいな、基板には当時の定番の小信号トランジスタ、2SC945が4つ見えます。 どうやら本機のトーンコントロール回路は、片チャネルにトランジスタ2石を使った、 典型的なバクサンドール回路であるようです。

    さあて、故障の原因は何だろう。 ミッドレンジとトレブルの音量の左右差は大きくないから、トランジスタはOK。 入出力カップリングキャパシタもたぶんOKでしょう。 すると一番に考えられるのはポテンショメータの機械的故障。 ポテンショメータの摺動子が機械的に完全オープンになっているのでしょうか。 もし素子の劣化不良であるならば、 トランジスタ増幅回路のエミッタバイパスキャパシタの容量抜けで低音が減衰されているということもあるかもしれません。 それでも多少はつまみの位置で低域が強くなったり弱くなったりするはずだよね。 BASSコントロールの素子が半田クラックで浮いてしまっているという可能性もありますが、 ほぼ熱負荷のかからない基板ですので、可能性は低そう。 やはりポテンショの接点の完全オープンかな。

2019-02-03 左チャネルBASSコントロール効かず 症状確認 回路調査開始

    調査を進めながら、別の異常にも気がつきました。 ボリュームコントロールを目いっぱい絞っても、スピーカ出力は完全に無音にはならず、 わずかに出続けています。 これは奇妙だな。 でもこれはトーンコントロールの動作不良とは別の原因でしょうから、 まずはトーンコントロールから調査を進めます。

2019-02-03 ボリューム絞っても無音にならない 症状確認






41年後の製造不良手直し

    トーンコントロール基板の実物と写真を眺めながら回路構成を追っていて、あれ? これは? バスコントロールのポテンショメータのはんだ付け部分の拡大写真が、何か変です。 ハヅキルーペをかけて実物をよくよく見ると・・・ ああ!

    完全なイモ半田です。 ポテンショメータのセンターピンが、全くつながっていません。 半田付けしてみたら、バスコントロールは正常になりました! なんてこと。製造時の半田付け不良です。 出荷検査でもチェックされず出荷されたのでしょう。 あるいは、出荷検査の時はかろうじて接触していたのかもしれません。 いずれによせよ、製造後約41年経った今、手直しが行われたというわけです。

    前ユーザはこのトラブルに気がつかず、あるいは気がついたけれども初期不良返品とはせず、 このアンプで長い時間楽しんでいたのでしょう。 フロントパネルとつまみ類はすべてタバコのヤニで真っ黄色でした。

    ともかくトーンコントロールは完調になりました。 接点復活剤で処理したコントロールつまみにはガリはなく、 ラウドネス回路の特性と相まって自分好みのいい音になりました。

2019-02-03 左チャネルBASSコントロール効かず 修理完了




マイクアンプが怪しい

    ボリュームコントロールを反時計に絞り切っても音が出続ける件、 どうもボリュームコントロールをスルーする信号経路ができてしまっているみたいです。 しかも、絞り切れずに出続けている音声はモノラル。 ヘッドフォンで静かに聴くときはボリュームはかなり絞りますが、 この状態では、正規のステレオ信号に比べてボリュームをスルーして出ているモノラル分のレベルが無視できないくらいに大きく、 そのためステレオセパレーションがとても悪くなってしまっています。 このままでは実用にする気分にはなりません。

    さて、どのような機序でこんな故障が発生しているのでしょう? ボリュームをスルーしているのがステレオではなくてモノラルだ、 というのは大きなヒント。 本機にはマイクをつないでカラオケが楽しめる機能がありますが (そういえばこれはプラザー・ジョイサウンドですもんね、カラオケ機能は必須です)、 そのあたり・・・マイクアンプが絡んでいる故障のような気がします。

    マイクロホンアンプ回路は、フロントのマイクジャックすぐ裏のメインボード上に設けられています。 見ると、そこから赤・白のビニール線が出ていて、 トーンコントロールボードの真ん中あたりの部品面にはんだ付けで接続されています。 ここからマイク信号が注入されているようです。

    トーンアンプ回路を追ってみると、マイクアンプからの信号はトーンコントロールを構成している片チャネル2石アンプの初段トランジスタのエミッタに注入されています。 そこで、その2本のビニール線を半田こてをあてて取り外してみました。 すると・・・ モノラル信号の混入はありません! ボリュームつまみを絞ると出力は当たり前に無音になりますし、 ごく小さな音でヘッドフォンを鳴らしているときのステレオ感はごく自然。 ボリュームを絞ってもモノラル音が出続ける現象は、 やはりマイクアンプ回路が関連しているようです。

    このアンプを使ってマイクを片手に歌おうとは思いませんからマイクアンプを切り離したままでも構わないのですが、 理屈が分からないままでいるのは癪なので、マイクアンプの仕組みを調べてみようかな。





モノラル音混入の機序

    マイクミキシングまわりの回路を追いかけ終わり、 ボリュームをいっぱいに絞った状態でもモノラル音がわずかに聞こえ続けている症状の原因がわかりました。 回路を追い始める前からこれは故障ではないのではないかと推測していましたが、 それはアタリでした。 この動作は故障ではなく… そうなって当然の回路になっていたのです。

    右の回路図はこの症状が発生する仕組みの部分を表したもの。



    PHONO / TUNER / TAPE / AUX の入力ソース信号のうちひとつがSELECTORスイッチで選ばれ、 その信号がボリュームコントロールを通り、トーンコントロールを通ってパワーアンプで電力増幅され、 スピーカから聞こえます。

    このとき選ばれたソース信号は、リアパネルのテープデッキDINコネクタのREC OUTピンに出ており、 つないだテープデッキで録音できるようになっています。




    本機のフロントパネルにはマイクロホンジャックがあり、マイクのモノラル音声信号はマイクアンプで増幅され、 左右それぞれのチャネルのトーンコントロール段の途中に注入されます。 これにより、音楽に合わせて歌を歌って楽しむことができます。




    フロントパネルからのマイク信号は、リアパネルのテープデッキDIMコネクタのREC OUTラインにも注入されます。 これにより、マイク信号がミックスされた音楽をテープデッキで録音できます。




    この接続により、予期しない信号の流れが発生してしまいました。 ソース信号は
    SELECTOR -> テープデッキREC OUT -> マイクアンプ出力ライン -> トーンコントロール
の経路でモノラルにミックスされ、ボリュームコントロールをバイパスし、 左右それぞれのメインアンプに伝わり、よって音が出てしまうのです。

    自分でこの略図を描きながら、いろいろと考えてしまいました。
    当初設計時に問題の発生を予期できなかったのか?
    問題に気がついたものの解決するための時間がなかったのか?
    問題を解決するためのマテリアルコストを負担できなかったのか?
    この動作を問題だとは捉えなかったのか?
    それともこの問題自体に気がつかなかったのか?
関係者から当時の状況を伺ってみたい衝動に駆られました。 もしそれが叶って当時の設計の方がおっしゃったことが
    「トップダウン指示でつくられた急ごしらえチームによる素人相手の格安ブランドのやっつけ設計と売り逃げだよ、そう大した背景があるわけじゃあない」
とかだったら、ああそうだったんですね、とそれ以上は何も尋ねず、丁寧に礼を申し上げて引き取る・・・ みたいなシーンを空想してしまいました。

2019-02-17 モノラル音混入障害 機序確定





パワーメータ回路を調べる

    BA-101はフロントパネルにメータを持ちますが、これはパワーメータ。 パワーアンプの出力レベルを測ります。 部屋で静かに音楽を聴くとき、その出力は1ワットも要りません。 ので、多くの場合でメータはごくわずかしか振れません。 これではつまらないので、 このメータはライン入力のレベルを測るVUメータに改造してしまおうかと思います。 以前にこしらえたオーディオレベルメータ基板 を組み込んでしまおうかな。

    ま、まずはオリジナルのメータ回路がどうなっているのか、調べることにしました。 結果は右図。 シンプルなパッシブパワーメータ回路です。

    メータ回路はパワーアンプをもつメイン基板に設けられており、 SANYO STK078パワーアンプICのスピーカ出力から1kΩの抵抗と電解キャパシタで信号が取り出されています。 このカップリングキャパシタは、10μFの電解キャパシタを2つ反対向きに直列接続して無極性キャパシタとしています。

    信号はおそらく1N60クラスのゲルマニウムダイオードで整流され、10μFの電解キャパシタで平滑されたあとメータを振らせます。 指針振り切れ防止のためにツェナーダイオードが設けられており、メータへの電圧に上限値を設けています。 けど、このツェナー、いままでに一度でも動作したことがあったのかな?

    メータには直列にトリマが入っていて、メータゲインの調整ができるようになっています。 このトリマをいじれば静かな室内のような低出力時でも大きく針が振れるようにすることはできますが、 ツェナーダイオードによるメータ上限リミッタは効かなくなってしまいますから、実用的ではありません。

    なおフロントパネルのメータは、電源ONの間は緑色の豆ランプで照明されます。 が、メータベゼルがちょっと緑がかる程度の明るさでしかなく、 メータ文字盤の明るさはほぼ変わりません。 緑色はきれいですがとても寂しい光り方です。

2019-02-17 パワーメータ回路を調査






回路図を描き起こしてみよう

    ハムは実用上ゼロだしそのほかの問題も全くなかったので、電源回路は調べていませんでした。 今後なんらかの回路を追加する際の電源の手配検討のために、オリジナルの電源回路を見ておきましょう。

    ほぼ同時期の高級アンプ、 たとえば サンスイAU-7700 に比べると、はるかにローコスト構成になっているのは明らかです。 電源トランスに外装化粧カバーはなく、平滑ケミコンもこじんまりしたもの。 それでも現状私が部屋で聴くのに全く問題はありませんから、 最適設計されているともいえますね。

    バカでかくてずっしり重いトランスと大型ケミコンをもつ大容量低インピーダンスの電源回路こそ高級機の証、 というのは電気性能を考えれば道理は通りますが、 部屋で本でも読みながら静かに音楽を聴くのなら出力はチャネルあたり1ワット程度なわけで、 100ワットを余裕でドライブできる電源ユニットが本当に必要かどうかというと。

    トランジスタ4石をもつトーンコントールボードには DC26.5Vが給電されています。

    パワーアンプボードの隅、右チャネルパワーアンプの近くにトランジスタがひとつ - TR105 2SC945 - がありますが、左チャネルパワーアンプの近くにはありません。 こいつは何のためについているのでしょう?

    周辺のパターンを追って回路図を描き進め、このトランジスタの役割がわかりました。 電源投入時にSTK078パワーアンプIC内部のドライバ段だけ電源立ち上がりを遅らせてソフトにONし、 ポップノイズを抑制しているのです。

    この2SC945トランジスタがオープン故障すればアンプ音出ず故障、 ショート故障すれば電源ON時のポップノイズ大になります。 C159電解コンデンサの容量抜けは電源ON時のポップノイズ大、 過度なリークはドライバ電源電圧低下による音質不良・ノイズ発生・動作不安定、ショートに近くなればアンプ音出ずを招くでしょう。 実機ではそのような症状はなく、したがってこの部分の手入れは現状では不要です。

2019-03-16 電源回路調査







    回路図描き起こし作業、今日はパワーアンプ部。 小学5年の頃に読んでた「ラジオの製作」か「初歩のラジオ」誌のどちらかに、 この三洋の厚膜ハイブリッドパワーアンプICを使ったプリメインアンプの製作記事がありました。 当時の自分には詳細は理解できなかったけど、いまなら全部わかります。 あの頃憧れたプロジェクトにいまようやく取り組んでいる気がします。

    本機のパワーアンプ部の回路は基本的にはパワーアンプIC STK078 のデータシートに従っていますが、 NFB時定数を決定するキャパシタC144が、 データシート指定の47uFに対して実機では2.2uFになっています。 これが昭和のおっさん大好きのもりもり低音を出しているのでしょうか?

2019-03-22 パワーアンプ部 回路図描き起こし つづき





改造計画

    2019年02月03日にテストを開始して以来すでに2ヶ月、週末は中央研究所ワークベンチに乗せたBA-101で音楽を聴いています。 レトロなラウドネス回路が好みの音を出してくれるので、再生機での1000Hzノッチフィルタはいれずに使っています。 いい感じで動作しているのでしばらくはこれをメイン機にしましょう。

    ワークベンチで使っているスピーカは格安小口径のものなので低域の質感はどうしても不足。 アクティブサブウーファがあるのでそれをつなぎたいところです。 音量調節のたびにプリメインアンプとサブウーファのボリュームを操作するのは面倒なので、 本機BA-101を改造して、リアパネルにプリアウト端子をつけよう。

    いろいろ考えながら音楽を聴いていると、む、なにやら右チャネルの音が歪むことがあります。 アタックの強い音のピークだけがサチッている感じ。 ヘッドフォンで聴くとはっきりとわかります。 接触不良でこういう音になることもあります。 実際、今回はリアパネルのRCA入力ジャックの接触不良でした。 古くて表面がくすんだ端子類のクリーニングには何が一番効くんだろう。

今後の作業予定

  • サブウーファ出力端子増設
  • メータアンプを増設してラインレベル指示に改造する


  • ファンクションスイッチ接触不良

        BA-101はもう8ヶ月もベンチの上でオープンシャーシのまま実用サービス中です。 で、右チャネル接触不良の症状が頻発し始めました。 原因はファンクションスイッチ。 呉エレクトロニッククリーナーをスイッチ内部に噴射し、かちゃかちゃやって回復。 シリコンバレー駐在中に買ったセーフティウォッシュスプレーは、まだ液剤は少し残っているものの、 ガスが少なくなって上手く噴射できなくなってしまいました。 新品で一本ほしいけど、スプレー品を一本直輸入するってのもねえ。 呉エレクトロニッククリーナーは自動車電装用なのでどうなんだろうという気はするのですが、 様子をみながら使ってこうと思っています。

    2019-12-08 ファンクションスイッチ接触不良 呉エレクトロニッククリーナーで洗浄

        右チャネル接触不良は残っています。 シャーシ横倒しポジションのままスプレー吹くという横着をしたので洗浄液がいきわたっていないのかもしれません。 シャーシを標準位にして再度呉エレクトロニッククリーナー噴射してカチカチ。 今度はいいかも。

    2019-12-31 ファンクションスイッチ接触不良 呉エレクトロニッククリーナーで洗浄 回復



        だめだ、まだ接触不良が残っている。 これはロータリースライドスイッチを取り外して分解し、接点研磨かなあ。 でもいままでその手の修理はたいていなにかしらうまくいかなくて、躊躇しています。 スイッチは4回路4接点タイプですが、入力信号切り替えに使われているのは2回路だけです。 使われていない回路の接触がまだ保たれているならば、並列に接続して接触不良の影響を低減することもできそうです。 交換部品など手に入らないであろう現状では、ダメージを与えかねない分解修正に着手する前に、 並列接続作戦を試みる手はあります。

        なので、まずはスイッチターミナル部にはんだこてを当てて短いリード線を引き出し、信号の様子をオシロスコープで観てみます。 そしたら・・・何時間聴いても接触不良が出ません。 うにゅ? なんで症状が消えちゃったんだろう。

        プリント基板のはんだクラックであったとは思いにくいですね。 熱で接触部表面の被膜が除去された? それとも接点洗浄液が揮発しないまま内部に残っていて、熱でそれが揮発したから? 「機械の不調は、直そうとすると直る。」 みたいな、マーフィの法則です。 ともかく、快調になったからいいか。

    2020-01-18 ファンクションスイッチ接触不良 症状発現せず




    サブウーファ出力バッファアンプを試す

        全く予期できなかった在宅勤務指令。 私の勤務先はもう5年以上も前からRAS/VPN接続を提供していて、 移動体通信網に接続さえできれば山奥だろうがフェリーの船上だろうが業務はできる環境でした。 とはいえチームメンバーが全員在宅とは・・・

        それでも会議はすべてSkype、 近い仲間とはグループチャットを使い、隣に話しかける感覚で即時連絡ができ、 しかも今回の騒ぎの直前にRAS/VPNアクセスポイント増強していたという幸いもあって、 3月27日に第3研究所を一時閉鎖して、平日拠点を中央研究所に移しました。 家の外にいるのを見つかると逮捕されてしまうというインドにいる仲間よりはずっと楽な状況ですが、 それにしても天気の良い春の休日にも外出を避けるように言われるとはこれはキツい。 ので、懸案だったBA-101のサブウーファ出力用バッファアンプの試作に取り掛かります。

        電源はお手軽に3端子レギュレータで作るとして、どこから取りだそう。 BA-101の電源トランス2次側巻線にはパワーアンプ系巻線、 プリアンプ系巻線そしてメータ照明用巻線の3つがあります。 常套にプリアンプ系電源回路から取り出すべきですね。 のでプリアンプ系電源の回路図を見てみます。

        トーンアンプ用のDC26Vから拝借したらどうなるでしょう。 トーンアンプは2石バクサンドール型で、左右で計4個の2SC945が使われています。 回路図から、トーンアンプの消費電流の設計値は7mAであることがわかります。 ここから追加エミッタフォロワ2つの電源を取り出したら、 トーンアンプ電源電圧は無視できないほど変わってくるのが明らかです。 賢くないでしょう。 整流ダイオード直後から取り出して1段デカップリングした後にシリーズレギュレータで落とす、のがよさそうです。

        いっぽう、プリアンプ系巻線はあまり電流容量がないのかもしれません。 細かい心配するのが面倒なら、パワーアンプ電源からもらってもいいでしょうね。 まずはパワーアンプ電源から取り出す方法で進めます。

        バッファアンプの電源電圧は9Vとし、3端子レギュレータは在庫部品の中から78M09Fを使います。 データシートを見ると78M09Fの最大入力電圧は35Vです。 BA-101 のパワーアンプ電源は±27Vの両電源ですからこれのプラス電源からもらえば、 3端子レギュレータの入力電圧はスペック内です。 が、電源投入時のポップノイズ低減措置は入れておきたいので、 入力側には抵抗と電解キャパシタで平滑回路を入れておきます。

    2020-04-11 アクセサリボード電源回路検討

        在宅勤務が続いているのに外出ができないストレスなのかどうか、 勤務終わり後の夜もあまり作業を進める気にならず、 ちまちまと部屋を片付けながら。 ブレッドボードは見つからないし、部品箱の整理を始めちゃったり。 BA-101のパワーアンプ電源から取り出した電圧で3端子レギュレータを動かすのでさえ3日間。

    2020-04-14 ブレッドボードで電源回路テスト開始







        こんな簡単な回路なのにブレッドボード上での配線ミスが複数個所。 しゃーないね。 しかしそれにしても、パワーアンプ電源からの取り出しではなかなか安定した電圧を取り出せません。 無音時でさえ10mV程度不安定にふらつくし、 室内で聴く音量で音楽をかけるとベースやドラムに合わせて大きく変動します。 右のムービーでは HP1200A のV/DIVは1div=20mV設定。 ±100mV以上も変動しています。

        なおテストに使っているのは DDBY さんのアルバム "夜カフェ2" から "それぞれのライフ"、原曲は "幻視の夜 〜 Ghostly Eyes"。

    2020-04-19 電源電圧が大きくふらつく

        これを安定化させるには3端子レギュレータの前に470Ω+470uFの平滑回路を2段、 レギュレータの後にも220Ω+470uFをいれてようやく安定しました。

        プリアンプ電源をパワーアンプと同じ電源から取るのはこうも大変なんですね。 電源トランスにそれぞれ独立した巻線を用意して別系統にしている理由があらためて理解できました。

        ので、増設回路用の電源はやはりプリアンプ系から取り出すことにしました。 最大50mAくらいなら大丈夫でしょうね。 プリ系巻線から取り出す方法なら入力側平滑は470Ω+470uFの2段で、レギュレータ後の平滑は不要。 問題なく安定した電源になっています(当然よね・・・)。

        プリアンプ電源のダイオード整流直後はDC56Vもあります。 最初の平滑キャパシタ印加は無負荷時50Vで、 電解キャパシタの耐電圧上限で使うことになります。 あまり好ましくないね。

    2020-04-19 プリアンプ系電源からの取り出しに変更



       

    リビングアンプに配置転換

        2020年05月以降、中央研究所の保管室をホームオフィス化し、 かつサービス作業を行えるようにセットアップを進めたため、 中央研究所メインワークベンチにいる時間はかなり減ってしまいました。 いる間はすぐ脇でサービスポジションになったままのBA-101でいつも音楽を聴いていましたから、 2019年02月以降の約3年間は実用稼働してくれたことになります。

        で、2021年12月末、とうとうラボに初の薄型テレビが導入されました。 そのテレビのオーディオはサブウーファ内蔵で総合出力35Wを謳っていますが、 予期した通りに、ひどい音でしかありませんでした。 ので、スピーカは1995年にギルロイのアウトレットで買ったリファブ品のBOSE 501 Series-Vを継続使用し、 そのアンプとしてBA-101を配置転換することにしました。 まあ、つまり、レベルメータ改造とかサブウーファ出力増設とかは取りやめ。 最終的には、各部接触不良の対処と、 BASSトーンコントロールの製造時はんだ付け不良の修正と、 設計不良によるモノラル音回り込みを回避するためのマイクアンプ切断処置・・・ でいったん作業終了です。

        3年間にたまったシャシーの埃を落とし、 改造検討用の引き出しリード線を切り離して、 ケースを組み上げ。 27年前のBOSEと47年前の大衆向け格安アンプは、 最新型のテレビに迫力あるいい音を与えてくれました。 それまでアンプ代わりに使っていたウォークマンドックは引退。

        ウチはもともとテレビはほとんど見ないのですが、 新型テレビは各種ストリーミングサービス視聴アプリがインストールされているので、 気がついたらずっとYouTubeで音楽を聴いています。 結局今回揃えたのは、大画面でYouTubeを観るための装置だ、ってことになりました。

    2021-12-30 Sharp Aquos androidtv 4T-C43DN2DL1 購入
    2021-12-30 BA-101をテレビ用アンプに配置転換 常用開始






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