2.70 Einfacher Signalinjektor
Schaltung 147: Einfacher Signalinjektor (Abb. 3.147)
シグナルインジェクタは「信号注入器」。
信号を回路に入れて、その反応を調べる動作テストのための簡単な装置です。
ここで示されているのは無安定マルチバイブレータを使った発振周波数2kHzの矩形波発振回路。
基本周波数は2kHzで低周波ですが、矩形波には無数の高調波スペクトルが含まれていますから、
低周波回路だけでなくて高周波回路のテストにも使えます。
ラジオ修理に際してシグナルインジェクタとペアで用いられるシグナルトレーサは
回路番号145
に掲載されています。
2.87 Akustischer Durchgangsprüfer
Schaltung 186: Akustischer Durchgangsprüfer (Abb. 3.186)
マニュアルも終盤にさしかかってなんとか全200回路越えを目指そうとしたのか、
またまた導通テスタの登場。
無安定マルチバイブレータを使って圧電サウンダを鳴らしますが、
圧電サウンダの接続をテストリードとしておいて、導通があれば音が出るという趣向。
こちらの回路は常時発振動作をしていますから、回路番号36のほうが電池が長持ちしてよいかも。
あるいは逆に、回路番号36では0Ωに近くない場合でも音が出てしまうかもしれないので、
確実な低抵抗であることをチェックしたかったらこちらのほうがいいか。
目に優しいLED点滅回路
2.28 Augenfreundlicher Blinker
Schaltung 68: LED-Blinker 1 Hz (Abb. 3.68)
Schaltung 69: LED-Blinker 3 Hz (Abb. 3.69)
トランジスタでLED点滅回路を作るなら無安定マルチバイブレータ回路が定番だと思いますが、
ここで示されているのは「目に優しい点滅回路」。
トランジスタ2段の増幅回路にフィードバックを掛けた低速の発振回路で、
正弦波に近い発振動作をします。
このためLEDはパッとついたり消えたりするのではなく、
ぽわっと明滅を繰り返します。
クリスマスイルミネーションなどに似合うでしょうね。
この回路のままでは電源投入から点滅開始までちょっと時間がかかるので、
用途によってはブートアップの工夫が必要かも。
弛張発振回路: パルスジェネレータ
2.21 Akustische Wellness - Uhrenticken
Schaltung 51: Beruhigende Pendeluhr (Abb. 3.51)
Schaltung 52: Belebende Kaminuhr (Abb. 3.52)
回路番号51は1秒に1回、回路番号52は1秒に2回のティック音を出す回路。
トランジスタ2石にフィードバックを掛けたパルス発生回路で、圧電サウンダを鳴らします。
それぞれ振り子時計のような、また置時計のような音で心休まる・・・かもしれない、
と書かれています。
今年の秋口からの私のストレス要因は本当に酷くて、トランジスタ2個でどうにかなるようなものではないのですが、
こんなものにもすがりたいという気持ちです。
2.39 Blitzer
Schaltung 93: Langsamer LED-Blitz (Abb. 3.93)
Schaltung 94: Schneller LED-Blitz (Abb. 3.94)
回路番号51/52と大して変わらない弛張発振回路で、LEDをストロボライトのようにごく一瞬点灯させます。
93と94は定数違いで、それぞれ1秒に1回点灯と、3回点灯の違い。
2.36 Metronom
Schaltung 87: Metronom mit diskreten Unijunction-Transistor (Abb. 3.87)
UJT1石でつくる弛張発振器・・・といっても、ユニジャンクション・トランジスタって使ったことなかったなあ。
その頃近くにそんなもの売っているお店はなかったからね。
そんな化石のようなデバイスの実験をしていまさらどんな価値があるんだろうと思ったりしますが、
きっとこのキットを企画開発した人の子供の頃の思い出が詰まっているのでしょう。
この回路ではPNPとNPNのトランジスタを組み合わせてひとつのUJTとみなしています。
発生したパルスは圧電サウンダで聞きます。
2.76 Nadelimpulsegenerator
Schaltung 158: Nadelimpulsegenerator 60 Hz (Abb. 3.158)
Schaltung 159: Nadelimpulsegenerator 150 Hz (Abb. 3.159)
Schaltung 160: Nadelimpulsegenerator 500 Hz (Abb. 3.160)
Schaltung 161: Nadelimpulsegenerator 2 kHz (Abb. 3.161)
Schaltung 162: Nadelimpulsegenerator 4 kHz (Abb. 3.162)
Schaltung 163: Nadelimpulsegenerator 5 kHz (Abb. 3.163)
トランジスタ2石によるパルス発振回路。
定数違いで6つもの回路数を稼いでいます。
発生したパルスは圧電サウンダで聞きます。
これもやはりオシロスコープを使って、パルスの波形を実際に見てみたくなるでしょう。
LC発振回路
2.83 LC-Generator
Schaltung 179: HF-Generator 150 kHz (Abb. 3.179)
Schaltung 180: HF-Generator 450 kHz (Abb. 3.180)
トランジスタ1石によるコルピッツ発振回路で、150kHzならびに450kHzを発振します。
150kHzを発振しているかどうかなんてどうやってテストするのよと思うかもしれませんが、
ヨーロッパのポータブルラジオは長波(LW)が聴けるものが多いんです。
450kHz発振のほうは、うまくすれば普通のAMスーパーヘテロダインラジオの中間周波飛び込みとして受信できるかもしれませんね。
ラジオに妨害を与えてしまうかもしれないこの周波数の電波を出すのは禁止されているはず・・・とかは気にしないでおきましょう。
このキットに付属しているインダクタには中間タップはありませんから、ハートレー発振回路の実験はできません。
CR位相型発振回路
2.72 Einfacher RC-Sinusgenerator
Schaltung 150: Einfacher Tongenerator 1 kHz (Abb. 3.150)
Schaltung 151: Einfacher Tongenerator 100 Hz (Abb. 3.151)
Schaltung 152: Einfacher Tongenerator 10 kHz (Abb. 3.152)
トランジスタ1石によるCR位相型発振回路。
3つの回路はCRの値違い。
コレクタから電解キャパシタで低周波信号を取り出し、圧電サウンダを駆動します。
増幅回路
エミッタ接地増幅回路
2.92 Klasse-A-Endstufe
Schaltung 197: Klasse-A-Verstärker mit Piezohörer (Abb. 3.197)
とても基本的なエミッタ接地トランジスタ増幅回路はマニュアルの最後のほうになってようやく現れます。
出力はコレクタからキャパシタで取り出し、圧電サウンダで聞きます。
回路につけられたタイトルは「A級出力段」ですが、
A級とは何のことかは説明されておらず、B級やC級も動作点の話も出てきません。
2.13 Antennedverskärker
Schaltung 34: LM-Antennenverstärker für längere Drahtantennen (Abb. 3.34)
Schaltung 35: LM-Antennenverstärker für kurze Drahtantennen (Abb. 3.35)
長波・中波ロングワイヤーアンテナ用プリアンプ。
いかにもそそられるタイトルですが、
実態はひどく原理的なトランジスタ1石のエミッタ接地増幅回路。
もちろんインピーダンスマッチングのような特別な工夫があるわけでもありません。
まあ新品で買えば100ドル以上もする
MFJ-959B アンテナチューナー・プリアンプ
もアンプ部はこれと一緒だし、しょっちゅうお世話になっていたんだから、試さないうちに笑い飛ばすのは失礼というものです。
回路番号35のほうは短いワイヤーアンテナ用のもので、
高いインピーダンスのアンテナからの信号をNチャネルFETのソースフォロワで受けてからNPNトランジスタのエミッタ接地で増幅します。
このあたり簡単だから試してみようかな、案外実用性あるかも。
キャパシタ結合2段増幅回路: シグナルトレーサ
2.69 Signalverfolger
Schaltung 145: Einfacher Signalverfolger mit Piezohörer (Abb. 3.145)
Schaltung 146: Einfacher Signalverfolger mit Drehspulinstrument (Abb. 3.146)
ラジオ修理に便利なのはシグナルインジェクタとシグナルトレーサ。
テスタに加えてこれらがあればかなりのところまで故障個所を追い詰められます。
シグナルトレーシングの考え方
はラジオやオーディオばかりではなくてコンピュータプログラムのデバッグにも自動車やモーターサイクルの修理にも極めて有効。
エンジニアならば誰しも、教わらなくても経験を積むうちに自ずと学んでいくことでしょうが、
最近の新入社員エンジニアが必ずしもこういった能力を身につけてはいないことが多くなってきているのは、
自分でいじったり試したりできるシンプルなメカに触れる機会が減っているからなのでしょうかね。
この回路はトランジスタ2石によるシグナルトレーサ。
要するに単なるキャパシタカップリング2段のエミッタ増幅トランジスタアンプで、圧電サウンダで音を聞きます。
回路番号146は2段アンプの出力をショットキーダイオードとキャパシタで直流にし、信号レベルをメータで読んでいます。
ということはそのままオーディオレベルメータとして使える回路。
入力にダイオード検波回路を追加してやればAMラジオの中間周波段あるいは高周波段まで遡れて便利だと思いますが、
そこまでは説明されていません。
この次には
回路番号147
に簡易シグナルインジェクタが掲載されています。
2段直結増幅回路
2.18 Zweistufiger NF-Vorverstärker
Schaltung 44: Zweistufiger NF-Vorverstärker (Abb. 3.44)
NPNトランジスタ2石による、2段直結オーディオプリアンプです。
はて、2石直結回路はほかの電子実験キットでは取り上げられていなかったような気がします。
EL500
のマニュアルにはありませんね。
他はどうだったっけかな。
2.24 Sturmdetektor
Schaltung 57: Verstärker fur den Sturmdetektor (Abb. 3.57)
こちらはストーム・ディテクタ --- 雷雨検知器 --- と称していますが、単なる2石のオーディオアンプ。
「この回路は増幅度が2,000倍あり、かすかな電磁パルスにも反応するので遠くの雷の放電パルスを音として聞くことができる」
と説明されています。
確かに最近はAMラジオで雷の音を聞いたことがないというエレクトロニクスエンジニアも多くなっていますので、
こういったキットで電磁気の基本を体験するというのは貴重な学習機会だろうと思います。
この回路は回路番号44の2石アンプと基本的に同じ直結2段アンプですが、よりゲインが稼げるように初段のエミッタはグラウンド直結にしています。
RIAAイコライザとローノイズプリアンプ
2.29 RIAA-Entzerrer
Schaltung 70: RIAA-Entzerrer (Abb. 3.70)
Schaltung 71: Rauscharmer Vorvorverstärker (Abb. 3.71)
あれまあ、この手のキットにRIAAイコライザがあるとは。
トランジスタを3つ使っており、部品点数もそれなりに多く、
本機マニュアルに掲載されている回路の中ではかなり高度な部類に属します。
AIWA TPR-840
も
Kenwood KR-9340
も壊れちゃっているから、
たまにはレコードが聴けるよう、ひとつ作っておこう。
マニュアルの回路では圧電サウンダで聞きますが、
スピーカがそれじゃあイコライザが利いてるかどうかなんて分かんないんじゃないのかな。
さらに回路番号71では、
高音質ながら出力電圧がとても低いMC型カートリッジを使うときのために、
RIAAイコライザの前段に置くプリアンプが用意されています。
シンプルなエミッタ接地増幅回路ですが、
NPNトランジスタを2つパラに接続してローノイズ化を図っています。
この実験では例によって出力を圧電サウンダで聞きます。
MCカートリッジを圧電サウンダで聞く、というのはやはりどんなものなのかなとは思いますがねえ。
効果のほどはともかく、
単に音が大きくなりましたね的な実験ばかりのこの手のキットにしてはローノイズということに言及した実験は目を引きます。
プッシュプル増幅回路
2.51 Eisenloss Gegentakt-Endstufe
Schaltung 114: Eisenlose Gegentakt-Endstufe fur Piezohörer (Abb. 3.114)
トランジスタ3石のシンプルなプッシュプル・オーディオアンプ。
NPNトランジスタ1石で初段増幅した後、圧電サウンダをNPNとPNPのトランジスタでプッシュプル駆動します。
クロスオーバ歪低減のためにプッシュプルのベース電圧はダイオード2本の順方向電圧降下を使ってバイアスを作っています。
タイトルは「トランスレス・プッシュプルアンプ」ですが、
なにしろ本キットには低周波出力トランスは付属していないので、
トランスレス構成にせざるを得ないのは当然です。
マニュアルには「MP3プレーヤを入力につなげば圧電サウンダで大きな音で聴ける」とあるだけで、
回路の動作原理には触れられていません。
学習キットなのだからダイオードは何のために入っているのかの説明は欲しかったところです。
高入力インピーダンス増幅回路
2.61 Rauscharmer hochohmiger Eingangsverstärker
Schaltung 132: Hochohmiger Verstärker (Abb. 3.132)
初段をNチャネルFETで受け、次いでPNPトランジスタで増幅したアンプ。
「入力インピーダンスが十分に高いので、入力端子に指で触れるとノイズやバズ音が聞こえる」
と解説されています。
タイトルにはローノイズと謳われています。
この入力段は、実はこの後に出てくる回路番号137のミキサー入力回路と同じ。
ダーリントン増幅回路: オーディオミキサー
2.67 Mischpult
Schaltung 137: Eingangsstufe Mischpult (Abb. 3.137)
Schaltung 138: Ausgangsstufe Mischpult (Abb. 3.138)
オーディオミキサ用の入力段回路と出力段回路が紹介されています。
回路番号137は入力段で、複数の入力チャネルそれぞれにNチャネルFETをもち、出力を束ねて混合しています。
ただし本キットにはNチャネルFETはひとつしか付属していないので、
実質的にこの実験を行うことはできません。
回路番号138はトランジスタ2石をダーリントン接続したオーディオアンプ。
実験では圧電サウンダで出力を聞きます。
オーディオアクセサリ
VUメータ
2.12 Peak-VU-Meter
Schaltung 32: Einfaches Peak-VU-Meter mit LED (Abb. 3.32)
Schaltung 33: Einfaches Peak-VU-Meter mit Drehspulmessgerät (Abb. 3.33)
いやまさか、いきなりピークレベルメータだなんて期待してはいけません。
この2つのオーディオレベルメータは、ひとつはLED式、もうひとつは電流計を振らせますが、
オーディオ信号をダイオードで整流したあとにトランジスタ1石で増幅しているだけ。
ダイオードの直後に電解キャパシタが入っているので応答が遅くなり、
何もなければメータが機械的に反応できないようなインパルス入力であっても応答できる、
というもの。
ですが当然、メータの読みはインパルスの高さを正確に表示するわけではありません。
普通にオーディオレベルメータとタイトルが付けられているなら、
トランジスタ1石で実験する定番の回路のひとつとしてごく自然なものなのですが。
整流用のダイオードには普通のシリコンダイオード1N4148を使っていますので、
信号レベルが低い時のメータ感度が悪いという欠点も残っています。
ハイパスフィルタ
2.15 Hochpass
Schaltung 38: Hochpass ab 650 Hz (Abb. 3.38)
Schaltung 39: Hochpass ab 2,5 kHz (Abb. 3.39)
Schaltung 40: Hochpass ab 5,5 kHz (Abb. 3.40)
ハイパスフィルタの実験。
何ということはない、エミッタ接地1石トランジスタアンプの入力端子に直列に小さめのキャパシタが入っているだけ。
3つの回路はキャパシタの容量違いです。
ラジオかオーディオプレーヤなどからの音声信号を本機に入れ、
トランジスタのコレクタからキャパシタを通じて取り出された音声信号で圧電サウンダを駆動します。
でもなあ、圧電サウンダではどのみち低音など出るわけはないから、
そもそもハイパスを通しているような音しか出ないんじゃないのかな。
オーディオリミッタ
2.23 Symmetrischer NF-Begrenzer
Schaltung 56: Audiobegrenzer (Abb. 3.56)
トランジスタ2石を使ったオーディオリミッタです。
実験のためには外部からオーディオ信号を入れます。
出力はキャパシタを介して圧電サウンダを鳴らしています。
む、これは便利そうだ。
私は複数の国が参加する国際電話会議に毎日のように参加していますが、
独自規格のIP電話から接続した拠点だけが音声レベルが極端に大きく、
いつも耳を傷めながらの会議になっています。
この回路を使えば多少は緩和されるかも。
まあ仮に音声レベルが一定していたとしても、耳が痛い話ばかりしているのですけれど・・・。
あるいは、
自作VUメータアンプ
に付け加えて、
オーバーロードでもメータが振り切れないようにすることもできるな。
メータアンプなら多少音質が劣化しても関係ないし。
これは試す価値あり、です。
電子ボリューム2題
2.43 Elektronisches Potenziometer
Schaltung 100: Elektronisches Potenziometer (Abb. 3.100)
NPNトランジスタ1石による低周波アンプですが、
エミッタ抵抗の代わりにNチャネルFETが入っていて、
FETのゲートに負の直流電圧を加えることによりアンプのゲインを変化させることができます。
マニュアルによれば制御電圧0Vでゲインは約10倍、
-5Vの制御電圧を加えると100分の1まで減衰させるとのこと。
回路の最大出力は0.5Vとも書かれています。
このキットにはポテンショメータがついていないので、制御電圧は乾電池を使って-1.5V, 3V, -4.5Vで試してみろ、
とマニュアルには書かれています。
キットについている単3電池ホルダは2本用なので、
-4.5Vを作りたければ電池ホルダを追加するか、電池に直接セロハンテープか何かでリード線をつなぐことになるでしょう。
これもポテンショメータが付属していれば簡単に実験できるのにね。
でもあれか、ポテンショメータが付属しているのならわざわざ電子ボリュームをつくる動機もなくなるか。
2.55 Elektronisches Potenziometer
Schaltung 120: Elektronischer Pegelsteller (Abb. 3.120)
なんで2.43とひとまとめにしなかったんだろう、実験テーマ数を稼ぎたかったのかなと勘ぐってしまいますが、
これも電子ボリューム。
トランジスタアンプのゲインを可変にする回路番号100とは異なり、
こちらは分圧抵抗の下側をNチャネルFETにしただけの簡単なものです。
制御電圧0Vで約100分の1に減衰、制御電圧-5Vで2分の1に減衰される、とあります。
取り扱える最大出力は1Vまで。
フェーズシフタ
2.74 NF-Phasenschieber
Schaltung 154: NF-Phasenschieber 10° (Abb. 3.154)
Schaltung 155: NF-Phasenschieber 90° (Abb. 3.155)
Schaltung 156: NF-Phasenschieber 180° (Abb. 3.156)
トランジスタ1石によるフェーズシフタ。
3つの回路はRの値違い。
信号は外部から入れ、外部に取り出します。このキット単体だけでは実験できません。
位相がどのようにずれているかを知るにはやはりオシロスコープが欲しくなるでしょうね。
ラジオ受信機
AMラジオ
2.66 Einfaches AM-Radio
Schaltung 141: Einfaches AM-Radio (Abb. 3.141)
あれ、よく読んだらAMラジオの回路がある。
バリコンは付いていないのに・・・?
回路図では同調コイルとして220μHのインダクタを使っていて、それに並列につながるキャパシタC1には本文参照と書かれています。
マニュアルを読むと、バリコンを手に入れて使うのがよいが、ないならキットについているセラミックキャパシタを並列直列いろいろ組み合わせてみろ、
きっと近場の放送局が大きな音で聞こえるだろうと書かれています。
なるほどね。
回路はトランジスタ3石。
ダーリントン接続して増幅度を稼いだ初段でトランジスタ検波し、
次段で低周波増幅して圧電サウンダを鳴らします。
どんな感じだろうね。
さらに読むと、「ドイツではこういった放送局がまだまだあるが、
オーストリアでは残念なことにもうなくなってしまった」と書かれています。
知らなかったのですが、戦争によって破壊され、戦後国土を分割統治されたオーストリアでは、
国土の大半が山岳地帯ということもあってラジオ放送の大半がFMで、
AMは冷戦時代のプロパガンダ放送の色が濃く、冷戦終結とともに放送終了。
1997年に再開局し、少数民族向けプログラムとユーゴ紛争時に戦地向けに放送していたウィーンの1476kHz送信機も2009年1月1日に停波。
もうオーストリアにはAM放送局はないとのことです。
これはオーストリアの子供はゲルマラジオを作る楽しみはもう味わえないということだし、
手作りラジオはまずAMからとはいかない国があるってことです。
それにおそらく・・・AMラジオがそのまま戦争の記憶に結びついている人々もきっと大勢いるということなのでしょう。
2.100 Detektorempfänger
Schaltung 212: Einfacher Detektorempfänger (Abb. 3.212)
マニュアルも終わり近くになって、突然ラジオ受信回路の再登場。
日本なら「鉱石ラジオ」とか「ゲルマラジオ」とか呼ばれるものは、
ドイツ語では"Detektorempfänger" --- 「検波受信機」というわけですね。
回路番号212は同調回路もなく、アンテナの信号をただショットキーダイオードで検波してピエゾサウンダを鳴らします。
もちろん複数の放送局を選ぶ能力はありません。
AMラジオ送信アンテナあるいは航空無線標識ビーコン送信アンテナの近くまで行かないと試せないんじゃないかと思います。
まあ
1920年代前半だったならばこのような回路が研究されていた
わけですけれど。
Schaltung 213: Verbesserter Detektorempfänger (Abb. 3.213)
「改良された検波受信機」。
並列同調回路の働きによって、複数の電波の中から目的の信号だけを選択して聞くことができます。
確かにこれは革新的な進歩だ!!
回路は代表的なゲルマラジオのそれ。
回路番号141のラジオと同じく、セラミックキャパシタを一生懸命組み合わせて選局します。
Schaltung 214: Detektorempfänger mit Verstärker (Abb. 3.214)
その名の通り、アンプ付きゲルマラジオ。
前述回路番号213のゲルマラジオの音声信号を、NPNトランジスタ1石によるシンプルなエミッタ接地増幅回路で増幅し、
圧電サウンダを鳴らします。
同調キャパシタの選定がうまくいったとすれば、これならしっかり鳴ってくれるでしょう。
これでラジオ回路はおわり。
ドイツ人の好きな再生式
は出てきませんでした。
バリコンもポテンショメータも専用同調コイルもなくては無理ですからね。