|
「つまり、あなたのリペアショップに持ち込まれる100台のラジオのうち95台はスーパーヘテロダインなのです。
各部の回路がどのように動作し、どうすればすばやくトラブルを突き止められるかを知っておかなくてはなりません。
理論と実践を組み合わせているこの本で、ラジオ修理業で成功するために必要なすべての知識を得てください。」
カバー袖に書かれている上記の紹介文から明らかなように、この本はラジオのサービスマン向けのものです。
初版発行は1934年、この本は1937年の第3版で印刷は1944年。
スーパーヘテロダイン式ラジオの修理に必要な、回路の動作原理とトラブルシューティングについて実に丁寧に、
わかりやすく、かつ実践的に書かれています。
戦時中の政府による物資制限のためのコンパクトな版のこの本は全308ページ。
カバーは爆撃機、バス、自動車、蒸気機関車、電気機関車、大型客船にボートにフェリーそして飛行船の写真で飾られています。
本文中に写真はありませんが要所に実際の受信機の回路図が引用されており、家庭用真空管式AMラジオの修理に必要な知識が網羅されています。
面白いのは、この時代 スーパーヘテロダインの中間周波数は現在のように455kHz一辺倒というわけではなく、
メーカーおよびモデルによって下は47kHzから上は1600kHzまで実にさまざま。
回路図の様式も、特に真空管の表記が各社で統一がとれておらず、いろいろな書き方が出てきます。
フラッショグラフと呼ばれるチューニング インジケータや、AMのAFC回路、自動トーンコントロールなど面白い回路も出てきます。
が、いわゆる5球スーパー方式の基礎はこの時代にすっかり固まっているようで、
記載されている内容は真空管の最後の世代のラジオまで適用できます。
著者のJohn F. Riderはこの時代のアメリカのラジオ工学テキストの第一人者で、多くの本を出版しています。
この本はマウンテンビューの古本屋BookBuyersで買いましたが、
それなりの部数が現存していると見られ、アンティークラジオ関連のウェブサイトでしばしば売りに出ているのが見受けられます。
|
|
|
|