Blinker Position Lamp & Hazard Signal Controller
For YAMAHA TDM850
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第3研究所往還機
YAMAHA TDM850
は1996年SOPで、古いですから、フロントウインカーランプを走行中に点灯させるポジションランプ機能がありません。
そこでアフターマーケット品のポジションランプコントローラを取り付けたのですが、
わずか1年、12000マイルで故障してしまいました。
同じ製品、または同等の製品をまた買うのも癪だったので、
同等の機能を持つコントローラをつくることにしました。 ウインカー動作は車両の純正ウインカーリレーのまま。 このユニットは、左右ともウインカー消灯が一定時間続いたらフロントの左右ウインカーランプを減光状態で点灯させ、 ポジションランプとして機能させます。 左右いずれかのウインカーが灯いたら即座にポジション動作を停止させます。 ランプの減光は電源をスイッチングしデューティ比で減光させればいいでしょう。 スイッチング動作に伴うエミッションノイズは多少ひどくてもよいとします。 スイッチング波形発生回路は555を使えば手軽かなと考えましたが、 ウインカー動作時にポジションを消し、ウインカーが止まったら少し経ってからポジション動作を開始させるディレイドゲート回路を考えると、 全部合わせてクワッドオペアンプIC1個で済めば小さくまとまります。 そこでスイッチング波形発生回路はEL500で試した オペアンプ1個による可変デューティ無安定マルチバイブレータ を採用します。 使用するオペアンプはLM324。 特別なことのない回路なので汎用の4個いりオペアンプICならなんでも構いません。 たまたまEL500に使われているからという理由でナショナルセミコンダクタ社のLM324を選んでいます。 スイッチングデバイスに使えそうな在庫部品は何があるだろう。 ラボを探したところ、 かつてNoobow8000コンピュータに使われていて、2002年夏に故障してジャンクとなったAT電源ユニット にパワートランジスタ2SC2335Fが2個使われています。 取り出して試してみると、このトランジスタは正常に動作。 データシートによると最大コレクタ電流は7A取れます。 ウインカー球は12V 23Wですから、定常時は約2A。 左右のウインカーで合計4Aですが、3倍の突入を考えると12Aとなりますから、 このトランジスタ1個で左右のウインカー球を駆動するのは負担が高そう。 インダクタを入れて突入を抑えるようにすればトランジスタ1個でも行けるかな。 オペアンプによるマルチバイブレータの出力でこのパワートランジスタを駆動するために、 パワートランジスタはダーリントン接続にします。 スイッチング用小信号トランジスタBC548があったので、これでテスト。ベース電流10mAで完全に飽和ドライブできます。 さて、バラックを組もうとしたら・・・あれ、クワッドオペアンプの在庫が最後の1個だ。そろそろ買いだしが必要かな。 |
The IPF Blinker Position Lamp Controller installed into the YAMAHA TDM850 failed after mere 1 year and 12000miles. Buying the same or similar thing again wasn't a fun idea, so I decided to build one. |
ブレッドボード段階で、2SC2335Fを駆動し、ランプの明るさの具合を確認しました。
実際はウインカーランプは2個駆動することになるので、近くに転がっていた55Wランプを駆動してみました。
すると、最初は具合が良かったのですが、数分後にぱっと明るくなってしまいました。
おや? 制御基板はひきつづきデューティ75%のスイッチング信号を出力しています。
てことは・・・やはりパワートランジスタのONまま故障。
ヒートシンクはあっちっちになっています。
データシート上の最大コレクタ電流が7Aといっても、それは適切な冷却がなされた場合のことであって、
ヒートシンクが小さすぎたために高温になってしまったのです。 これ以上大きなヒートシンクを用意するのも用途目的に合わないし、 まさか冷却ファンをつけるわけにも行きません (それはそれでバカバカしくて楽しそうですが)。 これはやはりパワーMOS FETを使うしかないようです。 しかしラボ在庫部品には適切なパワーMOS FETはありません。 どれかのジャンクに使われているかもしれないけれど・・・買ってきたほうがよさそうだな。 今週末の完成は見送り。 |
パワーMOS FETを買いに秋葉原まで行く時間は取れなさそうなので、オンラインショッピングで買うことにしました。
200円のFETひとつ買うのに送料500円はばかばかしいので、こまごまといろいろな部品を発注。
これで週末にはパワー回路が試せるな。 と思いきや、重大なミスを発見。 深く考えずに、TO-220パッケージのパワーMOS FETの店舗在庫の中から最大ドレイン電流とドレイン-ソース抵抗それに値段で品定めをしたのですが、 注文後2日経ってよく考えたら発注したのはNチャネル品。 今回の回路は上流をスイッチしようとしているので、PチャネルMOS FETを使うべきだったのです。 Nチャネルで上流側をスイッチしようとすればゲート電圧をVBATTよりも高くする昇圧回路を用意しなければ!! さすがそれはないでしょう。 ので、今度は翌日発送保証のRSコンポーネントでPチャネルパワーMOS FETを注文。 これまた送料を割安にするため、ほかにもいろいろ発注。 同社は商品総額8000円で送料が無料になりますが、RSでそこまでのついで買いは逆に割高になってしまいます。 2012-03-05 部品発注 2012-03-08 部品追加発注 2012-03-10 パワーMOS FET入荷 |
というわけでTO-220形状のPチャネルパワーMOS FET 2SJ653が入手できました。
低電圧型で、ゲート駆動電圧は4V。
スイッチング波形発生のLM324 U4出力から抵抗1本を介して直結できます。
ところが、すでにユニバーサル基板で実装してある回路はU4出力はハイレベルでランプ点灯と考えてつくったのに、
PチャネルMOS FETはゲート電圧ローレベルでONするデバイスなのです。 そこでU4出力のあとに小信号NPNスイッチングトランジスタをゲートドライブとして入れます。 U4出力ハイレベルでトランジスタをONさせ、MOS FETのゲートをグラウンドレベルに落とすしくみ。 2SJ653のON時ドレイン-ソース間抵抗はわずか0.038Ω。 計算では10A流しても電圧降下はたったの38mVで、よって0.38Wしか損失がありません。 今回のアプリケーションではドレイン電流は4Aなので損失は0.15W、 デューティ75%での動作なので熱発生はさらに3/4になり、放熱器も不要です。 バイポーラパワートランジスタでは大電流をONさせるためにはベース電流もそれなりに流さなくてはなりませんが、 パワーMOS FETならゲートは電圧を掛けるだけで済みます。これまた大きなメリット。 2つの21W球を1つのパワーMOS FETでドライブすることを想定して、 55Wヘッドランプバルブを負荷にして連続点灯を試してみました。 2SJ653は余裕でヘッドランプバルブをこうこうと灯しています。 2012-03-10 2SJ653テスト |
パワーMOS FETのテストも済んだし、パワーダイオードとともにどう基板に組み込もうかな。
ハザード機能をあとで追加することを考えると、ダイオードとパワーMOS FETは別基板にしておいたほうが楽かも。 でも、後でっていつのことだ? いったん車両に組み込んだものをまたばらす方が手間なんじゃないの? 昨日も外環道で突然の事故渋滞に出くわしてハザードランプを出せないのが不安だったしなあ。 二輪車にはハザードランプの装備義務はないし、四輪車と違って後続車から自車の先が見えているわけだし、 なくてとても困るといったものではありません。 でもいまではほとんどの二輪車に装備されているし、やはりあった方がなにかと便利だよな。 じゃあ、基板の空きスペースにはやはりハザードランプ点滅回路を組み込もう。 ただしウインカーはひきつづき車両の純正ウインカーリレーを使い、 自作回路が壊れても走行には支障がないようにしておきます。 TDM850の純正ウインカーの点滅速度を実測してみたら、1周期t=0.685secで、87.6cpmでした。 基板の空きスペースに、これとほとんど同じ周期のハザードオシレータを組み込みましょう。 さあてどんな方式にしよう。 NE555案 8ピンDIPのNE555なら基板の残りスペースに楽に組み込めます。 まずはこれで検討、ブレッドボードで試作します。 ブレッドボードを使いNE555をアステーブル結線にして試すと、C=10μF、RB=47+4.7kΩ、RA=1.3kΩでt=0.698sec。 周期はこんなものでOKですが、動作制御で悩んでしまいました。 アステーブル動作・停止はNE555の4ピン、RESET端子を使うのが普通ですが、 RESET端子はハイレベル(あるいはハイインピーダンス)でアステーブル動作、 ローレベルに落とすとアステーブル動作が停止するのですが、 停止時は出力はハイレベル固定。 これではポジションランプ回路とロジックが合いませんので反転処理が必要。 それに、NE555のアステーブル回路では出力ON時間はどうしても出力OFF時間よりも長くなってしまいます。 それを論理反転させるとランプ点灯デューテイが短くなってしまい、 新型フォルクスワーゲンゴルフのような違和感のある点灯になってしまいます。これはいやだな。 というわけで、NE555案は中断。 LM324残りの1個のオペアンプを有効活用する案 つぎに、現状LM324の4つのオペアンプのうちあまり意味なく使っているU1をマルチバイブレータ化することを検討してみます。 ポジションランプ用オシレータと同じ回路構成にして、 非反転入力端子(+)の基準電圧生成分圧抵抗の上流側にハザードスイッチを入れてみましょう。 通常時、つまりハザードスイッチがOFFのときは、プラス端子電圧はローレベル固定で、オペアンプ出力もローレベルになります。 このときキャパシタは放電され、マイナス入力端子電圧はローレベルになっています。 スイッチがONになるとただちにプラス端子電圧がVBATT/2の基準電圧になり、 直ちにオペアンプ出力はハイレベルになって無安定マルチバイブレータ動作が始まります。 つまりハザードスイッチをONにすれば即時点灯から始まるので具合良し、です。 ただしこれはおそらくハンドルグリップに取り付けることになるハザードスイッチが理想的に0Ω-無限大Ωを示す場合のみ成立する話。 もしハザードスイッチが雨水浸入でたとえば10kΩ程度でリークすれば、ハザードランプの誤動作につながってしまいます。 これを防ぐためにはやはりコンパレータでもう少し正確にON判定する必要がありそうです。 となると別のオペアンプの追加が必要だから、LM324だけで済ますプランもボツ。 DIP 8ピンのデュアルオペアンプを追加する案 |
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DIP8ピンのデュアルオペアンプICを追加したらどうだろう。
ハザードスイッチON判定コンパレータとしてオペアンプを1つ、
ハザードオシレータ用としてもうひとつ。 ハザードスイッチON判定コンパレータの出力はまた、 LM324のU2、ウインカー動作検出コンパレータにつないでおきます。 こうすればハザード動作時にはフロントポジション動作を禁止できます。 このプランが妥当でしょうね。 実証試作として第3研究所のEL500を使い、ハザードスイッチON判定コンパレータとハザードオシレータを組み立ててみました。 すると問題発覚。 ハザードオシレータとして機能するマルチバイブレータは、 ポジションランプ用の55Hz発振のときは気がつかなかったのですが、 最初の点灯時間が2回目以降よりもかなり長いのです。このため見た目がかなり変です。 このオペアンプ1つによるマルチバイブレータはシュミットトリガ回路の発展形で、 反転入力端子の電圧が基準電圧の上下で変化しています。 これがたとえば基準電圧4.5V±1.5Vに設定されている回路の場合、 最初の点灯サイクルではキャパシタ電圧が0Vから6Vまで上がり、 6Vから3Vに落ちる間消灯、2回目以降は3Vから6Vに上がる間点灯になります。 つまり最初だけ、2回目以降の約2倍の時間点灯してしまうのです。 これを防ぐため、シュミットトリガの幅を増やしてみました。 キャパシタ電圧は1V〜7Vの間で往復する設定です。 これなら、初回点灯のキャパシタ電圧変化は7V、2回目以降は6V。 初回だけ点灯時間が長いという事実は変わっていませんが、 その伸びは相対的に小さくなるため、 それと言われなければ気がつかないレベルです。 これで問題解決ということにしよう。 というわけでデュアルオペアンプ案を採用。 2012-03-12 EL500を使いLM324でハザードオシレータを試作 |
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このままだと、純正ウインカーリレーによるウインカー動作とハザードオシレータによるハザード動作が同時に行われてしまい、
非同期の点滅が重なってしまい具合が悪いです。
もうひと工夫必要。 ほとんどの車両ではハザード動作がウインカー動作に優先するようになっています。 緊急路肩退避のシナリオなら、車を路肩に寄せるためにウインカーを出し、 そのあと停車表示のためにハザードを出すことになるでしょう。 よってこれが自然と思えます。 いっぽう、前方渋滞表示でハザードを出ししながら減速し、 さらに車線変更するならいったんハザードを止めないとウインカーが出せず危険です。 この問題を解決するため、一部の車両では すでにハザード動作しているときにウインカースイッチが入った ら、ウインカー動作に切り替えるものもあります。 でもこれを全アナログロジック回路で実現するのは結構な手間。 今回はハザード優先にします。 これを実現するため、ウインカースイッチ上流にパワーMOS FETを入れ、 ハザード動作時にウインカーリレーが動作しないようにします。 ここにはNチャネルMOS FETを使い、ゲートを10kΩでドレインにプルアップしておきます。 これによりMOS FETは自力でONするので、コントローラが故障しても(多くの場合)ウインカーの動作は保たれます。 このMOS FETをドライブするためにさらにトランジスタの追加が必要になってしまいました。 ハザードスイッチ検出コンパレータ出力がハイレベルになったらゲートドライブトランジスタがONし、 NチャネルMOS FETのゲートをローレベルにします。これによりウインカー動作が止まります。 NチャネルパワーMOS FETは今回間違って注文してしまったわけですが、さっそくの出番となりました。 |
TDM850のインパネのターンシグナルインジケータは、左右共通の1つだけで、
使われているランプは3.4W球。
右と左のウインカーランプをわたる形で結線されています。
ウインカーを出しているとき、ウインカーリレーからの電流はインジケータランプを通り、
反対側のウインカーランプを通ってグラウンドに落とされます。
反対側のウインカーランプよりもインジケータランプの方がずっと抵抗値が高いため、
反対側ウインカーランプは点灯には至らず、インジケータランプだけが点灯するのです。
問題はこのインジケータはハザード動作時には点灯しないこと。なにしろ左右同時に点灯するわけですから。
これはどうする? ハザード出しっぱなしに気づかないのはかなり危険ですから表示灯は付けておかないと。 TDM850のインパネには4つのインジケータランプ取り付け部がありますが、 使われているのはニュートラル、ハイビームとターンシグナルの3つだけ。 シンプルだなあ、そういえば油圧警告灯ってないんだな。 インジケータランプを追加して左右独立灯にすれはウインカー動作とハザード動作の見分けもついて便利ですが、 使われていない部分のレンズは何色なんだろう。 インスツルメントクラスタに手を入れるのはあまり気乗りしません。 純正のインジケータランプのままでウインカーとハザードを兼用するなら、 左右リヤウインカーからダイオードでとりだして直接点灯させればいいや。 仕組み的にはこれが一番シンプルそうです。 が、車両ハーネスにさらに手を入れなければならず、 ノーマルに戻す必要があるとしたらこれまた面倒な話。 TDM850のインジケータランプ類はインパネの下の方にあって見やすい位置とは言えず、 ウインカー出しっぱなしに気がつかないことが何回かありました。 それならばインパネの上のほうに後付けインジケータクラスタをつけても良いな。 時計とか気温計と多機能タイマとかもいっしょに。 ならば純正ターンシグナルインジケータはそのままにしておこう。 |
ハザード回路追加コンセプトがほぼ確定したので、基板レイアウトを再考します。
電源平滑用の470μFは場所ふさぎなので取り除き、代わりに9Vの3端子レギュレータを追加して、
制御回路は9V動作させることにします。
パワーMOS FETはフロント左右ウインカーランプ用Pチャネルとリヤ左右ウインカーランプ用のPチャネルを載せます。
ウインカー禁止用のNチャネルは小さなパッケージにしてハーネスの途中に空中配線。
MOS FET用のゲートドライブトランジスタ計3個はオンボード。 これで基板はおおむね埋まってしまうので、パワーダイオードは別基板に載せます。 当初の計画よりずいぶんややこしくなったなあ、ダイオードだらけだ。 |
電球駆動の逆流防止につかうダイオードは在庫パーツのなかから選んだ1N5822。
逆耐圧40Vの低圧用ショットキー・バリア型整流用で、最大電流は3A。 このダイオードで問題がないかどうか見るため、テストバラックを組みました。 本物の21W球を負荷にして、ELENCOのブレッドボードで組んだNE555の回路でデューティ50の信号を発生させ、 2SJ653 PチャネルMOS FETを介して点滅させます。 1N5822はMOS FETのドレインと電球の間に入れてあります。 このダイオードは、データシートを参照すると順方向電圧が低いとありますが、 パワーMOS FETに比べればやはりON抵抗は高く、2A連続通電時実測での順方向電圧は0.35V。 すると損失は0.7Wということになります。ウインカー動作時はデューティ50%ですから平均は0.35W。 10分ほどウインカー点滅させたあとのダイオードの温度は人肌以下の温度で、熱を心配する必要はなさそうです。 次にランプの突入電流が心配ですが、ウインカー点滅動作時の突入は冷間突入よりもそれなりに小さく済んでいるようで、 ダイオードそのものは3Aよりも大きなサージに耐えられるので、たぶん大丈夫でしょう。 ランプ1個の負荷ではパワーMOS FETはほんのわずかに温かくなったかなという程度。 電源電圧を15Vまで上げると順電流は2.8A近く流れています。 この条件で数時間連続動作。 問題は見受けられません。 今回のユニットはこのダイオードを合計8個も使います。 車両純正ウインカーリレーをそのまま使うというコンセプトゆえの負担。 |
せっかく金曜日に第3研究所でEL500での試作結果を回路図に書いたのに、
ポータブルハードディスクを中央研究所に持ってくるのを忘れてしまいました。
思いだしながら日曜日の朝、ELENCOのブレッドボードで再度試作を開始。 DIP8ピンのオペアンプはラボ在庫に結構あったはずと探すと、多くはTL-061のようなシングルオペアンプでした。 幸いLM358の新品がいくつかありましたので、これでいこう。 パワーMOS FETのゲートドライバはBC548をやめて、3つとも2N2222を使います。 ハザードオシレータの電圧シフト用ダイオードは充電用・放電用で揃えたかったので、在庫から1N4309をチョイス。 古い部品で、ちょっとサーチした程度ではデータシートは見つかりませんでした。 が、ごく普通のシリコンスイッチングダイオードだと思います。 簡単な回路ですが、こんなものでも実際に組み立ててみるといろいろ細かな問題が出てきて、試行錯誤してしまいました。 今回は秋月で安く売っていたブレッドボードワイヤーを使ったので作業は結構快適になりました。 午後から基板実装を開始。 途中ポゴの新しいうわばきを買いに出かけたりして、 3端子レギュレータ、ハザードオシレータとパワーMOS FETが追加された基板が動作し始めたのはもう日曜の夜の7時過ぎ。 ハザードスイッチ端子をショートするとポジションオシレータはすぐに止まり、 ハザードオシレータがONサイクルから動作を開始し、テスト用のウインカー球がベンチでいい感じで点滅を始めました。 ハザードスイッチ端子を開放にするとハザード点灯は直ちに止まり、少ししてからポジションオシレータが動作を始めました。 いい感じ。 2012-03-18 ハザードオシレータとリア用パワーMOS FET実装 ハザード機能のためにフロントとリアの計4つのウインカーランプを駆動するわけですが、 2つのパワーMOS FETをひとつはポジションランプ用、もうひとつはハザード用とする構成もありうることに気がつきました。 21Wのランプが4つなら全部で約8A流せばいいわけですから、2SJ635ひとつで駆動可能。 でも4倍の突入があれば定格最大電流に近いですから、余裕があるとは言えません。 のでやはりパワーMOS FETはフロント用とリア用というわけ方にします。 基板に2個めの2SJ653を実装。 ハザードモードでは2つのテスト用ランプがいい感じで点滅し、 ハザードスイッチを切るとフロントランプだけが9V相当の明るさで点灯します。 だんだんできてきたぞ。 2012-03-20 フロント用パワーMOS FET実装 |
開発試作の初期、このページの最初のほうとではずいぶん回路図が変わってしまいましたので、
Revision 3の回路図では素子追番を振りなおしました。 Revision 3 では、動作仕様として狙いとはちょっと違う点がまだあります。 まずは、車両のメインスイッチをONにしたとき、すべてのウインカーランプが一瞬点灯してしまうこと。 これはウエルカムサイン機能だと考えることにします。 ふたつめは、車両のメインスイッチをONにして、ヘッドライトスイッチをOFF位置からポジションON (またはヘッドライトON) にすると、 ポジションランプは即座には点灯せず、約1秒の間をおいてから点灯します。 これはポジションスイッチ判定とウインカー判定を同じディレイドゲートに入れていることが理由。 まあこれも実用上問題とはなりません。 この回路には、実車で問題が出たら対策しようと考えている懸念点も残っています。 まずはハザードスイッチ入力にノイズ吸収のキャパシタを入れていないこと。 インピーダンスを低めにしてあるし、 ハンドルに取り付けたハザードスイッチからユニットまでのケーブル長は50cm程度しかないから大丈夫だろうと高を括っているのですが、 ボディアンテナとキチ×イアンプを使った長距離トラックの不法CB局の隣で停車したらどうなるか。 もうひとつは、ポジションライトスイッチがOFFのとき、つまり車両のヘッドライトスイッチがOFFのとき、 やはり強力な電波を浴びるとポジションライトが点灯してしまうかもしれないということ。 でもその逆、電波を浴びたためにポジションスイッチがONなのにポジションライトが消えてしまうという可能性は低いと思われます。 実車の走行時は問題がないでしょう。 これも様子見。 |
Original size |
ところが2時間ほど経ったら雨が降り出し、強烈な雷雨になりました。
なんだか今年のゴールデンウイークは荒れているなあ。
午前中はちっとも景色の良くない国道を何台もの大股びらきハーレーがベチベチと汚い音をたてて軽井沢に向かっていましたが、
いまごろは全身で大自然を感じ取っているんでしょうね・・・。 屋外作業ができないので、デスクワークで車両のどこから配線を引き出すべきかを検討します。 特に電源ラインはウインカー球4個を同時に点灯しますから、8A以上が流れます。 やたらなところから取り出すとヒューズ切れ、車両ハーネスの発熱、最悪は発火もあり得ます。 ウインカーポジションユニットの故障が他のサブシステムに及ぼす影響も考えなくてはなりません。 ついでですから、サービスマニュアルを参照し TDM850 4TXの電源系 を調べておきました。路上故障のダイアグにも役に立つでしょうし。 ウインカーポジションコントロールユニットの電源は、電源アーキテクチャから考えてシグナルシステムヒューズからとるのが妥当です。 シグナルシステムヒューズ系の負荷にはウインカーランプやストップランプなどがあり、 純正のランプ負荷のワッテージを単純に足し算すれば91W。 それが今回の変更でさらに42Wが上積みされますから、合計133W。 12Vで11A、14Vならざっと13Aということになります。15Aヒューズだと余裕が小さくなってしまいそうです。 車両ハーネスの電流容量にまだ余裕があることを願って20Aヒューズに換えるべきでしょう。 ウインカーポジションコントロールユニットが故障してシグナルシステムヒューズを飛ばしてしまうとブレーキランプさえつかなくなってしまいますから、 このユニットの電源ラインには10Aのサブヒューズをいれておくことにします。 手元に新品の小型ブレードヒューズホルダがありますからこれを使いましょう。 10Aの小型ブレードヒューズはないので明日になったら買い物だな。 2012-05-04 電源取り出し検討 |
今日はいい天気。朝6時30分、作業開始。 電源は、シグナルシステムヒューズラインのフロントブレーキスイッチ上流から取り出すことにしました。 ステアリングヘッド周りの配索はもともと余裕がないしステアリング操作でハーネスも動きますからあまり気乗りしませんが、 やむなくステアリングヘッド右側に中間ヒューズホルダを設置。 ポジションランプ機能はほどなく動作を開始しました。 おお、これでプロジェクト開始当初の目標は達成された。 まだウィンカーキャンセラサブボードはつくっていないし、 ハザードスイッチも用意していないのでいったんここで作業完了にしてもいいのですが、 来週とか再来週とかにまたフェアリング廻りを分解するのもおっくうだろうから、 ひきつづきハザード機能の設置にとりかかります。 ハザード機能配線は、左右のリアのウィンカーランプの配線を引っ張ってくればいいだけですから難しい理屈はありません。 でもオート×クスのアルバイト店員みたいな作業はしたくないので、取り出し場所をいろいろ考えました。 ウインカースイッチを出たウインカー信号はどこかでフロントウインカーとリアウインカーに分岐していますから、分岐後直近から取り出せば可。 エアクリーナ直下のジャンクションから取り出せれば一番素直です。 しかし分岐は車両メインハーネスの中で行われているようで、メインハーネスのテーピングをけっこうな量はがさないと見つけられなさそうです。 そこで結局オート×クス的な作業・・・テールカウル内部から引き出すことにします。 ヒューズボックスからの電力はシート下のウインカーリレーを通り、左ハンドルスイッチのウインカースイッチを通り、 テールカウルまで行った後にUターンしてフロントカウル内のポジションコントロールユニットのダイオードを通り、 再度テールカウルに行くことになります。 ま、いいか。 配索後、ハザードスイッチ配線を仮ショートさせて、ハザードランプのテストをします。 すると、ハザード点灯させてもポジション動作が止まらないことに気がつきました。 これはパッケージング時に無理をして回路図中のダイオードD9の配線を痛めてしまったみたいです。 また基板を外すのは面倒だったので、部品面で空中ショート配線をして修理しました。 結果、おお、いい感じでハザード点滅している。 (事前購入-在庫部品) ミニ平型ヒューズホルダ 最大15A仕様 283円 |
ところが、一休みして車両を眺めていたら、奇妙なことに気がつきました。
メインスイッチをON、ヘッドライトスイッチOFF、ウインカースイッチOFF、ハザードスイッチ断のままにしておいたら、
一瞬だけリヤのランプが左右とも点灯したのです。 じっくり見ていると、たしかに一瞬、しかも一定の周期で・・・およそ25秒周期で・・・ハザード点灯するのです。 さらに見ると、フロントの左右ランプも同時に一瞬点灯します。 ポジションランプを点灯させていても、リアはやはり一瞬点灯します。 フロントランプもリアランプも点灯するのですから、ハザードオシレータの出力が一瞬ハイレベルになっているのは間違いがありませんし、 テスタを当てたらたしかに一瞬電圧が出ています。 しかしハザードスイッチ検出コンパレータはローレベルままのはず。 ベンチテストではこんな現象は起きていなかったし、これは考えにくいぞ。 回路図を20分ほどにらみ、10分ほど車両を眺めながら考えて、再びメインスイッチを入れたら、症状は消えてしまいました。 そういうことか・・・。 実測していないので推測の域を出ませんが、ハザードオシレータのカットオフ動作安定用シリコンダイオード、 これはオレンジ色のガラス封入品ですが、に直射日光が当たり、光電効果で予期せぬ起電力が発生したためのようです。 現象が発生したとき、ポジション禁止動作不良の修理のためにユニットのカバーは開けてあり基板はむき出しでした。 しかもそのときはちょうど5月の元気な太陽光線が基板に直接射し込んでいたのです。回路図をにらんで考えている間に太陽は西に動き、 基板に直射日光は当たらなくなっていました。 だから対策はなにもせず。 ポリプロピレンケースのフタを閉め、フェアリングインナーパネルを取りつければ問題は発生しないはずです。 |
2017年07月02日、ティーディはオイル消費増大と排気管腐食のために第3研究所往還任務を退役。
自作ポジション/ハザードランプコントローラは5年2ヶ月 55267.3マイル、
エクステンデッド・サクセスのクライテリアも超え、車両退役までをしっかり動作してくれました。 後継機スズキVストローム1000ABS "ティル" には最初からハザードランプ機能があります。 ウインカーポジジョンランプ機能はありませんが、 大径のリフレクタヘッドランプをもつティルは先行車バックミラーからの夜間視認性もティーディよりも良いと見えて、 進路をふさぐ形で先行車に車線変更されてしまうケースはかなり少ないです。 このため、このポジション/ハザードランプコントローラをティルに移設する必要はありませんでした。 ポジション/ハザードランプコントローラは、ティーディに装着したまま廃車でお別れ。 そのままスクラップ扱いになるのでしょうけれど、 もしどこかの国に輸出されて修理され再び目を覚ますことがあるとしたなら・・・ 私の知らないところでコントローラもきっと働いてくれるでしょう。 2017-07-02 ティーディ退役 ポジション/ハザードランプコントローラ任務完了 75920.4mi |