Go to NoobowSystems Lab. Home

Go to Back To Life Again

MFJ-959B

Receiver Antenna Tuner / Preamplifier



MFJ-959B


ひょっとしたら一番のお買い得

    シリコンバレー駐在時代は毎月開かれるフットヒル・カレッジのフレアマーケットと リヴァモアのフレアマーケットにいくのが本当に楽しみでした。 渡米したときは テスター くらいのものしかなかったのにラジオ小僧の楽しい思い出がよみがえり、 しだいにいろいろなものが増えていきました。 いま思えば遠慮せずもっといっぱい買っておけばよかったと思う反面、 帰国して入居した社宅アパートは案の定ガレージよりも狭い状況で、 容量的には限界越えでしたから、よかったのかもしれません。 せっかく買った物を捨てちゃうだなんてとても自分にはできそうにないですから。

    フレアマーケットで買った物の中で一番のお買い得だったものはどれだろうと考えると、 このMFJの受信用アンテナチューナ・プリアンプ MFJ-959B は五本の指に入るかな。 1990年での新品販売価格は89ドル95セント。 買ったのは10ドルだったように記憶しています。 値段もそうですが、 貧弱なワイヤーアンテナだけで短波を聞いている私にとっては、 このアンテナチューナは買ったその日からなくてはならない存在になっています。

    MFJは1970年代の半ばからポピュラーになった、 アメリカのアマチュア無線用機器・アクセサリメーカー。 アンテナチューナをはじめオーディオフィルタなど実に様々なアクセサリ機器を送り出しており、 設立50年が立とうとしている2022年の今も健在。 その製品の技術や品質はというと、良くも悪くもアマチュア的。 うたい文句通りには動作しなかったりさほど経たずに壊れてしまったり、 そもそも作りがとてもチープ。 定年退職したアマチュア無線家が若いころの技術でひとつ自分で作ってみたよ、という雰囲気があります。 それを楽しめるかどうか、 でMFJ製品をどう評するかが決まってくるのだろうと思います。

    これはちょうどJA1AMH高田継男氏が興した ミズホ通信の製品 と同じ香り、といえるかもしれません。 MFJ-959Bはおそらく1970年代後半の製品。 日本ではミズホのアンテナカップラ―が大人気だったころ。 でも当時、MFJ製品は日本には入ってきていなかったのでしょうね。 あるいは入ってきたとしても舶来品で値段は高かったことでしょう。 もし当時これがたとえば スカイセンサー5900 と同じくらいの値段で売られていて、 だけどケースを開けて中に入っているのがちいさなトランジスタ1個だけということに気がついたら、 怒りさえ覚えたかもしれませんね。

    また、これはいささか驚くべきことなのですが、 MFJ-959Bのモデルチェンジ機であるMFJ-959Cは、 1970年代当時と同じ機能・同じ回路構成(トランジスタは2N3904のまま!)で2022年のいまも現役製品。 45年も前のものがいまも新品で売られているんですよ、 すごいと思いませんか?




MFJ-959B

    MFJ-959Bは短波受信用のアンテナチューナ・プリアンプです。 簡便なワイヤーアンテナなどのように受信周波数に対して同調がとられていないアンテナを受信機につなぐと、 アンテナのインピーダンスと受信機の入力インピーダンスの不整合のために、 電波を効率よく受信機に取り込むことができず、感度は大幅に低下してしまいます。 アンテナチューナをアンテナと受信機の間に入れて調整しインピーダンス整合をとれば、 短いワイヤーアンテナでもとても感度良く受信することができます。 古い受信機で受信機そのものの感度が不足しているときは、 内蔵のプリアンプを使うことにより受信機への入力を高めることもできます。

    MFJ-959Bのリアパネルにはアンテナ入力コネクタが2系統、 チューナ・プリアンプ出力コネクタが2系統あり、 フロントパネルのプッシュスイッチでアンテナ1/2を、 また受信機1/2を切り替えます。 コネクタはどれもM型メスとRCAピンジャックが用意されています。

    電源はDC9〜18Vで動作し、ACアダプタをつなぐためのΦ2.5mmモノラルミニミニジャックがあります。 後述しますが、このジャックには接触不良があるので、電源接続用のワイヤを内部に直付けして引き出してあります。

    発売年の正確な情報は持っていませんが、1970年代後半だろうと思います。



    内部は拍子抜けするほどすっからかんです。 アンテナチューナ - あるいはアンテナカップラ - 部は、 つまみ直結の360度自由回転のバリコンが2個と、 10個のインダクタのどれか一つを選ぶためのロータリースイッチ。 インダクタは小さいアキシャル型のものが使われています。

    プリアンプは入力・出力ともに非同調のトランジスタ1石によるエミッタ共通増幅回路です。 まるで マイキット80 にでも出てきそうなシンプルなものです。 プリアンプはマニュアルによれば20dBのゲインを持ち、 そのゲインはフロントパネルのつまみで可変できます。 これはトランジスタのコレクタ出力をポテンショメータで分圧するシンプルさ。 さらに、使われているトランジスタは汎用小信号トランジスタの定番、2N3904。 もともとが5球スーパーのような感度の不十分な受信機を使うときのためのものですからこの程度でもいいのでしょうけれど、 なんかがっかりしますよね。

    3本見える抵抗は20dBのアッテネータ。 フロントパネルのスイッチでアッテネータOFF/ONを切り替えます。




    赤いボタンが飛び出ている状態ではプリアンプの電源はOFFされ、 アンテナと受信機は直結のスルー状態になります。 赤いボタンを押し込むとチューナが入り、 TUNER/AMPボタンを押し込むとさらにプリアンプが入ります。

    アンテナのチューニングを取る手順は:

  • ANTENNAバリコンつまみとRECEIVERバリコンつまみをセンター位置にする
  • INDUCTORつまみを回し受信感度が最大になるインダクタンスを選ぶ
  • ANTENNAバリコンつまみとRECEIVERバリコンつまみを回し受信感度最大点を探す

  • となります。 なおINDUCTORつまみは前オーナーによって大型のつまみに交換されています。 ロータリースイッチの操作はノーマルのつまみでは固すぎて指がすぐに痛くなってしまったでしょうね。 この大型つまみの操作感は良好です。

        ランダムワイヤーアンテナをアンテナ入力インピーダンス50Ωの通信型受信機につなぐ場合にアンテナチューナの効果は絶大で、 かすかに聞こえる状態がS9オーバーで振り切るほどの強力な状態になります。





    感度が出ない

        半年以上前 - 2002年中ごろから、MFJ-959Bアンテナチューナ・プリアンプの調子が変でした。 接触不良が起こっているような感じで、感度が上がらないことが頻発していました。 が、なにしろ仕事に忙殺されていて、短波ラジオに火を入れることもできずほったらかしでした。

        イラクの状況を知ろうと思い久しぶりに コリンズ51S-1 に火を入れると、51S-1そのものも接触不良で最初ぐずっていました。 が、チューナー・プリアンプもやはり不調。

        このチューナー・プリアンプは受信専用で、 古いモデルとはいえデュアルゲートMOS FETくらい使って欲しいところですが、 プリアンプに使われているのは2N3904が1石だけ。 このチープさ、アマチュアさはMFJならでは。 まったくナメてるよなあ。 まあリバモアのスワップミートで10ドルで買ったものですから、十分にモトは取れています。 で、2N3904を交換してみましたが感度は変わらず。

        あちこちつついていると、背面パネルの電源ジャックの接触不良であることが判明しました。 この電源ジャックは通常のACアダプタに使われているようなタイプではなく、 単なるモノラルミニミニジャック。 この辺もMFJ流のいい加減さが出ています。 で、内部の電源スイッチのターミナルから直接電源用の配線を引き出しました。 そういえば前のオーナーもどうやら同じ症状で苦しんでいたのでしょう、 ほとんど同じような方法で9V電池用のホックをつけていたのですが、 それと気づかずに入手直後に取り外していたのでした。

        復活したMFJ-959Bのおかげで、情けないベランダホイップでも良好に国際放送が楽しめる状態に戻りました。

    2003-03-22 電源給電用ワイヤを直接引き出し





    目覚め

        2008年の中央研究所開設時の引っ越しで、 MFJ-959Bは段ボール箱に入れられて保管室に。 長らく休眠状態でした。 2022年1月にようやく出てきて、 コリンズ51S-1 のサービス完了とともに夢と時空の部屋のラック入り。 アンテナ#1に屋外ワイヤーアンテナを、 アンテナ#2に目黒測器MSG-2161の出力を入れて、 レシーバ#1に51S-1、 レシーバ#2にはサービス中の受信機を接続。 電源は 日章工業NP-101 を使用。 使いやすいセットアップになりました。

    2022-03-31 夢と時空の部屋にセットアップ





    プリアンプが動作しない

        2022年の Lafayette HA-225 のサービス中も実際の受信はMFJ-959Bを使っていましたが、 その際プリアンプが動作していないことに気がつきました。 HA-225は2002年の当初の整備ですでに申し分ないくらいに感度が良くなっていたので、 外付けプリアンプに頼るような必要はありませんでしたけれども。

        HA-225のサービスが一段落したので、 MFJ-959Bを調査。 電源装置は正常にDC13.5Vを出しています。 959Bのトップカバーを開けてトランジスタの電圧を測ってみると、 コレクタが4Vほど、ベースが0.7Vほどなので正常に思えます。 となると単にプッシュスイッチの接触不良かな。 ドライ系の接点洗浄剤をスイッチ内部に吹き込み、カチャカチャ繰り返し。 何のことはない、プリアンプは動作し始めました。

        アンテナケーブルをつなぐBNCコネクタやRCA-BNC変換プラグに接触不良があったので、 959BのRCAジャックも含めケーブルとアダプタの表面酸化を清掃。 接続は安定しました。

    2022-11-01 プリアンプ動作せず スイッチ接点洗浄で回復





    > 次の修理・・・ 目黒測器 MSG-2161 標準信号発生器


    Go to Back to Life again
    Go to NoobowSystems Lab. Home

    http://www.noobowsystems.org/

    No material in this page is allowed to reuse without written permission. NoobowSystems has no business relationships with the commpanies mentioned in this article.

    Copyright (C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2022.

    2022-11-01 Page created and published. [Noobow9100F @ L1]
    2022-11-04 Updated. [Noobow9100F @ L1]
    2022-11-15 Updated. [Noobow9200B @ L3]