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Mizuho SX-1

Shortwave Preselector


Mizuho SX-1


40年前の自分へ

    1974年、短波を聞きたいと思った小学生は、家にあった短波ラジオのダイヤルを回すようになります。 が、当時のポータブルラジオの短波の受信性能は日本短波放送が聞ければよい程度のものだったので、 感度・選択度・安定度・周波数読み取り精度のいずれもがとても満足できるようなものではなく、 だから自分のお小遣いと工夫でなんとかしようという製作記事が雑誌によく掲載されていました。

    そのうち登場した本格的短波ラジオを買ってもらえた裕福な家の子供、 あるいは私のように毎朝の牛乳配達・新聞配達でお金を得て買った子供は、 実際に使用すると機能性能的にまだ不足があることに気づき、 それらを補うための追加装置を望むようになりました。

    そこに登場した、ミズホの追加機器シリーズ。 雑誌の広告を食い入るように見つめ、なんとかして親に嘆願し、 あるいはさらに数ヶ月、凍てつく冬の夜明け前に布団から出て自転車を漕いだことでしょう。

    私の場合は結局ミズホ製品を自分で買うことはできませんでした。 だから、国道沿いの怪しげなリサイクルショップでこれを見つけたとき、 もはやこれを使うべきニーズはなくなってはいたものの、 つい買ってしまったのです。 40年前の自分へのプレゼントとして。

   



当時モノ

    この小さな機器 - ミズホ SX-1 プリセレクタ - は 購入時の透明プラスチック袋にくるまれたまま数年間、 コリンズと並べられてラックにいるだけでした。

    2021年09月、 RF-2200 の修理・整備を行った際、 当時最新鋭だったその短波ラジオは、 感度・選択度はポータブル短波ラジオとしてはとても素晴らしいものの、 第1周波数変換段に起因するイメージ混信がかなりあることに気がつきました。

    イメージ混信妨害を低減する一つの対策は、 目的周波数以外の信号が受信機に入ってしまうのを防ぐことです。 このための装置がプリセレクタです・・・ そうだ、ウチにはミズホのプリセレクタがあるんじゃん! 試してみよう、今が出番!

    ビニール袋に入っていたSX-1の外装はとてもきれいな状態を保っていましたが、 電池を入れようと電池ボックスカバーを開けると、 懐かしくて泣きそうなブツ - ナショナルハイトップ006P 9V乾電池が、 ひどい液漏れとともに現れました。

   



コンストラクション

    ミズホSX-1プリセレクタは、短波受信用アンテナと短波受信機の間につなぎ、 受信しようとする周波数だけを受信機に伝えるようにするともに、 内蔵のプリアンプで信号を増幅する装置です。 電源は006P 9V乾電池1本を使います。

    リアパネルにはアンテナ接続用と受信機接続用ネジターミナルがあります。 受信機接続用ターミナルには、 通信型受信機のためのローインピーダンス端子(AL)と、 ポータブル短波ラジオ向けりハイインピーダンス端子(AH)が用意されています。 リアパネルにはM型コネクタを実装できる穴があらかじめ開いています。

    フロントパネルのバンドセレクタスイッチで受信周波数バンドを選び、 チューニングノブで受信周波数に合わせます。

    フロントパネルのGAINつまみでプリアンプのゲインを調整することができます。 実際にはゲイン調整つまみはプリアンプ電源ラインに直列に入れられたレオスタットです。 フロントパネルの電源スイッチをOFFにするとプリセレクタはスルーされます。

    内部はご覧の通り。 シンプルで堅牢なスチールケースには同調用のギャングバリコン、 各バンド用のコイル、それにプリアンプ回路が設けられています。 チューニングノブには減速機構はなく、直接バリコンシャフトを回します。

    プリント基板を見ると、本機は当初バンド切り替えスイッチはロータリー操作のスライドスイッチを使う予定だったようですね。 本機ではバンド切り替えスイッチはロータリースイッチで、プリント基板から何本ものワイヤが手配線で接続されています。 これはスライドスイッチが品切れで入手できなかったためでしょうか。 スライドスイッチよりもロータリースイッチのほうが部品コストが安い、としても、 これだけの手配線を行う工数は部品代よりも高くついてしまったことでしょう。

    おそらくマイナーチェンジ機と思われるSX-1Dでは、 ロータリー操作のスライドスイッチが使用されていて、 またSX-1では A - E のみだったアンテナ入力が AH - AL - E となり、 短いワイヤアンテナでも性能が出るようになっています。

    SX-1は受信専用の装置であり、トランシーバには使えません。 トランシーバ用としては発展型モデルのSX-59があり、 内蔵されたリレーを外部トランシーバからON-OFFすることによって送信時にはスルーできるようになりました。




Ready to Go

    液漏れでサビた電池ケースと電池コンパートメントカバーを削り、ケースをシンプルグリーンでお湯洗いして、 外装はきれいになりました。 006P電池ホックは程度の良い中古品に交換。 組み上げて、実戦復帰準備良し。





なんかいまいち

    さっそくRF-2200につないでみたのですが・・・ えっと・・・なんかいまいち。

    3-7MHzバンドでは、プリセレクタとしてきちんと動作しています。 フロントパネルのTUNINGつまみを受信機側の受信周波数に合わせれば、 内蔵プリアンプが効いてプリセレクタなしに比べてはるかに強力にSメータが振れます。 しかし、受信機のSメータが大きく振れるというだけで、 了解度は一向に変わりません。 これは要するにみのラボの受信環境とアンテナが悪くて・・・ 今はテスト用のランダムワイヤーでしかありません・・・ ノイズも一緒に増幅してしまうため。 むしろ聴感上は、SX-1を通した方がノイズが大きく聞こえてしまいます。 プリアンプを通しているのでこれはありうる話ですが、 でもはっきりとノイズが増えてしまうというのはなあ。

    それでもRF-2200の4MHz離れたイメージ抑圧には効果があるはずと予期したのですが、 ほぼ効果がありません。 これは、RF-2200はプラスチックケースで、 かつアンテナ回路がホイップアンテナ動作に主眼を置いたハイインピーダンスであるため、 強烈な信号は受信機に直接飛び込んでしまっているため、のようです。

    バンドセレクタを7-14MHzにセットすると、 TUNINGつまみの同調の効きはとても弱くなってしまいます。 本当に効いているのかな? と思える程度でしかありません。 プリアンプのゲインもほとんど得られていない様子。 わざわざ006P乾電池を消費するメリットは感じられません。

    さらにバンドセレクタを14-30MHzにすると、 もはやTUNINGつまみは全く効きません。 スイッチをOFFにするのが最良、という状態です。





これが実力なのだろうか?

    3-7MHzバンドではプリアンプは電圧比で5倍ほどのゲインを出しているので、 使われているクラシックな3個の接合型FET 2SK19はどれも正常なのでしょう。 基板上のコイルコアはいずれも生産時の調整固定措置がいまもそのままなので、 前オーナーがコアをいたずらに回してしまったというふうでもありません。

    もし故障しているのならバンドセレクタロータリースイッチの接触不良が一番ありそうですが、 そんなこともなさそうです。 あるいはコイルが断線したか、トリマキャパシタが傷んだか? なさそうだなあ…。

    となるとこれは本機の実力? いやあ、さすがに14-30MHzバンドでアッテネータにしかならないというのはいくらなんでもありえないでしょ? やはりFETがボケてきている、というところなのかもしれません。

    今回はいったん作業は中断して、 いつの日にか取り組むことにします。 憧れのSX-1は再びラックの飾りに。

2021-09-15 実使用においてメリットなし 作業中断 再度保管品の扱いに





> 次の作業・・・アイワ TPR-840


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