Toshiba RT-4800
"ACTAS 4800"
Radio Cassette Recorder
(1977) |
親族からの修理依頼品です。
「やっぱりスピーカが大きいからね、ラジオなんかいい音で鳴るんだよ。
テープはどうでもいいから、ボリュームのガリガリが直らないかね。」
とのことで。
ゆっくりいじる時間が取れないからいつになるかわかんないけど・・・と引き受けました。 ヘアラインシルバーのフロントパネルと2ウェイスピーカをもつこのラジカセは、 ある意味モノラルラジカセの典型といえそうな構成です。 2ウェイスピーカで音楽を楽しむだけではなく、 短波つきですから「百万人の英語」も聞けるし、 応答性の良いメカニカル・キューアンドレビューとポーズボタンを駆使してラジカセ1台つぶすつもりで英会話テープを聞けば、 ずいぶんと英語力もつくはずです。 2006-01-01 作業開始 |
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修理依頼は、テープはどうでもいいからボリュームのガリを解消してラジオが快適に聴けるとよい、
という条件でした。
本当はちょいちょいで済む依頼なのですが、
テープドライブもきちんと直したいと思ってずいぶん長い間開けたままにしてあります。 で、簡単に清掃しながら試すと、オーディオアンプはいい音で、音量も十分、 ラジオも具合よし。 シャーシ上面にあるボリュームコントロールと、バス・トレブル独立型のトーンコントロールはいずれもガリがひどかったものの、 セーフティ ウォッシュを最強噴射にしてポテンショメータ内部に吹き付け、 数10回くるくる回したらすべて快調になりました。 12cmのスピーカからは FM-10A FMトランスミッタで送信しているポップスがいい音で聞こえてきます。 やはり低価格オーディオといってもこのくらいの径のスピーカは欲しいですね。 |
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Sメータが動くので短波を聞くのがいっそう楽しくなりました。
本機の短波受信機能はシングルバンドで3.8MHzから12MHzをカバーする一般的な家庭用。
シングルスーパーなのでイメージ混信は明確だし、
受信用プリアンプをフルゲインにすると9MHz以上での混変調が顕著になってしまいます。 ダイヤルは普通の糸掛けで、プーリーとバリコンのシャフトは簡単なはめ込み方式。 高精度なダイヤル操作はとても期待できませんし、実際操作は重く、バックラッシュも大。 それでも国際放送のチューニングならなんとかなります。 ただしダイヤルスケールのロギング目盛は荒すぎて、元の周波数に戻るのは極めて困難です。 国際放送受信用として感度は十分、 安定度もこの手としては良好な部類---30分に1度程度ダイヤルに触れれば済みます。 選択度はややプロードなので10kHzのビートが絶えず聞こえていますが、 強力な局の復調音はとても豊かで自然。 7.350MHzの東南アジア向けドイチェ・ヴェレがとても良好に、すばらしい音で聞こえています。 こういった音でゆっくり放送を楽しむのは、通信型受信機ではなかなかできませんし、 現在でもどうにかマーケットに残っている短波ラジオはどれも海外出張向けのポケットサイズで、 とてもいい音がしそうにはありません。 今後、音のよい短波ラジオなんて・・・もう作られないのかな。 2006-09-25 チューニングメータ復活 |
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このラジカセはたぶん、
そのうちベルトが手に入ったら作業再開、
くらいのつもりで分解したままだったのでしょうけれど、
いつのまにか完全ほったらかし状態になり、
中央研究所設立・移転の作業が始まり・・・
完全に18年間の放置になりました。
作業優先順位も最下位クラス。
ですが仕掛かりのままにあるということはずっと気にはなっていて、
そろそろやってあげなくちゃねえ。 ということで マイキット80でラジオタイランドを聞こうプロジェクト が成功裏に完了したので、 つぎは夢と時空の部屋の最奥部に保管されていた仕掛かりのRT-4800を1時間かけて取り出して、 18年ぶりに作業を再開します。 18年前の修理はチューニングメータ動作不良で、 メーターダンプ用の電解キャパシタ劣化と プリント基板のおそらくビア断線が原因でした。 今回手始めにラジオタイランドを聞いてみましたが今夜は信号弱く、 ばっちりきれいに受信という感じではありませんでした。 ラジオタイランドの信号が弱いだけではなく、 ラジオはあきらかに音量不足。 FMラジオでも音量不足ですし、低域でひどい歪が出ます。 音量は不安定で、接触不良的な動き。 さらに、通電していると徐々に回復する傾向があります。 これはもう何も考えずに各部の電解キャパシタを全交換ですね。 このRT-4800は、18年前は短波をすごくいい音で聞けました。 本来性能を取り戻したいところです。 テープトランスポートも再整備が必要。 2024-08-08 作業再開 |
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メインボードの電解キャパシタ全交換の作業。
とくに問題も支障もなく行えました。
顕著に液漏れしているようなものはありませんでしたけれど。 18年前に交換したカセットのドライブベルトはだらしなく伸び切っていました。 秋葉原の部品屋さんで買ったものだったかな? やはりアフターマーケットの補修用部品はメーカー純正品の品質には及ばないのでしょうね。 しかしゴムベルトなどは見て触っただけでは10年後の劣化の具合は予想がつきません。 素人が見ても区別のつかないゴム材料、プロが見ればすぐに見抜けたりするものなのでしょうか。 |
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電解キャパシタ全新品交換の脳筋修理の結果。
いい音になりました!
ボリュームつまみ80%ほどまで上げると低域が破綻し始めますが、
このクラスのラジカセならこんなものでしょう。 オーディオパワーアンプには東芝TA7208Pが使われています。 キャパシタカップリングのOTL、データシートによると9V電源で2W出力が得られます。 データシートではカップリングは1000uFですが、 470uFが使われていますね。 RT-4800にはTA7208Pが2個積まれています。 もしかしてプッシュプルで使っているのかと思いましたが、配線を追いかけていくと、 ウーファとツイータをそれぞれ専用のTA8208Pで駆動しています! まあなんともゴージャスなモノラルラジカセ。 2024-08-09 いい音を楽しむ |
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RT-4800、現状では音の良いラジオという楽しみ方がいちばんだなと思いますが、
短波の受信性能はやはりフツーのラジカセのそれであって、
いろいろ苦しいところがあります。
ノイズから逃れるために外部アンテナを使おうとしても外部アンテナ端子はありません。
ホイップアンテナにワイヤーをくるくる巻いて屋外ロングワイヤーアンテナをキャパシタカップリングさせてみると、
あっという間にフロントエンドが混変調でお祭り状態になります。
途中に抵抗を入れて適度に入力レベルを抑える必要あり。
今回は470Ωを入れて、こんなもんかなという感じ。 RF同調1段しかないシングルスーパーなのでイメージ混信は顕著、 局発信号がおなじ周波数の入力信号と重なって発生するピューピュービート音もうるさいです。 目的信号が強力で局発周波数に他局がいなければいい音で楽しめるんですけどね。 シグナルジェネレータでキャリア信号をつくりアンテナにルーズカップルさせて注入する方法でUSB信号を受信してみると、 これも混変調の影響なのか、復調音質はひどいもの。 ちょうど台風が近づいてきているからJMHを受信してみたら、右図ご覧の通りでした。 このとき FRG-7 で受像すると全くノイズのないパーフェクトな画像が得られていました。 7.074MHzのFT8を同じヘテロダイン法で受信するなら、 ちょっと信じられないのですが、 マイキット80の2石再生ラジオ のほうがはるかに好成績です。 |
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18年前に分解整備していたときのパーツは見事にラボのあちこちに分散。
つまみとボタン類はめでた発見されて元通りになりました。
長いことこの金具何のかなーと思っていたのはキャリングハンドルの取り付け金具。
あとは電池カバー。
これもしょっちゅう見かけてはこれ何のだろうと思っていたのですが・・・
いざ探そうとすると見つからず。
まあそのうち出てくるでしょ。 というわけで今回はここまで。 残課題は ですが、はたして何年後かな。 2024-08-12 作業終了 |
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