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Ramsey FM-10A
FM Stereo Transmitter Kit


家のどこでも音楽が聴けたら

    とてもポピュラーなこのキットを組み立てたのは1996年の暮れ。 渡米して最初の家探しで見つけたタウンホームは、夫婦2人だけだから小さい家で十分だったし、 実際に自分たちの家の間取りはそのタウンホーム中で最小のものだったけれど、 それまでの狭い2DKアパートとは比べ物にならない広さでした。 ダイニングキッチン・リビングだけでも現在のアパート全室より広く、 クイーンサイズベッドをダブルで置けるマスターベッドルームのほかにゲストベッドルーム、 トイレは2つ。 さらに電動ドアつき屋内ガレージは当然2台収容可能。 ただしシボレー・アストロは背が高くてガレージに入らないため、 屋外駐車の許可を得て、 ガレージはシビックLXだけで、残りのスペースはワークショップにしました。

    このくらい家が広いと、家のどこにいても好きな音楽を聴けるFMトランスミッタがあれば大変便利です。 FM-10Aの存在は渡米してすぐに気がついていましたが、 しばらくはトライせず。 で、サンノゼの JDRマイクロデバイセズ に行ったときに、ようやく買い求めました。

(注: 今はサニーベールに移転しているようですね。)


Ramsey FM-10A

    Ramsey FM-10AはおそらくFMトランスミッタキットとして米国でもっともポピュラーなキットであり、 Fry'sのような大型家電店やエレクトロニクスホビーショップをはじめ、 いろいろなオンラインショップでも売られています。 一方で低価格キットゆえ不満を感じるビルダも多いらしく、 インターネット上にも関連記事が多く見つけられます。

    FM-10Aの中心はRohmのFMステレオマルチプレクサIC、BA-1401です。 定番のICといえるでしょう。 キャリア周波数はセラミックキャパシタとコイルによるLC同調で、 38kHzステレオサブキャリアは水晶発振です。 BA-1401の出力は小信号NPNトランジスタで増幅され、アンテナターミナルに導かれます。

    FM-10Aは何度か設計変更を受けているらしく、 私のボードにはRev.Fとの表示があります。 初期型("A"がつかない)FM-10は、ステレオサブキャリアがLC発振でした。 さすがにこれでは安定したパイロット信号が得られず、 水晶発振に変更されたのでしょう。 初期型はプリエンファシスの定数もヨーロッパ仕様だったようです。

    キットはスムースに組みあがり、すぐに動作を開始しましたが、 どうにもすっきりと仕上がりません。 期待していたほどにはパワーが出ていない、 のは無免許のミニパワー機だから仕方がないとして、 音が割れてしまったり、ヒスっぽかったり、 不安定だったり、 どうにも音楽を楽しむには今ひとつの状態でした。 だから別売りのFM-10A専用ケースを買い足すことはせず、 FM-10Aはりビングのオーディオ機のライン出力をつないで送信しっぱなしにしてはいたものの、 結局のところこれで音楽を楽しむことはほぼありませんでした。 日本に持って帰った後も、ラボの片隅でホコリをかぶっているだけでした。 C'z Kit TW-172D を買って組み立てたのも、FM-10Aには見込みがないものと考えていたためです。


あれ? いい音だ

    それでもこの調子の悪いキットをなんとか自力で直してみようと思い、 ラボで長いこと他の物に埋もれていたFM-10Aを引っぱりだしました。 購入してからすでに10年近くも経ってしまっています・・・。

    いつ作業したのか全く記憶がありませんが、 基板の裏を見ると、 キャリア発振コイルには5pFのキャパシタが追加されて日本のFM周波数まで下げられるようにしてありました。 またオーディオ入力にはRFの回り込みを防ぐためにやはりセラミックキャパシタでパスコンが追加されていました。

    ニッカド電池をつないで、キャリア周波数を88.8MHzに合わせなおし、 入力レベル調整トリマを再調整します。 すると、あれ? いい音だ。

    左右の音量差が大きい信号を入れると歪んでしまいますし、 ピアニシモ部分ではマルチプレクスノイズもわかります。 さらに、プリエンファシスの関係からか、ボーカルのSの音が耳障りです。 しかし普通のポップスであれば十分に楽しめる音が出ています。 あれれ、なんでだろ。 当時はえらく苦労していた気がするのに。

ハムと電源

    年代物の単3ニッカド8本で一晩運用し、 放電してしまったので13.8Vの安定化電源で動作させたら・・・ ひどいハム! それでは鉛バッテリを使うと、 これもどうしたわけかわずかにハムが出ます。 どうも外部電源の取り出しが影響している様子。 ICとファイナルアンプまでの電源供給線が短くて済むように、 基板上に3端子レギュレータで安定化電源回路をつくるのがよさそうです。

    その前に、簡単な改善を試します。 FM-10Aの出力トランジスタのコレクタ電源は、電源入力端子から270Ωの抵抗を介して直接供給されています。 これでは電源ケーブルに出力RFが回り込んでしまいますので、 270Ωに直列に小さなチョークコイルを入れました。 秋葉原で買った新品のコイルですが、 定格を忘れてしまったので、正確なインダクタンスは不明です。 おそらく10ないし20mHだと思うのですが。

    強烈なハムの原因は、ラボの誘導磁界による部分も大きいと思われます。 ラボでは コリンズ51S-1 をはじめとするAC115Vの装置のためにステップアップトランスを使っており、 これがなにか問題となっているのでは、という気がしています。 実際、FM-10Aのハムは電源そのものが問題なのではなく、 アンテナの設置の仕方で大きく左右されています。 それでは・・・ バッファアンプを一段追加してみたらどうなるかな?


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Dec. 24, 1996 Purchased at JDR Microdevices, San Jose, California. $34.95.
Sep. 01, 2006 Page created.
Sep. 30, 2006 Updated.