Grip Heater Dropper
For YAMAHA TDM850
|
第3研究所往還機
YAMAHA TDM850
はナックルガードとグリップヒータが装備されていますが、真冬の深夜長距離高速道路通勤では指先は到着時にはつらいほどにかじかみます。
ので2年目の冬、ハンドルカバーを取り付けました。
さすがにこれは効果ある!! いっぽうで、ハンドルカバーありの状態ではグリップヒータは熱くなりすぎてしまいます。 市街地走行においてはとても入れたままにはできないほど。 さりとて高速道路では切ったままでは指先は冷たくなってしまいます。 長距離走行では手のひらと指先が温まれば体全体も温まりますので、ホカホカ走行を狙ってグリップヒータのパワーを下げる工夫をしてみることにします。 熱容量の大きなヒータですから、電圧を下げるよりもデューティ制御で行きましょう。 周波数1Hz前後で、デューティ80〜60%あたりで駆動すればいいんじゃないかな。 温度センサをつけてフィードバック制御をつけたりとかマイクロコントローラを使うとか凝りすぎると、 完成が春になっちゃって意味がなくなってしまいます。 から、シンプルな構成のドロッパにしましょう。 古典的なトランジスタ2石の無安定マルチバイブレータをつくり、パワートランジスタを駆動する方式にします。 パワートランジスタは、中央研究所の部品在庫のなかからNEC 2SA1845を使うことにしました。 すでに廃品種になっている古いパワートランジスタですが、最大コレクタ電流は5A。 ちょうどいいかも。 パワートランジスタのオン抵抗を下げるためには50mA程度はベース電流を流す必要がありそう。 なのでドライバトランジスタを入れて、合計4石。 なお今回はごくストレートフォワードに考えてグリップヒータは下流側スイッチングとし、車両との接続を回路電源ラインを含めて3線使うことにしました。 工夫すれば2線だけで行けるでしょうが、今回は見送り。 2011-12-29 グリップヒータドロッパ: コンセプト検討 パワーデバイス選定 Maxitronix 500 in One Electronic Lab は第3研究所に置いてあるので、 今回はプロトタイピングに Elenco Precision [外部リンク] のブレッドボード、Model 9425を使いました。 パワートランジスタ以外のトランジスタは在庫パーツの中から小信号の定番2N2222を選びました。 デューティ比を調整できるよう半固定抵抗も入れました。 これは壊れた東芝製のVHSビデオデッキに使われていたもの。 無安定マルチバイブレータは一発で動作開始。 ついでドライバトランジスタ、パワートランジスタを追加し、 実際に2Aの負荷でスイッチングを試します。 在庫部品のなかに5Ωのセメント抵抗があり、こりゃうまい。 12Vで2Aとちょっと流れますから、グリップヒータ代わりのダミー負荷としてどんぴしゃりです。 2時間連続動作させ、パワートランジスタはそれなりに高温になるものの問題なさそうなので、基板に実装開始。 例によって事前にアートワークを行わない出たとこ勝負のレイアウト。 今回は簡単な回路なのに、残念、4本もジャンパーを飛ばす羽目になってしまいました。 ドロッパボードは動作開始しましたが、電力回路なのにグラウンドと電源ラインのパターンが近接しすぎていて、 褒められたものではありません。 PSE審査は間違いなく不合格でしょう。 2011-12-30 グリップヒータドロッパ: 設計 ブレッドボード試作 基板実装 すべてラボの在庫部品だけで作れるかなと思いましたが、意外な落とし穴・・・M3の小ネジが見つかりません。 小ネジは大量に在庫があるのですが、すべてインチネジで、合うナットがないのです。 で、日本に帰ってからいろいろ買い揃えていた小ネジはひとつの部品ケースにまとめておいたのですが、 それがケースごと行方不明。 仕方がなく、ホームセンターに行きM3のボルトナットを7本セットで128円という高値で数セット買ってきました。 ドロッパユニットはちいさなポリプロピレン製防水食品ケースに入れます。 ケースは半透明なので内部のLEDが目視できて便利。 そのかわりパワートランジスタの熱が中にこもってしまうかな。 外気温5℃以下のときにしか使わないだろうから、大丈夫と思いますが。 ケースに入れたドロッパユニットをどこに取り付けようかな、とTDM850実車を眺め回しますが、意外にうまい場所がありません。 そのうち他にもいろいろスイッチやインジケータ類をフェアリング内側に取り付けようと思っています。 スイッチやインジケータと離れた場所にドロッパユニットを置くならサイドカウル内側やフロントカウル内側など場所はそれなりに考えられますが、 今回はドロッパユニットのLEDを確認したいと思うので、走行中に見える場所となるとなかなかいい場所がありません。 今回は簡単にETC OBDの取り付けブラケットを利用してハンドルバーに取り付けることにします。 そのうちナビゲーション装置を取り付けるときはドロッパユニットの移設を考えなくてはなりませんが。 2011-12-31 筐体組み込み ブラケット装着 年越しプロジェクトになってしまいました。いよいよ車両組付け。 まずはドロッパユニットをETC OBEに並べて設置。これは予定通りにスムース。 つぎはグリップヒータとOBEの配線をいったんすべてばらして、ドロッパユニットのハーネスを合わせて再配索。 バイパススイッチはいい具合の防水スイッチが手に入ってから取り付けることにしました。 グラウンドリターンはグリップヒータとOBEを一緒にしたのちにフレームに落としました。 よって、中古車購入時に設けられていたスタータモータ上流へのグラウンドリターン線は使われなくなりました。 すっきりきれいに配索できたし、ハンドルバーの上でドロッパユニットは規則正しく点滅していて、グリップヒータはほんのり温まっています。 うまくいったぞ。 ところが思いもかけなかったトラブルが!! エンジンを始動すると、ドロッパユニットのLEDが不規則に激しく点滅するのです。 これはおそらく電源ラインの電圧変動がとても大きいためでしょう。このままではまったく使いものになりません。 ドロッパユニットの電源入力には逆接保護ダイオードを入れてあったので、 このカソード側(つまりドロッパユニットの内部電源ライン)とグラウンドの間に470μFの電解キャパシタを入れたら、 回路の暴れはぴたりと静まりました。 やはり電源波形の問題だった。オートバイの電源ラインはこんなにも質が悪いのか! 電源平滑キャパシタを入れれば問題が解決することはわかりましたが、 470μFのキャパシタを後付けで追加するスペースは基板上にはもうありませんし、部品高が高すぎてケースに収まりません。 もっと小さなキャパシタで行けないかなと試してみましたが、47μFでは回路動作は暴れたまま、 100μFで改善されますがはっきりと乱れています。 せめて220μFは必要な様子。 基板上の空きスペースに取り付けられそうな小型470μFが在庫してますが、定格電圧16WV品なので使えません。 電源ラインに47Ωくらいの抵抗を直列に入れればより小さなキャパシタで平滑効果が得られるでしょうが、 基板をベースとブラケットから外して今から改造するのは面倒です。 結局330μF 50WV品を基板上に横倒し空中配線で取り付けることにしました。 これでは振動に耐えられるはずがないので、ボンドG17を流して固定しました。 本来ならシリコンラバー剤をつかいたいのですが…G17の揮発ガスは電子部品にどんな影響があるだろうか。 今回は最終的に結局現調対策が必要になってしまいました。残念。 ボルテージレギュレータをもつモーターサイクルならそんなに電源ラインは暴れていないだろうと思っていましたが甘かったようです。 一度TDM850の電源波形を見ておくべきだな。電源変動を模擬する電源装置でも工夫してみようか。 2012-01-01 車両取り付け 電源品質による誤動作対策 |
A grip heater dropper has been built. It employs a very classic astable multivibrator circuit using 2 transistors, followed by a power transistor to turn on and off the grip heater current. |
グリップヒータドロッパはケースの防水が不十分で大雨走行時に基板が濡れ動作不良になりましたが、ケースあわせ面に接着剤を流し込んでからは安定して動作しています。
が、デューティ固定ではやはり不便。
真冬の高速走行時や、ハンドルカバーを装備していない晩秋・早春の長距離走行ではフルパワーで動作させたいところです。
2013年10月、今年の冬に向けてデューティ可変、あるいはマイクロコントローラ制御で車速と気温からマッピング制御する次期モデルでも作ろうかなあなどと思いつつ、
ラボの中古部品/再利用材料ストックのなかからちょうど使えそうなアクリルケースと、スイッチつきポテンショメータ、
それにそのケースにちょうど合うようなサイズのユニバーサル基板をジャンク基板から切り出しておきました。 しかしElencoのブレッドボードがどこかに行ってしまい、試作に取り掛かれません。 平日の夜にEL500で作業しようとも思いましたが、11月以降は右腕を失ったかのような人事異動で負担増、 それを必死に切り盛りしていることなどちっともありがたく思ってくれていないようなシニアマネジメントの配慮のない言葉に憤慨してしまい、 夜はただぼーっとする2ヶ月間になってしまいしまた。 が、そろそろ本格的な冬が来た2013年12月、ドロッパに軽く触れたらパキッという音とともにケースに大穴が開いてしまいました。 ありゃりゃ、ポリプロピレンは2年間の日射暴露で致命的に脆化していたのです。 これはマイコン制御などと悠長なことは言ってられないな。 手っ取り早く2号機をつくろう。 2号機は以下のようにします。 在庫部品の整理など普段できないことをのんびり行えた正月休み、ようやくブレッドボードが見つかりました。 これで試作に取り掛かれるぞ。 |
|
今回の回路はNE555を使います。小学生の電子工作入門のお約束みたいなものですね。
アステーブル動作をさせて、RAは固定、RBを可変にします。
使おうと思っている可変抵抗はスイッチ付きの2.5kΩ品で、
これは昔ポゴがだれかに買ってもらって、だけど壊れてしまった電子ピアノのおもちゃに使われていたもの。
制御のデューティサイクルは75%〜100%の間で可変にしようと思っているので、RAは3.3kΩにします。
時定数キャパシタは220μFにしました。これでだいたい希望する動作になりました。 グリップヒータのスイッチングには ウインカーポジション&ハザードコントローラ で具合よく働いてくれているPチャネルパワーMOSFET、2SJ653を使い、上流スイッチングとします。 NE555のOUTPUT端子とMOSFETの間に小信号トランジスタを入れます。 パワーMOSFETのゲートは抵抗でソースにプルアップしておき、トランジスタがオンするとゲート電圧がゼロに落とされてMOSFETがオンする仕組みです。 トランジスタはサルベージ品のなかから2N3904を選びました。 1号機のときは電源を安定化していなかったのでエンジンを始動すると点滅動作が乱れてしまい、急遽電解キャパシタを追加して対策しました。 この反省として、2号機では安定化電源回路を持たせます。 NE555とトランジスタひとつ、それにLEDをふたつだけですから小さなもので十分。 小さなTO-92Mパッケージの5V3端子レギュレータHA178L05の在庫がたくさんあったのでこれを使い、回路は5Vで動作させることにします。 NE555の最低動作電圧は4.5Vですから大丈夫。 2014-01-02 グリップヒータドロッパ2号機 ブレッドボード試作 |
The Grip Heater Dropper 2 uses NE555 Timer IC to provide variable duty control. The heater current is upstream switched by P-channel power MOSFET. A voltage regulator IC is added as the lessons learned from the Grip Heater Dropper 1. The heater can be switched off by means of the control knob turning full counterclockwise, eliminating the already-faulty original heater switch. Circuit is steadly operating on a prototyping board. A automotive stop lamp bulb is used as the test load, seen at the upper right in the photo. |
1月3日午後、サイズに切り出してから3ヵ月は経っているユニバーサル基板に実装開始。
今回はよく晴れた冬のお日さまに感謝し、
オフグリッドソーラーパワー
ではんだこてを動作させます。
電動ドリルのバッテリの充電も、ワークライトも、インターネットラジオをかけっぱなしにしているAndroidも、
その音声をスピーカで鳴らしている
ミニパワーアンプ
も、全てソーラーパワー。 組み込むケースの関係で背の高い部品は使えません。 手持ちの220μF品は高過ぎなので100μFをふたつ並列にしようかと思いましたが、 ふと足元に転がっていた 廃棄品のUSB ACアダプタ を見たら小さくて背の低い220μFが2個ついていましたので、ひとつ取り外して、動作チェック。 正常動作しましたので、これを使用することに。 簡単な回路ですが、のんびり作業して、完成したのは夜10時過ぎ。 普段使いのバッテリだけでは足らず、バックアップ用のAC Delcoディープサイクルバッテリも使いきってしまいました。 2014-01-03 グリップヒータドロッパ2号機 基板実装・匡体組み込み 1月4日、TDM850への組み込み。実質2時間30分でできあがり。 テストランしてみると、デューティ100%にセットすれば当然ですがいままでよりもずっと温まります。 当然ですが、1号機で見舞われた電源品質に起因する動作不良も皆無。 今回のプロジェクトのサクセスクライテリアは ウインカーポジション&ハザードコントローラ と同様に1年1万2000マイルでフル・サクセス、3年3万6000マイルでエクステンデッド・サクセスとしますが、 TDM850はあと3年は持たないだろうなあ。 2014-01-04 グリップヒータドロッパ2号機 車両取り付け 39558.6mi ちなみに、2号機実機には上記回路図中のR3 10kΩを取り付けていません。 この抵抗はグリップヒータOFFのときにドライバトランジスタのベースを安定してグラウンドレベルに落とすためのもので、 これがないとハイ インピーダンス状態のベースの電位が何らかの理由で上がってしまったときにグリップヒータがONしてしまう可能性があります。 スイッチつきポテンショメータまでの3cm程度のワイヤーがアンテナになってRFを拾う、というのが起こりえそうなシナリオ。 まあときたま一瞬ONしても困らないところなので、しばらく実走行条件でそのようなことが起こるかどうか見てみることにします。 1月上旬、富岡の夜の気温は0℃にまで落ちます。 正月休み終了の第3研究所向け走行、発時の気温は氷点下1.5度の予報。 今度は上信越道の高速走行でも首都圏の市街地走行でも快適にいられるかな。 |
Appreciating to the bright winter sunshine, assemble work was fully done by solar power, except the power to run a PC. A soldering iron and a LED bench work light was from independent solar power system. A battery of a power drill was charged from solar power. Android smartphone was continuously playing internet radio with solar power, and the audio mini power amplifier is also solar powered. Running soldering iron for 10 hours was tough to the already aged solar power system battery. The AC100V inveter shut down just before the completion, due to the low storage battery voltage. |
大雪の次の週、
ETC OBDが不調になりました。
走行中に頻繁にリブートを繰り返します。
でも、これはOBEの問題ではないのかもしれない。
実は1月から使い始めているグリップヒータドロッパ2号機はしっかりつくったつもりだったのに防水が不完全だったと見えて、
1ヶ月たったあたりからケース内に水滴が付着しはじめました。
ドロッパのランプは点滅していて動作はしているのですが、
ひょっとするとドロッパになにか異常が起きていて、グリップヒータと共通の電源を使っているOBEに悪影響を及ぼしているのかもしれない。
事実、2月28日帰投走行時はドロッパが不調になり、ヒータをうまく制御できなくなってしまいました。 で、まずは調査のためにティーディから共通のワイヤーハーネスにぶら下がったドロッパとOBEを取り外してベンチでテストしてみると・・・ありゃ、症状が再現しない。 たしかにドロッパ内部には水分が入っていて異常動作をしているのですが、OBEは振っても姿勢を変えても安定して動作しています。 ううむ、となると想定できるシナリオは・・・
ともかく、グリップヒータドロッパのケースを開け、 はやくも錆び始めていた基板の銅箔面を金属ブラシで清掃し、基板が乾くまで数時間連続動作させ、 家庭用のシリコン充填材を買ってきてケース内を防水しました。 手抜き配線だったシャシーグラウンドも丸型端子を使って取り付けなおし。 グリップヒータもOBEも正常に動作していますし、ステアリングを振っても、6000rpmまで回しても、加減速しても動作は安定しています。 でも、やっぱりこれは実際に1時間ほど走ってみないと本当に症状が消えたのかどうかはわからないぞ。 しかし今週末はまたまた天気が悪く、テストランに出ようという気にはなれませんでした。 2014-03-01 グリップヒータドロッパ防水処理 + OBE取り付けなおし 修理後1週間、グリップヒータもETC OBEも安定して動作しています。 やはりグリップヒータドロッパの異常動作がOBEを狂わせていたというのが正解だあったようです。 グリップヒータドロッパのパワーMOS FETとドライバトランジスタ回路には動作安定用のキャパシタ類は全く入れていませんでした。 基板に付着した水分によるリークで負帰還が形成され、発振動作してしまっていたのでしょう。 故障したときにその機械が正常動作しなくなるのは仕方がないとしても、その隣の装置の正常動作を阻害したとあってはかなり重大な不具合です。 電源は車両のイグニッション系配策から取っていましたから、もっとひどかったらパワーダウン、燃費低下あるいはエンストを招いていたかも。 ひょっとしたら異常発生中は車両から予期せずにRFをばらまいていて、 信号待ちのときに近くの家や隣の車のラジオにノイズが入ったりしていたかもしれないな。 メーカー製品では決して許せない手抜き設計だ、ということになります。 反省。 |
|
2号機は結果として大失敗作でした。
稼動開始して2ヶ月経たずに浸水で周辺機器を巻き込む動作不良を起こし、
シリコン充填材による防水対策後も3ヶ月程度で動作が不安定になり、
7月にはヒータがどうにも切れなくなり、ONままで炎天下の東北道を1日走ってみごとに手のひらに低温火傷、
5箇所の水ぶくれが破れて新しい皮膚に完全に置き換わるまで2週間を要しました。
健康障害まで引き起こしたとあっては、リコールどころか訴訟さえ起こされそうな品質でした。 夏休み明け、自分の力不足で仕事が大炎上し、9月はうつ大発作直前。 食欲ゼロ、休日も自発力ゼロの状態が続いてしまいました。 状況は好転とまではなっていませんが、もう10月。 このままではすぐに冬がきてしまいそうです。 ので、台風が接近している3連休はグリップヒータ3号機の製作で気を紛らわせることにしました。 パワーMOS FETとポテンショメータは2号機のものをサルベージして使おうと思いましたが、 2号機のポテンショメータは内部腐食で完全に故障。 動作不良はポテンショメータの腐食が主要因のひとつでした。 もちろんもうひとつはパワーMOS FETのゲート駆動トランジスタのベースを適切にプルダウンしていなかったこと。 MOS FETは使えるでしょうが、やはり新品を使うことにします。 |
|
|||
週末通勤の高速巡航中に考えた3号機のコンセプトはひきつづきのアナログ回路。
今度はオペアンプを使うことにしました。
オペアンプ1個でマルチバイブレータをつくり、周期的に上下するキャパシタ充放電電圧を取り出して、
それを2つめのオペアンプでデューティ設定電圧と比較動作させることによりデューティ調整を行う方式です。
デューティ0%の完全OFF状態からデューティ100%の連続ON状態までポテンショメータ1つで可変させます。
デュアルオペアンプならDIP 8ピンのパッケージですから、NE555と大差ないでしょう。
ま、周辺部品はちょっと増えてしまうでしょうが。
グリップヒータ駆動は2号機と同じパワーMOS FETで、上流側スイッチングです。 Elenco Precision Model 9425ブレッドボードで試作を行い、完成した回路は右図。 原理はいたってシンプルなのですが、いままででいちばん複雑かな。 車両からのVBATTをHA178L05 5V 800mA 3端子ボルテージレギュレータで生成したDC5Vを制御回路の電源としています。 U1はオペアンプひとつによる無安定マルチバイブレータで、発振周波数はC3とR4で決定されます。 今回の回路では実測1.28Hz。 U1の出力はきれいにON-OFFを繰り返す矩形波ですが、 キャパシタC3の電圧は右下のオシロ管面スナップショットに見えるような波形で、 1.4Vから3.4Vの間を上下します。 この電圧を次段U2の非反転入力 (LM358N 5ピン) に加えます。 U2の反転入力 (LM358N 6ピン) には、スレッショルド設定電圧としてポテンショメータで可変することのできる電圧を入れています。 設定つまみを反時計方向に回しきると設定電圧は4.2Vとなり、非反転入力に入れた発振器キャパシタ電圧をいつも上回るので、オペアンプU2の出力は常時ローレベルとなります。 この状態ではベース電圧が低いのでトランジスタQ1はOFF状態で、パワーMOS FETのゲートは抵抗R9によってVBATTにプルアップされます。 このためパワー MOS FETはONせず、よってグリップヒータに電力は供給されません。 設定つまみを時計方向に回しきると設定電圧は0.8Vとなり、非反転入力に入れた発振器キャパシタ電圧をいつも下回るので、オペアンプU2の出力は常時ハイレベルとなります。 この電圧はR8を介してトランジスタQ1のベースにかかり、トランジスタはON状態になります。 するとパワーMOS FETのゲート電圧がGNDレベルにまで落とされるので、パワー MOS FETがONし、グリップヒータに電力が供給されます。 設定つまみが中間の位置にあるときは、発振器キャパシタ電圧が設定電圧を上回るときだけパワー MOS FETがONし、グリップヒータに断続的に電力が供給されます。 これにより0%から100%までの任意のデューティ比でヒータを駆動することができ、温度調整が可能になっています。 グリップヒータの代わりの負荷として12Vウインカー球を用い、ブレッドボード試作回路は安定して動作しています。 2014-10-11 グリップヒータドロッパ3号機 ブレッドボード試作 |
|
|||
昨日のうちに切り出しておいたユニバーサル基板に回路を実装。
いつも通りののんびり作業なので半日コースですが、今回大きな作業ミスはなく、基板は動作開始。
でも、みのむしクリップで仮配線していたポテンショメータをビニール線でつないだら・・・
ONしっぱなしになってしまいました。
あれあれ、どこかでブリッジや半田付け不良があるのかな?
でもマルチバイブレータは正常に発振しているし、なかなか原因がつかめません。 |
|
|||
小一時間費やして判明したのが、ポテンショメータの不良。
みのむしクリップで使っていたときは正常だったのに、いまではまったく導通がありません。
どうやら半田付けの熱で内部が損傷してしまったようです。
まさか、そんなに長時間こてをあてていたわけでもないのに、信じられない脆弱さだ。 このポテンショメータはビニール袋に入った新品在庫でした。 たぶんなにかのキットに付属していたものです。 代わりのものを探しますが、ケースの関係から比較的小型のものでなくてはだめです。 サイズ的にちょうどいい中古品がありましたが、これはアメリカ品で、シャフト部のねじ径が一回り大きく、 ちょうどあうナットが見当たりません。 取り付けられないのでは使えないね。 さらにパーツボックスを探すと、 谷岡電子GEA-0083グラフィックス・イコライザ キット に付属していたポテンショメータが全く同一品です。 これを使おう、ただし今度は半田付けは手早くやるように。 でもこの調子じゃ、このグライコキットをつくった人はポテンショメータを焼ききってうまくいかなかった人が結構いるんじゃないのかな。 右の写真で、 左は腐食して故障した2号機のポテンショ、 まんなかは半田付けで故障してしまったポテンショ、 右は取り付けねじ径が大きくて合うワッシャがないアメリカ製ポテンショ。 2014-10-12 グリップヒータドロッパ3号機 基板実装 |
|
|||
翌日、プラスチックケースへの基板組み込み作業。
2号機の失敗は設計不良もさることながらケースの防水性不足がなにより致命的だったので、
果敢にも同じケース・同じワイヤーの引き出し方法をとりつつ、防水の工夫をします。
電子基板用の防湿コーティングスプレーを使いたいところですが手元にないので (今度買っておこう)、
接着剤と0.5mm厚のゴム板とポリエチレン袋を使って、いかにも素人臭さ100%の対策。
さあてどうなるかな。 2014-10-13 グリップヒータドロッパ3号機 筐体実装 翌週、ティーディ実車に搭載。 10月中旬、もう深夜は寒くなってきています。 グリップヒータがあれば薄手のグローブが使える季節を2週間ないし1ヶ月は伸ばせます。 ティーディはもうすぐ8万km到達で、まもなく車検。 車両がこの先2年間持つのかどうかは怪しくなってきています。 目標耐用は1年1万マイルとしますが、はてね。 2014-10-19 グリップヒータドロッパ3号機 車両装着 48641.7mi |
|