Ramsey Electronics AR-1
Airband Receiver Kit
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ここまでやった段階でこのAR-1はガレージの棚に上げられ、そのままとなってしまっていました。
1998年11月、
Lafayette HA-55A エアバンド・レシーバ
をいじりはじめ、その回路図が入手できるまでの間のネタとして再びAR-1を引っ張り出してはみたものの、
新しく買ったデジタルカメラで中身の写真を2~3枚撮っただけで、
何も作業できず。 |
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トリオTS-820Sのデジタル周波数カウンタの2回目修理作業
を終え、
次に取り組むのは・・・
ゴールデンウィークも終わりもうすぐ夏だから、真空管はやめとこう。
あまり熱を出さないものは・・・
あれのつづきをやるか? いよいよ? ついに? 保管箱から取り出したAR-1のプラスチックケースは、 保管中は光には当たっていなかったはずなのに、 黄変が進んでいました。 27年とはかくも長い歳月。 いかに27年が長かったのか。 その間にRamsey社はホビイスト・子供向けのキットビジネスから完全撤退してしまいました。 RamseyはAR-1の後継/上位モデルとしてデジタルPLL制御のエアバンドレシーバAR-2を発売しており、 いつかはチャレンジしてみたいなあ、 いやでもその前にAR-1を完成させないと・・・ などと考えている間に、 Ramseyは思い出の中に。 2025-05-07 AR-1作業再開 |
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まず手始めは、スピーカジャック交換。
AR-1のスピーカジャックは基板に直付けですが、なぜかΦ2.5mmジャック。
これでは不便なので、パーツボックスから取り出した中古Φ3.5mmのモノラルジャックに交換しました。
あわせ当時実験のためにつないでいたいろいろヘンテコなワイヤー類を除去。 安定化電源装置でDC9.0Vを与え、 シグナルジェネレータでつくった119MHzのAM信号をアンテナ端子に入れたら、 AR-1はグズらずに鳴り始めました。 最初にいじっていたときは、こんなに安定して受信動作できたことはありません。 30年前に不調の原因だと推測していたことは、 見事な正解でした。 やはり安定した電源電圧を与えることは本機では絶対に必要なのでしょうね。 このAR-1を組み立てていた渡米直後のクパチーノのガレージには安定化電源装置さえなかったので、 試すすべもなかったのです。 本キットを最初に組み立てたときは、 ベンチにはシグナルジェネレータもありませんでした。 実際の航空無線通信を受信するしかテストの方法はなかったのです。 でもいまでは120MHzまで出せるシグナルジェネレータがあります。 当時と今との一番の違いはコレ。 感度も良好なようす。 シグナルジェネレータ出力を最低の1mVp-pにしてもはっきりと聞き取れています。 もっともこのシグナルジェネレータ、 最高周波数120MHzあたりでの出力レベルの正確さはかなり怪しいようですけれど。 このページを見返すと、 オークランド広域管制が聞こえたって書いてあるなあ・・・ クパチーノラボからオークランド国際空港までは直線で46kmありました。 もっともその直線経路の大半はサンフランシスコ・ベイの海上ですが。 いまグンマからだと成田の地上局は聞こえないでしょうねえ。 でもときたま南の空の航路を東西に飛ぶ上空局が東京コントロールを呼び出すのはこのラボでも聞こえるはずです。 2025-05-07 動作開始 |
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シグナルジェネレータで10.7MHzを作ってループリンクで信号を注入し、
10.7MHz中間周波トランスの調整を行いました。
調整は大きくずれていたということはありませんでしたが、
正確に合わせたところひとまわり感度がアップしました。 本機をいじっていた当時とのラボ設備とのもうひとつの違いは、 ワイドバンド受信ができて周波数が正確にわかるゼネカバ受信機があること。 本機の近くにリンクコイルを置いてゼネカバ受信機でAR-1の局発信号の漏れを受信すれば、 ダイヤルが全くないAR-1でもいまどこを聞いているのかが簡単にわかります。 簡単にアンテナ端子にみのむしクリップコードをつなぎ、 ラボのあたりで一番強く聞こえる東京コントロールに ― その周波数ははっきり覚えていました ― AR-1を合わせてみると、 さほど経たずに上空局からの実際の信号を受信することができました。 時間とともにダイヤルがずれて聞こえなくなってしまうというようなこともなく、 周波数安定性は実用的です。 やはりバリキャップ電圧を安定化するというのはAR-1に必須の改造ですね。 受信中に局発の漏れを別の受信機で聞いてみると、 オーディオ出力に応じて局発にAM/FM変調がかかってしまっています。 バリキャップとNE602の電源のデカップリングなどを改善すれば、 音質は良くなり発振傾向も低減されるのではないかな? 2025-05-08 実信号を受信 |
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120MHzのエアバンド帯は、短波とは違いますねえ。
いままで短波では問題にならなかった機器が、
エアバンド帯にノイズを出していることに気づきます。 それでもこれは意外だった・・・ 120.500MHzに入ってくるバズノイズは、 CBA-1000真空管アンプ に取り付けてあるデジタルパネルメータが出していました! 2025-05-11 |
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CBA-1000真空管アンプは一日中 ― 昼間はオンラインミーティングの音声アンプとして ―
使っていますから止めるわけにはいかず、
まあそれならパネルメータだけ止めてしまえばいいわけですが、
AR-1も次第に調子よくなってきているので、
ベランダに簡易屋外アンテナを用意し、
AR-1までは同軸ケーブルで引き込むようにしました。 結果は上々、ノイズがぐっと減りました。 パネルメータのノイズは全く気になりません。 なのでパネルメータはAR-1のチューニング電圧の表示に使います。 これで元の周波数にすぐに戻れるのでとても便利。 昼間は仕事用ラップトップとポートリプリケータを使いますが、 そのノイズはAR-1に直接飛び込んでしまいます。 まあこれはオープンシャシーでテストしている間は仕方なし。 2025-05-11 屋外アンテナを準備 |
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AR-1に
CRV-1/HB RI2
に使っているのと同タイプの周波数カウンタが使えないかどうか、検討してみます。 このカウンタは最高周波数65MHz (実力69MHz) なので、 AR-1の局部発振周波数は直読できません。 10分の1のプリスケーラを用意できれば、 IFオフセットを1.07MHzとして設定すればいいですね。 ただし小数点表示の工夫は必要ですけれど。 ところでいま10分周プリスケーラを作ろうとしても、 定番のuPB551Cは入手難ですね。 どうしよう・・・ あ、秋月電子でプリスケーラキット売っているぞ。 2025-05-15 |
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亀井堂マイフライツアーから戻って一息ついた後、
入荷していた8ケタ周波数カウンタをテストします。 この周波数カウンタは120MHzを直接入力できますが、 信号GNDをつないだとたんに同じ電源装置で動作させているAR-1に明らかな、 とても受信機として使えないほどのノイズが入ります。 うえ、これは何だろう。 なんか対策できるだろうか。 ノイズが対策できたとして、 このカウンタには信号入力レベルは100mVp-p程度は必要。 物は試しとNE602の局発ピンに直接つないでみましたが、 表示できないだけでなくノイズもひどく入ってしまいます。 少なくともプリアンプ/バッファアンプの追加は必要だなあ。 2025-05-24 |
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いったんAR-1ノーマルの回路定数に戻したところから、
再び改善の検討。
R16を10kΩから47kΩに変え、
AGCアンプゲインを倍にしてみました。
AGCが効き始める信号強度をより低くするわけで、
ディレイドAGCの効きはじめを早くするということもできます。
いっぽうでこの改造でオーディオ出力は弱まってしまいますね。 2025-05-25 やはりオーディオレベルは下がってしまったので、 スケルチゲートのオペアンプの増幅度を4倍にしました。 この段はオーディオ信号としてはレベルを4分の1ほどに下げる設定になっています。 はて、なんでそうしてあるのかな。 LM386への入力としてはレベルが高すぎたのかな。 E23を10kΩから47kΩに変えて、音量は大幅アップ。 スピーカからは十分な大音量が出ますが、 AGCの効きはやはり大きく不足していますねえ。 2025-05-26 スケルチゲートのオーディオゲインを約4倍に改造 (x1/4 -> x1) |
自分が扱えるのはDC回路、せいぜいオーディオ周波数どまりだな・・・
とちょっと意気消沈し、
一休みしたのちに、
それならDC回路をいじればいいじゃない、と言いながら、
AR-1用のSメータ回路の試作を始めます。
いまのままだと
U-70D
を作業用に使えないからね。 仕組みは簡単、 LM324を2個で8つのコンパレータを並べるだけ。 あえて回路図を描くまでもなく、 ただAGC電圧と比較する8ステップの電圧を作るために抵抗はいくつにしたらいいのかを考えてノートに書き留め、 ブレッドボードで配線を開始。 回路は一発で、 いい感じで動作し始めました。 すこし応答は遅くしたほうがいい感じになるかな? しばらく実用しながら、設定を微調整していくことにします。 2025-05-31 Sメータ ブレッドボード試作 動作開始 |
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Ramsey AR-1の回路図です。実験中のメモと改造点を含みます。 |
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