Kosmos XN3000
Electronic Labor
http://www.kosmos.de/ |
Maxitronics EL500in1
を買ってから1ヶ月も経っていないのに、
勢いで買ってしまったのが
Kosmos XN3000
。
これも電子部品を配置して回路を組み立て学んでゆく学習キットで、
カウンタICがあるものの、基本はオペアンプも含めたアナログ回路のトレーナー。
300種類の実験が可能、とあります。
シリーズ製品にそれぞれ100種類・200種類の実験が可能なXN1000とXN2000があり、
XN3000はシリーズ最上位機種です。 学研マイキット のスプリング式、 学研電子ブロック のブロック式、 Maxitronix EL500 のブレッドボード式に対して、 XN3000は中継ポスト式とでも言うべき仕組みになっています。 配線はマイキットよりも手間がかかるし、 EL500ほどの多様な回路機能が作れるわけでもありませんが、 このキットでは他では学べないことが学べそうなのです。 それはつまり・・・マニュアルが全部ドイツ語!!! |
ホテルの部屋でパッケージを開けて、まずはニマニマして楽しむことにします。
大きなパッケージの中はご覧のように3つのパックからなっています。
おお、シャーシからして組み立てキットになってるぞ。 マニュアルはリング式のA4サイズ横置きで、全168ページ。 マイキットや電子ブロックのマニュアルは、 掲載されている回路が多少は入門から上級の順番になってはいるものの、 電子回路の動作原理をひとつずつ説明しているというには無理があります。 特に 電子ブロックEX-150 のマニュアルは学習テキストというにはお粗末すぎて、 これを読んでも接合トランジスタの動作原理が理解できるとは思えません。 これに対してXN3000のマニュアルは、むしろ電子工学のテキストといえる内容になっており、 半導体のPN接合モデルも説明されているし、 トランジスタのベース・エミッタ電圧が通常0.6Vを示すことにも触れられているし、 バイアス抵抗の計算方法も掲載されています。 順番どおりに実験を進めて最後まで到達すれば、 アナログ回路がひととおり理解できるでしょう。 ただし数式は並列共振周波数の算出式など一部を除いては使われておらず、 小学生・中学生でも無理なく楽しむことができるようになっています。 で、パッケージにある"300種類の実験"という触れ込みですが、 マニュアルの表紙では"300種類以上の"と書かれており、 実際には317の実験が掲載されています。 これはほぼ同一の回路を用いて 「○○○を×××してみましょう」といった派生実験も含まれているので、 基本回路としては200種類とちょっと、といったところのようです。 まあ、マイキット150が「電池で豆電球を点灯する回路」をいくつも違った実験として数えあげているのに比べればサギ度はずっと低いです。 まだ時間はあるし組み立ててみるかな、と思いましたが、電源は9V電池を2個。 これは手元にないので買ってこなくっちゃ・・・しかしすでに土曜の午後4時。 ホテルの近くのお店はレストラン以外はすべて閉まっていました。 本当にドイツの人々は何をして週末を過ごしているのだろう? 全体のパッケージは RADIOMANN よりも一回り大きいですが、 今回は大容量のキャスターつきダッフルバッグを持ってきていたので、 パンツと靴下の投棄を行わなくても持って帰ることができました。 |
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XN3000の大柄な筐体は、いつもとっ散らかっているラボのスペースではなかなか収容スペースに困ります。
ので、これは第2研究所配備としました。
週末にばあちゃんが
ポゴ
の面倒を見てくれている間のお楽しみ&ドイツ語の勉強にしよう、という趣向です。 このキットには、マイキットやEL500に比べて学習キットとして優れている点があります。 それは、まずシャーシの組み立てから始める、ということ。 プラスチック製のシャーシには初めは何も組みつけられていません。 シャーシは左右2分割。 このシャーシはシリーズ製品のXN1000/XN2000/XN3000に共通で、 ローエンドのXN1000では2分割シャーシのうちの左側だけが使われ、 XN2000/XN3000では右側シャーシが追加される、という構成になっているのです。 左右のそれぞれのシャーシは、上側パネルと下側トレイがヒンジで開く方式になっています。 作業の一番目は、上側パネルと下側トレイをプラスチック製のヒンジピンで結合し、 ついで左右を小さなプラスチック製のクサビで結合します。 シャーシは大きいもののシャーシの肉厚は薄く、プラスチックは強度がありません。 左右の結合は小さなクサビだけが応力を受け持つので、 シャーシ全体は軽いものの剛性は不足気味で、手荒な取り扱いは苦手なようです。 ヒンジピンやコントロールノブなどはちょうどプラモデルのようにライナーについたまま提供されており、 ニッパで切り離してバリを取り除く手作業も必要です。 シャーシが組みあがったら次は、フロントパネルに多数のシュテックフェーデルン(配線端子)を組みつけていきます。 ひとつのシュテックフェーデルンはスチールプレス製の金属部品で、 これに最大4本のワイヤを差し込むことができます。 |
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そして、ドレーコ(バリコン)やポティ(ポテンショメータ)、メスヴェルク(メータ)、
ラウトスプレッヒャー(スピーカ)などをパネルに取り付けていきます。
これらの部品にはすでにリード線が半田付けされており、
リード線の末端をフロントパネルの穴を通して表側に出し、
所定のシュテックフェーデルンに差し込みます。 この仕組みにより、小さなスクリュードライバーやプライヤーは必要となりますが、 半田付けを一切せずにシャーシを組み立てることができ、 ユーザはキットで使うすべての部品を目にし、触れて学ぶことができます。 シャーシの組み立てが終わったら、 主要な部品が良品であることを確認するための回路組み立てを行います。 この工程で、ユーザは配線の方法を学びます。 パッケージの写真ではシャーシにかっこいいネームプレートが貼られていますが、 そのようなものは同梱されていません。 あれえ? と思いながらマニュアルを見てみると、 最後から2ページ目につづりこまれた厚手紙カラー印刷のページにネームプレートの絵が入っていて、 どうやらこれを切り取って糊で貼り付けてください、ということのようです。 うーん、学研の「科学」の付録みたいだぞ。 下側トレイにはご覧のように仕切り板が成型されており、 小物部品を整理収容できるようになっています。 |
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本キットに付属してくる能動素子は以下のようになっています。 本機の電源は9V積層乾電池が2本。 左右のシャーシにそれぞれ1つずつ電池を入れます。 これは本来左側はそれ単体でXN1000として販売されており、 XN2000/3000では右側シャーシが追加になっているという構成に起因しています。 ラジオなどの回路で右側シャーシの電池だけを使用するのですが、 オペアンプの実験を行うときは電池が2つあるということを生かして、正負の両電源を実現しています。 |
Chapter 16. Kline Radios - selbstgebaut ラジオ回路 ラジオは以上の13回路。この手のキットにつきもののゲルマラジオはありません。 これは、付属しているイヤホンがマグネチック型であるがゆえに、 増幅段なしではほとんど鳴らすことができないためです。 108はICオーディオアンプのチャプターで登場しますが、 AM変調とダイオード検波の仕組みの説明がここで行われています。 マイキットでは見られなかった再生式が4つもあるのがドイツっぽいところです。 同調コイルはスーパーヘテロダイン用の局発コイルを使用しています。 したがって、高感度なバージョンであっても多少のアンテナ線は必要となるでしょう。 再生検波はいずれもポテンショメータで再生量を調整しています。 番号の大きな3品はオペアンプ実験およびカウンタ実験のオーディオソースとしてラジオを使っています。 やはりAMラジオをつくるならバーアンテナが欲しいところですね。 AGCなしのストレート式ではやはり実用性に欠けますから、 バーアンテナに加えて局発コイルと中間周波トランスも用意し、 AGCつきの実用的なスーパーヘテロダインもラインアップに加えたいところです。 MOSFETもあることだし、インダクタンスの小さな同調コイルを用意すれば再生式短波受信機もできそう。 トランスミッタ 驚くべきことにトランスミッタはただのひとつもありません。 イノセントな電波障害が発生してしまうことを恐れているからなのでしょうか? でもそれなら再生式ラジオを取り上げるべきでもありません。 ドイツ国内(もしかしたらEU圏内)ではAMトランスミッタはたとえ微弱でもご法度、 というのをどこかで読んだような記憶がありますのでこの辺が事情なのかもしれません。 リレーはないので1910年代の火花式は無理。 でもトランジスタが3つとMOSFETがひとつあるので、 コルピッツ発振+エミッタフォロワ+変調+出力、音声増幅にはオペアンプ、 といった構成は採れそうです。 あるいはNE555でトーン発振してA2送信機も可能でしょう。 試してみよう。 |