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ぱっと見は、ありがちなアメリカ製の自作無線機です。
日本ならさしずめバーニア ダイヤルが使われていたであろうところには、
定番のナショナルの"ベルベット"ダイヤルがあります。
操作つまみは整然と配置されていて、センスがよくて腕の立つビルダーであろうことが推測されます。
まず"PLATE" および "LOADING" と書かれたコントロールがあることから真空管送信機だろうと思われるし、
"BAND-SWITCH" があることからマルチバンド対応であることが伺えます。
"MIC" ジャックがあるので電話送信機だろうと考えられるし、
"VOLUME" と "PITCH" コントロールがあるので受信機も入っていることがわかります。
そうなるとこれは、真空管式のHFトランシーバ・・・おそらくSSBトランシーバでしょう。
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上から見ると、真空管が並ぶ代わりにプリント基板が使われていることに気づきます。
もしSB-34の内部を見たことがあるなら、その類似性に気がつくはずです。
これはSB-34の中身を取り出してリパッケージしたものに違いない・・・
たとえば高価な電源トランスを焼いてしまったので、
修理に出す代わりに手持ちのトランスを使って自分流に使いやすいよう大改造してしまった、とか。
しかしこの自作機とSB-34を詳細に比較していくと、
使用されている基板はSB-34にそっくりではあるものの、同じではないことに気がつきます。
実際のところこの機械の回路はSB-34ではなく、さりとてSB-33でもないのです。
これはSB-34の試作機に違いない!!
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シャーシ下側、特に配線の引き回しのあたりに、ビルダの腕のすばらしさが感じられます。
基板のプリントパターンをSB-34と比較してみたくなるかもしれませんね。
SB-34に似ていますが、同一ではありません。
4つのHFオシレータ クリスタルがあり、またスラグ ラック機構が見えます。
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スラグ ラック機構のクローズアップ。
美しい機械仕上げに感嘆してしまいます。
SB-34量産機では、
ファイナル同調用バリコンはロータリースイッチつきのスラグ ラック機構を駆動するジニーバ メカニズムのシャフトから減速して回されますが、
この試作機では同調用バリコンは独立したつまみで操作されています。
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このトランシーバには製造者や型番、日付やシリアルナンバーなどの表示が全く入っていません。
たったひとつだけのヒントがここに・・・はっきり"SB-34"と読めます。
オーナーであるジョンさんは、この無線機を稼動状態にもっていこうと努力されています。
が、回路はSB-33ともSB-34とも違うために苦労されているとの由。
ということは、SB-34量産機はこの試作機以降に相当の改良・変更が入っているのです。
いつかジョンさんが復活プロジェクトを完了してQRVされることを願いましょう。
彼はまさに歴史を所有しているのです!
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