Riemann's Zeta Function
H. M. Edwards
Dover Publications Inc. ISBN-13: 978-0-486-41740-0 Softcover $15.95
Original copyright 1974 |
ポゴがなかなか寝付けないというので、じゃあちょっと難しい話でもしようか。
算数のお話ならきっとすぐに寝れるよ。何のお話をしようか? 「ねえパパ、1たす2たす3ってずっと足し算して、1000まで足したらいくつになる?」 「おっ、いきなり無限級数の部分和か? えっと、10までだったら55なのは知ってるけれど、1000までだと・・・ちょっと調べていい?」 「いいよ。」 X01Tでぐぐって、 の公式がすぐに得られました。 「ポゴ、答えは500500だ。1000かける1001をやって、それを2で割ればいいんだ。」 「そう。あたり。」 「えっ、答えを知っていたの?」 「うん。本に書いてあったの。5、0、0、5、0、0。おもしろいよね。計算のし方も書いてあったから筆算すればいくつでもわかるよ。」 「すごいなポゴ。」 今回は安直にウェブに行って部分和の公式を得ましたが、 ブロックを積み上げた図を考えればよいことに気がつけば、 この公式は三角形の面積の公式を理解できる小学生高学年なら自力で見いだせそうです。 まだポゴは公式という考え方は知らないと思っていたのですが、 本に書いてある計算の方法を使えばどんな自然数に対しても部分和を求めることができるということを知ったようですから、 これは公式という概念ができ始めているということです。 「それで、1たす2たす3たす・・・ってどんどん足していくと、答えはいくらでも大きくなるだろう? それを無限大っていうんだ。」 「でもムゲンダイに1たせば答えはやっぱりムゲンダイより大きくなるじゃない。」 「いいや、無限大ってのは数字じゃなくて考え方だから、無限大に1を足すっていうのは意味がないんだ。」 「ふうん、よくわかんない。」 そうこうするうちにポゴは寝付きました。 ポゴが寝付いた後にぐぐったページのつづきを読むと、別の計算の方法では であるとも書かれています。 ええっ、なんだそれ? そんなはずないだろう? でもそのページにはそれ以上のことは書かれておらず、ただ答えはマイナス12分の1とあるだけ。 さあ、こんどはパパが寝付けなくなってしまいました。 2011-11-06 むずかしいお話 (ポゴは小学3年生) |
One night In the bedroom, Pogo, then 8 years old, said she couldn't go asleep.
I replied, "Okay, let's talk about something difficult then. How about a math?" Then she asked, "Dad, if we sum up 1 and 2 and 3 and 4... till 1000, how much is it?" I was unable to quickly recall the fomula of partial sum so I googled with my X01T and got the fomula as well as the answer of 500,500. Pogo said, "You're right, dad." "Oh, did you know the correct answer?" "Yes, dad. Five-zero-zero, five-zero-zero. Interesting, isn't it? I learned from a book how to calculate so if I have a pencil and a piece of paper I can tell the total." "Wonderful, Pogo." I continued, "in that way if we add numbers forever, then the answer will grow forever, you know. It is called "Mugendai". Pogo said, "but if you add another 1, it will be bigger than Mugendai." "No, Pogo. Mugendai is a concept, or how we think about a biggest number. It's not an exact number, therefore it is meaningless in adding a number to Mugendai." "Huh... I don't understand." Then she fell asleep. In a quiet and dark bedroom I continued to read the page displayed on the X01T and it reads, "in another calculation method the sum of 1+2+3+4+... is equal to - 1/12". Eh? What's that? The page did not explain why. Now I found myself being unable to go asleep. |
ある形の無限級数の和を示すリーマンゼータ関数というのがあって、 というものらしく、この関数に s = -1 を与えると右辺は 1+2+3+4+・・・・ となります。これは当然無限大に発散しますが、しかし計算では だというのです。いったいどういうわけだ。 リーマンゼータ関数は s = 1 のときには右辺は のことですから級数の和は∞に発散してしまいます。 ぱっと見にはこれはある値に落ち着きそうですが、 そうではなくて∞に発散する・・・ただしすごくゆっくりとした速度だけれど・・・ 教科書を見なければ自力では証明できそうにありませんが、でもこれは納得します。 本来リーマンゼータ関数が絶対収束するのは複素変数sの実部が1より大きいときだけ。 sの実部が1以下のときはゼータ関数ζ(s)の定義式Σn-sを直接使うことはできないのです。 つまり s = -1 を入れることはナンセンスなのです。なあんだ。 ところで、定義域が限られている関数の定義域を拡張するテクニックとして解析接続というものがあるらしく、 リーマンゼータ変数も解析接続することによって定義域をs=1を除く全複素数に拡大できる、と書かれています。 さて解析接続って一体何なんだ。 ともあれこの解析接続の結果は正しいことが保証されているとのことで、 つまりリーマンゼータ関数にマイナス1を与えたときの計算結果であるマイナス12分の1という答えもまた正しいとのこと。 つまり1+2+3+4+・・・はなんとマイナス12分の1ということになります。 さあて、これはどう考えればいいんだ。 一番最初の無限級数の和1+2+3+4+・・・は、やはり無限大になります。 これが直感に反してどこかでマイナスになってしまうわけではないのです。 解析接続後のリーマンゼータ関数は、1+2+3+4+・・・が無限大に発散することを否定したわけではないようです。 でs=-1と置いたときと同じ。 なんだかこれはありえないところから-1/12という鳩をとりだす不思議な手品です。 そこから鳩が出てくるはずがないというのは正しい解釈だし、そこから鳩が出てきたのも紛れもない事実。 どこかにトリック、つまり理解の違いが隠されているはず。 手品のトリックは観客がそれを知らないからトリックなのであり手品なのであって、 演じ手にとっては明瞭でただしく全て科学的に説明ができる合理的な手順であり、ミスなく演じなくてはならない操作なのです。 おそらく多くの数学者さんはこの演技手順を完ぺきに理解していて、 だけれど手品師が進んで自らの人気演目のトリックを明かさないように、 一般大衆向けにわかりやすく説明してはくれていないようです。 それとも実際高級なトリックで、解析の基礎すら理解できていない素人に説明しようとも困難なものなのでしょうか。 手品のたねあかしを見せられて観客がおおっ、そうだったのか! と驚くためには、観客の側にも相応の知能が必要。 数学者たちは一生懸命たねあかしをしてくれているのだけれど、数学落ちこぼれの私にはそれを理解できるほどの知能がないってことなのかな。 さて、とすると、数学おちこぼれの一般大衆である私がとるべきは? 正確な数学的解釈は必要なく、どうして1つの表現が相反する結果を同時に満たしうるのかという漠然とした考え方がわかって納得できればそれでいいのですが、 無理なのかなあ。 やはりζ(-1)の手品のトリックをことさら見破ろうとはせずエンターテインメントとしてとらえてつかの間楽しむにとどめておくのが良さそう。 でもかなりくやしいから何冊か本を買って読んでみたり文献を探したりしていますが・・・やっぱりだめだ。 誰か助けて。 |