INTERNATIONAL RESCUE
Thunderbirds
Agents' Technical Manual
Sam Denham / Illustrator Graham Bleathman
Haynes Publications ISBN-13: 978-0857331175 Hardcover
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なにしろ隠しようのないサンダーバード世代なので、手当たり次第にそろえるほどのマニアではありませんが、
この手の本が出されるとつい手に取ってしまいます。
レディネス、ケイパビリティ、ディペンダビリティ、コントリビューション。
今の私の源流はやはりここにあるのだと思わざるを得ません。 いちばん感銘を受けた場面やセリフは人によって様々でしょうが、 私の場合はUSNセンチネルからの対空ミサイルを食らった2号を案ずるジェフに対してブレインズがどもりながら答えた、 "Ah, uh, well , so, so long as her reacter plant hasn't been damaged, her chances are good." です。途方もないほどの設計努力の裏づけがあってはじめて言えることです。本当にすごいぞ。 Thunderbirdsは英国の作品であり、 米国市場も視野に入れた演出が施されていた割にはオリジナル放映当時アメリカではさほどの大ヒットにはならなかったのも興味深いところです。 クレイトン・ワード嬢の貴族の暮らしぶりはアメリカ人にはウケなかったのか? アメリカ在住中にはサンダーバードのおもちゃはほとんど見かけませんでしたが、 アメリカからドイツに海外出張してフィールドテストしていたときに手作りRS-232Cレベルコンバータの9V電池が切れてしまって、 ここなら売っているだろうと思って入ったレーゲンスブルグのトイザらスにかっこいい1号が売られていて、 狂喜して電池を買うのを忘れてしまったことを思い出しました。 この本は国際救助隊の成立までのエピソード、メンバーのプロフィール、機材と施設の詳細な解説がなされています。 類似の本は今までに多く出ていましたが、この本で氷解した疑問もいくつかありました。 たとえば5号1機だけでどうして世界じゅうの通信をカバーできるのかとか、 サンダーバード機実現のキーマテリアルであるカヘリウム資源がどこにあるのかとか。 救助隊設立までのストーリーも読みごたえあり。 期待通りでうれしかったのは、この本は作品の一部として書かれたものであって、ファンの視点から書かれたものではないこと。 ナントカ氏サンダーバードを語るとかの企画は、つい読んではしまうものの、つまるところ他人にとってのサンダーバードなんかどうでもいいのです。 所詮は子供向けのSFエンターテインメント作品なのですから登場する機材の設定のあら捜しをするのは野暮というものです(実際突っ込みどころ満載です)が、 それを承知でどうしても気になってしまうのが次。 さらに心配なのは、2号の機首とサイドメンバーの接続部、そして主翼桁取り付け部の機械的強度。 インテークダクトとタービンが示された構造透視図を見れば見るほど、 この部分はどんな材料と工法で作られているのだろうかと疑問が強まってきます。 まあ、ブレインズのことだから今の我々が思いもつかないような技術や工法、材料を使っているのでしょう。 よっぽどの機密なためか、このAgents' Technical Manualでもこれらには触れられていません。 なので、ひきつづきそれらはいったいどんなものなのだろうと思索を続けて楽しむことができます。 それにしてもブレインズ、高速エレベーターカーにABSを装備していなかったのはどうしてなんだい? それともファイヤーフラッシュマーク6の着陸進入速度が速すぎて制御則が対応しきれなかったのかな? |