NoobowSystems Lab.

Radio Restoration Projects

Yaesu FR-50

Amateur Band Shortwave Communications Receiver
(1966)

    I was hesitating to tweak vacuum tube equipments after 3-11; conserving energy was more important. Now it should not be felt so guilty, if on weekends and avoiding the peak time of power consumption. A new face to the lab is the early production of Yaesu FR-50 receiver. The previous owner told me that he serviced the receiver by himself and it was fully operational. I hoped it was not fully true, and the initial test found that the S meter was not working and the SSB audio was not perfect. It was the beginning of another fun time.






整備してあります

    久しぶりにラボに真空管受信機が増えました。 シャシーは荒れが目立っていて、かっこいいとはいえないトリマの配置と合わせて中身の見てくれはあまりよくありませんが、 フロントパネルはきれいな初期型のFR-50です。 3-11以降、節電の意識が優先してしまって真空管機器いじりは遠慮していましたが、 もうそろそろ、週末くらいなら、ピークタイムを外せば罪の意識を持たなくてもいいでしょう。

    前オーナーさんは「整備してあります、ちゃんと動きますよ」ということでしたが、 これは信じず、期待せず。 もしほんとうにすべてきちんと働いてしまったら、楽しみが半減してしまいますから。

    スピーカとアンテナをつなぎ、電源を入れたら、たしかにちゃんと動作し始めました。 なあんだ残念。 でも性能はいまひとつという感じもしますし、いじって楽しむ余地はありそう。

    オリジナルのアンテナコネクタはいまや実用性がありませんので、まずはこれをBNCコネクタに交換しました。




FR-50

    八重洲FR-50はアマチュア無線バンド専用の短波受信機。 高周波増幅1段、第2中間周波増幅2段のダブルスーパーヘテロダイン構成です。 基本的に同社製FL-50送信機とペアにしてトランシープ構成にして使います。

    この個体はフロントパネルにZERO SETつまみがないところをみるとFR-50の初期のプロダクションだったものと思われます。


    ダブルスーパーヘテロダインの第1中間周波数は5.1739MHz、第2中間周波数は455kHz。 第1局部発振はトランジスタによるコルピッツ発振VFOで、 第2局部発振はトランジスタ水晶発振。 発振回路の電源は電圧からツェナーダイオードで安定化されて生成されています。

    VFOは3.5MHz帯と7MHz帯受信時には受信周波数よりも5.1739MHz高い周波数を、 14/21/28MHz帯受信時には受信周波数よりも5.1739MHz低い周波数を発振します。 7MHz帯受信時のVFO発振周波数は約12MHz、 21MHz帯受信時は約16MHzですので、 いくら発熱の少ないトランジスタ回路で電源も安定化してあり、 さらに温度補償キャパシタを併用してあるといっても、 安定な発振周波数を得るのはそもそも困難。 実際FR-50は電源投入直後からコンスタントに周波数ドリフトが始まります。 室温の低い冬の午後に21MHzを聴くと1時間以上ウォームアップしても周波数ドリフトは収まらず、 ダイヤルに常に手をかけて微調しながらの受信になります。

    第1局発を水晶にして第2局発をVFOにすればVFOは低い周波数を発振すれば済むので良好な安定度が得られます。 いろいろ理由があったのでしょうが、FR-50はどうしてこんな構成にしたのかな。 複数の水晶を並べるのがコスト的に許されなかったからなのか、 それとも特許の関係? なんにせよ、コリンズSライン登場から何年も経った1966年、当時のJA機はまだこんな程度だったんだなと感じさせられます。



DESIGNATION TYPE FUNCTION
V1 6BZ6 RF Amplifier
V2 12AT7 1st Mixer
V3 6CB6 2nd Mixer
V4 6BA6 IF Amplifier
V5 6BA6 IF Amplifier
V6 6BE6 Product Detector
V7 6BA6 BFO
V8 6AW8A AF Amplifier / Audio Output
TR1 2SC372 VFO
TR2 2SC372 VFO Buffer
TR3 2SC372 HFO


Sメータ

    各バンドおそらく正常なレベルで動作しているFR-50ですが、 電源投入時も動作中もSメータはピクリとも動きません。 メータ両端の抵抗値を計ってみると、やはり無限大。 むう、残念だ。 でもこのメータ、ありがちなサイズのものですので、 サイズが同じメータを手に入れて、八重洲のロゴの入った目盛盤を移植して修理できるものと思います。 とはいえ、オンラインショップをあちこち探してみましたが、まったく同一の形状のものは見つかりません。 これは秋葉原に出かけて現品あわせで探すようかなあ。

ベゼル寸法 □50mm
取り付けボルト間隔38mm

    この機械は完全オリジナルでのレストアというより、オリジナルに復旧可能な範囲でいろいろ遊んで学んでみようかなと思っています。 実際に使ってみてまず第一の不満であるSSB/CW音声のアタック歪を改善するために、AGCとSメータ回路の自作に取り組んでもいいかな。







Sメータ回路

    右の回路図はFR-50の第1中間周波数増幅段を示しています。 この回路は前後にメカニカルフィルタが配置されているほかは特に変わったことのない構成で、 中間周波増幅段の定番である6BA6リモートカットオフ・ペントードが使われています。

    6BA6のコントロールグリッドはAGC電圧でバイアスされています。 信号強度が高まるとAGC電圧は大きく負になり、6BA6の増幅度が下がります。 このとき6BA6のプレート電流はぐっと減り、そのためにカソード抵抗を流れる電流も減り、よってカソード電圧が下がります。 Sメータは6BA6のスクリーン電圧を分圧した電圧を基準として、 6BA6のカソード電圧を測定している、という構成です。 メータの逆ぶれを防ぐためにメータに直列にシリコンダイオードが入っています。

   




AGC回路

    良好に受信できているボスニア・ヘルツェゴビナの局を聞きながら、 AGC回路がどうなっているのかを調べます。 まずFR-50とその後期改良型であるFR-50Bを比較すると、FR-50ではフロントパネルのAGCスイッチがON-OFF切り替えであるのに対し、 FR-50BではSLOW-FAST切り替えになっています。 FR-50を改良したければ何も考えずにFR-50B相当にしてしまうのも一つの手。 でもまずはFR-50オリジナルのままで見てみます。

    FR-50回路図からAM検波・プロダクト検波ならびにAGC電圧生成部分を抜き出して書き直したものが右図。 第2中間周波増幅第2段の出力は中間周波トランスL7を通って検波段に伝えられます。 中間周波トランス出力は、ダイオード1S1007によるAM検波回路と、 6BE6ペンタグリッド管によるプロダクトディテクタに同時に与えられています。 AM検波段では信号レベルに応じた負の電圧が発生しており、これがAGC電圧として取り出されています。 AGC電圧は、高周波増幅管6BZ6、第2中間周波増幅の第1段6BA6と第2段6BA6のコントロールグリッドに与えられ、 これらの管のゲインを制御します。

    FR-50の日本語版オペレーションマニュアルを読むと、
    DX局を受信する場合やCW,SSBなどを受信する場合AVC回路をOFFにしてRF,GAINで調整すればS/Nの良い良好な音質で受信出来ます。
と書かれています。 てことは、SSBでAGC ONだと音質が悪くなるということを認めているわけね。

    ここで気になるのはAGC電圧生成回路に入ってるシリコンダイオードSH-1。 AGC電圧充電抵抗 R55 / 2.2MΩと並列に入っているものです。 回路図では、このダイオードには追番が振られていません。 D1〜D8までは他の部分にあるので、振るとすればD9となると思うのですが、 この追番振れ忘れはひょっとするとこのダイオードが設計の後期に対策として追加されたものなのではないかという気がします。 そしてその機能は・・・ 信号強度が急速に高まって検波出力が大きく負になったとき、 AGCラインをいち早く追従させる役割を果たしているのではないかと思います。 つまりこれでファースト・アタック特性を得ているのかな、と。

    もしそうであれば、現状の「SSBで話し始めのシラブルが歪む/CWのキークリックが気になる」 という症状は、そのシリコンダイオードSH-1のオープン故障あるいは劣化なのかもしれません。 あるいはもしダイオードが正常なのであれば、 このダイオード1個だけではファースト・アタック特性を実現するには不十分、 だからオペレーションマニュアルでそれを認めざるを得なかった・・・ということになります。

    ではまずこのシリコンダイオードの点検を・・・と思いFR-50実機のシャーシ裏をしげしげ眺めたのですが、 あれえ、どこにも見つからない。 ANL用のシリコンダイオードはANLスイッチのすぐ裏にあり、 またSメータ逆振れ防止用シリコンダイオードは第2中間周波第1増幅管6BA6の2ピンに直結される形で取り付けられているのですが、 同じ形の部品は他のどこにも見つかりません。 中間周波トランス2次側のAM検波用ダイオードから配線を追い、2.2MΩは見つけたのですが、 それに並列に入るようなダイオードはありません。 やはり回路図の追番なしダイオードはランニングチェンジで追加されたものだったようです。 当時を知るOMさんはご承知のことなのかもしれませんけれど。

    で、在庫部品からひとつ正体不明のシリコンスイッチングダイオードを取りだして2.2MΩに並列に入れてみると、 たしかに効果あり。 SSBの話し始めのシラブルの歪みもなくなり、 CWではキークリックがなくなって聞きやすくなりました。

    実際にCWを受信しながらオシロスコープで見ただけなので正確ではありませんが、 アタックはそれまでの5ms以上だったものが1ms程度になっていて、ダイオードを入れた効果は明らかです。 しかしAGCリリースの時定数もかなり速いです。 これでは復調音質への影響が無視できません。 AGCの時定数を決定するキャパシタはC56 0.01μFですが、これに0.47μFを並列に入れてようやく実用的な応答時間になり、 音質も良くなりました。

    でもこれだと先ほど入れたダイオードの効きが悪くなって、SSBでの歪とCWのキークリックが少し出始めてしまいましたし、 強力な局の場合は復調音の歪はまだ明確です。 やはりアクティブ素子を入れて改善するというトレーニング課題は残っているようです。

    台風一過の日曜日の夜、国内QSOが聞こえなくなって海外局がちらほら聞こえだした7MHzをうろうろしてロシア局を聴いていると、 おそらく第1周波数変換段をスルーしたと思われる混信が聞こえ始めました。 さあてこれはどう対策すればいいんだろう。 この問題への対応としてFR-50のアンテナコネクタ直後には5MHzトラップが入っていますが、 これを再調整するとかすればいいのかな。 それともだめなら外付けプリセレクタが必要なのかな。





AGC回路のつづきを

    FR-50はベンチの上でサービスポジションのまま、ほぼ1年経過してしまいました。 いつもながらのスローペース。 最後に作業していたとき、人のオペレーションにいちゃもんつけている局がいて、 たぶんひどく酔っ払った年寄りなのだろうけれどもそれはそれは汚い罵り言葉、 というよりもほとんど恫喝で、街中の路上でやったらきっと通りかがりの人が見かねて警察を呼んだであろうひどさでした。 まあこの手のやからは昔からどの世界にもいるけれども、 その夜は聞いているこっちが本当にひどい気持ちにさせられてしまい、その後しばらく7MHzを聴こうという気にならず、 気がついたらずいぶん経ってしまったのでした。 もちろんFR-50には全く責任はないのですけどね。 こっちももうりっぱな年寄り、でもあんなみっともない、人に迷惑をかけるジジイにはなりたくないな。

    FR-50は、やはりメータを使えるようにし、さらに簡単なものでいいからAGC動作を補助する追加回路でもこしらえて第一段階終了としたいな。 オペアンプを使ったAGC電圧バッファアンプを小さな基板に実装し、筐体内のどこかに組み込むという感じ。 ファースト・アタック、スローディケイのAGC回路ができたら、ついでにSメータをLEDバーグラフで自作するっていうのも楽しいかも。



追加回路用の電源を考える

    現状 (ファーストアタックのためのシリコンダイオードと時定数増大のための0.47μFキャパシタを追加した状態) では、 北京放送のような超強力な局の場合でAGC電圧はマイナス10Vを越えることがあります。 ので、この回路の電源はマイナス15Vの単電源にできたらいいでしょう。 電源トランスの12VACヒータ巻線からうまく-15Vが作れないかな。

    FR-50とその改良機FR-50Bとでは回路の変更点がいくつもありますが、 違いの一つは真空管のヒータ点火方式。
    FR-50は電源トランスのヒータ電源はAC12Vで、6V管のヒータは直並列接続されて12Vで点火されています。
    これに対してFR-50Bではヒータ電源は6VAC。 1本だけ使われている12V管 12AT7のヒータにはセンタータップがあるので、これを使って6V点火されています。

    FR-50の方式だと6V管のどれか1本のヒータが切れたり抜かれたりしたときにバランスが崩れて他の管のヒータ電圧が大きく影響を受けてしまいす。 FR-50Bの方式のほうが安心感がありますね。 なぜ当初FR-50では直並列点火方式を取ったのだろう。 電源トランスにはFR-50との品番が明記されていて専用設計品だと思われるので、 手持ちの電源トランスに合わせるためというのは理由ではなさそうですし。

    よく晴れた1月の昼下がり、 独立系ソーラーパワーシステム の100Ahバッテリはフルチャージになっています。 ので、余剰のパネル電力でデスクライトとともにFR-50を動作させ、 太陽エネルギーで灯っている真空管のヒータを眺めながらカーボンフリーで7MHzののんびりラグチューをワッチします。 トランジスタ式VFOの電源はB電源からツェナーダイオードで生成されていて、ウォームアップは必要ですが、AC電源電圧の変動には強い様子。 MPPTチャージコントローラやACパワーインバータからのノイズもあまり気にならず。 午後1時、パネルは78Wを発電中。 真空管を8本使っているFR-50の消費電力はオペレーションマニュアルには50VAと書かれています。 FR-50はB電源整流にシリコンダイオード、VFOとHFOにはトランジスタを使っていますので、90Wを必要とする コリンズ75S-1 に比べればエコです。



つづく・・・


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Aug. 25, 2012 FR-50 obtained.
Aug. 26, 2012 Quick check. The receiver seems to be operating.
Sep. 02, 2012 Test run. S-meter found to be defective. S-meter removed from the panel.
Sep. 23, 2012 Page created.
Sep. 29, 2012 Studied the 1st IF amplifier and the S meter circuit.
Sep. 30, 2012 Added diode in parallel to the AGC register to improve AGC attack response.
Dec. 23, 2013 Updated.
Jan. 17, 2015 Updated.
Jan. 31, 2015 Updated.