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ポピュラー・サイエンス誌に掲載されたラジオ組み立て記事をまとめた本。初版出版は1943年8月、この本は1945年6月に 印刷されたもの。ということは・・・・終戦のわずか2ヶ月前!ハードカバーながらさすがに戦時中のこと、紙質は貧素でうすっぺらいものです。「この本は戦 時中の資源節約のため、通常であればずっと大きな本であるはずの内容を掲載しており、政府の規制に準拠しています。」の旨が書かれています。 |
冒頭に登場するのは、$8.95で作れる2球式ラジオ。企画として面白いのはまず最初に基本的な部品だけは買っておいて、まず簡単な回路からトライしよう というもの。真空管は2本、25B8GT(5極3極複合管)と70L7GT(5極2極複合管)。最初の回路は25B8GTの5極管部分だけを使用した再生 式で、70L7GTの2極管部分を電源整流に使用したトランスレス構成。次のステップは25B8GTの5極管で高周波増幅、3極管部分で検波と音声増幅を 行うTRF方式。そして25B8GTの5極管で再生検波、3極管部分で低周波増幅、そして仕上げは70L7GTの5極管部分を音声出力とするスピーカ駆動 モデル。 2球とはいえ並4構成なわけですから十分に実用になるでしょう。
その外にレコードプレーヤアンプ、インターフォン、キッチン用ラジオ、ポケットラジオなど数々。 2球再生・プラグインコイル式の短波ラジオなどもあって、短波の受信を厳しく規制されていた戦時中の日本とは大きな違いです。戦時中もアメリカの人々はこの本を見ながらラヂヲをくみたてていたのですね。 この種類の本がおそらくその後のアメリカの電子技術の進歩に寄与したものといえるでしょう。ちょうど私が子供のころに2石レフレックスの組立てに夢中だったように。 技術の高度化に伴い、最近ではそんな子供も少ないと聞きさみしく思う私はすでに過去の人なのでしょうか・・・。