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W2OJW Jerry Powell氏は、その晩年、
自分の息子に近所のハムショップの電話番号を教えました。
自分が死んだらここに電話をするように、と。
2001年に92歳でJerryが亡くなると、息子のDonaldは父に言われたとおりに電話をかけました。
トラックが2台やってきて、無線機やアンテナ、さまざまな機械や正体不明なもの、
それにバインダに整理されたQSLカードが運び出されていきました。
その後バインダに綴じられたQSLカードのコレクションはフレア・マーケットの折りたたみテーブルの上で売りに出され、
たまたまこの本の著者Danny Gregoryがそれに興味を引かれて買って帰りました。
アマチュア無線についてほとんど何も知らなかったDannyは、
しかしそれらのカードがどうやらアマチュア無線に関するものであることに気がつき、
共著者Paulとともにアマチュア無線について調べ始めたのです。
W2OJW / W9DOG Jerryはごく普通のアマチュア無線家でしたが、
1928年のファーストQSOに始まって1995年までの約70年間のQSLカードのうちもっとも価値のあるものだけを抜きだしたそのコレクションに、
著者のDannyはひとりのハムの人生と、彼につかの間かかわった大勢の世界中の人々、それぞれの時代と歴史を見出し、
一冊の本にまとめようと決心したのでした。
W2OJWはゲームのようにカントリーを集めることだけが目的の最近のアマチュア無線家とは異なり、
世界の人々と話をすることそのものを楽しむハムでした。
全カラー印刷のこの本は、W2OJWのQSLカードを年代順に眺めながら、
W2OJWの人生、様々な国の歴史とその時代の出来事をまとめています。
基本的にまったくアマチュア無線を知らない人でもこの世界のすばらしさがわかるように随所に注釈や解説が入っています。
とくに本の中央ページには、両側折込み見開きで世界地図があり、W2OJWがQSOした地点がマークされています。
本当に世界中とおしゃべりを楽しんだ人だったんだ・・・。
言葉の関係と依然として多すぎる局数ということもあるでしょうが、
日本のアマチュア無線家は、
世界の人々とのんびりラグチューを楽しむという本来のアマチュア無線の楽しみを忘れているのではないかという気がしました。
うむむ・・・私も2アマを取って14MHzに出たくなってきたぞ。
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こちらは裏表紙。
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