完璧ハンドブック
厚さ5.5cmの弁当箱のようなサイズのこの本は、ラジオ受信機と送信機の動作原理と上手な使い方を技術に興味を持つ一般ユーザを対象に記したもの。
実際手に持ってみるとさほどずっしりしていません。
実は使われている紙が厚手で、総ページ数は350ページ。
厚さに比べれば情報量は少なめですが、内容は"Complete Handbook of Radio Receiver" と
"Complete Handbook of Radio Transmitter"の2冊の本をまとめたもので、前半が受信機、後半が受信機のセクションです。
内容は電子工学の純粋なテキストではなく、一般ユーザ、つまりアマチュア無線家やSWL(日本でいうBCL) またはCBオペレータ向け。
受信機セクションは通信型受信機の開発史ではじまり、受信機の形式、それぞれの回路ブロックの種類と動作原理、
トラブルシューティングと保守調整に触れられています。
回路の動作原理では実際の回路図を多数とりあげて解説していますが、 この本だけでそういった回路を自分で設計したり製作したりするのは無理。
しかし、買ってきた受信機についてきた回路図を読んでその動作原理や長所・短所を理解し、その理解に基づいて保守・修理できるようになるはずです。
著作は1980年。それまでの八重洲FRG-7のようなアナログ受信機からPLLシンセサイザを用いたデジタル受信機へ移行していく時代です。
同じスーパーヘテロダインでも、入力信号をいったん高い周波数に持ち上げるアップコンバージョン方式については記載がありません。
表紙にはLafayette BCR-101 (日本国内名称 BCL-1) のダイヤルを操作するイラストが描かれていますが、
ダイヤル操作でバリコンを回す時代はほぼ終わりつつあり、この後しだいにテクノロジーは黒いエポキシモールドの中に封止されていってしまいます。
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