自動デジタル計算機。
まだコンピュータという言葉が一般化していないころの本です。
電子計算機といえば大きな部屋にぎっしりの機械におびただしい数の真空管、
それを動作させるための猛烈な電力、そして最優先用途は軍事用、当時としては膨大に思えた量の数値計算。
わずか40年ちょっと前のこの本は、最初アリゾナにある
キットピーク国立天文台
の図書館の蔵書だったようです。
それがどういうわけか
マウンテンビューの古本屋
に出回ったのですな。
キットピークへは車で行ったことがあります。
見渡す限り何もない荒野と、そこにそびえるキットピーク山。澄みきった青空。
残念なことに
夜空を体験
できなかったのですが、さぞや美しい星空でしょう。
さて肝心の本ですが、デジタル計算機の歴史と原理、コンピュータに利用されている計算素子、入出力装置、記憶装置、
そしてプログラムについて書かれています。
現在もっとも野心的なプロジェクトとして紹介されているのがIBMによって開発されたNORC(Naval Ordnance Research Computer)で、
符号付き13桁の数値を2000ワード記憶できるelectro-static記憶装置(どんなものだかわかりません。)、
加算時間15μ秒、乗算31μ秒、8本のテープ装置と毎秒300文字印字可能なプリンタをもち、価格は250万ドル!だそうです。
記憶装置についてはリレーを皮切りにガス封入サイラトロン、真空管フリップフロップ、トランジスタ、フェライトコア、磁気共鳴方式、デカトロン、
STCトロン、トロコトロン(すでに想像不可能!)などが紹介されています。
トランジスタに関しては動作が不安定で、使い物にしようとすると周辺回路が多くなってしまいコスト的に現実的ではない、とも書かれています。
新開発のフェライトコア・マトリクス方式に期待が集まっている、とあり、
実用に供されているものの代表例がソニック・ディレイ・ラインとのことですが、ううむ、そんなデバイス聞いたこともなかったなあ。
プログラムに関してはそれはもう大変で、生徒10人のテストの成績の標準偏差を計算するのですら難問です。
こうして40年前の先駆者の知恵と努力を知るにつけ、
我がラボのコンピュータももう少しまともな使い方をしてやらなければバチが当たりそうに思えてきます。
で何をやるかっていうと、AMRAAMなしにミグを15機落とせるかのシミュレーション、ってなあ。
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