この本はカリフォルニアの各地の地名を1000個取り上げ、その由来を解説したもの。
カリフォルニアの地名由来の集大成である
California Place Names
という大型本のダイジェスト判になっています。
全96ページのペーパーバックで、サンド・シティのBordersで買いました。
サンド・シティはシリコンバレーからモントレーに向かう途中、太平洋に面したCA-1沿いの町であり、
この本屋は安心して利用できるトイレ休憩所として良く利用していました。
そもそも
サンド・シティ
は文字通り砂浜と小さな砂丘の町で、風が吹けば砂だらけになるのでこの名がついたとのこと。
これ以上ストレートにはできなさそうなネーミングです。
カリフォルニアは今の姿になるまでにはアメリカ先住民とスペイン支配の歴史を持っていますから、
各地の地名もネイティブ・アメリカンの言葉に由来するもの、またスペイン宣教師あるいは聖人の名前に由来するもの、
さらには開拓時代の入植者のリーダーの名前に由来するものが多くなっています。
地学的に特徴のある場所では、サンド・シティのように、シンプルでダイレクトな名前をつけられた場所も少なくありません。
さらに、開拓時代は郵便局が設置されることイコール町が誕生することであったので、
新設された郵便局にどのような名前をつけるべきか住民が集会を開き、
ああでもないこうでもないと論議がつづく場合も多かったようです。
そんななか、こりゃギャグでしょとも思える名前がつけられる場合も散見されます。
たとえば
Likely
という小さな町は、入植者の代表者が郵便局に名前をつけようとしたときに
"Wa'al, we're likely to find a name and we're likely not to."
と言ったので「それじゃ町の名前は『Likely』にしよう」と決まったそうな。
トリニティ・カウンティにある
Peanut
という町の場合、名前をつけたのはピーナッツ好きの郵便局長。
現在はNASAのドライデン・フライト・リサーチ・センターがある
Muroc
の場合は、サンタフェ鉄道が駅を作ろうとしたときにそこの地主であった
Corum
氏の名前を逆読みしたもの。
既存住民の利害とかがさほど切実ではない開拓時代ののんびりさが伺えますね。
なおこの本は現在では
"1500 California Place Names"
との書名で新版になっているようです。