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A Town of Zero Gravity

    As soon as we entered the town, we saw many signs and posters saying "Declaration of the Town of Zero Gravity". Hey, this will be fun! At the city center we even saw a poster of "Zero Gravity Festival"! How would it look like? Folk dance would be spherical, not a conventional circle dance on the ground. Wondered how to cook various snack foods such as fried noodle, as noodle would not stay on the hot plate. Shaved ice could be bigger than any imagination. Ah, as we proceed though this town, our faces became rounder because of the higher blood pressure in our heads. But first, we needed to finish our can coffee; if we'd keep it, fluid would escape from the opened can and be afloat inside of our van. Could it really happen in this Town of Zero Gravity, Kamisunagawa Town in Hokkaido? (Aug. 2001)

無重力宣言!!


    この町に入ってからあちこちに見られる「無重力の町宣言」ののぼりや看板・・・・いったいどういうわけだ?? そういえばさっきから体が軽くなってきている気がするし、タイヤのグリップも低下しているような・・・・。 本当にこの町では全てのものがふわふわ浮いているんだろうか? もしそうなら、タイヤの面圧はなくなるからハンドルをきってもブレーキをかけても車はまっすぐ進むだろうし、 今登っているこの上り坂の頂上を過ぎたら、そのまま青空へ一直線!! さっきすれちがったトヨタ ハイエースにはゴキブリの羽みたいな巨大なウィングがついていたが、この町では欠かせない装備のようだ。

    商店街に入ると今度は「無重力祭り」のポスターが。残念、今夜ではないみたいだな。 無重力での金魚すくいとヨーヨーすくいはぜひやってみたかった。平坦な地面の制約から解放された盆踊りはどんなだろう? もはや踊りの輪ではなく、踊りの球となるのだろうか? 打ち上げ花火は美しい真球だろうが、ナイヤガラの滝は期待できそうにない。 線香花火は燃え尽きるまで楽しめるだろう。たこ焼きはどうやって作るのだろう? それよりも、飲みかけのカップコーヒーを何とかしないと車内がひどいことになっちまう。 ああ、オレもヨメさんも頭に血が上って顔がふっくらまんまるになってきた。

    ま、実際にはもちろんそんなことはないわけで・・・・。 この町、北海道上砂川町には JAMIC地下無重力実験センターがあるのです。 (*1)    使われなくなった炭坑を利用した全長710メートルの縦穴に実験装置を入れたカプセルを落とすことにより、 わずか10秒間の短い時間ですがほとんど重力加速度のない、微小重力状態を生み出せるのです。

    写真の無重力の町宣言モニュメントはJAMICの入り口に設置されており、 砲弾型をした落下カプセルをかたどっています。



    正確には無重力ではなく微小重力、マイクログラビティと呼ばれるこの環境ではさまざまな面白い現象が発生します。 ろうそくの火は真球の形で燃えるだろうし、煙は立ちのぼらず、水はボールのようにまるまってふわふわと浮く・・・・。 面白いだけではなくて、この環境は半導体をはじめとするさまざまな新材料の開発や生命科学などの技術研究に欠かせないものです。 だから人類はロケットを地球周回軌道に投入できるようになって以来、宇宙を先端技術開発の場として利用しているのです。

    スペース・シャトルや宇宙ステーションでの実験は理想的ですが、しかし膨大な費用がかかります。 航空機を急ダイブさせることによっても短時間の微小重力環境が得られますが、やはり費用はそれなりに必要。 もっと安く、手軽に実験できないものか・・・解決案の一つがこの自由落下型研究設備。 アイデアは小学生並み、とバカにするなかれ、落下シャフトにも実験カプセルにもさまざまな工夫が凝らされているのです。 同様の施設の中では世界一のスペックを誇るJAMICは、廃坑のうまい再利用という点でスーパーカミオカンデと並ぶ、といえるでしょう。

    JAMICの道路を隔てた反対側には、 無重力科学館 があります。 JAMICの設備の解説や無重力状態、さらに力学一般についての展示とデモがあります。 対象を小学生程度からに絞っているような感じで、科学技術的に突っ込んだ解説はあまりありません。 ので私個人としては肩透かしをくらった感じでかなりがっかり。

    デモンストレーション ホールでは10mのミニ落下塔を使った実験が行われます。 スクリーンに上映される解説映像ではJAMICカプセルの落下開始のシーンがありますが、 底の見えない奈落に落ちていくカプセルを見たとたん、
ぁぁぁ ぁぁぁ ぁぁ ぁぁぁっっっ

と叫んでしまいました。 ううむ、ぜひ一度このカプセルに乗ってみたいものです。でも、外が見えないとちっとも怖くないかもしれないね。

    それにしても町を挙げて「無重力の町宣言」とはなあ。 受験生と進学塾はいいかもしれないね、絶対落ちないから。 絶対落ちないコンピュータシステムを開発したいならこの町に会社を移すべきだ。 逆にクリーニング屋は絶対落ちないんだからこりゃ困る。 落語家もここに来るべきではないだろうね。 さあ、 来年こそは無重力ヨーヨーつりをしに無重力祭りに行くぞ!! (*1)

*1: [2003年04月追記] 残念ですが、JAMIC 株式会社地下無重力実験センターは2003年03月31日で解散してしまったようです。 となると、もう無重力祭りもないのだろうか・・・。

入り口のモニュメント


JAMIC全景


無重力科学館



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Aug. 14, 2001 Visited JAMIC visitor center, Kamisunagawa, Hokkaido.
Oct. 06, 2001 Page created.
Apr. 01, 2003 Revised. JAMIC ceased its operation. There would be no more zero gravity festival....
Apr. 19, 2011 Reformatted and revised. Removed links to the already closed websites.