NoobowSystems Lab.

Radio Restoration Projects

SideBand Engineers - The Company

English Page


小型・軽量・合理的

    1950年代の後半までアメリカのアマチュア無線家は、 ちょうどその時代のアメリカ車がそうであったように、 とにかく大きく、重く、つまみがたくさんついていて数多くの真空管が使われている送信機と受信機の組み合わせを好んでいました。 その代表例をあげるならば、 ハマーランド社の受信機 とジョンソン社の送信機の組み合わせといえるでしょう。 今でいう、ボートアンカー時代です。

    不必要に大きく重いそれらの機器を時代遅れとする設計が、コリンズ社によってもたらされました。 有名なSライン です。コンパクトでシンプル、そして効率の良い設計が時代のトレンドとして受け入れられるようになったのです。

SBE社の設立

    Gonset 社はモービル用無線機メーカーとして早くからコンパクトな設計を取り入れていましたが、 設立者のFaust Gonset氏は 1962年、カリフォルニア州Rancho Santa Feに新会社 SideBand Engineers を設立します。 その目的は最先端のトランジスタ技術と斬新な設計で、理想のモービル機を生み出すことにありました。

    翌1963年、SBE社はその最初のモデル、 SB-33 を発売します。 SB-33は実用になった初のトランジスタ式アマチュア無線機、とも言われており、アマチュア無線機器の技術史上重要なモデルとなりました。

    1966年には SB-33とほぼ同様の基本構成ながら、スタイルが一新され大きく改良された SB-34 が発売されました。 この時点でSBE社はカリフォルニア州サウスサンフランシスコ市にあり、 現在でも軍事・半導体関係で高名なレイセオン社の一部門となっていました。 SB-34の広告は当時のアマチュア無線雑誌に立て続けに掲載され、またそれなりの数が生産されたようです。 コリンズの影響が見え隠れする SB-34は、専用リニアアンプとともにSBE社の代表機であるといえます。

市場からの撤退

    しかしながら1970年代になると、日本製の安い機器がぞくぞくと輸入されるようになり、 米国製アマチュア無線機器メーカーはいずれも存続の危機に立たされます。 SBE社も日本製の SB-35および SB-36を発売するものの、業績低迷を回避することはできませんでした。
    SB-34の延長線上にあるSB-35 (1970年) は極めて少数しか生産されず、 1972年のニキシー管デジタル表示機 SB-36 は設計自体完全に日本製の輸入品で、時代の最先端の設計ながら多くは販売されませんでした。 このときすでに経営はLinear Systems社に移っていて、 SBEはブランド名として残っている状態でした。

    1970年代半ばには SBE社はアマチュア無線機マーケットから撤退し、 しばらくの間 CB無線機メーカーとして日本製の高性能・高機能CBトランシーバを送り出しますが、やがては市場から完全に消えてしまいます。

    アメリカのアマチュア無線機メーカーが次々に日本のメーカーに敗れていったのは、 小型・軽量設計を軽視していたことと、トランジスタに代表される新技術に即座に対応できなかったためだ、と言われます。 が、SBEに関してはそれらはかならずしも当てはまりません。
    小型・軽量を念頭に置き、時代を先取りした斬新な設計。 SBEは明らかに、一歩先を行っていたのです。


SB-33 Ad



Return to Restoration Projects
Return to NoobowSystems Lab. Home

Copyright 1998 by NoobowSystems Lab. San Jose, California 1998
Copyright 2001 by NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2001, 2005

http://www.noobowsystems.org/

Sep. 16, 1998 Created.
Nov. 22, 1998 Divided into multiple pages.
Sep. 10, 2001 Rearranged the page structure.
Dec. 30, 2005 Reformatted.