NoobowSystems Lab.

Radio Restoration Projects

Hallicrafters S-20R
"Sky Champion"

General Coverage
Shortwave Communications Receiver
(1939-1945)



S-20R Main Tuning Dial

S-20R Band Spread Dial

Remastered S-20R manual; click here for view or download
   
Circle h

    1933年にシルバー・マーシャル社製造による最初の短波受信機S-1スカイライダーを発売して6年後の1939年、 ハリクラフターズ社はそのシンボルロゴを改めました。 大きな丸の中に英小文字の"h"をあしらったシンプルなマークは、 同年発売のS-19スカイバディとS-20スカイチャンピオンのスピーカーグリルのデザインに使用され、 新鮮なインパクトを無線愛好家に与えました。 以来この「サークルh」マークはハリクラフターズ社の全盛期を通じて使用されて親しまれることとなります。

Sky Champion

    ハリクラフターズS-20Rスカイチャンピオン は、4バンド切り替えで0.54MHzから44MHzまでの周波数をカバーする短波受信機です。 メタル管とGT管による9球構成の高一中二シングルスーパーヘテロダイン方式です。

    S-20Rは1939年、少数しか生産されなかったS-20スカイチャンピオンの改良機として発売されました。 それまでのハリクラフターズ機は精密な目盛が刻まれたシルバーの円形ダイヤルが印象的でしたが、 S-20Rではダイヤル盤をプラスチック製にし、扇形のエスカッションをもつカバーで覆いました。 電源を入れるとダイヤル盤は内側からランプで照らされ、透過式照明が実現しました。
    ダイヤル盤に使われている初期のプラスチック材は製造時は白色でしたが、光に反応してしだいに黄ばみ、 この時代のハリクラフターズは現在では例外なくアンバー色のダイヤルになってしまっています。

    S-20ではチューニング連動のロギング スケールでしかなかった中央のダイヤルはS-20Rではバンドスプレッド ダイヤルになり、 チューニングつまみが2つになりました。 一見Sメータ風に見えるデザインですが、メイン ダイヤルと同様にプラスチック製のダイヤル盤が中で回転する仕組みです。 S-20Rにはオプションで外付けSメータが用意されていました。

    このモデルは、戦前のハリクラフターズの受信機ラインアップの中ではミッドレンジ機といえます。 エントリーモデルとしては基本的に5球スーパー(高周波増幅なし、中間周波増幅1段のシングルスーパーヘテロダイン)である S-19Rスカイバディ があり、その上位として高一中二構成のS-20Rスカイチャンピオンが用意されていました。 最上位機種は、いうまでもなく通信型受信機の記念碑的存在であるSX-28スーパースカイライダー(1940)です。

    S-20Rと同じ1939年のモデルであるSX-24スカイライダー ディフィアントはS-20Rと同じ9球シングルスーパーの4バンドモデルですが、 クリスタル フィルター/選択度可変機構/Sメータ標準装備/アマチュアバンドにキャリブレートされたスケールをもつバンド スプレッド ダイヤル・・・など、 上級アマチュア無線家向けの装備を持っていました。 資料によればS-20Rは第二次世界大戦が終わる1945年までの販売となっています。 戦後、エントリーモデルのS-19Rスカイバディはより低価格志向となり、 エコーフォンEC-1 / EC-1A/EC-1B を経て ハリクラフターズS-38シリーズ に進化します。

    一方ミッドレンジ機であるS-20Rスカイチャンピオンは、 使用真空管やパッケージデザインをリニューアルされてS-40シリーズとなり、これまたミッドレンジクラスの人気モデルになりました。 ちなみにハリクラフターズの型番の"SX"はクリスタル フィルター装備の受信機、"S"はクリスタル フィルターなしの受信機を意味します (ただしVHF受信機にはこのルールは適用されません)。 初期のモデルではクリスタル フィルターがオプションで用意されていたものもあり、 たとえばS-16とSX-16はオプション装着のあり/なしの他は同一モデルです。

Controls

    両サイドとフロントパネルは一体で、板厚1mmのスチール板をコの字型にプレス成型して作られています。 スピーカ部分はパンチング メタルでカバーされています。 エントリー機S-19Rにはない両サイドの飾りが、上級機ならではの高級感を出しています。
    S-20Rのフロントパネルのコントロールは、向かって左側から表のようになっています。
    中央に2つならぶつまみは、左がメイン チューニング、右がバンド スプレッドです。 15年後の ハリクラフターズSX-96 のコントロール レイアウトも、基本的にはこれと大きくは変化していないことがわかります。 実はS-20RとSX-96のフロントパネルのサイズは幅47cm、高さ21cmと同一なのです。

CONTROL DESCRIPTION
RF GAIN 高周波増幅段・中間周波増幅段のゲイン コントロールです。 時計方向に回しきるとゲインが最大となり、カチリとスイッチが入って外付けSメータが動作します。
BAND SWITCH ロータリー スイッチによるバンド切り替えです。
AUDIO GAIN ボリューム コントロール。音量を調整します。
A.V.C AVCのON-OFFを切り替えます。
B.F.O. BFOのON-OFFを切り替えます。
A.N.L. ノイズ リミッタのON-OFFを切り替えます。
TONE OFF/HIGH/MED/LOWの4ポジションを持ったトーン コントロールです。 OFFの位置で電源が切れます。
PITCH CONTROL BFOピッチ コントロールです。 約300度の範囲で回転しますが、ポテンショメータではなくてコイルのスラグを移動させる方式です。
SEND-REC スタンバイ スイッチです。
PHONE ヘッドフォン ジャックです。ハイインピーダンスのヘッドフォンを使用します。
S-20R Tuning Knobs




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Configuration

    ケース上面はロック機構無し・ヒンジ式のボンネットになっており、 シャーシ上面に簡単にアクセスできます。 中間周波数は455kHzで、真空管構成は以下のようになっています。

DESIGNATION TUBE FUNCTION
V 6SK7 RF Amplifier
V 6K8 Mixer Oscillator
V 6SK7 1st IF Amplifier
V 6SK7 2nd IF Amplifier
V 6SQ7 Detector / AVC / 1st Audio Amplifier
V 6H6 ANL
V 6J5GT BFO
V 6F6G Audio Power Output
V 80 Rectifier

    標準的な高一中二シングルスーパーであるこの回路構成は、 1959年のS-108までの20年間、姿を変えながら受け継がれていきます。

    S-20Rスカイチャンピオンのバンド アレンジメントは以下のようになっています。

BAND COVERAGE (MHz)
A 0.54-1.75
B 1.7-5.5
C 5.4-16
D 15-44

    ダイヤル盤は、メイン チューニングつまみと同一方向に回転します。 時計方向に回すと、受信周波数が高くなります。これはSX-96とは反対。

    バンド スプレッド バリコンはメインの3連バリコンと一体化されており、チューニングつまみから糸掛け駆動されます。 バンドスプレッドつまみのシャフトにはフライホイールが取り付けられています。 バンド スプレッド ダイヤルは0-100のロギング スケールのみです。


大型の中間周波トランスが写真からおわかりになるでしょうか?


バンドスプレッド バリコンのロータは、メイン バリコンのステータの間に入り込みます。 バリコンの中央セクションから周波数変換管6K8のグリッド キャップに接続されているのが見えます。
(バリコン周辺拡大)
スピーカは交換されているようです。

高周波増幅回路と中間周波増幅回路

    高周波増幅段と2つの中間周波増幅段には、 6SK7 リモートカットオフ ペントードが使用されています。 これらの段はいずれもAGC制御を受けます。 3本の6SK7のそれぞれのカソード抵抗はグラウンド側で1つにまとめられ、 RF GAINポテンショメータに接続されています。 すなわちフロントパネルのRF GAINコントロールは、これら3つの増幅段のゲインを同時に変化させます。

    1939年のS-19スカイバディでは、これらの増幅段で使用されていた6K7から6SK7へのランニング チェンジが行われました。 S-19RおよびS-20Rでは当初から6SK7が採用されています。
    6SK7は、1950年代後半にミニアチュア管6BA6に置き換わるまでの間、短波受信機の増幅管として広く使われました。 相互コンダクタンスは2000マイクロモーです。

周波数変換回路

    S-20での6L7混合/6J5局発のセパレート構成に対して、S-20Rでは周波数変換回路には 6K8 が使用されています。 6K8は図に示すような特殊構造をした周波数変換用の3極・6極複合管で、 カソードと第1グリッドは3極管部分と6極管部分に共通です。 6極管部分の第2・第4グリッドは同一のもので、 第3グリッドを取り囲む形でスクリーン グリッドを形成しています。
    3極管部分は局部周波数発振回路として動作させ、 6極管部分で混合動作を行います。 局発部のグリッドが混合部の第1グリッドと共通になっているので、ここで局発信号が注入されることになります。 入力信号は管頂のグリッド キャップから混合部の第3グリッドに注入されます。

    6K8はペンタグリッド コンバータ6A8に比べコンバータ ゲインは低いものの、 短波帯での動作がより安定しています。 6K8はAGCをかけることも可能ですが、S-20Rではそうしていません。

    6K8はS-19R/S-20R/SX-24/SX-25などのモデルに採用されましたが、 すでに同1939年のSX-23スカイライダー23では改良型ペンタグリッド コンバータである6SA7が混合管として採用されています。 1940年のSX-28スーパースカイライダーでは6SA7を局発用と混合用にそれぞれ使う構成がとられました。 以降6K8が採用されることはなく、6SA7/12SA7の時代になります。

スペア管をチェックしていたら、NOS品の6SK7GTのベース部分の金属ベルトが見事に割れてしまっていました。


検波・AGC・初段低周波増幅

    6SQ7 双2極3極複合管が使用されるこの段はごく標準的なものです。 双2極管のふたつのプレートは並列接続され、検波回路を構成しています。 AUDIO GAINポテンショメータで音量調整が行われた後、3極管部で低周波増幅が行われます。

ANL

    双2極管6H6がANLとして動作します。 ANLのON-OFFはフロントパネルのスイッチで切り替えることができます。

BFO

    3極管6J5GTを用いたBFO発振回路は、フロントパネルのBFOスイッチをONにすることでプレート電源が供給され、発振を開始します。 発振出力はグリッドから取り出され、検波管のプレートに注入されます。
    BFO発振周波数はフロント パネルのピッチ コントロールつまみで調整できます。 これは6J5GTのプレートに入った発振コイルのスラグ位置を変化させることにより行っています。

音声出力回路

    音声信号は出力用5極管6F6-Gで電力増幅され、ダイナミック型スピーカを駆動します。 スピーカはパーマネント型ではなく、フィールド コイルを持ちます。 フィールド コイルはB電源回路の平滑チョークの位置に接続されています。 またオーディオ出力トランスはスピーカに取り付けられています。
    私のS-20Rでは6F6-Gの代わりに、後になって追加発表された6F6-GTが使用されています。
    フロント パネルのヘッドフォン ジャックは標準モノラル ジャックで、 差し込むと出力トランスの2次側回路が開いてスピーカの音が止み、かわりに出力管の入力信号が接続されます。 すなわち、ハイ・インピーダンスのヘッドフォンを利用します。

トーン コントロール

    3段切り替えのトーン コントロールは、 出力管6F6Gのプレートをシャントキャパシタを介してグラウンドに落とすことにより実現しています。 この方式は低コストで実現できるものの、すでに中間周波段で高い選択度を持っている通信型受信機ではほとんど意味のない方式です。 が、出力管の歪によって生じた高域成分を減衰させてオペレータの疲労を低減する意味はあります。 あるいは、IFTの選択度があまり良くないのをカバーする意味もあるでしょう。

    S-20Rではシャント キャパシタに直列に入るシャント抵抗を、 オープン(HIGH)/抵抗(MID)/短絡(LOW)の3通りに切り替えることができます。 特にLOWポジションにしたとき、シャント キャパシタには6F6Gのプレート電圧がそのまま印加されます。 このキャパシタがショート故障すれば、出力トランスの1次側巻線あるいはシャント抵抗器の焼損事故につながります。 キャパシタは無条件に新品に交換すべきでしょう。


電源回路

    B電源の整流は、ST型の直熱型全波整流管80で行われます。 80のフィラメント定格は5V・2A、最大125mAの出力電流を得ることができ、5Y3-Gと能力的に等価です。

    私のS-20Rでは、ST型ではなくGT型の外形をもつRCA製の管が使用されています。 ガラスにははっきり"80"と印刷されているものの、 フィラメント支持方式などの内部構造は5Y3-GTに近いようです。 ベースはオリジナル80と同じUX型4ピン。
    整流回路はスピーカのフィールド コイルを平滑チョークとして用いています。 手元の個体ではスピーカをパーマネント タイプに置き換えたため、後付けのチョークコイルをシャーシ上にむりやり取り付けています。

    リヤパネルにある外部電源ソケットにDC340VのB電圧およびヒータ用の6Vを供給することでDC運用が可能です。 ここにオプションのバイブラパックを装着すれば、モービル運用ができます。 AC運用するときは、外部電源ソケットにショート・プラグを挿しておきます。
    フロントパネルのスタンバイ スイッチは電源トランスのB巻線に入っており、 スタンバイ ポジションにするとすべての真空管へのB電源の供給が停止します。


Sメータ出力

    リヤパネルのSメータ接続用ソケットにはAGCライン電圧、B電圧、ヒータ電圧および高周波増幅管のスクリーン電圧が出ています。 RF GAINコントロールを時計方向いっぱいにまわすとカチリとスイッチが入り、スクリーン電圧が出るようになります。 ゲイン コントロールを幾分でも下げた場合は、このスクリーン電圧は出力されません。

Initial Diagnosis : Observation



    外観上は年代相応の汚れがありますが、欠品はなく、大きな痛みもないのでクリーニング程度で済みそうです。 動作するとのことでしたが、電源を入れずに観察した限りでは、シャーシ上に正体不明のトランスが取り付けられていること (ひょっとしたらチョークコイルかな?)、スピーカは交換されていてオリジナルではなさそうなこと、 さらにバンド スプレッド ダイヤルが空回りするのが問題点といったところ。

    4本のセルフタッピング スクリューを緩めてケース底のカバーを取り外すと、シャーシ下面にアクセスできます。 各バンドのコイルやトリマ キャパシタは長いシャフトを持つロータリー スイッチと一体となったコイル パックとして実装されており、 1960年代の日本製受信機と変わりがありません。
    高周波増幅管と周波数変換管のソケットはコイル パックの下となっており、はんだこては入りそうにありません。 この部分の作業をするためにはコイル パックを取り外す必要がありそうです。

    ケース底面の両側には通風孔が空いています。



    ケース底カバーには穴があいていて、コイル パックのトリマはカバーを外すことなく調整できます。 カバーの有無で調整ポイントが変わってしまうことへの配慮だと思われます。

    工場出荷時はケース底カバーのトリマ調整穴の部分は性能保証のボール紙で隠されます。 本機は以前ユーザによる再調整が試みられたようで、ボール紙カバーは失われています。



    抵抗はカラーコードをもつソリッド抵抗器が主体、キャパシタはペーパーとマイカが使われています。 配線は木綿のシースを被ったワイヤーで、一部に結束処理も行われています。

    電源系と検波回路を中心に修理、もしくは改造の形跡がみられます。 ヒューズが追加されていたり(オリジナルにはヒューズはありません)、 ヘッドホンジャックの配線も一部切られていたりするので注意が必要です。 シャーシ上の正体不明の大きなコイルはやはり後付けです。 これはフィールド コイルのないスピーカに交換したために、 フィールド コイルに代わるチョークコイルとして電源回路に入れたもののようです。

    Sメータ用ソケットの配線は他と不釣合いなビニール線(ただしさほど新しくはない)が使用されています。 オレンジ ドロップが使われていることを考えると、修理あるいは改造が行われたのは1960〜70年代頃ではないかと考えられます。

Fire it Up

    無謀なのは承知の上で・・・簡単なチェックだけ済ませて電源を投入しました。 すでに前のオーナーは少なくとも数ヶ月以前には電源を入れていましたから、50年ぶりの110Vというわけではありません。

    ダイヤル盤が濃いオレンジ色に灯り、スピーカからポツポツとノイズが出始めました。 アンテナをつないでの初受信は、北京放送の日本語番組。 簡単に各コントロールの動作と各バンドでの受信状況を調べ始めました。 電源を入れて約10分後、ヨメも見ている目の前でCW局を聞いていたら、ケースの中からとつぜんスプレーを吹くようなシューッと言う音が!!! あわててスイッチを切ります。 「いい、今シューって言ったよなあ?」 「言った言った!! スピーカからじゃなくてハコの中から!!! 」 でも別段煙が出るわけでもなし、異臭もありません。いったい何だったんだろう?

    しばらくして恐る恐る電源を入れなおすと、S-20Rはふたたび鳴り出しました。 たぶんキャパシタがやられかけているのでしょうから注意しつつテストを再開します。 最初はいきなりの日本語にびっくりしたのか感度がかなり悪そうだったのですが、 シグナル・ジェネレータを使ってテストしていくうちに調子を取り戻してきたと見られ、思いのほかの高性能ぶりを現し始めました。

受信感度

    かろうじて信号を判別するために必要なシグナル・ジェネレータ出力は、おおむね以下のようでした。

DIAL SETTING BAND A BAND B BAND C BAND D
10% 0.589MHz 30dBμ 1.822MHz 0dBμ 5.617MHz 5dBμ ---MHz 無感
25% 0.673MHz 30dBμ 2.069MHz 0dBμ 6.364MHz 5dBμ 18.113MHz 45dBμ
50% 0.945MHz 30dBμ 2.848MHz 5dBμ 8.620MHz 10dBμ 24.602MHz 60dBμ
75% 1.402MHz 30dBμ 4.112MHz 15dBμ 12.067MHz 15dBμ ---MHz 不明
90% 1.834MHz 20dBμ 5.265MHz 25dBμ 14.868MHz 15dBμ ---MHz 不明

    BAND BとBAND Cの感度はなかなかのものです。 BAND Dはダイヤル下側、16.9MHzを下回るととたんに感度ゼロ状態になります。 テストに使ったジェネレータは30MHzまでしか出せないのですが、 出力レベルが測れない別のジェネレータで試すと、 ダイヤル位置による感度ばらつきが極端にあることがわかりました。 30MHz以上と、20MHz前後では感度があるのに、27MHz近辺や17MHz以下では無音状態です。 また30MHz以上ではイメージが本来の信号と同じ程度の強さで聞こえてしまっています。

AGC動作

    Sメータをつながないと正しい診断はできないでしょうが、AGCもひととおり動作しているようです。 同調操作のたびに音量を調整する必要はあまりありません。RFゲイン コントロールも正常に動作しています。

選択度

    選択度は国際放送なら十分実用になりますが、 DXを狙う場合、あるいはアマチュアバンド受信では不満が出てくるでしょう。 逆にいえば、安定で強力な国際放送なら良好な音質が得られます。

音質

    交換されていると思われるスピーカからの音は、スチール製のケースに直接ボルトオンしている割には良好であり、 ケースを軽く叩いてもマイクロフォニックはほとんど気になりません。 音量を上げてもビビリ音はありませんが、いかにも薄い鉄板のケースである音がします。 トーンコントロールの効果は明らかです。 HIGHでは短波受信には不向きで、LOWにすると高音が抑えられて落ち着いた音になります。

筐体に触れると、おそらく電源トランスが原因の、明らかな50Hz振動が感じられます。 しかしスピーカからのハムはほとんど気にならないレベルです。

安定度

    驚いたのは、安定度がことのほか良いこと。 この受信機は安定化電源回路を持っていませんから隣の部屋のコタツのON/OFFでわずかに受信周波数が変わるのは致し方ありませんし、 温度変化によるゆっくりとした受信周波数の変化は無視できないので、 10分間手放しで14MHzのSSBをモニタできるほど優れているわけではありません。 が、BFOをONにしてCWを聞いてみると、短期的な周波数のふらつきや機械的振動による周波数変化はかなり少ないことがわかります。 CRV-1/HB などではCWを聞くとどうにもチャーピーなため放電安定管を追加して改善しましたし、貧乏ゆすりは厳禁でした。 S-20RのCW音はたいへんクリスプで、貧乏ゆすりもOK。 総合的な安定度は、放電安定管を組み込んだ後のCRV-1/HBや 9R-59 と同等程度ではないかと思われます。

動作の安定性

    最初に電源を入れたときはプツプツと言った感じのランダムなポップノイズが出ていましたが、15分ほど後にほぼ消えました。 またときおり音量がわずかに大きくなったり小さくなったりします。 キャパシタや抵抗などの部品の劣化があるのは明らかだし、各コントロールにも接触不良等が残っています。 本来の性能を取り戻すためにはキャパシタや抵抗の全交換が望まれますが、現状でもかなりの性能を出していることに驚かされます。
バンド スプレッドの空回りは要修理ですが、メイン チューニングももう少しスムースさが欲しいところです。

つづく・・・
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Nov. 17, 2000 Created. Initial observation performed.
Nov. 19, 2000 Revised.
Sep. 05, 2001 Added circuit diagram and remastered service manual.
Sep. 30, 2001 Updated the rectifier circuit description.
Jul. 27, 2002 Revised links.
Aug. 10, 2002 Revised links.
Aug. 13, 2002 Reformatted with Mozilla 1.0 as well as manually. Improved compatibility among browsers.
May. 16, 2004 Reformatted.
Dec. 15, 2005 Reformatted.