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本機のレベルメータは、ユーザーズマニュアルがないので正確なところはわかりませんが、
テープ再生時はバッテリ インジケータ、
ラジオ受信時はバッテリ インジケータ兼チューニング インジケータ、
テープ録音時はオーディオ レベルメータとして動作するようです。
録音時のレベルメータの動作は正常なように思えますが、
バッテリ インジケータ兼チューニング インジケータでは針がほとんど振れません。
このメータはこの時代のトランジスタラジオによくある方式で、無信号時にメータが大きく振れ、
その触れ方でバッテリ電圧をモニタします。
ラジオを受信して信号強度が高まると、メータの振れは少なくなります。
本機では信号強度に応じて針は動くので、AGC信号(またはそれ相当)はきているようですが、
無信号時の振れ方がとても小さい、という感じです。
回路図があればトラブルシューティングはずいぶん楽でしょうけれど、
そんなものはないので、音のよいラジオを聴きながら実機の配線を追いかけてみます。
基板は両面配線で、部品面にはプリント抵抗もところどころ使われています。
パターンは他の部品の下を通っていたりするので、
必要に応じて部品を取り外してその下のパターンを確認していきます。
メータのマイナス側はプリント基板のグラウンドパターンに接続されており、
プラス側リードは録音切り替えスライドスイッチに入って、オーディオレベルとチューニング インジケータに切り替えられます。
チューニング インジケータの配線は、
プリント基板部品面のパターンを通じて基板ほぼ中央のメータ アンプ トランジスタ(TR9)のエミッタに接続されています。
メータ アンプ トランジスタのベースにはおそらくAGC回路からのダイオード(D5)が入っていて、
通常は固定バイアスでエミッタ電流が流れるものの、
AGCからの電圧が下がるとダイオードを通じてベース電圧を下げ、
それに応じてエミッタ電流が低減してメータの振れが下がる、という仕組みのようです。
ダイオードを取り外してアナログテスタで点検してみると、整流動作は行われており、
ショート故障やオープン故障があるようにはみえません。
またダイオードなしの状態ではメータはほぼ振り切れるので、
メータトランジスタも直流増幅は行っているように思えます。
ダイオードなしではメータは信号強度に反応しないはずですが、
実際にはときたまピクッと針が動きます。
このときベース電圧はきちんと安定しています。
ところがコレクタ電圧は2V以下に下がったかと思うと6V以上に上がったり、
受信状態やボリューム操作などにまったく無関係な、ランダムな不安定挙動を示しています。
とくにコレクタ電圧が1.4V近くにまで下がると、メータは完全な振り切れになります。
はて、供給電圧が下がったのであればメータの振れも下がりそうなものなのに。
そうなると、トランジスタそのものが不安定になっている可能性あり。
使われているトランジスタは2SC1000GR。
見つけたかな? と思いつつこれを取り外し、アナログテスタでチェックしてみると故障しているふうではありません。
新品の2N2222(ピン配置が違うけれど)に交換してみましたが、
あれあれ、コレクタ電圧の不安定さは変わりません。
トランジスタの問題ではありませんでした。
もう一度ベース電圧を見ると、完全に安定ではなく、わずかに不安定変動が見られます。
やはり問題はベース側かな?
メータのフルスケール調整用トリマ(VR1)を回すと、メータの指針はそれを追いかけるようにゆっくり変化します。
これはトランジスタのベースに10μFの電解キャパシタ(C43)が入っていて、応答速度を下げているから。
このキャパシタを外してみると・・・メータ指針はピタリと安定しました。
キャパシタをアナログテスタでテストしてみても充放電しているしリークは見つけられないのですが、
このキャパシタがメータの振れの不安定さを招いていたのは確実。
しかしこのキャパシタを外したままでもメータの振れそのものはよくならず、
メータの振れが小さいという症状に対する原因ではありません。
やはりダイオードから上流側なのだろうかと思いあちこちの電圧を測ったりパターンを追いかけてみましたが、
どうも理解できません。
ふう、と一服して考えると、まてよ、これはちょうど電流計の感度が下がっているみたいな振る舞いなわけだ。
メータに直列に抵抗が入っているみたいな。
オーディオレベルメータモードではうまく振るのだからメータそのものは正常そうだけれど、
メータ アンプ トランジスタのエミッタからメータ切り替えスライドスイッチまでの配線はどうなんだろう?
いままでこの間は基板上のパターンのみで直結だと思っていたけれど・・・。
計ってみると、トランジスタのエミッタ電圧と、スライドスイッチ入り口での電圧は明らかに違う!!
エミッタからスライドスイッチまで直接ジャンパー線をとばしたら、
ほぼ正常と思われる動きになりました。
はて、この間にはプリント抵抗はなさそうだし、どういう理屈なんだろう。
プリント基板の表裏のパターンはスルーホールのような工作で接続されるようになっていますが、
この導通が悪くなったのだろうか。
ともあれトランジスタをオリジナルの2SC1000GRに戻し、取り外したキャパシタ類を戻し、
ダメになっていたC43 10uFは新品を取り付けました。
メータ フルスケール ポテンショメータVR1でラジオ無信号時のメータの振れを100%ぴったりに調整しました。
FM/AMのいずれも、強力な局の場合にメータ振れは30%程度、つまり指示範囲の70%を使って信号強度表示されています。
ただでさえ強いChina Radio Internationalをプリアンプ最大ゲインで受信するとメータ振れは10%まで落ちます。
動作的にはこんなもんでいいでしょう。
故障機序が確定できていないのが心残りですが、メータ修理はこれで完了とします。
結局ジャンパー線1本だけだった・・・。
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Tuning meter did not move well,
although the meter itself worked fine in the REC mode in which the meter worked as an audio level indicator.
This is the solder side view of the main circuit board.
Meter amplifier transistor and its surroundings are noted.
Component side view of the main circuit board,
vicinity of the meter amplifier circuit.
The meter amplifier transistor is a black one with "GR" noted at the center of the picture.
Printed resistors are seen on this side.
Both side has printed patterns.
The trimmer shown above the transistor is to adjust the meter full scale for the fresh batteries.
After all just a jumper wire solved the problem - a blue wire seen in this picture.
It seems like a through hole or a PCB pattern lost its conductivity
which caused the low sensitivity of the tuning meter.
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