NoobowSystems Lab.

Radio Restoration Projects

Kenwood KR-9340 4channel Stereo Receiver
(1973)
Serial: 940389
[Brief English translation of the restoration topics included in the page]


    Purchased at a fleamarket as a parts donor for a switchbox to extend PC's soundcard input and output, I could not turn this beautiful 4 channel receiver out to be a dummy switchbox.
    The receiver came with a spare chassis with several circuit boards and major components still attached, and the seller suggested me to combine them into a functional unit. After several nights of reparing, the receiver came back to life and is playing beautifully.
    Since I have no records or players for CD-4, I have not tried the most advanced technology of the era. The receiver has very neat looking and rugged construction, which gives me a pleasure of both fixing and listening.

なりゆき

    Kenwood KR-9340 は、4チャネルステレオ・レシーバです。 と書いただけでわかってしまったアナタはもう50代ですね?     注: 2008年現在。

    オーディオ装置としての「レシーバ」とは、1つの筐体にFMチューナとアンプを組み込んだ製品をさし、 通常スピーカとレコード・プレーヤを接続してシステムを構成します。
1970年代の初めに、オーディオ界に巻き起こったのが4チャネル旋風です。 ステレオ装置は通常2個のアンプとスピーカで左右別々の音を再生し、臨場感を出しています。 4チャネルは前後左右4つの音を記録・再生することにより、さらに臨場感を高めようというものでした。 当時は4チャネルにあらずんばオーディオにあらず的に、メーカー各社の開発・販売競争が繰り広げられたのです。
    スピーカは単に部屋の隅に4つ置けばいい、アンプは4つ並べれば済む。 問題はソースです。 テープデッキはすでに2チャネル往復方式でしたから、ヘッドを換えてやれば4チャネルの録音再生は可能。 でも、4つの音をどうやってレコードで再生するのか? たった1本の針で4チャネルを記録・再生し、なおかつそのレコードは従来の2チャネルプレーヤでも再生できる。 そんな技術がいくつもあらわれ、しかし統一規格ができないうちに、オーディオメーカー各社は新製品を市場に送り出しました。 そんな中のひとつがこのレシーバです。

    ファンではあっても、決してオーディオマニアではないわたしがこのレシーバを手に入れたのは、 別にそんなたいそうな理由があるわけではありません。 夕食後に数時間をPCの前で過ごすわたしは、サウンドブラスタのライン入力を切り替えたり、 差し込むだけでスピーカの音が切れるヘッドホンジャックが欲しかっただけでした。 そこで、ポンコツのオーディオアンプを手に入れて、改造してスイッチボックスにしようと考えていました。
    ですからある日、フットヒル・カレッジのフレア・マーケットで投げ売りされていたこのレシーバを見たとき、 すぐに買うことにしたのです。
    「これ働くの?」
    「ああ、こいつは4チャネルだけど、1つのチャネルがこわれてて音が出ないんだ。」
    「でもいいよ、2つ鳴れば充分だしね。」
    「ここに全く同じモデルからはずしたスペアパーツがある。組み合わせれば、直るかもしれない。」
    「じゃあ、どうしてそうしなかったの?」
    「えらく面倒くさかったからさ。そうそう、オリジナルのマニュアルと、カタログもついてるぜ。」
    「そりゃいいね。」
    こうして当時の販売価格が1000ドル近くもした高級オーディオセットが、私のものとなりました。

KR-9340の特徴

    オリジナルのマニュアルの冒頭、"KR-9340 FEATURES" にはこう書かれています。

    1: KR-9340はレギュラー・マトリクス (RM)方式とSQ方式のデコーダを内蔵しており、 RMとSQの両方の方式によるレコード、テープ、そしてFM放送を、4つのスピーカによる美しいクアドラフォニック・サウンドで再生します。

    2: KR-9340は4つの広帯域・低雑音のセミ・コンプリメンタリ・ダイレクト・カップル方式パワーアンプを採用し、 スムースで音質の良いアンプ動作を確保しています。出力は8Ω・20-20000Hzにおいて各チャネル40ワットです。

    3: 4つのチャネルのレベル調整に便利なよう、4つの出力レベルメータを装備しています。 メータ・レベル・スイッチで20デシベルぶんメータ感度を下げることができるため、小出力から大出力まで対応します。

    4: トーン/バランス/ボリュームの各コントロールは、4チャネルをさまざまな音楽ソースと設置環境に対応できるよう設計されています。

    5: MPXセクションにはダブル・スイッチング・デモジュレータ (DSD) が採用されています。 DSD方式はキャリアのリークを防ぎ、最高の音質を確保します。

    6: このレシーバにはFM検波出力ジャックが装備されており、将来4チャネルディスクリート方式のFM放送が現実のものとなったときにも対応できます。

    7: 背面パネルにMICジャックがあり、マイクロホンを接続することができます。

    8: 2台のテープデッキを接続でき、2台同時録音が可能です。さらに、ダビング中にスピーカからFM放送やレコードを聴くことができます。

    それにしても、「将来4チャネルディスクリート方式のFM放送が現実のものとなったとき」とは、いつなのでしょうか? 手元の資料によれば米国では少なくともテスト放送は行われていたようですが、日本ではどうだったのでしょう。 物心ついたら4チャネルはとっくに過去のものになっていた私にとって、これはぜひ知りたいところです。

4チャネル・オーディオ

    入手したKR-9340には当時のカタログがついてきましたが、良く見るとその型番はKR-9940です。 カタログの写真をみると両者は少なくともフロント・パネルは全く共通です。 違いはおそらく、CD-4デコーダを本体内蔵にしているか(9940)、別体型モジュールを背面に装着するか(9340)だけのようです。
    KR-9940のカタログにはこう書かれています。


4チャネル レシーバを選ぶときの重要ポイント

    もしあなたが、この先どの4チャネル方式が主流になるか不安でお悩みなら、 ケンウッドは「オプソレセント・プルーフ(決して陳腐化することのない)」なレシーバであなたの不安を解消します。 今後どういうことになれ、マトリクス方式とディスクリート方式は長い間共存することになるでしょう。 ですからレシーバを選ぶとき、それが全ての方式の4チャネルに対応していることが重要です。 ケンウッドKR-9940とKR-8840はいずれも、優秀なSQデコーダ、レギュラー・マトリクス・デコーダ、 そして他を寄せ付けないCD-4デモジュレータ・デコーダを採用しており、長年にわたる素晴らしい4チャネル再生をお約束します。

    KR-9340ではすでに書いたように、 CD-4再生用のデモジュレータ・デコーダはオプションの外付けモジュールとして提供されており、 私のモデルにもついています。スペア・シャーシにもついているので、都合2台のデモジュレータ・デコーダが手元にあります。

直してみよう

    外観はほとんど痛んでいないこの高級レシーバをラボのベンチに持ち込んでみると、 臓物を取り出してスイッチボックスにするにはあまりにも惜しくなりました。できることであれば直してみようか・・・。

    保管状態は良好なように見えたので(中には長い間雨ざらしになっていた物を買わされてしまうこともある)、 用心しながら電源を投入。黒いダイヤルパネルに美しい青緑色で周波数目盛りが浮かび上がりました。 煙は出なかったものの、全く動作している様子もなし。FMにセットして短いアンテナ線をつなぎチューニングつまみを回してみると・・・空回り。
    で、まずは外れていたダイヤルドライブの糸の掛け直し。 どうやら先人は、中をいじろうとしてダイヤルドライブコードをはずしたものの、修理できずあきらめてほったらかしにしたようです。 資料もないのであれこれトライしながらどうにかコードを掛け直すことができました。 高級機らしいフライホイールの手応えを感じながらチューニングつまみを回すと、自照式の周波数指針がスムースに動きます。 が、やはり全く動作しません。 つないだスピーカやヘッドホンからは、かすかなノイズすら聞こえてきませんし、 AM・FMの両方でダイヤルをどこにあわせてもSメータが全く振れません。 これはたぶん電源回路の故障−だとすれば、比較的簡単に修理できるかもしれません。 全くエンジンがかからない、というのは、アイドリングが安定しないのよりは普通簡単に直るものです。

    まずはざっと内部を観察してみました。 現在のオーディオセットにくらべずっと部品点数が多く、何枚ものボードで構成され、相互に複雑にワイヤーで接続されています。 たかだかFMチューナと4つのアンプにこの回路! 販売価格がうなづけます。 逆に、今のオーディオセットがICあるいはLSI化によっていかに部品点数削減・小型化・ローコスト化されたかをあらためて感じました。 事実、見たところこのレシーバ本体には一つもICが使われていないようなのです (CD-4ユニットには謎のモジュール部品が使われています)。 これはわたしのようなアマチュアにとって、大抵の部品は手に入るかあるいは代替品を見つけることができるわけで、喜ばしい限りです。 このレシーバの内部は一見複雑に見えるものの、 実は理路整然とブロック構成されており、相互接続にコネクタを使用していることとあいまって、整備性はかなり良さそうです。

プリアンプ系電源回路

    大きな電源トランスを有する電源回路はいくつかの系統に分かれていることがわかりました。 ひとつはパワーアンプ出力段への大電力給電。 これは大型の平滑キャパシタと放熱器つきダイオードブリッジで整流された後、出力アンプ回路に伸びています。 電圧は±50V。 ふたつめはパワーアンプのドライブ段や、FMチューナボードへの給電。 これは複数のボードからなる安定化回路を通っています。 そして、トーンアンプ/イコライザアンプ/CD-4デコーダユニットへの給電。 これも独自の安定化回路を使用しているようです。 フロントパネルの照明やインジケータ・ランプは電源トランスの二次巻線のうちの一つから給電されており、 したがって電源トランスの一次側は正常です。

    問題はチューナとドライブアンプ駆動用の電源回路でした。 全く出力電圧が出ていません。 回路をよく観察してみると、2個あるスピーカ保護リレーのうち1個が交換されていたり、 その付近のボードの一部に熱によるクラックが入っていることがわかりました。 が、とりあえず問題はなさそう。 さらによく見ると、2本あるボード直付けガラス管ヒューズの1本がブローしている! なあんだ、ヒューズを交換すれば直るじゃん!
    手持ちのヒューズをとりあえず並列につないで、電源投入。 と、閃光とともにヒューズはブローしてしまいました。 あれあれ、ヒューズが悪かったのではなく、それは与えられた使命を全うしていたのです。 負荷のどこかがショートしているに違いありません。電源回路から全ての負荷を切り離して、再びトライ。 すると・・・またもや閃光。負荷が全くないのにヒューズが飛ぶなんて!

    この電源回路は、ヒューズをもつ簡単な整流・分圧回路と、 より複雑な安定化回路の2枚のボードで構成されています。 そこで2枚のボードを切り離してみました。 結果・・・閃光。 これで、整流・分圧部自体に問題があることがはっきりしました。 すでに手持ちのヒューズを使い切ってしまったので、 その日の夜は取り外した基板からパターンを紙に書き写して回路図起こしをしました。
    回路はまったく普通の全波整流回路でした。 負荷をつながずに、しかしヒューズが飛んでしまう条件といえば、 これはもうブリッジ・ダイオードの中のどれか1本(あるいはそれ以上)がショート故障している以外に考えられません。 テスタを当てると、案の定。
    ブリッジ・ダイオードを近くのジャンク屋で買って交換することも考えましたが、 この基板はスペア・シャーシにも残っており、ブリッジが正常であることが確認できたので、 それを使うことにしました。 結果、FM/AMチューナ・ボードとドライブ・アンプに正常に電力が供給され、 放送局を受信するたびにSメータとセンター・ディビエーション・メータが振れるようになりました。


    When the power is given for thw first time, it only illuminated the dial lamps but nothing else happened. Checking the power supply circuit, a blown onboard fuse was found on one of the power supply circuit boards. This board should provide power to the preamplifier and AM/FM tuner board. Replaced fuse instantly blew, indicated the overloading. Even with all the load was disconnected from the power supply, still caused the blown fuse.
    It was found that a silicon bridge rectifier had failed (internal short). This board was among the spare unit, so the entire board was replaced. Now the tuner section and preamplifier started to work. But still, no sound from the speaker or headphones.

ASO保護回路

    回路動作電源が供給されだしたはずなのに、スピーカからもヘッドホンからも依然として全く音は出ません。 簡単なところでボリューム調整用の4連ポテンショメータの端子をチェックしてみると、 ここには正常に音声信号が届いています。 信号を別のポンコツアンプにつないで、しばらくFM音楽を楽しみました。 トーン・コントロールをいじっても音質は変化しないので、 トーン・コントロールはボリューム・コントロールの後段にあるようです。 今度はトーン基板から信号を拾ってみると、これも正常。
    ところで4連ポテンショメータ・・・ もしこのボリュームにガリがあると、交換用パーツを見つけるのは大変かもしれない・・・ しかし幸い、ガリは皆無ではないものの実用上支障がないレベルで一安心。 でも、ジャンク屋とフレア・マーケットに行くときは要チェックです。

    さあ、次はどこをチェックすべきか。 カタログによればこのレシーバには "他に例を見ない" ASO保護回路なるものが装備されています。 これは要するに、パワーアンプがオーバーロードした場合にパワーアンプとスピーカを切り離すもので、 今では珍しいものではありません。 が、このレシーバの出力アンプはパワートランジスタとスピーカが直結されているダイレクト・カップルド・アンプで、 出力キャパシタが不要なため音質が向上するものの、 万一スピーカ端子が短絡した場合にトランジスタが吹き飛ぶ可能性があります。 よってこの保護回路は必須だったのでしょう。 いずれにせよ保護回路基板に載っている2個のリレーは、正常であれば電源投入後ONになるべきであるのに、 リレーは動作しません。 リレーのうち1個はすでに修理・交換されており、さらにこの基板には熱によるクラックが入っています。 そこでこの基板をふたたび取り外して(電源回路修理のため一度取り外した)、 この基板の回路図起こしをすることにしました。

    回路図がおおむねできたので、ふたたび基板をもどしてしばらくいじっていると・・・ 突然リレーが正常に動作するようになりました。 どうやら無関係と思って外しておいたコネクタが、 実はオーバーロード検出信号で、これが外れているままだと保護回路がトリップしてしまうようです。 このコネクタをつないで試してみたこともあったのですが、 そのときはおそらくきちんと挿入されていなかったのでしょう。



    The KR-9340 has a "ASO protection circuit"; two relays disconnect the speaker if the circuit finds a short circuit, protecting the direct coupled power amplifier transistor. The relays did not engage somehow. A circut diagram was drawn from its PCB pattern, as an attempt to diagnose. But while wiggling the circuit, it started to work. Possibly the connector had a bad connection. Now the sound comes from the speakers or headphones.

    とにかく今や保護リレーは正常に動作し、スピーカからもヘッドホンからも正常に音が出て、 さらにレベルメータも正常に振れるようになりました−左後方チャネルを除いては。 そうか、これがセラーの言っていた「1チャネル壊れてる」なんだな。 ここまでずいぶんかかった・・・。

    ASO保護回路は、安定化電源回路と一枚の基板上に同居しています。 この安定化電源回路の出力トランジスタには大きなアルミの放熱板がついていますが、 動作中はかなり高温になるらしく、トランジスタ取り付け部の基板に熱ストレスによるクラックが入ってしまっています。 この基板はスペア・シャーシにも残っていますが、そちらはさらにクラックが進んでおり、ちょっと力を加えれば折れてしまいそうです。 基板はこの放熱板に下からの空気の流れが良くなるように一部切り取られているのですが、 そこがシャープ・エッジになっており、熱ストレスはこのエッジに応力集中をおこしてここからクラックが成長してしまっています。
    もしこのシャープ・エッジに2R程度の滑らかなコーナーがつけられていれば、 クラックの成長をかなり遅くできたのではないかと考えられます。 あと何年もつかわかりませんが、 たとえパターン破損に至ったとしても別の板材で補強するなどして修理は十分に可能でしょう。



    The ASO/powersupply board has a crack caused by heat, as shown. It will fail, perhaps within a couple of years. Even so the fix will be easy, just give an additional support patch board. So it was left as it was.

リビング・ルームへ

    プリアンプ系までは全チャネルとも動作しているので、問題はパワーアンプにありそう。 このレシーバのパワーアンプは、ファイナル・トランジスタを除いてすべて1枚のカードエッジ式基板に構成されています。 よって故障があれば、この基板か、あるいは大型放熱器に取り付けられたファイナル・パワー・トランジスタでしょう。
    基板を取り外してみると、ここにも修理の痕跡が。 コンプリメンタリ構成のドライブ・トランジスタは日本式の2S型番ですが、 一つだけアメリカ式の2N型番品に交換されていました。 この故障も潜在的に高確率のものであるような気がします。 このパワーアンプ基板もスペア・シャーシに残っていましたので、そちらに交換。 幸い、このボードは正常で、全チャネルが動作するようになりました。 故障個所の特定は、正常なほうのボードがいよいよ壊れてしまったときに始めることにしましょう。

    フロントパネル照明のうち、レベルメータ照明ランプと、いくつかのインジケータ・ランプが断線していることがわかりました。 インジケータ・ランプについてはあまり使わないランプのものと入れ替えておきました。 全く同一のランプをジャンク屋で探し出せるとは思いませんので、 そのうち似たようなランプを使って工夫することにします。 レベルメータ照明ランプを外すにはフロントパネルとダイヤル機構のかなりの部分を分解せねばならず、断念しました。

    フレア・マーケットの15ドル・レシーバは、今やほぼ完調になりました。

    何日かにわたって毎晩数時間ラボで使用して発煙などの異常が起きなかったので、 KR-9340をリビング・ルームのワークステーション・デスク脇のスチール・ラックに移し、 NoobowSystemsのメインPCであるNOOBOW9000のオーディオ出力を繋ぎました。 が、考えてみたらまともなスピーカがない・・・。

    いちばんまともなのはカリフォルニアに転居してすぐに買ったアイワのミニコンポのスピーカですが、 これはソファーとコーヒーテーブルの近くのテレビに使っているのでだめ。 しかたなくそれまで使っていたアンプ内蔵のPC用スピーカを接続。 すごくばかばかしい話です。 が、当初の目的どおり、コンピュータに向かいながらカセットテープやFM放送を聴きつつ、 かつPCのサウンドも聴け、簡単にヘッドホンに切り替えられ、 またボリュームなどの全ての調整が右手をマウスから離さずできるようになって大満足です。 なによりこのレシーバは、貧乏オーディオファンのわたしが今まで手に入れたオーディオ機器のなかで明らかに最高級です。 淡いシャンパン・ゴールドのフロント・パネルはリビングでひときわ存在感があります。


    The KR-9340 recovered to the condition the seller told me at the flea market; "One channel out of four doesn't work." All channel works in the preamplifier section, so the problem should be in the power amplifier section.
    The most of the power amplifier circuit except power transistors is mounted on a card edge style PCB. Previous fix was found on this PCB; the driver transistors are Japanese style "2S" part number, but one of them was replaced with the US made "2N" part number transistor.
    Fortunately this board was also among the spare unit, so simply replaced the board. Now the 15 dollar flea market receiver is fully operational and servicable.

やっぱりスピーカ

    苦労してパワー・アンプを修理したのに、 それを使わずPC用スピーカの内蔵アンプを使っているというのはどう考えてもマヌケです。 このPC用スピーカは一応2ウェイのバスレフになっていて、安物のポケットラジオ的スピーカよりずっとまともなのですが、 音楽を楽しむにはどうにも役不足です。ここのところ大きな買物もしていなかったし、いっそスピーカを・・・。 そういえば私は今までスピーカ(だけ)をお金を出して買ったことはなかったのです。 初めて買うスピーカ・・・私はヨメさんをつれてサニーベールのFry'sに行きました。
    高級品を買うつもりもないけれど、せっかくだから永く使えて日本にも持って帰れそうなもの。 コンパクトなのは今流行のホームシアター用のコンパクト・スピーカとスーパーウーファー。 でも、ここが私の偏屈なところで、やっぱりシンプルに左右2個がいいなあ。 インド人の店員さんにしつこく頼んで試聴時のボリュームをできるかぎり下げてもらって (大音量ならたいていのスピーカはいい音がします。が、実用的に小音量でバランスの良いものが欲しかったのです。)、 結果気に入ったのが BOSE 501 SeriesV の背高なモデル。 ウーファーはエンクロージャーの中に隠れていて、中低音は背面ダクトから放射されます。 なによりフットプリントがコンパクトだし、この先もし子供ができた時も、かわいい指でコーン紙をつんつんされる心配もありません。 これにしよう・・・今買えば今夜はボーズで音楽が聴ける・・・ とはやる私を抑えるようにヨメさんが、「ギルロイのボーズのアウトレットにいけばきっと安く買えるよ。」

    ボーズのアウトレットには、期待通り同一モデルのリファブリック品がありました。 一度返品された製品なので外箱は汚れていますが、スピーカ本体はファクトリーで再チェックされた上に保証付き。 Fry'sよりもずっと安く買うことができました。 リビングのワークステーション両脇において、試しにPCを操作してみてびっくり。 Windows95の標準サウンド設定でエラー時に出る「ジャン!」の音が、低音が豊かなために「ザン!」と聞こえます。 冨田 勲の「惑星」を聴くと、今までのスピーカでは聴くことのできなかった低音がしっかり再生されます。 う〜ん、安くないお金を払っただけはある! スピーカといえばゴミ置き場のテレビから外すしかなかった貧乏ラジオ小僧が今やボーズ! 人間まじめに働いていればやがては報われるものだなあと思った日でした。

    100ドルちょっと払えば最新のドルビー・レシーバが買えるとは知りつつも、 自分が苦労して修理した当時の最新レシーバで聴く音楽はまたいいものです。 せっかくCD-4ユニットがありながらもレコード・プレーヤもレコードもないため、 当時の最先端オーディオ・テクノロジを試すことができません。 ドルビー・プロ・ロジックか何かで得られた4チャネルのソースをCD-4にエンコードする装置が簡単に作れればいいのですが。 といっても、酔狂以外の何者でもないですが。


ハム発生

    少なくとも毎晩数時間は使って約2年たったころ、しだいにハム音が大きくなってきたことに気がつきました。 最初はほとんどハムなんて出ていなかったのに。 ヘッドホンで聴いていてどうにも無視できないレベルになって、ようやく修理を始めることにしました。

    ハム音は典型的なAC電源波形のもので、ボリューム・コントロールの位置にかかわらず、 また入力セレクタをどのポジションにしても同じレベルで発生しています。 また、トーン・コントロールやラウドネスを操作しても変化しません。 さらに、前後左右全てのチャネルで同様に発生しています。 したがってメイン・アンプ系の電源回路の平滑不良がまず疑われました。 平滑回路に使用されている電解キャパシタの劣化は、古い機器では半ば当然です。

    メイン・アンプ系電源は先にも記したように、 大型パワー・トランスで得られた±50ボルトを放熱器つきダイオード・ブリッジで整流した後に2個の大型電解キャパシタで平滑されています。 スペア・シャーシにはこのキャパシタも残っていたので、 まずはキャパシタを入れ替えてみました。キャパシタはELNAブランドの、50V 15000μFの縦形電解キャパシタです。 キャパシタを入れ替えて電源を入れてみると、残念なことにあまり変化はありません。 オリジナルとスペアを並列接続すると、ハム音は幾分小さくなります。どうやらスペアも容量抜けを起こしていたようです。

    となると、新品または新古品のキャパシタに換える必要があります。 が、サイズと容量と動作電圧の同じ、あるいは近いキャパシタは近くのジャンク屋でもすぐには見つかりませんでした。 翌週のリヴァモアのフレア・マーケットで、何とか組み込めそうなコンピュータ用キャパシタを見つけ、 容量違いとサイズ違い、それにスペアも考えて都合6個を買いました。10ドル近い出費です。
    ベンチで買ってきたキャパシタを使ってみると・・・やはりハム音! どうやら平滑キャパシタは正常で、原因は別のところにあるようです。


    After two years of daily use in the living room, hum became apparent. The level of hum did not change regardless of the volume contol position, so the power supply for the power amplifier was suspected. Replaced with the big electrolythics left on the spare unit didn't solve. Tested with newly purchased big computer capacitors didn't cure either.

    今度はメイン・アンプ系電源だけでなく他の2系統の電源回路もチェックしてみました。 オシロを当ててみたり、各部のキャパシタに近い容量のものを並列に接続してみたり、あれこれつついて約2時間、 どうにもうまくいきません。 疲れ果てながらもシャーシ底面側を眺めていると、あれ、今まで注意を向けなかったところに小さな電解キャパシタがあって、 それも中身が外装チューブからなかばはみ出た格好になっています。これか!? ニッパでそのキャパシタをはずしてみると、強烈なハム音。 似たような容量のものをつないでみると、ヘッドホンの音はかすかなホワイト・ノイズだけになりました。見つけた・・・!

    ハルテッドで同一容量のキャパシタを買い、交換。 このキャパシタのすぐ近くにはそこそこ大きな抵抗があり、基板の変色から動作中は結構な温度になることが伺えました。 そこで新しいキャパシタはその抵抗からある程度離して取り付けました。これでこの先20年は安心でしょう。

    結局修理に必要だった費用は50セントのキャパシタ1個。 ですが勘違いで不必要なコンピュータ・キャパシタを買い、結構な時間を費やしてしまいました。 ともあれKR-9340はふたたびリビング・ルームに戻ることができました。



    After two hours of checking and tweaking, still the root cause was not found. Feeling tired of troubleshooting, saw the underside of the chassis. Then I found a small electrolythic at where I hadn't paid attention. The capacitor showed some sort of deformation. Removing it from the receiver resulted in very laud hum. Eureka!
    Installing a new capacitor completely cured the problem. There was a power registor close to this capacitor, and the heat from the power resistor must have affected the life of the electrolythic. So the new capacitor was installed with more distance from the resistor.

またまた修理待ち

    1999年、KR-9340は太平洋を再び渡り、生まれ故郷日本に帰ってきました。 ゴージャスな高級レシーバは、とたんに狭くなったリビングでしばらくわれわれを楽しませてくれましたが、 またまたハム音が大きくなってしまいました。 クパチーノ/サンノゼ研究所時代と異なり、狭いワークベンチではKR-9340の大きな筐体をいじるのはとても大変。 そのためリビングのメイン アンプの座はこれまた年代物のアイワTPR-840に譲り、 KR-9340はハム音の修理をしないまま第2研究所で長期仕掛かりプロジェクト扱いになってしまい現在に至っています。 ゆったり作業できるワークベンチ、4つのスピーカを置けるリビング・・・ ああ、夢だなあ。


リハビリ

    9年間のアパート暮らしに終止符を打ってどうにか落成相成ったNoobowSystems中央研究所は、 ワークベンチは前より広く、スピーカを4つ置けるリビングもあるはず・・・なのに、 以前よりひどくなった感さえあります。 ジャンク機材類はカリフォルニアから帰った頃の約3倍程度にまで増えており、 第2研究所に長期保管してあった機材類を搬入したらあっというまに満杯、 さらに片づける時間もないまま。

    転居後3ヶ月の間スピーカもアンプも設置できないままでいたNoobow9100コンピュータですが、 LM386N-3を使ったミニミニアンプ を用意してやっと音楽を楽しめるようになりました。 しかし最大出力700mWのポータブル機器用パワーアンプICではさすがに音量を上げての再生は困難。 そこで第2研究所から引き揚げてきたKR-9340の修理を始めることにしました。

    最初の修理が完了してからすでに12年、 最後に使用を停止してからでさえ7年経っています。 ホントに早いなあ。 KR-9340はまるきり機嫌が悪くて、まともに動作しませんでした。 いろいろいじるうちに音が出始めましたが、 スピーカ切り替えスイッチの接触不良はしつこくON-OFFを繰り返してもなかなか改善せず。 フロントパネルを取り外してスイッチ内部に届くことを祈りながらSafeWashを噴射したら、 じきに回復しました。

    メタルボタンをもつプッシュスイッチはいかにもトリオ製品。 TS-820 とも同じかなと思いましたが、比べてみるとちょっとKR-9340のボタンのほうが大きめです。 KR-9340の場合はフロントパネルに並んだボタンは、 すぐ裏の基板上に取り付けられた松下製のオルタネート プッシュスイッチを動かしますが、 これらのプッシュスイッチはいずれも接触不良を示していましたので、 スピーカ切り替えスイッチと同様にSafeWashをスプレー。 ほぼスムースな動作になりましたが、 どのスイッチも時折操作してあげないとまた接触不良になってしまうでしょう。

    ずらっと並んだプッシュボタンのなかでいまではほとんど必要ないのが、LOWとHIGHのフィルタスイッチ。 HIGHフィルタは傷の増えたレコードのスクラッチノイズを低減するため、 LOWフィルタは反ってしまったレコードを再生するときにレコードの回転周期に同期した超低音を低減するためのものです。 LOWフィルタは何とかなっても、HIGHフィルタを入れると高音域はAMラジオ以上FMラジオ以下程度にまで減衰されてしまい、 とてもHi-Fiとは言えなくなってしまいます。
    サンプリング時に音楽情報の一部が必ず失われてしまうCDと違ってアナログレコードにはすべての情報が残されている、 だからいい機材を使えばレコードはCDより必ずいい音がするはずなのだ・・・と、 いまでもアナログレコードの音を追求しておられる方々がいらっしゃいますし、 強烈な慣性モーメントをもつターンテーブルがあったりします。 しかし当時は、こんなフィルタを使いたくなるほど、針先からのスクラッチノイズは悩みの種でした。

    4チャネルステレオは、回路技術だけでなく、高度なレコード再生技術も要求しました。 CD-4方式ではリアチャネル情報は30kHzのサブキャリアで変調されています。 よって4チャネルを再生するには、可聴周波数帯を大きく超えて50kHzまで再生可能なレコード針、カートリッジ、 伝送ケーブルそして専用設計されたヘッドアンプが必要でした。 しかし現実には、こんなHIGHフィルタが欲しくなるほどに高音域はスクラッチノイズによる妨害を受けます。 サブキャリアとそれにより変調を受けたリア信号を安定に復調するのは、 理論的には可能であったとしても、 一般家庭用のビニール盤アナログレコードでは至難のことだったのでしょう。






10年前の修理の続き

    使っているスピーカはアイワの低価格ミニコンポ用。 KR-9340にはラウドネススイッチがあり、小音量時に低域を増強してくれます。 これをONにした後にトーンコントロールで低域と高域を増強して、好みのバランスが得られました。 使用中止を決めた原因となったハムですが、さほど気になりません。
    ・・・と思ったら、これはリスニングポジションの関係もあるようです。 スピーカに近くてリスナの頭と2つのスピーカの成す角が90度近くだとハム音は気にならないのですが、 スピーカから1mほど離れるとはっきりとブーンと聞こえますし、 スピーカのコーン紙にさわるとはっきり振動しています。

    ハムの出方は以前の修理のときと全く同じ傾向。 今回はサービスマニュアルが手元にありますので、 前回の修理箇所を振り返ります。

    1998年に修理したのは底面にあるX00-1360-10 パワーサプライボードでした。 この電源回路はトランジスタ3石によるシリーズドロップレギュレータで、 X00-1370-10パワーサプライボードで全波整流された非安定DC50Vを受け、 安定したDC40Vを生成します。 DC40V電源の出力電流は回路図によれば平常時20mA。
    この電源は20dBアンプ (X13-1570-10) とPREボード (X08-1180-00) に給電します。 回路図によれば平常時の全電流はそれぞれに10mAずつで、計20mA。
    PREボードは基本的にRIAAイコライザを含むプリアンプであり、 AUXポジションやテープモニタポジションでは切り離されているはずです。 AUXポジションでハムの原因になるとすれば、20dBアンプボードに影響を与えているためでしょう。

    前回交換した4.7μFの電解キャパシタは、 シリーズドロップの出力電圧から分圧して得たフィードバック電圧ラインを平滑するためのものです。 DC40V電源ラインをオシロで観測すると、電圧はDC40Vで正常。 AC50Hzのリップル分は20mVp-pほどみられます。 さらにこの電源ライン、どういうわけか非常に不規則にひょろひょろと上下します。 変動幅は±60mVほど。

    交換した4.7μFはおそらく正常でしょうから、このボード上の他の電解キャパシタを疑います。 10μFがツエナーダイオードのノイズ吸収用に、 また100μFがシリーズドロップトランジスタの上流と下流の間に入っています。 2つとも無条件に交換してしまうことにしました。

    外したキャパシタの外観を見ると、日通工製の100μFに電解液漏れの痕がみられ、 ベースのラバーシールもカチカチ。 P-10型デジタルテスタで容量を測ると、全く応答がありません。 これが原因だったのでしょう。 2つとも、高信頼性105℃仕様の電解キャパシタに交換しました。 おお!! ハムはすっきり消えました。 DC40V電源ラインのリップル分は1mVp-p以下。 ただし不規則な上下動は残っています。 このラインにリップルがあるとハムになるので、この上下動はやはり20dBアンプの動作に影響しているはず。 その周波数は数Hzですので音声出力には現れてこないだけなのでしょう。 変動の原因を調べようかとも思いましたが、 再生音にはまったく問題がないのでこのままにしました。

    スピーカセレクタの接触不良はきれいには直らず、 ときたま接触不良が発生します。 トラブルが続くなら直結にでもしちゃおうかな。 Noobow9100コンピュータのラックに収めて、 とりあえず作業終了。 しばらくはいい音が楽しめそう。

2008-09-22 ハム修理 2回目




    Replaced Ck2 100μF electrolytic capacitor which caused hum.

スピーカセレクタをジャンプ

    スピーカセレクタスイッチの接触不良はますます酷くなってきました。 低音が強い音楽を大音量で再生すればスイッチ接点の酸化被膜が飛ぶからなのかすこしばかり回復しますが、 夏以降はそれもダメでほぼ使い物になっていませんでした。 ので、とうとうスピーカスイッチのジャンプを決心。 X13-1570-10スイッチ ボードに実装されているスピーカセレクタ回路は結構接続が入り組んでいます。 スピーカAスイッチとスピーカBスイッチは機構的には連動していませんが、 両方のスイッチが同時にONになった場合はスピーカAとスピーカBが直列に接続されるようになっています。 しばらく回路図とパターン図とにらめっこし、ビニール線4本でジャンプしました。 スピーカを切れなくなってしまったので、ヘッドホンだけで聴くことができなくなってしまいました。

    音がブチブチ途切れなくなったので、久しぶりに大音量で映画鑑賞。 バスを増強しているのでアイワのミニコンポスピーカには明らかに過大入力、 いまにもボイスコイルが焼ききれるのではないかと思うようなコーンの動きですが、 大迫力というには音量不足。 ま、スピーカで大音量で音楽を聴けるチャンスなんて盆と暮れしかありませんから、 そのためにスピーカに投資する気はしません。

2009-12-25 スピーカセレクタジャンプ改修



    Speaker selector switch no longer provides stable contact, so brute force applied - jumping the switch.


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Jul. 18, 1998 Created.
Oct. 12, 1998 Revised.
Oct. 24, 1998 Revised.
Feb. 15, 1999 Revised.
Jul. 28, 2002 Revised links.
Apr. 05, 2005 Reformatted.
Apr. 06, 2005 Retouched and added brief explanation in English.
Sep. 22, 2008 Hum repair completed, updated.
Jul. 30, 2009 Adapted Japanese text rendering behavior of Google Chrome 2.0.
Dec. 25, 2009 Speaker selecter switch jumped.