NoobowSystems Lab.

Radio Restoration Projects

   
SONY ICR-4800
Portable Shortwave Receiver
(1982)

Mobile wireless network generations may laugh, but a pocket radio was an indispensable item for outback motorcycling then. Wake up in a cool dawn, crawl out from the tent, turn on the radio, boil water for a cup of coffee, adjust and lublicate drive chain while waiting for a weather forecast on the radio ---- it was such a precious moment and I wonder how long I have been missing such a priceless time.
I bought a brand new ICR-4800 for my first Hokkaido tour in 1982 and is still one of my best friends waiting for another adventure.


ポケットラジオ

    だれもがインターネット接続可能なモバイルデバイスを持ち歩いている今となってはお笑い草かも知れませんが、 その昔モーターサイクルで長距離キャンプツアーに出るなら天気予報を聞くためにポケットラジオは必須アイテムでした。 高速道路と幹線国道だけを走り設備のよいホテルだけに泊まり続けるようなモーターサイクルツアーは面白いとは思えませんし、 今でもいったんアウトバックに出れば必ずしも移動体通信網に接続できるとは限りません。 本当のモータサイクリングを楽しむ人なら今でも、ポケットラジオは欠かせないはずです。 ほかにだれもいないキャンプ場の朝露に濡れたテントから這いだし、白み始めた空を見上げ、ラジオをつけ、コーヒーを沸かし、 天気予報を待ちながらチェーン調整と注油をする・・・のが私にとって一番幸せなツアースタイル。 ああ、そんなツアーを最後に楽しんだのは一体いつなんだろう。




初めてのソニー

    高校のとき使っていたのはナショナルの6石スーパー。 ごく普通のAMポケットラジオでした。 新聞配達をしていたのでキャンプツアーはほんの数回しかいけませんでしたが。

    大学に進み、初めての北海道ツアーのためにポケットラジオを新調することにしました。 人工ノイズのないアウトバックで短波を聞いてみたいから、今度は短波付きにしよう。 秋葉原に行ってみると、ナショナルパナソニックとソニーにちょうどよさそうなモデルがありました。 ナショナルのものはFM付きでしたが、今度は絶対にソニーを買おうと思っていたので、激しく葛藤しながらFMなしのソニーICR-4800を購入。

    第1回北海道ツアーは連日の雨の中SP370でぐるっと北海道を一周、第2回はXT400で道央から道東へ。 でも三回目の北海道ツアーは直前に60日免許停止処分を受けてしまったのであえなく頓挫。 すると友人が、北海道行くからラジオ貸してくれ、と、ICR-4800だけが第3回北海道ツアーに行きました。

    1994年はインターネット普及開始以前で、海外で日本語ニュースを読むにはNIFTY-Serveなど商用BBSにTelnetで接続し、有料のニュースサービスを利用していました。 1997年頃にはインターネットのワールド・ワイド・ウェブが普及し始めていましたが、 無料で日本語ニュースを提供しているサイトはありませんでした。 ので、シリコンバレー赴任時もその後の海外出張時も、必ずICR-4800を持っていきました。 ホテルの客室でロッドアンテナだけではラジオ・ジャパンは雑音だらけでしたが、それでも日本語でニュースが聞けるのは大きな安心でした。



ICR-4800

    ICR-4800はマルチバンドポータブル短波ラジオ。 ダイヤルはごらんの通り縦行きダイヤル。 30年経った今でもこの手のラジオのスタンダードといえるレイアウトです。 フロントパネルに電源スイッチ兼用のMW・SWバンドセレクタ、上面に短波5バンドのセレクタスライドスイッチ。 スーツケースの中で押されて勝手に電源が入らないよう、OFFボタンを押したままにできる小さなロック機構があるのはうれしい配慮。

    ICR-4800にはトランジスタが4石とICが2つ使われています。 IC1はおそらく中間周波増幅・AM検波・AGCそしておそらく初段低周波増幅を担当し、 SIPパッケージのIC2はオーディオパワーアンプだと思われます。 中間周波段にはセラミックフィルタが入っています。

    短波帯はゼネラルカバレージではなく、5つの国際放送帯 3.5MHz、6MHz、9.5MHz、11.5MHz、15MHz - だけをスプレッドしています。 ボディ右側のチューニングつまみは糸掛けでダイヤルポインタを動かしバリコンを回します。 操作はグニャリ感がありさほどスムースとはいえませんし、バックラッシュも皆無ではないものの、 バンドスプレッドされているので苦労なく選局操作ができます。 フロントパネルには信号強度に応じて明滅する赤色LEDがあります。 安定度は完璧とはいえないものの良好で国際放送を聴取するには十分、 いったん同調すれば再同調の必要はほとんどありません。

    音は乾いた感じでニュースなどが聞き取りやすく、用途にあっています。 もう少し落ち着いた音で聞きたいなあと思い外付けスピーカをつないでも、 ドライブ能力が乏しいからなのか、さほどいい音にはなりません。

    なによりうれしいのは電池の持ちがとても良いことで、弱ってくるとチューニングインジケータの明るさが落ちますが、 ボリュームコントロールをちょっと上げてやれば問題なく聴くことができます。海外出張のときでも出先での電池切れの心配は全くありません。








修理

    クパチーノラボ時代のたぶん1995年にICR-4800が壊れ、まったく音が出なくなってしまいました。 買い替えてもよかったのですが、すっかり自分の一部のような気がしていたので、修理を試みることにしました。

    リヤカバーをあけて調べると、原因はボリュームコントロール取り付け部のサブプリント基板が割れ、パターンが切れてしまったためでした。 はて、落としてしまったことがあったかな。 割れた基板に小さな補強部材を接着剤で追加し、配線を追加しました。



    2000年11月、短波のダイヤルは各バンドいずれも目盛りずれが目立ってきていたので、 シグナルジェネレータを使って再調整を行いました。

    本機のプリント基板とダイヤルメカニズム等すべての内容物はミッドシャーシに取り付けられており、 各バンド用の同調コイルはご覧のように電池も入れた動作状態のまま、容易にアクセスできます。 ひとつだけコイルがミッドシャーシに隠れますが、調整ドライバが通るようにミッドシャーシに穴があけられています。 組み上げた後に一台一台、おそらく人手で個体調整されてから出荷されたのでしょう。 いいなあ、高品質メイド・イン・ジャパン。

   



出番はなくなったわけじゃない

    乗り継ぎ空港で自分へのお土産に買った デジタル表示のポケット短波ラジオ やホームセンターの吊るしで売られていた短波ラジオ数種類と、 ICR-4800は私にとって唯一のポケット短波ラジオではなくなりました。 海外のホテルでもCATVで日本のテレビが見れたり、 インターネットで日本のニュースが読めたり、 さらにはなにより英語のニュースで全く不自由しなくなったので、 海外出張のときも短波ラジオは必須ではなくなりました。 昨年2015年には、とうとう空港のショップから短波ラジオは完全に姿を消してしまいました。 短波ラジオが海外を駆け回るビジネスマンの必須アイテムであった時代は完全に終わってしまったのです。

    テレビのない第3研究所でときたまライブニュースを聞くのに重宝していたICR-4800は、 スピーカグリルの接着が弱くなってぽろりと外れてしまい、他の不急不要機材の箱に。 しばらく部屋の隅で埃をかぶりつづけていたICR-4800を久しぶりに手に取ると、 もうぼくの出番はないんだよね? と悲しそうな顔をします。 いやいや、なかなか時間が取れなかっただけだよ。 直してあげよう。

    スピーカグリルは、本来はミッドシャーシの開口部と同じ形状にプレカットされた薄い粘着テープか、 あるいは均一にローラかなにかで塗布されたゴム系接着剤でとりついていたようです。 簡単にボンドで再接着しましたが、 グリルのパーフォレーションから接着剤がはみ出すし、 一部接着が完全でなくてビビリ音が出たりと、 完璧な素人修理になってしまいました。 あああ、ごめん。

    もうひとつのトラブルは、短波のバンドセレクタがスライドさせても効かなくなってしまったこと。 原因を調べるのにちょっと時間を要しましたが、 内蔵フェライトバーアンテナの固定が緩くなり、位置がずれたフェライトバーがセレクタレバーを横にずらしてしまい、 基板上のバンド切り替えスライドスイッチに正しくかみ合わなくなったためでした。 バーアンテナの位置を元に戻し、再組付完了。

    外観は歴戦の勇士という雰囲気だけど、機能的にはパーフェクト。 元気に復活です。 あの地震のときには大混乱のなか中央研究所に向かう ティーディ の走行中ずっと情報を提供してくれたのは君じゃあないか。 最後に頼るのはきっと君だよ。







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Nov. 25, 2000 Shortwave Dial Recalibration performed.
Sep. 28, 2011 Initial text.
Sep. 18, 2012 Page created.
Jan. 31, 2016 Updated and published. [Noobow7300A @ L3]