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Radio Restoration Projects

Echophone Commercial EC-1B Echophone Commercial
EC-1A / EC-1B
General Coverage Shortwave Communications Receiver




あらまし

    第2次世界大戦直前の1941年、ハリクラフターズ社は入門者用の短波帯受信機 エコーフォン・コマーシャル モデルEC-1 を発売しました。 本体のどこにもハリクラフターズの名前は見えません。 1935年にエコーフォン・ラジオ社がハリクラフターズ社に合併されて以来数年ぶりに、エコーフォンのブランドが市場に復活したことになります。
    EC-1AはEC-1の後継モデルであり、大戦直後の1946年まで販売されました。価格は19ドル95セント。 特徴的なバンドスプレッド・ダイヤルのレイアウトや、性能をなるべく犠牲にせずにコストダウンを図ったその基本設計は、後にエントリー・レベルの受信機の傑作 ハリクラフターズS-38シリーズ に受け継がれることになります。
    S-38の発売直前の短い期間、EC-1Bと同一のモデルが ハリクラフターズ・スカイライダー・ジュニアS-41G/W として発売されました。エコーフォンとの違いはキャビネットおよびダイヤル盤の色、そしてつまみの形状です。
    エコーフォンEC-1A/Bは低価格モデルであったため、当時「貧乏人のハリクラフターズ」と呼ばれることもあったようです。 ある人が一所懸命ためたお小遣いでエコーフォンを買い、家に帰って箱を開けたらスカイライダー・ジュニアが出てきて飛び上がって喜んだ、という話も聞きました。
    As the WW2 ended, Hallicrafters introduced Echophone EC-1A as an entry level shortwave receiver. Its unique band spread dial layout as well as its circuit design to provide low cost yet best performance, was definitely the predecessor of popular Hallicrafters S-38 series.

    Little is described in books or on web pages regarding the difference between EC-1A and EC-1B, however, the band spread mechanism is completely different. EC-1A uses combined variable capacitor while EC-1B uses slug movement control in the local oscillator coil. S-41W/G is same as EC-1B, and S-38 uses EC-1A type. EC-1A has minimum friction and therefore the dial operation is quite smooth.
    Although the radio cannot be classified as a high performer, it plays incredibly well and is my most favorite receiver to enjoy relaxed listening time.

EC-1Aの構成

    EC-1Aはごく平凡なAC/DCセット(日本でいうトランスレス・タイプ)のシングル・スーパーヘテロダイン構成になっており、 中間周波数は455kHzです。 使用している真空管も当時のアメリカの一般的なラインアップになっています。

使用真空管と回路構成
12SA7 メタル管:周波数変換用7極管 局部発振・周波数変換
12SK7 メタル管:リモートカットオフ5極管 中間周波数増幅
12SQ7GT GT管:双2極・高μ3極管 検波・初段低周波増幅
12SQ7GT GT管:双2極・高μ3極管 BFO / ANL
35L6GT GT管:ビーム出力管 低周波出力
35Z5GT GT管:2極整流管 整流

EC-1A Interior View



    ロータリー・スイッチによる3バンド切り替えで、550 kHzから30MHzまでをカバーします。 バンド・スプレッド用のバリコンはメイン・バリコンと一体で、 ごくオーソドックスな糸掛け方式で左右のチューニングつまみから駆動されます。 一体式バリコンの2本のシャフトに直接指針を取り付けるために、 後のS-38シリーズにつながる特徴的な「分度器2つ」ダイヤルが生まれました。

    短波帯はわずか2バンドにしか分割されていないため、 メイン・チューニングつまみをごくわずか動かしただけで周波数は大きく変化しますが、 品質の高いバリコンのせいかバックラッシュはほとんどなく、きわめて快適に操作できます。 上部から豆電球でお世辞程度の明るさで照らされるダイヤル目盛りには、海外/アマチュア/航空機/船舶などのバンドが表示されています。
電源スイッチはボリューム・コントロールと兼用です。

    フロントパネル下側の4つのスライド・スイッチは次のような機能を持っています。

C.W./A.M. AM受信とCW(と、当時はほとんど無かったSSB)受信の切り替え。 BFO出力の検波段への注入を切り替えます。 この方式だと当然、SSBを聴くと逆サイドバンド混信に悩まされますが、受信そのものは結構安定しています。
NOISE LIMITTER ON/OFF ノイズ・リミッタのON/OFF。ですがほとんど効果は感じられません。
PHONE/SPEAKER 内蔵スピーカと、背面のヘッドホン出力の切り替え。 差し込むだけでヘッドホンに切り替わる方式になるのはずっと後のことです。 ハイインピーダンスのヘッドホンを使用します。
STANDBY スタンバイ・スイッチ。 となりに置いた送信機で送信するとき、このスイッチで受信機の動作を一時停止します。 この受信機にはトランシーブ動作用のコネクタはありません。

EC-1A Dial

    Entire shortwave spectrum is covered by only 2 bands. Although the slightest touch of the main dial causes a large frequency change, the EC-1A's smooth dial mechanism gives a pleasant time of searching the signal with the band spread.

    キャビネットは堅牢かつシンプルなスチール製で、資料によれば本来はグレーに塗装されています。 このラジオはトランスレス式のため、内部シャーシは電源プラグのどちらかのピンに接続されており感電の危険があります。 そこで内部シャーシと外部キャビネットは電気的に絶縁されています。 取り外し式の背面パネルには一般的な家庭用ラジオにみられるインターロック機構はついていません。 そのためパネルを外したままシャーシを触ると感電してしまいます。

    シャーシ背面左側から順にアンテナ・ターミナル、となりのゴムブッシュは前のオーナーが開けた穴を利用した外部スピーカ引き出し、 真ん中がオリジナルのヘッドフォン端子。一番右は電源ケーブル、そのとなりがBFO周波数調整トリマ。
EC-1A


EC-1A

    フットヒル・カレッジのフレア・マーケットで手に入れたとき、このラジオはブルーメタリックにリペイントされており、 本来エコーフォンのロゴがあるべきところには、なんとSONYのネームプレートが貼り付けられていました。 全てのコントロールにはテープライターのテープが貼り付けられていました。 バンド切り替えつまみはオリジナルではなくサトーパーツ製の矢型つまみに交換されていました。 シャーシは銀色スプレーでサビ隠しがされていました。

    外観は素人加工されてしまったこのEC-1A、電気的には問題がなく、すぐに動作を開始しました。ボリュームのガリもありません。 入手時の唯一の問題はバンドスプレッドが約3分の1の範囲しか動作しなかったことでしたが、 これはスプレッドバリコンのローターが曲がっていたのが原因で、曲げ直して修復。

    EC-1Aは所詮5球スーパーですから、一応は通信型受信機といってもどの程度使い物になるのか? 小学生の頃いじっていた2バンドの松下製家庭用5球スーパーの短波の性能はひどいものでしたから。 じっくりダイヤルに向かってみると、どうしてなかなか、いろいろと聞こえてきます。

    高感度とは言いがたいものの、選択度や安定度は適度で、アマチュア・バンドには役不足ですが、 国際放送に対しては充分実用的といえます。 周波数直読は完璧に困難ながら、同調操作がきわめてスムースなので、バンド内を「探る」楽しみを十分に堪能できます。 明確なイメージ混信があり、時としては本来の周波数より強く聞こえたりすることもあります。 独立した真空管で発振されるBFOの出力は不足気味で、至近距離にあるアマチュア局の強力な信号に対しては復調が困難です。 この場合はアンテナ・アッテネータか何かを準備する必要があります。 SSB復調はブロードな選択特性と逆サイドバンド混信のため、当然ながら本格的通信機のようには行きません。

    オーディオ出力は充分で、キャビネット上部のスピーカを大音量で駆動することができます。 音質は比較的乾いた感じで、通信機風と言ったら分かりやすいでしょうか。 この音質はもっぱら内蔵スピーカに起因するもので、 オーディオ用の小型ブックシェルフ スピーカを接続したところ落ち着いた音となり、リラックスして国際放送を楽しめます。

Sound Clip of EC-1A ( WAV format, 678KB )

    その後リヴァモアのフレア・マーケットでMFJ社製の受信用アンテナチューナー・プリアンプを手に入れることができ、 屋外に張った簡単なビニール線アンテナと組み合わせて、 ラジオ・ジャパンの日本語ニュースとBBCワールド・サービスがほぼローカルAM放送なみに聞けるようになりました。 すぐそばにコンピュータがあるものの、 アース端子をコンピュータのケースとキャパシタを介して接続したところコンピュータ・ノイズの影響もほとんどなくなり (トランスレス方式であることを考えると結構危険ですが)、実に快適です。

    こうしてEC-1AはNoobowSystems Lab.クパチーノ研究所時代の後期とサンノゼ研究所時代の大半の間、ラボのメイン受信機になりました。 渡米後1年半ほどたってからでしょうか、クパチーノ研究所時代のある日、 EC-1Aから聞こえてくるニュース番組のアナウンサーに妙に訛りがあることに気がつきました。 こんな人をアナウンサーにするなんて変だなあ、と一瞬思い、そしてすぐにそれがBBCであることを思い出したのです。 あ、これがイギリス英語ってやつなのか!!

    その後しばらく使用していたらミキサーの12SA7がヒータ断線。マウンテンビューのHaltekで買った中古球と交換。

    おそらく100時間以上使用した後しだいにハム音が大きくなってきたので、底板をはずして再びチェック。 電源平滑用のブロック電解キャパシタは、前のオーナーによって最近の単体電解キャパシタと交換されていました。 整流管と出力管周辺のペーパーキャパシタ何個かを新しいものに交換したところ、皆無とは言えないものの、 ほとんど無視できるまでにハムは低減しました。同時に、痛みかけていたAC電源コードを新品と交換。 2ピンのACプラグを、極性に注意して接続しました。

    最近のトラブルは整流管の35Z5GTがヒーター断線。手持ちの新品に交換して即修理完了です。

    現時点での問題はペイントだけで、いつかリペイントにチャレンジしようと思っています。 オリジナルのグレーに戻すのが正統的ですが、明るいアイボリーにしてみるのもいいかな、などとも考えています。 コントロールは市販のインスタント・レタリングで済ませるとして、フロントパネル上部のEchophoneのロゴはどうしよう。 手元の資料に拡大図はあるので、なんとかこれを再現したいなあと考えています。


EC-1B

    ハリクラフターズ・ファンのバイブル、Chuck Dachis氏著の <Radios By Hallicrafters> にはEC-1AとEC-1Bの差については記述がありませんが、バンドスプレッド機構が大きく異なっています。
    EC-1Aのバンドスプレッドは、メイン・バリコンと一体になったバンドスプレッド・バリコンを糸掛けドライブで駆動し、 バンドスプレッド・ダイヤルの指針はバリコンのシャフトに直付けされています。これは後のS-38Cと同じ方式です。

    これに対しEC-1Bでは外観上は同じながら、 バンドスプレッドはシャーシ下のローカルオシレータ・コイルの中におかれたスラグを移動させる方式になっています。 バンドスプレッドつまみのシャフトとダイヤル指針のついたシャフトは糸掛けでつながれ、またシャーシを垂直に貫通するシャフトを回します。 貫通シャフトはさらにシャーシ下面でスラグを往復させる糸掛けを動かします。 結局2連糸掛けになっているわけで、またそれぞれの糸掛けの途中にはロードスプリングが入っています。

    バックラッシュを含めたダイヤルの操作感からすれば複雑なEC-1Bは原理的に不利です。EC-1Aではフリクションロスは最低限であり、 指針がバリコン直結になっているためチューニング範囲を超えて回しても指針のずれは発生し得ません。 結果として糸掛けとしては最高にスムースなチューニングが可能です。 ところがEC-1Bでは糸掛けが2連になっており、貫通シャフトとスラグ往復部のアイドラ・ローラの分だけフリクションが増加します。 さらに途中に入ったロードスプリングのため動作がダイレクトでなくなっています。 チューニング範囲を超えて無理に回した場合のダイヤル指針ずれの可能性もあります。

    この変更の理由は何だったのでしょうか? 憶測するに、ひょっとして一時的にバンドスプレッド一体型バリコンの生産が間に合わなくなったための措置でしょうか。 後継機S-38では一体バリコンに戻されていますが、これはバリコンが入手できるようになったためなのか、 それともEC-1B方式の評判が悪かったためなのか、興味あるところです。

    ダイヤル盤にも違いがあります。 すぐ気が付くところでは、バンドスプレッドの目盛りがその方式の違いから、 EC-1Aでは0から100までなのに対し、EC-1Bでは±50になっています。 またEC-1Aでは1600kHz帯にPOLICEの表示がありますが、EC-1Bでは削除されています。

    EC-1Aの背面パネルはベニア板製ですがEC-1Bは黒色のボール紙製。 このEC-1Bのボール紙パネルはすでによれよれになってしまっています。

    EC-1Bは外観的にはオリジナル・コンディションを保っています。 電源平滑用の電解キャパシタはやはり前のオーナーにより最近のものに交換されており、 とりあえず動作します。 しかしながらバリコンに堆積した埃とごみのためチューニング時にスクラッチノイズが出るなど、全般的な清掃・調整が必要なようです。





    EC-1B band spread is more complicated than EC-1A's, causing sluggish movement and spoils the fun of searching the signal.





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