Go to NoobowSystems Lab. Home

Go to Kits, Gadgets and Projects page

Velleman-Kit K8048

PIC Programmer and Experiment Board

Velleman Components N.V.

勉強しようと思うなら

    1995年頃、 Nuts&Volts [外部リンク] 誌で Parallax [外部リンク] 社の BASIC Stamp を知り、 これならサンデーホビイストにも簡単に組み込みプロセッサプログラミングができるなあと感心しました。 その後はPICに人気が集まり、数多くのキットや評価ボードや本が発売されているのは知っていましたが、 なかなかPICを試してみることはできませんでした。

    2006年02月、 Conrad [外部リンク] XN3000 を買ったついでに、 このPICプログラマキットを買いました。 日本で買えば似たようなものがかなり安く変えるだろうし、 種類も豊富だろうとは思いましたが、 キットの質はよさそうだったし、 それにベルギー製のエレクトロニクス・キットを組み立てるというのもオツなもんなのでは、と考えたのでした。
    XN3000の大きなパッケージをぶら下げて土曜日のシュツットガルトの町を歩き、 遅い昼食にベトナム料理店で食事を取り(ヌードルは期待していたPhoではなくて残念でした)、 エスプレッソを飲みながらこのキットのパッケージを開けてひとりニマニマしていました。

    が、それ以来、キットはラボの片隅でConradのビニール袋に入ったまま転がりっぱなし。 PICの使い方をマスターすべき強い動機がなかったこともありますが、 いつでも試せると思うと、後回しになっちゃいます。 NHKラジオで語学を勉強するのなら、ラジオの本放送を聞くべきで、 CDで買ってしまうとちっとも聞かなくなるのと同じかも。


K8048

    Velleman [外部リンク] 社は電子部品や計測機器のほか各種のキットを製造しており、 ウェブサイトにはいろいろ楽しそうな製品が並んでいます。 ラジオやアマチュア無線関係は扱っていないようですが、 高級真空管オーディオアンプキットもあり、これもいいなあ。 PIC専門店という雰囲気はありませんが、ウェブサイト内のフォーラムでそれなりのユーザーサポートが受けられそうです。 また同社のK8061 USBインターフェイスボードはかなりの応用が利きそう。

    K8048は8ビットPICのプログラマ兼簡易実験ボードです。 ボード上に8ピン、14ピン、18ピン、28ピンのICソケットがあり、どれかひとつを選んで対応するPICを差し込みます。 キットにはPIC16F627がひとつ付属しています。 ホストインターフェイスはRS-232Cで、オンボードにD-Sub 9ピンのコネクタを持ちます。 タイミングの関係から、本機はUSB-RS232Cアダプタではうまく動かないようで、 ホストには正式なRS-232Cが必要。

    キットは良質なプリント基板と、すべてのコンポーネント、ミニCD-ROMと簡潔な組み立てマニュアルのセット。 添付されたミニCD-ROMには、開発用のアセンブラとプログラマ、それにPICのユーザーズマニュアルが含まれています。 マニュアルは組み立ての方法と付属ソフトウェアのインストールの方法だけで、 マイクロコンピュータのプログラミングがはじめての人は何をどうすればいいのかさっぱりでしょう。 パソコン以前のワンボードマイコン世代(=もうみんな立派な中年オヤジ!!!)にとっては、 必要にして十分な情報が提供されています。

    キットはホストからPICにプログラムできるほか、実行することもできます。 実行時はPICのI/Oポートのうち6つが出力用としてLEDに接続されており、 また4つのタクトスイッチが入力用として用意されています。 このI/Oだけで用が足りるなら、このボードだけでターゲットとして使うことができます。

    ボード上のプログラム・スイッチは3ポジションのトグル・スイッチで、スタンバイ/実行/書き込み の動作モードを切り替えます。 実行モードまたは書き込みモードにすると、ボード上の自己点滅式赤色LEDが点滅し、装着されたPICを取り外してはいけないことを警告してくれます。

    ICソケットはごく普通のソケットなので、別ターゲットのPICの開発を行うなど頻繁に抜き差しが必要なときは一工夫必要になるでしょう。 ボード上にはICSPコネクタも用意されているので、これを使ってターゲットボード上のPICに直接書き込むようにするのが便利かも知れません。


ベルギーの味

    久しぶりのフリーな休日は、ラボの仕掛かりプロジェクトを進めることにします。 本当は K01-Aボイスレコーディングキット の改造をしようと考えていたのですが、 なぜかいまひとつ気乗りがしませんでした。 ま、仕事ではなくてフリータイムを楽しもうとしているのですから、 気分が乗らないことを無理にやる義務はどこにもありません。 ふとラボを見回して、Conradの袋に目が留まりました。そうだ、今日はこれで楽しもう。 買ってからほぼ2年が経っています。

    いまやPICは16ビット品のほうが主流になった感があります。 開発ボードも新しいものはUSBで直結でき便利だし、 16ビット版であればログラムはCで書ける・・・とあっては、 8ビットのほうが簡単ともいえなくなってしまいました。 それでもピン数の少ない、簡単な制御をするのなら8ビットPICも捨てがたいはず。 せっかく買ったキットなので賞味期限を逃すのはもったいない・・・ いまならまだ間に合うかな?

    箱にしまっておいたので基板銅箔の酸化はありません。 基板サイズは大きく、パターンはゆったりとしているので、 6石スーパートランジスタラジオ教材程度の密度。 老眼が進み始めている私にはとてもありがたいことです (とほほ・・・)。

    小型12ページの組み立てマニュアルは、最初のほうにはんだ付けの一般注意事項も書かれてはいますが、 余計な記述はなく簡素にして明快。 間違えそうな部分の部品名 (計5個あるトランジスタBC547だがひとつだけBC557が使われている) は太字にしてあって、寡黙ながらきわめて適切なアドバイス。
    両面スルーホール基板は加工精度・シルクの明瞭度ともに秀逸で、 組み立てはストレスフリー。 アキシャルリード形のダイオードと抵抗は、取り付けの順番にテーピングされています。 これはすばらしい!! ベルギー製キットの組み味は、まさにパーフェクトでした。

    部品点数はそれなりに多く、組み立てには途中休憩を含んで1時間50分かかりました。 できあがったキットは、ご覧の通り美しい仕上がりです (部品面のはんだがちと少なかったかな)。


電源

    本機は、DC12〜15Vの外部電源を必要とします。 電源供給はオンボードのDCジャックから行います。 キットはVelleman社指定のACアダプタを使うことを前提としているため、 適合するDCプラグは同梱されていません。 が、使われるのは外径φ5.5のごく標準的なDCジャックであり、 IC-502やRF-877の電源用につくっておいた電源ケーブルがどんぴしゃ。

    極性はセンター・ポジティブです。 キットのDCジャック部には、逆接保護用のダイオードが入っています。


RS-232Cケーブル

    さて、面倒な作業の始まり。 このキットにはRS-232Cケーブルが付属していません。 マッチするものを買い求めておけばよかったのですが、 いっぽうでRS-232Cケーブルくらいは自分でつくれないと。 しかしRS-232Cケーブルはコネクタの形状や結線にいろいろなバリエーションがあり、 一本作ろうとすると結構苦労します。 さらに困ったのは、超高密度のラボのなかから使いまわしできそうなRS-232Cケーブルを探し出すこと。 信頼性がまだ十分でないNTTの光ネットワークがダウンしたときのために常時スタンバイしているU.S. Roboticsスポーツスター アナログモデムをのぞけば、 ここ5年以上、RS-232Cを使うことはありませんでした。 ので、新品ストックも中古品も、RS-232Cケーブルはひどく奥に押し込まれてしまっているはず。
    結局、改造に使えそうなケーブルを探し出すのに実に20時間を要しました。

    ホストコンピュータ側(DTE側)は、普通ならIBM PC-ATのCOM1仕様でD-Sub9ピンを使うのでしょうけれど、 ラボではホスト機器は正統にD-Sub25ピンのメスを標準にしています。 ので、ケーブルのホスト側はD-Sub25ピンのオスを使います。
    K8048のオンボードコネクタはD-Sub 9ピンのメス。 探し出したケーブルは25ピン オス と 9ピン メス がついていました。 このケーブルの現状の結線を調べ、次にK8048にはどのように結線すべきかを推測し (マニュアルに結線図は書かれていませんでした)、あわせて9ピン側コネクタをメスからオスに変更します。

    この作業記録詳細は、いったん用がなくなるとうっとおしいので、このHTML文書中でコメントアウトしてあります。 読みたくなったらHTMLソースを参照するか、コメントをはずすこと。

    調査とケーブルの改造にはやはり3時間ほどを要しました。 できあがったケーブルでNoobow9100コンピュータとK8048をつなぎました。
    今回準備し、正常動作が確認できたケーブルの結線仕様は以下の通りです。
HOST (PC) Signal Direction Wire Color K8048 PIC Programmer
D-Sub 25 Pin Male D-Sub 9 Pin Male
PIN NAME Function PIN NAME
1 PG Protection Ground ---- N/C ---- N/C
2 TXD Transmit Data 25pin ---> 9pin BROWN 3 MCLR/Vpp
3 RXD Receive Data 25pin <--- 9pin ORANGE 2 N/C
4 RTS Request To Send 25pin ---> 9pin GRAY 7 PGC
5 CTS Clear To Send 25pin <--- 9pin VIOLET 8 PGD Echoback
6 DSR Data Set Ready 25pin <--- 9pin LIGHTGREEN 6 N/C
7 GND Signal Ground ---- BLUE 5 GND
8 DCD Carrier Detection 25pin <--- 9pin RED 1 N/C
20 DTR Data Terminal Ready 25pin ---> 9pin GREEN 4 PGD
22 RI Ring Indicator --- WHITE 9 MCLR/Vpp

Hello World

    昨晩のうちに、キットに付属してきた開発ツールをインストールしておきました。 Vellemanのサイトの最新版もダウンロードしてみましたが、同じリビジョンでした。 キットに付属してきたアセンブラでサンプルプログラムをビルドし、 いよいよPICライティングプログラムで書き込みを試します。

    ライティングプログラムはCOM1ポートの先にK8048がつながっていることをただしく認識するし、 書き込みを開始しようとします。 おそらくケーブルは正しくできているのでしょう。 しかし書き込みを行うと"No Device ID Found"とのメッセージが出ます。あれえ? Vellemanのユーザーズフォーラムをしばらく読んでいるうちに、 ズバリの答えはなかったものの、ひとつ思いつきました。 FLASHのプログラム電圧が足らないのかも。
    いままでK8048は安定化電源装置を使い12Vぴったりで動作させていましたが、 これを15Vまで上げてみます。 すると、一発で書き込みが完了し、サンプルプログラムが動作してボード上のLEDが流れはじめました。 組み込みシステム版Hello Worldの完成です。 できた!!!



サポートされるPIC

    なにしろPIC初心者なので、チップの型番から勉強しなくてはなりません。 マニアになるつもりはないし最新のものを使いたいわけでもなく、 自分が応用してみたいいくつかのプロジェクトに適したものが見つかればそれでいいのです。 K8048のマニュアルには、以下のチップがサポートされているとあります。 これ以外の新しいものにも使えるものがあるのでしょうが、 いまのところは不明。 実際には書き込みツールのサポート状況によるでしょう。

TYPE OUTLINE CODE DATA ADC
PIC12F629 8pin DIP 1K 64 Not Equipped 629/675
PIC12F675 8pin DIP 1K 64 10bit 4ch 629/675
PIC16F83 18pin DIP 512 36 Not Equipped Max 10MHz
PIC16F84(A) 18pin DIP 1K 68 Not Equipped Max 10MHz
PIC16F871
PIC16F872
PIC16F873 28pin 4K 192 10bit 5ch
PIC16F874 28pin 4K 192 10bit 5ch 873 + Parallel
PIC16F876 28pin 8K 368 10bit 5ch
PIC16F627(A) 18pin DIP 1K 224 Not Equipped PIC16F627 Original
PIC16F628(A) 18pin DIP 2K 224 Not Equipped
PICF630 14pin DIP 1K 64 Not Equipped PIC16F676 has 8ch ADC

  • I/O数が少ない小さな制御であれば8ピンのPIC12F675がADCつきで\120程度。
  • もうすこしI/Oが欲しいなら18ピンのPIC16F628Aが\200程度。
  • ADCを活用したいなら28ピンのPIC16F876を\600円程度。

  • この辺を次のお買い物にしよう。


    Return to Kits, Gadgets and Projects
    Return to NoobowSystems Lab. Home

    Copyright (C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2008, 2009

    http://www.noobowsystems.org/

    No material in this page is allowed to reuse without written permission. NoobowSystems has no business relationships with the companies mentioned in this article.
    Circuits appearing this page are for reference purpose only. They are designed by an amateur engineer - may contain error or may not work in certain conditions.

    Feb. 16, 2006 Velleman K8048 purchased at Conrad, Stuttgart.
    Feb. 12, 2008 Project started, PCB assembled, page created.
    Feb. 13, 2008 RS-232C cable built, PIC started to run.
    Feb. 17, 2008 Updated.
    Aug. 02, 2009 Reformatted. Adapted Japanese text rendering behavior of Google Chrome 2.0.
    Apr. 03, 2012 Updated.