X-29は2機が製作され、
カリフォルニア州のモハベ砂漠にある
エドワーズ空軍基地
内のNASAドライデン・フライト・リサーチ・センターでテストが行われました。
グラマン社はX-29を短期間に、そして低コストで開発するため、機体各部を既存の量産機種から流用しています。
機首はF-5Aフリーダム・ファイターのものを、エンジンはF/A-18ホーネット、
動翼アクチュエータやエンジン補機類およびメイン・ランディング・ギアはF-16ファイティング・ファルコン、
油圧リザーバはEA-6Bプロウラーから・・・など。
量産実績のある部品を使用したことは、X-29をもっとも信頼性のあるXプレーンたらしめました。
実験機でありながら、200回を超えるフライト中に大きな事故は一度もなかったのです。
NASAのテクニカル・デモンストレーターとして、X-29は数々の新技術を取り入れています。 いうまでもなく最大の特徴はその前進翼。 高速でめくれあがって破壊してしまわないよう、特別に考慮された複合材料によって作られています。 これによりX-29は、超音速で飛ぶことのできる初めての前進翼機になりました。 ピッチ制御は3つの翼面によって行われます。 一つは主翼の前、コクピットのすぐ後ろに取り付けられたクロース・カップルド・カナード。 二つめは主翼後縁のフラッペロン、 そして三つめはエンジンノズル部左右のストレーキ・フラップです。 主翼後縁はバリアブル・キャンバー機能をもち、 スーパークリティカル構造の主翼断面形状を飛行中に最適の形状に変化させることができます。 |
NASAドライデン研究所で屋外展示されているX-29の2号機。
エンジンは取り外されていますが、垂直安定板の下部にスピン・リカバリー・シュートが取り付けられているのが見えます。
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