Go to NoobowSystems Lab. Home

Go to Back To Life Again

Iwatsu SG-4111

Function Generator


Iwatsu SG-4111


デジタル表示が0のまま動かない

    これまたいつからあるのかわからない壊れたファンクションジェネレータ。 今となっては十分にレトロなデザインのフロントパネルに大型の赤色7セグメントLEDを持ち、 出力周波数と出力振幅が表示されるらしいのですが、 どうやっても表示がゼロから動きません。 動作すればなかなかかっこいいのでしょうに。

    このデジタル表示を直そうとした自分のメモが残っていました。 ほとんど記憶はないのですが、 電源回路は正常に思える、発振部は動作していることまでは確認をしているのですが、 そのあとあきらかに途中で挫折しています。

    このメモのファイル日付は2010年03月04日。 この日付はこのファイルを別のドライブからコピーした日付かもしれず、 実際に作業をした日付とは違うかもしれません。 が、前回修理を試みてから少なくとも10年は経っている、ということになります。

2010-03-04 原因調査 - 中断


    夢と時空の部屋で段ボールに入れられ保管されていたこの故障品、 2021年に入って箱から出てラックに修理待ちの状態でいました。 発振部は動作していることは覚えていたので RF-2200 のBFO周波数測定作業のときに使いましたが、 発振周波数がわからないので別の周波数カウンタを併用する必要があり、 やっぱり直しておきたいよねえ。





もう一度よく見る

    AIWA TPR-840 の修理としてパワーアンプ故障の症状発生待ち、 しかし全く調子が良くて一向に異常を示しません。 手持ち無沙汰になって、 岩通SG-4111を引っ張り出し、内部観察を始めました (写真は作業進捗してから撮影したもの)。

    本機にはメモリバックアップ用のニッカドバッテリは使われておらず、 液漏れ腐食の心配はありません。 フロントパネルのスイッチはすべてメカニカルラジオボタンですから、 最後に使われたポジションを記憶しておく必要もないので、 バックアップバッテリは要らないわけですね。

    基板や素子はきれいな状態で、焼損も見受けられません。 基板の上にはTP1、TP2・・・とシルクされたテストポイントがあり、 どうやら電源電圧のチェック用のようで、 電圧を示す数字もシルク印刷されています。 テスタで当たると、±24V系・±12V系のいずれも正常。 これは11年前のメモの記録通り。

2021-09-20 SG-4111調査再開





こりゃデジタルパネルメータだよ

    岩通SC-7202 ユニバーサルカウンタ のときは、80C39マイクロコントローラが正しく起動できず、 またプロセッサクロックが発振開始しないことが原因でした。 これも似たような問題かなあ? まずはマイクロコントローラのクロックとリセット信号の具合でも見よう。

    フロントパネルの7セグメントLEDは、 2枚あるプリント基板のうち上側ボード - UPPER BOARD とシルクされている - につながっています。 アッパーボードがデジタル部なんだろうね。 周波数ディスプレイLEDにつながっている大きなICの型番を見ると、 JRC NJD9202BDとあります。 データシートを見つけていきなり声を上げてしまいました。 これはマイコンじゃあない・・・ A/Dコンバータだ・・・ それも7セグLEDドライバを内蔵して測定結果をすぐさま数字で表示できるように設計されているもの、 つまりフロントパネルの表示は要するにデジタルパネルメータじゃないか!!

    振幅表示部のほうも、同じく新日本無線NJD9202BDです。 なんと、本機はどうやらマイコンを使っておらず、 基本的に全アナログファンクションジェネレータのようです。 そういえばフロントパネルの周波数調整・振幅調整つまみはロータリーエンコーダではなくて普通のポテンショメータです。 これって、要するにアナログVCOみたいだぞ?





周波数表示が動き出した

    だとすると、デジタル表示は、VCOへの周波数設定電圧を表示しているのでしょう。 もちろんオフセットとか倍率とかは表示用に変換したうえで。 NJD9202BDのアナログ電圧入力ピンから基板のパターンを追っていくと、 レベル調整等の回路を通って、どうやら基板の上で何もつながっていないピンヘッダに伸びています。
    このピンヘッダ、怪しいなあ、なんかつながるべきじゃないのかなとは感じていたのですが・・・ ピンヘッダのピンに指で触れると、 デジタル表示の数字が反応しました。 やはりこのヘッダのピンが、デジタル表示の入力信号を受けるんだ。

    何もつながっていない全く同じピン配のヘッダが、 下側プリント基板に、それもとても近い場所にあります。 この二つのピンヘッダは、コネクタケーブルでお互いにつながるべきなんじゃないの? ロワーボードのピンを見てみると、周波数調整や振幅調整のつまみ位置に応じて変化する電圧が出ています。

    これだ。アッパーボードとロワーボードをつなぐケーブルが、ない。

    周波数表示電圧ピンどうしをつないでみると・・・周波数表示が出た!

    ときにこの写真、 直したオシロを使って直したオシロ と、 直したオシロを使って直したオシロを使って直したユニバーサルカウンタ を使って壊れたファンクションジェネレータを直そうとしている図なわけで、 なんか面白いね。





代替ケーブル製作

    ケーブルがなくなっている、とはこれまた面妖な・・・ 考えられるのは、この機械を入手してまもなく、 バッテリの液漏れ確認のためにいちどアッパーボードを取り外す作業をして、 バッテリを持っていないことを知って組み戻し、 そのときケーブルをつけ忘れたのでしょう。 おそらく犯人は、いまこの機械をいじっている人間その人。 2000年代後半は赤ちゃんが生まれてママが重篤な産後鬱に罹患して、 しかも仕事はトラブル続きでメンタル崩壊直前。 ジャンク品を手に入れていじるのもほとんど一時の没頭を求めた現実逃避でしたから、 作業も病的に行っていたのかもしれません。 だいたい、その記憶が全くないのですから。

    ・・・などと考えながら、ジャンク部品で接続ケーブルを自作しました。




デジタル表示復活!!

    ということで見事デジタル表示が、周波数・振幅表示ともに復活しました。 周波数調整・振幅調整のポテンショにガリは皆無で、 ラジオボタンスイッチも接触不良はほぼなし。 数回の操作ですべて正常となり、 接点復活スプレーを使う必要はありませんでした。

    肩透かしを喰らったのは、周波数表示。 使われているA/Dコンバータのデジタル表示は3 1/2桁表示なので、 実質3桁しか表示されません。 AMラジオの中間周波数トランス調整をしたくて455kHzを出そうとすると、 454kHz / 455kHz / 456kHz のように1kHzおきでしか周波数が設定できないわけです。 これはAMラジオの正確な調整をするにも1桁不足。 最高周波数は11MHzですが、10.00MHzのつぎは10.01MHzなわけで、 設定の分解能は10kHz刻みということになります。 正確な周波数の信号が欲しいという用途には向きませんね。

    いっぽう最大で10Vp-pを出せるというのは魅力。 捨てたものでもない、でしょう。





周波数と振幅を校正する

    デジタルパネルメータIC入力ピンの近くに設けられているトリマで、 周波数表示と振幅表示の調整を行いました。 が、周波数バンドのそれぞれ、 自分が一番よく使う周波数で合わせ込んで置くべきでしょう。 また周波数調整つまみの位置によって表示と実出力のズレはそれなりに出てきます。 VCOのリニアリティ調整もどれかのトリマで可能なのでしょうけれど、 これはサービスマニュアルを参照する必要があります。 ので、手を付けずにおきます。

    よーし、これで機能は完全復活!

2021-09-20 デジタル表示復活 全機能実戦運用可能





冷却ファンを交換したけど

    このジェネレータには40mm角の冷却ファンがついていますが、けっこう音がうるさいので交換してしまいましょう。 オリジナルはDC24V品ですが、後々の互換性等考えてDC12Vの静音タイプを買いました。 2個で800円とかの品物です。

    新しいファンはオリジナルよりもずっと薄く、モータ部外形が小さいのでファンのブレードもずっと大きくなっています。 この辺りは改良が進んだからですけれど、 逆に言えば35年経っても相変わらず排気のためにはファンを回すわけで、 静音タイプといううたい文句だったのにオリジナル品とそう変わらない音量です。 DC8Vで動作させればかなり静かになって、かつ十分な風量が得られるのはテストしてわかっているのですが、 まあ毎日連続して使う機械でもないから、DC12Vで回そう。 容易に原状復帰できる方法で新品ファンをつなぎました。

    風量はオリジナルよりも大幅アップ、 でも動作音はオリジナルと大して変わりません。 あれっ、なんのためにファンを交換したんだっけ?

2021-09-23 冷却ファン交換





Ready to Go

    ひととおり作業完了したのでラックに戻します。 さあ、出番を待とうね。 ちょっと試しに出力をLODESTARのジェネレータ・カウンタで測ってみると、 あれ、5MHzのときにずいぶんずれるなあ。 ポテンショがほぼCWのときに調整するよりも、真ん中あたりの点で調整しておいた方が良かっただろうか。 当面、表示はあくまで目安として使えばいいね。 いつの日か、しっかり較正してあげよう。

2021-09-23 作業完了 実使用開始





> 作業途中だった修理にもどる・・・アイワTPR-840


Go to Back to Life again
Go to NoobowSystems Lab. Home

http://www.noobowsystems.org/

No material in this page is allowed to reuse without written permission. NoobowSystems has no business relationships with the commpanies mentioned in this article.

Copyright (C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2010, 2021.

2010-03-04 Page created.
2021-09-22 Updated. [Noobow9100F @ L1]