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SAMLEX RPS1206
Regulated DC Power Supply

    Purchased at a surplus shop with $5 price tag the RPS1206 somehow worked, however it was not in a good health. The output voltage was approx. 11.2V instead of expected 13.8V, and the voltage dropped when more current was drawn. 17 years after purchased as apparently a malfunctioned item, detailed inspection started. Replacing a small transistor used to control the feedback loop brought back the strong operation to this simple and handy power supply.


電源装置が必要だ

    渡米時に持参したエレクトニクス関係の機材は Sanwa U-70D くらいのもので、電源装置は 日章工業NP-101 だけ。 最大出力1AのNP-101で受信だけとはいえKenwood TS-60Dと東京ハイパワー製HFトランスバータを動作させるのはつらく、 新品の安定化電源装置を買いました。 が、そのうち、ガレージラボで作業するための電源装置も欲しくなりました。 そんなときWeired Stuffに立ち寄ってみると、ポンコツの安定化電源装置がAS-IS扱いで各種放出されていました。 動作確認なしで、値段は外観の傷み具合でつけられている様子。 さすがに筐体がベコベコというのも何だったので、比較的きれいなものを2台買いました。ひとつ5ドルで計10ドル。 ガレージに戻って試してみると、1台は動作せず、修理を試みたものの断念し、分解してバラバラ。 もう一台はだいたい12Vが出たので、しばらくは実験用電源として使っていました。10ドルで安定化電源が買えるなら、まあ安いものでしょう。

    しかしそのあと、この電源装置はどこかおかしいことに気がつきました。 電流があまり取れず、さらには電圧が今ひとつ安定していません。 中をあけてみましたが簡単に直るものではなさそうで、 やはりジャンクはジャンクだったな。
    で、その壊れかけの安定化電源装置は帰国時に船積みし、その後は中央研究所の保管庫にしまわれたままとなりました。

RPS1206 Interior

17年後に修理再開

    TDM850のバッテリを充電するのに手ごろな電源装置はないか と保管庫を探して、このSAMLEX RPS1206を見つけました。 あ、こんなのもあったっけ。 でも試してみるとちっともバッテリを充電してくれません。 実際のところ、この電源装置が壊れかけであるということをすっかり忘れ、修理待ちリストからも忘れられていたのでした。 結局TDM850はベンチの大型安定化電源から長いケーブルで屋外に引っ張って充電しました。

    夏休み、特に用事もないリラックスした休日。 今日は何か直して楽しもう。 そうだ、足元に転がったままのSAMLEX電源を直してしまおう。 1996年にジャンクとして買ってから17年経ってようやく修理開始です。

    症状はというと、出力電圧が所定の13.8Vに達せず、11.3V程度しか出ません。 これは内部の電圧調整トリマをいじってもほとんど変化なし。 さらに、わずか1A程度の負荷をつないだだけで出力電圧は下がってしまいます。

    SAMLEX RPS1206は、実験室用の直流安定化電源装置。 出力電圧はDC13.8V固定で、最大6A取れる、シリーズパス型の電源装置です。 フロントパネルにはネオン管パイロットランプを内蔵したシーソースイッチと出力ターミナルがあるだけです。 寂しすぎるフロントパネルをどうにかすべく、パネルにはごちゃごちゃといろいろな書体で型番やらなにやらがシルク印刷されています。 この香りは1980年代。

    シンプルなケースのトップカバーをはずして現れた内部は、シリーズパス型安定化電源装置としてごくオーソドックスな眺めです。 大きな電源トランス、トランジスタを使った制御回路基板、大きなヒートシンクに取り付けられたパワートランジスタ。 これまた1980年代の標準的な内容です。 制御基板の内容は、シリーズパスレギュレータの基本回路に比べると少し部品点数が多いようです。 フロントパネルには"With Short Circuit Protection"と書かれていますから、これかな。 まずはプリント基板を眺めて回路図を起こしてみました。 結果は右。 プリント基板のシルクには部品追番は入っていないので、 回路図の追番は私が入れたものです。

    比較トランジスタのエミッタに基準電圧用ツェナーを置くタイプではなく、 出力分圧部にツェナーが入っています。 シリーズパス トランジスタは2N3055で、3段ダーリントンでドライブします。 フィードバック制御はトランジスタQ2で行われています。

    トランジスタQ1が"Short Circuit Protection"の役目を果たしているようです。 いまもし出力端子がグラウンドショートされると、抵抗R3を介してトランジスタQ1のベース電圧はゼロになり、 よってトランジスタQ1はカットオフ状態になります。 するとQ1のコレクタ電圧は抵抗R5によって安定化回路に入る前のDC電圧、実機実測で約20V、になります。 この電圧がダイオードD6を介してフィードバック制御トランジスタQ2のベースにかかりますから、 トランジスタQ2はフルオン状態になり、Q2のコレクタ電圧はほぼゼロになります。 これにより3段ダーリントン接続されたシリーズパストランジスタのベース電圧はゼロになるので、 シリーズパストランジスタはカットオフ状態になり、電源装置からの電力出力は遮断されます。

    このままだと、負荷のショートが解除されても電源装置は遮断したままになってしまいます。 しかしほんの一瞬すると、ダイオードD3によって整流されたAC電源波形の正のサイクルのときに発生するパルスがトランジスタQ1をオンさせ、 Q1のコレクタ電圧を下げます。 ダイオードD6の働きによって制御トランジスタQ2は強制フルオン状態から解放され、 ベース電圧は下がり、制御トランジスタはフィードバック制御を再開します。 いったん出力電圧が上がればもはやトランジスタQ1はフルオン状態を維持し、つぎにショート異常が発生するのを待つという形です。

    さて、回路の動作原理が分かったところで、 本機のトラブル事象は出力電流が増えると電圧が下がってしまうということですから、どこから調べましょうか。

RPS1206 Circuit Diagram

17年前の続き

    まずはシリーズパス パワートランジスタ2N3055の端子電圧を測ります。 コレクタにはDC20.6Vが安定して入っています。 整流ダイオードと平滑キャパシタはひとまず正常と考えていいでしょう。 しかしエミッタ電圧はDC11.2Vで、要するにこれが装置の出力電圧。 電圧調整トリマをいじってもこれがほとんど変わらないのは確認済み。 で、ベース電圧はDC11.8Vです。 普通はベース‐エミッタ間の電圧差は0.6Vになろうとしますから、ベース電圧が上がらないということかな。 となるとパワートランジスタが壊れているのではないと思えます。

    ともあれ、パーツボックスを調べたら2N3055の在庫がありましたので、 簡単に試せるところで在庫トランジスタを使ってみます。 でもやはり、動作は同じでした。 本機に使われている2N3055は正常でしょう (あるいは在庫部品も同じ壊れ方をしているという可能性もありますが)。
    ところで在庫部品にあった2N3055は、たぶんRPS1206と同じときに買ったもう一台の電源装置から取り外したものだと思います。 RPS1206のパワートランジスタは一度取り外した形跡があります。 たぶん17年前に、もうそんな記憶はないものの、この作業をやっていたのでしょう。 そして、パワートランジスタを交換しても直らない、と作業中断していたものと思います。 となれば、ここから先の作業は17年前の作業の続き、ということになります。

    パワートランジスタが正常であることを追試するため、パワートランジスタのベースだけ制御回路から切り離し、 外部からポテンショメータを使って電圧をかけてみます。 ベース電圧を上げるとそれにつれてエミッタ電圧も上がり、電源装置からはしっかり13V以上の電圧が出ます。 出力電流もしっかり取れるふうです。 パワートランジスタ Q5 2N3055は正常と判断します。

    外部からのベース電圧でパワートランジスタを働かせているとき、 制御基板からパワートランジスタのベースに行く線の電圧は、11.8Vのまま変化しません。 これはヒントだな。 本来なら出力電圧に応じてこの線の電圧は変化するはずですから。

    次は制御ループの入口、つまり出力電圧モニタ部を調べてみます。 ツェナーダイオードが壊れるというのは SB-36で経験 してますしね。 本機のプリント基板のシルクスクリーンを見ると、 13.8Vモデルには12.5Vツェナーを使えと書かれています。 出力電圧がDC13.8Vで、ツェナーダイオードD7が正常であるなら、 ツェナーダイオードのアノード電圧はおおむねDC1.3Vのはず。 でもツェナーダイオードが劣化してショート故障様を呈していれば、 ダイオード両端の電圧は12.5Vよりも小さくなって、 制御トランジスタのベースには設計よりも高い電圧がかかることになって、 したがって出力電圧を下げようとするでしょう。

    VR1のワイパー端子、つまりはQ2のベース電圧を測ってみると、およそ10.0Vです。 こりゃあ高すぎるな。 しかも、ポテンショメータでパワートランジスタのベース電圧を変化させて出力電圧を変化させても、 ここの電圧はほとんど変わりません。 ツェナーダイオードD7のツェナー電圧が狂ってしまったとしても、 ここの電圧は出力電圧に比例してもう少し変化しそうなものです。 すると、この10.0Vという電圧はD7とそれに直列な抵抗が作り出したものではなく、 トランジスタQ2あるいはQ1に由来しているのでしょう。

    トランジスタQ1のコレクタ電圧を測ってみると、 出力電圧がDC12Vあたりのときはほぼゼロ。 トランジスタQ1は正常にフルON状態です。 出力電圧を下げると、Q1のベース側回路で生成されたAC電圧に同期したパルスが見えてきます。 このことからトランジスタQ1は正常で、またD6も正常と判断できるでしょう。

    すると、トランジスタQ2のベース電圧はトランジスタの内部故障のために自分のコレクタから回り込んでいるのではないかと思われます。 このトランジスタを交換してみましょう。 トランジスタQ2は小信号用NPNタイプなら何でもよいと思いますが、端子配列がC-B-Eになっていれば無理をせず交換できます。 で、基板をよく見ると、あれえ? トランジスタのパッケージの向きは基板のシルクの表示とは逆向きです。 製造ミスなのかな? いや違います、他のトランジスタも反対向きに取り付けられていますから。 在庫品を使うとかコストダウンのためとかの理由で、設計とは異なる型のトランジスタを使うことにしたので、 シルクの表示とは反対向きに取り付けることになったのでしょう。 なにかおおらかさを感じさせる製造品質です。

    ともあれ、基板のシルクどおりに取り付けられる適当なトランジスタを探すと、 うん、定番の小信号トランジスタ2N2222がぴったりだ。 トランジスタQ2を交換してパワートランジスタのベースも仮配線で元に戻して電源スイッチを入れると・・・ おおお!! 安定したDC13.8Vが出てる! 出力ターミナルに自動車ヘッドライト用55Wバルブをつないでみると、出力電圧は0.2Vほど下がっていますが、明るくこうこうと輝いています。 直った!!

    結局原因は、フィードバック制御用トランジスタQ2として使われていたPhillips製ED1402トランジスタの故障でした。 この電源装置はいつから壊れていたんだろう。 ウイアードスタッフの店内フロアに転がされる前から壊れていたのでしょうから、 ひょっとしたら20年くらいかな。 お待ちどうさま、修理完了。 これからいろいろと活躍してもらうよ。

Failed transistor ED1402
Examining the circuit voltages, a transistor used to control the feedback loop was suspected as the root of the problem. It was a ED1402, a small signal NPN transistor. Interestingly, the outline shape of the ED1402 does not match to the silk pattern on the PCB --- perhaps the manufacturer changed the type of transistors during the production, ignoring the outline shape drawn by the silk marking.

Failed transistor ED1402
Replacing the transistor with a new 2N2222 successfully brought back health to this power supply.



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Aug. 16, 2013 Servicing started.
Aug. 17, 2013 Servicing completded. Page Created.