NoobowSystems



Signal Generators

Heathkit IG-5280 RF Oscillator
Leader LSG-100 Popular Signal Generator

シグナル ジェネレータ


    ラジオをいじる時、シグナル ジェネレータはぜひとも持っていたいものの一つ。 簡単な修理なら実際の放送局を受信しながら作業できますが、短波ラジオでは放送の受信状況が安定していませんから、なかなか困難なものです。 シグナル ジェネレータを使えばいつでも安定した任意の周波数と強度の信号を発生させることができ、 修理や調整の力強い味方です。 なくても何とかなる、でも良いシグナル ジェネレータの助けを借りれば確実で、より高度な作業が行えます。
    このページでは、わがラボのアマチュア用簡易型シグナルジェネレータを2つご紹介しましょう。 どちらのモデルも現在ではリタイヤしており、ラボの実際の作業には目黒MSG-2161を使っています。


目黒MSG-2161


Heathkit IG-5280 RF Oscillator
これでラジオを作ろう


    たぶん1995年のこと。フットヒル・カレッジのスワップミートで、ヒースキットのシグナル・ジェネレータを見つけました。 外見はとてもきれいですが、ケースの大きさの割にとても軽いので、たぶん中身を出されて箱だけになっているのだろうと思いました。 さらに変なのは、どこにも電源らしいものがないこと。ACコードも電源ソケットも見当たらないし、電池コンパートメントもありません。 まあ値段が安いからいいや、それにダイヤルメカがしっかりしているので、このケースとダイヤルを使ってラジオを作れるな・・・ そう考えて買ってきたのがこのIG-5280。

    底面のネジを5本ゆるめてケースを開けてみると、あれ、しっかり中身があります。 トランジスタ発振回路のプリント基板とバリコン。 それに006P電池スナップが2つ。 このオシレータは電池式で、連続して使用するわけでもないからあまり頻繁に電池を交換する必要もないので電池コンパートメントは持っていないのでしょう。 新品の電池を入れてみると、オシレータは動作し始めました。 外側も内側もとてもきれいなので、部品取りにするのは止めて、我がラボ初のシグナル・ジェネレータとして使うことにしました。



機能と使い勝手


    発振周波数は310kHzから110MHzを5バンドでカバー。 同軸減速のチューニングつまみをもつダイヤルは、フロントパネルの表面をなぞるタイプの指針を持ちます。 スライド式の電源スイッチは2つあり、一つはRFオシレータの電源、もう一つは1000Hz固定の低周波オシレータの電源。 RFオシレータには出力レベルを調整できるつまみがあり、出力ターミナルはバナナジャックです。 低周波オシレータにも出力レベル調整つまみがあり、これでRF出力にかける変調の深さを変えることができます。 低周波オシレータにも出力ターミナルが用意されていますので、オーディオ段のテストにも便利でしょう。 この機械には外部変調のための用意はありません。
    ところがいざ使ってみると、すぐに不満が出てきてしまいました。 高い周波数では目盛りが細かすぎて正確な周波数がわからないのは致し方ないとして、 わずかな機械的振動で周波数がすぐ動いてしまいます。 1000Hzのオーディオ出力はおよそ正弦波からかけ離れた波形で、 実際の受信機の調整に使おうとすると受信音のピークがわかりづらくて苦労します。
    このオシレータを手に入れた後しばらくは再調整が必要なレストレーション プロジェクトがなかったこともあり、 長い間ラボの飾りになっていました。



Leader LSG-100 Signal Generator
Leader LSG-100


    Leader LSG-100は400kHz〜36MHzをカバーする、リーダー電子製真空管式シグナルジェネレータです。 コンパクトな金属製ケースに収められており、持ち運びも楽です。 JH1コールのOMさんから譲っていただいたこのLSG-100は、キャリング・ハンドルが失われており、 つまみもオリジナルとは若干異なっているようですが、全体的に新品同様といえる外観で、 ダイヤル盤プラスティックカバーにもキズひとつありません。 ダンボール箱もオリジナルで、1枚の紙を二つ折りにしたシンプルなマニュアルが付属しています。

マニュアル表紙
マニュアル本文

LSG-100 Overview


回路構成と内部構造


    マニュアルには回路図が記載されています。 ペンタグリッド管6BE6 1本で発振回路が構成されています。 発振周波数帯は5バンドに分割されており、出力回路に同調回路はなく発振出力はそのまま取り出されます。 電源は6X4 1本による半波整流。 いたってシンプルな回路です。

    フロントパネル左下には外部変調入力端子があります。 ここからの信号は6BE6の第3グリッドに直接注入されます。 変調切り替えスイッチをINTにすると、出力信号はプーと言った感じの音で変調されます。

LSG-100 Circuit Diagram


    ネジ8本をゆるめると、通風孔が全く空いていない金属ケースからフロントパネルつきシャーシを取り出すことができます。 内部は回路図から予想された通りの簡単な、けれど端正でとても丁寧な仕上げ。 通風孔がないこともあって、汚れはほとんどありません。

    チューニングは、アルプス製の単バリコンで行われています。 ダイヤル機構は金属製円形プレートの外周に押さえつけられたダイヤルシャフトが回す方法。 とてもスムースな操作感です。 減速比はあまり大きくありません。 バンドセレクタのロータリースイッチ部に発振コイルとトリマキャパシタがついています。

    この写真だけ見ると、マルチバンドの0-V-2受信機と見まちがえそうです。

LSG-100 Interior View

使ってみる

  出力

    まず驚くのは、その発振出力の強さ。 出力端子になにも繋がず、出力レベルつまみを最低にしておいても、 近くに置いたGR-64受信機(ビニール線アンテナつき)のSメータを強烈に振りきります。 これでは高性能受信機の微妙な調整など不可能なのでは・・・。 外部変調入力端子につないだままのオーディオケーブルからかなりの信号が輻射されているようです。 出力端子にビニール線でもつなげば、これはもう立派なワイヤレスマイクです。 4MHzにセットしておいてポータブル短波ラジオを持って歩き回ってると、 約10mの範囲内では十分に信号を受信することができます。 事実、実用真空管ハンドブックの6BE6のページには、 本機とほとんど同じ構成の回路がワイヤレスマイクの例として紹介されています。

高調波がたっぷり

    発振回路出力に同調回路を持たない構成では仕方ないことですが、出力には高調波がたっぷり含まれています。 うっかりするとだまされそう。

周波数安定度

    発振周波数を20MHzにセットして出力端子を周波数カウンタにつなぎ、 電源投入後の周波数安定度を簡単に調べてみました。 10分経過するまでの周波数変動はわずか数kHz。 15分経過後あたりでちょっと変動が見られ、1時間後で10kHz弱。 その回路構成を考えれば、十分納得いくものといえるでしょう。 数分単位では変化がわかりますが、短周期の周波数のふらつきは見られません。 通気孔の空いていないシャーシは、外部温度の変動を受けにくくする効果があるでしょう。 ケースに手を触れても周波数は変化しませんが、出力レベル調整つまみを回すと20kHz近く発振周波数が変化してしまいます。 バッファなしで発振管のプレートからいきなり出力を取り出しているのですから、 無理からぬことといえます。

LSG-100 Dial

動作不安定?

    どうやら本機の動作には不安定なところがあるようです。 まず、バンドBの中波帯を使っているときにMODつまみをINTにセットしても、変調音が聞こえません。 短波帯ではきちんと発信音が聞こえるのですが。 つぎに、12MHzから36MHzをカバーするバンドEにおいて、約19MHz以下でうまく発振していないようです。 この辺は部品の経時変化による故障ではないかと思われます。 手を入れる必要がありそう。
    LSG-100は計測器専門メーカーならではの堅牢かつ高級な作りですが、 結局のところ6BE6 1本でできることには限界があるようです。 その美しいダイヤルを活かしてミニ真空管短波ラジオに作り直すのはかなり楽しそうですが、手を入れるのも忍びないし・・・。


Go to Back To Life Again
Go to NoobowSystems Lab. Home

http://www.noobowsystems.org/

Copyright (C) NoobowSystems Lab. San Jose, California 1998
Copyright (C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 1999, 2000, 2002,2003,2004

Aug. 21, 1999 Created.
Jul. 02, 2000 Revised and completed.
Jul. 28, 2002 Revised links.
Dec. 30, 2003 Reformatted.